2014 年 11 月作成 関東連盟東関東支部 (文責)渡部博之 今年は、日本アマチュア野球規則委員会が発行している「アマチュア野球内規集(2014 年 2 月) 」から以下 の項目を抜粋し、規則の勉強・審判員としての判断・対応(ジャッジ)を学びましょう。 項 目 2013 年改訂版からの抜粋 ① アウトの時機 ② 最終回裏の決勝点 ③ 二死、四球暴投、決勝点で打者一塁へ進まず ④ 次回の第一打者 ⑤ 打者の背後にウェストボールを投げる ⑥ アピールの場所と時期 ⑦ ワインドアップポジションの投手 ⑧ 投手の遅延行為 注)本資料の赤字、下線、紫色 文字部分は、教材用として原文 に加筆・加工しております。 ①アウトの時機 アウトが成立する時機は、審判員が宣告したときではなくて、アウトの事実が生じたときである。第三アウトがフォース アウト以外のアウトで、そのアウトにいたるプレイ中に走者が本塁に達するときなどのように、状況によっては速やかに アウトを宣告しなければならない。 (規則 4.09a[注 1] ) アウトのコールも時期と勘違いしないように! タイムプレイですので、球審は走者の本塁触塁と第三アウトのどちらが早いかを見究める必要があります。 見究めたのち、得点なのか無得点なのかを本部席に向かって示します。 ・ランスコア(得点) : 1 本指を上げます。 ・ノーランスコア(無得点) :両腕をクロスします。 誰が見ても得点以後に第三アウトが生じたとしても、タイムプレイなので、本部席に向かって示しましょう。 ② 最終回裏の決勝点 正式試合の最終回の裏かまたは延長回の裏に、規則 7.07 規定のプレイで三塁走者に本塁が与えられて決勝点になる場合 には、打者は一塁に進む義務はない。 (規則 4.09(b)、7.07) スクイズまたは盗塁の試みがあって捕手がホームベースより前に出たり打撃妨害をしたりした場合で、投手にボークが適 用され、打者はインターフェアランスで 1 個の塁が与えられます。他の走者がいれば 1 個の進塁を得ます。こういった ケース場合は、打者走者は一塁に進む義務はありません。ボークとインターフェアランスの 2 つの罰則が適用され、ボ ークにより 3 塁走者が 1 個進塁を認められて決勝点になると考えましょう。 審判は打者が一塁に進まない場合にアウトコールしてはいけません。 また、アピールを受けてもいけません。 ③ 二死、四球暴投、決勝点で打者一塁へ進まず 最終回裏、走者三塁、打者の四球(フォアボール)目が暴投または捕逸となって決勝点が記録され、四球の打者が一塁 へ進まなかった場合は、規則 4.09(b)のように球審が自ら打者のアウトを宣告し、得点を無効にすることはできない。 打者が一塁に進まないまま、守備側が何らの行為もしないで、両チームが本塁に整列すれば、四球の打者は一塁へ進んだ ものと記録される。 打者をアウトにするためには、両チームが本塁に整列する前に守備側がアピールすることが必要である(規則 7.10(d)注 2)。しかし、守備側がアピールしても、打者は一塁への安全進塁権を与えられているので、打者が気づいて一塁に到達 すれば、アピールは認められない。 守備側のアピールを認めて打者をアウトにする場合は、 イ 打者が一塁に進もうとしないとき ★アピールが必要 ★アピールプレイでない場合 ロ 打者が一塁に進もうとしたが途中から引き返したとき である。 (規則 4.09(b)、7.10(d)注 2) 同点の最終回(延長回)の裏、二死満塁で四球があって決勝点となる場合、進塁義務は 3 塁走者と 1 塁走者にあります。 どちらも適宜な時間が経過すれば、審判はアウトを宣告し、ゲームを継続させることになります。 (暴投・捕逸ではない) 別の見方をすると、3 塁走者と 1 塁走者が確実に進塁したことを確認しなければなりません(アピールプレイではない)。 ④ 次回の第一打者 たとえば二死、打者のボールカウント 1b-2s 後の投球のときに、三塁走者が本盗を企てたが得点とならないで攻守交代に なったような場合、次回の第一打者を明らかにするため、球審は、打者が三振でアウトになったのか、走者が触球されて アウトになったのかを明示しなければならない。 (規則 6.01(b)、6.05(n)) 球審は、慌てずにまずはボール・ストライクの判定を行い、ボールであれば本塁の判定を行います。このとき捕手がホー ムベースの上または前に出て捕球するか、打者のバットに触れるようなことも起りえますので、要注意です。 (この場合、 投手にボークを課し 3 塁走者に 1 個の進塁を、打者にはインターフェアランスにより 1 塁への進塁が与えられます) 本塁の場面は要注意です! ⑤ 打者の背後にウェストボールを投げる 投手がスクイズプレイを防ぐ目的で、意識的に打者の背後へ投球したり、捕手が意識的に打者の背後に飛び出したところ へ投球したりするような非スポーツマン的な行為に対しても規則 7.07 を適用し、走者には本塁を与え、打者は打撃妨害 で一塁へ進ませる。 (規則 7.07) この場合も、投手にボークを課し、3 塁走者に 1 個の進塁を、打者にはインターフェアランスにより 1 塁への進塁を与え ます。意識的かどうか、それを判断するのが難しい! 普通は遠い方に外すしまので、打者の背後に投球された段階でこ のルールを適用するのが妥当かと思います。 ⑥アピールの場所と時期 守備側チームは、アピールの原因となった塁(空過またはリタッチの失敗)に触球するだけでなく、アピールの原因でな い塁に進んでいる走者の身体に触球して、走者の違反を指摘して、審判員の承認を求める(アピール)ことができる。こ の場合、アピールを受けた審判員は、そのアピールの原因となった塁の審判員に裁定を一任しなければならない。 アピールは、ボールインプレイのときに行わなければならないので、ボールデッドのときにアピールがあった場合は、当 該審判員は「タイム中だ」ということとする。 (規則 7.10) ただし、最終回の裏ボールデッド中に決勝点が記録された場合、または降雨等で試合が中断され、そのまま試合が再開さ れない場合、ボールデッド中でもアピールはできるものとする アピールが来た場合、自分の担当塁が原因でない場合、一体選手は何を求めているのかが分からず、頭が真っ白になりま す。大切なことは、アピールが来たら、その内容を聞いてあげることです。(例:どうしたの? 何のアピール?) 走 者が複数いる場合は、どの走者に対するアピールなのかを聞いてください。アピールの内容が理解で来たら、原因となっ た塁の担当審判に振ってください。この場合、クロックワイズやリミングなどで、本来の担当塁審でない場合もあります ので、ちょっと注意です。 タイム中にアピールがあった場合はどうしたらいいでしょうか? タイム中だよ・・・と説明するだけで終わりではあり ません。プレイがかかってからアピールすることになります。相手が中学生であることも配慮して、プレイ後にアピール することを含めて説明してあげてください。 したがって、タイムをかける場合は、プレイが一段落していることを確認するようにしてください。 一段落したと思っていても、アピールが来ることもありますので、その時はあわてないで「タイム中なので、プレイ後に アピールしなさい」と説明してあげてください。 ⑦ ワインドアップポジションの投手 ワインドアップポジションをとった右投手が 3 塁(左投手が1塁)に踏み出して送球することは、投球に関連した足の 動きをして送球したとみなされるから、ボークとなる。 ⑧ 投手の遅延行為 走者がいるとき、投手が投手板から軸足をはずして、走者のいない塁に送球した場合、または、投手板上からでも軸足を 投手板からはずしても、 塁に入ろうとしていない野手に送球した場合には、 投手の遅延行為とみなす。 (規則 8.02c、8.05d、 8.05h) 走者がいない場合、1 度目は警告、繰り返される場合ボールを宣告します。 (8.02c) 走者がいる場合、ボークを適用します。 (8.05d) 本文では、送球した場合の記載ですが、送球するまねをした場合も適用されます。 (8.05d) 2 塁走者が 3 塁に走った場合、投手は軸足を外さずに 3 塁に送球することは OK です。 また、2・3 塁間の走者を牽制球でアウトにするために、遊撃手の守備位置に牽制球を投げることも OK です。 これらは、必要なプレイで走者をダマす行為ではないと判断されます。 さて、2 塁後方(5m くらい)に位置する 2 塁手に送球した場合はどうなるでしょうか? 以下は、関東大会で実際あった事例です。 走者 2 塁、 投手が 2 塁ベースに向けて牽制球を投げ、 2 塁ベース 5m 位後方に守備していた 2 塁手がボール捕球しました。 攻撃側の監督から、今のプレイはボークではないかとベンチから出てきましたが、投手は明らかにベース上に向けて送球 しており、ボークにはしませんでした。 2 塁手がたまたま後方に居た・・・という解釈でした。
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