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2012年、保険会社が行うべきアクション規制を

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2012年、保険会社が行うべきアクション規制を
~“ 待つ” でなく、積極的に “準備する”という意識
欧州債務危機やそれに伴うマーケットの悪化を背景に、保険業界は世界的
に規制強化の方向で進んでいる。先駆的に 2013 年から欧州にて、新ソル
ベンシー規制が導入されるが、同様に、日本でもソルベンシーマージン比率
の新基準が適用される予定だ。
弊社では、今後、保険企業の経営力を向上させていくために、新たな次元の
≪リスク判断≫が重要になってくると考えている。細かく言えば、①「カル
チャー変革」②「内部統制のための承認プロセスとその管理」③「データ
の整備」の三つが最重要課題になってくるであろう。国内の保険企業がすべ
きことは、このような状況を“嘆く”のではなく、むしろ“活用”することであ
柴田 尚之
る。積極的な準備を行うことで初めて、この大変革の時代に、競争優位性を
築くことが可能となるのだ。
1993年 アクセンチュア㈱入社
金融サービス本部
エグゼクティブ・パートナー
保険グループ統括
保険会社を取り巻く世界的な流れ
であり、経営体制やポートフォリオの
バルリスク管理調査」を実施し、
これま
現在、世界の保険業界を取り巻く外的
シェイプアップ、
また透明性の確保な
での実績で培った知見を基に保険業
どの必要性を感じざるを得ない状況
界 に 関 する調 査 結 果 を 分 析 、保 険
が ある。そ の 結 果 、ソル ベンシーⅡ
会 社が競 争 優 位を獲 得するために
導入に対しては、単なる規制としての
実施すべきリスク管理に関する課題
認識にとどまらず、
リスクベースの経
を明確にした。
環境は大きく変化している。欧州に端
を発する債務危機問題を背景に、保
険を含む金融業界全般が規制強化の
方向で進んでいるのだ。象徴的なの
は2013年にEUでの導入が検討されて
いる経 済 価 値 ベ ースの 新ソル ベン
シー規制「ソルベンシーⅡ」であろう。
ソルベンシーⅡの本質は「統制能力の
強化」、
「説明責任の強化」、
「資本効率
の向上」の達成を通じ、保険会社にお
けるリスクベースの経営管理を実現
する事にある。欧州当局は金融危機
後の熾烈な競争を勝ち抜くための企
業ファンダメンタルズ確保の見極めの
ために、
この新規制を導入しようとし
ている。
欧 州 の 保 険グ ル ー プに お い て も 、
営管理体制を構築するための契機と
して肯定的にとらえる機運が高まって
いる。
変革」②「内部統制のための承認プロ
セスとその管理」③「データの整備」
では、ビジネスモデ ルおよびリスク
の三つの課題が存在している。全てが
管理機能について、抜本的な変革を
≪統合リスク判断≫という一つのテー
積極的に望んでいる。次の数年間の
マでつながっているのだが、下記に詳
競争力の高まりを見据え、欧州の大手
細を説明していきたい
(図表2)
。
保険会社の多くは、すでに具体的な
変革を遂行している真っ最中である
(図表1)
。
2011年グローバルリスク管理調査
当初、
ソルベンシーⅡの導入に対する
不満の声が一部であがっていた。
しか
アクセンチュアは、10 の業界にまたが
し、昨今の世界金融不安が企業にとっ
る397 社を対象とした「2011年グロー
9
向上を目指すためには①「カルチャー
現 在 、欧 州 の ほとんどの 保 険 会 社
および事例から得られるファイン
ディングスとその活用
て憂慮すべき事態であることは事実
今回の規制に伴い、経営判断能力の
1. 「カルチャー変革」
これはつまり保険会社における≪リス
クの認識≫を強化させるということで
ある。高度な数理計算を行っているに
もかかわらず、
以前までは「どのような
リスクを許容し、
どれを排除するのか」
という本質的な経営判断を直感的ま
た経験則的に行っていたケースも多
図表1 規制はリスク管理能力に大きな影響を与えます
問: 規制環境をどのように見ていますか、
また自社のリスク管理能力にどのような影響がありますか?
規制はますます厳しくなり、リスク管理能力
にも大いに影響する。
(新しい規制に遵守す
るために実施すべき事項が多い)
50%
81%
規制は厳しくなっているが、リスク管理能力
に与える影響は限られている。(新しい規制
に遵守するために実施すべき項目は少ない)
規制は厳しくなっているとは思わない
回答者:保険会社
47%
19%
3%
0%
損害保険
生命保険
© 2012 Accenture  All rights reserved.
図表2
問: ソルベンシーIIコンプライアンスを達成するために解決しなければならない最大の課題は何ですか?
精度、完全性、妥当性に重点を置いた、
全体のデータ管理/データ統合を構築する
45%
責任者によるモデルの承認(サインオフ)
45%
統合された内部モデルの構築
38%
マネジメントの変更:リスクカルチャーを
浸透させる
課題認識
トップ5
31%
適切な IT アーキテクチャの定義と導入、
新たに要請されたツールの導入
28%
当局検査への準備
24%
効果的な実地受入テスト
24%
文書化 ̶ 業務プロセス
21%
文書化 ̶ 計量モデル
21%
既存ツール(専門特殊ツール)の統合
21%
文書化 ̶ ガバナンス
17%
教育・研修実施
17%
財務とリスクの達成目標との整合性
17%
特に重視する項目
© 2012 Accenture  All rights reserved.
図表3 コンプライアンスに必要な優先事項は、データ統合、
モデル構築からモデル承認までの道筋、カルチャー・プロセスの変更です。
問: ソルベンシーIIコンプライアンスを達成するために解決しなければならない最大の課題は何ですか?
精度、完全性、妥当性に重点を置いた、
全体のデータ管理/データ統合を構築する
45%
責任者によるモデルの承認 (サインオフ)
45%
統合された内部モデルの構築
マネジメントの変更:リスクカルチャーを浸透させる
適切な IT アーキテクチャの定義と導入、
新たに要請されたツールの導入
© 2012 Accenture  All rights reserved.
38%
31%
28%
10
く、保険商品や運用ポートフォリオに
行った経緯がある。当然ながらその結
ある。この能力の必要性は、経済の
対 するリスクの 認 識 の 甘 さが 指 摘
果として、透明性が確保され、監査に
グローバル化が急速に進む中、その
されていた。まず、何がリスクである
足るレポーティング作成の地盤が完成
重要性を増していることは敢えて言う
のか、基準を設けリスクをしっかりと
した。また、単なる積み上げ値として
までもないであろう。申し上げたい
把握せねばならない。 ではなく、分析的なレポーティング数
のはこの能力向上のために、今回の
値の算出を可能にしたことで、健全な
‘規制’
を活用することである。このよ
経営判断を行うことが可能となった。
うな時であればこそ、大胆な意思決定
2. 「内部統制のための承認プロセス
とその管理」
リスクに対する厳 密な姿 勢が社 内・
経 営 本 部 にまで 行 き 渡ったところ
で、②の「内部統制のための承認プロ
セスとその管理」がなければ長続きは
しない。欧州では、
リスク統制のプロ
セスとそ の 管 理を行うため、リスク
専門の役員を置き、その権限範囲を
拡大・強化するケースが増えている。
その存在が、
リスク管理能力を組織全
このような工程が行われて初めて、
「資本の効率的投下」、
「リスクを加味
単にリスクから身を守るのではなく、
した収益管理・経営判断」、
「リスクコン
リスクの種類を明確に把握、長期的な
トロールの確実性担保」、
「格付向上」、
利益創出や持続可能な成長を実現し
「リスク管 理 のコスト効 率 性 向 上 」
ていただきたい。ますます厳しい要求
などさまざまな経営課題が解消され、
を突きつけてくる顧客や、大幅な業界
企業のファンダメンタルズが向上する
の変化を逆に利用して、競争優位を
のである。これが、現在の金融危機を
築くチャンスである。
生き抜くための≪健全で強靭な経営
体にいきわたらせ、継続的にその文化
母体≫を作っていくのである。
を会社内に根付かせる一種の媒介に
なり得るのである。また、
リスク担当者
国内の保険会社は、ただ
“待つ”
だけ
でいいのか?
が明瞭な財務、収益レポートを作成す
このような≪金融業界を取り巻く規制
ることによって、
ソルベンシーⅡの一つ
の大きな課題である「説明責任」を果
たすことにつながるのである。
とそれに対する企業努力≫という流れ
は欧州だけのものではなく、むしろ国
際的なものであり、当然その流れには
3. 「データの整備」
日本も含まれる。
適切な経営判断や説明責任のための
日本においては、2012 年3月期決算か
レポート作成は、③「データの整備」な
らソルベンシー・マージン比率の新基
くしては説得性をもたない。以前まで
準が適用されるが、
経済価値ベースの
多くの企業のデータシステムは統合
新規制や経営管理態勢構築について
されていなかった。例えば、商品別、
は、金融庁の監督方針においても、
事業別などでシステム自体がいくつ
「経済価値ベースのソルベンシー評
も存在し、かつそれが錯綜していた。
価の導入に向けた検討を行う」
として
こういった状態では、
レポート作成は
おり、今後の重要な検討テーマとして
もとより、≪情 報を元とした適 切 な
位置付けられている。
経営判断≫ができないことも当然で
ある。また、旧態依然とした手作業的
なエラーの発生なども無視できない。
当社が以前コンサルティングを行った
欧州のある大手保険会社では、上記
このような状況に際し、日本の保険企
業は、
ただ
“待つ”
だけでよいだろうか。
当社はむしろ、積極的に
“準備する”
こ
とを提案したい。 のような理由から、
エラーが多く、
リス
国 内 外 の 様 々 な 要 因 で著しく経 営
ク指標と財務指標の連動ができてい
環境が変動する状況において、
「どの
なかった。当社は、
こういった状況を改
リスクを採り、
どれを切り捨てるのか」
善するため、既存のエクセルと手作業
たとえば、
「どのような商品を原則し、
ベースの分析・レポーティング手順を
逆にどのような商品を加速するのか」、
改め、一元自動化されたデータ管理
そういったことを迅速に、合理的かつ
ソリューションを提供、データ整備を
的 確 に 判 断して いくことが 肝 要 で
11
や投資が可能となる。
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