上海研修

上海研修
2016 年 3 月 13 日から 26 日、中国語専攻 1 年生を対象に「上海言語文化研修」が実施さ
れ、19 名の学生が参加しました。
今回の研修で体験した様々な出来事とその感想を、
Ⅰ、同済大学 Ⅱ、授業 Ⅲ、文化体験 Ⅳ、観光 Ⅴ、ショートトリップ Ⅵ、中国での
生活 Ⅶ、研修を終えて
の 7 つに分けて紹介します。
Ⅰ、同済大学
同済大学は平坦で非常に広大なキャンパスを持っ
ており、多くの学生が自転車や原付自転車などを利用
して移動していました。日本の大学生はキャンパス周
辺に下宿するのに対し、中国の大学はキャンパス内に
寮がある場合が多いですが、同済大学も同様で、大学
自体が学生にとって生活の場となっているため、食堂
や生協も夜まで開いていました。地下鉄の最寄り駅が近いこともあり、上海の主要な各地へ
のアクセスも良く、都会の刺激も感じやすい恵まれた環境でした。(小原由子)
上海でトップ3の学力を誇る同済大学には、世界各国からあらゆる学生がやってきます。
アフリカ系やヨーロッパ系など、本当に様々です。留学生の数には、正直驚きました。私た
ちは学内の留学生寮に滞在していたのですが、中国語の他に、
色んな言語が飛びあっていて、
おもしろかったです。他の留学生と交友を持てば、語学力に磨きがかかるのは、間違いない
と思います。自分たちと違う文化を持つ人を受け入れる姿勢が自然に取られている同済大学
は、留学生に最適な場所だと思いました。(西村侑花)
中国人の学生は勉強熱心で、見た目も真面目そうな人が多いな、と感じました。日本人は
茶髪に染める人が多いですが、中国人は染めている人はほとんどいなかったです。私が一番
驚いたのは、中国では学生がアルバイトをすることはほとんどないということです。交流会
の時に聞いたのですが、中国では学生は勉強するのが当たり前で、遊びは二の次であり、ア
ルバイトなどあり得ないそうです。私達も中国の学生を見習って、もっと勉強に対して真剣
に取り組むべきだな、と改めて考えさせられました。(中上円夏)
Ⅱ、授業
同済大学での授業は一般の学
生が学ぶ棟ではなく、留学生の
みが学ぶ棟で行われた。その棟
の教室はどれも 20 人〜30 人用
であった。しかし現地の学生に
見せてもらった彼らの教室は、
どれも 100 人以上は収容できそ
うだった。最終日に我々の間で
スピーチを行った。その中から
内容や発音が優れていたものが、
それまでにお世話になった大学
の関係者の前で発表を行った。私は選ばれることなく終わってしまった。しかし帰国後勉強
を頑張ろうと決心をする契機となった。(平井優作)
上海での授業は日本の中国語の授業とは違い、ほとんど中国語を使って授業をしました。
日本語が母語である自分たちにとっては少ししんどかったですが、2 週間ずっと中国語で授
業をしているとだんだん中国語にも慣れてきて、1 回目の授業より最後の授業の方がより中
国語を聞き取れました。授業の方法も日本とは違って、即興で作文を作り全員の前で発表し
たり、内容が悪かったりすると罰ゲームがあったり、ただ自分たちが先生の授業を享受する
だけでなく、きちんとアウトプットをすることが重要視されていると思いました。(宣大地)
一番苦労したことは、聞き取りだった。授業中先生から指示を受けるのだが、私はほとん
ど聞き取ることが出来なかった。一年間中国語を勉強してきたが、覚えた中国語を口に出す
こと、たくさん音源を聞くことが足りないと思った。また、単語のストックが乏しいと思っ
た。この2週間の授業を通して、自分の弱点がたくさん見えてきて、辛い部分もあったが、
その辛かった部分をこれからの学習に生かしていこうと思った。
(奥詩織)
Ⅲ、文化体験
今回の上海研修では、中国 4000 年の歴史といわれる文化の一端に触れられる機会
がありました。古琴、書道、太極拳など中国の代表的な文化を、現地の中国人の先生か
ら直接学ばせていただける貴重な体験をすることができました。
古琴体験では、古代中国で文人らは琴棋書画(古琴、
囲碁、書道、画)の四芸を嗜む風潮があったことなどの
予備知識を学びました。その後先生手ずから清流のせせ
らぎや激しい嵐、荘厳な山などを表現する音楽を披露さ
れました。表現力の豊かさ、底力に圧倒されました。弦
を押さえる強さや、はじき具合で音が微妙に変わり、そ
の面白さを体感するとともに難しさも感じました。音楽
は各国固有の文化のひとつであり、その共有は互いを心
から理解する手段としてもっとも適したものだと思います。言語を媒介として知識を吸収し
たり、経済活動の一環を担ったりするだけでなく、文化を理解し、共有することで真の友好
を築く担い手となりたいと感じました。
(加藤唯)
指導してくださった先生方は日本語が全く話せなかった
が、その中でも本当にわかりやすく、優しく指導してくだ
さった。書道の授業では、中国流の技法で、基本から指導
していただき、最後には皆それぞれ好きな文字を選んで書
いた。我爱同济我爱中国 中日友好 などのまさに中国らし
さが感じられる素敵な作品が出来上がり、楽しい授業だっ
た。(福本紫布)
太極拳体験では、実際に一通りの型を教えていただきました。日本ではあまり知られてい
ませんが、中国では町中で太極拳を行っている集団が見られ、とても身近なものとなってい
ます。太極拳はゆっくりした動作でありながら、全身の筋肉を使うそうです。先生の掛け声
に合わせ動作を終えると、筋肉痛になっていましたが、すっきりした気分になりました。ま
た、太極拳は護身術の一種としても使うことができ、体格の良い男子学生でも女の先生に倒
されてしまうのを見て、とても驚きました。
(原田真歩)
Ⅳ、観光
上海では様々な観光地に行く機会があり、両
替したばかりの元を持って上海の街に出るの
は嬉しくてドキドキしました。最も印象に残っ
ているのは2日目に乗った遊覧船です。色とり
どりのネオンが上海にいることを 360°体感さ
せてくれ、とても感動しました。初めて値切り
をしたり地元の人に人気の小籠包を食べたり
と上海を満喫しました。今回の上海研修は中国
語の勉強はもちろん、生の中国を自分の目で見
ることができ貴重な体験となりました。(刀根
みなみ)
私たちは午前中の授業が終わると、毎日様々なところに観光に行きました。その中でも私
が1番印象に残っているのは外灘です。ライトアップされた西洋風の建物が川沿いの道に一
直線に並び、とても綺麗でした。まさに上海を代表する夜景だなと感じました。また田子坊
も印象に残っている場所のひとつです。細い小道の両側に中国のお土産屋が建ち並び、色々
なお店が密集していてそのエリアだけ異世界感を感じました。ひとつひとつの店は小さく、
観光客が店員と交渉したり値切りしたりしていたのが印象的でした。
(田中雛子)
同済大学の学生に連れられて、観光地として有
名な豫園を訪れた。赤く美しいアーケ-ドを入る
と、そこは豫園商城と呼ばれるショッピング街に
なっており、多くの土産物屋や屋台が並んでいた。
多くの人で通りはいっぱいで、活気にあふれてい
た。その活気に負けないように店の人と頑張って
値切り交渉に応じるのは楽しく、刺激的な経験と
なった。また店だけではなく、歴史的な建造物も
見どころである。ショッピング街になっている建物そのものの豪華な装飾も美しいが、庭園
のなかはまた違った厳かな美しさがあり、中国の長い歴史を感じることができた。
(垣内光莉)
研修中は自由時間も多く、見知らぬ土地で自発的に行動
できる良い機会となりました。私たちは火車と呼ばれる中
国の新幹線の切符を自分たちで買い、蘇州に出かけまし
た。蘇州は古典庭園や歴史的建築物が多く残る、厳かな雰
囲気が漂う街でした。一方、夜には街中がライトアップさ
れ、昼の落ち着いた雰囲気とは一風変わった、発展した様
子を見ることもできるという非常に魅力的な都市でした。
(金杉孝広)
Ⅴ、ショートトリップ
週末は上海を離れ、上海よりも少し南にある都市、浙江省杭州市を訪れました。上海と
は異なる雰囲気を感じることができました。
3 月 20 日(土)ショートトリップ 1 日目
《西湖》
西湖の景色はどのような天気であっても、様々な表情が
見られて美しいといわれています。実際に、この日は曇り
でしたが、本当に美しい絶景が楽しめました。この西湖は
人民元の図案としても採用されています。また、ほとりの
「六和塔」にも見学に行きました。ここには、湖にまつわ
る伝説に出てくる白い大蛇が祀られていると言われていま
す。とても神秘的な雰囲気の塔でした。
(福江静佳)
《宋城》
夜には、
「宋城」というアミューズメント施設を訪れま
した。中国の昔の街並みを再現したような場所で、中で
は様々なショーが開演されています。私たちは、
「宋城千
古城」というショーを観ました。中国の歴史を太古から
振り返るような内容で、戦いや王宮での舞いなどのシー
ンは圧巻でした。
(福江静佳)
3 月 21 日(日)ショートトリップ 2 日目
《乌镇》
2日目は、烏鎮に行った。川沿いに浮かぶ水上楼閣、川に架
かる橋、川を漂う小舟。野菜を洗う住民。古い建物が並ぶ路
地も残っていた。魯迅の小説に出てきそうな場所だった。藍
染を行っている場所があり、その藍染を用いた商品が多数売
っていた。
「便宜一点儿」というとまけてくれた。烏鎮を練
り歩くことが出来ただけではなく、
中国語が通じる喜びも味
わえて、とても楽しかった。(奥詩織)
Ⅵ、中国での生活
僕は上海での買い物について書きます。 買い物でもっとも印象深かったのが豫園です。豫
園で日本語を話していると、時計を売ろうとする人に「ニセモノ、安いよー!」と何回も声を
かけられます。これだけ開き直ってこられると逆に気持ちいいものです。中国はいい加減だ
と言われることがありますが、体験してみると、現地の人と話す機会にもなってそれはそれ
で楽しかったです。もう1つ中国ならではの買い物の仕方があります。それは値引き交渉で
す。そのために「这么贵!便宜点儿!
」というフレーズを覚えました。交渉を受け入れてくれ
る店は、意外と多いです。受け入れてくれない主には「不要」と言ってどこかへ行く素振り
を見せると、折れてくれます。日本では体験できないこのやり取りに、中国ならではの面白
味があると思いました。
(藤井庄之助)
研修中はレストランや食堂で、本場の中華料理を毎日食べることができました。料理はど
れも安くておいしく、円卓で食事をするのも楽しかったです。最初はみんな遠慮ぎみでした
が、研修が終わるころにはすっかり慣れていました。顔が均等に見えるのは、話しやすく、
親しくない人とでもすぐに打ち解けられて良いなと感じました。常設の屋台が多いことも印
象的で、ゲテモノに驚いたりもしました。屋台の活気の良さや、道端からいいにおいがする
ところも、中国らしく感じました。屋台で出来立てを食べるのも、中国食文化の醍醐味と言
えるでしょう。
(原田真歩)
最後に交通についてである。上海は中国一の経済都市というだけあって、交通網が非常に
よく整備されていた。特に地下鉄は素晴らしく、構内はとてもきれいで、かつたった数十円
で希望のところまで行くことが出来る。また、すべての駅で電車の到着までは門が開かない
仕組みになっており、人身事故の防止も徹底されていた。加えてすべての駅で手荷物検査を
行っており、テロ等への対策も行き届いていた。ただ、車の交通に関しては少々問題がある
ように感じられた。信号無視や強引な横断が多く、方向指示器を使わずに数車線を移動して
いく様子も見受けられた。
(福田貴大)
Ⅶ、研修を終えて
今回の上海研修で、初めて中国語漬けの生活を送ることができました。大学の授業で使う
音声よりも、本場の中国人はもっと話すスピードが速く、とても圧倒されました。自分の中
国語が間違っているのではないかという恐れもあり、はじめはなかなか中国人と話すことが
できませんでしたが、私が中国語を話しているときに、私の言いたいことを分かろうとして
くれる人もたくさんいて、積極的に話すことができました。自分の言いたいことが中国語で
表現できず、悔しい思いもしました。語彙力を伸ばし、いろいろな話題について話せるよう
になって、また上海に行きたいなと思いました。(鐘ヶ江理佐)
僕にとって、この上海研修が初めての海外でし
た。研修の途中でいろいろな街を観光しまし
た。上海タワーの周辺や新天地などは日本の梅
田や難波の雰囲気に似ていました。食べ物は驚
くほど安く、おいしかったです。 上海研修は
長いようで短く感じました。初めての海外とい
うこともあり、日本との文化の違いを強く感じ
ました。中国語を使ったり、留学を考えたりす
るいい経験となりました。(増田亮太)
私が今回の研修で感じたことは、言語のスキルが未熟であってもボディランゲージなどを
用いればある程度はコミュニケーションが取れてしまうということです。ただの旅行であれ
ばそれでもいいのかもしれませんが、中国語を専攻する以上、このような低レベルな意思疎
通で終わることなく、より高度なコミュニケーションが取れるよう日本でしっかり学習に取
り組むべきだと感じました。
(小寺開人)
今回の研修では中国人と日本人の特徴の違い
に気付かされました。中でも私が一番関心を持
ったのは、愛想笑いについてです。中国人の特
徴の一つに、初対面の人には愛想笑いをしない
というものがあります。このため日本人はしば
しば中国人に対して冷たい、ぶっきらぼうとい
った印象を持ちますが、個人的には中国には親
切な方が多かったと思います。例えば、道を尋
ねると初めは無愛想でも丁寧に道を教えてく
れ、最後にお礼を言うと笑顔で応じてくれまし
た。愛想がないからと言って日本人を嫌ってい
るわけではありません。この経験から、海外に行く際は現地人の慣習を十分に調べておくこ
との大切さを学びました。
(金杉孝広)
以上が、私たち 19 名が研修を終えた感想です。上海で過ごした 2 週間は、私たちに多くの者を与え
てくれました。現地人との会話や文化体験など、普段教室で学ぶだけではできない経験をすることが
できました。また、自らの中国語の拙さを知り、さらに努力しようと思うきっかけとなりました。
この研修で得たものを、今後の学習に生かしていきます。
最後に、同済大学の先生方、学生の皆さんをはじめ、今回の研修に関わってくださったすべての方々
に改めてお礼を申し上げます。
本当に、ありがとうございました。