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News Release
2015 年 7 月 29 日
報道各位
ラサール不動産投資顧問株式会社
「グローバルにおける不動産投資戦略 2015」の中間レポートを発表
世界有数の不動産投資顧問会社であるラサール インベストメント マネージメント インク(本社: 米国イリ
ノイ州シカゴ、最高経営責任者:ジェフ・ジェイコブソン、以下ラサール)は、今年 2 月に発表した、世界
30 か国に及ぶ「グローバルにおける不動産投資戦略 2015」の中間レポートを発表いたしました。以下
その概要をお知らせします。
I. グローバルの不動産市場の動向
2015 年下半期に向けて、世界経済は回復基調を維持している。
不動産の主要市場の大半において、不動産価格は上昇を続け、不動産ファンダメンタルズの堅調な
回復が見られる。ラサールが提唱する不動産価値の判断基準である DTU(Demographics:人口
動態、Technology:技術革新、Urbanization:都市化)の長期トレンドも、特定地域においては需
要を牽引し続けている。供給は活発だが、GDP 成長率の上昇によって加速された健全な需要の増加
には追いついていないのが現状である。
II.
不動産市場のサイクルについて
 サイクル上の現在地点について
今年 2 月に発表した「2015 年グローバル不動産投資戦略」調査レポートでは、市場には価値変
動のサイクルがあり、私たちはサイクルのどの地点にいるのか、またそれに関して投資家は何をす
るべきか、を主要テーマとした。
ラサールは、さまざまな国の資本市場サイクルの比較を行った結果、資本市場は 8~12 年間上
昇を続けたのち急落するという傾向を見出した。これに則れば、現在グローバルのほぼすべての不
動産市場が資本市場回復期の 6 年目に突入しており、上昇傾向はあと数年続くことが予想される。
このことはしかし、そのあとに続く資本価値下落の段階までの中間点を過ぎていることを意味する。
資本市場回復サイクル後半の兆候が顕著に見られる中、ラサールの投資戦略チームは、不動産フ
ァンダメンタルズの改善がリターン・プレミアムを生み出すという、半年前と比べ強気な見通しを立て
ている。
 サイクル上の現在地点からみた今後の望ましき投資について
資本価値の上昇傾向が数年続いた後、下落するというサイクル予測から、2015 年下半期に割安
な投資機会を発掘しづらいと言える。このサイクルに対するベストな対処法としては、低金利のロー
ンだとしても、借入比率を慎重なレベルに抑えることが望ましい。また、サイクルトレンドが下降に転
じても、長期トレンドを追求することによってリターンを見込める投資を選択することである。資本市
場が上昇サイクル後半に入る中、投資家は資産クオリティでの妥協は避け、優良でテナントの需
要に厚みのある不動産にこだわり続けることが必要である。なぜなら、景気後退時、賃貸市況が悪
化する場合は、ロケーションやクオリティの劣る物件群が最も大きな価値の下落に見舞われるため
である。
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III. 地域別投資戦略
【アジア】
アジアは世界で最も成長の目覚ましい地域である。
金融緩和政策をとっているのは豪州準備銀行(RBA) と中国人民銀行(PBOC) だけではなく、自国
通貨安を進め貿易競争力を高めることを狙い、韓国、インド、タイ、インドネシアの各国中央銀行も今
年、貸出金利の引き下げを行った。日本では消費税引き上げの影響が和らぎ始め、インフレ率がゼロ
に近づき、賃金上昇率は低下している。日銀は量的緩和政策に続き、マイナス金利を導入する可能
性があると広く見られている。
不動産市場に関しては、テナント需要を牽引する経済要因が安定していることに加え、供給も比較的
落ち着いている。今後いくつかのセクターにおいては、緩やかな賃料上昇が見込まれ、低利回りにも
拘わらず不動産への資本流入が続いている。海外の機関投資家はアジアへの投資配分を増やして
きており、自国内およびアジア太平洋地域の投資も非常に活発である。これらのことから、本地域は
引き続き資金の配分先として魅力的であると考えられる。
但し中国の準主要都市の多くですべての不動産タイプが供給過剰であり、日本では、物流セクター
で供給が需要に追い付いてきている。さらにシドニー、メルボルンでは分譲住宅の建築ブームが起き
ている。
また、コア投資では、オーストラリアと日本の商業施設に着目している。主要都市圏の郊外型商業施
設で利回りの低下が進んでいること、この不動産タイプのミスプライシングの傾向は 2015 年に終わる
と見られること、この 2 点がその理由である。
2015 年後半はサイクル後半の投資となるため、リスクを注意深く監視し、一定のリスクのあるバリュー
アッド戦略においては景気が悪化する局面でもテナントが豊富に存在する市場で投資機会を追求す
ること、また、ボラティリティの高まりに備えて売却タイミングなどにおいて柔軟なオプションを持ってお
くことが望ましい。
コア
高リターン投資
日本
・主要な都市圏での郊外型商業施設
・商業施設
・都市型商業施設、住宅、オフィス等のリースアッ
プやリポジショニング物件
オーストラリア
・商業施設
・郊外型ショッピングモール
・大都市圏及び郊外エリアのオフィスのバリュー
アッド投資
・オフィスの再開発
・主要都市のオフィスのバリューアッド投資
・物流施設開発
中国
・物流施設
・主要都市のビジネス中心地区における A
グレード不動産
韓国
・ソウルのビジネス中心地区の不動産(長期
投資)
香港
シンガポール
-
・郊外、ビジネス中心地区の近隣エリアの不
動産
・物流施設開発
・旧来型物流施設のリポジショニング物件
・旧来型物流施設のリポジショニング物件
・商業施設のリポジショニング物件
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【欧州】
2015 年中盤、欧州経済は緩慢ではあるものの比較的堅調な回復を続けており、引き続き英国とドイ
ツが欧州経済の回復をリードしていくと見られる。
欧州のより堅調な経済成長を牽引する要因は 3 つある。1 つは 2014 年半ばから続く原油低価格が
消費者の購買意欲を改善し、健全な消費者支出の伸びにつながっていること。2 つ目は、実施は遅
れたものの 1.1 兆ユーロに及ぶ効果的なユーロ圏の量的緩和政策が欧州の信用拡大に刺激を与
え、ユーロ安が大幅に進んでいること。そして 3 つ目は、このユーロ安の結果、輸出競争力が向上し、
投資においても対外通貨ベースでユーロ圏に割安感が出ていることである。
欧州資本市場サイクルの現段階では、債券のリターンに上乗せされるプレミアムあるいは安全で安定
したリターンを求める国内および海外からのエクイティ性資本によって、不動産売買が大きく牽引され
ると考えられる。
ラサールは、欧州でファンダメンタルズが改善していること、そして大半の市場で過剰供給リスクが抑
制されていることを踏まえ、欧州地域の賃料回復に関する予測を、本年 2 月の予測から上方修正し
た。
西欧諸国
(英国を含
む)
その他
コア投資
高リターン投資
<ディフェンシブ>
・英国とオランダの賃貸住宅パリ、ベルリン、ミ
ュンヘン、ハンブルグ、アムステルダム、マドリ
ード、バルセロナの都市型商業施設
・供給制限の強い地域の住宅
<インカム主体>
・優良ショッピングセンター
・複合型不動産の開発
・パリ、ベルリン、ミュンヘン、ハンブルグのオフィス
や住宅の開発
・物流施設の開発
・スウェーデンとドイツにおけるスーパーを核
テナントに有する商業施設
・ポーランドとチェコの都市型商業施設
・ポーランド、チェコ主要都市圏の物流施設
・イタリアにおける高利回りの優良不動産
【北米】
2015 年当初、北米全域の経済成長は緩慢で、米国では不動産ファンダメンタルズと価格の改善が
見られたものの、カナダとメキシコでは横ばいもしくは悪化傾向にあった。北米経済の牽引役は米国
であるため、今後 2~3 年の成長トレンドへの回帰が、米国、カナダ、メキシコの北米地域すべての
国々の経済を活気づけると考えられる。
米国における中期の経済見通しは引き続き堅調で、不動産ファンダメンタルズは期待通りの改善が続
いており、現行サイクルで最低水準の空室率と共にすべての不動産タイプでインフレ率を上回る賃料
成長率が見られる。
カナダでは 2015 年前半の原油価格の大幅な下落により、GDP 成長率は下落した。不動産取引額
は前年比で 15%下落したのにもかかわらずカルガリーとエドモントンの不動産投資家は、高まるリス
クと冷え込む不動産ファンダメンタルズを背景により高いキャップレートを要求しながら、全般的に緩
やかな成長とカナダドル安の長期的メリットを享受するだろう。メキシコは軽工業の回復や観光客数の
上昇といった明るい要因はあるものの不動産市場全般は減速傾向にある。
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コア投資
米国
高リターン投資
・ニューヨークやシカゴの一部、オースティン、ポートランド、ローリー・ダーラム、サンディエゴのオフィス
・メディカルオフィス、トラック・ターミナル、駐車場、個人向けストレージ
カナダ
・トロント、バンクーバー、モントリオールの物流施設
・ビジネス中心地区(CBD)周辺および交通利便性の高い郊外のオフィス
メキシコ
・メキシコシティ、ティファナなど土地用途に制
限のある地域の物流施設
・観光市場(カンクン、リビエラ・マヤ、プエルト・バジャ
ルタ、ロス・カボス)のホテル
・中央メキシコやバヒオの物流施設の開発
ラサール インベストメント マネージメントについて
ラサール インベストメント マネージメントは、世界有数の不動産投資顧問会社です。世界規模で、私募、公募の不動産投
資活動、負債性投資をしており、総運用資産残高は約 535 億ドルです(2014 年 9 月末現在)。主要顧客は、世界の公
的年金基金、企業年金基金、保険会社、政府関連、企業、その他基金(大学基金他)などで、世界中の機関や個人投資
家の資金管理を行い、セパレートアカウント型投資、オープンエンド型ファンド、クローズドエンド型ファンド、公募証券、エ
ンティティレベル投資等の手法で投資を行っています。また、世界最大級の総合不動産サービス企業であるジョーンズ ラ
ング ラサール グループ(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)傘下にあります。なお、ラサール不動産投資顧問株式会社
は、ラサール インベストメント マネージメントの日本法人です。詳しい情報は、www.lasalle.com をご覧ください。
本件に関するお問い合わせ先
広報担当(エイレックス) 村瀬亜以
電話 03-3560-1289
メール [email protected]