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News Release
2015 年 2 月 12 日
報道各位
ラサール不動産投資顧問株式会社
「2015 年グローバル不動産投資戦略」調査レポートを発表
世界有数の不動産投資顧問会社であるラサール インベストメント マネージメント インク(本社: 米国イリ
ノイ州シカゴ、最高経営責任者:ジェフ・ジェイコブソン、以下ラサール)は、今年で 21 回目 となる主要
30 カ国における不動産投資の展望「2015 年グローバル不動産投資戦略」を発表し、本日記者説明会を
行いました。「2015 年グローバル不動産投資戦略」調査レポートの概要を以下にお知らせいたします。
Ⅰ. 投資展望
 2015 年の投資展望
不動産は今なお投資適格債権を上回る利回りを生んでおり、世界中の投資家層の需要を惹きつける
と同時に、ポートフォリオのパフォーマンス向上を求める投資家が分散投資の観点から注目していま
す。2015 年は米国、英国、カナダの経済は緩やかに回復すると予想されますが、フランス、ドイツ、日
本では回復の道のりは平坦ではなく、今後数年間にわたって、経済成長の原動力は米国、英国です。
このため穏やかな経済成長の下で、一部の市場では不動産インカムの成長も限定されると予想され
ます。
 不動産市場のサイクル
不動産市場にはサイクルがあり、そのサイクルに影響を与える主な要素はマクロ経済、不動産ファン
ダメンタルズ、資本市場の 3 つです。2015 年は、マクロ経済や不動産ファンダメンタルズは初期ある
いは中盤にあり、資本市場ではサイクルの終盤にあります。
 金利動向の不透明性
あらゆる資産クラスの価格動向を左右する金利動向について、2015 年から 2016 年には、複数のシ
ナリオが存在します。2015 年は潤沢な資金がさらに不動産価格を上昇させてリターンを押し上げる可
能性がありますが、最終的にはこのようなブームは終焉し、崩壊します。金融市場に対する見通しが
分かれる中、金融緩和の終了に伴って生じる不動産市場の不確実性に対して備える必要があります。
2015 年から 2016 年における金利シナリオは、下記の 4 つです。
1. 低金利の長期化 (短期的な資産価格の高騰と、その後の崩壊)
2. 緩やかな金利上昇(資産価格のソフト・ランディング)
3. 短期間における急激な金利上昇(過去の経験に基づくシナリオ)
4. 低金利の永続(少なくても超長期的な継続)
 投資推奨
上記4つのシナリオに対して、以下のように対応する必要があります。
・ 国際分散投資
各国ごとに、資本市場が位置するサイクルが異なるため、4 つのシナリオが実現する確率も異なり
ます。ユーロ圏と日本においては低金利永続の 4 番目のシナリオが最も現実味があり、これら低
成長諸国では、量的金融緩和やその他施策が低金利を長期化させる可能性があります。不動産
利回りとローン金利の格差が拡大しているため、レバレッジ・コア戦略が有効です。
・ 市況悪化の予見
英国と米国では、シナリオ1の低金利の長期化、シナリオ 2 の穏やかな金利上昇が最も現実的で、
いずれの場合も最終的には不動産価格の上昇が終焉します。ただし、低金利長期化の場合、
2016 年までに資産を売却し、2017年から 2018 年はバブルの崩壊を待つ選択が最も有効です。
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一方、穏やかな金利上昇の場合、インフレ改善と経済成長が伴うため、賃料成長が見込める不動
産への投資が金利上昇による価格下落圧力を相殺する有効な戦略です。
・
循環的ではなく、長期的なトレンドを捉える
市況悪化局面における影響が少なく、不動産ファンダメンタルズにおける長期トレンドの恩恵を受
ける不動産を見出すことが相対的リターンを下支えします。主な長期トレンドは、D(Demographic=
人口動態)、T(Technology=テクノロジーの進歩)、U(Urbanization=都市化)です。
・
インフレーションへの対応
インフレ率が中央銀行の目標を下回っている全ての先進国においては、シナリオ 3 の短期間での
急激な金利上昇が起こる可能性はほとんどありませんが、他の国々では、賃料がインフレ率に連
動する不動産への投資が有効です。インカムがインフレに連動する不動産は、インフレ連動国債
を上回る利回りを享受できます。保険的性質を持つため、その必要性が高まっていない時期には
価格が低水準にあり、インフレ期待が僅かでも浮上する際には価格は上昇すると予想されます。
Ⅱ. 地域別投資戦略
2015 年は、主要 25 か国において穏やかな経済回復が不動産のパフォーマンスを支えるでしょう。各都
市および不動産タイプは、マクロ経済や DTU に対してそれぞれ異なる恩恵を受けるでしょう。また、コア
投資家による投資対象範囲の拡大に伴い、新たなグレード、ロケーションが劣る不動産、ニッチな不動産
タイプにも投資機会が生じると予想されます。
【北米】
米国は経済回復力が強く、不動産市場も回復中なため、国内外からの投資需要を惹きつけ続け、取引
量が 2007 年のピークの水準を超える可能性があります。世界金融危機の悪影響が比較的少なく、その
後の回復も早かったカナダは、新規供給が新規需要並み水準に留まり、不動産ファンダメンタルズは安
定して推移すると予想されます。メキシコは構造改革によって長期的経済成長に対する見通しが改善し
ています。経済と不動産ファンダメンタルズをサイクルで見ると、米国とメキシコは「拡大初期」、カナダは
「拡大後期」にあります。資本市場のサイクルは、低金利を背景に流動性が潤沢にあり、3 か国全てが「拡
大後期」にあります。
米国
カナダ
メキシコ
コア投資
高リターン投資
・ビジネス中心地区のオフィス物件
・大規模ショッピングモール、都市型商業店舗
・ミレニアム世代に好まれる従来型及び新興の
住宅エリアの不動産
・メディカルオフィス、駐車場、個人向けストレ
ージ
・テクノロジー関連エリアでの従来型オフィスビ
ルのバリューアップ物件
・都心エリアや優良な学区内にある郊外エリア
でリノベーションやアップグレートがなされた賃
貸住宅
・物流施設の開発物件
・都心の複合型商業施設や従来型の郊外型シ
ョッピングセンター
・自社開発のリースアップ賃貸住宅
・物流施設
・ビジネス中心地区の周辺エリアでテクノロジー関連のテナントが求めるオフィスビル、または商
業や住居用スペースを備えたオフィスビルのリースアップ投資
・都市化が進行するエリアで大通りにある都心型商業施設のリノベーションやリポジショニング物
件
・メディカルオフィス
・都心エリアの個人向けストレージ
・物流施設(特に中央メキシコとモンテレイが有望)
・都心エリアの商業施設(メキシコシティ、モン
・オポチュニスティック投資では、メキシコシティ
テレイ、グアダラハラなどの主要都市)
のビジネス中心地区やその周辺エリアにおけ
るオフィスの開発物件
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【欧州】
欧州市場は「低い経済成長」、「低い利回り」、「低水準にある新規供給」に特徴付けられます。今後 5 年
間は、相対的にテナント需要が強い優良エリアの不動産は高い賃料上昇が期待できる一方、その他の
不動産の賃料上昇はインフレ水準を下回るでしょう。ECB など中央銀行への低金利圧力が継続し、債券
よりも高い利回り水準にある不動産への投資需要は高まり、価格上昇圧力によって不動産利回りも低水
準にとどまる見通しです。主要市場全域では名目ベースの期待リターンが低下しており、コア投資のレバ
レッジ前リターンは6~7%未満にとどまると予想されます。
コア投資
英国
<ディフェンシブ>
・学生向け住宅
・ホテル、ヘルスケア施設
<インカム主体>
学生向け住宅のうち、学生に直接賃貸された
不動産
<インカム主体>
賃貸形式のホテル
高リターン投資
改修案件、竣工前にリースアップされた大型案
件、開発案件への竣工前の物件
西欧諸国
・パリにおける改修案件
・ドイツ主要都市のオフィスの開発投資物件
・ミラノ、ローマのオフィス、イタリア北部の商業
施設
その他
スウェーデン、ポーランド、チェコでの商業施設
の再生投資
【アジア太平洋】
日本では、2014 年後半に導入された追加的な量的緩和によって 2015 年以降も低金利が継続する見通
しです。アジア太平洋地域全体でも緩和的な金融政策により、不動産市場への資金流入が継続し、取
得競争の激化に伴い価格が上昇し、全ての投資スタイルにおいて期待リターンは低下すると予想されま
す。ただ、中国における金融システムの構造改革、日本における労働市場の改革は、反対する強力な勢
力が今なお存在しており、進展しない可能性があり、ダウンサイドリスクです。国全体の債務量が膨れ上
がった中国、シンガポール、韓国では不動産価格が下落するかもしれません。
コア投資
高リターン投資
郊外型ショッピングモール
大都市圏及び郊外エリアのオフィスのバリュー
アッド投資
・物流施設
・主要都市のビジネス中心地区における A グ
レード不動産
主要都市のオフィスのバリューアッド投資
主要な都市圏での郊外型商業施設
日本
都市型商業施設、住宅、オフィス等のリースア
ップやリポジショニング物件
香港
古くなった倉庫のリポジショニング物件
オーストラリア
中国
シンガポール
郊外、ビジネス中心地区の近隣エリアの不動
産
韓国
ソウルのビジネス中心地区の不動産(長期投
資)
・古くなった倉庫のリポジショニング物件
・REIT に所有されていない商業施設のリポジ
ショニング物件
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Ⅲ.総括
2015 年は、豊富な投資機会があるとともに多様なリスクにも直面する一年になるでしょう。一国や二国に
とどまらず、複数の国々における相対的に割安な投資対象を見出すこと、マクロ経済や資本市場の急激
な変化するシナリオに対応するために、不動産市場のサイクルを予見することです。また上昇、下落する
市場サイクルがとは動きが異なる生み出す市場の変動を乗り切るために重要な、不動産ファンダメンタル
ズにおける、DTU の長期的トレンドの追求を推奨します。過熱する不動産投資市場において、例えば環
境対応性やインフレーションへの順応性がない不動産を高い価格で売却するといったポートフォリオの
最適化を推奨します。
ラサール インベストメント マネージメントについて
ラサール インベストメント マネージメントは、世界有数の不動産投資顧問会社です。世界規模で、私募、公募の不動産投
資活動、負債性投資をしており、総運用資産残高は約 535 億ドルです(2014 年 9 月末現在)。主要顧客は、世界の公的
年金基金、企業年金基金、保険会社、政府関連、企業、その他基金(大学基金他)などで、世界中の機関や個人投資家
の資金管理を行い、セパレートアカウント型投資、オープンエンド型ファンド、クローズドエンド型ファンド、公募証券、エン
ティティレベル投資等の手法で投資を行っています。また、世界最大級の総合不動産サービス企業であるジョーンズ ラン
グ ラサール グループ(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)傘下にあります。なお、ラサール不動産投資顧問株式会社は、
ラサール インベストメント マネージメントの日本法人です。詳しい情報は、www.lasalle.com をご覧ください。
本件に関するお問い合わせ先
広報担当(エイレックス) 村瀬亜以
電話 03-3560-1289 メール [email protected]