kizuna_201105

平成23年5月 絆通信54号
絆通信
税理士法人
コモンズ
〒540-0038 大阪市中央区内淡路町 3-2-15-403
TEL(06)6224-3050・FAX(06)6224-3055
「まさか」を乗り切る!
被災者の方々に心よりお見舞い申し上げ
平成 23 年5月
か?
支払いの優先順位が大切になります。
ます。 また被災地で懸命に救援・復旧・ボ
土俵際に追い詰められた時に大切なのは、
ランティア活動に従事しておられる方々に
何と言っても会社存続が命。会社存続を最
心から敬意を表します。
優先に考えた場合の支払い優先順位は以下
今回の震災から、私たち経営者は人生同
の通りです。
様、
「上り坂・下り坂」だけでなく、
「まさ
★1位 手形小切手
か」という坂があることを知りました。被
不渡りの回避を最優先に考えて下さい。
災地の小売業・飲食業は震災の影響で客足
6ヶ月以内に2回以上不渡り手形を出すと
が途絶え、売上の見通しが全く立たない…
「銀行取引停止処分」となり、事実上の倒
被災地以外でも原材料の調達難で受注でき
産となりえます。
ても納品できない、売掛金の回収遅れが起
★2位 社員の給与
きる…
労務上の問題から社員給与の遅延は避けな
資金繰りに危険信号が見える会社も急増
します。
ければなりません。ただ非常時において会
社の最大の固定費はやはり人件費。今回の
そこで、
「土俵際に追いつめられた時の支
震災の影響で、大量解雇・大量失業の問題
払い優先順位」について考えてみましょう。
が浮き彫りになる可能性は高いものがあり
災害時でも「公助1割・共助2割・自助7
ます。
「社員数は多いほどカッコイイ」とい
割」の原則は活きています。
う固定観念を捨て、組織体制のあり方を自
自助努力で危機に対し立ち向かう覚悟を
問自答すべき時が来ています。
固め、今日の「まさか」を乗り切りましょ
★3位 仕入外注費
う。会社の資金繰りが危機的状況に陥った
金払いの良さが信用を生みます。また
時、支払い余力は限られます。
“玉”がないと商売できません。
そのような状況下で、どこから払うべき
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原材料の調達も困難な情勢の中、社外の関
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係者も大切にすべきでしょう。
危機から這い上がってきた会社の共通点は
★4位 銀行返済
「自力」
。
「最悪を想定し、最善を尽くす」
金融機関には申し訳ない話ですが、会社存
経営者のあるべきマインドコンディション
続を第一に考えれば、優先順位4位になっ
です。
て初めて、銀行借入返済です。金融庁の指
お互い頑張っていきましょう!
導のもと、
「中小企業金融円滑化法」が来年
3月まで1年延長になっています。今回の
震災により「緊急対策融資」が政府より実
行される見通しですが、借金をこれ以上増
人生を時間で捉えよう
私たちは、いったい一生の間にどれだけ
の時間を保有しているのであろうか。
やしたくないという場合、リスケジュール
平均寿命を 80 歳とします。80 年間の人
は近年かなり実行しやすい環境が整備され
生は日にして 29200 日、時間にして 70 万
ています。
800 時間になります。しかし、その 3 分の 1
★5位 社会保険料
は睡眠時間として奪われてしまいますから、
正社員の厚生年金保険料は、経営者からみ
実際は 19467 日、つまり 46 万 7200 時間と
れば「第二の税金」です。ただ会社存続を
なります。そこから、すでに経過してしま
最優先に考えれば、優先順位は下がります。
った時間を引いたものが残された時間とな
★6位 税金
ります。
税務署による消費税と源泉所得税の滞納の
例えば、あなたがちょうど人生の半分を
取り立ては特に厳しい。何故なら、この2
経過した 40 歳だったとすると、残された時
つの税金は「預り金」的な性格を持つから
間は 1 万日もありません。しかも、70 歳以
です。ただ被災地では申告納税期限が延長
上の老年期は、体力も衰え、十分な活動が
されていますが、資金繰り危機の場合、管
期待できないと仮定すれば、残された時間
轄税務署の管理徴収部門に相談するのも一
はたった 6083 日、14 万 6000 時間しかない
つの手です。
のです。
窮地に追い込まれても、経営者はパニッ
残された時間の中には、さらに病気など
クボタンを押して、冷静さを失ってはいけ
十分に活用できない時間が含まれているの
ません。人間はリスクそのものに恐れを抱
ですから、果たして後いくらあるかと考え
くのではありません。リスクに対し自分が
るとさみしくなります。
取るべき方法がわからないから、恐れを抱
くのです。
無限に使えると思っている時間も、計算
してみると意外なほど少ないことがわかり
リスクへの対応策を知っていれば、リス
ます。だからこそ、自分の人生を大事にす
クではなくなります。オーナー魂を胸に秘
るためには、時間を大事にしなければなり
め、果敢に挑みましょう!
ません。明確な青写真をもって、人生の進
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路をたえずはっきり示し、しっかりとした
「が」は我欲の「我」であり、我を立てる、
時間管理をすることが必要になります。
我を張るの「我」です。
「他人と自分に強く
与えられた時間を有効に使う人は人生を有
なれ」ということは、我を張るということ
意義に過ごす人になり、ただ時を過ごして
ではありません。
いく人は、無為な一生を送ることになるの
です。
無為の時間を送っている人は、時間を泥
自分自身をコントロールできる強固な意
思を持つこと、そして他人を温かく向かい
入れる包容力でもあります。
棒していると考えるべきでしょう。そうい
自分という存在は、他人によって支えら
う人は、
「食べるために仕方なく働いている
れて生きています。相手が大きくなった分
のだから、会社が自分の時間を奪っている」
だけ、自分も大きく生かされます。そして、
と考えるかもしれません。しかし、実際に
相手が大きくなっていくためには、何より
は時間泥棒は自分自身なのかもしれないの
も相手を思いやる気持ちがなければなりま
です。
せん。
今あらためて、①自分の安易な性格で、
人の苦しみや、悲しみがわからなくて、
惰性的な生活を送ってはいないか、②進む
どうして人と一緒に歩むことができるでし
べき進路や目標がなく、行ったり戻ったり
ょうか。どうして、人を使うことができる
時の流れの中に漂ってはいないか、考えて
でしょうか。人と人との関係を、心と心で
みましょう。
捉えることを心がけることが大切です。
今日という日は、常にまったく新しい時
人間には、
「三つの年齢」があると言われ
なのです。心の持ち方一つで、生かされて
ています。一つめは、生まれてから今まで
いるこの瞬間から自分の人生を楽しくする
の暦のうえの年齢、これを「生活年齢」と
ことができるのです。少なくとも、そう心
言います。
「私はいま 65 歳です」という場
に決めることができるのです。すなわち、
合、暦のうえで生まれてから 65 年経ったと
「ものの見方、考え方」を変えることによ
いうことで、これは「生活年齢」です。
って、あなた自身の人生を変えることがで
二つめは、健康状態とか、日常生活にど
きます。時間に振り回されることなく、あ
の程度の支障があるかなどに左右されるこ
なたの自主性によって時間を上手に使い、
とが多い「生理的年齢」です。
時間自体を支配するようにならなければな
りません。
また、
「他人と自分」にも強くなければな
そして三つめは、気持の持ちようや心が
け次第でどのようにでも変えることができ
る「心理的年齢」です。
りません。世の中で一番やっかいなのは自
特にこの三つめの「心理的年齢」には個
分自身です。
「おれが」
「自分が」の「が」
人差があります。私たちは誰でも好むと好
が我となって頭を持ち上げてきます。その
まざるにかかわらず年を経てきます。ここ
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で重要なのは、自分の「生活年齢」や「生
る。
理的年齢」を潔く認めることではないかと
彼等が見つめているのは日本人ひとりひ
思います。
とりの行動だ。
仕方なく我慢するのではなくて、
「心理的
日本人の真価だ。
年齢」をいつまでも若々しく保ちながら、
国家は民なのだ。ひとりひとりの力が日本
元気に老いを再出発する覚悟を決めること
なのだ。
が重要だと思います。ありのままの自分を
力を合わせて進む。しかし力を合わせるだ
謙虚に受け入れること、それが「心理的年
けではダメだ。
齢」を若く保つ秘訣かもしれません。そし
一人の力を最大限に出し、強いものにしな
て、
「心理的年齢」を若く保つことの一つの
くてはいけない。
秘訣としてユーモアのセンスが考えられま
新しい人よ。今は力不足でもいい。
す。ユーモアは、自己中心的な非常に不自
しかし今日から自分を鍛えることをせよ。
由な内面から解放された人間の象徴的な証
それが新しい社会人の使命だ。
であるのかもしれません。ユーモアの乏し
それが新しい力となり、二十一世紀の奇跡
い私自身への自戒の言葉としたいと思いま
を作るだろう。
す。
ハガネのような強い精神と、咲く花のよう
年々歳々 花相似たり
にやさしいこころを持て。
歳々年々 人同じからず
苦しい時に流した汗は必ず生涯のタカラ
言を寄す 全盛の紅顔子
となる。
応に(まさに)憐れむべし 半死の白頭翁
ひとつひとつのハガネと、一本一本の花
は、美しくて強い日本を作るだろう。
美しくて強い日本人、職場を作ろう。
(今 月 の 言 葉
)
人は言葉に励まされ、癒される
ハガネのように 花のように
新社会人おめでとう。
君が今立っている職場が、君の出発点だ。
さまざまなことが起きている春だ。
働くとは何か。
生きるとは何か。
日本人皆が考え直す機会かもしれない。
世界中が、これからの日本に注目してい
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その時こそ笑って乾杯をしよう。
伊集院 静
(サントリーの新聞広告 平成 23 年 4 月 1 日)
平成23年5月 絆通信54号
思 草 (しぐさ)
いましたが、3 月末、ないし 4 月に入ると
「思草」とは、生き方の哲学、心構えといったことを意味
「地下水中から高濃度の放射性物質検
します
出」「冷却水がそのまま海に流れ出てい
た可能性」といった初期とは比べものに
「狼少年」に慣れてはいけない
この原稿を書く前の日、良い塩サバが
手に入ったので、これを焼いて食べまし
た。サバは脂が乗っていて、とてもおいし
ならない大変な内容が報じられても、テレ
ビ各局はお笑いやバラエティを流してい
て字幕スーパーも走りません。
震災から数週間の段階でも、すでに各
かったのですが、焼く時にやたらと煙が
種の「慣れ」によって、情報に対する反応
出て、室内の火災報知機が反応してしま
が鈍化してしまっているわけです。これが
い 「ピリリリリ。火事です。火事です」 と
2 年、3 年と続くなら、明らかに社会全体
あちこちの部屋の報知器から警戒音が出
の放射線情報への関心は低下してしまう
てしまいました。しかたなく、換気扇を回し
でしょう。こうした「慣れ」によって、人が油
ながらあちこちの報知器のスイッチを消し
断してしまう最大の理由は、情報の内容
て歩きましたが、何度も繰り返すので往
をよく理解していないからだと私は思いま
生しました。
す。
これを消して歩きながら「狼少年」の逸
テレビで天気予報を見ることに、あらゆ
話を思い出しました。「狼が来た! 狼が
る人は「慣れ」ています。でも、どれだけ
来た!」と叫ぶと大人たちが飛んで出てく
慣れても、明日は雨だと言われれば傘を
るのを見て面白がってしまった見張りの
準備するでしょうし、雪だと言われればス
少年が、何もない時に「狼が来た!」を連
ノータイヤを装着するとか、適切な対処の
呼して大人の信用を失い、本当に狼がや
方法を考えるでしょう。こうした判断能力、
ってきた時には誰も助けにきてくれず、食
あまり見慣れないカタカナ語では「情報リ
い殺されてしまう、というような昔話です。
テラシー」などと呼ばれることがあります
福島第一原発の近くから「放射性物質
が検出された」という報道にも、これと似
て非なる状況が発生していたような気が
します。 3 月 11 日に発生した震災と事故。
災害のごく初期「放射物性物質の漏れが
確認された」と報じられた時には、過剰反
応も含めマスコミは大変な反応を見せて
税理士法人コモンズ
が、この判断する力を限られた数の「専
門家」だけでなく、だれも持っている必要
があると思うわけです。 お天気の判断や
交通ルールなどと同様、万人が知ってお
くべき「核リテラシー」つまり「1 億人の放
射線常識」というべきものがあると私は思
います。