第6学年 社会科学習指導案

第6学年
社会科学習指導案
指導者
場 所
1
小単元名
教 諭 渋谷哲也
6年教室
源頼朝と鎌倉幕府
2.指導にあたって
(1)小単元について
本小単元は,新小学校学習指導要領の第6学年の内容(1)のウ「源平の戦い,鎌倉幕府の始まり,
元との戦いについて調べ,武士による政治が始まったことが分かること。」を受けて設定されたもの
である。
本小単元では,武士による新しい政治を始めた源頼朝と鎌倉幕府を取り上げる。まず,貴族の政治
から武士の政治に移り変わる鎌倉時代について,平清盛や源頼朝,北条時宗などの活躍を中心に学習
する。武士の活躍については,年表や絵図などの基礎的資料と合わせて肖像画やエピソードなどを効
果的に活用し,児童の興味・関心を高めながら指導していくことが大切である。小学校学習指導要領
解説-社会科編-(平成21年8月文科省)の「社会科改訂の要点」では,「基礎的・基本的な知識
・技術を活用し,学習問題を追究・解決することができるようにするために,各学年の段階に応じて,
観察,調査したり,地図や地球儀,統計,年表などの各種の基礎的資料を効果的に活用したり,社会
的事象の意味や働きなどについて考え,表現したりする力を育てること。」が強調されている。この
ことから,歴史的事象の意味や働きを考える力を育てるためには,基礎的な資料を活用して調べたこ
とを表現し,その表現活動を通して思考を深めていくことが重要であると考える。
そこで,本小単元では,扱う基礎的資料を精選し,それを丹念に読み取らせることで,自分の考え
をもたせ,その考えを伝え合うことで思考を深めるようにする。また,活用力を育てるために問題解
決型の学習を取り入れる。学習問題の提示を受けて,これまで学習した知識を活用して解決できない
かを常に児童に考えさせるようにする。このような学習を積み重ねることにより,児童一人一人に活
用力を身に付けさせていきたい。小単元の終末では,学習新聞にまとめる活動を取り入れ,読み手を
意識し,自分が伝えたいことは何かを明確にした新聞づくりを行わせることで表現力を培うようにす
る。
(2)児童の実態(男 6名,女 5名,計11名)
社会科に関する意識調査の結果をみると,全員が歴史の学習が好きと答えている。その理由として
は,「歴史上の有名な人物を調べることができるから」「人物なども覚えられるし,出来事などもお
もしろいから」「昔の有名な人のことも知ることができるから」「人物名が分かるから」を挙げてい
る。
上記のような理由を挙げたのは,これまで,
「聖武天皇」
「聖徳太子」
「中大兄皇子」
「中臣鎌足」
「鑑
真」を取り上げ,その人物の願いや功績を調べることを通して,歴史的事象をとらえさせる学習を行
ってきたためと思われる。
また,「絵図を見て考えることは好きですか」という設問に対しては,9名が好きと答えており,
その理由として「絵図を見ると色々な想像ができるから」「その場に行った気がするから」「絵図が
あるとわかりやすいから」「想像するのが好きだから」などを挙げている。一方「嫌い」な理由とし
て,「あまり読み取れないから」を挙げている。
本小単元にかかわるレディネステストの結果は次の通りである。
○武士は,どんな生活をしていますか。
・剣術の練習をしている
・武芸のけいこをしている
・弓のけいこをしている
・戦うための準備や戦いをしている ・家の家事をしている
・いくさの時などに戦う
・作戦などを考えている
・戦で手柄を立てようと必死 ・農業をしている
○源頼朝について知っていることを書きなさい。
・鎌倉幕府を開いた(3名)
・義経と関係がある(2名) ・武将である(2名)
・名前だけ知っている(1名)
・分からない(3人)
○武士と貴族の違いは何ですか。
・武士はいくさをしたりし,貴族は,お金持ちで豪華なものばかりを持っている。
・武士はたいへんだが,貴族は楽な生活をしている。
- 1 -
(3)指導の着眼
指導にあたっては,児童の実態,新学習指導要領社会科改訂の趣旨,本校の社会科指導方針(本校
教育計画P73)を踏まえて以下の点に留意する。
○問題解決的な学習を充実させ,自ら学び,課題を解決していけるように指導を工夫する。
以下のように指導過程を工夫し,知識・技能を習得させ,それらを活用する力を身に付けさせるよ
うにする。
段
階
つかむ
予想する
調べる
まとめる
学
習
活
動
・教師による資料の提示や発問により,「なぜだろう」「もっと知りたい」「調べて
みたい」という意識をもち,本時の学習に対する意欲を高める。
・学習問題を設定する。
・これまでの学習で得た知識を活用して学習問題について自分なりに予想する。
・教科書,資料集,インターネットなどを活用して学習問題について調べる。
・調べることで得た情報・知識をもとに学習問題について自分の考えをもつ。
・お互いの意見を伝え合うことで考えを深める。
・学習問題について自分なりの考えをまとめる。
・次時の学習内容を知り,学習意欲を高める。
本小単元においては,1 単位時間ごとに上記のサイクルで学習を進める。
○資料活用による情報収集とその活用のさせ方を工夫していく。
本小単元で扱う主な資料は,次の通りである。
・絵図「貴族を守る武士」(東京書籍 「新編 新しい社会」 P 36~ P 37)
・源頼朝の肖像画(同 P 38)
・源頼朝と平清盛の年表(同 P 38)
・絵図「武士のやかた」(同 P 40~ P 41)
・鎌倉の地形図(同 P 42)
・絵図「蒙古来襲絵詞」(同 P 44~ P 45)
これらの資料を丁寧に読み取らせ,一人一人に自分なりの考えをもたせるようにし,意見交流(伝
え合い)に生かせるようにする。
○考えたことを自分の言葉でまとめ伝え合い,互いの考えを深めていくための言語活動の充実を図る。
実態調査から,本学級の児童は,絵図の読み取りに意欲的であることが分かる。そこで,本小単元
では絵図資料を中心に調べ学習を進める。これらの絵図を調べることを通して,分かったことや考え
たことを自分の言葉でまとめさせ,お互いの考えを伝え合う活動を取り入れることで,言語活動の充
実を図り,表現する力を養っていくようにする。また,単元の終末段階では,学習新聞づくりを行わ
せるが,自分で調べたことや考えたことを読み手,聞き手に伝えることの楽しさや充実感をを味わわ
せたい。
3.小単元目標
(1)武士による政治の始まりに興味を持ち,学習問題について意欲的に追究しようとしている。
【関心・意欲・態度】
(2)武士による政治が始まった頃の世の中の様子について考えることができる。
【
思考・判断
】
(3)資料を効果的に活用して学習問題について調べ,調べたことをノートや学習新聞にまとめ,発
表できる。
【
技能・表現
】
(4)武士による政治の始まりや幕府が力をもってきたこと,元寇後,幕府の力が弱まってきたこと
が分かる。
【
知識・理解
】
- 2 -
4
指導計画(本時
小単元名
3/7)
ね ら い
学
習
活
動
小単元の主な評価規準
関 武士による政治が,どの
1 . 武 士 が 登 ○「貴族を守る武士」 ○「貴族を守る武士」の絵図を □
場する
の絵図を見て,気づ
〈1時間〉
いたことを話し合い, ったか考える。
欲的に調べようとしてい
前の時代との相違点
○貴族中心の政治が武士の力を る。
について考えること
借りるまでに変化したことにつ
ができる。
いて調べる。
2 . 源 氏 と 平 ○頼朝の活躍を中心
氏が戦う
調べ,世の中がどのように変わ ようにして始まったのか意
に,鎌倉に幕府が開
〈1時間〉 かれるまでの経緯に
技 源氏と平氏の戦いの様子
○源氏と平氏の戦いがどのよう □
な戦いなのかについて調べる。 について資料を活用して調
○源義経と平清盛の活躍を取り べることができる。
ついて調べることが
上げ,平氏と戦った源氏が勝利
できる。
を収めたことが分かる。
3 . 領 地 を 守 ○「武士の館」の絵
思 武士の生活の様子につい
○「武士のやかた」の絵図を見 □
り , 武 芸 に 図をもとにして,武
て,気づいたことを話し合う。 て絵図をもとに考えること
はげむ
○「武士のやかた」の絵に描か ができる。
士がどのようなくら
〈 1 時 間 〉 しをしていたかを考
(本時)
えることができる。
技 資料を活用して,武士の
れている人物について考える。 □
○武士がどのような生活をして くらしについて調べ,まと
いたか調べる。
4 . 頼 朝 が 東 ○ご恩と奉公などの
めることができる。
思 幕府と武士の「ご恩と奉
○頼朝が,なぜ,鎌倉に幕府を □
国を治める
関係図をもとにして, 開いたのかについて予想する。 公」による結びつきについ
〈1時間〉
頼朝が武士をどのよ
○朝廷との戦いの際,「いざ鎌 て考えることができる。
うに従えていたのか
知 幕府が全国的に力を持っ
倉」と鎌倉にかけつけて戦った □
考えることができる。 武士たちと幕府の関係について てきたことがわかる。
考える。
5.元の大軍
関 絵図から戦いの様子につ
○元寇の様子を調べ, ○絵図「元との戦い」を見て, □
が せ め て く この戦いで鎌倉幕府
元の兵士と日本の武士がどのよ いて進んで調べることがで
る
の力が弱まっていっ
うに戦ったのか話し合う。
〈1時間〉
たことをとらえるこ
思 元寇後の幕府と武士の関
○元寇後の幕府と武士の関係に □
とができる。
ついて考え,幕府の力が弱まっ 係について考えることがで
たことをとらえる。
6 . 鎌 倉 新 聞 ○本小単元の学習を
きる。
きる。
技 自分で課題を設定し,資
○一つの事象を選んで,さらに □
をつくろう
振り返り,一番興味
詳しく調べ,学習新聞にまとめ 料を活用して調べ,学習新
〈2時間〉
をもったことをさら
る。
に詳しく調べ学習新
○学習新聞をもとに,自分の思 る。
聞にまとめる。
いや考えを聞き手に伝える。
関 …関心・意欲・態度
□
聞にまとめることができ
思 …思考・判断
□
- 3 -
技 …技能・表現
□
知 …知識・理解
□
5 本時の指導
(1)本時題材名
「領地を守り,武芸にはげむ」
(2)本時のねらい
○「武士のやかた」の絵図をもとにして,武士がどのようなくらしをしていたかを考えることがで
きる。
○資料(絵図)を効果的に活用して,学習問題について調べ,調べたことを学習カードにまとめ,
発表できる。
(3)本時の指導について
武士の生活の様子について絵図をもとに「武士はどのような生活をしていたのだろうか」という
学習問題について考え,お互いの意見を交流して,考えを深めることができるようにする。また,
学習過程の「予想する段階」では,これまで学習した知識・技能を活用させて,学習問題に対する
予想をさせるようにする。
(4)準備物
(教)・「武士のやかた」の絵図(掲示用)
(児)・教科書,ノート,社会科資料集
・「貴族のやしき」の絵図(掲示用)
・各自用意した参考書等
・学習カード「武士のやかたにタイムスリップしてみよう」
(5)学習過程
段階
学習活動と予想される児童の反応
支 援 と 留 意 点
評価と方法
つ
か
1.「武士」について,もっと詳しく知
りたいことを発表する。
○子どもたちの発想を大切にし,○本時の学習への意
・どのような武器をもっていたのか。 自由に発言させる。
欲をもつことができ
・どれくらい強いのか。
たか。
・どんな生活をしていたのか。
(教師の観察・発言)
む
2.本時の学習問題を設定する。
5分
武士はどのような生活をしていたの
だろうか。
予想する
3.学習問題について予想する。
・戦うための訓練をしている。
・普段は農業をしている。
・自分たちの住むところの守りを固め
ている。
○「武士の生活」に目を向ける ○学習問題を全員が
子どもがいない場合は,教師か 把握できたか。
ら学習問題を提示する。
(教師の観察・発言)
○自由に発言させるが,学習問 ○これまでの学習を
題に対応した予想になっていな 生かして自分なりの
い場合は,本時の学習問題を再 考えを発表できたか。
度,確認する。
(発言)
5分
調 べ
4.「武士のやかた」の絵図に描かれて
いる人物にインタビューしてみる。
○どの人物にインタビューするか。
・弓の練習をしている人に
○どんな内容のインタビューをする
か。
・どうして,弓の練習をしているの
ですか。
○インタビューに対する答えを考え
30
る。
分
・戦いに備えているのだ。
○そう思った理由を考える。
・戦いが絶えない世の中だからな。
る
○「武士のやかた」にいる人に ○資料を読み取り,
インタビューするという活動を 自分の考えをもつこ
取り入れ,意欲的に調べるよう とができたか。
にさせる。
(学習カード)
○意見を交流して,
○学習カードに記入させ,考え 自分の考えを深める
をまとめさせ,発表させる。
ことができたか。
(教師の観察・発言)
○一つのインタビューの内容に
対して,みんなで答えてみるな ○武士の生活につい
ど多様な活動を取り入れる。
て,視点を変えた見
方・考え方ができた
か。
(発言)
- 4 -
まとめる
5.
「貴族のやしき」と「武士のやかた」
を比べて気づいたことを発表する。
・武士のやかたは,守りを意識した造
りになっている。
・貴族のやしきは,はなやかな雰囲気
がある。
○教科書P34「貴族のやしき」
と比較させることで,人物の様
子だけでなく,建物の様子や絵
図全体の雰囲気にも目を向けさ
せる。
6.学習を振り返って,武士の生活につ
いてまとめる。
・普段は農業や訓練をしていて,戦い
に備えている。
○兵農一致という観点からまと
める。
○本時の学習問題を振り返らせ
て,学習問題に対応してまとめ
るという意識をもたせる。
○学習問題に対応し
て,自分の考えをま
とめることができた
か。
(発言)
5分 7.次時の学習の内容を知り,意欲をも ○「いざ鎌倉」という言葉を教 ○次時学習への意欲
つ。
師から投げかけ,次時の学習へ をもつことができた
・
「いざ鎌倉」とはなんだろう。
の意欲を喚起する。
か。
(教師の観察)
(6)評 価
○武士の生活の様子について絵図をもとに考え,本時の学習問題を意識して自分なりの考えをま
とめることができたか。
○資料を丁寧の読み取り自分なりの考えをもち,お互いの意見を交流して,考えを深めることが
できたか。
(7)板書計画
武士はどのような生活をしていたのだろうか。
○「武士のやかた」に いざ!タイムスリップ
インタビューしてみよう
ちがいは?
「武士のやかた」
←守りに強いやしき
「貴族のやしき」
はなやかな雰囲気→
・「いざ」という時にそなえて戦いの
準備をしている。
・見張りをしている。
・農業をしている。
・「やかた」を守っている。
・馬の訓練をしている。
「いざ,鎌倉」とは何か?
- 5 -