日本消化器 画像診断研究会 64回 第 プログラム・抄録集 電子版 会 期 会 場 2016年 2月26日(金) ・27日(土) ウェスティン ナゴヤキャッスル 〒451-8551 愛知県名古屋市西区樋の口町3-19 当番世話人 山雄健次 愛知県がんセンター中央病院 消化器内科 【電子抄録 PDF を表示するアプリについてのご注意】 DICOM 画像をご覧いただくためには電子抄録を Adobe Acrobat Reader で開くことが必要です。 手順は以下の通りです。Adobe Acrobat Reader 以外のアプリでは、 示されない事が有ります。ご注意下さい。 ■Android 端末をご利用の場合 ・予め Play ストアから Adobe Acrobat Reader をダウンロードして下さい。 ・電子抄録のダウンロード時に、Adobe Acrobat で開くを選択してください。 が表 ・次回以降 Adobe Reader を起動してリストから選択することによりご覧いただけます。 ■iOS 端末をご利用の場合 ・予め App Store から Adobe Acrobat Reader をダウンロードして下さい。 ・電子抄録がブラウザに表示されたら、画面をタッチすると画面上部に「次の方法で開く」 が表示されますので、「Adobe Reader で開く」を選択してください。 ・次回以降 Adobe Acrobat を起動してリストから選択することによりご覧いただけます。 【電子抄録の使い方】 (1)各演題のページの をクリックする。 (2)Web ブラウザが起動し、演題に該当する DICOM 画像検査リストが表示されるので、表示 したい検査の をクリックすると、DICOM 画像が表示されます。 i 【企画・製作】イーサイトヘルスケア株式会社 http://esite-hc.com/ 初版 2016 年 2 月 18 日 (3)画像右側スクロールバー又はその近傍を指 1 本(マウス)で上下するとページングが 出来ます。 (4)その他の機能として、画面上部にボタンが用意されています。機能を変更する場合は、 画面上部のボタンを押す必要が有ります。下記に代表的なボタンの簡単な説明と注意 点を記載します。 [シリーズ]ボタン、[イメージ]ボタンでウィンドウレイアウト変更 上右図は、シリーズボタンをプルダウンして 1×2 のレイアウトを選択 [ズーム]ボタンを押し、指 1 本(マウス)で上・下する事で、拡大・縮小 [パン]ボタンを押し、指 1 本(マウス)で自由に移動 [W/L]ボタンをし、指 1 本(マウス)で上・下(L)、左・右(W)が変更 W/L が変更されるとシリーズ全ての画像が再度ダウンロードされます。 [スクロール]ボタンを押し、指 1 本(マウス)で画像右側のスクロールバー又はその 近傍を上・下することでページング [▼][▲]ボタンをクリックすると 1 枚単位でページング 詳細な操作説明は、下記 URL の『WEB VIEWER 操作説明』をご参照ください。 URL:http://www.esite-hc.com/cn03/cn03/shoukakigazoushindan.html 【通信パケットの容量について】 モバイル Wi-Fi ご利用の方で、パケット制限が気になる方への情報です。 (1)参照される画像枚数(CT/MR の先読みを含む)と使用頻度に応じた通信量となります。 CR1 枚あたり 200KB 程度。CT/MR1 枚あたり 30KB 程度(50 枚:1.5M 500 枚 15M)。 <追加情報>パケットが発生するケースは画像表示と JavaScript 読込み時に発生します。 検索画面や新規タブを起動すると JavaScript 読込みオーバーヘッドが発生しますが、容 量の大部分は画像によるもので「画像を何枚読込むか。」を基準にお考えください。10 分 間検索リスト上の様々画像を(通常操作程度の頻度で CT, CR などを表示して WL を変える 等)表示した場合、100MB~120MB 程度のパケットは流れます。CT 200 枚の 1 検査を WL を変えながら参照する。という場合には 10M~15M 程度のパケット程度となります。 ii 【企画・製作】イーサイトヘルスケア株式会社 http://esite-hc.com/ 初版 2016 年 2 月 18 日 第64回日本消化器画像診断研究会 プログラム・抄録集 会期:平成28年2月26日㈮・27日㈯ 会場:ウェスティンナゴヤキャッスル 〒451-8551 愛知県名古屋市西区樋の口町3-19 TEL:052-521-2121 当番世話人:山雄健次(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科) [研究会事務局] 愛知県がんセンター中央病院 消化器内科内 〒464-8681 愛知県名古屋市千種区鹿子殿1-1 TEL:052-762-6111 FAX:052-763-5233 ご 挨 拶 第64回日本消化器画像診断研究会 当番世話人 山雄健次 (愛知県がんセンター中央病院消化器内科 部長) 第64回日本消化器画像診断研究会を名古屋で開催させて戴くにあたり、一言ご挨拶と御礼を申 し上げます。 私が当番世話人として本研究会を開催させていただくのは今回が3回目になります。開催する にあたり、前2回にも増して関係各方面のご指導・ご協力・ご援助を賜りまして大変有難うござ いました。心より感謝申し上げます。当院の消化器内科・内視鏡部、消化器外科も総力を挙げて、 しっかりとした運営に努めたいと考えていますので何卒、ご協力のほどをお願い申しあげます。 さて今回は名古屋で二日間の開催となります。また、皆様方のご協力によりまして65題という 大変多くの演題を御応募いただきました。そこで今回の企画について少し御説明をさせていただ きます。 1)まず1日目のいの一番に第5回膵癌早期診断研究会をもって来させていただきました。脈々 と受け継がれてきた本研究会の大きな目的の一つは肝胆膵がんを如何に早期に診断し、安全 に手術を行い、患者さんの予後を改善することにあります。その意味では、現時点で最も予 後の悪い膵癌を早期に診断することを目的に設立された5回目の研究会をスポンサードシン ポジウムとしてエーザイ株式会社、膵癌早期診断研究会との共催で行わせていただきます。 2)応募65題の中で24題を一般演題とさせていただきました。一般演題は口演時間5分、病理コ メントを含む討論15分とし、いつもより長めの時間を設け本研究会の特長である1例1例を 徹底的に討論していただくように配慮致しました。 3)その他の41題はポスター演題とさせていただきました。このセッションはテーマ毎に7つの ブースに分け、1題につき説明5分、残りの10分はその道の Expert である先生には司会とコ メントを、また病理の先生には病理コメントをいただく「Meet the Professors」とさせてい ただきました。会場にはワインとおつまみをご用意させていただいていますので、リラック スした雰囲気の中で Professor の先生方には教育的、かつ厳しいご意見を頂戴し、また特に優 秀な演題を1題選定いただき、その後の全員懇親会の席で賞品を授与していただきます。 4)2日目のランチョンセミナーに引き続き、鼎談+1を開催させていただきます。鼎談は通常 は3人で行うものですのでプラス1とさせていただき、私を付録で加えていただきました。メ ンバーは全て当研究会の現在の幹事です。どのような話が飛び出すかリラックスして気楽に お聴きいただきたいと思っています。 5)懇親会はお食事・お飲物を用意しておりますので名古屋の夜を十分満喫してください。 昨年の第46回日本膵臓学会では大変お世話になりました。今回もぜひ有意義な研究会にさせて いただきたく思っていますので是非ともご協力をお願い申し上げます。 2 会場へのアクセス 会場:ウェスティンナゴヤキャッスル 愛知県名古屋市西区樋の口町3-19 TEL:052(521)2121 ホテル周辺地図 名神高速道路 一宮IC 清洲JCT 新名西橋 国道 22号線 鳥見町出口 小牧IC 東名阪自動車道 楠JCT ウェスティン ナゴヤキャッスル 堀越町 地下鉄名城線 名城 公園 浅間町 本町通り 市役所 丸の内出口 国際センター 地下鉄桜通線 丸の内 大津通り 屋駅 菊井町 明道町JCT 伏見通り 名古 明道町出口 久屋 大通 テレビ 塔 錦通り 地下鉄東山線 伏見 41 号線 名古屋城 樋の口町 黒川IC 国道 地下鉄鶴舞線 名古屋高速清須線 押切町 黒川 弁天通り 浄心 菊井通り 天神山 県営 名古屋空港 東新町出口 栄 広小路通り お車でお越しの方 ウェスティン ナゴヤキャッスル 無料駐車場 300台完備 (名古屋城駐車場を除く) P 地下鉄鶴舞線 浅間町駅 名古屋城 城西2 城西1 第2駐車場 1番出口 P P フェットネスクラブ 専用駐車場 岐阜方面から: 名古屋高速道路「明道町」出口より約5分 マクドナルド 浅間町 国道22号線 GS 城西1南 幅下橋西 N P 能楽堂 豊田方面から: 名古屋高速道路「丸の内」出口より約5分 ecoパーキング 名城正門 中部国際空港より約60分 名城駐車場(有料) 9:00~21:00 *中部国際空港より便利な乗合いタクシーをご 利用いただけます。 名古屋城前 三の丸1 小牧方面から: 名古屋高速道路「黒川」出口より約10分 *名古屋駅からタクシーをご利用の場合は、約 10分程度(約1500円) 地下鉄でお越しの方 ◦地下鉄(乗り換え時間は含まれておりません。 ) 名古屋駅からお越しの場合 名古屋駅 東山線 約3分 伏見駅 鶴舞線 約4分 (1番出口) 伏見駅 鶴舞線 約4分 (1番出口) (乗り換え) 浅間町駅 徒 歩 約10分 ウェスティンナゴヤキャッスル 浅間町駅 徒 歩 約10分 ウェスティンナゴヤキャッスル 栄駅からお越しの場合 栄 駅 東山線 約2分 (乗り換え) 3 会場案内図 ウェスティンナゴヤキャッスル(2階平面図) 懇親会会場 企業展示・ ポスター会場 総合受付 世話人会 研究会会場 4 参加者へのご案内 1.参加受付 場所:ウェスティンナゴヤキャッスル 日時:平成28年2月26日㈮ 平成28年2月27日㈯ 2F 12:00〜17:00 青雲の間 8:00〜15:30 2.研究会参加費/プログラム・抄録集販売 ◦医師 12,000円 ◦初期研修医・コメディカル ◦学生 無料 ◦プログラム・抄録集 5,000円 1,000円 ※会場内では必ずネームカードに所属・氏名を記入の上、ご着用ください。 ※ネームカードの再発行はできませんので、ご了承ください。 ※会員の方には事前にプログラム・抄録集をお送りいたしますので、当日必ずご持参くだ さい。 3.全員懇親会 日時:2月26日㈮ 19:00〜21:00 会場:ウェスティンナゴヤキャッスル 2F 天守の間 ※懇親会からのご参加も可能ですので直接懇親会会場にお越しください。 ※懇親会の参加費は無料です。どうぞご参加ください。 4.年会費・新入会受付 会期中の受付場所:総合受付横 ウェスティンナゴヤキャッスル 〈日本消化器画像診断研究会事務局〉 〒464−8681 愛知県名古屋市千種区鹿子殿1-1 愛知県がんセンター中央病院 TEL:052-762-6111 消化器内科部内 FAX:052-763-5233 E-mail:shounai @ aichi-cc.jp 5.世話人会 日時:2月27日㈯ 11:40〜12:10 会場:ウェスティンナゴヤキャッスル 2F 5 銀の間 2F ロビー 6.次回のご案内 会 期:平成28年9月23日㈮・24日㈯ 会 場:JR 九州ホール 当番世話人:植木敏晴(福岡大学筑紫病院 7.企業展示 ウェスティンナゴヤキャッスル 消化器内科) 青雲の間 2F ロビー 8.クローク 2F ウェスティンナゴヤキャッスル ※総合受付での手荷物のお預かり等はいたしませんので、ご了承ください。 9.ご注意 1)研究会会場は禁煙となっております。喫煙コーナーをご利用ください。ご協力をお願 いいたします。 2)本会事務局の許可のない掲示・展示・印刷物の配布・録音・写真撮影・ビデオ撮影は 固くお断りいたします。 3)ホテル内は学会場内と喫茶店を除き飲食禁止となっております。ロビーでの飲食はご 遠慮ください。 10.共催セミナーのご案内 第5回 司 膵癌早期診断研究会 2月26日㈮ 会:花田敬士(JA 尾道総合病院 吉田浩司(川崎医科大学 症例提示:1.手稲渓仁会病院 共 13:00〜15:00 消化器内科) 胆膵インターベンション学) 消化器病センター 2.東北大学大学院 消化器内科 催:膵癌早期診断研究会・エーザイ株式会社 ランチョンセミナー 2月27日㈯ 11:40〜12:30 「外科医の行う膵癌に対する集学的治療」 司 会:海野倫明(東北大学大学院医学系研究科 共 催:大鵬薬品工業株式会社 演 者:藤井努(名古屋大学大学院医学系研究科 6 消化器外科) 消化器外科) 11.電子抄録について 本研究会の電子抄録を作成しました。学会ホームページからアクセス、ダウンロードして いただくことが可能です。 学会ホームページからのリンク先 (http://www.esite-hc.com/cn03/cn03/shoukakigazoushindan.html)には、 第61回、第62回、第63回の前3回分の電子抄録を見ることが出来ます。 しかも、各抄録からは、生データ参照ボタン【DICOM 画像リンクボタン】を押すことで、 数百枚超のCTやMRIなどの画像を表示する事が可能です。 電子抄録利用について 電子抄録の取説:http://www.esite-hc.com/cn03/cn03/shoukakigazoushindan.html から電 子抄録の使い方のページをご覧ください。 使用環境:インターネットに接続できる端末(iPad、iPhone、Macintosh、Android 端末、 Windows PC)使用。 ブラウザ Internet Explprer Chorome ver.8 ver.9 Win 版 Mac 版 × ◯ Safari ◯ Mac OS ◯ ◯ 備 考 ver.10 ver.11 Android 版 iOS 版 互換表示設定の追加が必要 ◯ iOS ◯ ◯ 〈DICOM 画像の閲覧について〉 会場での Wi-Fi 環境について Wi-Fi 環境を設定していますのでご活用ください。アクセスの為のパスワードは会場内 にてご案内します。利用可能エリアは口演会場(青雲の間)のみとなります。また、回 線の数に制限がございますので、ご了承ください。従って LTE 回線などをご利用でき る方は、LTE 回線をご利用いただきますよう、ご協力をお願いいたします。 7 司会・座長・病理コメンテーター・演者へのご案内 1.司会・座長の皆様へ ◦担当セッションの開始30分前までに総合受付横の座長受付にて受付をお願いいたします。 ◦スケジュールに合わせて会の進行をお願いいたします。 ◦担当セッションの開始15分前に会場前方の「次座長席」にお越しください。 2.病理コメンテーターの皆様へ ◦担当セッションの開始30分前までに総合受付横の病理コメンテーター受付にて受付をお 願いいたします。担当セッションの開始15分前に会場前方の座席にお越しください。 ◦プレパラートは事前に各演者より送付されますので、ご検討いただき、研究会当日は忘 れずにお持ちください。 3.演者へのお願い [一般演題] ⑴発表方法と時間 ◦ PC によるプレゼンテーションとなります。 ◦一般演題の発表時間は、発表5分、質疑応答15分です。時間厳守でお願いいたします。 ◦総合受付にて参加申し込みを済ませてから、該当するセッションの30分前までに PC 受 付へお越しください。 ◦担当セッションの15分前までに会場前方の次演者席にご着席ください。 ⑵発表データについて ◦ PC 受付でプレゼンテーションファイルの提出をお願いします(USB メモリでご持参く ださい) 。データ試写を行います。 ◦データをコピーしますが、研究会終了後に責任を持って消去します。 ◦会場の PC が対応しておりますアプリケーションは Windows 版 PowerPoint 2010/2013です。 ◦発表データは、作成したパソコン以外でも正常に動作することをご確認のうえ、ご持参 してください。 ◦文字フォントは特殊なものではなく、標準搭載のものをご使用ください。 ◦発表データのファイル名は「 (演題番号) (氏名) 」としてください。 例:「01発表太郎」 ◦持ち込まれるメディアのウィルスチェック ディスプレイ接続コネクタ を済ませてからご持参ください。 ◦つぎの場合は PC をご持参ください。 ①動画をお使いの方、②発表者ツールをお 使いの方、③ Macintosh の使用をご希望の方 ◦ PC 受付にて接続を確認してください。 ◦ Macintosh、一部のWindows PCではD-sub15 会場で用意するケーブル D-SUB mini 15pin (オス) 演者のPC D-SUB mini 15pin (メス) ピンとの接続に変換コネクターが必要となりますので、必ずお持ちください。 8 ◦発表終了後、会場内オペレーター席にてパソコンを返却します。発表終了後、出来るだけ速や かにパソコンをお引き取りください。 ◦そのほかのご注意点 AC アダプター、バックアップデータもあわせてご持参ください。 ノートパソコンから外部モニターに正しく出力されるか、ご確認ください。 画面の解像度:XGA(1024 × 768)推奨 スクリーンセーバー、省電力設定:解除しておいてください。 パスワードを起動時に設定している場合は、解除しておいてください。 ⑶ご発表時 ◦発表時、演台にモニターとマウスを設置してあります。発表データの1枚目をスライドショー の状態でスクリーンに映写します。演台上のマウスを使用し、ご自身でスライドの操作を行っ てください。 [Meet the Professors(ポスターセッション)] ⑴受付、ポスター貼付時間について ◦ポスター貼付時間は2月26日㈮12:00〜15:00です。 総合受付にて参加申し込みを済ませてから、ポスター受付へお越しください。 ⑵発表方法と時間 ◦セッション開始10分前までにご自身のポスターパネル付近にご集合ください。 ◦カテゴリーや内容によりグループ分けを行っています。 発表・質疑応答は各グループの座長の指示に従ってください。 ◦ポスターセッションの発表時間は、発表5分、質疑応答10分です。時間厳守でお願いいたします。 ⑶ポスター掲示について ◦ポスターパネルのサイズは幅1200㎜×高さ1800㎜です。 ◦貼付用ピンおよび演題番号(200㎜×200㎜)は事務局にて ご用意いたします。 本文とは別に縦200㎜×横1000㎜以内の大きさで「演題名・ 演者名・所属」を記入したものをご用意ください。 ⑷優秀演題の表彰について ◦優秀演題の表彰を全員懇親会にて行いますので、それまで 帰らないようお願いいたします。 ⑸ポスター撤去について ◦ポスター撤去時間は2月27日㈯13:00〜17:00です。 ※撤去時間を過ぎても撤去されていないポスターは事務局 にて撤去・処分いたします。 予めご了承ください。 4.プレパラートについて プレパラートの返却は病理閲覧受付(2F ロビー 総合受付付近)にて行います。取扱いには十 分注意いたしますが、万一破損した場合にはご容赦ください。 9 日本消化器画像診断研究会世話人 代表世話人 山雄 健次 内科 有坂 好史 猪狩 功遺 伊佐山浩通 糸井 隆夫 今井 英夫 樫田 博史 神澤 輝実 菅野 菊山 正隆 北野 雅之 世話人 入澤 久津見 篤志 須山 正文 前谷 容 花田 外科 弘 伊佐 大塚 佐野 敬士 工藤 長川 比佐 真口 敏晴 正俊 達哉 岳史 宏介 岡庭 信司 窪田 賢輔 永松 敦 秀康 一二三倫郎 峯 徹哉 岡部 義信 佐々木民人 野田 裕 平井都始子 哲生 土屋 嘉昭 倫明 遠藤 力 島田 光生 清水 泰博 趙 明浩 松田 正道 松村 敏信 藤本 武利 放射線科 角谷 病理 雅史 真栄城兼清 羽鳥 隆 平井 大 一郎 眞澄 蒲田 敏文 廣橋 伸治 山城 大池 信之 鬼島 宏 坂元 亨宇 佐々木恵子 古川 徹 柳澤 昭夫 山口 浩 中島 収 中山 五朗 小西 敏樹 優 渡邊 理 力山 髙瀬 幸二 中村 木村 吉福 濱田 山野 修 太田 海野 裕久 長谷部 和彦 格 八隅秀二郎 裕康 北川 塩路 純弘 直孝 今山 隆生 岡部 藤田 勉 土井隆一郎 山口 植木 正司 義浩 三紀 吉田 佐野 平野 浩司 圭二 聡 山上 裕機 吉満 研吾 全 福嶋 陽 敬宜 (以上五十音順・敬称略) 10 日 2月26日㈮ 程 表 ウェスティンナゴヤキャッスル 2F 青雲の間 12:00 受付 12:55 開会の挨拶 13:00 第5回 ポスター貼付 膵癌早期診断研究会 司会:花田敬士、吉田浩司 (共催:膵癌早期診断研究会・エーザイ株式会社) 15:00 肝・その他(1~3) 座長:廣橋伸治・力山敏樹 病理コメンテーター:尾島英知 16:00 企業展示 病理閲覧 膵臓Ⅰ(4~6) 座長:糸井隆夫・土井隆一郎 病理コメンテーター:能登原憲司 17:00 Meet the Professors (ポスター セッション) 18:30 休 憩 19:00 全員懇親会 (天守の間) 21:00 11 2月27日㈯ 8:00 8:30 ウェスティンナゴヤキャッスル 2F 青雲の間 受付 胆道Ⅰ(7〜9) 座長:伊佐山浩通・佐野力 病理コメンテーター:大池信之 9:30 胆道Ⅱ(10〜12) 座長:植木敏晴・佐野圭二 病理コメンテーター:全陽 10:30 膵臓Ⅱ(13〜15) 座長:北野雅之・中村雅史 病理コメンテーター:古川徹 11:30 11:40 12:30 12:40 13:20 休 ランチョンセミナー 司会:海野倫明 演者:藤井努 (共催:大鵬薬品工業株式会社) 休 憩 鼎談 + 1 司会:真口宏介 討論者:渡邊五朗、角谷眞澄、須山正文+山雄健次 休 13:25 13:30 憩 憩 世話人会報告 膵臓Ⅲ(16〜18) 座長:岡庭信司・小西大 病理コメンテーター:安川覚 14:30 膵臓Ⅳ(19〜21) 座長:菊山正隆・伊佐勉 病理コメンテーター:山野三紀 15:30 膵臓Ⅴ(22〜24) 座長:入澤篤志・清水泰博 病理コメンテーター:佐々木恵子 16:30 16:40 閉会の挨拶 12 企業展示 病理閲覧 世話人会 (銀の間) 1日目 プ ロ グ ラ ム 2月26日㈮ 12:55〜13:00 開会の挨拶 13:00〜15:00 第5回 第64回当番世話人 司 山雄健次(愛知県がんセンター中央病院 膵癌早期診断研究会 会:花田敬士(JA 尾道総合病院 吉田浩司(川崎医科大学 症例提示:1.手稲渓仁会病院 消化器内科) 胆膵インターベンション学) 消化器病センター 2.東北大学大学院 消化器内科) 消化器内科 (共催:膵癌早期診断研究会・エーザイ株式会社) 15:00〜16:00 肝・その他 座長:廣橋伸治(大阪暁明館病院 放射線科) 力山敏樹(自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科) 病理コメンテーター:尾島英知(慶應義塾大学 病理学教室) 1 術前診断が困難であった肝孤立性壊死性結節の1例 2 大腸癌肝転移、肝細胞癌、肝血管腫、胆管腺腫が重複した1切除例 3 術前診断が困難であった後腹膜平滑筋腫の1例 森田慎一(新潟大学地域医療教育センター魚沼基幹病院 澤田雄(横浜市立大学 消化器・腫瘍外科) 木下陽亮(大阪市立大学 16:00〜17:00 消化器内科) 消化器内科) 膵臓Ⅰ 座長:糸井隆夫(東京医科大学 消化器内科) 土井隆一郎(大津赤十字病院 病理コメンテーター:能登原憲司(倉敷中央病院 外科) 病理診断科) 4 術前画像診断および細胞診で膵癌を疑い切除を行った1例 5 脾静脈内腫瘍栓を認めた Solid-pseudopapillaly neoplasm の1例 6 外傷を契機に形態変化を来した膵嚢胞性病変の1例 中島陽平(九州大学 臨床腫瘍外科) 紺野直紀(福島県立医科大学 北川洸(手稲渓仁会病院 消化器・リウマチ膠原病内科) 消化器病センター) 13 17:00〜18:30 Meet the Professors(ポスターセッション) 19:00〜21:00 全員懇親会 14 2日目 2月27日㈯ 8:30〜9:30 胆道Ⅰ 座長:伊佐山浩通(東京大学 消化器内科) 佐野力(愛知医科大学病院 消化器外科) 病理コメンテーター:大池信之(昭和大学藤が丘病院 7 管状増殖を示した胆管内腫瘍の1例 8 肝外胆管過形成性ポリープの1切除例 9 胆管粘液癌の1例 松本和幸(岡山大学病院 阪上尊彦(久留米大学 消化器内科) 消化器内科) 中山雄介(国立がん研究センター東病院 9:30〜10:30 臨床病理診断科) 肝胆膵外科) 胆道Ⅱ 座長:植木敏晴(福岡大学筑紫病院 佐野圭二(帝京大学 消化器内科) 外科) 病理コメンテーター:全陽(神戸大学医学部附属病院 病理診断科) 10 乳頭型の肉眼型を呈し、急激な経過をたどった肝門部領域胆管癌の1例 11 下部胆管 adenomyomatous hyperplasia の1例 12 腫瘤形成を伴う肝門部胆管狭窄の1例 池本珠莉(JA 広島厚生連尾道総合病院 消化器内科) 永塩美邦(国立病院機構九州がんセンター 消化器・肝胆膵内科) 伊志嶺朝成(特定医療法人仁愛会浦添総合病院 10:30〜11:30 膵臓Ⅱ 座長:北野雅之(近畿大学 中村雅史(九州大学 消化器病センター 外科) 消化器内科) 臨床・腫瘍外科) 病理コメンテーター:古川徹(東京女子医科大学 統合医科学研究所) 13 未分化癌に相当する微小浸潤巣を伴った IPMN に下部胆管癌が重複した1例 14 発生から経過を追えた膵尾部嚢胞および incidental 膵癌の1例 15 小膵癌との鑑別に苦慮した IPMC の1例 羽場真(釧路労災病院 内科) 佐藤高光(横浜市立大学附属病院 肝胆膵消化器病学) 梶本展明(国立病院機構大分医療センター 15 消化器内科) 11:40〜12:30 ランチョンセミナー『外科医の行う膵癌に対する集学的治療』 司会:海野倫明(東北大学大学院医学系研究科 消化器外科) 演者:藤井努(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科) 共催:大鵬薬品工業株式会社 12:40〜13:20 鼎談 + 1 司会:真口宏介(手稲渓仁会病院 討論者:渡邊五朗(虎の門病院 角谷眞澄(信州大学 消化器病センター) 消化器外科) 画像医学教室) 須山正文(順天堂大学医学部附属浦安病院 + 山雄健次(愛知県がんセンター中央病院 13:25〜13:30 世話人会報告 13:30〜14:30 膵臓Ⅲ 座長:岡庭信司(飯田市立病院 消化器内科) 消化器内科) 消化器内科) 小西大(国立がん研究センター東病院 病理コメンテーター:安川覚(京都府立医科大学 肝胆膵外科) 人体病理学) 16 長期経過観察され、粘液癌の形態で微小浸潤を呈した IPMN 由来浸潤癌の1例 17 膵管内腫瘍の1例 18 術前診断が困難であった Macrocystic serous cystoadenoma の1切除例 小堺史郷(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科) 栗田亮(公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院 高舘達之(東北大学 消化器外科) 16 消化器内科) 14:30〜15:30 膵臓Ⅳ 座長:菊山正隆(静岡県立総合病院 肝胆膵内科) 伊佐勉(浦添総合病院消化器病センター 外科) 病理コメンテーター:山野三紀(順天堂大学医学部附属静岡病院 病理診断科) 19 悪性を否定できず膵体尾部切除を行った自己免疫性膵炎の1例 20 多発膵腫瘤像を呈した膵癌の1例 21 膵多発嚢胞性病変を背景とした膵癌の1例 中村知香(東京大学医学部附属病院 友野輝子(京都大学医学部附属病院 消化器内科) 増井雄一(静岡県立総合病院 15:30〜16:30 消化器内科) 消化器内科) 膵臓Ⅴ 座長:入澤篤志(福島県立医科大学会津医療センター 清水泰博(愛知県がんセンター中央病院 病理コメンテーター:佐々木恵子(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科) 消化器外科) 病理診断科) 22 術前診断が困難であった微小浸潤癌を含む3個の非連続性膵管内腫瘍を有した1例 23 膵体尾部に発生した15cm の嚢胞性病変の1切除例 24 診断に苦慮した1型自己免疫性膵炎の1例 赤尾潤一(東京女子医科大学 余語覚匡(大津赤十字病院 消化器内科) 外科) 阿部友太朗(大阪府立成人病センター 16:30〜16:40 肝胆膵内科) 閉会の挨拶 新代表世話人 次回当番世話人 植木敏晴(福岡大学筑紫病院 17 消化器内科) Meet the Professors(ポスターセッション) 2月26日㈮(1日目) 17:00〜18:30 肝 司会:角谷眞澄(信州大学 画像医学) 病理コメンテーター:中島収(久留米大学病院 臨床検査部) P-1 リンパ節転移を伴う肝腫瘍の1例 P-2 P-V シャントを伴った肝細胞腺腫の1例 P-3 門脈内腫瘤の1例 P-4 胆管内発育を伴った直腸癌肝転移の1例 P-5 術前診断に苦慮した肝外発育型肝血管腫の1例 胆道 伊藤孝(大津赤十字病院 外科) 大西佳文(静岡医療センター 早田有希(三井記念病院 消化器内科) 消化器内科) 金光芳生(順天堂大学医学部附属静岡病院 中島正人(釧路労災病院 消化器内科) 内科) 司会:須山正文(順天堂大学医学部附属浦安病院 病理コメンテーター:鬼島宏(弘前大学 病理生命科学) 消化器内科) P-6 十二指腸乳頭部癌の後縦隔リンパ節転移を EUS-FNA で診断し得た1例 P-7 分流手術後33年経過し嚢胞性腫瘍として認められた遺残膵内胆管癌の1例 P-8 左肝管内に限局した肝細胞癌の1例 P-9 胆道出血を契機に診断された腎細胞癌胆嚢転移の1例 関根匡成(秋田大学 第一内科) 末廣智之(長崎大学病院 消化器内科) 永山林太郎(福岡大学筑紫病院 竹中完(神戸大学医学部附属病院 消化器内科) 消化器内科) P-10 粘液産生胆嚢癌の1例 P-11 術前診断が困難であった、下部胆管、膵頭部の重複癌の1切除例 比佐岳史(佐久総合病院佐久医療センター 平野拓己(千葉徳洲会病院 消化器内科) 18 消化器内科) 腹腔内腫瘍・その他 司会:野田裕(仙台市医療センター仙台オープン病院 病理コメンテーター:濱田義浩(福岡大学 病理学) 消化器内科) P-12 胆管内腫瘍栓を形成し、特異な病理所見を認めた十二指腸粘膜内癌の1例 P-13 腫瘤像を呈した脂肪壊死の1例 P-14 S 状結腸憩室穿孔による急性汎発性腹膜炎ののち,急速に多発性肝・脾転移があらわ 所智和(金沢大学 消化器・腫瘍・再生外科学) 鈴木康治郎(自治医科大学附属さいたま医療センター れた腎集合管癌の1例 大村範幸(大曲厚生医療センター 一般・消化器外科) 外科) P-15 術前診断に難渋した腹腔内線維腫症の1例 P-16 胃壁外発育型 GIST と術前診断した膵内埋没腹腔内デスモイド腫瘍の1例 P-17 胆嚢炎を契機に発見された胆嚢癌肉腫の1切除例 膵Ⅰ 小澤範高(帝京大学医学部附属溝口病院 水野万里(東海大学 消化器内科) 消化器内科) 浅野之夫(藤田保健衛生大学 総合外科・膵臓外科) 司会:真口宏介(手稲渓仁会病院 消化器病センター) 病理コメンテーター:須田耕一(東京西徳洲会病院 病理科) P-18 術前に通常型膵癌の併存が疑われた混合型 IPMN の1例 P-19 急速な膨張性発育を呈した、横紋筋肉腫を伴う膵原発 anaplastic carcinoma with 古賀毅彦(済生会熊本病院 spindle cell type の1例 兼光梢(JA 尾道総合病院 消化器病センター) 消化器内科) P-20 膵管内管状乳頭腫瘍(ITPN)が疑われ診断に苦慮した膵管内腫瘍の1切除例 P-21 主膵管型 IPMN と自己免疫性膵炎が合併した1例 P-22 膵神経内分泌腫瘍の1例 P-23 術前診断に難渋した膵腫瘤の1例 香川幸一(NTT 東日本関東病院 中野絵里子(東北大学 消化器内科) 消化器内科) 山子泰加(愛媛県立中央病院 丸山雅史(長野赤十字病院 消化器内科) 消化器内科) 19 膵Ⅱ 司会:山上裕機(和歌山医科大学 第2外科) 病理コメンテーター:渡辺英伸(PCJ Japan 病理・細胞診センター) P-24 興味深い画像所見を呈した膵管内腫瘍の1例 P-25 術前診断に難渋した膵原発髄外形質細胞腫の1切除例 P-26 非典型的な画像所見を呈した膵神経内分泌腫瘍の1例 P-27 McCune-Albright 症候群に合併した膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の1例 P-28 膵癌疑いで切除した慢性膵炎の1例 P-29 画像診断に苦慮した多房性膵嚢胞性腫瘍の1例 膵Ⅲ 本定三季(東京医科大学 消化器内科) 倉橋真太郎(愛知医科大学病院 津島健(広島大学病院 消化器外科) 消化器・代謝内科) 北出卓(三重大学医学部附属病院 柳井優香(大分赤十字病院 川野道隆(山口大学 光学医療診療部) 肝胆膵内科) 消化器病態内科) 司会:花田敬士(JA 尾道総合病院 病理コメンテーター:柳澤昭夫(京都府立医科大学 消化器内科) 人体病理学) P-30 術前化学療法施行後に出血壊死を生じた膵管癌の1例 P-31 ITPN と術前診断した膵管内腫瘍の1例 P-32 Mucinous cystadenocarcinoma 内に発生した anaplastic carcinoma の1例 P-33 画像診断が困難であった膵腫瘍の1剖検例 P-34 特異な画像所見を呈した LPSP の1例 P-35 石灰化を伴い内部 debris 様エコーと充実構造を認めた膵粘液性嚢胞腺腫の1例 松原崇史(金沢大学 放射線科) 丹家元祥(大阪赤十字病院 消化器内科) 塩路和彦(新潟県立がんセンター新潟病院 松崎晋平(鈴鹿中央総合病院 吹上綾美(県立広島病院 内科) 消化器内科) 消化器内科) 小泉一也(湘南鎌倉総合病院 消化器病センター) 20 膵Ⅳ 司会:平野聡(北海道大学 消化器外科Ⅱ) 病理コメンテーター:福嶋敬宜(自治医科大学 病理学・病理診断科) P-36 感染性膵嚢胞治療中に嚢胞内に浸潤性膵癌が判明した1例 P-37 術前診断に難渋した膵多房性嚢胞の1例 P-38 腫瘍境界の診断に苦慮した膵癌症例 P-39 clinically aggressive SPN の1例 P-40 長期化学療法後に切除術を施行しえた局所進行膵癌の1例 P-41 膵管内進展を伴った膵神経内分泌腫瘍の1例 平田渉(彦根市立病院 外科) 白田龍之介(日本赤十字社医療センター 消化器内科) 藤澤真理子(福島県立医科大学会津医療センター 中島義博(川崎医科大学 大田洋平(横浜市立大学 消化器内科) 肝胆膵内科) 消化器・腫瘍外科) 吉田司(愛知県がんセンター中央病院 21 消化器内科) 一般演題 1 術前診断が困難であった肝孤立性壊死性結節の一例 森田慎一1)、星隆洋1)、兼藤努1)、小林正明1)、須田剛士1)、平野謙一郎2)、角南栄二2)、小杉伸一2)、 長谷川剛3)、女屋博昭4) 新潟大学地域医療教育センター 群馬県立がんセンター 67歳男性、大酒家 魚沼基幹病院 放射線診断部4) 消化器内科1)、同 消化器外科2)、同 病理診断科3)、 【主訴】特記事項なし、肝腫瘍精査 【既往歴】糖尿病 【現症】腫瘤は触知せず。血液生化学所見にて肝胆道系酵素の上昇あり。各種肝炎、腫瘍マーカーは陰性。 【画像所見】肝 S8辺縁に25mm 大の結節あり。肝表に接し、同部で肝被膜は陥凹し少量の液体貯留を認めた。造 影 US では血管相で漸増性に染影し、後血管相で陰影欠損を認めた。CT の単純相にて低吸収、内部に淡い高吸収 域を認めた。Dynamic 造影では辺縁のみ早期より造影効果を呈し、内部はわずかに造影されるのみであった。MRI の T1WI は高信号と低信号が混在、T2WI は辺縁が強い高信号、内部は低信号、DWI は拡散低下を認めず、EOBGd 造影肝細胞相は低信号であった。結節内部の脂肪含有、造影効果、背景肝疾患の存在より肝細胞癌と診断し前 区域切除術を行った。 【病理所見】肉眼像では辺縁に被膜を伴い、内部にモザイク状の類円形結節を認めた。結節は広範に出血壊死をき たし、一部に線維化巣を認めた。病変周囲には硬化閉塞した門脈が多数観察された。明らかな腫瘍細胞を認めな かった。 【考察】肝細胞癌と診断し手術を行うも腫瘍は認めなかった。特徴所見とされる被膜内の弾性線維は認めないが、 結節は大半を出血および壊死組織で構成され肝孤立性壊死性結節と考えた。肝孤立性壊死性結節は稀な病変であ り、その術前診断の可能性および病変の成因に関し考察する。 23 2 大腸癌肝転移、肝細胞癌、肝血管腫、胆管腺腫が重複した1切除例 澤田雄1)、熊本宜文1)、久保博一1)、平谷清吾1)、大田洋平1)、森隆太郎1)、松山隆生1)、武田和永1)、 秋山浩利1)、松村舞依2)、立石陽子2)、山中正二2)、遠藤格2) 横浜市立大学 消化器・腫瘍外科1)、同 病理部2) 症例は、64歳男性。既往歴に糖尿病あり。直腸癌同時性肝転移と診断され、直腸切除を先行し、肝転移に対して は FOLFOX+ C-mab を8コース施行された。効果判定は SD で、肝転移巣の切除目的に当院を紹介された。肝炎 ウィルスは陰性で、PIVKA- Ⅱ 126mAU/ml と上昇を認めたほかは CEA、CA19-9、AFP いずれの腫瘍マーカー も正常範囲内であった。CTHA では、① S3 13mm、② S3 20mm、③ S3/4 30mm、④ S6 18mm、⑤ S7 24mm、⑥ S8/7 28mm、⑦ S8 16mm に早期濃染像を認め、CTAP では、②③④⑤⑥⑦は perfusion defect を認めた。EOB- MRI では①②は同定できなかったが、動脈相では④は辺縁優位な造影増強効果があり、③⑤⑥⑦は不整形の造影 効果を呈していた。④⑤⑥は平衡相で wash out されていたが、③は造影効果が持続していた。術前に③は血管腫 を疑ったが、他の腫瘤は直腸癌の肝転移巣と診断し、2段階肝切除の方針とした。右門脈塞栓と左葉の部分切除を 施行し、2期目切除では右葉切除を施行した。②⑦は術中エコーで同定できなかった。病理組織学的検査で、①胆 管腺腫、③血管腫、④中分化型腺癌、⑤⑥中分化型肝細胞癌と診断した。直腸癌併存患者に肝腫瘤を認めた場合、 転移性腫瘍のみならず、他癌併存の可能性も念頭においた診断および治療計画が必要と考えられた。 24 3 術前診断が困難であった後腹膜平滑筋腫の1例 木下陽亮、杉森聖司、垣谷有紀、林克平、田上光治郎、丸山紘嗣、加藤邦洋、木幡幸恵、斯波将次、 富永和作、荒川哲男 大阪市立大学大学院医学研究科 【症例】40歳代 女性 消化器内科学 【主訴】症状なし、腹部腫瘤精査 【現病歴】患者は腰痛症、慢性膵炎で近医に通院していたが、スクリーニング目的の腹部エコー検査で膵に7㎝大 の腫瘤を指摘された。精査目的で前医に紹介受診、造影 CT、MRI を行い、Solid-pseudopapillary neoplasm が疑 われたため、精査加療目的で当科紹介受診した。 【検査所見】CEA 2.3ng/ml、CA19-9 3.6 U/ml、DU-PAN-2 25 U/ml 以下、Span-1 10 U/ml 以下。造影 CT では膵 体部腹側に内部に石灰化を伴う6㎝大の類円形腫瘤像を認めた。MRI では病変の内部信号は T1WI にて低信号、T2WI にて不均一に淡い高信号であった。EUS では内部不均一な低エコー性腫瘤として描出され、石灰化を示す高エコー 部を認めた。石灰化は卵殻状に認めたため Solid-pseudopapillary neoplasm を第一に疑った。 【経過】消化器外科にて開腹手術を行ったが、腫瘤は膵外にあり後腹膜腫瘤として摘出された。病理診断にて平滑 筋腫と診断された。 【論点】①当院では術前診断に至らなかったが、画像診断で術前診断は可能であったか。②また、可能であれば、 どういった点に着目すべきであったか。③画像で内部不均一に描出された理由が組織学的に説明可能か、につい て議論をお願いいたします。 25 4 術前画像診断および細胞診で膵癌を疑い切除を行った1例 中島陽平1)、森泰寿1)、藤本嵩聡1)、木村英世1)、松永壮人1)、仲田興平1)、宮坂義浩1)、大塚隆生1)、 大石善丈2)、小田義直2)、中村雅史1) 九州大学 臨床腫瘍外科1)、同 形態機能病理学2) 【はじめに】膵癌の前癌病変である PanIN 病変は膵管内に限局した上皮増殖病変である。直接的な画像診断は困難 であり、膵管狭窄や拡張、膵嚢胞などの間接所見しか認めないことが多い。今回我々は主膵管狭窄を認め、術前 ENPD 留置下膵液細胞診で ClassIV と診断し、膵体尾部切除術を施行するも最終病理診断で悪性所見を認めなかっ た症例を経験したので報告する。 【症例】78歳、男性。近医で高アミラーゼ血症を指摘され、精査目的に当院内科を紹介受診した。US/CT/MRI で慢 性膵炎および膵体部主膵管の狭窄とその上流の拡張を認めた。腫瘍性病変は指摘できず、慢性膵炎の線維化に伴 う主膵管狭窄の診断で経過観察となった。6か月後の精査では体部の主膵管狭窄は残存し、上流側の拡張が増悪 していた。腫瘤性病変は指摘できないものの、膵癌を否定できなかったため ERCP 下細胞診を施行した。ENPD 留 置下膵液細胞診で ClassIV の診断であり、膵体部癌(Stage 0)の診断で膵体尾部切除術を施行した。最終病理診 断は主膵管狭窄部および分枝膵管に PanIN-1A 〜2病変を認めるのみであった。 【結語】主膵管狭窄を認め、術前膵液細胞診で ClassIV の診断であったが、最終診断で悪性所見を認めなかった症 例を経験した。術前画像診断および細胞診と最終病理診断の乖離があり、示唆に富む症例であったため報告する。 26 5 脾静脈内腫瘍栓を認めた Solid-pseudopapillaly neoplasm の1例 紺野直紀1)、高木忠之1)、鈴木玲1)、杉本充1)、引地拓人2)、渡辺晃2)、菊地眸1)、藁谷雄一2)、浅間宏之1)、小原勝 敏3)、大平弘正1) 福島県立医科大学医学部 消化器・リウマチ膠原病内科学講座1)、 福島県立医科大学附属病院 内視鏡診療部2)、 福島県立医科大学 消化器内視鏡先端医療支援講座3) 【背景】Solid-pseudopapillaly neoplasm(SPN)は主に若年女性にみられる比較的予後良好な膵腫瘍であるが、19.5% に 転移や浸潤を認めるとされている。 【症例】56歳、女性 【主訴】特になし 【既往歴】26歳 虫垂炎にて手術、40歳 糖尿病、56歳 右乳癌にて手術 【現病歴】2013年12月に右乳癌と診断され、術前の CT にて膵体部及び尾部に石灰化を伴う腫瘤を認められた。乳癌の手 術後に、膵腫瘤の精査・加療目的に2014年4月に当院へ紹介となった。 【主な検査成績】採血では、軽度耐糖能障害を認めるほかは特記すべき所見はなく、CEA、CA19-9、NSE、AFP は正常範 囲内であった。腹部造影 CT では、膵体部に30mm 大、尾部に25mm 大の石灰化を伴う境界明瞭な嚢胞性病変を認めた。 【入院後経過】膵体部、尾部の腫瘤に対し、SPN の2病変を疑い EUS-FNA を施行した。尾部の病変は壊死性変性が強く、 確定診断には至らなかった。体部の病変は、類円形核を有する細胞が偽乳頭状に増殖しており、免疫染色で、Vimentin、 CD10、β -catenin(核・細胞膜)陽性であったことから SPN と診断された。その後、膵体尾部切除術を施行され、外来 で経過観察中である。 【病理組織所見】体部病変:類円形核を有する細胞が偽乳頭状に増殖しており、SPN の診断であった。尾部病変:脾静脈 内の一部に SPN の細胞集塊あり、腫瘍塞栓と診断された。 【結語】脾静脈内腫瘍栓を認めた SPN の1例を経験した。 【検討事項】①病理組織学的に腫瘍栓としてよいか。②術前の CT、EUS で腫瘍栓の診断は可能か。 27 6 外傷を契機に形態変化を来した膵嚢胞性病変の1例 北川洸1)、真口宏介1)、高橋邦幸1)、潟沼朗生1)、矢根圭1)、金俊文1)、佐野逸紀1)、五十嵐聡1)、安保義恭2)、 大森優子3)、篠原敏也3) 手稲渓仁会病院 消化器病センター1)、同 外科2)、同 病理診断科3) 症例は40歳台女性。2011年頃から間欠的な腹痛を認め近医受診、膵体部の嚢胞性病変を指摘され、2012年2月に精 査目的で当センターに紹介となる。1日ビール350ml と焼酎2合の飲酒歴がある。US では膵体部に18mm 大の単房 性の嚢胞性病変があり、内部に ring 状の高エコーを認め蛋白栓を疑う所見であった。造影 CT にて嚢胞壁の肥厚 や隔壁を認めず、MRCP では嚢胞内部は均一な高信号と一部に信号低下域を認めた。以上より蛋白栓を伴う貯留 嚢胞もしくは MCN を疑い、経過観察の方針とした。経過中に囊胞径は徐々に増大し、2014年9月には26mm とな り、手術を勧められたが経過観察を希望された。その後、右側腹部を打撲し、腹痛の頻度が増加した。2015年3月 ( 初診時から約3年経過後 ) の造影 CT にて膵体部嚢胞はふたこぶ状に形態が変化し、既存の囊胞は径32mm と増大 し、連続して足側に突出するように径20mm 大の囊胞が出現し、長径は45mm となっていた。MRCP ではふたこ ぶ状の囊胞の内部は均一な高信号であった。EUS では既存の嚢胞内の一部に隔壁が見られ、被膜部に小さな cysts in cyst を疑う所見を認めた。ERCP では膵管と嚢胞の交通を認めず、ENPD 留置下の膵液細胞診は陰性であった。 以上より、MCN の外傷に伴う出血性の形態変化を疑い、膵体尾部切除術を施行した。 28 7 管状増殖を示した胆管内腫瘍の1例 松本和幸1)、加藤博也1)、吉田龍一2)、田中顕之3)、高木弘誠2)、友田健1)、山本直樹1)、堀口繁1)、 堤康一郎1)、八木孝仁2)、岡田裕之1) 岡山大学病院 消化器内科1)、同 肝・胆・膵外科、同 第二病理学3) 症例は40歳代、男性。高度下痢による脱水で入院となった。腹部 US では肝左葉に境界明瞭な嚢胞性病変を認め、 嚢胞内部辺縁に高エコーな乳頭状構造物を認めた。腹部造影 CT では肝左葉を占拠する直径約20cm のだるま状の 嚢胞性腫瘤を認め、内部には嚢胞内腔へ突出し、淡く造影される乳頭状の充実部を伴っていた。腹部 MRI は嚢胞 内は T1画像で低信号、T2画像で高信号、HeavyT2画像で高信号であり、粘稠度の低い液体成分の存在を疑った。 DWI では、内部の充実部で拡散信号の低下を認めた。ERCP を施行すると、乳頭から漿液性の液体が大量に流出し ていた。胆管造影では胆管に拡張は認めず、粘液透亮像は明らかではなかったが、腫瘤と胆管との交通を認めた。 以上より IPNB を疑い、肝拡大左葉切除術を施行した。病理所見は嚢状に拡張した胆管内に主に管状増殖を示す腫 瘤を認めた。異型度は全体として high-grade dysplasia 相当であったが、一部に微小浸潤部を認めた。腫瘍の乳 頭状増殖は明らかではなく、粘液の過剰産生は認めなかった。免疫染色は MUC 1一部陽性、MUC 2陰性、MUC5AC 一部陽性、MUC 6陽性であった。なお、術後に下痢症状は改善した。 当院では画像・病理所見から IPNB と診断したが、腫瘍が主に管状増殖を示した点が IPNB としてよいか疑問であ る。管状増殖を示す腫瘍として ITPN があるが、漿液性であるものの液体の過剰産生を認め、MUC5AC の発現を認 める点が合致しないと考える。両者の鑑別について討論頂きたい。 29 8 肝外胆管過形成性ポリープの一切除例 阪上尊彦1)、石田祐介1)、岡部義信1)、安元真希子1)、牛島知之1)、川原隆一2)、久下亨2)、内藤嘉紀3)、 奥田康司2)、中島収4)、鳥村拓司1) 久留米大学医学部 同 臨床検査部4) 内科学講座 消化器内科部門1)、同 外科学講座2)、同 病理学講座3)、 症例は49歳、女性。数年前より肝外胆管内に腫瘤性病変を指摘されていたが、特に精査は行われず経過観察とな っていた。この間胆管炎と思われる発熱の既往もあり、胆管内腫瘤の精査目的に当科へ紹介受診となった。腹部 エコーでは肝外胆管内に高エコーと低エコーが混在した境界明瞭・辺縁整な30mm 大の腫瘤を認め、上流側胆管 の拡張を認めた。腹部造影 CT・MRI で腫瘤は肝外胆管内腔に充満するように存在し漸増性に造影され、一部に cystic area をみた。EUS では比較的高エコーな腫瘤として描出され、内部には macrocyst と microcyst が混在して いた。ERC では肝門部直下に辺縁整な defect を認め、経口胆道鏡では粘膜下腫瘍様で Cushion sign 陽性であった。 健常胆管粘膜と比較すると発赤調で表層血管の拡張が目立つ程度であり、病変より下流の胆管粘膜に腫瘍の進展 は認めなかった。FDG-PET では異常集積はみられなかった。良性腫瘍や低悪性度腫瘍が予想されたが、胆管炎の 既往もあることから今後の胆汁うっ滞のリスクを考慮し切除の方針となった。病変は肝外胆管に限局しており肝 外胆管切除術を施行したところ、病理組織診断では異所性胃粘膜から発生した過形成性ポリープであった。 30 9 胆管粘液癌の1例 中山雄介1)、高橋進一郎1)、加藤祐一郎1)、後藤田直人1)、小嶋基寛2)、小林達伺3)、小西大1) 国立がん研究センター東病院 肝胆膵外科1)、同 病理診断科2)、同 放射線診断科3) 症例は70歳代男性.食思不振を契機に前医を受診し,黄疸を指摘され当院紹介となった.腹部超音波検査では, 下部胆管に30mm 大の比較的境界の明瞭な低エコー腫瘍を認めた.腫瘍内部には血流信号は認めなかった.腹部 造影 CT では,下部胆管に全周性の狭窄を認め,狭窄部は動脈相から門脈相にかけて遷延性の造影効果を認めた. MRCP では,下部胆管内に隆起性病変を認め先細り状の狭窄像を呈していた.以上より,遠位胆管癌と診断し, 亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.標本上は明らかな粘液は認めなかったが,病理組織学的には,胆管 上皮に不整な腺管構造を認めるものの,胆管壁は粘液湖と粘液産出腫瘍に占められていた.粘液湖内には小塊状 の腺癌細胞が浮遊しており,一部は印環細胞様の腫瘍細胞が認められた.粘液癌成分が腫瘍の50% 以上を占めて おり,胆管粘液癌(pT2N0M0 fStageIB)と最終診断した. 胆管原発の粘液癌は非常にまれであり,特に病理所見について検討したい. 31 10 乳頭型の肉眼型を呈し、急激な経過をたどった肝門部領域胆管癌の1例 池本珠莉1)、花田敬士1)、南智之1)、兼光梢1)、平野巨通1)、米原修治2)、小林剛3)、大段秀樹3)、有廣光司4) JA 広島厚生連尾道総合病院 広島大学病院 【主訴】黄疸 消化器内科1)、同 消化器外科・移植外科3)、同 病理研究検査科2)、 病理診断科4) 【既往歴】なし 【現病歴】201X 年1月下旬より皮膚黄染、尿の褐色を自覚し、2月に当院を受診した。血液検査では、T-Bil、肝胆 道系酵素及び CA19-9の上昇を認めた。腹部造影 MDCT では、右肝管〜肝門部胆管内に造影効果を伴う乳頭状の 腫瘍性病変および末梢の肝内胆管の拡張を認めた。MRCP では肝門部胆管は途絶し、いわゆる泣き別れ像であっ た。IDUS では、右肝管〜胆嚢管分岐部に腫瘍が充満していたが、B4根部は陰性と判断した。門脈や右肝動脈、肝 十二指腸間膜への明らかな浸潤を認めず、腫瘍部胆管の外層高エコーは保たれていた。腫瘍生検では spindle cell carcinoma であり、肝門部領域胆管癌 占拠部位 BP-dc、circ、papillary type T1N0M0 Stage Ⅰと診断、拡大右葉 切除術を施行した。病理組織所見では、粘膜から線維筋層にかけて大型紡錘形の異型細胞が錯綜して浸潤し、一 部の腫瘍細胞は大型で奇怪な核や不整形の多核を示した。免疫染色では大部分の腫瘍細胞は vimentin 強陽性、CK7 及び CK19陽性、EMA は focal に陽性、腫瘍細胞の30%は SNAIL 陽性であり、spindle cell carcinoma pT1a(fm) N0M0 Stage Ⅰと診断されたが、術後2か月で断端再発を来し、術後5ヶ月で癌死した。画像診断では腫瘍の形態 は乳頭型であり緩徐な経過が予想されたが、急速な転機をたどった症例であった。 32 11 下部胆管 adenomyomatous hyperplasia の1例 永塩美邦1)、久野晃聖1)、橋本理沙1)、田尻博敬1)、荒武良総1)、杉本理恵1)、辻田英司2)、山下洋市2)、 伏見文良3)、田口健一3)、古川正幸1) 国立病院機構九州がんセンター 消化器・肝胆膵内科1)、同 肝胆膵外科2)、同 病理診断科3) 症例は60歳代男性。スクリーニング目的に施行された腹部超音波検査で両側肝内胆管〜肝外胆管にかけての拡張 を指摘され前医に入院した。自覚症状はなく肝胆道系酵素は正常範囲であったが、CA19-9高値 (140.8 U/ml) であ った。腹部造影 CT では下部胆管に造影効果を有する腫瘤を認めた。ERCP、下部胆管生検、胆管擦過細胞診、胆 汁細胞診を行うも確定診断に至らず当科入院となった。EUS では乳頭部〜下部胆管に14.9mm 大で内部に低エコー 部を有する高エコー腫瘤を認め、同部位の乳頭型胆管癌を疑い EUS-FNA を行ったが Atypical epithelium であった。 ERC では下部胆管に狭窄を認め、IDUS では高エコー腫瘤として描出され、経口胆道鏡 (SpyGlass) では乳頭状の隆 起性病変を認めた。経乳頭的下部胆管生検の結果も Atypical epithelium で腺癌の診断は得られなかったが、乳頭 型の胆管腫瘍と術前診断し膵頭十二指腸切術を施行した。病理では下部胆管に異型のない過形成性の腺上皮と平 滑筋の増生を認め adenomyomatous hyperplasia と診断した。 (討論したいポイント)⑴病理診断は適切か。⑵ EUS-FNA と経乳頭胆管生検で診断可能であったか。⑶画像診断では病変は乳頭部胆管〜下部胆管にあるが、病理 組織学的評価では病変はどこまで存在するのか。 33 12 腫瘤形成を伴う肝門部胆管狭窄の1例 伊志嶺朝成1)、亀山眞一郎1)、本成永1)、伊佐勉1)、小橋川嘉泉2) 特定医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター 外科1)、同 内科2) 症例は37歳女性 . 2014年10月検診にて CA19-9の上昇 (46.0) を指摘されるも ,CT にて異常なし .2015年3月 , 黄疸掻痒 感にて近医受診 . 造影 CT: 肝門部右側に16x17mm の腫瘤 ,ERCP: 肝門部から上部胆管の狭窄 ,PET-CT: 肝門部に FDG 集積を認め , 精査加療目的にて4月当院受診 . 左右肝管狭窄 (ERCP/EUS/IDUS) を認め , 胆管生検 / 細胞診にて class II- IIIa, 左肝管に ENBD 留置 . 腹部 US: 肝門部右側に24x18.5mm の境界不明瞭 , 内部不均一な腫瘤を認めた .T-Bil:16.7,AS T:50,ALT:29,ALP:842,r-GTP:22,CEA:2.3,CA19-9:174.7, ANCA/ANA: 正常 ,IgG4: 52(4-108mg/dl). 減黄後 T-Bil: 1.1,AST:2 8,ALT:22,CEA:0.7,CA19-9:34.9と腫瘍マーカーは正常となったが腫瘤は変化せず , 肝門部胆管癌を疑い ,7月 : 拡大肝右 葉切除尾状葉切除 + 胆管空腸吻合施行 . 病理検査 : 右肝管周囲に白色の線維化を伴うリンパ球 , 形質細胞浸潤 , 免疫染 色 :IgG4:40% . 最終診断 : 非特異的胆管炎の診断となった . 胆管癌と鑑別困難な IgG4関連胆管炎や原発性硬化性胆管炎に伴う良性胆管狭窄はまれに見られるが , 本症例のよ うに明らかな腫瘤を形成する肝門部良性胆管狭窄は極めてまれと考え報告します 34 13 未分化癌に相当する微小浸潤巣を伴った IPMN に下部胆管癌が重複した1例 羽場真1)、小林良充1)、小田寿1)、曽我部進1)、高橋一宏1)、寺下勝巳1)、小笠原和宏2)、石田雄介3)、 宮城島拓人1) 釧路労災病院 内科1)、同 外科2)、同 病理科3) 症例は67歳,男性.感冒様症状のために近医を受診した際に皮膚の黄染を指摘されたため精査目的に当院へ紹介 となった.血液検査では肝胆道系酵素の上昇を認めたが腫瘍マーカーは正常範囲であった.CT では肝内・肝外 胆管の拡張を認め,下部胆管において胆管壁の肥厚と狭窄を呈し,膵鈎部から頭部にかけて46mm 大の多房性嚢 胞性病変を認めた.造影効果を有する壁在結節はみられず , 主膵管は膵頭部から尾部まで拡張を呈し,その最大 径は14mm であった.EUS では下部胆管で壁肥厚を呈していたが,外側高エコー層の断裂は明らかではなかった. 下部胆管に隣接するように膵頭部に多房性嚢胞性病変を認め,嚢胞内部に壁在結節は指摘し得ず,主膵管壁にも 隆起性病変は認められなかった.ERC では下部胆管に限局した狭窄を認め,引き続いて施行した経乳頭的胆管生 検で腺癌の診断であった.以上より,下部胆管癌と膵頭部の分枝型 IPMN の合併と診断し,膵頭十二指腸切除術 を施行した . 病理学的には遠位胆管に膵浸潤を伴う中分化〜高分化相当の腺癌を認めた.一方膵病変については 肉眼的には明らかな嚢胞を呈さず,主膵管内を充満するように上皮内癌相当の異型度を示す乳頭状病変を認め, 近接するように間質に未分化癌に相当する異型度の5mm 程度の浸潤癌胞巣を伴っていた.胆管癌と IPMC の重複 癌であり,かつ IPMC が浸潤後に未分化癌となった,あるいは未分化癌と併存した腫瘍と考えられた. 35 14 発生から経過を追えた膵尾部嚢胞および incidental 膵癌の一例 佐藤高光1)、藤田祐司1)、長谷川翔1)、岩崎暁人1)、加藤真吾1)、細野邦広1)、遠藤格2)、梅田茂明3)、 窪田賢輔1) 横浜市立大学附属病院 肝胆膵消化器病学1)、同 消化器・腫瘍外科学2)、同 病理部3) 症例は54歳女性で、2002年 (42歳 ) に左乳癌で手術を施行され、2012年 (50歳 ) にリンパ節再発を認めホルモン療法 中の方。年1回の CT にてフォローされてきたが、2013年1月の CT より膵尾部に微小な低吸収領域が出現。2014年 7月の CT で嚢胞性病変として急激に増大を認めた。病変は25mm 大の単房性の嚢胞性腫瘍であり、全周性に均一 な造影効果のある壁を有していた。MRI では T2WI 高信号、T1WI 等信号を呈し、MRCP では膵管との交通は明 らかではなかった。EUS にて嚢胞内部は不均一な点状エコーを有し、明らかな隔壁、結節、壁在嚢胞は認めない が、嚢胞壁は3mm まで肥厚していた。画像からは MCN や Epidermoid Cyst が鑑別であり、腫瘍の出現に伴い CEA 5.0ng/ml、DUPAN-2 370U/ml と腫瘍マーカーが上昇傾向にあったことから、膵体尾部切除術の方針となった。 腹腔鏡下に膵体尾部切除術を施行されたが、切除断端に上皮内癌を認めたため開腹にて追加切除を施行された。切 除標本にて、膵尾部嚢胞の内腔は部分的に扁平上皮に覆われており、上皮内から上皮化間質にかけてリンパ球浸 潤が認められた。嚢胞壁に red pulp を含む脾臓組織を認めたことから、膵内副脾に発生した Epidermoid Cyst の 診断となった。また1回目の切除断端には微小浸潤癌、それ以外の分枝膵管内にも PanIN2相当の上皮内腫瘍を認 めた。 発生から経過を追えた Epidermoid Cyst に微小浸潤癌および PanIN が併発した珍しい1例であり、画像および病理 診断についてフィードバックしたい。 36 15 小膵癌との鑑別に苦慮した IPMC の1例 梶本展明1)、福地聡士1)、得丸智子1)、新関修1)、山下勉1)、室豊吉1)、杉田諭2)、田原光一郎2)、森内昭3)、 村上和成4) 国立病院機構大分医療センター 大分大学医学部 消化器内科4) 消化器内科1)、同 外科2)、同 病理3)、 症例は72歳、男性。当院での前立腺肥大症に対する術後 CT 検査にて膵体尾部主膵管拡張を指摘され、当科紹介受 診となった。造影 CT 検査では、膵体尾部主膵管拡張と拡張部位のやや頭側に嚢胞性病変を認めたが、拡張部位・ 狭窄部には腫瘤性病変は認められなかった。MRCP でも同様の所見が得られ、EUS では、主膵管の拡張頭側の狭 窄周囲に低エコー域があり、造影 EUS でも造影不良域が疑われた。ERCP 施行、乳頭の内視鏡所見では,主乳頭, 副乳頭からの粘液の流出は認めなかった。不全型の膵管融合不全を認め,副膵管より ERP 施行、体尾部主膵管の 急峻な拡張を認め、狭窄部位に対する擦過細胞診を施行。細胞診 ClassIII 〜 IIIb との結果であった。画像より小膵 癌を疑い、膵体尾部切除術施行した。病理所見は狭窄近傍の主膵管および拡張した分枝膵管に、10mm 大の IPMC を認め、その周囲に15mm 大の IPMA が存在した。 討論していただきたい点 小膵癌と鑑別困難に苦慮した IPMC で、術前に IPMC と診断し得たか、ご討議いただきたい。 37 16 長期経過観察され、粘液癌の形態で微小浸潤を呈した IPMN 由来浸潤癌の1例 小堺史郷1)、枡かおり1)、越田真介1)、伊藤啓1)、菅野良秀1)、小川貴央1)、柾木喜晴1)、野田裕1)、 及川昌也2)、土屋誉2)、澤井高志3) 仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科1)、同 消化器外科2)、同 病理部3) 症例は75歳、女性。他院の CT で膵頭部病変を指摘され、当院初診。膵頭部の20mm 大の分枝型 IPMN と診断した。 主膵管径は2mm で、壁在結節等の悪性所見を認めず、半年毎の経過観察の方針となった。以後、拡張分枝径およ び主膵管径の緩徐な増大を認めていたが、9年後の EUS で拡張分枝内の壁在結節と主膵管への進展所見を認め、入 院精査となった。CT および MRCP で膵頭部に35mm 大の嚢胞性病変を認め、主膵管は7mm と拡張を認めた。EUS で膵頭部病変に最大6mm 高の壁在結節を認め、壁在結節は頭体移行部の主膵管まで進展していた。ERP で拡張し た主膵管内に粘液または結節の主膵管進展を疑う defect を認め、IDUS で主膵管内の壁在結節は頭体移行部まで連 続していた。膵液細胞診 ( セルブロック法 ) を行い、HE 染色で ClassII であったが、特殊染色を追加し、Ki67LI 30%、 p53高度陽性所見から ClassV と診断した。以上より high grade dysplasia または微小浸潤癌程度の IPMN と診断し、 亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織診断では、膵頭部の拡張分枝および近傍の主膵管内に乳頭 状異型上皮がみられ、特殊染色で Ki67LI 40%、p53高度陽性、MUC2陽性で、一部粘液癌の微小浸潤もみられた。 主膵管の切除断端は陰性であった。腸型の IPMN に由来した微小浸潤癌と診断した。長期経過観察中に主膵管へ 壁在結節の明瞭な進展を呈し、粘液癌の微小浸潤の形態で浸潤癌へ至った貴重な IPMN の症例と考え、報告する。 38 17 膵管内腫瘍の一例 栗田亮1)、薗誠1)、工藤寧1)、八隅秀二郎1)、内田洋一朗2)、森章2)、寺嶋宏明2)、弓場吉哲3) 公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院 消化器センター内科1)、同 外科2)、同 病理診断科3) 症例は71歳代男性。糖尿病増悪の精査目的の MRCP で膵頭部に腫瘤性病変と尾側膵管の拡張を認め、精査目的で 2015年2月に当院紹介となった。腹部造影 CT で膵頭部主膵管内にに早期相から遅延相まで軽度の造影効果を伴う 10mm 大の腫瘤と尾側膵管の拡張を認めた。MRI では腫瘤は T1低信号、T2高進号、拡散強調像で拡散の低下を 認めた。超音波内視鏡検査では膵頭部主膵管内に10mm 大の境界明瞭で辺縁平滑な類円形のやや高エコーの腫瘤 を認めた。膵管造影では膵頭部主膵管から Santorni 管内に陰影欠損を認めた。以上より膵管内腫瘍の形態を呈し ており、膵液細胞診で Class Ⅲ b と診断したため、Intraductal tubulopapillary neoplasm (ITPN) と術前診断し亜全 胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織標本ではマクロ上明らかな粘液産生はみられなかったものの、低 異型度の胃幽門腺類似の腺管構造が粘液を伴って増生しており、粘液形質の結果からも IPMN の1亜型である ITA と最終診断した。 39 18 術前診断が困難であった Macrocystic serous cystoadenoma の1切除例 高舘達之1)、水間正道1)、橘知睦1)、森川孝則1)、林洋毅1)、中川圭1)、藤島史喜2)、菅野敦3)、下瀬川徹3)、 元井冬彦1)、海野倫明1) 東北大学 消化器外科学1)、同 病理部2)、同 消化器内科学3) 症例は68歳の女性。スクリーニングの腹部超音波検査で膵体部に嚢胞性腫瘍を指摘され、前医を紹介され受診し た。精査の結果、径25mm の嚢胞で、嚢胞内結節や主膵管拡張なく、経過観察の方針となった。6ヵ月後の CT で 径30mm、さらに6ヵ月後の CT で径32mm と徐々に増大傾向を認めたため、膵液細胞診を施行したところ Class V、 adenocarcinoma の判定で、分枝型 IPMC と診断され、手術目的に当科紹介された。当院の CT では膵体部に造影 効果のある結節を伴う嚢胞性病変を、MRI でも内部に充実成分を伴う多房性嚢胞を認めた。EUS では隔壁の肥厚 を伴う多房性嚢胞を認めたが乳頭状ではなく、嚢胞壁の肥厚や結節は認められなかった。頭側の主膵管の拡張は なく尾側主膵管の軽度拡張を認めた。ERCP では、粘液の排出はなく、嚢胞は主膵管と交通を認め、嚢胞の乳頭 側に限局性の膵管狭窄を認めた。嚢胞より尾側の主膵管は拡張していた。膵管擦過細胞診は Class III の診断であ った。PET では異常集積を認めなかった。以上から、CIS を疑う病変による膵管狭窄と、それに伴う貯留嚢胞を 疑い、膵体尾部切除術を施行した。病理組織所見では嚢胞内部は、グリコーゲン顆粒を豊富に有する、小型で異 型に乏しい類円形の核と淡明な細胞質を持つ立方状の上皮に覆われており、免疫組織化学では MUC1+、MUC2-、 MUC5AC-、MUC6+、α -Inhibin+ で、Macrocystic serous cystoadenoma の診断であった。発表では術前診断を 中心に議論したい。 40 19 悪性を否定できず膵体尾部切除を行った自己免疫性膵炎の1例 中村知香1)、松原三郎1)、高木馨1)、有田淳一2)、國土典宏2)、田中麻理子3)、新谷裕加子3)、中井陽介1)、 伊佐山浩通1)、多田稔1)、小池和彦1) 東京大学医学部附属病院 【症例】54歳男性 消化器内科1)、同 肝胆膵外科2)、同 病理部3) 【現病歴】2015年3月、左顎下のしこりを主訴に総合内科受診。胸腹造影 CT で膵体部に15mm 大の嚢胞が疑われ消 化器内科に紹介となった。 【既往歴】なし 【飲酒歴】なし 【経過】MRI では嚢胞ではなく T1Low, T2Iso, DWHigh の充実性腫瘤であり MRCP では同部位で膵管の狭小化を認め た。Dynamic CT でも染まりの悪い充実性腫瘤として描出された。EUS では13mm 大の辺縁不整・境界明瞭な低エ コー腫瘤を認めた。主膵管の拡張は認めなった。ERP では体部主膵管に12mm 長の緩やかな狭小化を認めたが途 絶は認めなかった。EUS-FNA2回、膵管擦過細胞診および ENPD 留置下に繰り返し膵液細胞診を行ったが class3止 まりであった。IgG4は172mg/dl と軽度上昇していたが、FNA では IgG4陽性形質細胞は極少数しか認めなかった。 また胸部 CT にて縦隔および左顎下リンパ節腫大を認めたが、顎下リンパ節の吸引細胞診も非特異的な結果であり、 自己免疫性膵炎とは診断できなかった。膵癌の可能性が否定できないため、患者家族に十分説明の上、肝胆膵外 科にて膵体尾部切除術を施行した。 病理では膵管周囲にリンパ球浸潤を伴った線維化がみられ、免疫組織学的に IgG4陽性細胞は10個以上 /HPF,IgG4/ IgG=40%以上であり自己免疫性膵炎,lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis の診断であった。術後経過良好 であり現在外来で経過観察を行っている。 【要検討項目】術前の画像及び病理所見にて自己免疫性膵炎が積極的に診断可能であったか否か検討していただき たい。 41 20 多発膵腫瘤像を呈した膵癌の1例 友野輝子1)、塩川雅広1)、藤田真梨1)、大田悠司1)、丸野貴久1)、澤井勇悟1)2)、宇座徳光1)、児玉裕三1) 京都大学医学部附属病院 大阪赤十字病院 【症例】80歳代女性 消化器内科1)、 消化器内科2) 【既往歴】乳癌、肺癌 【家族歴】父:前立腺癌、弟:胃癌、肺癌、妹:乳癌、妹:肺癌 【現病歴】乳癌後経過観察の CT にて膵腫瘤を指摘。 【画像所見】造影 CT では、膵頭体移行部と膵体部に腫瘤像を認めた。MRI では、膵体部病変のみ嚢胞成分を伴っ た充実性腫瘤として指摘可能であった。MRCP では、膵頭体移行部と膵体部で2カ所の膵管狭窄を認めた。EUS で は、膵頭体移行部病変6mm、膵体部病変15mm として描出された。FDG-PET/CT では、膵体部の腫瘤のみに集積 を認め、他の臓器への集積は認めなかった。 【経過】2病変に対して EUS-FNA を施行し、腺癌と診断した。既往歴より、転移性腫瘍の可能性も考えられたが、 免疫組織染色(TTF-1, Mammagloblin, ER, PgR, HER2)と KRAS 遺伝子検査の結果から、2病変ともに通常型膵癌 と診断し膵全摘術を施行した。 【病理所見】主膵管のほぼ全域にわたり異型腺管の増生を認めた。2病変は中分化型膵管癌の像を呈し、ともに主 膵管の異型腺管を介して連続性していた。またこれらの病変とは別に2カ所に微少浸潤癌を認め、同様に主膵管 の異型腺管と連続していた。 【結語】画像診断で多発腫瘤像を呈し、転移性腫瘍との鑑別に苦慮した多発膵癌の症例を経験した。主膵管の異型 腺管から複数の浸潤癌を認め、膵癌の発生母地を考える上で興味深い症例と考える。 42 21 膵多発嚢胞性病変を背景とした膵癌の1例 増井雄一1)、菊山正隆1)、大野和也1)、白根尚文1)、黒上貴史1)、川合麻実1)、青山春奈1)、榎田浩平1)、 金本秀行2)、鈴木誠3) 静岡県立総合病院 【症例】49歳男性 【主訴】食思不振 【既往歴】25歳 1型糖尿病 消化器内科1)、同 39歳 【家族歴】祖父 ( 母方 ):糖尿病 肝胆膵外科2)、同 病理診断科3) 糖尿病性網膜症 母:膵癌、糖尿病、多発膵嚢胞 【現病歴】平成2X 年6月、健診にて膵嚢胞、膵腫瘍疑いを指摘され、精査加療目的に当科受診。 【血液検査所見】当院受診時、膵アミラーゼは基準値内 (30 U/l) で、腫瘍マーカーは CA19-9高値 (304 U/l) であっ た。CEA/AFP/SCC は 基 準 範 囲 内 で あ っ た (CEA 3.0 ng/ml, AFP 1.0ng/ml, SCC 0.3ng/ml)。 ま た、HbA1c 9.0% と糖尿病コントロールは不良であった。 【画像検査所見】腹部造影 CT では、膵頭部に隔壁に造影結節を伴う約8cm 大の多房性嚢胞性病変を認め、同病変 により門脈は狭窄を来たし、圧排により総胆管〜肝内胆管拡張、主膵管拡張を認めた。また、膵実質は膵体尾部 にも小嚢胞が多発し、造影不良であった。ERCP では、十二指腸は壁外圧排され伸展不良、乳頭開口部は開大を 認めなかった。膵管造影で粘液は認めず、分枝膵管より体尾部の小嚢胞が淡く描出された。胆汁細胞診 / 膵液細 胞診ともに Class Ⅱであった。 【治療方針】膵全体に貯留嚢胞を形成する慢性膵炎を背景に発症した膵頭部癌を考え、膵体尾部は今後発癌の可能 性もある点から、膵全摘術を行った。 【病理所見】膵頭部は腫大し、最大径3.6cm 大までの大小不同な嚢胞が多発し、膵鉤部に境界不鮮明な3.0×2.3× 3.5cm 大の腫瘤性病変を認めた。組織学的には中分化腺癌であり、主膵管にも癌の進展を認めた。体尾部は高度 に萎縮・線維化し、拡張した腺管を認めた。 43 22 術前診断が困難であった微小浸潤癌を含む3個の非連続性膵管内腫瘍を有した一例 赤尾潤一1)、高山敬子1)、奥野奈央1)、味原隆大1)、長尾健太1)、田原純子1)、清水京子1)、土井愛美2)、 出雲渉2)、山本雅一2)、古川徹3) 東京女子医科大学 消化器内科1)、同 消化器外科2)、同 統合医科学研究所3) 症例は73歳男性。当院糖尿病内科に通院中で , 主膵管の拡張を指摘され当科紹介受診した。主膵管径は2013年に 5mm, 2014年に8mm, 2015年に9mm と徐々に拡張を認め , EUS で体部主膵管内に隆起性病変を疑う所見を認めた ため , 精査目的に入院となった。CT では主膵管は体部で最大9mm に拡張しており , 明らかな壁在結節は認めなか った。再度施行した EUS では隆起性病変は丈8mm に明らかに増大しており一部膵管壁を越えて浸潤を疑う所見 であった。また新たにその十二指腸側の PV 脇の位置に丈3mm の隆起性病変を認めた。ERCP では , 膵管口の開大 と粘液の排出を認め , 膵管造影で主膵管は体部で最大8mm に拡張し , 内部に粘液と思われる陰影欠損を認めた。ま た体部主膵管に壁不整を認め , EUS で指摘の病変部と考えた。ERCP 時に採取した膵液吸引細胞診では Class Ⅲで あった。以上より主膵管型 IPMC と考え , 膵体尾部切除術を施行した。病理組織学的には , EUS で浸潤癌を疑った 体部の病変とその十二指腸側の丈3mm の隆起性病変はともに Intraductal papillary mucinous carcinoma, non- invasive であり連続性は認めなかった。免疫染色は MUC1 (+), MUC2 (+), MUC5AC (+), MUC6 (-) であり intestinal type であった。またそのほかに , 尾部に画像検査では指摘できなかった high-grade PanIN があり , 微小浸潤を伴 っ て い た。 免 疫 染 色 で は MAC1 (+), MAC2 (-), MUC5AC (+), MUC6 (+) で あ っ た。 そ の た め , 最 終 診 断 は Intraductal papillary mucinous carcinoma, non-invasive, multiple and high-grade PanIN with minimal invasive であった。 44 23 膵体尾部に発生した15cm の嚢胞性病変の1切除例 余語覚匡1)、豊田英治1)、土井隆一郎1)、白瀬智之2) 大津赤十字病院 外科1)、同 病理部2) 症例は89歳男性、当院受診の約2年前に膵体尾部に10 cm の嚢胞性病変を指摘されていた。当院へ紹介時12 cm で あったが、精査中に3か月で14 cm に増大した。 【画像】腹部造影 CT で膵体尾部に長径14 cm の辺縁整で明瞭な単房性嚢胞性病変を認めた。嚢胞壁の早期造影効 果と3cm の壁在充実性病変を認めたが、隔壁構造は認めなかった。造影 MRI で内容物は T2高信号であった。MRCP および ERCP、EUS、腹部超音波を施行したが、乳頭の開大はなく、主膵管と嚢胞との交通は認めず、また膵液細 胞診は class I であった。 【手術】膵体尾部切除術、脾臓合併切除行った。嚢胞内容液の CA19-9は153,100 U/ml、CEA は19,880 ng/ml であっ た。 【病理】嚢胞は線維性被膜に覆われ、一部でそのさらに外側に膵実質組織を認めた。嚢胞を構成する上皮は、粘液 を含有する高円柱上皮細胞から成って乳頭状構造をとっており、一部では著しい上皮増殖を伴い悪性転化が疑わ れたが、卵巣間質類似の紡錐形細胞の存在は確認できなかった。また浸潤部位はなかった。画像的特徴が IPMN とも MCN とも合致せず、卵巣間質類似紡錘形細胞を認めないこの単房性嚢胞性腫瘍の診断について討論したい。 45 24 診断に苦慮した1型自己免疫性膵炎の一例 阿部友太朗1)、蘆田玲子2)、日比野賢嗣1)、田村猛1)、高田良司1)福武伸康1)、井岡達也2)、上原宏之1)、 大川和良1)、片山和宏1)2) 大阪府立成人病センター 肝胆膵内科1)、同 消化器検診科2) 症例は70歳代女性。検診の腹部超音波検査で膵体部腫瘤を指摘され、精査加療目的に紹介となった。採血および 腫瘍マーカーは異常認めず。腹部造影 CT では、膵体部に動脈相で低吸収域を呈する12mm 大の腫瘤を認め、腹部 MRI では、腫瘤は T1低、T2淡い高、DWI では拡散低下が認められた。MRCP では胆管・膵管の途絶や拡張は認め なかった。EUS では膵体部に16mm 大および6mm 大の辺縁不整な低エコー腫瘤を認め、ソナゾイド造影では、早 期相で isovascular、後期相で hypovascular に造影された。EUS-FNA では軽度異型を伴う腺房細胞を多数認めたた め、腺房細胞癌または腺腫を疑い、膵体尾部切除術を施行した。しかし切除標本では高度のリンパ球や形質細胞 の浸潤、線維化および IgG4陽性細胞を多数認めたため、最終的に1型自己免疫性膵炎 (AIP) と診断した。 【結語】診断に苦慮した1型 AIP の一例を経験した。本症例では典型的な AIP の造影パターンは呈しておらず腺房 細胞癌との鑑別を困難にしたものと考えられる。造影パターンなど画像診断でどこまで術前診断を考える事がで きるのか議論をしたい。 46 Meet the Professors (ポスターセッション) P-1 リンパ節転移を伴う肝腫瘍の1例 伊藤孝1)、豊田英治1)、平良薫1)、廣瀬哲朗1)、土井隆一郎1)、三上貴生2)、染矢祐子3)、小林久人3)、 奥野知子4)、白瀬智之4) 大津赤十字病院 大津赤十字病院 外科1)、大津赤十字病院 病理部4) 消化器科2)、大津赤十字病院 放射線科3)、 混合型肝癌は肝細胞癌と胆管癌の両成分が混在している腫瘍とされ、生検ではその一部しか採取されず正診が導 かれない危険をはらむ。また肉眼的リンパ節転移を伴う胆管癌の手術適応に関しては議論の余地が残るところで ある。今回リンパ節転移を伴う混合型肝癌と目された腫瘍の切除を行ったので若干の知見とともに報告する。 症例は71歳男性。良性膵腫瘍で膵頭十二指腸切除術の手術歴あり。健診で異常を指摘されて医療機関を受診し、各 種画像検査で混合型肝癌が疑われ、手術目的で外科に紹介となった。CT 検査で腫瘍は外側区域に位置し、概ね 早期濃染を呈していたが一部に遅延性に濃染する部位を認め、また総肝動脈周囲に転移を疑う腫大リンパ節を認 めた。PET-CT 検査では肝腫瘍と腫大リンパ節に異常集積を認め、造影超音波検査では早期相では不均一に造影 され、Kupffer 相では欠損が見られた。以上からリンパ節転移を伴う混合性肝癌が疑われた。手術は膵頭十二指 腸切除後に鑑み肝外側区域切除術とし、肝動脈周囲リンパ節郭清を施行した。癒着で難渋はしたが、術後経過は 良好で第8病日に退院、病理検査では、低分化な HCC と診断された。リンパ節転移を伴う混合型肝癌の手術適応 には議論の余地が残るが、本症例ではリンパ節転移を伴う低分化型 HCC との結果を得、全生検の趣旨からは例え 術前からリンパ節転移があっても積極的に切除を行うべきと考えられた。 討論のポイント:画像上で HCC と診断できるか。 48 P-2 P-V シャントを伴った肝細胞腺腫の1例 大西佳文1)、斉藤光次2)、近藤福雄2)、榎澤哲司1)、飯塚篤1)、渡邊卓3)、中野良太3)、加藤嘉彦3)、 宮原利行3)、角泰廣3)、中野浩3) 静岡医療センター 消化器内科1)、帝京大学 病理2)、静岡医療センター 外科3) 症例)51歳男性、主訴は心窩部痛。既往歴に20歳代に肝損傷のため肝動脈コイル塞栓あり。 (経過)2015年3月中 旬から心窩部痛が出現、エコーで肝腫瘍を指摘され、精査加療のため入院となった。入院時血液は、肝炎ウィル スマーカーはすべて陰性。肝胆道系酵素の上昇と腫瘍マーカー PIVKA-II が103と上昇していた。エコーでは、右 葉に癒合した8cm 大腫瘍で、辺縁低エコー帯と内部は不均一高エコー、中心部は不整形低エコーであった。CT では、だるま状に癒合した腫瘍で、単純では中心低吸収、造影早期では、辺縁低吸収、内部に強い造影効果と中 心部に造影効果の乏しい領域を認め、後期相で辺縁は不明瞭となり、内部はリング状造影効果が残存した。MRI は、コイルによるアーチファクトのため制限されたが、T1低信号、T2高信号の腫瘍であった。腹部血管造影では、 RHA は SMA から replace され、腫瘍は S4/5を主座とし、刷毛で掃いた様な微細な腫瘍濃染と多数の PV シャント を認めた。CTAP では、シャントのため肝実質は造影されず、固有肝動脈の CTA では、腫瘍左半の充実部に強い 造影効果を認めた。造影効果の経時的拡大はなく、遅延相で造影効果は消失した。中心部は一貫して造影効果は なく、正常肝実質は代償性の動脈血流増大により強い造影効果を認めた。SMA からの CTA では腫瘍右半が造影 され同様であった。ICGR15が40% のため肝切除困難、確定診断を得るため肝生検を施行した。S5腫瘍は、肝細胞 の大小不同や細胞密度の増加はなく、著明な類洞拡張を認め、VB 染色で門脈域がないことから HCA と診断した。 S4腫瘍は、核の大小不同、索の乱れ、GS びまん性陽性から HCC を否定できず、HCA からの悪性転化も疑われた。 ( 考察 )1. 免疫染色から inflamatory HCA で、一部に HCC への malignant trans formation が疑われた。2.HCA の発 生に PV シャントが関与した可能性が推察された。 49 P-3 門脈内腫瘤の1例 早田有希、戸田信夫、川村聡、唐澤祐輝、前島秀哉、伊藤大策、小島健太郎、大木隆正、関道治、 田川一海 三井記念病院 消化器内科 糖尿病・非アルコール性肝疾患で当院外来通院中。2006年に悪性リンパ腫・2010年重症膵炎・膵仮性嚢胞感染に 対して経皮的ドレナージ施行。2011年総胆管結石に対しての加療歴がある62歳男性。約2か月間に約16㎏の体重 減少あり精査。腹部超音波検査で門脈内腫瘤・総胆管拡張を認めた。造影 CT 検査では、肝内外の門脈内に広汎に 造影効果に乏しい腫瘤が充満し、拡張した胆管内に総胆管結石を認めた。MRI、SSFSE では門脈内の腫瘤は淡い高 信号に、肝外では一部胆管同様の高信号に描出された。門脈内腫瘍塞栓を疑ったが、明らかな原発巣が見られず、 悪性リンパ腫の既往もあることから、門脈内腫瘤を経皮的に生検した。病理組織像では、広い範囲で繊維増生が 見られ、この部分に泡沫状の胞体を有する細胞の集簇が見られた。この細胞は免疫染色で CD68陽性であり macrophage と考えらえた。入院4日目に発熱と胆道系酵素上昇を認め胆石性胆管炎と診断、ERCP を施行し結石 除去したところ、速やかに解熱と胆道系酵素の改善を認めた。悪性所見認めないこともあり経過観察の方針とし た、1か月後の造影 CT 検査門脈内腫瘤は縮小し、4か月後にはほぼ消失、肝内門脈は肝門部の側副血行介して良好 に造影された。稀な画像所見、経過を辿った門脈内腫瘤の1例を報告した。 50 P-4 胆管内発育を伴った直腸癌肝転移の1例 金光芳生1)、朝日公一2)、上田脩平3)、前川博3)、佐藤浩一3)、玄田拓哉1)、永原章仁1)、松波 環2)、 山野三紀4)、和田了4) 順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科1)、同 症例:65歳、男性、 既往歴:十二指腸潰瘍で胃亜全摘術後。 放射線科2)、同 外科3)、同 病理診断科4) 主訴:HT, HL で近医にて経過観察中、肝機能異常(AST, ALP, γ GTP 軽度上昇)を指摘され、当院紹介受診。腹部 US では B3肝内胆管拡張と不規則な境界を有する低エコー腫瘤を認めた。Dynamic CT 早期相にて、B3肝内胆管の 拡張と S3肝実質の早期濃染像を認めた(図1) 。MRI では S3グリソンに沿った病変(図2)で、拡散制限がみられ た(図3) 。また CT 時直腸(Rs)壁肥厚を指摘され、CF で直腸 に Type 2 の進行癌を認めた。PET CT(図4)では S3腫瘤 (17mm 大、SUV max 6.9→11.3)と同様の SUV max を有する S8腫瘤 (15mm) も認めた。直腸癌の SUV max は13.5→20.0 であった。 以上より、直腸癌 , およびその肝転移を疑い低位前方切除術+肝 S8部分切除+左葉外 側区切除を施行した。病理組織学的には、直腸癌 [Adenocarcinoma, pT3(SS), type 2, 50 x 30 x 5mm, n(+), M1 (liver, two foci)] で、S3病変は浸潤癌と胆管内発育型癌の混成(図5)から成った。 51 P-5 術前診断に苦慮した肝外発育型肝血管腫の1例 中島正人1)、羽場真1)、小田寿1)、曽我部進1)、高橋一宏1)、小林良充1)、寺下勝巳1)、小笠原和宏2)、 石田雄介3)、宮城島拓人1) 釧路労災病院 内科1)、同 外科2)、同 病理科3) 症例は66歳,女性.近医で施行した腹部エコーで右上腹部に腫瘤を認めたため精査目的に当院へ紹介となった. 身体所見では右上腹部に鶏卵大の腫瘤を触知した.腹部造影 CT で結腸肝彎曲部に内側から接するように強い造 影効果を有する53mm 大の腫瘤を認め,さらに肝左葉外側区に40mm 大の同様の造影効果を呈する腫瘤が認めら れた.当初は肝転移を伴う結腸 GIST などを考えて精査を行ったが結腸には壁外性圧排の所見を認めるのみで診 断には至らなかった.腫瘍の血流支配を観察するために腹部血管造影検査を施行したところ,右肝動脈の末梢枝 から結腸肝彎曲部の腫瘤が造影され,左肝動脈の末梢枝から肝左葉外側区の腫瘤が造影された.いずれの腫瘤も 造影早期から綿花状に濃染された.血管造影の結果から右上腹部の腫瘤も肝由来であると考えられたため,腹部 造影 CT の冠状断を見返すと肝右葉後区域と腫瘤が連続性を有していることが確認された.MRI では両腫瘤とも T1強調像で肝実質より低信号,T2強調像で肝実質より高信号を呈し,拡散強調像で強い拡散低下を認めた.ガド リニウム -EOB 造影では,早期から強く造影されて遷延性濃染を示し,肝細胞相では陰影欠損として認められた. 以上の画像所見から肝血管腫と診断した.右上腹部の腫瘤は肝実質より突出する形態であったため,外的圧力に より破裂の危険があると考えて外科的切除を施行した.病理学的には海綿状血管腫で,悪性を疑う所見を認めな かった. 52 P-6 十二指腸乳頭部癌の後縦隔リンパ節転移を EUS-FNA で診断し得た1例 関根匡成、佐藤亘、大西洋英 秋田大学 第一内科 症例は22歳男性。心窩部痛を主訴に近医を受診し、DWI にて下部胆管に拡散低下を認め、当院紹介となった。採 血では胆道系酵素の上昇を認めるのみで、腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。CT では、十二指腸乳頭部付近 に造影効果を認める2型腫瘍と後縦隔と十二指腸水平脚付近に腫瘤性病変を認めた。PET-CT でも同部位にのみ 集積を認めた。上部内視鏡にて十二指腸乳頭部に2型腫瘍を認め、生検にて adenocarcinoma、病理所見より十二 指腸乳頭部癌と診断した。EUS では、十二指腸水平脚頭側に多発のリンパ節腫脹を認めた。後縦隔の腫瘤も単発 ながら画像上はリンパ節腫脹を疑い、M 因子の診断目的に EUS-FNA を施行した。後縦隔腫瘍は大動脈と下大静 脈に挟まれており、経胃、経横隔膜での穿刺となった。穿刺針は25G を使用し、穿刺時に軽度の咳嗽がみられた 以外、他に偶発症は認めなかった。病理診断は十二指腸乳頭癌の転移であった。その結果、本症例の病期は T4N2M1 cStage Ⅳ b と診断したが、年齢が若いことともあり、手術も視野にいれた化学療法の方針となった。GEM+S-1を 1クール施行後に CT で原発巣、リンパ節転移巣、共に縮小を認めたため、腫瘍減量目的に二期的に手術する方針 となり、初めに後縦隔リンパ節を摘出し、病理診断での化学療法による効果は Grade 1a 程度であった。その後、 膵頭十二指腸切除術を施行し、化学療法による効果は Grade 1b 程度であった。最終病期は T1N2M1 pStage Ⅳ b であった。今回、後縦隔腫瘤への穿刺経路は限られていたが、遠隔転移巣の診断に EUS-FNA が有用であった一 例を経験したので報告する。 53 P-7 分流手術後33年経過し嚢胞性腫瘍として認められた遺残膵内胆管癌の一例 末廣智之1)、小澤栄介1)、田浦直太1)、大仁田賢1)、中尾一彦1)、岡田玲美2)、大野慎一郎2)、北里周2)、 黒木保2)、釘山統太3)、木下直江3) 長崎大学病院 消化器内科1)、長崎大学病院 移植消化器外科2)、長崎大学病院 病理診断科3) 症例は45歳、男性。12歳時に先天性胆道拡張症に対し分流手術を施行された。その後、症状なく経過していたが、 201X 年に心窩部痛が出現し、腹部造影 CT で肝門部の嚢胞性腫瘤および主膵管拡張を認められ精査加療目的で当 科紹介となった。上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部に腫瘤によると考えられる圧排像を認められた。超音波 内視鏡検査で病変は厚さ7mmの低エコーの嚢胞壁に覆われた径27mm、内腔13mm の嚢胞性病変として描出され た。外側高エコーは明らかでなく膵頭部実質との境界は不明瞭であった。MRI では DWI で嚢胞壁は高信号域とし て描出された。嚢胞性病変であったため播種の危険性を考え EUS-FNA は施行しなかった。以上より遺残胆管癌を 考え、外科的切除を行う方針とし一旦退院とした。しかしながら、翌々日に吐血し当院に救急搬送となった。上 部消化管内視鏡検査で前回壁外圧迫が認められた十二指腸球部に巨大な潰瘍性病変を認め腫瘍の十二指腸への直 接浸潤を考え、当院消化器外科で膵頭十二指腸切除術を施行した。切除標本で腫瘍は膵内の遺残胆管を中心に胆 管空腸吻合部断端におよび、十二指腸壁内、膵頭部および周囲リンパ節へ浸潤していた。病理組織学的には poorly differentiated adenocarcinoma の診断であった。先天性胆道拡張症に対する分流手術後の胆道癌の発生は極めて 稀である。今回我々は分流術より33年後に遺残胆管から発生したと考えられた症例を経験したので報告する。 54 P-8 左肝管内に限局した肝細胞癌の1例 永山林太郎1)、植木敏晴1)、伊原諒1)、畑山勝子1)、土居雅宗1)、丸尾達1)、松村圭一郎1)、三上公治2)、 中馬健太3)、原岡誠司3) 福岡大学筑紫病院 消化器内科1)、同 外科2)、同 病理部3) 症例は78歳、男性。平成27年7月下旬に上腹部痛で近医を受診した。血液検査で肝胆道系酵素が上昇していたた め、精査加療で当科に紹介となった。腫瘍マーカーは AFP、CEA、CA19-9は正常範囲内であったが PIVKA- Ⅱは 143 mAU/ml と上昇していた。US・MD-CT では , 下部胆管に30mm 大の結石と左肝管に20mm 大の腫瘤を認め、 MD-CT の Dynamic study で腫瘤は早期に濃染された。MRCP では左肝内胆管は拡張し、腫瘤部は欠損していた。 EOB-MRI で腫瘤は、動脈相で早期濃染があり、肝細胞相で低信号を呈した。ERC では総胆管はびまん性に拡張し ていた。総胆管結石を截石後の経口胆道鏡検査では、左肝管に白色調の腫瘤があり、腫瘤生検では中分化型肝細 胞癌であった。左肝管に限局した肝細胞癌と診断し、肝左葉切除術を行った。病理組織学的に左肝管内の腫瘤は、 胆管内に限局した中分化型肝細胞癌であった。胆管内に限局した肝細胞癌は比較的稀であり、若干の文献的考察 を加えて報告する。 55 P-9 胆道出血を契機に診断された腎細胞癌胆嚢転移の1例 竹中完1)、岡部純弘1)、森永友紀子2)、塩見英之1)、増田充弘1)、有坂好史1)、味木徹夫3)、伊藤智雄2)、 具英成3)、東健1) 神戸大学医学部付属病院 神戸大学医学部付属病院 消化器内科1)、神戸大学医学部付属病院 肝胆膵外科3) 病理診断科2)、 症例は、70歳代男性。2012年に両側腎細胞癌に対して開腹右腎摘出術、左腎部分切除術の既往あり。また、心房 細動によりワーファリンを内服していた。2015年8月心窩部痛を主訴に当科を受診し、肝胆道系酵素の上昇と軽度 の腎機能障害を指摘された。単純 CT にて緊満した胆嚢の内腔に高吸収域が認められた。MRI では胆嚢内は T1/ T2WI で high/high intensity を呈し、不整形の欠損像が認められた。ERCP および IDUS では胆管内に結石や debris を指摘できなかったが、胆管炎の診断の下に ENBD を留置した。数日後に施行した ENBD 造影では胆嚢および胆 管内に鋳型状の欠損像が認められたため、EST 及び胆管内掻爬を行ったところ、多量の凝血塊が排出された。後 日施行した EUS では、胆嚢および胆管内に高低エコーが混在する debris 像の充満が認められた。続けて施行した 造影 EUS では、胆嚢の debris 塊の内部に造影早期より濃染し、後期まで造影効果が遷延する境界明瞭な類円形の 多血性病変(7×6mm)が確認された。造影 CT では、胆嚢頚部に強い増強効果を呈する結節状病変が認められ、 胆道出血の臨床像と併せて胆嚢動脈瘤からの出血による急性胆管炎と診断した。開腹胆嚢摘出術を施行し、胆嚢 頚部に5×5mm 大の赤褐色を呈する隆起が認められた。病理組織学的には clear cell type の renal cell carcinoma であり、原発巣の所見とも一致するため、腎細胞癌胆嚢転移と最終診断した。本症例は、腎細胞癌の胆嚢転移病 変から胆道出血をきたした症例であり、その機序についての検討をお願いしたい。 56 P-10 粘液産生胆嚢癌の1例 比佐岳史1)、大久保浩毅2)、長谷川健2)、石亀廣樹3)、清水淳史4)、桃井環1)、古川龍太郎1)、山城彩乃1)、 山田崇裕1)、福島秀樹1)、古武昌幸1) 佐久総合病院佐久医療センター 消化器内科1)、同 消化器外科2)、同 病理診断科3)、放射線診断科4) 患者は60歳台、男性。スクリーニング US で胆嚢腫瘤を指摘され、当科紹介となった。US では胆嚢体部肝床側に 長径28mm、丈16mm の広基性低エコー隆起を認め、表面に揺動する紐状の高エコーを伴っていた。隆起基部の 外側高エコー層はひきつれているように観察されたが、外側高エコー層は保たれていた。EUS では隆起全体の描 出が困難であった。CT では、隆起は単純で胆汁よりも淡い高濃度を呈し、漸増性の淡い造影効果を認めた。MRI では胆嚢内に出血を示唆する所見は認められなかった。ERCP では膵・胆管合流異常はなく、胆管内に粘液は認 められなかった。胆管 IDUS では胆嚢管および胆管に不整壁肥厚は認められなかった。以上より、深達度 SS の粘 液産生胆嚢癌を疑い、肝中央下区域切除を施行した。病理組織学的には、隆起は粘液産生性の乳頭腺癌で、一部 で固有筋層を越えた浸潤が疑われ、リンパ管侵襲を伴っていた。 57 P-11 術前診断が困難であった、下部胆管、膵頭部の重複癌の1切除例 平野拓己1)、浅原新吾1)、松村祐志1)、宇賀治良平1)、外山雄三1)、長浜隆司1)、宍倉有里2) 千葉徳洲会病院 消化器内科1)、千葉徳洲会病院 病理診断部2) 症例は81歳、女性。201X 年6月頃からの微熱、食欲不振を自覚し、8月に当院を受診。単純 CT にて胆管、膵管拡 張を認めたため、精査目的に入院した。CA19-9:201.1U/ml、DUPAN-2:165U/ml、Span-1:50.4U/ml と上昇し、 造影 CT の後期相で、膵内胆管周囲と、そこに近接する主膵管狭窄部周囲が遷延性に造影された。EUS では膵上縁 から膵内胆管の不整な壁肥厚がみられ、腫瘤像は十二指腸壁まで連続していた。また膵内胆管に接して膵頭部に 低エコー域がみられ、主膵管はその低エコー部位で閉塞していた。ERCP 時、十二指腸乳頭開口部の開大と粘液の 排出を認め、造影では膵内胆管の限局性で不整な狭窄と、主膵管の高度の狭窄がみられ、Santorini 管は拡張して いた。IDUS では膵上縁の胆管に壁肥厚がみられ、膵内胆管では周囲膵実質との境界が不明瞭となっていた。また、 十二指腸乳頭近傍では、胆管に近接して10mm 大の低エコー領域がみられたが、胆管腫瘍との関係は明らかでは なかった。なお、胆管ブラシ細胞診は ClassV であった。PET-CT の遅延相では、膵内胆管に SUV3.8の FDG の集積 を認めた。以上の所見を総合し、EUS、IDUS で胆管壁内に腫瘍の主座が存在することから、下部胆管癌の膵浸潤、 十二指腸浸潤と診断した。また造影 CT、MRCP では膵鉤部に嚢胞がみられており、ERCP 時の乳頭所見と併せて膵 分枝型 IPMN の合併と診断し、同年9月に膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織では、膵管、胆管とも上皮内 に異型がみられたことから、下部胆管癌、膵頭部癌の重複癌と診断した。 討論のポイント 【画像から】各種画像から重複癌を疑うことができるかどうか。 【病理から】どちらの癌が浸潤性に拡がっているかを確定できるかどうか。 58 P-12 胆管内腫瘍栓を形成し、特異な病理所見を認めた十二指腸粘膜内癌の一例 所智和1)、牧野勇1)、中沼伸一1)、林泰寛1)、中川原寿俊1)、宮下知治1)、田島秀浩1)、高村博之1)、 太田哲生1)、蒲田敏文2)、池田博子3) 金沢大学 消化器・腫瘍・再生外科学1)、金沢大学 経血管診療学2)、金沢大学 形態機能病理学教室3) 症例は68歳、男性。褐色尿を自覚し近医を受診した。血液検査にて肝胆道系酵素の上昇と黄疸を認め、上部消化 管内視鏡検査にて十二指腸乳頭部に潰瘍を伴う腫瘤性病変を認めた。同部位からの生検では N/C 比増加を示す楕 円形核細胞が充実性胞巣を形成し、微小腺腔様構造を伴っており低分化腺癌と診断した。腹部 CT では乳頭部を中 心に造影効果を伴う境界不明瞭な腫瘤性病変として描出され、一部は胆管内腔に突出し、腫瘍栓を形成して閉塞 性黄疸を来していた。領域リンパ節の腫大を認め、FDG-PET では原発巣と腫大リンパ節に異常集積を認めた。以 上より十二指腸乳頭部癌 T3a(DU3, Panc1)N1M0cStage Ⅱ B と診断した。閉塞性黄疸に対しては経皮経肝胆道ドレ ナージを施行し、減黄が得られた後に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。 切除標本では核小体やクロマチンの増量と核配列の乱れを呈し、癒合腺管などを形成する高〜中分化腺癌が主体 となっていたが、一部腺腔の不明瞭化した充実性胞巣を形成する低分化成分も混在した。また腫瘍辺縁では腺腫 成分も存在した。腫瘍は粘膜下への浸潤はなく、十二指腸原発の粘膜内癌と診断した。リンパ節転移は認めなか った。 今回、胆管内腫瘍栓という特徴的な進展をきたし、腺腫を背景として高分化成分と低分化成分が混在する粘膜内 癌という稀な病理所見を呈した一例を経験したのでその画像と病理の所見を中心に報告する。 59 P-13 腫瘤像を呈した脂肪壊死の1例 鈴木康治郎1)、野田弘志1)、渡部文昭1)、兼田裕司1)、齊藤正昭1)、辻仲眞康1)、宮倉安幸1)、清崎浩一1)、 野首光弘2)、力山敏樹1) 自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科1)、同 病理部2) 症例は50歳台の女性。上腹部痛を主訴に前医を受診し、精査目的に当院紹介。CT で胃背側・膵尾部腹側に被膜 を有し、内部に脂肪を含む46×50mm の腫瘤性病変を認めた。MRI では T1/2ともに高信号で、内部に一部不整形 の低信号を認めた。PET-CT では腫瘤内に有意な集積は認めなかった。脂肪抑制 T1強調画像で信号低下がみられ た。脂肪成分が主体の腫瘍であり、2013年の CT では存在しなかったことから、脂肪肉腫を念頭に手術を施行し た。術中所見で腫瘤は胃結腸間膜に存在し、楕円形、表面平滑、弾性軟、一部膵への癒着していたが容易に剥離 可能であった。摘出標本の肉眼所見では被膜を有し、内部は黄色粥状であった。病理組織学的には出血・壊死に 陥った脂肪組織で、繊維性結合織を主体とした被膜を形成しており、腫瘍・新生物は認めなかった。脂肪壊死が 原因である腫瘤性病変の報告は少なく、若干の文献的考察を加えて報告する。 60 P-14 状結腸憩室穿孔による急性汎発性腹膜炎ののち,急速に多発性肝・脾転移があらわ S れた腎集合管癌の一例 大村範幸1)、小野文徳1)、佐瀬友彦1)、中山瞬1)、田山穂高1)、堀江美里1)、小野地章一1)、山本洋平2) 大曲厚生医療センター 外科1)、秋田大学大学院医学系研究科 分子病態学・腫瘍病態学2) 慢性腎不全に対して17年間の血液透析,高血圧,二次性副甲状腺機能亢進症,閉塞性動脈硬化症の既往のある54 歳男性.発熱・下痢・血圧低下を主訴とした急性腹症にて当科紹介となった.造影 CT では,腹腔内遊離ガス,S 状結腸腸管壁の肥厚,多発性 S 状結腸憩室,両側多発性嚢胞腎を認めた ( 図1).S 状結腸憩室穿孔による急性汎発 性腹膜炎,敗血症性ショックの診断で、S 状結腸ハルトマン手術、腹腔洗浄ドレナージ術を施行した.人工呼吸 器,持続血液濾過透析療法を併用した集中治療ののち,理学療法にて経口摂取可能となるまで回復し術後第70病 日に退院した.しかし,第90病日に肝機能異常,CRP 高値により再入院となった. 再入院時の造影 CTでは,肝・脾に直径数 mmから約3cmまでの大小様々な結節を認め,動脈相で low〜 iso density, 門脈相で low density であり,不均一な造影不良を示していた ( 図2).比較的急な臨床経過および画像の変化から, 多発性膿瘍を第1に,転移性腫瘍やサルコイドーシスなども鑑別疾患に考え経皮的針肝生検を施行した.組織学 的に転移性肝腫瘍の診断となったが,原発巣は不明であった ( 図3). 保存的な対症療法のみで次第に全身衰弱し第 112病日に永眠された.病理解剖による形態学的,免疫組織学的検査により,腎集合管癌の転移性肝腫瘍,転移性 脾腫瘍の最終診断となった ( 図4-5). 本症例のような CT 画像所見を認めた際に、どのような鑑別疾患を念頭において診療するべきかを討論したい . 61 P-15 術前診断に難渋した腹腔内線維腫症の1例 小澤範高1)、馬淵正敏1)、梶山祐介1)、土井晋平1)、佐藤浩一郎1)、菊池健太郎2)、安田一朗1)、春日井尚3)、 高橋美紀子4)、川本雅司4) 帝京大学医学部附属溝口病院 消化器内科1)、同 第4内科2)、同 外科3)、同 病理診断科4) 【症例】46歳男性、10日間前から徐々に悪化する心窩部痛、嘔吐を主訴に当科受診、精査目的にて入院となった。 既往歴・家族歴に特記すべきことなし。 【入院後経過】血液検査では軽度の炎症反応を認めるのみで、肝胆道系酵素、膵酵素は正常であった。造影 CT に おいて十二指腸球部外側に40mm 大の漸増性に造影される辺縁不整な腫瘤を認め、中心部は造影不良であった。 MRI では同部位の異常信号は乏しく、主膵管に狭窄・拡張は認めなかった。EGD では十二指腸球部に引き連れを 伴う狭窄があり、スコープの通過ができなかったが、粘膜面は正常であった。EUS では十二指腸球部粘膜の著明 な肥厚とその背側に32mm 大の境界不明瞭、内部エコー不均一な血流の乏しい浸潤性の不整形低エコー腫瘤を認 めた。追加の血液検査では、CEA、CA19-9、sIL-2R、IgG4は正常であった。病理診断のため EUS-FNA を行ったと ころ、細胞診で核腫大する紡錘形細胞を認め、一部に異型核分裂認めたため class Ⅳと判定、組織診で mitosis を 伴わない紡錘形細胞を認め、免疫染色では SMA 陽性、cytokeratin、CD34、desmin、c-kit、s-100は陰性であった。 平滑筋肉腫の疑いにて膵頭十二指腸切除術が行われた。 【手術標本】十二指腸漿膜下および膵間結合組織に広範囲に硝子化を伴う線維化を認め、腫瘤の境界は不明瞭であ り、全体として異型細胞は認めなかった。紡錘形細胞は、免疫染色では SMA 陽性、desmin・CD34・S-100は一部 の細胞にのみ陽性、β -catenin は細胞質のみ陽性であった。以上から腹腔内線維腫症もしくは硬化性腸間膜炎と 診断された。 62 P-16 胃壁外発育型 GIST と術前診断した膵内埋没腹腔内デスモイド腫瘍の一例 水野万里1)、川口義明1)、川西彩1)、川嶌洋平1)、羽田野敦子1)、小川真実1)、峯徹哉1)、富奥美藤2)、 鍋島一仁2)、中村健司2)、平林健一3) 東海大学 消化器内科1)、同 消化器外科2)、同 病理診断科3) 症例は45歳、女性。健診腹部エコーで膵腫瘍が疑われ、当院紹介受診となった。症状は特になし。既往歴、家族 歴:特記なし。飲酒歴、喫煙歴なし。腹部所見:特記なし。血液データ:腫瘍マーカー他、異常なし。腹部エ コー:膵体尾部に長径30mm 大の内部不均一の低エコー腫瘤が認められた。腹部造影 CT、MRI:膵体尾部に長径 30mm 大の乏血性腫瘍が認められた。腫瘍は胃壁と一部で連続性を有していたが、腫瘍は膵内に存在していた。超 音波内視鏡:膵体尾部の腫瘍は胃壁第4層と一部で連続性が認められた。壁外発育型の胃 SMT を疑い、EUS-FNA を施行した。Spindle cell の集塊が認められ、GIST に矛盾しないという病理結果が得られたため、膵内へ埋没した 胃壁外発育型 GIST の術前診断で切除の方針となった。腹腔鏡的切除の方針であったが、癒着が高度であり、開腹 手術となり、膵腫瘍、胃浸潤の診断にて膵体尾部切除、脾摘、胃部分切除術が施行された。病理組織診断は、腹 腔内デスモイド腫瘍であった。胃 GIST と術前診断した腹腔内デスモイド腫瘍の稀な一例を経験したので、文献的 考察を加え報告する。 63 P-17 胆嚢炎を契機に発見された胆嚢癌肉腫の一切除例 浅野之夫、石原慎、伊東昌広、伊藤良太郎、清水謙太郎、大城友有子、藤田正博、堀口明彦 藤田保健衛生大学 総合外科・膵臓外科 症例は75歳、男性。心窩部痛を主訴に当院受診。採血上、炎症反応の上昇と、CT にて胆泥を伴う胆嚢腫大を認 めたため、急性胆嚢炎の診断にて入院となった。 保存的加療にて炎症改善後、精査施行した。腹部 US では胆嚢腫大を認め、体〜底部に腫瘤像が疑われた。ドッ プラー US では同部に血流シグナルを認めた。造影 US でも胆嚢体〜底部に血流豊富な腫瘤像を認めた。CT では 胆嚢体部〜底部にて一部に濃染効果を認める腫瘤像を認めた。MRI では胆嚢内に T1強調画像、T2強調画像にて 不均一な低〜高信号を認め、造影にて乳頭状に染影効果を伴う腫瘤像を認めた。EUS でも胆嚢体〜底部にかけて 血流豊富な腫瘤像を認めた。以上より胆嚢腫瘍と診断し手術施行した。摘出標本では、胆嚢内部には乳頭状に増 殖する白色調の隆起性病変を認めた。病理組織学的には異型が目立ち多形性に富む未分化腫瘍細胞の増殖が主体 で壊死を伴っていました。内部には軟骨形成を伴っており、免疫染色にて上皮性マーカーである CAM5.2が一部 陽性であり、Carcinosarcoma と診断した。pT1b(MP),pN0,Stage Ⅰであった。胆嚢の癌肉腫は比較的稀な腫瘍で あり、画像診断上も通常の胆嚢癌との鑑別は困難な疾患である。本例も術前画像上、胆嚢癌を第1に疑い手術施 行した。今回、我々は胆嚢炎を契機に発見された胆嚢癌肉腫の一切除例を経験したので報告する。 64 P-18 術前に通常型膵癌の併存が疑われた混合型 IPMN の一例 古賀毅彦1)、今村治男1)、浦田淳資1)、上川健太郎1)、門野義弘1)、坂口将文1)、神尾多喜浩2) 済生会熊本病院 【症例】77歳男性。 消化器病センター1)、同 病理部2) 【病歴】2009年より混合型 IPMN の診断で経過観察を行っていた。経過中嚢胞径の増大及び主膵管径の拡張を認め たため2015年8月に精査を行った。 【画像所見】腹部造影 CT:主膵管径は10mm と拡張し、膵尾部に60mm 大の多房性嚢胞を認めた。膵内に明らか な充実性腫瘤は認めなかった。EUS:膵尾部の嚢胞内に5mm 大の結節を認めた。嚢胞壁は一部肥厚し、嚢胞から 主膵管内に連続して丈の低い隆起性病変を認めた。膵頭部主膵管に限局性狭窄を認め、近傍に10mm 大の低輝度 腫瘤を認めた。ERP:膵頭部の主膵管は高度狭窄を呈し、その尾側主膵管は拡張し、嚢胞との交通を認めた。PETCT:膵頭部及び膵尾部の嚢胞内の一部にそれぞれ、SUVmax=3.2、3.7の異常集積を認めた。 【病理学的検査】ENPD 細胞診、膵頭部の腫瘍に EUS-FNA、膵頭部主膵管狭窄部ブラシ擦過細胞診を施行したが、 いずれも悪性所見は認めなかった。以上より、病理学的に悪性の診断は得られないものの、画像所見から膵頭部 に通常型膵癌を合併した膵尾部 IPMC と診断した。膵体部主膵管にもその進展が疑われ、膵全摘の方針となった。 【手術標本】主膵管内は拡張を認めたが、腫瘍細胞は確認されなかった。膵尾部の嚢胞内には粘液を有する同様の 腫瘍細胞の増殖を認めた。EUS での膵頭部腫瘤に相当する部位は間質に線維化、リンパ球・組織球浸潤を認め、 腫瘤様を呈しているが腫瘍成分がみられなかった。以上より最終診断は膵尾部 IPMA で、膵全体に癌は認められ なかった。 65 P-19 速な膨張性発育を呈した、横紋筋肉腫を伴う膵原発 anaplastic carcinoma with 急 spindle cell type の一例 兼光梢1)、花田敬士1)、池本珠莉1)、泉良寛1)、岡崎彰仁1)、南智之1)、平野巨通1)、天野尋暢2)、米原修治 3) 厚生連広島 JA 尾道総合病院 【症例】70歳台 , 女性 消化器内科1)、同 外科2)、同 病理研究検査科3) 【主訴】左季肋部痛 , 体重減少 【現病歴】20XX 年3月 , 腹痛に対して施行した腹部 CT で上腹部に10cm 大の腫瘤をみとめ , 当院を紹介受診した . 【経過】左季肋部に手拳大の圧痛を伴う腫瘤があり , 血液生化学検査では軽度の炎症反応と腫瘍マーカーの上昇を 認めた . 造影 CT では膵体部に10cm 大の境界明瞭で , 内部には不均一に造影される充実成分を伴う hypervascular な 嚢胞性病変をみとめ , PET-CT では , 充実成分を中心に SUVmax:14.8と強い FDG の集積を示した . EUS では嚢胞内 部に乳頭状に発育する隆起性病変と尾側膵管の拡張をみとめた . 胃壁との可動性から , 膵由来の腫瘤が疑われた . 初診から23日後の CT にて , 急速な腫瘤の増大と腹水の出現をみとめた . SPN, 癌肉腫 , NET 等を疑い , 穿破の危険性 も考え , 脾臓合併膵体尾部切除術を施行した . 腫瘍は膵と連続する線維性被膜を有する黄白色充実性の腫瘍であり , 内部に出血 , 壊死がみられた . 病理組織学検査では紡錘型細胞の錯綜増殖からなる間質を伴って , 円柱状の腫瘍細 胞が腺管構造を示して増殖する像をみとめた . 免疫学的染色では cytokeratin, vimentin, desmin, myoglobin, myogenin, PTAH が陽性であり , 異所性の横紋筋肉腫を伴う膵 anaplastic carcinoma と診断した . S-1による術後化 学療法を施行するも , 2ヶ月半後に肝転移が出現し , レジメンを GEM+nabPTX に変更した . しかし , 術後半年の CT で肝転移の増大 , 腹膜播種 , 癌性腹水の出現をみとめ , BSC の方針となった . 【結語】横紋筋肉腫を伴う膵原発 anaplastic carcinoma の1切除例を経験した . 希少な症例であり , 若干の文献的考 察を加えて報告する . 66 P-20 膵管内管状乳頭腫瘍 (ITPN) が疑われ診断に苦慮した膵管内腫瘍の1切除例 香川幸一1)、藤澤聡郎1)、久富勘太郎1)、窪田賢輔2)、長尾厚樹3)、針原康3)、橋本浩次4)、堀内啓4)、 松橋信行1) NTT 東日本関東病院 NTT 東日本関東病院 消化器内科1)、横浜市立大学医学部 外科3)、同 病理診断科4) 肝胆膵消化器病学2)、 症例は68歳男性。2012年2月に上腹部痛あり当科受診、飲酒歴からアルコール性急性膵炎(軽症 CT grade1)が疑 われ加療を行った。膵炎加療後の MRCP で膵頭部に主膵管狭窄と尾側の拡張を認めたため、同年5月に ERCP 施行 し5Fr ENPD を留置し連続膵液細胞診を行った。計4回膵液採取し悪性所見認めないため、禁酒を徹底し半年毎に 画像 follow とした。以後、尾側主膵管は徐々に拡張傾向であったが、腫瘤は認めなかった。初診から3年6カ月後 の造影 CT で、膵管内にわずかに造影される3㎝大の充実成分を認めた。EUS でも膵管内腔に発育する充実成分で あったが膵管外浸潤は認めなかった。ERCP では膵頭部に蟹爪様の defect を認め膵液細胞診は class Ⅴであった。十 二指腸乳頭に開大はなく粘液も認めなかった。各画像検査より ITPN と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した。切 除標本は、肉眼的には拡張した主膵管内に充満する15mm 大充実性腫瘤で粘液は認めなかった。組織学的には、腺 癌細胞が管状乳頭状に増殖し一部微小浸潤を認めた。膵管上皮に腺腫成分は認めなかった。免疫染色では、 MAC5AC がわずかに陽性で p53が強陽性であったことから、IPMC と診断した。術前画像診断で ITPN が疑われた が、病理学的には IPMN が疑われ診断に苦慮した膵管内充実性腫瘍であった。臨床経過および病理所見について 御検討いただきたい。 67 P-21 主膵管型 IPMN と自己免疫性膵炎が合併した1例 中野絵里子1)、菅野敦1)、正宗淳1)、吉田直樹1)、粂潔1)、廣田衛久1)、森川孝則2)、深瀬耕二2)、海野倫明2)、 藤島史喜3)下瀬川徹1) 東北大学 【症例】68歳男性。 消化器内科1)、同 肝胆膵外科2)、同 病理部3) 【主訴】膵精査目的。 【現病歴】2014年11月、両側の眼瞼及び顎下腺腫脹を自覚し近医を受診した。採血で血清 IgG4の上昇を認め、 Micklitz 病の疑いで当院眼科を紹介された。FDG-PET 検査にて両側の涙腺・顎下腺、及び膵体部に SUVmax 3.1 〜3.9の集積亢進を認めたため、膵精査目的に入院となった。 【入院後経過】採血:血清 IgG4は506mg/dl と高値であった。CT:膵体部に動脈相で20mm 程度の造影不良域と、 それより尾側の主膵管拡張、膵実質の萎縮を認めた。EUS:膵体部に25mm 大の辺縁不整、境界不明瞭で不均一 な低エコー腫瘤を認めた。EUS-FNA を施行したところ、自己免疫性膵炎(AIP)に矛盾しない組織像であった が、膵管造影では腫瘤の部位に一致しカニ爪状の膵管途絶像を認め、尾側膵管は描出されなかった。膵管像から AIP 以外に膵管内腫瘍の合併が強く疑われたため、当院肝胆膵外科にて膵体尾部切除術を施行した。 【病理結果】粘液を含有する腫瘍細胞が、乳頭状構造をとりながら主膵管内で増生していた。免疫染色で MUC1、 MUC2、CDX2が陰性、MUC5AC と MUC6が陽性を示したことから IPMN(low 〜 intermediate dysplasia、gastric type)と診断した。IPMN の間質には、リンパ球形質細胞浸潤や花筵状線維化が目立つ著明な線維性間質の増生 を認め、多数の IgG4陽性形質細胞浸潤もみられた。同様の組織像は IPMN 周囲の膵実質にも認められ、主膵管型 IPMN と AIP の合併例と診断した。 【結語】主膵管型 IPMN と AIP が合併した1例を経験した。膵管像と病理組織像の所見から興味深い症例と考え報 告する。 68 P-22 膵神経内分泌腫瘍の1例 山子泰加1)、宮田英樹1)、道堯浩二郎1)、二宮朋之1)、平岡淳1)、壺内栄治1)、宮本勇治1)、富田英臣1)、 畔元信明1)、木藤克己2) 愛媛県立中央病院 消化器内科1)、同 病理2) 症例は76歳、女性。20XX 年、他院 CT にて膵体部腫瘤を指摘され、精査のため紹介入院。 体外式超音波検査にて膵体部に境界明瞭な直径9×8mm の円形低エコー腫瘤を認めた。EUS でも同様に、膵体部 に類円形で境界明瞭な充実性腫瘤性病変を認めた。ソナゾイドによる造影 EUS では明らかな造影効果を認めなか った。EUS-FNA を22G 針および25G 針で試みたが、腫瘍内部にまで針が穿刺困難であったため、確定診断には至 らなかった。MRCP では T1強調画像で低信号、T2強調画像で膵実質よりも軽度低信号として描出され、線維成 分が豊富な腫瘤が示唆された。造影 CT では動脈相で膵実質より軽度濃染され、漸増性の造影効果を認めた。多 血性の腫瘤が示唆され、MRI および造影パターンから考えて NET が疑われた。以上より、膵神経内分泌腫瘍を 疑い、当院外科にて脾合併膵体尾部切除術を施行した。摘出標本では、白色調の10×10㎜程度の硬い腫瘍であっ た。病理組織学的には、腫瘍は小管状から索状構造をとり、豊富な硝子化線維性基質の中に埋もれるような形で 存在する神経内分泌腫瘍で、線維化基質には DFS 染色の偏光顕微鏡観察で微弱な緑色複屈折を認め、アミロイド が含まれる可能性が示唆された。腫瘍細胞自体は小型類円型で、核分裂像は乏しく MIB- Ⅰも低値であった。 (G1 相当)免疫染色では、chromogranin-A 陽性、synaptophysin 陽性、bcl-10陰性、MIB- 1index <2% であった。 造影 EUS と造影 CT での造影パターンに解離が見られたのはなぜか?などについて討論をお願いいたします。 69 P-23 術前診断に難渋した膵腫瘤の1例 丸山雅史1)、久保田大輔1)、木村岳史1)、宮島正行1)、徳竹康二朗1)、今井隆二郎1)、藤澤亨1)、森宏光1)、 松田至晃1)、和田秀一1)、美並輝也2) 長野赤十字病院 消化器内科1)、同 外科2) 症例は60歳、男性。人間ドックの腹部超音波検査で膵尾部腫瘤を指摘された。CT では膵尾部に30mm 大の境界明 瞭な低吸収腫瘤であり一部に造影効果を伴っていた。MRI では腫瘤内部は T1で低信号、T2で淡い高信号、DWI で は高信号は目立たず、部分的に漸増性濃染域を認め辺縁に被膜様構造を伴っていた。EUS では腫瘤は境界明瞭、辺 縁不整、内部不均一な低エコーの充実性腫瘤として描出され、内部に低 - 無エコー領域が混在し、一部に石灰化 を併発していた。EUS 下のエラストグラフィーでは腫瘤は均一に硬く、ソナゾイドを用いた造影 EUS では乏血性 腫瘤であり、TIC 解析において腫瘤内部は造影早期に造影されるが時間経過とともに輝度値は低下した。PET 検査 では腫瘤にリング状に強い集積を認め悪性腫瘍が示唆された。SPN、神経内分泌腫瘍、粘液癌を鑑別に考えたが 確定困難であった。悪性組織である可能性が高いと判断し脾合併膵体尾部切除術を施行した。肉眼所見では灰白 色の辺縁を伴う淡黄色調の硬い腫瘤であり、内部に微小嚢胞様構造を多数認めた。組織所見では腫瘤中心部は壊 死に陥っており、その周囲に異型管状腺管の浸潤増殖を認め adenocarcinoma(tub1)の所見であった。腫瘍は 前方組織浸潤陽性、後方組織浸潤陽性、脾静脈浸潤陽性であり T4、リンパ節転移や遠隔転移は認めず stage Ⅳ a と診断した。膵管癌としては非典型的な画像所見であり術前診断に難渋した点から画像所見についてご討論いた だきたい。 70 P-24 興味深い画像所見を呈した膵管内腫瘍の一例 本定三季、糸井隆夫、祖父尼淳、土屋貴愛、辻修二郎、田中麗奈、殿塚亮祐、向井俊太郎、藤田充、 山本健治郎 東京医科大学 消化器内科学分野 症例は60歳代、男性。腹部エコーで膵管拡張を指摘され前医を受診し MRCP にて膵頭部主膵管内に欠損像を認め たため精査目的に当院紹介となった。血液検査で、腫瘍マーカーは陰性であった。MRCP では、膵頭体移行部の 主膵管内に長径約8mm、T1強調画像でやや低信号、T2強調画像で低信号を呈す腫瘤性病変を認め、主膵管は病変 の頭側、尾側ともに約3mm 程度とびまん性に拡張していた。右腎摘出術後で腎機能障害があり、造影 CT は施行 しなかった。EUS で病変は、主膵管内に増殖し膵実質よりやや低エコーで実質との境界が明瞭な充実性腫瘤と描 出された。ソナゾイド ® 造影 EUS で腫瘤の一部にバブルの流入を少量認め、血流は疎である事が示唆された。分 枝膵管の拡張はなく、この病変の他には主膵管に壁不整を示唆する所見は認めず、膵実質にも明らかな粗大病変 は認めなかった。ERCP の際、肉眼的に主乳頭の開大はなく、膵管造影で病変は頭体移行部に造影欠損として描出 された。ERCP カテーテルに SpyGlass® のファイバーを通して膵管挿管を行い肉眼的に病変部の観察を行うと、白 色調でいくら状の隆起性病変を認めた。ENPD を留置し膵液細胞診を施行すると Class IIIa の診断であった。以上 より、主膵管内に限局的に発育する充実性膵管内腫瘍に対し幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。 71 P-25 術前診断に難渋した膵原発髄外形質細胞腫の1切除例 倉橋真太郎1)、松村卓樹1)、駒屋憲一1)、有川卓1)、佐野力1)、井上匡央2)、小林祐次2)、石井紀光2)、 村上秀樹3) 愛知医科大学病院 消化器外科1)、同 肝胆膵内科2)、同 病理学講座3) 症例は63歳男性 . 検診の腹部超音波検査にて腹腔内腫瘤を指摘され精査目的に当院を紹介受診となった . CT にて 膵尾部から発生し左腎に接する径92×71mm, 辺縁から早期濃染し平衡相にかけて wash out される腫瘤性病変を 認め , 腫瘤内部を脾動脈や分岐血管が構造を保ったまま走行していた . MRI では T1WI, T2WI で共に不均一な低信 号域 , DWI で高信号を呈した . 腹部エコー・EUS では血流豊富な低エコー腫瘤として描出され , FNA 施行時には 比較的軟性な腫瘤が疑われた . FNA での組織診では小型でシート状の円柱上皮細胞と一部粘液を有する細胞を認 めたのみであり確定診断は得られなかった . 膵嚢胞性腫瘍を疑い , 膵体尾部切除の方針とした . 術中所見として , 腫瘤は発赤調で固く , 周囲に毛細血管増生が認められ , 横行結腸間膜への浸潤と一部胃壁浸潤を疑う所見であった . さらに左腎動静脈周囲も腫瘍浸潤があり ? 離困難と判断し膵体尾部・脾・左腎・横行結腸・胃(漿膜のみ)合併 切除 ( 手術時間474分 , 出血978ml ) を施行した . 病理組織検査所見で腫瘍内は偏在した核を有する形質細胞様細胞 のびまん性増殖を認め , 免疫組織染色も併せて髄外形質細胞腫と診断された . また , 腫瘍組織内に膵ラ氏島組織が 残存しており膵原発であるとも診断された . 形質細胞腫と診断後 , 骨髄穿刺施行するも正常であり , また全身 PET 検査でも多臓器転移は認めなかった . 術後5ヵ月現在無再発であり , 経過観察中である . 膵原発の髄外形質細胞腫は非常に稀な疾患であり , 術前画像診断及び術式の選択 , 病理組織所見について討論を願 いたい . 72 P-26 非典型的な画像所見を呈した膵神経内分泌腫瘍の1例 津島健1)、芹川正浩1)、石井康隆1)、毛利輝生1)、清水晃典1)、壷井智史1)、栗原啓介1)、河村良太1)、 村上義昭2)、有廣光司3)、茶山一彰1) 広島大学病院 消化器・代謝内科1)、同 消化器外科2)、同 病理診断科3) 58歳、女性。近医で貧血の精査目的に GIS を施行され、胃体部小弯の粘膜下腫瘍様隆起と十二指腸球部前壁の潰 瘍性病変をみられた。CT にて膵頭部腫瘤を指摘され、当院紹介となった。腫瘍マーカーは DUPAN-2が210.0U/ ml と軽度高値であった。造影 CT では、膵頭体部に6cm 大の粗大な石灰化を伴い、動脈相にて非常に強く造影さ れる腫瘤を認め、尾側の膵実質は萎縮していた。また、肝後区域にも石灰化を伴う6.5cm 大の多血性腫瘤を認め た。US、EUS では膵腫瘤は不均一な低エコー腫瘤として描出され、腫瘍内部に豊富な血流がみられた。MRI で は膵、肝の腫瘤は T1で低信号、T2で淡い低信号を示した。ERP では膵頭体移行部の主膵管に圧排性の狭窄を認 め、体尾部の主膵管は造影されなかった。血流が非常に豊富であり、十二指腸の潰瘍性病変からは出血がみられ たため、EUS-FNA は施行しなかった。また、肝腫瘍生検では診断が得られなかった。画像所見より SPN、膵神 経内分泌腫瘍(P-NET)などの膵腫瘍を考え、肝腫瘤も単発であることから、PPPD および肝右葉切除を行った。 病理組織学的に膵と肝腫瘤には大型多角形で淡明な胞体をもつ腫瘍細胞が胞巣状、圧排性に浸潤する像を認めた。 免疫染色で Synaptophysin と ChromograninA が陽性、Ki-67 Labeling Index は5% であり P-NET(G2)および肝 転移と診断した。 十二指腸浸潤や6cm 大の単発の転移など P-NET として非典型的な所見が認められるが、画像診断にて確定診断 は可能であるか。また、病理組織学的に通常の P-NET との差の有無について討論いただきたい。 73 P-27 McCune-Albright 症候群に合併した膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の一例 北出卓1)、井上宏之2)、山田玲子2)、吉澤尚彦2)、田野俊介1)、堀木紀行1)、村田泰洋3)、伊佐地秀司3)、 藤原雅也4)、古川徹5)、竹井謙之2) 三重大学医学部附属病院 同 光学医療診療部1)、同 病理部4)、東京女子医科大学 消化器・肝臓内科2)、同 統合医科学研究所5) 肝胆膵・移植外科3)、 症例は56歳女性。皮膚カフェオレ斑、線維性骨異形成、思春期早発の三主徴を認め、McCune-Albright 症候群 (MAS)と診断されていた。頭蓋骨の繊維性骨異形成に伴う眼球運動障害のため、当院神経内科に入院となった。 入院中に急性膵炎を発症した。造影 CT では腫瘍性病変は認めなかったが、膵頭部で主膵管と副膵管は軽度拡張を 認めた。EUS では膵頭部の主膵管・副膵管は最大7mm 程度に拡張していたが、充実部や結節等は認めなかった。 ERCP では乳頭開口部は粘液の流出によって開大していた。膵管造影では、拡張した主膵管と副膵管が造影された。 狭窄は認めなかった。膵液細胞診で腺腫相当の IPMN を疑う所見であった。主膵管型 IPMN と診断し、膵頭十二指 腸切除術を行った。切除標本では、副膵管分岐部より乳頭側の主膵管と副膵管に IPMN の病理所見を認めた。免 疫染色では MUC1、MUC2、CDX2は陰性、MUC5AC と MUC6が陽性であり gastric type と考えられた。切除標本 の遺伝子検査では GNAS 変異を認めなかった。 MAS は、胎生期に一部の体細胞で GNAS 遺伝子変異が起こり発症する。最近では IPMN においても GNAS 遺伝子変 異が報告されている。 本症例は全体に異型が弱い病変で、一部に乳頭状増殖の上皮を認めたが PAN-IN 病変との鑑別を要した。病理で の診断、MAS との関係の可能性について御討議頂きたい。 74 P-28 膵癌疑いで切除した慢性膵炎の1例 柳井優香1)、本村充輝1)、米増博敏3)、福澤謙吾4)、成田竜一1)、井上翔太郎2)、本田秀穂2)、和田蔵人2)、 上尾哲也2)、石田哲也2) 大分赤十字病院 肝胆膵内科1)、同 消化器内科2)、同 病理診断科3)、同 外科4) 【症例】79歳男性.黒色便で前医を受診し,その際の単純 CT で主膵管拡張を認めた.上部消化管内視鏡検査で十 二指腸に多発潰瘍あり,PPI で改善.腹部造影 CT,MRCP で膵頭部癌が疑われ,ERCP で細胞診試みられたが,胃 潰瘍で幽門側胃切除後,Billroth-I 法再建であり,カニュレーション困難であったため精査加療目的に当院紹介と なった.CT,MRCP 膵頭部体部境界域で主膵管に高度の狭窄があり,尾側膵管が7mm と拡張を認めるも,明らか な腫瘤影は認めなかった.EUS では膵頭体部移行部に7mm 大の低エコー腫瘤を認め,尾側膵管の拡張を認めた. 経胃穿刺による seeding が懸念されたこと,腫瘍径が7mm と小さく穿刺ライン奥にある膵管への穿刺が懸念され たことにより,EUS-FNA 施行しなかった.ERCP もカニュレーション困難で細胞診提出できなかった.腫瘍マー カー , IgG4は陰性であった.確定診断は得られなかったが,膵癌が最も疑われたため,当院外科で SSPPD 施行し た.術後病理診断では、膵鉤部から頭部では散在性に膵管拡張を認め,その周囲に軽度の線維化を認めた.膵頭 体部移行部付近から膵体部にかけては慢性膵炎の所見であり,明らかな腫瘍性変化は認めなかった. 【討論していただきたいポイント】術前診断可能であったか.どのような検査を追加すれば診断に至れたか.狭窄 の原因はどう考えられるか. 75 P-29 画像診断に苦慮した多房性膵嚢胞性腫瘍の一例 川野道隆1)、戒能聖治1)、安田真弓1)、篠田崇平1)、仙譽学1)、坂井田功1)、松井洋人2)、永野浩昭2) 山口大学大学院 山口大学大学院 医学系研究科 医学系研究科 消化器病態内科学1)、 消化器・腫瘍外科学2) 症例は44歳、女性。20XX 年12月、右乳房腫瘤に対して近医で単純乳房切除術を施行し、乳癌と診断された。20XX+1 年1月に右腋窩リンパ節郭清術を追加施行したが、病理組織学的にリンパ節転移は認められなかった。術後補助化 学療法を施行していたが、7月に CEA 上昇を認めた。精査の FDG-PET で膵尾部の嚢胞性病変(SUV max:2.65) と右腎に集積亢進を認めた。膵病変に対する精査目的に9月に当科を紹介受診した。腫瘍マーカーは CEA:10.4 ng/ml と上昇、その他の腫瘍マーカー、血液生化学は正常範囲内であった。腹部ダイナミック CT で膵尾部に径 15mm 大の多房性嚢胞性病変を認め、辺縁は周囲膵実質よりもごくわずかに造影効果を有していた。MRI では T1WI で低信号、T2WI で強い高信号を呈していた。MRCP では主膵管との交通は不明瞭であった。EUS では膵 尾部に径16mm 大の多房性嚢胞として描出された。輪郭は類円形で macrocystic な病変の内部に microcystic な病 変の混在を疑う形態を示した。各種画像からは SCN が疑われたが、MCN、pNET などの可能性は否定できず、確 定診断目的に当院外科で脾温存腹腔鏡補助下膵尾部切除術を施行した。病理組織学検査では類円形の核を呈する 腫瘍細胞が索状に配列し増殖しており、Chromogranin A、Synaptophysin. が陽性、核分裂像はほとんどなく、MIB- 1 index は2% 程度であった。以上より、pNET G1、ENETS の TNM 分類で pT1N0M0 stage Ⅰと診断した。その 後、再発なく経過している。pNET は多彩な画像所見を示すことが多く、しばしば画像診断に苦慮する。今回、嚢 胞変性を伴い、術前診断に苦慮した症例を経験したため、報告する。 76 P-30 術前化学療法施行後に出血壊死を生じた膵管癌の一例 松原崇史1)、米田憲秀1)、小坂一斗1)、井上大1)、吉田耕太郎1)、蒲田敏文1)、田島秀浩2)、牧野勇2)、 太田哲生2) 金沢大学 放射線科1)、同 消化器・腫瘍・再生外科2) 化学療法の経過中広範な出血壊死を生じた膵癌の報告は少なく稀であるため若干の論文的考察を加え報告する。症 例は70台男性。持続する腰痛を主訴に当院を受診。腹部造影 CT を施行したところ膵尾部に30㎜程度の乏血性の 腫瘤を認め、膵癌が疑われた。EUS-FNA にて腺癌と診断され、術前化学療法(nanoparticle albumin-bound paclitaxel+gemcitabine)2コースが施行された。2コース施行後の CT では増大傾向を認め PD と判断された。化 学療法2コース終了後約1カ月後に腹痛及び発熱を認め、腹部造影 CT が施行された。腫瘍内部は単純 CT にて腫瘍 の大部分で不均一な高吸収となり、造影効果の消失を認めた。腫瘤周囲には脂肪織濃度上昇も認められた。MRI では腫瘤の大部分が T1強調像、T2強調像共に高信号を呈し、腫瘍が広範な出血壊死を生じたと考えられた。検 査値では、炎症反応の上昇を認めた。腫瘍マーカー (CA19-9、DUPAN- Ⅱ ) は化学療法施行前より若干低下した。 対症療法にて炎症所見の改善を認め学療法終了約2ヶ月後に膵体尾部切除術が施行された。組織学的には高〜中分 化相当の腺癌で腫瘍の半分程度に壊死を認めていた。 77 P-31 ITPN と術前診断した膵管内腫瘍の一例 丹家元祥1)、淺田全範1)、福原学1)、丸井彩子1)、佐田遼太1)、山階武1)、澤井勇悟1)、齋藤澄夫1)、 大崎往夫1)、中島研郎2)、嶋田俊秀3) 大阪赤十字病院 消化器内科1)、同 消化器外科2)、同 病理診断科3) 症例は63歳男性。自覚症状なし。2015年3月に腹部超音波検査にて膵頭部に膵管拡張を伴う低エコー腫瘤を指摘 された。腹部 CT では主膵管が膵頭部で途絶し、同部に境界不明瞭な造影不領域を認めた。ERP では膵頭部の拡張 膵管内にカニ爪様の陰影欠損像を認めたが、粘液による透亮像はなく、膵管口の開大や粘液の排出は見られなか った。膵管生検では腺癌との病理診断を得た。膵管内に充満する結節状の隆起性病変であり、粘液産生に乏しい ことから ITPN を疑った。切除標本では拡張膵管内に充満する乳頭腺管状腫瘍で、好酸性の胞体を持つ細胞から成 り、核および核小体の腫大・大小不同を伴った核配列の乱れ・核分裂像の増加を認め、低分化腺癌の間質浸潤像 も認めた。免疫染色では MUC1( ± ), MUC2( − ), MUC5AC(+), MUC6(+) であり、大量の細胞質外分泌粘液は認めな いものの PAS-ALB 染色では腫瘍細胞の一部に細胞質内分泌空胞が散見されることから、IPMN oncocytic type, with poorly differentiated invasive adenocarcinoma と最終診断した。ITNP と粘液産生に乏しい IPMN の亜型を画像診 断で鑑別することは困難と考えられた。oncocytic type の IPMN として MUC 染色のパターンは矛盾しないが、最 終病理診断に問題が無いか検討いただきたい。 78 P-32 Mucinous cystadenocarcinoma 内に発生した anaplastic carcinoma の1例 塩路和彦1)、青柳智也1)、栗田聡1)、佐々木俊哉1)、船越和博1)、加藤俊幸1)、成澤林太郎1)、野村達也2)、 土屋嘉昭2)、本間慶一3) 新潟県立がんセンター新潟病院 内科1)、同 消化器外科2)、同 病理部3) 症例は40歳代の女性。心窩部の違和感を自覚し近医を受診。腹部超音波検査にて膵頭部に低エコー腫瘤を認め、 精査・加療目的に当院を紹介受診。 腹部 CT にて膵頭部に境界明瞭な50mm 大の多房性嚢胞状腫瘤を認め、内部にはわずかに隔壁様の構造と石灰化 を認めた。嚢胞内の一部は単純 CT でも高吸収を呈しており出血が疑われた。MRI でも同様の所見で明かな壁在結 節は指摘できなかった。EUS では境界明瞭で、内部不均一な充実性腫瘍として描出され、一部に cystic な領域も 認めた。画像所見からは出血を伴った MCN または SPN を考え、亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した。 病理学的には多房性腫瘍の内腔に出血壊死性の腫瘍が充満していた。嚢胞内腔の粘膜には粘液産生を有する乳 頭状の腫瘍を認め、間質には ER 陽性、PgR 陽性の卵巣様間質も認めることから、粘液性嚢胞腫瘍 (MCN) と考えら れた。嚢胞内腔の腫瘍には、紡錘細胞や破骨細胞様巨細胞の浸潤性増殖を認め退形成癌と考えられ、肉眼像とも 併せて mucinous cystadenocarcinoma 内に発生した anaplastic carcinoma と最終診断した。 79 P-33 画像診断が困難であった膵腫瘍の1剖検例 松崎晋平1)、栃尾智正1)、菅大典1)、熊沢広朗1)、磯野功明1)、田中宏樹1)、岡野宏1)、向克巳1)、田岡大樹2)、 松島信佳3)、馬場洋一郎4) 鈴鹿中央総合病院 症例:86歳男性. 消化器内科1)、同 外科2)、同 放射線科3)、同 病理診断科4) 現病歴:COPD などで近医を通院中に,腹部超音波検査で膵腫瘤を指摘され,精査目的に当科を受診した. 画像所見:US では膵体尾部に長径10cm の不整形腫瘤を認め,内部は高,低,無エコーが混在して描出された. CT の造影態度は不均一であったが,内側に遅延性濃染領域を認めた.MRI の T1/T2強調像は全体的に不均一で あったが,主に低信号 / 高信号を呈し,腫瘤内側では拡散低下を認めた. 臨床経過:膵悪性腫瘍と診断したが,呼吸器合併症のため緩和医療の方針となり,初診から約1年2ヵ月後に永眠 された.画像所見から粘液癌,SCN,IPMN 由来浸潤癌,SPN を鑑別に挙げたが,典型像とは異なるため,死後 に病理解剖を行った.病理学的には,多発する嚢胞構造を伴う膵腺癌と最終診断した.典型的な画像所見を呈さ ず,診断に苦慮した膵腫瘍の1例を経験したため,画像所見と病理像の対比を含め,報告する. 80 P-34 特異な画像所見を呈した LPSP の1例 吹上綾美1)、佐々木民人1)、小道大輔1)、佐伯翔1)、花田麻衣子1)、西田祐乃1)、山田博康1)、大下彰彦2)、 眞次康弘2)、倉岡正嗣3)、西阪隆3) 県立広島病院 消化器内科1)、同 消化器外科2)、同 臨床研究検査科3) 症例は59歳男性。当院受診3か月前より空腹時の上腹部痛を自覚していた。2か月前に近医で血液検査・GIS を施 行されたが異常は指摘されず、鎮痛薬で経過観察されていた。3日前より症状増悪し、単純 CT で膵腫大を指摘さ れ、当院紹介入院となった。 入院時血液検査では Elastase1 389 ng/dl、CRP 2.4 mg/dl と上昇を認めたが、他の肝胆道系・膵酵素、IgG・IgG4 は正常だった。腹部 US および EUS では膵体尾部に70×30mm 大の境界明瞭な腫瘤を認めた。腫瘤は低高低の三 層構造として描出された。腫瘤の外側部は単純 CT で高信号を呈し、造影効果は認めなかった。腫瘤の内側部は 不均一に一部が濃染された。MRI では、腫瘤は様々な信号を呈し、腫瘤の内側部は T1・T2WI でともに高信号を 呈し、出血の存在が示唆された。DWI では腫瘤の内側部と外側部の辺縁に拡散障害を認めた。ERCP では主膵管 は体部でらせん状に先細りし途絶していた。EUS-FNA を施行したが確定診断に至らなかった。退形成性膵癌な どの出血壊死を伴い膨張性発育を呈する膵腫瘍を考え、十分な IC のもと脾切除合併膵体尾部切除術を施行した。 切除された腫瘤は非常に硬く、組織学的には線維性組織の著明な増生とリンパ球・形質細胞浸潤を主体とする慢 性炎症の像を呈していた。浸潤したリンパ球・形質細胞は IgG4染色で陽性像(36/HPF)を呈し、間質には花筵 状の線維化と閉塞性静脈炎を伴い、LPSP と診断された。 【討議内容】①診断は LPSP でよいか。②術前画像診断で LPSP と診断できる所見はあるか。 81 P-35 石灰化を伴い内部 debris 様エコーと充実構造を認めた膵粘液性嚢胞腺腫の1例 小泉一也1)、増田作栄1)、柏木宏之2)、賀古眞1)、武田宏太郎3)、手島伸一3) 湘南鎌倉総合病院 消化器病センター1)、同 外科2)、同 病理部3) 30代女性。前医にて胃腸炎の際に施行した CT にて偶発的に膵尾部領域に嚢胞性病変を認め、精査加療目的で当科 紹介となった。CT では膵尾部背側から上方にかけて54mm 大の多房性病変を認め、内部に隔壁構造とその一部に 石灰化を認めたが、充実構造は認めなかった。MRCP では内部に T1 low,T2 high な液状構造を認め、内腔足側に 24mm 大の T1 low、T2 low の球形構造物を認めた。EUS では石灰化が確認され、内部は debris 様エコーで充満し ていたが、その中に MRI で指摘された球状の低エコー構造物を認めた。腹腔鏡下膵部分切除術を施行したところ、 肉眼的には膵に由来する線維性被膜に覆われた球形の多房性嚢胞で、粘調度の高い粘液を多量に含み、内部には 術前検査で指摘された隆起性病変を認めた。病理組織学的所見では粘液産生性の単層高円柱上皮を認め、核は底 在し異型は目立たなかった。一部にエストロゲンレセプター陽性、プロゲステロンレセプター弱陽性の卵巣様間 質を認め、膵粘液性嚢胞腺腫と診断した。隆起成分は組織学的には壊死が疑われ、同部位に明らかな腫瘍成分を 認めなかった。 検討事項:debris 様エコーなど画像の典型性、隆起は腫瘍成分の壊死でよいか、壊死とするとその機序は何か。 82 P-36 感染性膵嚢胞治療中に嚢胞内に浸潤性膵癌が判明した1例 平田渉、岡村見、龍見謙太郎、切手俊弘、安田誠一、寺村康史、赤松信 彦根市立病院 外科 72歳の女性。2002年に重症急性膵炎のため近医で初回加療を受け、その際に仮性膵嚢胞に対して胃嚢胞瘻を造設 された。 2014年3月、食後の左側腹部痛を主訴に受診し、高度な炎症所見と膵体尾部に9㎝大の増大傾向を示す嚢胞性病変 を認め、仮性膵嚢胞の嚢胞感染の診断となり緊急入院となった。嚢胞感染とともに幽門狭窄を生じており、4月7 日に胃空腸吻合術を当科にて施行した。この際に嚢胞切除も考慮したが、炎症性の組織硬化・癒着が顕著で嚢胞 への到達は容易ではなく、高度な手術侵襲となることが予想されたため切除は断念した。術後は問題を生じるこ となく軽快退院したが、2ヶ月後に嚢胞感染が再燃し再入院となった。保存的加療により改善を得るものの経口 摂取再開とともに炎症の再燃を生じるため、小腸内視鏡による経乳頭的な膵嚢胞ドレナージを目的に他院へ転院 となったが、同時に施行された嚢胞内充実部分の組織生検にて高分化型腺癌と診断された。 手術加療目的に当院へ再度入院となったが、嚢胞は13㎝大への増大し、左横隔膜下から左肺底部への炎症波及を 認め、肺膿瘍を伴っていた。短期間で胃との瘻孔の数が急速に増加し、顕著な浸潤傾向を認めた。10月24日、膵 体尾部切除術および胃全摘出術および結腸部分切除術を施行した。病理組織学的には Invasive ductal carcinoma, mucinous carcinoma of the pancreas と診断された。 癌の発生時期、また純粋な浸潤性膵管癌であるか IPMN 由来であるかの診断に苦慮する症例を報告する。 83 P-37 術前診断に難渋した膵多房性嚢胞の1例 白田龍之介1)、伊藤由紀子1)、鈴木裕史1)、山本信三1)、谷口博順1)、吉田英雄1)、中田良1)、橋本拓哉2)、 幕内雅敏2)、熊坂利夫3) 日本赤十字社医療センター 消化器内科1)、同 肝胆膵・移植外科2)、同 病理3) 症例は48歳女性。2001年11月に SLE 腎症による腎不全に対して生体腎移植を施行しており、術前から膵頭部に嚢 胞性病変を指摘されていた。術後膵嚢胞は経過観察されていたが、当院での精査を希望され、2014年12月、当院 肝胆膵外科紹介となった。CEA、CA19-9含めた腫瘍マーカーは上昇認めなかった。MRCP および EUS では、膵 頭部に30mm の多房性嚢胞を認めた。macrocyst と microcyst が混在しており、中心部には星芒状石灰化を認めた ことから SCN を疑い、経過観察した。2015年7月再度 MRCP および EUS を施行したところ、嚢胞と主膵管の交通 が疑われ、体部での主膵管の狭窄および尾側膵管拡張を認めた。精査目的に ERCP を施行し、頭部からの造影で は嚢胞の描出および体部の主膵管狭窄を認めた。頭部主膵管の高度屈曲があり、処置具が挿入困難であったから 追加精査は困難であったが、主膵管の狭窄像から IPMN 由来浸潤癌の合併を疑い、8月17日に当院肝胆膵外科で膵 体尾部切除術を行った。病理では腫瘍中心部の充実性部分には淡明な胞体を有する立方状上皮からなる多房性嚢 胞、および内部に硝子化および石灰化を伴う瘢痕様組織を認め、SCN であった。しかし同時に嚢胞辺縁部および 主膵管内には高円柱状粘液上皮の乳頭状増殖があり、IPMN の合併例と診断した。術後経過は良好で、現在外来 経過観察を行っている。 84 P-38 腫瘍境界の診断に苦慮した膵癌症例 藤澤真理子1)、入澤篤志1)、澁川悟朗1)、星恒輝1)、山部茜子1)、五十嵐亮1)、佐藤愛1)、牧匠1)、添田暢俊2)、 齋藤拓朗2)、北條洋3) 福島県立医科大学会津医療センター 消化器内科学講座1)、同 外科学講座2)、同 病理診断科3) 66歳男性。黄疸精査目的で前医受診。CT/MRI で膵頭部を機転とする閉塞性黄疸と診断された。閉塞機転となる 膵頭部はわずかな腫大と膵実質のまだらな造影効果を認めるものの、明らかな腫瘍境界は指摘できなかった。前 医にて ERC/IDUS/EST/ ステント留置術を施行された。胆管壁には明らかな腫瘍性変化を認めず、胆汁吸引細胞 診で class Ⅰ、ブラシ細胞診で class Ⅱの結果であった。その後、診断治療目的で当院紹介受診。初診時発熱と Bil 高値認め、ステント閉塞による胆管炎と診断。ERC でステント入れ替えを行った。その後、炎症が落ち着いたの ちに、EUS を施行。EUS ではステント留置部位の胆管近傍に主膵管拡張の起点を認め、ところどころで低エコー 域を認めたものの、明らかな腫瘍境界は画像上は指摘することができなかった。閉塞機転となっている付近をター ゲットとして EUS-FNA を施行。初回では、腫瘍細胞を検出できず。その後、再度閉塞機転となっている部位の 低エコー域をターゲットとして2回目の FNA を施行し adenocarcinoma と診断。亜全胃温存膵頭十二指腸切除術 を施行した。病理では、多方向性発育を呈し浸潤する Invasive ductal carsinoma を認めた。腫瘍境界の診断に苦 慮した一例を経験したため報告する。 85 P-39 clinically aggressive SPN の一例 中島義博1)、吉田浩司2)、西紋禮士2)、青木啓純2)、時岡俊三1)、浦上淳3)、多田大和4)、河瀬智哉4)、 牛尾純4)、宮田英樹4)、岩尾年康4) 川崎医科大学 肝胆膵内科学1)、同 先端消化器画像研究センター4) 胆膵インターベンション学2)、同 消化器外科学3)、 36歳女性。心窩部痛を主訴に来院。超音波検査で、膵体部に40mm 大の低エコー腫瘤を指摘され、精査治療目的 で入院。造影 CT では境界明瞭な乏血性腫瘤として描出され、内部は不均一で漸増性に造影効果を示す部分と造影 効果を伴わない部分を認めた。明らかな石灰化は認められなかった。腹部 MRI で、実質部分は T1WI やや低信号、 T2WI やや高信号、内部には不整形の T1WI 高信号、T2WI 高信号を呈する嚢胞成分を認め、腫瘤の尾側主膵管は拡 張していた。EUS では内部エコーは不均一で無〜高エコーが混在し、ERCP では膵体部主膵管の狭小化・尾側膵管 の拡張を認めた。経乳頭的細胞診では腫瘍細胞を認めなかったが、EUSFNA で小型の異型細胞を認め、各種免疫 染色から SPN が疑われたため膵体尾部切除を施行。肉眼所見では腫瘍内部に出血壊死が目立ち、顕微鏡所見では 腫瘍細胞の N/C 比が極めて高く、MIB −1index が42%を示す部分が認められ、いわゆる clinically aggressive SPN に一致する所見だった。切除断端陰性であったが、膵体部前方剥離面には腫瘍の露出がみられ術後3ヵ月の腹部 CT で巨大な再発腫瘍を認め、肝転移も認めた。化学療法を含めたあらゆる治療に対し抵抗性で、きわめて悪性度 の高い経過を示した。 画像所見・病理所見について討論したいポイント:1. 術前画像で通常の SPN と異なる部分について、2.clinically aggressive SPN としてよいのか 86 P-40 長期化学療法後に切除術を施行しえた局所進行膵癌の1例 大田洋平1)、森隆太郎1)、松山隆生1)、平谷清吾1)、久保博一1)、山田淳貴1)、立石陽子2)、大橋健一2)、 遠藤格1) 横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学1)、横浜市立大学附属病院 病理診断科2) 症例は80歳女性 . 心窩部痛を主訴に前医を受診 , 腹部 US で膵頭部腫瘍を認め当科を紹介受診した . 腹部造影 CT で膵 頭部に造影効果が乏しい2.8cm 大の低濃度腫瘤を認めた . 上腸間膜動脈 (SMA) 周囲は200° にわたり腫瘍から連続す る低濃度領域に囲まれ SMA および SMA 神経叢浸潤陽性と診断した . 門脈は2cm の狭窄を認め背側に腫大リンパ節 を認めた .PET-CT で膵頭部と門脈背側リンパ節に集積を認めた . 原発巣に対し超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診を行 い Class V adenocarcinoma が検出され膵頭部癌 T4 N2 M0 StageIVB と診断した .NCCN 膵癌ガイドラインにおける Unresectable 症例と診断し TS-1, Gemcitabine による化学療法を6コース施行した . CTCAE Grade4の血小板減少を 認め TS-1単剤に変更しさらに4コース施行した . 治療開始6か月後の CT で RECIST で PR が得られ SMA 周囲の低濃度 領域の縮小を認めた .PET-CT で原発巣 , リンパ節ともに集積が消失したため手術の方針となった . 局所に放射線照 射30Gy を追加した後 , 膵頭十二指腸切除を施行した . 腫瘍浸潤が疑われた Replaced 右肝動脈および門脈合併切除 再建術を併施した . SMA 周囲の剥離は可能であった . 術後リンパ瘻を認めたが保存的治療で改善し術後33日で退院 した . 肉眼所見では膵頭部に線維化巣を認め内部にクロマチンが増加した卵円形核を有する腫瘍細胞を認め多くは高分 化管状腺癌であるが一部に癒合腺管を形成する中分化腺癌の成分が見られた . Variable な腫瘍は線維化巣のうち 50% を占め Evans 分類で GradeIIA と判断した。門脈近傍の神経叢 (PLphII) に浸潤を認めたが門脈浸潤は認めなか った . 切離断端は陰性でリンパ節転移は認めなかった . 局所進行切除不能膵癌に対する長期化学療法を行い切除しえた症例を経験した . 術前画像所見と病理学的所見の 相同相違について検討事項として提示したい . 87 P-41 膵管内進展を伴った膵神経内分泌腫瘍の1例 吉田司1)、肱岡範1)、水野伸匡1)、原和生1)、今岡大1)、夏目誠治2)、橋本光義3)、谷田部恭3)、清水泰博2)、 山雄健次1) 愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部1)、同 消化器外科部2)、同 遺伝子病理診断部3) 症例は60代男性。当院初診一ヵ月前に、るい痩、下痢、食思不振を主訴に前医受診。腹部 CT にて膵頭部腫瘍、多 発肝腫瘍を認め、入院となった。入院3日目に大量吐血あり、上部消化管内視鏡にて十二指腸乳頭部に露出した腫 瘍を認め、出血源と思われたが観察時は止血しており、保存的に経過を見られ、全身状態安定した段階で当院に 紹介となった。当院での画像検査で膵体部を中心として頭側、尾側に膵管内進展をともなう多血性腫瘍(図1)を 認め、十二指腸乳頭部では膵管より腫瘍の露出 ( 図2) を認めた。また膵体部の腫瘍は内部に石灰化(図3)と嚢胞 変性 ( 図4) を認めた。内分泌機能検査では、血中ガストリン値 10101pg/ml と著明な増加を認め、膵内分泌腫瘍 (pNET)、ガストリノーマを疑い EUS-FNA 施行、細胞診、セルブロックにて好酸球性の胞体を持ち、巣状に増殖 する異型細胞で、クロモグラニン、シナプトフィジン陽性、BCL10陰性、Ki67LI 10% 前後であり、pNET G2 多 発肝転移(肝外進展なし)と診断した。治療方針として、原発巣切除を先行する方針とし、膵頭十二指腸切除術 を施行。手術標本でも pNET の所見であり ( 図5)、最終病理診断では ENETS 分類 cT2N0M1 Stage Ⅳ、核分裂像 9/10HPF, Ki-67 LI 15% であり、WHO2010分類の G2に相当した。術後は機能性内分泌腫瘍でありエベロリムスに よる全身化学療法を導入した。pNET は稀ながら膵管内進展を伴い、このような場合は悪性度が高いことが知ら れているが、本症例はこれに合致するものと思われた。 88 協賛企業一覧 味の素製薬株式会社 アステラス製薬株式会社 株式会社アムコ エーザイ株式会社 株式会社オカダメディカル オリンパス株式会社 ガデリウスメディカル株式会社 株式会社カネカメディックス Cook Japan 株式会社 センチュリーメディカル株式会社 第一三共株式会社 大鵬薬品工業株式会社 武田薬品工業株式会社 テルモ株式会社 東芝メディカルシステムズ株式会社 鳥居薬品株式会社 成田記念病院 日本イーライリリー株式会社 株式会社ネットホスピタル ノーベルファーマ株式会社 ノバルティスファーマ株式会社 株式会社パイオラックスメディカルデバイス 東名古屋画像診断クリニック 富士フイルムメディカル株式会社 マウナケア・テクノロジー日本事務所 株式会社三輪器械 株式会社ヤクルト本社 (五十音順) 平成28年1月30日現在 第64回日本消化器画像診断研究会を開催するにあたり、上記の企業をはじめ として各界の方々に多大なるご協力ならびにご厚情を賜りました。 この場をお借りして厚く御礼申し上げます。 第64回日本消化器画像診断研究会 当番世話人 山雄 健次 89 第 64 回 日本消化器画像診断研究会 電子抄録 企画・製作 初版発行 2016 年 2 月 18 日 発行者 松尾 義朋 編集長 大野 孝 発行所 イーサイトヘルスケア株式会社 〒101-0041 東京都千代田区神田須田町 1-16-5 TEL 03-3252-1721 URL http://esite-hc.com ヒューリック神田ビル a 【企画・製作】イーサイトヘルスケア株式会社 http://esite-hc.com/ 初版 2016 年 2 月 18 日
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