西表隊 1 9 9 8 TOMO

Z ( 大 橋 伸 一 郎 )
応用生物科学科1年A 組
O 型 S54年8月17日生
西 表 隊 1998
T O M O ( 湯 本 朋 尚 )
国際経営学科1年E組
B 型 S52年9月13日生
-135-
目的
釣りという自給自足の手段
を得ることで、東海大地震の
折にも生き延びる自信をつけ
るとともに、自らの世界を広
げようとする。
自然と相対することで、自
然の偉大さを知ると同時に自
然の大切さを再認識する。
日時
8月15日∼8月29日
活動場所
沖縄県西表島
西表島概略図
持ち物
テント、タープ、火器、ファー
ストエイドキット、釣り道具、
コッヘル、調味料、米、洗剤、た
わし、油、着替え、洗面用具、サ
ングラス、帽子、
サンダル、浄水薬、水、非常食、
クーラーボックス、ほそびき、
タイヤチューブ、ダブルアク
ション、カメラ、シュノーケ
ル、etc...
公金(一人分、個人の食料費などは除く)
交通費
東京∼沖縄(フェリー)
往復32080円
沖縄∼石垣島(フェリー)
片道5250円
石垣島∼沖縄(飛行機、スカイメイト使用)
片道8150円
石垣島∼西表島(高速船)
往復4000円
白浜∼舟浮(定期船)
片道400円
タクシー代
980円
バス代
200円
スカイメイト登録料
1000円
証明写真代
1500円
星砂キャンプ場代(二人分) 600円
合計54160円
食料
魚(現地調達)
、米10合、たま
ねぎ、トマト(かんずめ)
、調
味料、水、非常食、カップメン、
酢(兼消毒)etc...
-136-
-137-
「どうせなら、島一周してこい」という佐羽さん
の言葉にハッパをかけられ、他の一年の活動に
負けないようにと、部会後も2人でルートや行動
予定を練り直したのだった。
Long Vacation
出発日に向けてプレ合宿を大磯で行い、僕は
知り合いからテントや火器etc.個人装備を手に入
れたので、真鶴∼伊豆へと個人強化合宿を行っ
て、準備が着々と進んでいた。しかし、かんじん
のボートが手元に届かない。ボートの練習を相
模川で行おうと思っていたのに、練習できない
ままになってしまった。唯一心配な点を残し、出
発日はやってきたのだった。
START 98,8/15
長い長いプロローグ
「朋ちゃん、マグロ釣ってこいよー!」あれは 6
月の終わりのある日の部室でのこと。部室でこ
の夏の計画をどうしようかと話していた時のこ
とだった。黒沢さんのマグロ食いたいという食
欲から出たこの一言によって、すべては始まっ
た。「マグロですかー…」と一瞬たじろいだが、す
ぐさまマグロを釣り上げた時の自分の姿を想像
して、やる気モードにスイッチが入ってしまっ
た(なんて単純な奴!)
。
こうして始まったマグロ計画について話し
合っていると、今度は高畑さんが「漁船」に乗っ
たらどうかと提案。漁船で働き、漁師の仕事を学
び、
「海の男になる!」という目標に一歩近づく為
にはいいかもと、話は進んでいった(ほんと、単
純!)
。一人ではさびしいので「Z」に「一緒にや
らない?」と半ば強制的に引き込み、夏のマグロ
計画は始まったのだった。
7 月に入り、漁船の事を調べてみるが、1ヶ月
という短期間ではなかなか乗せてくれそうにな
いし8月はマグロ漁に適さないらしく、漁じたい
もあまり行われないそうだ。そりゃ真夏ともな
れば魚も暑いだろうし、魚も夏バテしているか
もしれない。
7月も半ばに近づき、計画が進まなくなり焦り
始めた頃、漁船計画が計画倒れになりそうなの
-138-
で、計画じたいを練り直すことにした。とりあえ
ずマグロ計画は延期である。
「Z」と僕のやりた
いことを次々とあげていき、その結果、南の島で
釣りやボートツーリングをし、さらにザックを
担いで山を歩きたい!などといった、何でもやり
たい計画をスタートさせた。
「場所はどうする?」
ということになり、他の1年が屋久島に行くとい
うこともあって、
「やっぱり夏といえば沖縄だよ
なー!」というわけで(どういうわけだよ!)、沖
縄のどの島にするかを考え始めた。
「マグロを釣
るなら久米島だろ!」とか、
「石垣島や宮古島なん
かも色とりどりの魚や、
マンタがいていいかも!」
などと話しているうちに、西表島にふと目が止
まった。先輩の話に寄ると、毎年恒例で誰かしら
西表島で夏合宿を行っているらしいのだが、今
年は誰も行かないらしい。というわけで、
「それ
なら今年は僕らが西表隊を引き継ぐぞ!」という
ことになり、やっと「西表島計画」がスタートし
たのである。(長げーーーよ!)
目的地が決まったことで、俄然、僕らの計画作
業に気合が入り、西表島の情報を調べられるだ
け調べ上げた。計画書を書き上げるだけの日数
が僕らにはあまり残されていなかったが、合同
部会までには大方書き上げ、
「西表島サバイバル
計画」と銘打って発表。先輩方の厳しい助言!?も
大方クリアし、アキレスのボートも借りられた。
出発日の前日、とにかく最後まで準備万端と
はいかず、ギリギリまで計画の練り込みや装備
の準備をして、僕は自宅へ帰宅。出発日当日の朝
までパッキングに四苦八苦し、
「Z」も近所にタ
イヤチューブをもらいに行き、パッキングにて
こずり、さらには在京連絡人のFAX番号が違っ
ていて4回も送り直すハプニングが起きるという
始末。本当に船の時間に間に合うのかという、二
人はまさに時間との勝負であった。
僕は途中、
「ゆりかもめ」が故障で交通手段が
バスだけとなってしまったが、なんとか出港予
定時刻の1時間前には有明埠頭に到着。
「Z」は
というと、乗船時刻ギリギリにやっと到着。無
事、乗船かと思いきや、
「Z」は「ボートとチュー
ブ両方持ってくるのは無理だった」と言って
チューブだけ持ってきたはずだったのだが、な
ぜかパドルをザックにくくりつけていた。
「ボー
トも持ってこられたの?」
『いや、両方持ってくる
のはやはり無理だった』
「じゃ、なぜパドルを…」
『えーーーーーーーーーーーー!!』というわけで、
パドルを待合所に預け、乗船と相成ったので
あった。
(ボートの件で後々大変なことになろう
とは、この時の僕達には予想だにしなかった)
沖縄の海を目指して
無事(?)乗船できた僕達は、予想通り出港時刻
が大幅に遅れた「大島運輸ありあけ」の船内に
て、3時間も「まだかな、まだかなー♪♪」と出
港するのを船内散策しながら待っていた。が、待
ちくたびれて、
「腹もすいたし、飯にするかー」と
準備ができた頃、ようやく出港。ビールで乾杯し
ながら、東京お台場の夜景を見送ったのだった。
3 時間遅れでやっと出港した「ありあけ」。僕
らにやっと休息の時が来た。船着場に着くまで
に僕も「Z」も30kg∼40kg近い荷物のせいで、
ヘトヘト、汗でベトベト。シャワーで汗を洗い流
-139-
結局、僕がアオスジエビスとイシモチの仲間2
種とメッキを釣り上げ、4目達成。好釣!なスター
トとなった。(Zは除く…)
8/18 メインストリートへ行こう
し、飯も食ったし、ビールも飲んだ。後は寝るだ
け。しかーし、体がいうことをきかない。体の中
の熱く燃え出した夢と期待、この2つのモノがな
かなか僕らを寝かしつけてくれないのだ。小一
時間程デッキで沖縄への風にたたずみ、ようや
く寝床につき、これから実現させるべき夢を僕
らは見たのだった。
8/16 Tomorrow never knows
8:30頃、窓からもれる夏(暑)い陽射しに僕らは
起こされた。2人とも夢のせいで熟睡することが
できず、何度も目を覚ましつつ夏い夢にうなさ
れた。寝ていても疲れるので、目を覚ましにデッ
キに出てみると何か海にいるのが見えた。それ
はなんと「飛魚」だった。ひたすら続く海のじゅ
うたんにふと現れたそいつに、俺の魂は再び燃
え出した。その為、2日間の船旅は、僕にとって
は自分の相棒(釣り具)のメンテナンスで充実して
いた。時にはオセロをしたり、デッキに出て青い
空と満天の星空を満喫したりして、楽しい船旅
になった。
8/17 寝床は殺人現場!?
入港予定時刻が過ぎ、乗り継ぎの船の時間を
気にしながら、僕らはただひたすら船の中で待
つだけ。与論島を過ぎた頃、やっと入港時刻が発
表された。
「21:20、入港予定」完全に石垣島に行
く船に乗るのは、不可能になった。
「大島運輸の
-140-
バカヤローーー!!」(ついでに、大島のバカヤ
ロー!)しょうがなく、次のフェリーの予約を入
れようと、電話をするが、19 日発のフェリーは
すべてすでに満席。「どうすりゃいいんだー!」
「大島運輸のバカヤロー!!」予定も狂い、いつに
なったら西表に行けるのであろうか。パッキン
グをしながら船が着くのを待ち、それから後の
ことは着いてから考えることにした。そういえ
ば、この日は「Z」の誕生日。海の上で迎えるの
はどんな気分だろうか。港に着いたのは22:00。重
い荷物がさらに重く感じ、やっと沖縄の地に足
を踏み入れたのだった。予想通り暑かったが、関
東のそれと比べ、少し違っていた。それほど湿気
も感じない。風も涼しく感じた。
僕らはとりあえず今夜の寝床を確保すべく、
港の周りを歩き回った。警備員らしき人に聞く
と、この辺りでテントを張れる様な所はないら
しく、特別に朝まで港の積み荷の隙間にテント
を張らしてもらった。しかし、今夜はついでだか
ら、那覇でも釣りをしていこう、ということにな
り、朝まで近くの堤防で釣りをした。
(後で聞い
た話によると、僕らがテントを張ったすぐ近く
で一ヶ月前殺人事件があったらしい。)結果はと
いうと、最初の一投目でいきなり僕がヒット。続
けざまに10尾くらい釣り上げた。沖縄の海の豊
かさに驚いたひと時であった。
「Z」はというと、
朝までずっと、「地球」を釣っていた。(なんて、
教えがいのない奴だ!)
沖縄の朝日はとてもきれいだった。だが、しだ
いに陽射しが強くなっていった。港の待合所ま
で行くと、となりに昨日までの船の中で一緒
だった、日置さんという上智大の四年生の人が
ござを敷いてねっころがっていた。彼もまた、石
垣島行きの船に乗れず、そこで一晩過ごしたの
だった。翌日まで船が出ないことを教えると、か
なりショックを受けていた。彼と昼頃まで僕ら
の活動の話や、彼が西表島に行った時の話など
で盛り上がり、僕らは意気投合した。彼もまた僕
らと同じニオイを持つ仲間であった。
昼過ぎ、一緒に飯でも食べようと、街まで行く
ことになった。途中、道に迷ったり、沖縄初のス
コール(道沿いが川のようになった)に遭ったり
して、13:30頃には気づくと首里の方まで来てい
た。近くに「いさや」という沖縄そば屋があった
ので、道を聞くがてら、そこで昼飯を食べること
になった。ソーキそばやヘチマそばなど、
「なん
じゃこりゃ!」
と思うようなメニューもあったが、
とりあえず沖縄そばを3人とも頼んだ。麺もスー
プも初めて味わった感じで、具には豚の角煮が
二枚ものっていて、とにかくうまかった。やみつ
きになりそうな味であった。
(また、食いてー!)
腹ごしらえした後、首里城を見に行った。テレ
ビなどで見たことはあるが、実際のものは思り
全体的にこじんまりとしていた。ここで記念に
写真を撮ってもらった。峠にあるこの場所から
見る景色はとてもよかった。港の方も良く見え
たが、よく歩きでこんな所まで来れたなあと少
し驚いた。帰り際、国際通りという所にあるマッ
クで、
「ジュースおかわり自由」という看板を発
見。さらに半額マック期間中だったので、明日の
昼飯はここに決まった。
3時頃かき氷を食べにとある喫茶店で涼む。そ
このおばちゃん2 人が言うには、(2 人は石垣出
身)石垣島の人たちはいい人で、宮古島の人たち
は気が荒いという。なぜか?石垣島には山があっ
て、宮古島には山が無いからだそうだ…(どんな
理由じゃい)。山があると緑が多い、緑を見てい
ると心が和む。だから石垣の人はいい人だとい
う。(ほんまかいな!)その後、居酒屋『つぼ八』で
オリオンビール(一杯100円)とチャンプルーで盛
り上がる。その後、よっぱらいながらテントへ戻
り、寝る。
8/19 気分はタイタニック号
2:00頃、目が覚め、3人できのうと同じ場所で
釣りをする。昼頃、再び国際通りまで歩き、マッ
クで昼食。20:00クルーズフェリー飛龍で那覇出
港。船の豪華さと綺麗さに驚く。 個室になって
いて、部屋にテレビとシャワー室があり、久々の
-141-
シャワーで気分爽快。ベッドのマットも超寝心地
サイコ-だった。
8/20 それぞれの旅立ち
(ここから、僕=Z)
6:00起床。予定通り6:30に石垣港へ入港した。
ここで、97‘西表縦走隊の足跡を発見。
「坂本、小
森をイエス’キリストと呼べ」と落書きだらけの
椅子に書いてあった。そこに、調子に乗って落書
きをかきたしてしまった(反省)。その後に洗濯
物を乾かしたりしてゆっくりした後、日置さん
と別れることになった。日置さんは10:00頃出発
するというので、それに合わせて移動すること
に。別れ間際に写真を一枚撮った。
唯一、僕(Z)とトモが一緒に写っている写真
でもある。再び二人に戻り、水を補給し、離島桟
橋へと向かう。桟橋に荷物を置いて、不足してい
る物の買出しへ。その時目的の一つであった釣
具屋が、なんと昼休み中!(12:00∼12:40まで)現
在、12:10。すごいタイミングだ。今回の活動を
暗示しているかのようだ…。
西表島上陸作戦!
離島桟橋からサザン1号という連絡船で西表島
へ…。ついに西表で活動が始まる。西表につく
と、送迎バスが…。早速、星砂の浜まで送っても
らう。星砂の浜に着くと、そこで、在京連絡人の
中田さんに連絡。計画書の予定が狂ったことも
-142-
伝える。キャンプ場でテント、タープを悪戦苦闘
しながら張り、マリンボックスという釣具屋へ
向かう…が、一向に着かない。「これはおかし
い!」と思い、近所の人に場所を聞くと車で送っ
てくれるという。しかも、わざわざ道を聞いてく
れたのだ。ありがとう、お兄さん。すると…なん
と逆方向!!そりゃ着かないわ、当然!やっとのこ
とで到着したと思ったら、店長がいない。トモは
よさそうなのを見つけていたが、入荷したばか
りで売れないとのこと。ついてねぇ∼なこの旅
は。結局22:00頃までやっているというのでまた
後で来ることに。そのまま、浦内川へ。結構歩く、
ひたすら歩く。靴擦れができるほど歩く。
ンボックスでルアー購入(トモが)。キャンプ場
に戻るとタープが倒れている。めんどくさいか
ら張り直さずに外で寝る。
(この時に張りなおし
ておけば…)
すばらしき海
8/21 朝、5時か6時ごろスコールが僕たちに
襲い掛かってきた。この時タープが倒れっぱな
し。張りなおす時間はなかった。テントに避難し
ようにも荷物がいっぱいで、1人入るのがやっと
の状態。結局トモがテントに入って、僕はタープ
の下にもぐりこんで雨をしのぐことに…。その
後、雨も上がり砂浜へ行きシュノーケリングを
やることに。予想どおりというか予想以上とい
うか、海は綺麗だった。さんご礁、熱帯魚、普段
見ることのできないものをたくさん見ることが
できた。20:00頃、日も暮れて真っ暗になった時
にキャンプ場を浦内川へむけて出発。テント場
にいた人たちに、「今から出発するのか!?」と驚
かれてしまった…。パッキングのいいかげんさ
がここでもでてしまい、パッキングのやり直し
を行なう。おまけに、雨まで降ってきて近くの建
物で雨宿りさせてもらう。そこで島田さんと大
槻さんというカップルに出会い、地図をもらい
計画を練り直す。
8/22 最後の晩餐!?
1:00頃、歩き疲れた所で、通りがかった四駆の
お兄さんたちに浦内川の展望台まで送ってもら
う。今夜はここでキャンプ。晩めしをとり、蚊や
蟻に悩まされながら寝る。
8:00頃起床。あわててタックルを用意し、浦内
川へフィッシング。…けれど、釣れない。この時
点まででいまだボウズ。ほんとに釣れるのだろ
うか、不安だ…。トモは、ここでもしっかりとコ
トヒキをGETしていた。その後、食事をとり
パッキング。昼過ぎに出発、ヒッチハイク(ホテ
ルスターダストの車)で白浜到着。荷物を置き、
ガソリンを手に入れるために星立へ。星立まで
は結構遠い、いやかなり遠い。西表トンネルを過
ぎたところで八重山観光フェリーのおっちゃん
に乗せてもらい星立へ。ガソリンスタンドを見
つけ、ガソリン補給。ついでに、黒砂糖と水をも
らいエネルギーも補給。その帰り道、ホテルス
ターダストに向かう。そこの電話を使い、在京連
絡人の中田さんに連絡。トモは店員と何かを話
していた。ここで、サングラスをなくす。あー
ショック! ! 沖縄で買ったばかりだったの
にぃぃぃ。再び白浜へと向かう。またまたヒッチ
に成功。軽トラのおっちゃんに祖納まで乗っけ
てもらう。祖納の商店で、さんぴん茶GET。そ
の後すぐに本日3回目のヒッチに成功。軽トラの
兄ちゃんに白浜まで送ってもらう。白浜はキャ
ンプ禁止らしい。と、いうわけで一晩中釣り決
定!さっそく今晩のおかずを釣りに行く。……で
も、やはり釣れない。トモはどっかに移動して魚
西表島、初フィッシング!
浦内川は遠浅になっていて川の中のほうまで
歩いていける。マングローブ林のそばで釣り開
始。開始早々トモがパシフィックタ-ポンをかけ
るが、糸を切られ、ルアーごとおさらば。
(ちな
みに僕はまだラインを結んでたりする…。)結局
9:30頃までやって僕は一匹も釣れなかった。
(手
応えはあったんだけどね…)トモが釣った一匹
を戦利品に浦内川を後に。
(この時釣ったゴマフ
エダイを晩飯にする。この時、「イリオモテネコ」
出没!)
マリンボックスまで行くのに1時間も歩
きたくないのでヒッチハイクを敢行。こんな遅
くにヒッチできるのかと思いきや、すぐに成功!
都会とは一味ちがうぜ。店長が戻ってきたマリ
-143-
8/24 ジャングルで遭難? (ゴマフエダイ)をGETしてくる。なんかある、
絶対何かある、同じ場所で釣りをしてこんなに
釣果に差が出るなんて…。釣り、恐るべし。夜食
を作ろうとすると、火器の調子が悪い。直すのに
1時間近くかかってしまった上に、炎が安定しな
くなる。コッヘルが燃える、焦げる、黒くなる。
使えたからいいんだけどね。この待ち時間、トモ
はずっとたまねぎを炒めていた…。この時の食
事はトモ特製ブイヤベースにちらしずし、刺身
と豪華であった。
8/23 東南アジアの子供たち?
前日から引き続き釣りに励む。……でも、釣れ
ない。
(もう、わかってるって?)時間だけが過ぎ
ていく……。ふと、横を見ると、トモが寝ている。
ずっと起きつづけているわけにはいかないらし
い。
(そりゃそうだ!俺はロボットかっ?byトモ)
それを見て、僕も少し寝ることに。次に気がつく
とトモはすでに復活して釣りを再開していた。
「お前、ほとんど寝てないだろう!」とツッコミを
入れたくなるぐらいタフな男である…。夜が明
けた頃、トモがダツを釣る。コトヒキもGETし
たらしく、これが朝飯のおかずとなった。船浮へ
の連絡船が出るまで時間が空いた。その時に、八
重山フェリーのおっちゃん(車に乗せてくれた
人)が自宅からグゥァバの実をもらった。ほんと
-144-
にもう、西表の人はいい人ばかりだ。連絡船の時
間になり、パッキングを始める。トモが少し遅れ
て、船長に「ちょっと待ってください。」と言う
と、
船長「君たちは、東南アジアの子供たちか?」
Z&トモ「?????」
船長「日本の子供たちは時間を正確に守るもの
だ。」と、注意されてしまった。時間はしっかり
守るようにしよう。(教訓)
船浮に着き、手ごろな洞窟を見つけ荷物を置
き、睡眠モードへ移行。目が覚めてからあたりの
探索に。西表小中学校で水の補給をして、岬の反
対側へ向かう。沿岸を歩きユナラ川を目指す。途
中ダミーの川にだまされそうになりながらユナ
ラ川へ到着。干潮時だったので、川の真中の方ま
で行くことができた。帰るときにはすでに潮が
満ち始めていた。これはやばいと思いはじめた
僕らは、急いで戻ることに。そこに漁船発見。乗
せてくれないかと交渉を試みるが失敗。いそい
で来た道を引き返す。水没してしまったところ
もあり、帰るのが大変だった。洞窟に戻り釣りを
始める。……今回もだめか…と思いきや西表初
ヒット。一匹釣れたらもう入れ食い。キントキ6
匹、メッキ1匹をGET。西表に来た甲斐があっ
たよ。ほんとに…。
再び迷う…。
(無念)やっぱり、荷物を置いて道
昨日の入れ食いで、気分よく今日をむかえる。 を探す。またもや正しい道を発見!しかし……、
ウダラ川を上り、森を抜ける予定。しかし船がな
荷物の場所に戻れない!必死に捜す僕たち、だが
い。そんな時、森の中にボートが置いてあるのを
発見できず。そこで、提案。Z「暗くちゃわから
発見。多少水漏れがあったが使えることを確認
ないよ。明るくなってから捜そう。疲れたし。」
し、ボートで漕ぎだした。ただし、木製のオール (眠いし)
とただの木切れで…。途中、ウミガメを見ること
トモ「そうするか、そっちのほうがいいかもな。」
ができて気分は上々。サバ崎を越えて、網取湾、 と、こんな会話が交わされたかどうか定かでは
ウダラ川へと。ちょうど満潮時だったので、流れ
ないが、とにかく森の中で座り込み、そのまま眠
の後押しもあり意外と楽に上ることができた。 りの世界へと旅立っていた……。
(永遠の眠りで
森の中へ続いているけものみちを発見。このと
はなくてよかった。)
き19:00頃。辺りは暗くなる一方だが時間がない。
8/25 仙人!出現? ついでに言えば、コンパスもなければ地形図も
ない。それなのに、森に突入。この後、準備不足
うっすらと明るくなった頃、荷物捜しを再開。
を死ぬほど後悔することになる。
(最初から気づ
明るくなったとたん速攻で発見。今までの苦
けって…)始めのうちはまだけものみちを歩い
労って……。1時間ほど歩くと波の音が聞こえ始
ていた。そこで、トモが「ズルッ!」って感じで
めた。波の音に引かれるようにペースアップ。
足を踏み外した。下は結構高くて、あぶなかった (道が下り坂になっただけという意見も…)やっ
のでは…。何時の間にか、沢を歩いていることに
とのことで森を抜けると、そこには砂浜が広
気づく僕たち。今度は僕が沢で転ぶ。足元は水。 がっていた。朝食を取ろうとパッキングを広げ
けれど、荷物が重くて起き上がれない。足首まで
ていると、向こうのほうに人影が。行ってみる
の水の量で人は死ねる。
(マジで。)沢をあるきつ
と、仙人(キャンパーの間では有名で、こう呼ば
づけ、ふと気づくとまよっていた…。荷物を置き
れている)が…。テントを張ってすでに1ヶ月以
道を探すことに…。しかし、なかなかみつからな
上生活しているらしい。仙人から地図とバナナ
い。あっちこっち、上り下りしてやっとのことで
をもらい、ここで作戦会議。この会議はかなり楽
目印を発見。もう、迷わないぞと心に誓ったが、 観的に行なわれていた。
-145-
8/26 終わりなき旅 仙人の家を出発して岩場を進む。途中、ダイビ
ング客を乗せている船を発見。乗せてもらえな
いか交渉するも、失敗。船をヒッチするのはやは
り難しい。ここで、タイヤチュ-ブをふくらまし
て、荷物を浮かべて海を歩く。前半僕が歩いて、
後半ともが歩いた。干潮時だったため、リーフを
歩けたのは大きかった。満潮になると岩場を歩
くしかなくなるし…。
(めちゃくちゃ大変)最大
の難所、リーフの切れ間。岩場すらない。2,30
メートル完璧に泳がなくてはならない。荷物を
チューブに乗せて泳ぎきる。渡りきったところ
で、チューブを置いてきてしまった。この時点で
すでに2時過ぎ、フェリーは5時過ぎかなり無茶
なんじゃないか説が。それでも、できるだけ急
ぐ。トモは歩くのが早い。僕は歩くのが遅い、け
れども急いで歩いた。そのために体力の消耗が
激しい。おまけに連日の強行軍、強い日差し、こ
れらが重なってついに限界がおとずれた…。少
し休んだだけじゃ動けそうになかったので、ト
モには先に行ってもらい、2時間ほど眠ってから
再出発。実はこの倒れている時、携帯に高校の友
達から電話がかかってきたのだった。
友達「今、どこにいるの?」
Z「沖縄の西表島」
友達「また、アドベンチャークラブの活動か」
Z「そうだよ。今、岩場で動けなくて倒れている
から。」
友達「またまた、いつもそうだろ。大橋君(僕の
-146-
本名)は。」
Z「本当だって、まじやばいんだから。」
友達「はいはい、わかったわかった」
結局信じてくれなかった。まあ、携帯で話してい
るのにいきなり倒れてるっていったって誰が信
じるのか?ギャグ以外何ものでもないじゃないか
…。
星になれたら この時、僕(トモ)はZが倒れていることに気
づかず、先へ先へと、進んでいた。しばらくして、
Zが追いついてこないのに気づき、休憩を兼ね
て待つことにしたが、突然小雨が降ってきたの
で雨宿りができる所まで先へ進んだ。そこで 30
分ぐらい経った頃、やっとZの姿が見えた。戻っ
て駆け寄ると、Zはフラフラで今にも倒れそう。
見た目にもかなりやばそうだったので、「ギブ
アップするか?」と尋ねると、
「少し休めば大丈夫
そうだ。」と言うので、最悪の事態も考慮して僕
だけでも先に浜を抜け出すことにした。最後の
水をZに分け、僕はひたすらゴールを目指し、限
界までスピードアップ。僕の体力も限界に近づ
いていたが、Zのことを考えると止まる訳には
いかない。途中、滝が流れ落ちている所を見つけ
ては水を補給する。やがて日が沈み、辺りは真っ
暗。満天の星空も波音も、この時の僕には進む道
の障害でしかなかった。
夜中、かろうじて復活を遂げ再び歩き出す。夜
ということもあり、陽射しもなく幾分涼しいた
め順調に進む。暗かったが干潮時になったため
リーフを歩く。一時間ほど歩いていると、ふいに
目の前で、
「ボチャン」と音がした。
「リーフには
ウミヘビやガンガゼなどの危険な生物が生息し
ている。」という言葉が脳裏をよぎる!5秒ほど考
えた後、おもむろにけれども静かにダッシュ。逃
げ切ったと思ったら、今度はヘッテンのライト
が消えかかる…。しかも、潮が満ちてきてリーフ
が水没し始める。急いで岩に登り緊急避難。岩を
登りきった所で、ヘッテンも力尽きた…。現在時
刻4:30頃、明るくなるまでこの場で待機決定。お
もむろにロールマットをひいて眠りの世界へ…
(またかよ!)
。目覚めるとすでに日が昇り始めて
いた。気がついたら潮が満ちてきていたため
眠っていた岩場も水没しそうになっていた。あ
わてて出発、リーフは水没しているため、岩場を
つたって進む。今日は一人だったので、マイペー
スに進む。途中の水場などで休憩をとりながら。
やはり、岩場を歩くのはつらい。多少無理して
も、岩場を避け海の中を歩くこともしばしば。1
回急に深くなっているところにはまり、ザック
がビショビショに…。ひなたで10分ほどかわか
すと、すぐに乾いたんだけど。そんなこんなで繰
り返しているうちに、南風見田の浜へ到着。そこ
にいた、カップル?夫妻?に大原までの道を聞く。
そうしたら、なんと大原港まで乗せていってく
れるとのこと。しかも、黒砂糖までもらってし
まって…。大原港に着くと、先に行って待ってい
たトモを発見。やっとトモと合流することがで
きた。
僕(トモ)は暗い内に南風見田の浜になんとかた
どり着き、朝の内には浜を抜け出した。すぐにZ
に連絡を入れるが、つながらない。とりあえず港
で待機していたのだった。
Good By Dreamy Days!!
大原港の待合所には、沖縄の歌を弾き語りし
ている人がいた。食事をとり少し休憩した後、仲
間川で西表島最後の釣り。ここでも、一匹GE
T。けれど、いままで使ってきたルアーを根がが
りで無くしてしまう。うー、初ヒットのルアー
だったのにぃー。そして、17:00過ぎの連絡船に
乗り、西表島を後に…。さらば、西表島…、また
来るそのときまで…。
石垣港に着き、釣具店へ。僕は今までの根がが
りで無くした釣り針を、トモは何を買っていた
のかなぁ…。石垣港の側の公園に荷物を置き食
事後、
「さあ、釣りに行こう。」と思ったれれど…、
いままでの疲れが大爆発。動く気力がなくトモ
だけが釣りに行き、僕は公園で爆睡。
「トモ、お
前は何者だ…。寝ないでいいのか…。」(心の声、
by、Z)しばらくした後、トモが戻ってきて(何
かはわからないが超大物に竿をおられる!)
、今度
-147-
は見知らぬ人とのコンビプレー。でも、それが
きっかけで神奈川工科大の坪田さんという人と
知り合うことができた。この日は、靴擦れの痛み
に耐えながらすぐ寝ることに…。
8/28 お金が無い!?
坪田さんと話しながら船は行く。特に何もな
し…。と思いきや、重大なことに気づく。お金が
足りない。有明埠頭から家まで帰れない…。証明
写真代トモから借りてなかった…。トモももう
お金ないっていってるし…。とりあえず明日に
持ち越し。
8/29 とても短いエピローグ
は僕も一緒に明るくなるまで釣り。石垣島は一
匹も釣れなかった。
(というよりは、西表でしか
釣れてない!?)
生証の他に写真が1枚必要だったのだ。証明写真
を撮ろうにも、近くに(空港内にも!)写真を撮
るところがないのである。結局、さっきの市街地
まで戻って写真を撮ってくることに。幸運なこ
8/27 OVER とに、すぐにヒッチができ証明写真を撮ること
釣りを終えて、釣った魚を公園で調理、僕が米
に成功。帰りも軽トラのおっちゃんにヒッチさ
を炊いてトモが魚を調理する。このパターンが
せてもらい、出発時間ぎりぎりどころか沖縄そ
今回の活動で定着したようだ。前日、スカイメイ
ばを食べる余裕すらあった。
(この時の写真代が
トを使うと半額になることを知り、しかも、その
イレギュラーだった…。)飛行機で沖縄へ。15:20
日のうちに登録できるとの事。ならば利用すべ
頃沖縄空港着。沖縄に着いてからも忙しい。
(む
しと、石垣空港へ。
(西表で、フェリーに乗り遅
しろ、忙しさ倍増!?)バスに乗り、スーパーで食
れたため、飛行機で沖縄へ行くことに。)空港へ
料を買いこみタクシーで那覇新港へ。乗船開始
行く途中、行きには閉まっていた釣具屋による。 時間が17:30、間に合うかどうかの瀬戸際のとき
トモはうれしそうにかけ込み、いろんなルアー、 に、タクシーの運ちゃん「那覇新港」ではなくて
その他をえらんでいた。この時、僕のお金は尽き 「泊港」に連れていってくれた。これで乗り遅れ
ていた。もともと、帰りの交通費は別個にして置
たらどうするんだと思いながら、今度こそ那覇
いておいたのだけど、フェリーが飛行機になっ
新港へ。港についてみると、また出港時刻が遅れ
たため足りなくなったのである。というわけで、 ていた。今回は、助かったからよしとしよう。
トモに借りることに。この時の計算ミスがまた
厄介なことに…。空港は遠い。もう歩きたくない
またかい…大島運輸…
…。西表で自信をつけた僕らはヒッチをするこ
19:20頃乗船開始。一段落したら、シャワーを
とに。しかしつかまらない。30 分ぐらいやって
浴びに行く。そうしたらここのシャワー、熱湯し
あきらめかけたころ、一台の乗用車が止まって
か出てこない。聞いたところによると、3ヶ所あ
くれた。おばちゃんとおばあちゃんの二人組の
るシャワーを全部同時に出せばいいらしい。
(水
乗用車に乗せてもらって空港へ。さっそくスカ
の圧力がたりないためらしい…。)1人で浴びて
イメイト登録を済まそうと思ったら、なんと学
いるときは3ヶ所押しまわり、2人になったとき
-148-
結局、横浜までトモの親に迎えにきてもらう
ことに。
(どうも、お世話になりました。)有明埠
頭で活動最後の釣り。結局ヒットはしなかった
が…。そこからバスに乗り、浜松町の駅へ。横浜
へ向かいトモの母親に会い、2000 円借りて家へ
の帰路についた……。 僕(トモ)は上大岡駅に
着くとマックでポテピリバーガーを買って食べ、
やっと帰って来たのかと実感し、帰路についた。
まとめ
Z;今回の活動で、反省点をいくつも見出すこ
とができました。まず、石垣港での落書きと西表
に置いてきたタイヤチューブ、この2点に関して
は地元住民のことをあまりにも考えていません
でした。次に、地図とコンパス抜きで夜の森に入
りこんだこと、これは準備不足すぎました。今回
はうまくいったけれど、実際に道に迷ったりし
ているのであぶなかったと考えています。そし
て、行動時間、時間にルーズすぎました。適当に
動いていた気がします。もっと、けじめをつけな
くては。
西表島は、自分の価値観を変えた。海が青い、
星が降る、森ではなくジャングル、全て日本では
誇張だと思ってた。しかし、誇張なんかじゃな
かった。ほんとの事だったんだ。日本だってアス
ファルトだけじゃない、ビル群だけじゃない、
あっちこっちに自然は残っているんだ。そうい
う所をこれからも見つづけ行こうと思う。
トモ;今回の目的をすべて達成できなかったこ
とが悔やまれる。いろんな意味で、すべてにおい
て中途半端な活動であった。今回、死ぬほど苦し
い思いをしたことも多くの失敗も、教訓として
これからの活動に生かせれば、良い経験にもな
りえるのでは?と思う。
西表の雄大な自然と沖縄の人々に感謝したい。
-149-