プロ志向か、趣味派か 公募の世界のスゴイ人たち

プロ志向か、趣味派か
公募 の世界 のスゴイ人たち
特集 1
イラスト マスリラ
公募マニア、公募フリーク、公募ファン……
要するに公募コンテストに参加し、創作活動をする人のこと。
その目的は、
「プロになりたいから」
「自己実現のため」
「自分探し」
「書いたり、ものづくりをしたりすることが好き」
「余暇活動として」
「おこづかい稼ぎのため」などいろいろですが、
大別すると、
公募を踏み台とし、プロの世界に出ていこうとする人
公募を趣味の場とし、この世界にとどまって楽しむ人
に分けられます。
もちろん、その中間派の人もいますが、
今特集では、前半でプロ志向の読者の方々(元読者を含む)を、
後半では趣味派に分類できる読者の方々を紹介します。
15
みなさんの先輩読者、大崎梢さんに聞く
ちに公募ガイドの存在を教えてもらい、
賞に応募しはじめました。
︱︱公募ガイドは活用できましたか?
その頃、講談社児童文学新人賞に、よ
しこれだ、と自信を持って応募したんで
一年目で佳作を取れても次の年はダメだ
自分に合った賞を模索しながら出して、
ので、一度落ちると来年まで持ち越し。
いました。どの公募もたいてい年1回な
くれたんです。この講座はすでに短編を
するから、出たほうがいいと強く勧めて
安亘さんがカルチャーセンターで講師を
友人が、東京創元社の元編集長・戸川
でしょう?
︱︱デビューへのきっかけは何だったの
ゃないかと毎日電話を待っていました。
想を語り合うフォーラムを見つけたので、 当時、作品添削講座で童話・児童文学を
ったり⋮⋮。デビューへの道のりは曲が
書きあげているプロ作家志望者が対象で
小説を書くことに興味はありましたが、
担当されていた石崎洋司先生の講座に落
り角みたいです。あの角を曲がればきっ
した。そこで、成風堂という書店を舞台
でも連絡は来なくて、ものすごくがっか
選作を出してみました。
とゴールだと思っても、また次の角があ
にしたミステリーを持って受講したんで
書き方がわからなかったんです。そんな
判明しましたね。ミステリー作品だっ
る。そうこうしているうちに、あっとい
す。その作品を戸川さんが読んでくれて、
りしました。最終選考に残らない限り講
ているうちに、応募する賞もいくつかに
た ん で す が、 犯 人 を 途 中 で1、2 回 出 さ
うまに5、
6年がたった感じです。
とき、家にパソコンが来たので、見よう
を続けられていますね。
出してみました。すると、作品の感想が
なきゃいけないのに、最初にちょこ、最
ったんです。そこで児童文学から始まり、 ︱︱落ちた理由は判明しましたか?
聞けるのがすごく楽しくてハマってしま
後のほうでバタバタっと出しちゃった。
︱︱公募対策は立てて挑むほうですか?
評はもらえないので、何がいけなかった
ネットで作品を発表していると、しだ
今思えば当時は当然のことに気がつかな
見まねで小説を書いてみました。ちょう
いにそこの、月間賞や年間賞を頂くよう
かったんです。でも、石崎先生に﹁あな
絞られてきました。
になりました。次のステップは、アマで
受賞作品を読んで講評と照らし合わせ
書店員を続けながら、作品を応募して
書き続けるか、プロを目指すかという選
たはおそらくデビューできるでしょう﹂
たりはしましたね。自分とどう違うのか、 べて預けたんです。返事は半年か一年後
︱︱いつ頃からプロを目指そうと。
ミステリーも書くようになりました。
択。どうせならより多くのみなさんに読
という言葉を頂いて励みになりました。
賞の傾向やカラーも意識しました。続け
だろうと思っていたら、翌週にはよい手
ほかに作品はないかと聞かれたので、す
んでもらいたかったんです。フォーラム
︱︱その後、デビューまでずっと書店員
のかを知りたいと思いました。そこで、
大崎梢(おおさき・こずえ)2006 年『配達赤ずきん∼成風堂書店事件メモ』
でデビュー。
『晩夏に捧ぐ』
『サイン会はいかが?』
『平台がおまちかね』
『背
表紙はうたう』ほか、 児童書では『天才探偵 Sen』シリーズなど著書多数。
’
11 年『スノーフレーク』が映画化され、幅広く活躍中。
にはプロの作家志望者もいて、その方た
どニフティサーブで作品をアップして感
その頃は書店員として働いていました。 す。選考結果が出そうな頃、そろそろじ
ましたか?
︱︱デビュー前、小説を書く勉強はされ
ネットや公募ガイドを活用
プロへの道のりは
曲がり角の連続
W
E
V I
R
E
T
N
I
16
ました。
堂書店事件メモ∼﹄として翌年出版され
ごたえが。そして﹃配達赤ずきん∼成風
念写真まで撮ったんですよ。その気持ち
たですね。最初はゲラ︵校正刷り︶の記
たので、なれただけで本当にうれしかっ
私は作家デビューにけっこう苦労をし
︱︱プロになって困ったことなどありま
ではないので、作品を読んで本当に気に
何回も書き直しをさせられたりしますが、
た。それはかえってよかったと思います。 んの意見は受け入れたほうがいいですね。
入ってくれた方だけが依頼してくださっ
悔しいことにその指摘が当たっていたり
さが大切です。あと、悔しくても編集さ
線が回収される、そういう見せ方のうま
品を読んでくれるという公募に応募して
実は同じころ、ポプラ社の編集者が作
書店を舞台に活躍する女の子の名探偵
験がふんだんに盛り込まれていますね。
︱︱﹃配達赤ずきん﹄には書店時代の経
も、素直にうれしいんです。
分の流儀が個性になるんです。同じ作家
はみなばらばらに活動しているので、自
への対応もケースバイケースです。作家
れができないんです。取材や新作の依頼
輩を横で見ながら仕事を覚えますが、そ
︵笑︶
。書店大賞の一日をベースに成風堂
す。作中では書店大賞になっていますが
大賞を題材にした小説が近々出版予定で
﹃ミステリーズ!﹄で連載している本屋
ていますが、今後の作品の予定は?
︱︱書店を舞台にした作品を多く書かれ
するんです。
いて、児童書でのデビューも決まりかけ
ってかわいいと思ったんです。それと、
は要らないわけですから、それも当然で
シリーズの杏子と多絵ちゃん、そして業
先輩がいないことですね。会社だと先
したか?
ていました。それが、ミステリーのほう
友だちに書店の話をすると、すごく面白
すが、最初はとまどいがありました。
の感想も、編集者が声をかけてくれるの
は今も同じで、本が出るのも、読者から
作家
ににな
て今今
もれう
作家
なれ
れて
でで
もう
しれ
い しい
が先に出版されて、そのあとにポプラ社
がってくれて評判がよかったんです。
︱︱同時期に他の賞にも応募された?
の 作 品 が 出 た ん で す。 公 募 生 活 を4、5
︱︱デビュー後も複数の出版社から声が
務日誌シリーズとして書いてきた出版社
年と決めて、芽が出なければ辞めようと
営業マン・井辻智紀が出てきて融合しま
︱︱その後、ミステリーと児童文学の両
楽しんでいただけると思いますよ。
ていただいたので、本屋大賞の舞台裏を
す。賞の実行委員の方にかなり取材させ
の方が書いてほしいと声をかけてくださ
方を出版されています。書き分けは難し
ミス
リー
ーは
せせ
方が
要重要
ミス
テテリ
は見見
方重が
けがあったとか。
ったんです。新人賞でデビューしたわけ
︱︱デビューを目指す読者にメッセージ
文藝春秋と光文社と角川書店の編集者
決めている方もいらっしゃいますが、私
は結果的に書き始めてからデビューまで
年くらいかかりましたね。
︱︱とても幸運なデビューですよね。
くないのでしょうか。
しくする、わかりにくい伏線は削る、登
けのミステリーの場合は、書き方をやさ
のを書くのか楽しみに待っています。そ
すべてで、出版社はその作家がどんなも
った賞も一切関係なくなります。作品が
プロになると、年齢、学歴、職歴、取
をお願いします。
場人物が今までの出来事を要約し、読者
れに応えるためにも﹁何が書きたいか﹂
取材・川村千重/撮影・賀地マコト
難しくはありませんが、ただ、児童向
に思い出させるなど、技術的なコツはあ
と聞かれたとき、ちゃんと答えられるこ
を書いて初めて、編集者のアドバイスが
ります。
同じ筋でもうまい人が書くのと下手な
生きます。デビュー後にどういう作品を
︱︱ミステリーを書く上で見せ方は重要
人が書くのとでは、全然違う話になるん
書く作家になるか、というビジョンまで
とが重要です。アイデアを伝え、第一稿
です。ちら見せや、いいところではぐら
持っているといいですね。
ですよね。
かす、予想の斜めをいく、忘れた頃に伏
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『配達あかずきん』
(創元推理文庫)
『スノーフレーク』
(角川文庫)
10
コケ文学賞(大賞なしの優秀
賞)を『ナニワの MANZAI プ
リンセス』で受賞。東京都在住。
3人にお聞きしました
選んでいただいて、それから1年たっ
翌年に審査員賞で山本洋子先生の賞に
と思っていたんです。4回目に佳作、
して作品集の最後のページに載りたい
ですが、それをホッチキスで留めて一
ても漫画は下手でふきだしばかりなん
だったんです。漫画を描いて、と言っ
子どもの頃からお話を作るのが好き
公が漫才をし、教室は大爆笑というシ
漫才を題材にしていますので、主人
好きですので、打ってつけでしたね。
セス﹄ですね。牧野先生はお笑いがお
ッ ク が 入 っ て い て、
﹁これで爆笑しま
ーンがよくあるのですが、原稿にチェ
︱︱﹃作品添削講座﹄で勉強になった
すか?﹂とか。
てまた山本洋子賞をいただいたんです。 人で楽しんでいました。
それからですね、プロになりたいと思
のはどういうことですか。
ルト的な作品で受賞した﹃小さな童話
て。それで江國香織さんがヤングアダ
は向いてないんじゃないかと思い始め
を中心に書き始めましたが、幼年童話
があるんだと思って。まず、5枚童話
見て、こんなに書いて応募するところ
公募ガイドが店頭に並んでいるのを
ダメで、プラスアルファの部分が必要
すね。作家になるのにはそれだけでは
すけど、それは誉め言葉ではないんで
うまいですねって言ってくださるんで
ところがあって。石崎先生は、文章は
第三者的に外から見て書いてるような
りきって書かなければいけないのに、
言われました。それから、主人公にな
とにかくキャラクターが書けてないと
か、そういう中学生特有のものを一番
ずらわしさとか、大人のいやらしさと
山口県に引っ越したんです。転校のわ
私は大阪で生まれ育って、中学2年で
︱︱これから書きたいものは?
は見に行きました︵笑︶
。
それで、やっぱり書店に並んでいるの
話だろう? 嘘でしょって感じでした
ね。それから、売れるのかしらって。
受賞のお知らせの電話では、何の電
当時、講師だった石崎洋司先生には、 ︱︱受賞したときはどうでしたか。
ったのは。
大賞﹄を目指すことにし、でも、その
ですよね。
︱︱書こうと思われたきっかけは?
うち﹃小さな童話大賞﹄が終わってし
︱︱その後、石崎先生のあとを引き継
︱︱数ある公募ジャンルの中で、なぜ
受賞作﹃ナニワのMANZAIプリン
いだ牧野節子先生に見てもらったのが
ね。
感じ取ったときのことを書きたいです
中学生向きのものを書きたいですね。
ま っ て、﹃ ポ プ ラ ズ ッ コ ケ 文 学 賞 ﹄ に
ポプラズッコケ文学賞︵優秀賞︶
︱︱もともと作家志望で公募に挑戦さ
向かっていきました。
だ、﹃ 小 さ な 童 話 大 賞 ﹄ を 受 賞 す る 作
童話を?
いえ、最初は本当に趣味でした。た
荒井寛子 さん
れるようになったんですか。
品がすごく好きで、絶対一次通過者と
メフィスト賞に7回応募して結果が
︱︱作家志望の人にメッセージを。
出なかったので、いったん小説家を志
︱︱デビュー以後はどのような生活だ
ごく普通のサラリーマン生活です。
す こ と を 諦 め ま し た。 そ の 後、 2、3
ったでしょうか。
小説家になりたいという夢を、家族に
ころが、あるとき久しぶりに小説を書
休日の余暇を創作活動に当てています。 年ほど資格の勉強に没頭しました。と
ふだんは会社員として働き、帰宅後や
きたくなったので応募したら、今度は
絞りましたが、メフィスト賞だけで8
理解してもらえなかったこと。小説を
自分にとって創作活動はあくまで趣味
すんなり受賞できたという経緯があり
回応募したはずです。苦労したのは、
書いて遊んでいる暇があったら、もっ
です。皆さんが趣味で買い物に出かけ
ます。焦らずに回り道をしたほうがよ
メフィスト賞
と育児に参加して欲しいと言われてき
たり、ゲームで遊んだりするのと同じ
矢野龍王 さん
頃は、漫画家を目指していましたが、
ました。
ように、僕は趣味で小説を楽しんでい
︱︱作家を目指したのは?
自分には絵の才能はないと思い知らさ
︱︱2004年に第 回メフィスト賞
たりで目指す方向を変えました。
デビュー。この作品は読売テレビでド
を﹃ 極 限 推 理 コ ロ シ ア ム ﹄ で 受 賞 し、
ます。
い結果が生まれることもあるようです。
歳のときです。高校生、大学生の
れて、社会人になるかならないかのあ
︱︱本誌を知ったのは?
30
23
2008 年、第 1 回ポプラズッ
あらい・ひろこ 読者が受賞
取材・村山幸/撮影・武井優美
18
本誌読者のスゴイ人 2012 年、第 27 回家の光童
話賞(優秀賞)を「木のぼり
の木」で受賞。埼玉県在住。
数 年 来 の 付 き 合 い に な り ま す。
ラマ化もされたそうですが、周囲の反
︱︱現在の目標はなんでしょうか。
お世話になっていました。
賞しているので、そのときにはすでに
とコマ漫画のコンテストに応募し、受
るみたいだ﹂と噂になったのは、だい
な の で す が、﹁ 同 姓 同 名 の 小 説 家 が い
りませんでした。僕の名前は実は本名
で、僕が小説家になったことは誰も知
日頃はそういった話を一切しないの
はずという思いがあり、その先駆的な
推理小説だって充分に海外で通用する
ジャパンと呼ばれ、注目されています。
漫画に代表される日本の文化はクール
英語圏の人に読んでもらうためです。
最近、英語で小説を書いています。
︱︱デビューまでにどんな賞に応募し
役割を果たしたいと考えています。困
響はどうでしたでしょうか。
ましたか。
ぶあとになってからのことです。家族
1990年には公募ガイドで知ったひ
推理小説に興味があったので、その
難な道のりなのはわかっていますが、
やの・りゅうおう
2004年﹃極限推理コロシアム﹄で第 回メフ
ィスト賞受賞。ほか、
﹃箱の中の天国と地獄﹄
﹃織
姫パズルブレイク﹄など著書多数。東京都在住。
が農業系の雑誌だったので、自然とか
だからこそ挑んでみたいのです。
そういうほんわかした雰囲気の、優し
にはもともと伝えていたので、親父は
い童話が求められるんじゃないかと思
僕の受賞をとても喜んでくれました。
たんですが、独学だと苦しくて、後藤
︵現﹁実践シナリオ・小説教室﹂︶です。 作に入りました。それからも書いてい
って書きました。雑誌に載ると農家の
系統の新人賞にはいろいろと応募しま
みわこ先生の﹁童話公募必勝講座﹂を
人が読むので、ただ単に子ども向きと
年ぐらい投稿していました。
受講しました。
ここに
︱︱﹁実践シナリオ教室﹂に応募した
︱︱﹁童話公募必勝講座﹂を受講して
たまたま本屋さんで公募ガイドを手
いうだけではだめだろうと。
したのが優秀賞になったんですね。そ
童話は子どもが読むものなので、後
きれいにできたなと思いました。子
に取って、面白そうと思って初めて出
最初は童話ではなく、柏田道夫先生
どもの幼稚園のことを書いたので、空
想ではなく、リアリティーがあったの
藤先生には、書いてることが抽象的す
かなって。
ぎるとよく言われました。もっと子ど
もがわかるようにしっかり書きなさい
︱︱受賞は自信になりましたか。
れで柏田先生から講評が届き、そこに
って。先生は言葉のひとつひとつをす
﹁ 才 能 が あ る ﹂ と 書 か れ て い た の で、
うれしくて。
ごく大事に見るんですよ。この言葉は
でしょうね。
し、やっぱりお話を書くのが好きなん
んです。小さい頃の夢は漫画家でした
ジオドラマを書いていたことがあった
ながら書くようになりましたね。公募
ういうふうに見られているかを意識し
それで、一文一文をかなり丁寧に、ど
こんなふうに使わないほうがいいとか。
︱︱将来の夢は?
なって思いました。
人に選ばれたと思ったら、また書ける
なりましたね。1500名の中の5
︱︱賞によって傾向と対策があるわけ
いけないのもわかってきましたし。
目指し、出版できるようになりたいと
すね。デビューに直結した賞の受賞を
童話作家としてデビューすることで
によって書くスタンスを変えなくちゃ
なって、童話に興味がわいてきたんで
思っています。小学校中学年、高学年
が読むものを書いていきたいですね。
ですね。
子どもができて童話に触れるように
︱︱童話はいつから?
大学のときに放送研究会にいて、ラ
︱︱よくシナリオが書けましたね。
が連載している﹁実践シナリオ教室﹂
︱︱この作品は、自信作でした?
勉強になったことは?
きっかけは?
した。最終的にメフィスト賞に狙いを
家の光童話賞︵優秀賞︶
栗原美幸 さん
︱︱ 昨 年、
﹁家の光童話賞﹂の優秀賞
を受賞しましたが、昔から童話を書か
30
20
れていたのですか。
矢野龍王著
『極限推理コロシアム』
(講談社文庫)
す ね。 そ れ で3、4 年 ぐ ら い 前 か ら 童
あります。今回の受賞作も、﹃家の光﹄
取材・村山幸/撮影・武井優美
10
話賞に応募するようになって、一度佳
19
公募が修業 くりはら・みゆき 読者のみなさんを指導した講師かく語りき
担当
はじめての童話講座/
童話公募必勝講座
後藤みわこ 先生︵童話作家︶
担当
童話・児童文学
1回コース︵元︶
︵小説家・童話作家︶
牧野節子 先生
プロになる人、受賞する作品は、ここが違う!
石崎洋司 先生
︵児童書作家︶
担当
童話・児童文学
1回コース︵元︶
えて書いているな﹂でした。
﹁そんなこと、あたりまえ
当時の講評をまとめて読み返してみましたが、栗原さん
ック&クイーンという売れない漫才師を両親に持つ女の
︵応募時のタイトルは﹁ジャック&クイーン﹂︶は、ジャ
印象的なひと言があります。
私がアマチュア時代に通っていた創作教室の先生の、
を思いだします。
ましたので、それらについて指摘させていただいたこと
ただ、作中の漫才のネタなど、甘い箇所も幾つかあり
ポもよく、楽しく読むことができた物語でした。
うストーリー展開。関西弁が活き活きとしていて、テン
子が主人公で、その女の子も漫才をやることになるとい
の作品は、題材が実に﹁童話らしい﹂のです。自然に子
読み返す過程で驚いたのは、栗原さんが見事に一か月
一課題、六か月かけて講座を修了されていることでした。
落ち込んだり、ハイになったり⋮⋮公募に挑戦してい
ると気分はさまざまに変わるでしょう。﹁続ける﹂って、
ただ、当時書かれていた題材は大崎さん向きではなか
った。これは多くの作家にあることです。ファンタジー
言うほど簡単なことじゃありません。本当の意味でマイ
ペースを守れる書き手さんは強いと思います。
プロになれるのは、諦めなかった人。ひと言でいえば
ンスが来るのだと思います。受験なら志望校に合格すれ
かしい、オリジナリティーが大切だということですね。
作家の作品と似たものを書いていては、デビューはむず
講生に対しての、ご指導の言葉でした。つまり、既存の
幻想的な作風の児童文学作家に似た作品を提出した受
﹁安房直子は、二人はいらない﹂
ば終わりますが、プロを目指して書くということは、そ
落選が続いても、書くことを楽しみ続けられる人にチャ
るだけで、印象、わかりやすさ、リーダビリティー、す
の先︵デビュー後︶さらに書き続けるということ。ボツ、
﹁継続力﹂のある人でしょうか。思うように書けなくても、
べてが変わります。ただ書くことに必死になるのではな
多くの出版物があるなかで、いままでのどんな作品と
たとえば文章。ひとつのシーンを描くには、情景、人
物、心理それぞれを説明し、セリフを入れ、そして必要
く、どれが最適の組み合わせなのかを試したり、既成作
酷評、思うように売れない⋮⋮そんなことがあっても、
手にきめつけて、自分の視野を狭めていることが多いも
る分野は××だ﹂とか、
﹁いまの流行りは○○だ﹂と勝
がダメならBを試そう、そんな柔軟性も作家になるため
っと理由があるはず。それを探せる目も欲しいです。A
い﹂と頑なに考え続けないこと。何度も落ちるなら、き
ただ⋮⋮継続は大事ですが、
﹁わたしはこのままでい
れば、入選の可能性もデビューの可能性も、大いにある
ならでは﹂の﹁キラメキ﹂を放つ作品を書くことができ
﹁二人﹂ではなく﹁ただ一人﹂だと思わせる、﹁その人
まだ誰も手をつけていない﹁材料﹂はあるはずです。
とに思えるかもしれません。でも目を凝らして探せば、
もまったく違ったものを書くというのは、たいへんなこ
家の例を調べたりする。そこに時間をかける意識を持っ
創作自体が楽しければ、投げ出さないでいられます。
の。
﹁この題材とあの題材を組み合わせると、こういう
と思います。
に⋮⋮そして作家であり続けるために、必要じゃないか
と感じています。
こともできるのか﹂と、常に視野を広げる意識をもって
いると、意外な発見があるものです。
題材も同じです。アマチュアの方は﹁自分に向いてい
ている人は、短期間で自分のスタイルを見つけられます。
な伏線をはったりしますが、同じ文でも順番を入れ替え
デビューできる人は﹁意識が高い人﹂だと思います。
を書きたかった作家が歴史小説で花開いた、などですね。
が感じられました。
読み手に伝わるだろうか﹂と、探りながら書いている節
だろ﹂と、思われるかもしれませんが、実際はできてい
荒井寛子さんの﹁ナニワのMANZAIプリンセス﹂
※牧野先生は、童話・
児童文学 1 回コースに
て、荒井寛子さんのデ
ビュー作を添削講評さ
れました。
どもの世界を描ける方という印象です。
栗原さんは、童話的な﹁引き出し﹂の豊かな方でした。
※後藤先生は、昨年、
「童話公募必勝講座」
で栗原美幸さんを指導
されました。
ない人がほとんどです。大崎さんの原稿からは﹁これで
大崎梢さんの原稿を読んだ第一印象は、
﹁きちんと考
※石崎先生は、童話・
児童文学 1 回コースに
て、大崎梢さん、荒井
寛子さんの作品を添削
講評されました。
20
後木砂男 先生︵フリーライター・編集者︶
永井義男 先生︵小説家︶
中田宗孝 先生︵フリー編集者︶
文章と物語にリズムがあるもの。めりはりがあるもの。
や形容詞、またはその類いの表現がめったにないもの。
がないもの。同一語、同一表現の多用がないもの。副詞
新鮮な表現をしているもの。もってまわった言い回し
など無理なのですが、どこかで一味違えなければなりま
なりがちです。もちろん、まったくのユニークさを出す
て、
﹁どこかで読んだような設定。類型的な主人公﹂に
い、かなり時代小説を読んでいますが、影響を受け過ぎ
文学賞に応募してくる人はたいて
話題を時代小説にしぼります。
文体ができあがっているというのは句読点や改行のテン
る作品というのは、冒頭から文章に説得力があります。
うなことをいうはずです。すでに文体ができあがってい
新人賞の下読みをやっている人だったらだいたい同じよ
感のようなものを感じるのは読み始めてすぐのことです。
か、ひょっとしたら受賞作になるのではないかという予
この作品は最終選考までいくことができるのではない
担当
小説基礎1回コース
物語構成に整合性、論理性があるもの。出来事とその光
ポを含めて、語り手の位置、語り手が語る言葉の方向性
担当
時代小説講座/
歳から始める小説講座
景が脳裏にイメージできるもの。セリフの前後の文がト
せん。さもないと、ありきたりの内容になってしまいま
担当
はじめての小説講座/
コツがわかる小説講座
書きではないもの。思わずうなずいてしまうモノの見方。
す。一味、違えるだけでよいのです。
章と物語にリズムがあるものになるかもしれません。い
して、ストレートに出してしまいがちです。
なのですが、その勉強の成果をストーリー展開より優先
もうひとつは時代考証です。時代考証をするのは大事
とがよくあります。このことはエンターテインメント系、
ローグのようなものが冒頭部分に長々と書かれているこ
ものがあって書き始めている場合、無意味な描写やモノ
しまうのが書き出しの部分です。書き手に迷いのような
がはっきりしているということです。それが端的に出て
右の条件をすべて満たさなくてもいいし、満たすのは
い作品には、優れた書き手には、それがなんとなくある
﹁自分は勉強したのだ。知っているのだ﹂というわけで
純文学系を問わず共通していえることだと思います。
とても大変だから、一つだけあえてあげるとすれば、文
ような感じがします。でもこれは先天的な資質ではなく、
すが、それはウンチクの披露でしかありません。時代考
薄井ゆうじ 先生︵小説家︶
証の勉強の成果はさりげなく出すことが大切です。
藤咲あゆな 先生︵小説家︶
いい作品を大量にわきめもふらず咀嚼することによって
柏田道夫 先生︵劇作家・小説家︶
担当
ストーリーメーカー養成講座
獲得できるものだと思っています。
担当
エンターテインメント小説
講座/歴史・時代小説 回コース
最終選考を受け持った選者が、
をさせられていました。ライトノ
新人の頃はよく新人賞の下読み
と感じることがあります。それを因数分解してみると、
つかは受賞できるかもしれない﹂
次のような要素を持っているのだと思います。
ことはきちんと伝わるように書いてある。③その作品で
いる。②誤字脱字がなく、文章には無駄がなく、必要な
が、その中に﹁これは!﹂と思う作品が1本でもあれば
作品を一読して﹁この人は、い
﹁もっとぶっとんだ作品を﹂
といっ
ベルの場合は、ひとりにつき ∼ 本預けられるのです
担当
作家デビューへの小説指南
︵1回コース︶
た要望を出すことがあります。これを鵜呑みにしないこ
これまでの下読み経験の中で、私は1本だけ﹁これは
と。どんなに破天荒な切り口や題材であっても、作品と
ひょっとして受賞するかも﹂という作品にめぐりあいま
何が書きたいのか、どう感動させるのかを知っていて、
①小説をたくさん読んでいて、小説の面白さを知って
る文章など︶が整っていない作品は、初期審査ではねら
すべての文章がそこに向かって書かれている。
いいほうです。
れます。誰も書いていない新しい何かがありつつも、読
した。その作品がほかの作品と違っていた点は、原稿か
受賞する作品はまずタイトルに力があることが多い。
ませるための技術、文章力は不可欠です。
者の個性が感じられる﹂
﹁これは今までになかったもの
数多くの出版された受賞作を読んで思うことは、
﹁作
があるかどうか、そこが分かれ道ではないかと思います。
すれば、小説に対して愛があるか、人間に対して優しさ
機に、恨みや憎しみ、虚栄心などを感じる。つまり極言
ない。誤字脱字が多く、日本語としても稚拙。書いた動
逆に、受賞しないだろう人は、小説をあまり読んでい
る。冒頭の数枚できちんと情景が浮かび、主人公の姿が
だ﹂と思わされる作品には、多くの人に読んでもらおう
内容やジャンルをある程度感じさせ、引き︵惹き︶があ
見えてくること。もちろん、扱っている題材ないし世界
という﹁力﹂があるということです。
まく、何度も熟考したあとがうかがえました。
ら伝わってきた﹁気迫﹂でしょうか。テンポも文章もう
しての姿︵体裁、ある程度のまとまり、違和感なく読め
20
が新鮮︵選者たちが知らない専門性が盛り込まれていた
公募ガイド社の通信講座「作品添削講座」の詳細は、P.27 ∼ 31 をご覧ください。
50
10
り、切り方を感じさせる︶ならば加点されます。
21
1
公募の世界のスゴイ人列伝
コツコツ派の応募マニア 編
清水和弘さん
VS
竹内祐司さん
新聞や雑誌の投稿掲載謝礼は高額ではあ
りませんが、コツコツ続けて獲得賞金は
数100万円!
ここではそんな応募マ
ニアを取材し、対談風にお送りします。
なって、お金を産む作品をとことん考え
ます。
たのが一番のきっかけです。初めての入
石 井 賞 金 に 釣 ら れ て︵ 笑 ︶。 最 初 の 応
募 は19 9 2 年。﹁ 公 募 ガ イ ド ﹂ を 買 っ
︱︱公募を始めたきっかけは?
すね。
にいたら人生がつまらなかったと思いま
ていました。公募ガイドの存在を知らず
んか〟とスカウトされるほど夢中になっ
ッセイの達人の作品を読んで研究してい
石井 なるほど!︵笑︶
︱︱公募生活を長年続ける秘訣は?
坂井
年日記を欠かさず書くこと。朝
日新聞の人気投稿欄﹁ひととき﹂で、エ
ったら売っちゃいます︵笑︶。
坂井
﹁体言止
エ ッ セ イ の 場 合 で す が、
め﹂を意識。コンパクトにまとめて、な
選は新聞に投稿した俳句。長編ものは苦
石井 かなり前になりますが、中国国際
放送局こと旧北京放送が公募した大連に
ます。
たとき、本屋さんで公募ガイドの創刊号
しもとの芸人さんが登場したり。受賞者
とも会いました。
日本で話題になった大物官僚の薄熙来氏
関係者がつきそってくれ、ちょっと前に
たとえば、地方自治体がキャラクターを
ありますか?
石井 そもそも公募は﹁お金を産む﹂も
の の コ ン テ ス ト だ と 思 っ て い る ん で す。
︱︱入選するために心がけていることは
は参考になります。
経営者のインタビューや人気ランキング
ないとウケないので。とくに日経新聞の
作者で、
きたい。憧れは﹁大草原の小さな家﹂の
んな公募生活を続けていくのが夢です。
ました。お題を見ると燃えます︵笑︶。そ
代から小説を書き始めたロー
坂井
私も同じ。親子3代7人家族の生
活を大切にしながら公募生活を続けてい
石井
公募に挑戦するようになってから、
ものを考えることのおもしろさを発見し
が目に留まったんです。
同士で仲良くできて、今でも年賀状のや
回以上は入選を果たしている
そうですが、思い出に残る賞は?
坂井
私は料理コンテスト。精進料理の
店でのバイト経験を活かしたゴマ豆腐風
り と り を し て い る 公 募 友 達 も い ま す よ。
︱︱毎年
のムースや、郷土料理をアレンジしたれ
応募していたので、 代のときにテレビ
書き、文字賞に挑戦してみたいですね。
理と旅行と家族愛をテーマにした小説を
ラ・インガルス・ワイルダー。いつか料
60
坂井
日本各地で行われる授賞式も楽し
い。京都の偉いお坊さんに会えたり、よ
んこんの団子汁などで日本一にもなりま
10
した。全国のあらゆる料理コンテストに
したいことよりも、主催者の求めるもの
石井
私はどちらかというと作品の芸術
性よりも﹁職人技﹂を重視。自分の表現
で身についたものなんです。
この技は、料理コンテストのレシピ作り
おかつ余韻をもたせるためのテクニック。
手なので、手軽に始められるという理由
まつわるエッセイが思い出に残っていま
ショップが引き取ってくれるので、たま
坂井
筒はかさばるので、私は賞状用の
ファイルに収納します。筒はリサイクル
〈第 2 部〉
から。俳句経験は一度もなかったです。
坂井和代 さん 石井かおり さん
坂井和代さん
VS
石井かおりさん
石井 私も朝日新聞は必ず毎日チェック。 を常に表現していきたいと思いますね。
賞をとるには、時代を反映させた作品で
︱︱最後にこれからの夢を。
マニア対談
その1
〈第 1 部〉
坂井 私も﹁公募ガイド﹂を見て。毎日、 す。優勝賞品が大連のツアーで、ツアー
に参加したのは私一人。行く先々で政府
家と会社の往復でつまらなさを感じてい
VS
募集しているなら、その地域にお金が流
︱︱賞状はどう収納していますか?
れる作品を求めているはず。これから街
石井
賞状の筒に入れて保管するくらい
かな。捨てないで全部とってありますよ。 を盛り上げていこうという主催者の身に
の制作会社から〝料理研究家になりませ
30
10
1
T
R
P A
22
通ぐらいは投稿してい
︱︱毎月どのくらい投稿しますか?
清水 僕は〝数打てば当たる方式〟です
から月に500件です。川柳や新聞の時
投稿仲間の一人が名乗り出てくれて、観
道だったんですけど、現地のガイド役に
流もできる。実は、僕の新婚旅行は北海
くれた方から手紙をいただいたりして交
ので役に立ちます。また、これは僕の経
︱︱どんな時間に作品を書いていますか。 時事ネタをわかりやすく解説してくれる
光名所を車で案内してくれたんですよ。
験 で す が、 ネ タ は 創 作 し た も の よ り も、
していますよ。ニュースではわからない
あとは池上彰さんの番組は必ずチェック
催 者 の こ と を 考 え な が ら 書 い て い ま す。
えば雑誌なら編集者のこと、公募なら主
竹 内 僕 も 清 水 さ ん と 似 て い ま す け ど、
自分の出した投稿を最初に読む人、たと
とですかね。
それぞれの考えに合わせた作品を書くこ
ました。
行ができたと、二人ともすごく喜んでい
こともありました。両親は思いがけず旅
ときには、両親に代理で行ってもらった
仕事の都合で授賞式に出席できなかった
竹内
そ う で す ね。 賞 金 を も ら っ た ら、
ま ず は 家 族 み ん な で 食 事 に 出 か け ま す。
ているんです。
うですね。
清水
おかげさまで、 歳になる娘とは
今でも仲良し。僕と同じく公募にハマっ
︱︱公募生活は家族円満の秘訣になりそ
︱︱お二人とも精力的に活動されていま
分くらいで書けてしまいます。
竹内
僕は300件ぐらいです。400
字詰め1枚のエッセイなら、だいたい
清水和弘 さん 竹内祐司 さん
ま す。 公 募 の 入 選 は 数 え る ほ ど で す が、
清水 夕食の1時間前か、睡眠の1時間
前が多いですね。会社には1時間早く出
ドキュメンタリー︵実話︶のほうが採用
マニア対談
その2
雑誌や新聞の投稿の採用数なら誰にも負
勤しているので、仕事が始まる前に考え
される確率が高いと思います。
事コントは毎日
けない自信があります︵笑︶
。
たりもします。
︱︱公募生活の目標は?
竹内
家族そろって2泊3日のディズニ
ーリゾートツアーに行けるぐらいの賞金
すね。これほど夢中になれる魅力とは?
清水
やっぱり、自分の意見が世間に発
表できることですね。
竹内 会社で怒られたことや日常生活で
失敗したこともネタにできるところ。な
により文章を書いている時間が楽しいで
︱︱お二人とも毎月たくさん投稿されて
竹内
朝型人間なので、世の中が静まっ
ている朝4時∼6時 分がベストタイム。 いますが、ネタに困ることは?
会 社 の 昼 休 み も 利 用 し て い ま す。 で も、 清水
通勤電車での会話や出来事、家族
の会話からヒントをもらいます。新聞も
を獲得すること。オフィシャルホテルに
参考になりますね。
豪華な旅を目指しています︵笑︶。
泊まって、新幹線の往復チケット付きの
ので、いつでもメモできるように常にボ
清水
サラリーマン川柳や防火標語など、
メジャーなコンテストに入選したいです
ネタは突然ふっと降りてくることがある
イズレコーダーを持っています。
竹内
僕も家族から。カミサンのパート
先の話や、 代の娘から今日一日の出来
夫であり、娘との会話が絶えない良きパ
事を聞いて。カミサンの愚痴を聞く良き
俳句大賞﹂は娘がすでに入選しているの
ね。なかでも、伊藤園の﹁お∼いお茶新
︱︱入選するための秘訣はなんですか。
清水 とにかく、たくさん投稿すること
︵笑︶
。ほかには、公募のときは自分の意
しみず・かずひろ 昭和 27 年生
まれ・東京都在住。会社員。30
代から始めた公募生活は 30 年以
上。得意ジャンルは川柳、ネーミ
ング、キャッチコピー。新聞の時
事コント、雑誌にも精力的に投稿
している。採用回数は、年間 100
件、通算獲得賞金は 30 年間で約
600 万円。公募の達人としてテレ
ビや経済誌に取材された経験も。
すね。ストレス解消にもなります。
19
たけうち・ゆうじ 昭和 38 年生
まれ・愛知県在住。会社員。家族
ネタをはじめ、時事ネタやテレビ
の感想などをつづったエッセイを
雑誌や新聞に投稿して四半世紀近
く。これまでの入選回数 50 回以
上、
通算獲得賞金は約300万円
(月
に 1 万円の賞金獲得として換算)
。
子供時代から文章を書くのが得意
で、本屋が大好き。
で、父として負けていられません!
20
パです︵笑︶。
23
VS
見を、新聞の時事ネタや雑誌の投稿なら
取材・後藤あや子
30
いしい・かおり 昭和 36 年生ま
れ・大分県在住。地元でリサイク
ルショップ「つねきち堂」を営む
傍ら、公募生活を続けて約 20 年。
毎月 50 件投稿し、入選は年間で
約 20 回。年間の獲得賞金額は5
万円以上。俳句や短歌、川柳など
が得意ジャンルで、歴史上の人物
で会ってみたい人は正岡子規、紀
貫之、在原業平。
清水
公募を通して人間関係も広がりま
した。新聞などで私の投稿が気に入って
本人直筆の
イラスト
10
10
さかい・かずよ 昭和 39 年生ま
れ・石川県在住。7 人家族の主婦。
公募歴は約 30 年を誇り、エッセ
イ、川柳、アイデア、旅行プラン
が得意分野。30 代までは主要な
料理コンテストのほぼすべてに応
募し、日本一のタイトルを3つ獲
得。通算獲得賞金は約 30 年間で
約 400 万円。公募チャンピオン
の初代グランドチャンピオン。
公募の世界のスゴイ人列伝
﹁最初に公募に挑戦した頃は、
365日、言葉漬けの毎日
それぞれのジャンルの
スゴイ人 編
親子で創作活動に励む
小さい頃から文章を書くこと
エッセイ、コピー、絵画、作詞、漫画な
ど、得意なジャンルで創作活動を続け、
それを生きがいにしている方々。ここで
はそんなスゴイ読者を紹介します。
活 躍、﹃ N H K の ど 自 慢 ﹄ 週 チ
高校時代はブラスバンド部で
紹介されたのが3年ほど前。そ
てみたら?﹂と言われ、本誌を
こと。友人から﹁何かに応募し
米さんの趣味はマンガを描く
一生公募にハマっていたい
ャンピオンになった経験もある
こに掲載されていた、自作の川
歌は残る、誰かの胸に
音楽好きの久保さん。初めての
柳にイラストを添えて送るとい
午前は文章、午後は絵画
受賞は、助産施設のコンサート
う﹃川柳漫画コンクール﹄にピ
宮尾さんは国語教師でしたが、
テーマ曲の作曲賞。曲ができあ
ンと来て応募し、初めての応募
ていました。なのに、キャッチ
歳で美術大学に入学。そこ
学生時代に本誌が創刊されると
で初めて絵を描き始め、
の本になり、青山さんの手元に。 魂に火をつけたそう。それから
日。初受賞ではエッセイが1冊
は兄としての威厳を取り戻すべ
す。一方で、本業とも言える文
や銀賞など受賞歴を重ねていま
海外のコンクールを中心に金賞
歳で
コピーのコンテストで高校生だ
に
美術の授業を担当したことを機
なり、プロとして活躍しながら、 がり、地元の混声合唱団によっ
受賞。現代美術家協会の会員と
て 披 露 さ れ た と き に、﹁ 自 分 が
く 熱 心 に 取 り 組 み、﹃ オ リ ッ ク
章 で も 存 分 に 力 量 を 発 揮。﹃ ふ
くれたことで、さらに喜びが倍
〝とても良かったよ〟と褒めて
道に突き進んでいきました﹂
さ が 忘 れ ら れ ず、
﹁さらに公募
賞時の興奮と言葉を考える楽し
冊。自らが描いた絵を表紙にし
分野で受賞歴をもち、著書も4
めエッセイ、川柳、小説など各
曲 は も は や ラ イ フ ワ ー ク。﹃ 福
喜び﹂を知ってからは、作詞作
音楽を通して﹁心が通じ合う
の先生方も出席されることが多
審査員を務めた著名なマンガ家
は、表彰式に出席できること。
米さんにとって受賞の喜びと
にして大賞受賞。以来、漫画や
﹁すごくうれしかったです。受
ス学生キャッチコピー﹄で最優
るさと物語コンテスト﹄をはじ
増したのを覚えています﹂
がたマンガ大賞﹄の表彰式で、
く、たくさんの刺激を受けられ
退職した今年3月からは、午
﹃ 赤 水 歌 ﹄ の 歌 詞 コ ン ペ で は、
山ニューPRソング﹄では作詞
もっとも印象深い受賞は、那
前中を文章の執筆、午後は絵の
たものもあるそうです。
受賞の喜び、そして応募への
須塩原市のウェディングヴィレ
創作にあてる宮尾さん。スラン
るからだとか。これまででもっ
モチベーションは、こうした副
ッジのネーミング。施設がイタ
めて著作がCD発売されました。 と も 感 慨 深 か っ た の は、﹃ に い
リアの小村をイメージしてつく
賞によるところも大きいもの。
﹃ パ タ リ ロ!﹄ な ど を 生 み だ し
﹁UCCコーヒー主催のエッセ
最優秀賞を受賞した自作の詞に
られたことから、イタリア、花
プ に な っ た こ と は な く、﹁ 特 に
イでは、最優秀賞の副賞がジャ
絵のほうはスタートが遅いのに
た魔夜峰央先生と会えたこと。
嫁、花言葉と連想。イタリアの
とんとん拍子で進んできたと思
ウィーン・フィルハーモニー管
マイカ・オーランドへのペア旅
国花ひなげし︵花言葉は﹁純白﹂
﹁尊敬する先生とお会いして、
行。当時は独身だったので、親
弦楽団首席バストロンボーン奏
作曲でグランプリを受賞し、初
たと言います。
川柳の分野で、何度も入選を果
早速買い求め、即応募。
以 来、
﹁気づけば公募のため
しまい⋮⋮﹂
米 恵美さん
曲に込めた思いが人に伝わり、
賞はもちろん、本としてかたち
万円︶を受賞。受
そんな経験が西山さんの公募
久保 隆さん
その人たちならではの表現をし
になったのはまた別の喜びでし
秀賞︵賞金
49
た。また、それを読んだ友人が
に何かを書いている﹂という毎
10
30
宮尾美明さん
たしています。
﹃現代洋画精鋭選抜展﹄金賞を
万円以上の賞金獲得を目指し
西山雄貴さん
った妹に 万円を先に取られて
が大好きだったという青山さん。
青山昌代さん
てくれた﹂と大きな感動を覚え
36
10
2
T
R
P A
24
ルスイートのディナー&朝食付
グランプリを受賞。インペリア
岡主催のラブレター募集では、
ました。ホテルセンチュリー静
孝行を兼ねて母と旅行を楽しみ
の満場一致で採用が決定、賞金
補作と重なることなく、審査員
は9千作も集まった中で他の候
き、応募した﹁プラトリーナ﹂
状﹂という意味も︶にたどりつ
﹁祝福﹂のほか、
﹁結婚式の招待
﹁絵を始めた頃は、励みになる
ここまできたわけではない。
と驚かれます﹂
たみたいな人はほかにいない〟
われるのか、仲間からは〝あな
いう﹃読売巨人軍創立
っそう感慨深いものとなったと
大編成の年と重なり、受賞がい
久保さんは、ほか、プロ野球
がった気がした﹂そうです。
り 曲 が 付 け ら れ、
﹁世界とつな
者カール・ヤイトラー氏らによ
メントはさっぱり覚えていない
ただ緊張しすぎて、自分へのコ
語られており、さすがでした。
るコメントもユーモアを交えて
だいて。それぞれの作品に対す
ゴッドハンドで握手もしていた
島崎藤村ゆかりのお宿で、素敵
も宿泊券をいただいて。ここは
た。中棚荘の初恋はがき大賞で
﹁公募の創作では100%自分
平日は仕事で、休日は公募の
ャ ン ス で あ り、﹁ 昔 は 歳 を と る
さらに、公募は夢をつかむチ
葉漬け〟の毎日を送る西山さん。 な感じ﹂
ために、365日四六時中〝言
ことに抵抗がありましたが、今
ときは突然目の前が開けたよう
時期でした。だから、受賞した
けてきたので、その償いだとか。 でも、墓場に行くまで公募にハ
り、その間、奥様には不便をか
作詞や作曲は時間も手間もかか
してガッカリすることもないそ
いないとのこと。行き先は奥様。 にもこだわっていないし、落選
数々の受賞歴を持ちます。
う。
﹁アマチュアらしく自由に。
念 新応援歌歌詞募集﹄佳作など、 ﹁公募は生活の楽しみ﹂と言い
とはいえ、決して順風満帆に
き宿泊券をいただき、贅沢なひ
ものを必死で探しているような
なところでしたよ。長野文学賞
の発想、自分発信で言葉をつく
はこの歳でも夢にチャレンジで
﹁お金にとらわれると邪念が入
んです︵笑︶
﹂
100万円を手にしました。
周年記
とときを過ごすことができまし
万円。現金をいただ
れる。だから仕事とは違う感覚
きることが楽しい。何かに応募
夢はアニメや映画の原作とな
と自分の心のなかを行ったり来
と久保さん。
って、いい創作に繋がらない﹂
公募宣言〟をしてくれました。
マっていたいですね﹂と〝生涯
え、絵に描いていくこと自体が
る賞をとること。そこから作家
たりしながらテーマについて考
怠期を迎えると言うやないです
ちなみに、これまで手にして
としてデビューし、仕事として
えるんです。公募を通じて自分
の胸に﹂。
か。私も公募を始めて3年ほど
リフレッシュになるので、入賞
ちなみに青山さん、5歳の娘
つなげていきたいそうです。西
の人生を整理する作業も楽しい
﹁これまでの経験があるからこ
きた賞金は手元には一切残って
きる米さん。テーマについて考
いたのは初めてだったので、印
なんですよね﹂と楽しむ様子が
するときは、現在、過去、未来
では賞金
象に残っています﹂
伝わってきます。
青山さんの今後の夢は﹁楽し
さんと親子で公募に励んでいる
山さんにとって公募とは、いま
ですね﹂と宮尾さんは、募集テ
そ僕にしかできない作品がある。 なんで、そろそろやないかと﹂
く、そして長い文章での入賞﹂
そう。すでに親子でダブル受賞
や﹁夢を叶えるためのツール﹂。
ーマに人生を詰め込む︱︱公募
これからも生涯現役で作詞作曲
とのこと。
を果たすなど娘さんも才能の片
﹁必ずや成果を出したいと思い
のロマンを感じさせてくれるお
その声は、倦怠期やスランプ
﹁ ほ ら、 カ ッ プ ル で も3 年 で 倦
ただ、心配なのはスランプ。
鱗を見せており、青山さんにと
ます!﹂と宣言する姿に、頼も
よね・よしえ。40 歳、家事手
伝い。公募歴は約 3 年。
『長野・
千曲市主催川柳漫画コンクー
ル』大賞、
『にいがたマンガ大
賞』入賞、
『佐賀まんが大賞』入
賞などの入賞歴を持つ。
モットーは﹁歌は残る。誰か
ってもっとも身近で手ごわいラ
くぼ・たかし。63 歳、デザイ
ン事務所経営。
『福山ニュー P
R ソング』グランプリ、
『読売巨
人軍創立 70 周年記念 新応援
歌歌詞募集』佳作など、通算
獲得賞金は約 168 万円。
とは無縁な明るいものでした。
25
70
を続けていきますよ﹂
みやお・みあき。68 歳、元教
師。
『現代洋画精鋭選抜展』金
賞、
『ふるさと物語コンテスト』
優秀賞、
『もう一度会いたいノ
ンフィクション』大賞など、通
算獲得賞金は約 450 万円。
話を聞かせてくれました。
にしやま・ゆうき。28 歳、コ
ピーライター。
『オリックス学
生キャッチコピーコンテスト』
最優秀賞、
『グリコ×日経ビジ
ネス ストレス川柳』大賞など、
通算獲得賞金は約 160 万円。
しさを感じました。
あおやま・まさよ。45 歳、主
婦。公募歴 25年。応募対象は
エッセイ、
俳句、
写真など。
『UC
C グッドコーヒー スマイルキ
ャンペーン』 最優秀賞など通
算獲得賞金 128 万円。
イバルとなりつつあります。
取材・細井秀美
10