2011年4月~6月 - Université de Strasbourg

JSPS Strasbourg Office Quarterly / 2011-12 No.1
日本学術振興会ストラスブール研究連絡センター活動報告
(2011 年 4 月~6 月)
【ストラスブール市民憩いの場オランジュリー公園にて 左:日仏大学会館及び JSPS ストラスブールセンター職員一同、右:アルザス地方の象徴コウノトリ】
ストラスブールでは、4月になると街の至る所で美しい桜や色とりどりのチューリップ、ライラックやマグ
ノリアの花が咲き始めました。気温も 20 度を超える日が相次ぎ、暗く長い冬から一転した晴天の毎日に、町
を歩く人々の表情も心なしか明るくなったようです。北アフリカで越冬したコウノトリもアルザス地方に戻
ってきて、屋根や木の上で優雅に休んでいる姿が日常的に見られるようになりました。そんな春の JSPS スト
ラスブール研究連絡センターに、4 月 1 日より東京大学職員の斉藤美奈国際協力員が着任しました。日本で
の研究生活を経験したフランス人研究者のネットワーク作りを中心に、1 年間センターで JSPS の業務に携わ
る予定です。
France-Japan Joint Forum on Chemistry of Functional Organic
Chemicals (COFOC) for Celebrating International Year of Chemistry
-2011-の開催
2011 年 6 月 23 日(木)~25 日(土)にストラスブールにて、日仏合同フォーラム「創造機能化学(COFOC):
国際化学年を記念して―2011―」(CNRS、ストラスブール大学、JSPS 主催)を開催しました。
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フォーラム開催に先立ち、前日には会場となるストラスブール大
学 ISIS(Institut de Science et d'Ingénierie Supramoléculaires: 超分子
工学研究所)の超分子化学研究室(室長:Jean-Marie Lehn 教授)
及びナノ構造研究室(室長:Thomas Ebbesen 教授)を ISIS 所長の
Ebbesen 教授の案内で訪問し、ISIS がストラスブール大学の中で
も最も国際的な研究所の一つであり、世界中から優秀な研究者が
集まって最先端研究を行う特色を持つことを伺い知ることができ
ました。
【ISIS 訪問の様子:右が Ebbesen 所長】
以下にフォーラムのセッション毎の概要を報告します。
2011 年 6 月 23 日(水)【開会挨拶】
中谷陽一 JSPS ストラスブール研究連絡センター長及び Prof. Jean-Marc Planeix ストラスブール大学化学部長
の司会により、在ストラスブール日本国総領事館軽部洋総領事、Prof. Régis Réau CNRS 化学研究所長、スト
ラスブール市長代理 Henri Dreyfus 氏、アルザス州議会副議長 François Loos 氏、日本学術振興会 116 委員会
前委員長西郷和彦氏、JSPS 小野元之理事長、Prof. Éric Westhoff ストラスブール大学副学長より挨拶が行わ
れました。フランス側スピーカーからは、今後も日本が今まで同様にフランスの良きパートナーであり続け
ること、また学術交流の面で惜しみない協力をしていきたい旨が述べられました。日本側からは、震災後フ
ランスの人々から暖かい言葉と支援をいただいたことに対するお礼、また、日仏学術交流の更なる発展につ
いて、それぞれの立場から推進していく決意が述べられました。
上【(左より)在ストラスブール軽部総領事、Prof. Réau CNRS 化学研究所長、ストラスブール市長代理 Dreyfus 氏、アルザス州議会副議長 Loos 氏】
下【(左より)JSPS116 委員会西郷前委員長、JSPS 小野理事長、ストラスブール大学 Westhoff 副学長】
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2011 年 6 月 23 日(木)【セッション1】司会-Paolo Samori
講演者:Jean-Marie Lehn(Professor, ISIS, Université de Strasbourg,
Collège de France)
“Perspectives in Chemistry: Towards Adaptive Chemistry”
「化学の展望:適応性のある化学にむけて」
配位子の設計と適当な金属の組み合わせにより、動的構造をとりうる錯体の
化学を講演した。本分野は、自己組織化の分野に属する化学であり、様々な
機能性分子への展開の極めて高い可能性を述べた。
講演者:柴崎正勝(公益財団法人
微生物化学研究所所長、東京大学・
北海道大学名誉教授)
“Recent Progress in Cooperative Asymmetric Catalysis”
「協奏的不斉触媒反応の最近の発展」
柴崎研究室では、atom economy の高い触媒的不斉反応、特に触媒的不
斉炭素−炭素結合生成反応に研究の中心を置いている。本目的を達成す
る為には、協奏的不斉触媒のコンセプトが極めて重要と考えている。
今回の講演では糖尿病性神経症薬、β3−アゴニスト、抗結核薬の実用的
触媒的不斉合成法を発表した。
講演者:Clément Sanchez( Professor, Laboratoire de Chimie de la Matière
Condensée de Paris, Université Pierre et Marie Curie /CNRS, Collège de France)
“Rational Design of Nanostructured and Hierarchically structured Functional
Solids”
「ナノ構造と階層構造を持つ機能性固体の合理的設計」
多様なハイブッリド材料を、ナノサイズのビルディングブロックから簡便に合成す
る方法を開発した。たとえば従来結晶を得にくい MIL125 固体はこの手法により結
晶を得ることが可能になった。メソ孔材料においてもこの手法で発展させることが
でき、また薄膜、ファイバー、粒子を得て、光触媒、ポリマー合成、電子デバイス
など多様な機能性材料の展開をはかることができた。
講演者:北川進(京都大学大学院工学研究科教授)
“Gas Science / Technology of Porous Coordination Polymers”
「多孔性配位高分子を用いる気体のサイエンス・テクノロジー」
有機分子と金属イオンから構成される新しい多孔性材料である多孔性配位高
分子は、従来材料であるゼオライトや活性炭と異なる柔らかい結晶性固体であ
り、講演者が先導して開発してきた。この特徴を活用して、排ガス、空気から
二酸化炭素の効率分離や、これまで不可能とされていた混合気体からの目的気
体の分離にも成功した。光応答機能を利用してオンデマンド型の酸素や一酸化
炭素の気体捕捉材料の合成にも成功した。
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2011 年 6 月 23 日(木)【セッション 2】司会-Pierre Rabu
講演者:Jean-François Nierengarten(Research Director, ECPM, Université de
Strasbourg /CNRS)
“Fullerene-containing nanostructures for materials science and biological
applications”
「材料科学と生命科学のためのフラーレン含有ナノ構造」
フラーレンはユニークな電子的性質を有する3次元ナノ構造物質であり,先端
材料あるいは生物活性物質の応用が期待される。今回,フラーレンを含むデン
ドリマーあるいは対称性の高いフラーレン6付加物を合成する方法を開発した。
これらの光応答性,ナノ材料,生物活性などに関する成果を報告した。
講演者:山口雅彦(東北大学大学院薬学研究科教授)
“Organic Synthesis from Small Helical Molecules towards Materials”
「ラセン小分子から材料構築を目指す有機合成化学研究」
ラセンは回転運動を伴った並進運動を起こす点の取る軌跡で不斉構造である。
我々は有機合成化学的観点から,分子のラセン不斉とキラル材料を関連付ける
研究を行っている。ラセン有機小分子としてヘリセンを取り上げ,これを共有
結合あるいは自己組織化を利用してビルドアップ合成して物質サイズを上げ,
新しい機能発現に展開した。
講演者:Wais Hosseini(Professor, Institut le Bel, Université de Strasbourg /
CNRS)
“Molecular Tectons
「分子テクトン」
当初の予定とは異なる、
「分子テクトン(Molecular Tectons)」という題目で講
演された。分子テクトンを構造要素として、様々な構造の結晶を組み上げてい
く考え方と実例が紹介された。例として、今回は、カチオン性の分子が金属と
錯体を形成することにより、ネットワーク状や、層状構造を有する結晶が作ら
れた。また、テクトンから、液晶分子を作る例も示された。おもちゃのブロッ
クのように単純な分子から多様な結晶構造が得られる。
講演者:加藤隆史(東京大学大学院工学系研究科教授)
“Self-Assembly of Molecular-Based Functional Materials”
「機能性分子集合材料」
ソフトマテリアルの一つとして、液晶の新しい機能化の例が示された。液晶材
料の分子設計への超分子化学およびナノ化学を導入することにより、機械的な
せん断に応答してナノ構造を変えて発光色を変化させる新しい光機能性液晶や、
イオンを効率的に輸送するナノ構造を有するイオン伝導性液晶などの例が述べ
られた。また、カテナンやロタキサンなどの超分子も液晶化して、超分子化学
と液晶化学の境界領域を展開する例も示された。なお、カテナン液晶の構築は、
ソバージュ教授との共同研究の成果との説明があった。
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2011 年 6 月 24 日(金)【セッション 3】司会-Pierre Braunstein
講演者:Marc Fontecave(Professor, Université Joseph Fourier Grenoble /CNRS /CEA, Collège de France)
“Lessons from Nature: highly selective radical-based chemistry in metabolic and biosynthetic pathways”
「自然から学ぶ:代謝ならびに生合成経路における高選択的ラジカル化学」
生体内のラジカル反応の役割と反応機構の最近の成果について講演した。
従来、ラジカルは反応性が高く、毒性の強い活性種と考えられてきたが、
多くの生体内の反応がラジカル機構で、なおかつ高い選択性をもって進む
ことが最近明らかになってきた。今回の講演では、ラジカル SAM 酵素を例
に挙げ、拡散やタンパク質の選択的修飾においてラジカルの生成が反応の
開始に重要な役割を果たしていることを、具体例を挙げながらその生成・反
応機構について現在どこまでわかっており、今後どのような研究展開が必
要かについて説明した。
講演者:井上佳久(大阪大学大学院工学研究科教授)
“Bio-Supramolecular Photochirogenesis”
「生体超分子不斉光化学」
生体分子のキラル環境を用いた光によるキラル化合物合成の新しいいくつ
かの試みについて講演した。光による不斉合成は従来低い光学収率が得ら
れないとされてきたが、最近になってタンパク質などの生体高分子をキラ
ル環境場とする光不斉合成において高い光化学収率が得られることが明ら
かになり、本講演では、ウシならびにヒト血清アルブミンの疎水性結合サ
イトを用いることにより 90%近い光学収率が得られ、さらに他のほ乳類の
血清アルブミンにまで研究を展開することにより、最終的に対掌体を化学
収率 70%、光学収率 97%以上の実用レベルにまで高めることが可能になっ
たことが明らかにされた。
講演者:Mihail Barboiu(Senior Research Scientist, ENSCM, Université Montpellier 2 /CNRS)
“Dynamic Interactive Systems – toward natural selection of functions”
「機能選択発現を指向するダイナミック相互作用システム」
ダイナミックケミストリーと呼ぶ分子集合による機能発現の化学について、い
くつかの例を挙げて説明した。錯体や高分子ユニットでさえ、ばらばらの状態
ではなんの機能も持たないが、ひとたび集合体を形成するような結合を形成さ
せる工夫をすると、機能体として働く材料に変化する。
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講演者:鈴木孝治(慶應義塾大学理工学部教授)
“Creation of Sensing Molecules and Materials for Chemical Sensors”
「ケミカルセンサーのためのセンシング分子および材料の創製」
化学センサーのなかで、イメージングを担う蛍光プローブは、生体の
メカニズムや物質のダイナミクスを調べことができるため、重宝され
ている。高輝度蛍光プローブ KFL を設計合成し、可視光から近赤外光
領域で使えるカルシウムや pH 測定ができる新規高輝度蛍光プローブ
を開発した。これらは、マルチ高輝度イメージングを実現する。
2011 年 6 月 24 日(金)【セッション 4】司会-Jean Weiss
講演者:Olivia Reinaud(Professor, Laboratoire de Chimie et Biologie
Pharmacologiques et Toxicologiques, Université Paris Descartes /CNRS)
“Biomimetic molecular funnels with hat and boots”
「帽子とブーツを備えた生体模倣分子ろうと」
金属酵素の活性点を模倣した超分子系をカリックス-6-アレーンを元に構築し、
金属イオン配位圏と基質との結合を制御した。3個のイミダゾイル基で修飾
した亜鉛配位カリックス-6-アレーンでは、カリックスのコーン内での CH-π
相互作用や水素結合等の多点相互作用により非対称トリアミン類を高選択的
に捕捉可能であり、かつそれらのレギオ選択的反応にも可能であった。
講演者:寺前 紀夫(東北大学大学院理学研究科教授)
“Molecule Recognition Based on Abasic-site-binding Fluorescent Ligands”
「脱塩基部位に結合する蛍光性リガンドによる分子認識」
DNA や RNA の核酸二重鎖内の脱塩基部位はナノサイズの疎水場であり、水
中における分子認識場として、水素結合やπスタッキング、静電相互作用とい
った分子間相互作用を有効に機能しうる。水素結合能を有する蛍光性分子によ
り、脱塩基空間に対向する塩基の違いの高選択的認識を達成し、一塩基多型検
出へ応用した。また、ミスマッチ塩基対の検出を始め、脱塩基部位結合蛍光分
子によるアプタセンサーへの展開を進めた。
講演者:Raymond Ziessel(Research Director, ECPM, Université de Strasbourg /CNRS)
“Boron Dipyrromethene Dyes: A Toolbox for Molecular Photonics and Light
Emitting Devices”
「分子光学素子や発光デバイスとしての DPP(ジケトピロロピロール)及び
BODIPY(ホウ素ジピロメテン)」
DPP や BODIPY 誘導体を各種合成し、発光素子として利用した。その構造を
変化させることにより、発光色やエネルギー移動を制御することができた。光
学材料としての利用の他、分析分野や生体イメージングへの応用が期待される。
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講演者:中條義樹(京都大学大学院工学研究科教授)
“Mainchain-Type Organoboron Polymers: Synthesis and Photoluminescence
Properties”
「主鎖型有機ホウ素共役系ポリマーの合成と発光特性」
有機ホウ素を主鎖に含む共役系ポリマーをヒドロボレーション重合により初
めて合成した。また、ピラザボール、キノレート、ホウ素ジピロメテンなどの
ホウ素四配位錯体を主鎖に有する共役系ポリマーを重縮合により合成した。こ
れらの高分子は、近紫外から近赤外までの興味深い発光特性を示すことが分か
った。
講演者:Alain Deffieux(Research Professor, ENSCBP, Université de Bordeaux 1 /CNRS)
“Precision Synthesis and AFM Visualization of Cyclic and Branched Polymers”
「環状・多分岐ポリマーの精密合成と AFM 可視化」
制御された高分子合成により得られる重合物のマクロな構造を Atomic Force
Microscopy (AFM) 技術を用いて可視化することにより、重合反応と構造物の
構造相関を議論している。通常合成で得られる直線上高分子とは異なる、星形
の高分子や環状高分子を合成してグラフト重合を行うことで目視化に成功し
ている。特に、多分岐構造や双環状構造をもつ高分子化合物を自在に合成して
それらの構造を可視化することにより重合反応制御の妥当性を明確にしてい
る。本重合技術の今後の展開については必ずしも明らかにしていなかったが、
化学反応の結果を分子レベルで目視できることは意義深い研究成果といえる。
講演者:碇屋隆雄(東京工業大学大学院理工学研究科教授)
“Greener Molecular Transformation with Bifunctional Molecular Catalysts”
「協奏機能触媒化学の最近の進歩」
独自の発想に基づいて開発展開された協奏機能触媒の原理とそれを用いた還元
的および酸化的反応さらに炭素—炭素、炭素—窒素形成反応について最近の研究
成果について議論している。特に金属と配位子の協同作用を有する協奏機能ア
ミド錯体が水素の活性化と極性カルボニル化合物の水素化触媒として有効であ
り、特に環状イミドからアミドアルコールの合成さらにエステルやアミド類の
水素化に有効であることを明らかにするとともに、アルコール類の酸素酸化の
触媒となることを明らかにしている。さらに、適切なブレンステド塩基性を有
するアミド錯体がマイケル付加反応の触媒として有効であり、高い光学純度の
付加体を与えることおよび NMR および DFT 研究によりマイケル付加反応の機
構を明らかにしている。
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2011 年 6 月 25 日(土)【セッション 5】司会-Dominique Matt
講演者:Didier Astruc(Professor, ISM, Université Bordeaux 1 /CNRS)
“Green Catalysis inside Dendritic Nanoreactors”
「デンドリマーナノ反応器を用いたグリーン触媒」
Astruc らは疎水性のコアと親水性のアームを有するデンドリマーをナノ反応容
器として利用した水系で触媒量の少ないグリーン触媒についてその反応例を報
告した。その主な内容は以下の通りである。1)Grubbs 触媒を用いた水系での
高効率オレフィンメタセシス反応、2)水中における銅触媒を用いたアジドーア
ルキン付加反応の促進、3)センシングとクリック反応のためのデンドリマー配
位子、4)水溶性デンドリマーへの Pd 坦持による水系での高効率触媒反応の開拓
講演者:高原淳(九州大学先導物質化学研究所教授)
“Dynamics and Functional Properties of Precisely Designed Polymer Brushes”
「精密構造制御したポリマーブラシの物性と機能性」
高分子電解質を中心とするポリマーブラシの精密合成とその構造と機能性につ
いて報告した。その内容は以下の通りである。1)高分子電解質ブラシの側鎖イ
オン基の種類と水・塩水溶液界面での分子鎖形態、2) 高分子電解質ブラシの
超親水性の評価と防汚性、3)高分子電解質ブラシの水中での摩擦特性、4)ポ
リマーブラシの種々の基材への応用、5)高分子電解質ブラシを用いた可逆的な
接着特性
講演者:Régis Réau(Professor, Sciences Chimiques de Rennes, Université de
Rennes 1 /CNRS)
“Organophosphorus and Organometallic Chemistry for the Design of
pi-Conjugated Systems”
「有機リン骨格と有機金属化学を活用するパイ共役系の設計」
Réau 博士は発光材料の重要な部品にピロールの燐誘導体であるホスホ−ルを合
成し、これの置換体を多数合成して、発光特性を調べている。さらにはピリジル
基を置換させたのち銅との錯体形成によってヘリセン構造をつくることに成功
した。キラル構造がもたらす新規光学特性の研究を可能にするなど、創造力を刺
激する講演であった。
講演者:檜山爲次郎(中央大学研究開発機構教授)
“Carbon-Carbon Bond Forming Strategy through C-H and C-C Activation”
「C-H 結合ならびに C-C 結合活性化による新規炭素ー炭素結合形成戦略」
ポストクロスカップリング反応として期待の大きい炭素−シアノ結合への不飽和
結合の挿入反応をニッケルとルイス酸との協働触媒を利用して実現している。同
様にヘテロ芳香族環の窒素の隣の位置にある C-H 結合を選択的に活性化するこ
とに成功した。とくに嵩高いアルミニウムルイス酸とニッケル触媒、NHC カル
ベン配位子を使うことによって、末端アルケンをつかってピリジンの 4 位選択的
アルキル化を実現した。有機合成の力量をまざまざと見せつける講演であった。
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2011 年 6 月 25 日(土)【特別講演】司会-Jean-Marie Lehn
講演者:Geroge M. Whitesides(Professor, Department of Chemistry and Chemical Biology, Harvard
University)
“Charge Transport by Tunneling through Self-Assembled Monolayers (SAMs)”
「自己集合型単分子膜を貫通する電荷輸送」
隔絶されている有機物質を通り抜ける電荷輸送は、光合成、呼吸作用、
レドックス過程など多くの生体反応で見られる重要な現象であり、有機
エレクトロニクスに含まれる有機物質を通過する電荷移動を理解するこ
とに深く関わっている。我々は、2枚の金属電極に挟んだ自己集合型単
分子膜を通過する電荷移動を物理有機化学的に研究するためのシステム
を開発している。金属電極の一方は銀又は金であり、他方は低融点ガリ
ウム/インジウム合金である。この接合体を用いると、電流密度と整流効
果について詳細な情報が得られるばかりでなく、膜の役割や膜/電極界面の構造に関する重要な情報も得ら
れる。本講演では、まずこのシステムを紹介すると共にその長所と短所について述べ、最後にこのシステム
を用いて得られた結果について纏めて紹介した。
【各セッションの司会者(左より):Prof. Samori, Dr. Rabu, Dr. Braunstein, Dr. Weiss, Dr. Matt (ストラスブール大学)】
日仏大学会館及びストラスブール大学(UDS)との Joint Seminar の開催
ストラスブール大学や日仏大学会館と共催で、日仏の研究者を招待して、様々なテーマで学術セミ
ナーを開催しています。2011 年 4 月から 6 月までの間に、計 3 回のセミナーを実施しました。
5 月 5 日(木)第 39 回 JSPS-UDS ジョイントセミナー
講演者:加藤美砂子(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科教授)
講演タイトル:
「植物におけるカフェインシンターゼおよび関連するメチルトランスフェラーゼ」
” Caffeine synthase and related methyltransferases in plants”
カフェイン(1、3、7-トリメチルキサンチン)は植物に存在するプリンアルカロイドであり、チャやコーヒ
ーに存在する二次代謝産物として広く知られている。チャのカフェインシンターゼは、7-メチルキサンチン
→テオブロミン→カフェインへの合成経路における2つのメチル化反応を触媒する N-メチルトランスフェラ
ーゼである。チャやコーヒーには、高濃度のカフェインが蓄積されているが、その他にも13目100種近
い植物で、プリンアルカロイドの存在が確認されている。このようにプリンアルカロイドを含む植物種は、
特定の分類群に集中しているわけではない。本講演では、プリンアルカロイド生合成に関与する N-メチルト
ランスフェラーゼに焦点をあて、その多様性から植物におけるカフェイン合成能の獲得について考察した。
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【会場の様子】
【講演者の加藤氏】
5 月 25 日(水)第 97 回学術セミナー
講演者:Astrid Nehlig(INSERM 主任研究員、ストラスブール大学医学部)
講演タイトル:
「コーヒーと健康:コーヒーを飲むことは健康のリスクにつながるのか?」
”Coffee and health: is coffee drinking presenting a risk for health?”
コーヒーの主要成分であるカフェインは、世界で最も多く消費される向精神性物質とみなされている。カフ
ェインは覚醒、睡眠、気分、集中力、認知能力に直接プラスの影響を与える。カフェインには鎮痛作用も含
まれるが、大量に消費されると不安を引き起こすこともある。
コーヒーとカフェインは、年齢に関係する認知能力の衰えを防ぐ効果がある。80 歳以上の高齢者、そして男
性よりも女性により効果がある。パーキンソン病やアルツハイマー病に関しては、一日にコーヒーを複数杯
摂取することで病気の進行を防ぐことができるとの研究報告もある。癌や、糖尿病に関しても同様の効果を
示す報告がある。フィルターなしで飲まれた場合にコーヒーは血糖値を上げるが、心臓病を悪化させる訳で
はない。また、一日につきカップ 2-3 杯(200 – 300 mg)のコーヒーによって受胎率の低下や自然流産、未熟
児等が発生する訳ではない。結論として、コーヒー(カフェイン)の適度の摂取は健康にプラスの影響を与
えると言える。
【講演者の Nehlig 氏】
【会場の様子】
6 月 7 日(火)第 40 回 JSPS-UDS ジョイントセミナー
講演者:古橋忠晃 (名古屋大学医学部助教)
講演タイトル:
「名古屋大学学生相談総合センターと社会的ひきこもり」
”Centre général de conseil aux étudiants à l’Université de Nagoya et retirants
sociaux”
発表者は、名古屋大学学生相談総合センターのメンタルヘルス部門で学
生の治療に従事している精神科医である。名古屋大学は 22,000 人の学生
が所属する国立大学法人である。発表者の専門は精神病理学で、名古屋
大学総合保健体育科学センターで研究を行っている。メンタルヘルス部
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【講演者の古橋氏】
門を訪れる学生の半分は適応障害(28.5%)か、アパシー症候群(13.8%)、抑うつ状態(8.5%)のいずれかに属して
いる(2010 年)。名古屋大学のメンタルヘルス部門を訪れるこれらの学生の特性は、ひきこもりの特徴を示
す学生の割合が多いことにある。発表では、こうした学生の特性について提示した。
フランスの大学、グランゼコール、研究機関への訪問:JSPS 事業説明会・JSPS 同窓会支
部会の実施
当センターでは、フランス各地の大学・研究機関を訪問し、大学幹部や研究者と直接対話を行って JSPS の
事業を紹介すると共に、各地の JSPS 同窓会ネットワークの拡充に努めています。
4 月 14 日(木)
Université de Blaise Pascal – Clermont-Ferrand II(クレルモン・フェラン)訪問
クレルモン・フェランはフランス中南部オーベルニュ地方の中心都市
で、ピュイ・ド・ドームという休火山を中心とする山々に囲まれてい
ます。歴史的には、1095 年に当時のローマ教皇ウルバヌス 2 世が十字
軍遠征を決定した「クレルモン公会議」の開かれた地として有名です。
17 世紀にクレルモンとモンフェランの二つの町が統合され、現在のク
レルモン・フェランの原型となりました。人口約 40 万人の中規模都市
であるクレルモン・フェランは、世界のタイヤ生産の大手で、グルメ
ガイドブックでも有名なミシュラン社の本拠地としても知られていま
す。近郊のエリアでは火山に囲まれた地形を生かし、温泉治療やミネ
ラルウォーターの生産にも力を入れています。
1,519 年に起源を持つブレーズ・パスカル大学は、学部から博士課程までの学生約 14,000 名、教職員約 1,500
名を抱えるオーベルニュ地方の中心的大学で、文学・言語、社会科学、スポーツ科学、科学技術の 4 領域が
対象です。国際交流にも力を入れ、1 年間に約 2,100 名の外国人学生が主に EU のプログラムを中心に滞在し
ており、英語で学位の取れるコースも展開する一方で、外国人学生専用のフランス語コースも設けています。
訪問当日は、
Prof. Anne Garrait-Bourrier 副学長及び Mme. Stephanie Lamaison 国際関係課長のコーディネートの
もと、キャンパス訪問、JSPS 事業説明会、Prof. Nadine Lavignotte 学長との意見交換、理工系キャンパスでの
教育コース内容説明会及び研究室訪問と非常に盛り沢山な内容となりました。
日本での研究生活を語る JSPS OB 達(左から)【Dr. Denis Andrault 火山・マグマ研究所、Dr. Kenneth Koga 火山・マグマ研究所、Dr. Angia Pradeep
微生物研究室、Dr. Sylvette Tourmente バイオテクノロジー研究室、Dr. Bastien Chevalier ポリテク都市工学研究所】
JSPS 事業説明会には、JSPS フランス同窓会メンバーを始め、日本との交流の発展に興味のある研究者、大学
の国際関係担当者らが出席し、外国人特別研究員や招へい研究者等の個人交流だけではなく、二国間交流や
先端拠点形成事業等、グループ間交流プログラムについての質問が相次ぎました。JSPS のプレゼンの後、JSPS
事業を経験したことのある同窓会メンバーから、日本での研究生活に関して、研究室のメンバーだけではな
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く、知り合いになった日本人が皆とても親切で慣れない土地で快適な生活を送ることができたこと、日本独
特の食生活や伝統的な文化や歴史が興味深かったこと等ポジティブなコメントがなされ、JSPS のプログラム
が「研究の発展」だけではなく、個人レベルの文化交流にも貢献していることを伺い知ることができました。
説明会の後、Lavignotte 学長へ表敬訪問を行いました。Garrait-Bourrier 副学長、Lamaison 国際関係課長、Prof.
Pierre Schiano マグマ・火山研究所長の同席のもと、本会よりブローシャーを基に国際事業の説明をすると共
に、ブレーズ・パスカル大学や広くフランスの大学の国際交流活動等について情報交換を行いました。
Lavignotte 学長からは同大学では、近年海外からの学生や研究者が割安で滞在できる宿泊所を町の中心部に確
保し、積極的に国際化に努めていること等を説明いただきました。
左【JSPS 事業説明会の様子】
右【(左から)Schiano マグマ・火山研究所長、Garrait-Bourrier 副学長、中谷センター長、Lagivnotte 学長、Lamaison 国際関係課長、多田副センター長】
次いで、ブレーズ・パスカル大学の理工系キャンパスに移動し、Prof. Joël Van Baelen 理工学部研究担当副学
部長を中心に、数名の研究者から同キャンパスの研究・教育概要、主要研究テーマ、日本との交流状況等に
ついて説明を受けました。同キャンパスには「数学・情報学」
、
「物理・工学」
、
「化学」、
「生物」、
「地球科学」
の5学部 19 研究室があり、理工系分野の大部分をカバーする精力的な研究・教育活動を行われています。
Baelen 副所長からの概要説明に続いて、CNRS 研究員の Dr. Jacques Zlotnicki(JSPS OB)より、火山・マグマ
研究室のプレゼンが行われました。同研究室では、22 年間日本との協力を行っており、日本の研究者の知識
と確実なスキルが日仏交流の発展に非常に役立っていることが述べられました。次に、Dr. Telesphore
Sime-Ngando 微生物・ゲノム・環境研究ユニット長から研究室紹介が行われました。同研究室は JSPS の日仏
交流促進事業(SAKURA プログラム)に採択されており、サロマ湖等日本の湖も研究対象の一つとして、日
仏の若手研究者の積極的な交流を行っています。さらに、Prof. Roland Chapuis 電子・オートメーションのた
めの物質科学研究ユニット長から、物質科学とロボティクスの分野で熊本大学を中心とした日本の大学と定
期的な交流を行っていることが紹介されました。最後に、Prof. Agilio Padua 化学研究ユニット長より、現在複
数に渡る化学分野の研究室を一つに統合し、より効果的な研究を進めていきたい旨、また、慶応大学や九州
大学と既に交流をしており、今後も発展させていきたい旨、説明がありました。
左から【Dr. Zlotnicki(JSPS OB)、Dr. Sime-Ngando、Prof. Chapuis、Prof. Padua】
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今回の訪問の締めくくりとして、理工系キャンパスの主力分野の一つ、化学研究ユニットのうち、熱力学・
分子相互作用研究室、合成・生物関連システム研究室、気象物理学研究室を Prof. Padua の案内で訪れ、最先
端の技術を駆使した二酸化炭素の捕獲技術や海水に含まれる酸性ガスを調べる装置等の説明を受けました。
左【研究室訪問の様子】 右【(左から 1 番目)Prof. Baelen 副学部長、(左から 3 番目)Prof. Gilles Bourdier 理工学部長、(右から 3 番目)Dr.
Laurence Rodier 理工学部副学部長、(右から 1 番目)Dr. Malika El-Ghozzi 理工学部国際担当官】
5 月 18 日(水)
Université de Bretagne Occidentale (ブレスト)訪問
ブレストはフランス西部ブルターニュ地方に位置する港町です。3-4 世紀にローマ人が街を築いたのを起源と
し、中世には港に面して作られた城塞と共に発展してきました。産業革命以後、フランス随一の軍港として
栄えてきましたが、第二次世界大戦で空襲を受けて以降、海洋産業に力を入れるようになりました。
ブルターニュ・オキシデンタル大学(UBO)は創立 40 年足らずの新しい大学ですが、約 1 万 8 千人の学生、
2,400 人の教職員を抱えるブルターニュ地方の中心的な教育機関です。医学・健康科学部、人文学部、歯学部、
科学技術学部、法律・経済学部、スポーツ教育学部の 6 学部、また、研究組織はより専門性に特化した 7 研
究所で構成されています。5 つの博士課程は同大学が所属する PRES Université Européenne de Bretagne(Les
Pôles de Recherche et d’Enseignement Supérieur: 研究・高等教育拠点)共通のものです。国外の大学等研究機関
との交流にも力を入れ、150 の学生等交流協定の下、毎年、1,500 人の外国人学生、40 人の外国人研究者の受
け入れ、UBO からは 250 人の学生、280 人の研究者の海外派遣を行っています。
まずは大学本部を訪問し、Prof. Pascal Gente 研究担当副学長、Prof. Anne-Marie Gallion 国際担当副学長、Prof.
Christian Brosseau 博士課程研究科長と意見交換を行いました。Gente 副学長からは、UBO の概要説明があり
ました。特に日本との交流について、東京大学、海洋開発研究機構、東北大学、京都産業大学と連携してい
ること、今後も、より活発な交流を行っていきたい旨説明がありました。また、海洋都市 Brest の特色を生か
し、UBO が大学内にとどまらず、Institut française de recherche pour l’exploitation de la mer(Ifremer: フランス
海洋開発研究所)
(後述)等他の研究機関や地元企業と連携し、従来の学問領域を超え、社会科学も含んだ広
い意味での科学的見地から「海」全般に関わる分野の研究・教育に力を入れていることが強調されました。
説明後、Gente 副学長の案内で Dr. Yves Le Mest が室長を務める分子化学・分子電気化学・化学分析研究室を
訪問しました。初めに Dr. Mest から同研究室が化学と生命科学の境界に位置づけられる分野―生物ミメティ
ズム、生物分析、生物学、健康等―を扱うこと、また、新しい物質やエネルギー、環境に代表される社会的
な挑戦に応えられるようなテーマにも積極的に取り組んでいることが紹介されました。続いて、同研究室の
代表的な研究について、Prof. Paul-Alain Jaffrés より「合成ベクターのデザイン」
、Dr. H. Handel より「線形及
び多環状ポリマー」、Dr. Mest より「金属―硫黄システムの化学及び電気化学」
、Prof. Triki Smail より「分子
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マテリアルと電気活性システム」、Dr. Nicholas Le Poul より同志社大学との共同研究について、それぞれ詳し
い説明があり、一通りの説明の後、実際に研究室を見学しました。
左から【Prof. Mest、Prof. Jaffrés、Dr. Handel, Prof. Smail, Dr. Poul】
午後は Brest 郊外の Plouzané にある IEUM(Institut Universitaire Européen de la Mer)のキャンパスに移動し、
Ifremer の研究者も参加しての JSPS 事業説明会を開催しました。説明会には 30 名ほどが出席し、Prof. Eric
Deslandes 研究評価担当副学長や、JSPS 事業経験者の Dr. William Helbert(JSPS OB: 京都大学)及び Dr. Laurent
Michel Toffin(JSPS OB: 海洋研究開発機構)を始めとする 7 名の研究者から日本での経験談が語られました。
日本での研究・日常生活については、慣れない日本語での暮らしに戸惑いや時に寂しさを感じることはあっ
たものの日本食を始めとする日本文化に触れられたこと、また、研究室の温かいサポートで快適に研究を行
うことができ、有意義な滞在であった等が紹介されました。
【JSPS 事業説明会の様子】
【Dr. Helbert(JSPS OB 京都大学)】
【Dr. Toffin(JSPS OB JAMSTEC)】
JSPS 事業説明会後、IEUM 所長の Prof. Yves-Marie Paulet より、研究所の概要説明がありました。IEUM は海
洋、大気、沿岸等の海洋環境に関わる複合領域(生命科学、大気圏科学、社会科学)を扱うブルターニュ・
オキシデンタル大学(UBO)・CNRS・IRD(Institut de recherche pour le développement: 開発研究局)
・Ifremer
の共同研究所で、同領域の研究者を育成すること、沿岸・遠洋の観察も主な目的に含まれています。フラン
スにおける海洋学の重要な研究所の一つに位置付けられている IEUM は、310 名以上の常勤教職員、325 名ほ
どの博士・修士課程学生を抱えており、今後ますます活発に研究が行われていくことが期待されています。
Paulet 所長の説明後、同研究所の海洋物理学研究室及び極限環境微生物研究室を訪問しました。
左【Prof. Paulet IEUM 所長】 中央【IUEM 見学の様子(左から)中谷センター長、Dr. Jean-Yves Royer 海洋物理学研究室長、Prof. Pascal Gente
副学長、Dr. Marina Rabineau(JSPS FoS 参加者)】 右【IUEM 見学:(左)Dr. Mohamed Jebbar 極限環境微生物研究室長】
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5 月 19 日(木)
Institut française de recherche pour l’exploitation de la mer :Ifremer (ブレスト)訪問
ブレスト郊外 Plouzané の Institut française de recherche pour l’exploitation de la mer(Ifremer: フランス海洋開発
研究所)は、1984 年に設立された公的な研究機関で約 1,500 名の研究者・職員が働いています。Ifremer の目
的は科学の知識、テクノロジーのイノベーション、海洋の観察・開発を通じて、気候変動、海洋の生物多様
性、海洋汚染、魚介類の品質保証等の問題に取り組むことにあります。パリ郊外の本部、ブレストの他、ナ
ント、トゥーロン、ブーローニュ・シュール・メール等フランス国内や海外領土に 26 の研究所・観測所等の
拠点を持ち、観測用の大型船等も複数所有しています。
今回の訪問ではキャンパス内にある 3 ヶ所の研究グループを訪問し、代表的な研究テーマを紹介いただくと
共に、説明を聞きながら実際の研究設備を見学しました。研究グループ訪問に先立ち、Ifremer 副所長の Prof.
Loïc Antoine より Ifremer の全体像とそのミッションについて説明がありました。
海洋という分野の特色から、
特に国際的なネットワーク形成には積極的に取り組んでいます。戦略的パートナーとして、日本を始め、ア
メリカ、カナダ、中国、オーストラリア、ロシアとの共同研究や共同観測に力を入れています。
本会からは中谷センター長が、海洋学を中心に扱う日本の大学等研究機関について紹介を行うと共に、日仏
間での更なる協力関係構築を目的とした JSPS プログラムを説明しました。また、JSPS フランス同窓会長の
Prof. Marie-Claire Lett より、学術交流を目的とした日仏大学会館の歴史と由来、過去に JSPS の外国人特別研
究員等の事業で来日したことのあるフランス人研究者の情報共有・ネットワーク作りの場である JSPS フラン
ス同窓会について、紹介しました。
【Prof. Antoine Ifremer 副所長(一番左)、Prof. Lett(中央)】
【Prof. Bailly】
【Dr. Garreau】
続いて、Prof. Denis Bailly より、Ifremer とブレスト・オキシデンタル大学の混成研究室である AMURE
(Aménagement des Usages Ressources et Espaces marines et littoraux : 海洋及び沿岸地域の資源の利用方法整備)
に関する説明がありました。近年、海洋のみならず、沿岸地域も含めた資源の開発や利用についての関心が
高まり、社会科学も取り入れた学際的な研究アプローチが必要とされています。こうした社会的背景を考慮
に入れ、2008 年にできた新しい研究室 AMURE は、沿岸環境の管理、沿岸地域における資源開発の規制や国
際的な利用規則の構築等を研究テーマとしています。東北大学、東京大学、鹿児島大学、東京海洋大学等日
本の大学とも交流があります。
次に「海岸・沿岸の資源及び環境の有効活用計画」ユニットの Dr. Pierre Garreau より、海流・海水の温度や
塩分濃度、波の高さの観測を行うことで海流の循環を予測するシミュレーションモデルを開発する同研究ユ
ニットの技術が紹介されました。こうした技術は、漁業従事者や政府関係者等、沿岸環境に携わる人々に必
要とされており、日本の海洋開発研究機構(JAMSTEC)らの研究者とも協力してさらに正確なモデルの提示
を行っていきたいと考えています。
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2 つのプレゼンの後、海洋物理学研究室に移動し、Dr. Xavier Capet から同研究室の紹介と JAMSTEC との共
同研究の概要説明がありました。同研究室は主に海洋と大気の関係性を物理学の視点から観測、研究してお
り、JAMSTEC とは 2005 年よりお互いの研究者を派遣しながら最新技術を生かした研究・技術交流を行って
います。また、Dr. Thierry Terre-Terrillon の案内で水柱や海底の酸性度、圧力、温度、酸素等を測定するブイ
等の見学を行いました。
【Dr. Capet】
【Dr. Terre-Terrillon】
【Dr. Sarradin】
【海洋地質学研究室訪問:Dr. Roest(右から 2 番目)】
次いで、極限環境微生物研究室を訪問しました。同研究室は、生物学者、化学者、地球化学者の極限環境に
おける研究を行うための観測船のコーディネートも重要な任務とし、海底微生物が海洋環境に与える影響を
研究の対象としています。具体的には、Dr. Pierre-Marie Sarradin により、深海に生息する底生生物保護への取
り組みが、また、Dr. Laurent Toffin(JSPS OB 前述)からは熱水噴出孔付近に生息する微生物のエコシステム
に関して説明がありました。
最後に Dr. Walter Roest の案内により海洋地質学研究室を訪問しました。同研究室では、海底構造調査や海底
鉱物の分析、海底におけるメタンハイドレートに関する研究を行っています。私たちも実際に太平洋の海底
で採集された鉄マンガンクラストや熱水噴出孔等を目にすることができました。
6 月 9 日(木)
Université de Franche-Comté(ブザンソン)訪問
フランス中東部フランシュ・コンテ地方の中心都市ブザンソンは、ユネスコの世界遺産に登録されている
Vauban の城塞や毎年 9 月に行われる国際音楽祭・指揮者コンクールで有名な都市で、作家のヴィクトル・ユ
ゴーの出身地でもあります。また、現在は時計等の精密機器産業が盛んです。フランスの多くの都市同様、
その起源はローマ時代にさかのぼり、カエサルのガリア戦記にも記述がみられます。
フランシュ・コンテ大学は 1,423 年に Dole に設立された大学を起源とし、現在、ブザンソン以外にもベルフ
ォール等 3 ヶ所にキャンパスを持つフランシュ・コンテ地方の重要な研究・教育機関です。スポーツ科学、
医学・薬学、科学・技術・健康、芸術・文化・言語、人文科学・社会科学、法学・経済・経営の 6 学部を中
心とし、学生約 2 万人、研究者約 1,380 人が研究、教育活動を行っています。また、フランシュ・コンテ地
方、ブルゴーニュ地方の大学やエンジニアリングスクールと PRES Bourgogne Franche-Comté Universités(Les
Pôles de Recherche et d’Enseignement Supérieur: 研究・高等教育拠点)を形成しています。
訪問は国際担当副学長 Prof. Rudy Chaulet のコーディネート及び案内で行われました。まず、Prof. Chaulet 及
び教育担当副学長 Prof. Oussama Barakat に対し、中谷センター長より JSPS の事業紹介をしたところ、JSPS
の新規事業である「頭脳循環を活性化する若手研究者海外派遣プログラム」を通じた日本人研究者の受け入
れが行われています。また、香川大学や上智大学、青山学院大学、筑波大学と共同研究や研究者交流を行っ
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ており、今後も同大学の研究者を日本に派遣する等、交流を促進していきたいとの言及がありました。フラ
ンシュ・コンテ大学に留学する海外からの学生は、アフリカやスペインからが多く、日本からはフランス語
を学びに来る学生はいるものの、数はそれほど多くないとのことです。
【中谷センター長と Prof. Chaulet 国際担当副学長(右)】
【Prof. Barakat 教育担当副学長】
副学長との会談後、同大学の誇る FEMTO-ST(Franche-Comté Electronique, Mécanique, Thermique et Optique Sciences et Technologies)研究所を訪問し、JSPS の事業説明会を行いました。多田副センター長からの事業紹
介後、FEMTO-ST の Prof. Franck Chollet(JSPS OB)より、日仏交流促進事業(SAKURA プログラム)に過去
参加した経験談が語られました。これに対し、参加者からは日本人研究者の招へいプログラムや二国間交流
事業への応募方法や、日本での研究生活についての質問が相次ぎました。次いで、FEMTO-ST 副所長の Prof.
Chaillet Nicolas より、同研究所について紹介がありました。同研究所は、東京大学生産技術研究所と CNRS
の国際連携研究センターである LIMMS とも活発な交流を行っており、フランス側の初代 LIMMS 所長であっ
た現 FEMTO-ST 所長 Dr. Michel de Labachelerie とも意見交換を行うことができました。
【JSPS 事業説明会の様子】
【Prof. Chollet (JSPS OB)】
【Prof. Nicolas FEMTO-ST 副所長】
FEMTO-ST はフランシュ・コンテ大学だけではなく、CNRS、ENSMM(École National Supérieure de Mécanique
et des Microtechniques)、ベルフォール・モンベリエール大学の共同研究所で、600 名の研究員・職員、180 名
の博士課程学生を抱えています。科学分野における最先端 6 領域(エネルギー・マルチフィジックスシステ
ム、時と周波数、応用工学、光学、ミクロ・ナノサイエンス、自動制御とミクロメカトロニクス)を対象と
し、学際的な研究を行っています。一通りの説明の後、実際に研究所の一つである応用工学セクションを見
学しました。
1962 年に設立された応用機械研究所は構造ダイナミクス・音響学、マテリアルの力学的性質、マテリアルの
モデリングと処理、バイオメカニクスとメカニズムの 4 分野を対象としており、40 名の研究者、25 名の技術
者、50 名の博士課程学生で構成されています。Dr. Manual Collet 応用機械研究所副所長による概要説明のの
ち、同研究所の CNRS 研究員である Dr. Scott Cogan より航空機や自動車のタイヤ等に使用される弾性力学に
ついてのプレゼンテーションが行われました。続いて、シリコン技術を開発する研究室等を訪問し、最先端
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技術を駆使した研究現場を実際に見ることができました。
【Dr. Cogan】
【Dr. Collet 応用機械研究所副所長】
【シリコン開発研究室訪問の様子】
日仏の大学、学術機関の国際交流支援、フランス高等教育機関、日仏大学会館、在ストラスブール
日本国総領事館等との連携・協力
当センターでは、フランスにおけるこれまでの活動によって得られた情報やネットワークの資産を
活かし、日仏の学術交流に関心のある両国の大学、研究機関、研究者からの様々な照会に応じています。ま
た、学生レベルでの日仏交流を促進する日仏大学会館が主催する事業にも積極的に参加・協力を行うと共に、
在ストラスブール日本国総領事館との緊密な協力関係の構築に努めています。
4 月 5 日(火) CNRS 研究員の Dr. Ksénia Parkhomenko が来会し、中谷センター長及び斉藤協力員より JSPS
外国人特別研究員等の事業紹介を行いました。
4 月 6 日(水) ストラスブール大学化学部にて、Prof. Jean-Marc Planeix 学部長、Prof. Jean-Pierre Sauvage 及
び Mme. Francine Pinard と 2011 年 6 月の JSPS フォーラム「日仏合同フォーラム:創造機能化学―国際化学年
2011 年を記念して」の打ち合わせを行いました。
4 月 6 日(水) ストラスブール大学主催の講演会「3 月 11 日、福島で何が起こったのか?」
(講師:Prof. Benoit
Gall ストラスブール大学教授)及び東日本大震災により帰国したストラスブール大学学生との意見交換会に
出席しました。
【COFOC 打ち合わせの様子】
【Prof. Gall の講演会】
4 月 15 日(水) 名城大学経済学研究科の西山賢一教授が来会され、中谷センター長と日仏二国間交流に係
る打ち合わせを行いました。
4 月 20 日(水)
多田副センター長が在ストラスブール総領事館主催の平成 23 年度第一回日系企業等連絡
会に出席しました。
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5 月 9 日(月)-5 月 10 日(火) 中谷センター長が Campus France 主催の会議”Raising the profile of international
higher education at the G8/G20”に出席し、ファンディングエージェンシーとしての日本学術振興会の役割及び
日仏研究者交流や共同研究を中心とした本会の事業内容の紹介を発表しました。本会議には、フランス国務
大臣兼外務・ヨーロッパ問題大臣 Alain Juppé 氏及び高等教育・研究大臣 Valerie Pécresse 氏も出席し、高等教
育の国際化の重要性についてのスピーチを行いました。日本からは、日本学生支援機構の鈴木美智子・留学
生事業部長も出席されました。
【Pécresse 大臣(左)、Juppé 大臣(右)】
5 月 26 日(木)
【参加者集合写真】
CNRS 国際部課長の Dr. Chantal Khan-Malek 及び Mme. Monique BENOIT(CNRS 国際部
Asia-Pacific 担当官)が来会し、平成 23 年度外国人特別研究員(欧米短期)の推薦者選考会及び二国間交流
等に係る打ち合わせを行いました。
5 月 27 日(金)
CNRS 中谷センター長がストラスブール大学 Prof. Alain Beretz 学長のレジオンドヌール叙
勲式に出席しました。
6 月 3 日(金) 東京大学小宮山眞教授が JSPS ストラスブール研究連絡センターを訪問され、日仏交流に係
る意見交換を行いました。
【CNRS との外国人特別研究員欧米短期選考会】
6 月 10 日(金)
【東京大学小宮山教授(右)】
【北海道大学村越教授(右)】
北海道大学村越敬教授が JSPS ストラスブール研究連絡センターに来会され、日仏研究者
交流の実現可能性について中谷センター長と意見交換を行いました。
6 月 21 日(火)
高知工科大学副学長西郷和彦教授が JSPS ストラスブール研究連絡センターに来会され、
日仏合同フォーラムの打ち合わせ及び広く日仏学術交流についての意見交換を行いました。
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6 月 23 日(木) JSPS 本部の小野元之理事長と田淵エルガ国際事業部参事が中谷センター長と共にフランス
の誇る最先端医学研究所 IRCAD を訪問しました。Jacques Marescaux 所長によるプレゼンテーション、先端医
療機器を備えた手術室を見学の後、同所長と会談し、次年度の日仏フォーラムの可能性等について話し合い
ました。
6 月 24 日(金) JSPS 本部の小野元之理事長と田淵エルガ国際事業部参事が日仏大学会館長 Marie-Claire Lett
教授及び多田副センター長と共にストラスブール大学植物園を訪問し、学芸員の Frédéric Tourney 博士より同
植物園の歴史及び植生に関する説明を受けました。
左【高知工科大学西郷副学長(左から 2 番目)来会】 中央【JSPS 小野理事長(左)及び Prof. Marescaux IRCAD 所長】
右【ストラスブール大学植物園訪問の様子:(左から)Lett 教授、小野理事長、Dr. Tourney、田淵参事】
6 月 24 日(金) JSPS 本部の小野元之理事長と田淵エルガ国際事業
部参事が日仏大学会館長 Marie-Claire Lett 教授及び中谷センター長
と共にストラスブール大学の Alain Beretz 学長を訪問し、
日頃の JSPS
活動に関する積極的な支援に対するお礼を述べると共に、今後益々
日仏学術交流を発展させるための意見交換を行いました。Berez 学長
からは、JSPS ストラスブールセンターの日仏研究者交流支援、日仏
フォーラムやセミナーの開催等を高く評価しているとのメッセージ
をいただきました。
【小野理事長(左)及び Berez 学長】
中谷センター長の一時帰国報告
4 月 20 日(水)~28 日(木)
中谷センター長が日本へ一時帰国し、大学や研究機関等を訪問、ス
トラスブール研究連絡センターの活動報告・方針説明、学術講演、また、2011 年度以降に開催のフ
ォーラム、ワークショップに関する打ち合わせ・紹介等を行いました。以下、概要を報告いたします。
4 月 20 日(水)
・東京工業大学を訪問し、
「原子細胞膜を求めて」というタイトルで
学術講演を行いました。また、宮田清藏特任教授を訪問し、雀部博
之元千歳科学技術大学長、江口正教授、渡辺順次教授を交えて 2011
年にパリで開催予定の日仏ワークショップ「ナノテク革命~科学か
ら社会へ―情熱と理性の時」(JSPS、ENS Cachan 主催)に関する打
ち合わせ及び広く日仏学術交流に係る意見交換を行いました。
【宮田特任教授(左)及び雀部博之教授(右)】
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4 月 22 日(金)
、23 日(土)
・高知工科大学を訪問し、
「最近のフランスの高等教育・研究の動向」と題した講演の中で、フランス学術動
向紹介及び JSPS ストラスブール研究センターの活動紹介を行いました。また佐久間健人学長、西郷和彦副学
長、木村良研究本部長、伴美喜子国際交流センター教授と面会し、日仏研究者交流の可能性について話し合
いました。西郷副学長とは、6 月に行われる日仏合同フォーラム「創造機能化学―国際化学年 2011 を記念し
て」に係る最終打ち合わせを別途行いました。
・引き続き、同大学の第一回大学院講演会(環境理工学群・全卓樹教授主催)にて、学術講演「原子細胞膜
を求めて」を行いました。
【高知工科大学学長室にて:佐久間学長(中央)、西郷副学長(右)】 【高知工科大学でのフランス学術動向講演の様子】
4 月 25 日(月)
・熊本大学の谷口功学長、古川憲治副学長を表敬訪問し、熊本大学とフランスの大学との今後の共同研究等の
協力について意見交換を行いました。また、「最近のフランスの高等教育・研究の動向」と題してフランス高
等教育事情の紹介を行いました。熊本大学ではその他、自然科学研究科の大谷順副研究科長、井原博隆教授、
高藤誠准教授、国際課推進センターの鳥居修一副センター長以下センター職員との面談を行いました。
左【熊本大学学長室にて:谷口学長(右)】 中央【熊本大学でのフランス学術動向講演の様子】
右【熊本大学国際化推進センターにて:前 JSPS ストラスブール国際協力員の濱田直人職員と(左)】
4 月 27 日(水)
・東京大学工学系研究科の古米弘明教授を訪問し、2012 年にリヨンで開催予定の日仏フォーラム(テーマ:
「水と環境」)
(JSPS、INSA Lyon 主催)の概要ついて話し合いを行いました。
・東京大学農学生命科学研究科を訪問し、阿部啓子特任教授、清水誠教授、渡邊秀典教授、三坂巧准教授と
日仏学術交流に関する話し合いを行いました。
・理化学研究所を訪問し、小川智也和光研究所所長、河合眞紀理事、大江田憲治理事、伊藤幸成主任研究員、
油谷泰明外務部部長と日仏学術交流についての意見交換を行いました。
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左【東京大学工学系研究科にて:古米教授(中央)、元 JSPS ストラスブール研究連絡センター国際協力員の井上美里職員(左)】
中央【東京大学農学生命研究科にて:清水教授(左)、阿部教授(右)】
右【理化学研究所にて:小川研究所長(左)、河合理事(右から 2 番目)、油谷部長(右)】
その他
●
当センターでは、2011 年 12 月 12 日及び 13 日にパリにて、日仏ワークショップ「ナノテク革命~
科学から社会へ―情熱と理性の時」(コーディネーター:宮田清藏東京工業大学特任教授、Prof. Joseph
Zyss ENS Cachan 教授)を開催します。詳細は HP 等で追ってお知らせいたします。
L’Entrefilet – コラム「食べ物と四季」
フランスでは、Marché(マルシェ=市場)が人々の生活に根
付いており、Marché にある野菜や果物を通じて四季を感じ
ることができます。今年は気温が高いため、例年よりも早く
春の果物「Fraise(フレーズ=苺)」が登場しました。幸運な
ことに苺狩りに行く機会にも恵まれ、春の味覚を存分に楽し
むことができました。バケツ何杯分もの苺を持って帰る家族
連れを眺めながら、旬の時期に旬のものを味わうことへの、
フランス人の熱意を感じました。私もその熱意を見習って?
フランスの生活と食を満喫したいと思います。(M.S)
日本学術振興会ストラスブール研究連絡センター/JSPS Strasbourg Office
センター長:中谷陽一
副センター長:多田智子(編集担当)
国際協力員:斉藤美奈(コラム担当)
42a, avenue de la Forêt-Noire 67000 Strasbourg, FRANCE
Tel: +33 (0)3 68 85 20 17 / Fax: +33(0)3 68 85 20 14
URL: http://jsps.u-strasbg.fr/
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