CubeSat 「SEEDS」の打ち上げ結果と今後について 平成 18 年 8 月 8 日 日本大学 CubeSat プロジェクトチーム 日本大学理工学部航空宇宙工学科が開発した CubeSat 「SEEDS(シーズ)」の打ち上げが平成 18 年 7 月 27 日 4 時 34 分(日本時間)に行われましたのでご報告いたします。CubeSat「SEEDS」は、日本大学 理工学部航空宇宙工学科の学生たちが 2001 年から約 4 年かけて開発した 10cm 立方、1kg の超小型人工衛 星です。今回の打ち上げでは、ロケットに「SEEDS」を含む 14 機の超小型人工衛星とベラルーシ初の人 工衛星である「Belka」を含む 4 機の小型・中型衛星が搭載されていました。 Fig.1 CubeSat「SEEDS」 Fig.2 打ち上げロケット「Dnepr」 Fig.3 各衛星搭載図 Dnepr7 号機の打ち上げは、平成 18 年 7 月 27 日 4 時 34 分に、カザフスタン共和国内のバイコヌール宇 宙センターより、予定通り実行されましたが、打ち上げてから約1分強で 1 段目のエンジンが緊急停止し、 ロケットは打ち上げ地点から南に 150km の地点に落下したもようです(衛星打ち上げ会社である ISC コ スモトラス社のウェブサイトによる公式発表) 。下記の画像は、今回の打ち上げを見学に行った学生が撮影 したもので、その学生の話によると打ち上げ初期は問題があるようには見えなかったと言っています。こ のビデオ映像を確認すると、打ち上げ後 1 分強でロケットの炎が消失したのが確認できました。 Fig.4 打ち上げ直後 Fig.5 Silo から Dnepr が現れる Fig.6 上昇を続ける Dnepr Fig.7 しばらくして炎が大きくなる Fig.8 直後に炎がかすれ始める Fig.9 炎が消失 コスモトラス社によると、打ち上げ後からロケット落下までの間のテレメトリデータは取得できている ので、8 月末までに解析結果を公開するとのことです。それまで、詳細なエンジントラブルの原因はわか りません。 今回の打ち上げは失敗に終わり、これまでがんばってきた証を示すことができないことは非常に残念で 仕方ありません。しかし、私たちの SEEDS にはバックアップ機があり、現在、このバックアップ機を 2007 年度内の打ち上げを目標に計画を進めております。そして、SEEDS バックアップ機の打ち上げを実現する ために、私たちは現在、以下の作業が必要であり、一部はすでに作業を開始しております。 (1)新たな打ち上げ機会の獲得作業(来年または再来年の打ち上げを目標) (2)新規無線局落成のための準備作業 (3)太陽電池セルの購入(その後、装着作業) (4)2 次電池の購入 また、打ち上げまで期間があるため、私たちは SEEDS のソフトウェアのバグ修正や機能拡張を行います。 作業項目は以下を予定しております。 (1)制御ソフトウェアの修正 (2)デジトーカ機能の拡張 1(デジトーカの録音内容の公募を計画中) (3)デジトーカ機能の拡張 2(デジトーカに SSTV 信号を録音することを計画中) (4)指定文字パケットダウンリンクの取り扱い文字数拡大 最後に、打ち上げは失敗に終わりましたが、ここまでくるのに非常に多くの方々に大変お世話になりまし た。Cal Poly、UNISEC、総務省、関東総合通信局、JARL、JAMSAT、武蔵野電機㈱、㈱西無線研究所、 シャープ㈱など多くの方々に支えられながら、私たちは衛星開発を行ってまいりました。ありがとうござ いました。そして、私たちは今回の失敗に屈することなく、これからも衛星開発を続けていきます。皆様、 これからも、多大なるご支援をよろしくお願い申し上げます。 簡単ではございますが、SEEDS 打ち上げ報告と SEEDS バックアップ機の今後についてご報告いたしま した。 日本大学 CubeSat 開発プロジェクト http://cubesat.aero.cst.nihon-u.ac.jp
© Copyright 2024 Paperzz