第6回光励起プロセスとその応用国際会議

Annual Report No.23 2009
第6回光励起プロセスとその応用国際会議
6th International Conference on Photo-Excited Processes and Applications
A82114
開催日 平成20年9月8日~平成20年9月12日(5日間)
開催地 北海道 ロイトン札幌
申請者 独立行政法人 産業技術総合研究所 主任研究員 土 屋 哲 男
などの基礎的な研究についても多くの討論が
会議の概要と成果
行われてきた。基礎的な研究についても十分
第6回光励起プロセスとその応用国際会議
に議論ができる点が本会議の大きな特徴であ
(6th International Conference on Photo-Excited
る。ICPEPA 2008では、さらに3次元微細加工
Processes and Applications:ICPEPA-6)は、
やナノ材料作製などのナノテクノロジーに係
平成20年9月8日から9月12日まで、北海道、
わる新たな光励起プロセスに関するセクショ
札幌市のロイトン札幌において北海道大学の
ンも設けて、光励起プロセスの最新の研究成
協賛を得て、組織委員長:杉岡幸次(理化学
果の発表と議論を目的として開催された。
研究所)及び、実行委員長:坪井泰之(准教
発表は、4日間でオーラル(招待講演含む)
授)を代表としたI C P E PA実行委員会のもと
とポスター講演合計で146件有り、その内訳
開催された。
は、日本から69件、海外からは77件(ドイツ:
ICPEPAは、第1回、1993年に仙台(日本)
、
17件、イタリア:9件、韓国:8件、米国:7件、
第2回、1995年にエルサレム(イスラエル)、
ルーマニア:7件、フランス:6件、中国:4件、
第3回、1999年にストラスブール(フランス)
、
デンマーク:2件、イギリス、ギリシャ、カナ
第4回、2004年にレッチェ(イタリア)、第5
ダ、スイス、スペイン、リトアニア、イスラ
回、2006年にシャルロットビル(米国)で開
エル、南アフリカ、台湾、ウクライナ、各1件)
催され、過去5回の会議を通じ、光励起プロ
であった。
セスによる材料科学・加工分野の研究者が世
会議は、9/8のウエルカムパーティーで始
界各国より集まり、材料・デバイス作製及び
まり、9/9は、1. Fundamentals and Analysis,
加工などに関する最新の研究成果を討議する
2. Dynamics and Simulation, 3. Synthesis of
国際会議と位置づけられてきた。特に新しい
Nano-materialsについてのオーラルセッション
プロセスを新たな材料やデバイスの作製や加
が行われ、主に、金属酸化物、絶縁体等への
工に適用するには、そのメカニズムの解明が
レーザー照射による高速応答メカニズムやシ
有効であるが、本会議では、光励起プロセス
ミュレーション及び液中アブレーションによ
を用いた新物質創製、薄膜形成、微細加工の
るナノ材料の合成などの最新の成果が発表さ
みならずレーザー光と物質の相互作用、光励
れた。また、夕方からは、50件程度(奇数番号)
起プロセスのモデリング・シミュレーション
のポスター発表があり、オーラルの講演で
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The Murata Science Foundation
は時間の関係で充分な質疑ができないがポス
受賞できなかった学生の中にも、多数の興味
ター発表では充分な時間をとれるため更に活
深い研究発表がなされていた。レーザー関連
発な議論がなされていた。9/10は、4. Pattern
の研究が今後も益々発展するものと思われる。
Transfer Deposition, 5. Surface Modification
9/12は、10. M i c r o m a c h i n i n g a n d N a n o -
a n d C r y s t a l l i z a t i o n , 6. F u n d a m e n t a l s o f
pattering, 11. 3D Micro and Nano-Structuringの
Ultrafast Laser Processing, 7. Student Oral
オーラルセッションが行われ、レーザーと溶
Sessionについてのオーラルセッションが行わ
液反応を利用した加工、3D構造創製およびバ
れ、表面改質による材料の高機能化、高性能
イオセンサへの応用等についての講演があり、
化及びフェムト秒レーザーによる加工等のメ
最終日であったが活発な議論が行われた。以
カニズムについての講演、また、学生による8
上のように、4日間で11セッション、ポスター
件のオーラル講演も行われ活発な議論がなさ
セッションが行われ、合計146件の最新の研
れた。また、夕方からは、50件程度(偶数番号)
究成果が報告された。
のポスター発表があり、前日と同様に活発な
本会議の研究成果は、更にエルゼビア
議論がなされていた。
の国際誌Applied Surface Science の特集号
9/11は8. Interaction with Organic Materials,
(proceedings of ICPEPA 2008)としてまと
9. Medical and Biological Applicationsについ
められ、来年の 5 月頃には出版予定である。
てのオーラル講演が行われた。ここでは、光
Applied Surface Scienceは、サーキュレーショ
によるポリマー化やポリマーの表面改質及び、
ンも良く、本会議で発表、議論された研究内
細胞分析用のマイクロチップの合成等の最新
容は、参加出来なかった世界中の研究者にも
の研究が紹介された。
広く公開する予定である。
また、9/11の午後は、アイヌ民俗資料館へ
なお、本会議終了後は、数多くの参加者か
のエクスカーションが行われた。夕方は、ロ
ら御礼や賛辞の言葉を頂くことがでたことか
イトン札幌にてバンケットが行われ、各国の
らも、参加者にとって有意義な会議であった
研究者が和やかな雰囲気でディスカッション
と考えている。これも、ICPEPA2008の開催
や親睦を深めていた。また、バンケットの途
にあたり、開催費の一部を本研究会助成制度
中には、次世代を担う優秀なオーラル発表や
によりサポートして頂いたお陰であり、実行
ポスター発表をした学生に対しては、優秀発
委員一同、ここに深く感謝の意を表する。
表賞の表彰が行われた。今回、優秀発表賞を
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