第5号(2004年5月発行)

【臨床治験事務センター 2004年5月発行】
今回の治験センターNews では
・治験・市販後臨床試験実施率(2004 年 3 月 31 日現在)
・『治験を支える人たち』として今回は、薬剤部の上田先
生、医事課病歴管理班の花房専門職員へのインタビュー『ちけんってなぁに』では、
「治験参加者のプライバシー」について
・第1回治験支援者向けセミナーのご報告
・治験に関係する医師等の方へのお願いなど。
* 治験を支える人たち *
薬剤部 薬歴情報管理室長 上田要一先生のお話
先日、薬剤部で管理している治験薬の書類の置き場所がいっぱいになったのでキャビネットの整理を行ったところ、平成 10
年 10 月 24 日付で治験依頼者に宛てた「当院における治験薬在庫管理の変更について」という通知を発見しました。
この前年の平成 9 年にGCPが改訂となり、
「医療機関の長は、治験薬の管理責任の一部又は全部を委任するため、治験薬
管理者を置かなければならない。治験薬管理者には薬剤師を当て、医療機関で実施される全ての治験の治験薬を管理させるこ
とを原則とする。
」という一文が加わったので、当院では平成 9 年 8 月 28 日以降の新規契約の治験薬はすでに薬剤師=薬剤部
が管理を開始していましたが、この平成 10 年 10 月 24 日付の通知で平成 9 年 8 月 28 日以前に契約が締結されていた治験薬
の管理に関しても薬剤部で行うこととなり、これをもって当院で行われる全ての治験の治験薬が薬剤部で管理されることとな
った歴史的?文書の発見でした。
薬剤部では以降 6 年半ほどでおよそ 330 件の治験に関して治験薬の管理ならびに調剤を
行ってまいりましたが調剤過誤や処方監査もれによるプロトコールからの逸脱が原因で被
験者がドロップアウトしたという記憶がありません。それは当薬剤部では治験薬を管理・
調剤をするにあたって治験開始までに治験依頼者、CRC、薬剤師によるヒアリングを 2
回行ってそれぞれの立場で運用上の疑問点や問題点をぶつけあって問題点を解決している
からではないかと考えております。さらに治験依頼者には「調剤資料」という当薬剤部独
自の書類も提出してもらっています。これはプロトコールの概要と薬剤部での必要項目に
ついて 1 枚の紙に簡潔にまとめたもので、治験薬を管理・調剤・監査する際に目を通せば
ある程度はその治験に関する概要を理解できるものとなっていますので、過誤の防止に役
立っているのではないかと考えております。
以上とりとめのないことを書かしていただきましたが、治験責任医師ならびに分担医師
の先生、臨床治験事務センターの皆さん、治験依頼者さん今後とも薬剤部と末永くお付き
合いのほど宜しくお願いいたします。
* 治験を支える人たち その2*
医事課病歴管理班 花房俊昭 専門職員のお話
長く教務関係の仕事をしてまいりましたが、5年前に病院配属になり、病歴閲覧室の担当を始めました。不慣れだったため、
CRCや製薬会社の方をはじめ、利用されている皆さんにずいぶんご迷惑をおかけしたと思います。
治験では、モニタリングのためのカルテ準備や実施後の整理をする中で、患者さまの治験に関係する経過観察等で長期間カ
ルテ閲覧が必要な場合、診療予約システムと実際のカルテ運用とでトラブルになることが時々ありました。治験の患者さまは
次回来院までの間隔が短く、モニタリング準備の際、CRCの方は必要な1つのカルテを必要期間確保しておくのに苦労され
ていたようです。
CRCの方には、私がカウンター不在時にサポートしていただいたり、こちらのわがままな注文に対しても暖かく接していただき、思い
やりを持った柔軟な対応に感謝しております。
今後、新システム導入により電子カルテ化が進めば、今まで起こったトラブルや不都合も解消され、治験の発展につながる
と思います。
CRCの皆さんのご活躍をお祈りしております。
CRCより
治験でいつもややこしくなるカルテ運用を、CRCが混乱なく行うことができたのは、花房さんの適格な指示のおかげです。本当にお世話になりました。
(花房さんは今年3月をもって定年退職されました。
)
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┗╋┓☆ 臨床治験事務センターの紹介 ☆彡
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今回は
治験参加者のプライバシー についてお話します
事務局・CRCに新しいメンバーが加わりました ♪
治験は国の定められた厳しいルール「GCP」に従って、参加され
る患者さまの安全と人権の保護に最大限配慮しながら進められま
す。また当院の治験審査委員会(IRB)が治験の内容について審
議し、患者さまの安全と人権を見守る役割を担っています。
治験の結果は、医薬品としての許可を得るために使われます。また学会
★センター長
神経内科・脳卒中科 教授 佐古田三郎
★センター長補佐
総合診療部 助教授 笠原彰紀
や医学論文などで発表される場合があります。
★管理部門(事務職員)6名
しかし、いずれの場合においても、患者さまやご家族のプライバシーは
★情報管理部門(薬剤師)3名
守られます。
・直接閲覧(SDV:Sauce Document Verification)
厚生労働省やその関連機関、および治験を依頼した製薬メーカーの担
当者が、治験の記録や結果を直接見る作業です。
カルテや診療記録と、治験の個人データを記載している「症例報告書」
の内容が一致していることや正しく結果が記録されているかどうかを確
認します。
「症例報告書」には患者さまの氏名は記載しません。識別コードなど
を用いています。データの取り違えを防ぐためにイニシャル(頭文字)
・
性別・生年月日を記載する場合もあります。
例)
阪大ハナ さま
★採血担当(看護師)1名
☆ 今後ともよろしくお願い致します ☆
データのやり取りは
識別コードで!
●治験では…
個人を特定できない
ように、アルファベッ
トや数字を組み合わ
せた「識別コード」を
患者さまにつけます。
★コーディネーター部門(CRC) 13名
(看護師4名 薬剤師9名)
?
HAー02 さま
H A −0 2
の 患 者さ ま
の 症 例報 告
書です。
○▲製薬
モニター
(識別コード)
★第 1 回治験支援者向けセミナー」開催!★
治験は病院職員皆様のご理解、ご協力がないと実施できません。今回、治験についてご理解を深めていただきたいと考え、3 月 2 日(火) 17 時
30 分より講義棟 A 講堂にて、第 1 回治験支援者向けセミナーを開催しました。
今回は、
・ビデオをふまえて治験の基礎知識について
・阪大病院における CRC の役割
・治験センターから皆様へのお願い
など治験について基礎的なところから具体的にお話しました。当日は、医師、看護師、薬剤師、
臨床検査技師、放射線技師、理学療法士、視能訓練士、臨床心理士、事務職員の方など、
合計 100 名以上の方が参加され、ご協力いただいたアンケートでは、84%の人が理解が深まったと答え、
CRC の役割についても 89%の人が理解できたという回答をいただきました。
今後もより一層治験についてのご理解を
深めていただけるように、今回のアンケート
結果を参考にしまして次回のセミナー内容
について考えていく予定であります。
また、このような機会がありましたら、是非ご参加くださいますようよろしくお願
いします。ご多忙のところ、多数のご参加、アンケートのご協力いただき、ありが
とうございました。
責任医師・分担医師・協力者の方へ
退職・転出等の異動予定がありましたら随時、当センター事務へご連絡お願いします。
<なぜ?>
特に責任医師・分担医師の先生方は、治験依頼企業と病院との間で取り交わしている受託研究契約書に氏名が盛り込まれていますので、異動
等がありましたら契約の変更が必要になります。GCP の遵守にも関わってきますので、必ずご連絡下さい。
編集担当:臨床治験事務センター 小林、田村、牧村、坂上、清水