水分率測定ガイド - メトラー・トレド

Food Analysis
食品の水分率測定
水分計
カールフィッシャー
滴定装置
分析天びん
水分率測定ガイド
確立されたメソッドと手順
食品の水分率は、食品分析の中で最も重要なパラメータです。なぜなら、水分率は、消費者や加
工業者に直接経済的な影響を与える、食料品の乾燥に大きく関係しているからです。
さらに、食物中の水分率がその安定性や品質にも影響を及ぼします。
言うまでもなく、水分率はさまざまな規制や法律によって厳しく規制されています。
この水分率測定ガイドでは、以下のトピックについてご案内します。
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はじめに
水分率と水分含量のさまざまな測定手法
アプリケーションと結果
簡単な水分率測定のためのヒントとコツ
2
目次
1.
食品業界における水分率測定
3
1.1
さまざまな形で存在する水分
3
1.2 水分率測定手法
3
2.
水分率測定のための乾燥減量法
4
2.1
測定原理
4
2.2 オーブンを使用した乾燥減量法
5
2.3 水分計を使用した水分率測定
7
3.
カールフィッシャー滴定法を使用した水分含量測定
8
3.1
測定原理
8
3.2 より信頼性が高く、操作性に優れたソリューション
4.
9
まとめ
10
ご紹介したメソッドのメリットとデメリットの一覧
11
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2
1. 食品業界における水分率測定
水分率測定は食品業界において、材料の受け入れから、製造、保存、新しい製品の開発、最終製品の検査にいたるす
べての段階で非常に重要です。近年、低価格と大量生産のプレッシャーを受けている食品業界では、迅速、正確、信
頼性の高い水分率測定が求められています。また、順守しなければならない規制は増え続けています。そのため、測
定結果と測定手順は信頼性の高い形で文書化する必要があります。
水分率測定のための手法はいくつかあります。最適な手法は、さまざまな要因によって異なります。それぞれの手法
の特徴、そのメリットとデメリットについてご説明します。
1.1 さまざまな形で存在する水分
ほぼすべての自然界の物質は水分を含んでいます。最もシンプルな例として、粒子表面上では、空気中の湿度からも
水分が吸収されます。また、固体物質の細孔系に深く蓄えられている場合や化学結合水として存在している場合も
あるなど、さまざまな状態で水は食品内に存在しています。砂糖やアルコール飲料のように分かりやすい食品・飲料
の他に、ドライフルーツや肉のような物質では、水分が吸着によって表面と毛管現象により粒子間に結合している
複雑な細胞構造を持つ食品もあります。このようなことから、測定する食品の種類によって、分析手法やサンプル調
製方法を選ぶ必要があります。
1.2 水分率測定手法
水分率を測定する手法は4種類に分けられます。
– 乾燥減量法
(オーブン乾燥、ハロゲン/赤外線乾燥、
マイクロ波乾燥、など)
– 化学分析法
(カールフィッシャー滴定、カーバイド試験)
– 分光分析法
(IR分光法、
マイクロ波分光法、H-NMR分光法)
– その他
(ガスクロマトグラフィー、密度測定、屈折率測定、など)
適切な測定手法を選択する際には、さまざまな要素を考慮する必要があります。例えば、サンプルの量、サンプル
数、測定時間、自動化の実現可能性、精度、そしてサンプルの物理的・化学的特性。これらすべてが、測定手法を決
定する上で大変重要となります。
HX204 ハロゲン水分計
ハロゲン加熱テクノロジーによる
自動水分率測定
XP205 分析天びん
乾燥減量法による水分率測定
V30 カールフィッシャー滴定装置
カールフィッシャー滴定法による
水分含量測定
図1: 水分率測定を容易にするための高精度で信頼性の高い測定機器
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多くの食品に挙げられる、温度感受性が高い、または液体のサンプルや物質は、乾燥減量法による慎重な測定が
必要です。
化合水が含まれる不溶性の固体や細孔系は、カールフィッシャー法で滴定することができます。ホモジナイザーや
オーブンを使用してサンプルの水分を蒸発させて水分を解離させて測定します。
メトラー・トレドは、水分率測定のための豊富なソリューションを提供しています。ここでは、2種類の乾燥減量法と
カールフィッシャー滴定法を詳細にご紹介します。
2. 水分率測定のための乾燥減量法
すべての水分率測定手法は、乾燥減量法と呼ばれる質量差測定の原理に基づいています。乾燥減量法は、古くから
標準的に行われてきた分析手法であり、食品業界の多くの規制に採用されています。その原理はシンプルですが、
エラーの潜在的要素がいくつかあります。乾燥減量法において重要な役割を果たす機器は天びんです。
2.1 測定原理: まず、乾燥前のサンプルを計量し、その後水分が蒸発するように加熱します。その後デシケータ内で
サンプルを冷却し、再度計量します。乾燥前の重量と乾燥後の重量の差が水分量として計算されます。この手順で
は、加熱温度と加熱時間が重要となります。再現性がありトレーサブルな結果を得るためには、同じ条件で測定を
行う必要があります。一般的に、水分計など他の手法によって得られる結果はこのオーブン法の結果と相関・比較
を行う必要があります。
メリット: この手法では、非常に精密な結果が得られます。シンプルでコスト効率が高い手法です。高度な装置を使
用すれば、エラーのリスクを飛躍的に減少させ、自動化することも可能です。この手法により、ハイスループットの
サンプル処理が実現します。
デメリット: 加熱の際、多くの物質がある程度分解することにより重量が失われます。また、100℃以下で蒸発また
は揮発性の共沸混合物を生成する物質により熱が発生する場合があります。このような物質として、アルコール飲
料、香料添加物、酢酸などが挙げられます。また、サンプルの一部が水分と一緒に蒸発してしまう可能性があること
も懸念されます。また、サンプルを取り違えるリスクもあります。手書きで記録作業が行われるため、大量のサンプ
ルを取り扱う場合、計算や計量結果の転記の際の単純な間違いが避けられません。
サンプル準備
計算
文書化
図2:
手動プロセス中の一般的なエラー原因:
サンプルの取り違え、計算間違い、データ
の転記エラー
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2.2 オーブンによる乾燥減量法
水分率測定における乾燥器の重要なメリットは 2 つ挙げられます。
それは、サンプルの処理量と柔軟性です。ただしその一方、結果を
得られるまでに長い時間を要します。長時間にわたる加熱時間と
冷却期間が必要だからです。
図3:メトラー・トレドの XP205 分析天びんは、その優れた設計により高精度、簡単
操作、エラーリスクの最少化を実現します。
エラーリスクをなくす優れたソリューション
乾燥減量法で発生しうる多くのリスクは、メトラー・トレドの Excellence シリーズ天びんを使用することでなくすこと
ができます。XPシリーズでは、天びんのソフトウェアに質量差測定メソッドが内蔵されています。
メソッドはタッチパネルディスプレイからスタートすることができます。風袋引きから最初の計量、そして最後の計量
まで全プロセスを通して天びんがユーザーをガイドします。すべての計量データは自動的に保存され、数年間にわた
り保存可能です。ラベルプリンタを接続することにより、各サンプルを識別するためのバーコードつき耐熱性ラベル
を作成することができます。オーブンで加熱処理された(通常105 ℃で 3 時間)後、デシケータ内で冷却されます。
サンプルはバーコードで識別された後、2回目の計量が行われ、計量結果はこのバーコードに割り当てられます。
すべての計算は、ソフトウェアによって自動的に行われます。天びんはその結果を表示します。また、すべての計量結
果が記録された完全な文書は、接続されたプリンタから印刷できます。メトラー・トレドの Excellence 天びんによっ
てもたらされるこのような技術的ソリューションは、確実にエラーリスクを減少させます。特に大量のサンプルを取り
扱ってハイスループットが求められる場合に顕著です。簡単な操作性に加え、この天びんシリーズは作業の快適性、
信頼性を提供します。
One Click スタート
計量
乾燥
結果の計算
文書化
図4:天びんのディスプレイが、全プロセスを通してステップバイステップのガイドを表示します。:One Click スタート、バーコードによるサンプル
識別、最初の計量、乾燥、2 回目の計量、自動計算、計量結果のロギング、完全な文書化
より快適な作業のためのソリューション
XP 天びんのワイドな計量室は、計量作業を簡素化し、大きな風袋容器であっても十分なスペースで計量できます。
また、ハンズフリーで自動開閉する Excellence Plus XP 天びんの風防ドアは、より高い快適さを提供します。天びん
の両サイドの風袋ドアは赤外センサ:スマートセンスで非接触操作が可能。物やオペレータの手が近づくとすぐに反
応します。
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スマートグリッド計量皿は、Excellence 天びんのもう一つの優れた特徴です。この特殊な計量皿は、風袋容器か
らこぼれたサンプルによる不正確な計量を防止することができます。また、計量室内の対流による影響を低減す
ることができるため、計量結果を得られるまでの安定時間が従来の天びんより飛躍的に短縮され、計量結果を
より早く得ることができます。さらに、計量室内の清掃がとても簡単にできるのもスマートグリッド計量皿の大き
な利点です。
スマートグリッド計量皿に加え、メトラー・トレドは風袋容器を固定するため
のホルダー、エルゴクリップを豊富に取り揃えています。いかなる風袋容器で
も天びんに保持することができ、作業のしやすい形で固定することができるた
め、サンプルを迅速・確実に容器に直接投入することができます。
図5:メトラー・トレドのスマートグリッドにより、サンプルのこぼれによる計量エラーはありません。
短い安定時間による計量や、簡単清掃が実現します。
よりよい計量結果のためのソリューション
Good Weighing Practices、GWP® ExcellenceとGWP® Verification は、より信頼性の高い計量を実現するためのメト
ラー・トレドからのご提案です。特に規制対応が必要な環境下で効力を発揮します。GWP® Excellence は、天びん
を一定の間隔で検査、校正でき、天びんが正しく機能しているかどうかをモニタリングできます。
日常点検が適切に行われなかったり、複数回にわたってエラーが生じた場合に天びんの使用を自動的にブロックす
るよう、設定することも可能です。測定の不確かさや最小計量値に関する要件は GWP® Verification によって安全に
管理されます。
LabX によるコンプライアンス、ネットワーキング、中央制御
LabX は、信頼性、トレーサビリティ、規制準拠、快適な操作性をより向上させるのに役立つもう一つのステップで
す。このソフトウェアモジュールは、一つのネットワークにすべての天びんをリンクさせることができます。PC を天び
ん自体に接続させる必要はありません。例えば Ethernet インターフェイスなどを介してデータベースにアクセスする
ことができます。
図6:LabX は、メトラー・トレドのラボ用製品に接
続でき、ラボにあるすべての機器の中央制御とモ
ニタリングが可能となります。
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品質管理責任者やラボマネージャーは、各オペレーターのメソッドやユーザー権限、読み取り/書き込み権限、その他
多くのセキュリティパラメータを自由に設定することができます。さらに、それを特定の天びん、または接続されてい
るすべての機器に適用することができます。
乾燥減量(Loss on Drying )メソッドは、LabX に標準アプリケーションとして内蔵されています。オペレーターは
OneClickTM で、天びんだけで操作を開始できます。測定手順は、全プロセスを通してステップバイステップで天びん
がガイドします。すべての入力は天びんのディスプレイに表示され、計量結果は自動的にデジタル処理で計算されま
す。面倒でエラーを招きやすい計量結果の入力やそれに続く水分率の手計算は、もう必要ありません。
このさまざまなメリットを備えたソリューションやアクセサリは、乾燥減量法におけるエラーのリスクを飛躍的に減
少させます。不正確な計量結果というリスクは、これらのツールによって、ほぼなくなります。また同時に作業の快適
性も向上します。これらの多くの安全機能がなければ、乾燥減量法をエラーなく長時間実施することは不可能です。
特に、このような優れたソリューションがなければ、大量のサンプルを取り扱う場合、しばしばサンプルの取り違い
や間違った結果を手書きするリスクを増加させることになります。
2.3 水分計を使用した水分率測定
水分計は、水分率の測定をより迅速に実施できます。測定原理は、乾燥減量法と同じです。違いは、熱源の種類に
あります。メトラー・トレドの水分計は、サンプルを加熱するためにハロゲンランプを使用しています。
(例外:MJ33は赤外線方式ランプを使用。)
メリット: 最も大きなメリットは、効率的な熱源により測定時間を大幅に短縮できることです。水分率測定結果
が、2 - 10 分以内に得られます。サンプルは素早く均一に加熱され、測定結果には非常に高い再現性があります。ま
た、取扱いが簡単です。大量のサンプルも測定できます。これは、不均一なサンプルで重要な要素です。エラーリス
クは大きく減少します。
デメリット: 水分計を含むすべての重量法は、物質がある程度分解される、または水分の他に揮発性成分が蒸発す
る、というリスクがあります。また、水分計の場合、サンプルは一度に1つだけしか測定できない、自動化できない、と
いう特徴があります。
ハロゲンテクノロジー
ハロゲンテクノロジーは水分計にとって鍵となる技術です。ハロゲンテクノロジーにより、サンプルをより速く、より
精密に加熱することが可能です。メトラー・トレドの水分計 HX204、HS153、HB43-S は、この革新的な加熱テクノロ
ジーを採用しています。
図7:比類のない精度:最小表示 0.001 % を
備えたメトラー・トレドの HX204 による迅
速な水分率測定
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転記エラーや計算エラーは、ユーザーの介入の最少化と機器による印字機能により、実質的になくなります。ユー
ザーは、プロセス全体を通してディスプレイに表示されるガイドに従って操作するだけです。事前に設定した、または
カスタマイズしたメソッド(測定条件)は、One Click で簡単に呼び出して測定できます。メトラー・トレドの水分計は
天びんと同様に、品質基準の準拠を確実にするために個別のユーザー権限を設定することができます。水分率の最
小表示は 0.001%です。許容誤差範囲外の結果はディスプレイに明確に表示されます。計算された結果はプリンタ
で出力する、または USB を介して PC に転送することができます。
検証済みメソッドライブラリ
水分計で得られた水分率測定結果は、オーブン法による測定結果と比較する必要があります。これは、測定結果が
設定温度と加熱時間に強く依存するためです。メトラー・トレドの水分計には、100種類以上の食品に関する検証済
み測定メソッドのライブラリが内蔵されています。ユーザーはテスト測定を何度も行うという作業に余計な時間を費
やす必要がありません。
ライブラリにない物質の測定をする場合は、類似の成分を選択し、その後メソッドを適応させます。このやり方は、
準拠した結果を確実にし、メソッド開発の貴重な時間を節約します。
プロセス制御のための使用
水分計は簡単に清掃でき、簡単な取扱いによりエラーのリスクを低減します。また結果の文書化も容易です。水分計
は現場でのプロセス制御や、大量のサンプルを処理する場合、また規制環境下での使用に最適です。
大量のサンプルを同時に取り扱える乾燥減量法とは対照的に、1度に1つの
サンプルしか測定できませんが、その一方、数時間かかる乾燥減量法に比
べ、結果は 2-10 分で得られます。
大きな計量皿は、より大きなサイズのサンプルを測定することを可能にし
ます。これは、食品でよく見られる、不均一に拡散している物質の測定でのメ
リットとなります。
図8:大きな計量皿と簡単清掃の特徴を備えたハロゲン水分計は、迅速な測定作業に最適です。
3. カールフィッシャー法を使用した水分含量測定
乾燥重量法を用いた測定とは対照的に、カールフィッシャー滴定は水分含量を測定することに特化した方法です。
結合・吸着水や固体物質の奥深くにある水を分析することが可能です。水分含量は数 ppm から100% までの範囲
で測定することができます。非常に正確で再現性の高い測定結果が得られます。
3.1 測定原理
測定方法の化学的原理は、塩基とアルコールの溶液中で二酸化硫黄がヨウ素によって酸化することに基づいていま
す(Bunsen 反応に基づく)。数式は以下の通りです。
2 H2O + SO2 + I2 + CH3OH + 3 Base → BaseHSO4CH3 + 2 BaseHI
かつて、カールフィッシャーは、ピリジンを塩基として使用しましたが、これは健康と環境に影響があり、今日使用
されている試薬より反応が遅いものでした。また溶媒としてメタノールが使用されましたが、これも人体に有害で
した。
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現代のカールフィッシャー反応では、例えばイミダゾールが塩基として使用され、エタノールが溶媒として使用され
ています。これらの化学物質は、試薬の有毒性を著しく低下させました。イミダゾールやその他のアミンは、反応ス
ピードを加速させます。
多くの研究によって、反応が以下のように発生することが示されています。
H2O + SO2 + I2 + ROH + 3 Base → BaseHSO4R + 2 BaseHI
カールフィッシャー滴定には、容量法と電量法があります。違いは、反応に使用されるヨウ素の導入方法にありま
す。容量滴定法では、ビュレットが用いられる一方、電量滴定法では発生電極を用いて測定されます。ヨウ素が溶液
中に存在するとすぐに、終点に到達します。電量滴定は、主に非常に水分量の少ないものの測定に適しています。
しかし、食品業界ではほとんどの物質が高い水分量を含んでおり、一般的には容量滴定が行われます。補助溶媒を
使用することにより、脂肪、油、砂糖などを簡単に溶解させることができます。
メリット: カールフィッシャー法は、非常に正確で、水に対して選択性があり、定評のある標準法です。微量分析お
よび、水分含量の多い場合の測定にも最適です。また、サンプルチェンジャーを使用することで自動化することが
でき、作業効率が向上できます。カールフィッシャー滴定は実質上すべての水分量測定作業に使用することが可
能です。
デメリット: 化学反応を利用するため、カールフィッシャー滴定は化学物質を適切に取り扱うための十分な化学知
識、試薬の安全な保管のためのスペース、使用済み試薬の適切な廃棄などが求められます。
使用する滴定液の濃度は、定期的に正確に求める必要があります。この作業は、近代的な滴定装置でかなり簡素
化されています。メソッドはサンプル中の水を滴定装置で測定可能な形にするために、適切に調整する必要があ
ります。
特に電量滴定は感度が高いので、空気、溶液、容器、キャリアガスのような外部の水源によるエラーのリスクが高
まります。
3.2 より信頼性が高く快適な作業のためのソリューション
メトラー・トレドは、両方のカールフィッシャー法に最適な、高い効率性、快適な取扱い、信頼性の高い測定を実現
する滴定装置シリーズを提供します。豊富な種類のアクセサリとサンプルチェンジャーは、水分量測定プロセスを飛
躍的に加速し、大幅に自動化を推進します。
大型で読み取りやすいカラータッチスクリーンは、分析のすべてのステップでユーザーをガイドします。カスタマイズ
可能なホームスクリーンには、必要なショートカットキーだけを表示でき、作業の簡素化と信頼性のあるメソッドだ
けを使用することを確実にします。滴定濃度やブランク測定などの追加的機能は、OneClick®で入力することができ
ます。
滴定装置はビュレットが挿入された後に使用される滴定液を自動的に検出し
ます。RFID チップは、情報伝達を可能にし、濃度と保存期間に関する情報を保
存します。この技術は、期限切れまたは不正確な滴定液を使用することを防ぎ
ます。
図9:RFID テクノロジーを搭載したビュレット:ビュレットと滴定液は自動的に検出されます。
つまり、間違った期限切れまたは不正確な滴定液が使用されることはありません。
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ホモジナイザー: 高速のかくはん器が、カールフィッシャー試薬に不溶性の固
体サンプルを粉砕します。サンプル中に含まれる水分は測定可能な状態に解
離されます。ホモジナイザーは TTL IO インターフェイスを介して滴定装置で制
御されます。
図10:容量法のカールフィッシャー滴定装置とホモジナイザーの組み合わせは、固体またはペー
スト状サンプルの測定のための完璧なソリューションです。
オーブンサンプルチェンジャー: Stromboli オーブンサンプルチェンジャーは、最大 14 個の固体またはペースト状の
サンプルを自動的に測定することを可能にします。ガス流は、オーブンの上昇する温度に従って蒸発する水分を滴定
装置に直接運びます。しかし、乾燥法を用いるこのメソッドでは、サンプルが分解され、付加的な水分が生成される
リスクがあります。
Solvent Manager: Solvent Manager は、実用的で役立つアクセサリです。滴定装置で制御されます。使用済み試薬
を滴定セルから取り出し、新しい試薬を充填する作業を完全自動で行います。このプロセスは One Click® で開始で
きます。これにより、オペレータが化学薬品に直接触れることを防ぐことができます。
LabX: LabX により、すべての接続された滴定装置を中央制御、モニタリングすることができます。すべての測定値は
自動的に保存され、サンプルIDを介して長期にわたってアクセスすることが可能です。これにより、21 CFR Part 11 の
ような規制要件に適合することができます。この米国連邦規制基準第 21 章は、電子記録、その保管、電子署名、
トレーサビリティなどの項目を網羅しています。
4. まとめ
水分率/水分含量は、非常に重要な要素です。原材料または中間製品、最終製品の品質や保存期間、処理可能性に
大きな影響を与えます。例えば、製造中に乾燥しすぎた物質は静電気の発生による品質劣化や最終製品の一貫性
に影響を与える可能性があります。一方、物質の水分が多すぎる場合、塊になったり、パイプなどの中に詰まる可能
性があります。また、保存期間が短くなってしまう可能性があります。
水分率/水分含量はまた、味や一貫性に影響を与える重要な品質基準です。
国内外の各種規制では、市販品の水分率/水分含量のしきい値を規定しています。BRC(British Retail Consortium:
英小売協会)やIFS(International Featured Standards)、GFSI(Global Food Safety Initiative:国際食品安全イニシ
アチブ)のような規制機関は近年、食品の生産、加工、販売などの業者に対する影響力を増しています。その背景の
下、近年、品質保証に関するスムーズな作業とより近代的で効率的なソリューションへのニーズが増加しています。
各種規制では、測定法を明確に明記し、その内容に従った検査がされなければなりません。測定法では、測定メ
ソッドや、パラメータ、測定の許容誤差が定義されます。
多くの食品製造会社は、各社の製品の品質を確保するために測定の精度、信頼性、トレーサビリティに関する独自
の厳しい基準を設定しています。これらの SOPs(Standard Operating Procedures:標準操作手順)は通常、サンプ
ル容量から、必要な測定回数、最大許容誤差、エラーが発見された際の手順を含む全測定プロセスが記載されて
います。
メトラー・トレドが提供するソリューションは、食品の製造と加工、小売、管理と検査に携わるお客様をサポートし
ます。
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メトラー・トレドが提案する優れたソリューションは、高い効率性、作業の快適性、測定の信頼性を確実にします。ご
紹介したメソッドには、それぞれのメリットとデメリットがあります。水分計とカールフィッシャー滴定装置は、測定時
間に関して大変優れています。オーブン法は、大量のサンプル数や容量を扱う際に適しています。カールフィッシャー
滴定装置は、水分含量が低いレベルから高いレベルまで水を選択的に測定できます。また、水分含量測定の自動化
が可能です。
このようなそれぞれの特徴を備えたメトラー・トレドの洗練された測定機器シリーズから、お客様のニーズに合った
最適なソリューションをお選びいただけます。
ご紹介したメソッドのメリットとデメリットの一覧
オーブン法
メリット
デメリット
水分計
• 大 量サンプルの同時 測定 • 短い測定時間
が 可 能 、高 いサンプルス (約5∼10分)
ループット
• 大容量サンプルの測定が
可能
• 大容量サンプルの測定が
可能
簡単
•
• 高精度
• エラーリスクが少ない
• 測定に数時間かかる
• サンプル物質が分解する可
• サンプル物質が分解、蒸発
する可能性がある
• 自動化できない
• アルコール、香料、酢酸など • 一度に1つのサンプルしか
能性がある
の液体が蒸発する
• 複数の作業ステップを含む
煩雑な手順
測定できない
カールフィッシャー
• 短い測定時間
(約2∼5分)
• 非常に正確
(微量分析にも適している)
• 水に選択的に反応
• 自動化による高い作業効率
• 万能である
• サンプルの種類によって
メソッドが異なる
• 間違って混入した水によって
起きるエラーリスクがある
(大気、溶液)
• 適切な化学薬品の使用と保
存が求められる
• エラーリスクが非常に高い
(特に手動のデータ入力と計
算中に起きる)
• 吸湿性のサンプルを扱う際
にエラーリスクが高い
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Good Measuring Practices
測定結果を改善する5つのステップ
メトラー・トレドの Good Measuring Practice は、
ラボや生産環境で天びん、
はかり、ピペット、分析機器の品質保証をサポートするグローバルガイドライ
ンです。
Good Measuring Practice ガイドラインは 5 つのステップで構成されてい
ます。まずはお客様のプロセスに求められる測定ニーズと、それに伴うリス
クの評価から始まります。
また、各業界に関連する規制要件や標準も考慮に
入れています。
これらを踏まえて、Good Measuring Practice は、機器の選定、据付、校正、計
量機器および測定装置の日常点検のための分かりやすいガイドラインを提
供します。
www.mt.com/gwp 天びんのための Good Weighing Practice
www.mt.com/gpp ピペットのためのGood Pipetting Practice
5
Routine
Operation
4
Calibration /
Qualification
1
Evaluation
Good
Measuring
Practices
2
Selection
3
Installation /
Training
www.mt.com
For more information
メトラー・トレド株式会社 科学機器営業本部
東京 TEL:03-5815-5515
大阪 TEL:06-6266-1187
FAX:03-5815-5525
FAX:06-6266-1379
E-mail:[email protected]
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代理店名