Annual Report 2015 Technology and Quality Section (J)

Annual Report 2015
Technology and Quality Section
研究開発と生産への取り組み
グローバルな研究開発体制
1
各事業における知的資産の活用
7
特許の取得と状況/模倣品対策
14
グローバル生産体制
16
製造現場での品質管理
17
グローバルな研究開発体制
グローバルな研究開発体制
現在、世界の医療機器市場では、大きな変化が起きてい
費の削減を課題として、
より一層経済価値を提供できる製
ます。
日本ではますます高齢化が進むとともに、医療・介護
品やシステムが望まれています。
このように市場環境が複雑
の産業化により異業種の参入が活発化しています。一方、新
化する中、
テルモは、
グローバルで存在感のある企業へと成
興国では、経済発展に伴い医療のインフラ整備が進み、急激
長することを目指して、地域ごとの市場ニーズに合わせた新
に市場が拡大しつつあります。
また、欧米においては、医療
製品の開発・導入を推し進めています。
テルモグループのR&D拠点(2015年10月1日現在)
テルモメディカル Corp.
バスクテック Ltd.
テルモカーディオ
バスキュラーシステムズ Corp.
マイクロベンション, Inc.
テルモヨーロッパ N.V.
テルモ
研究開発本部
愛鷹工場
富士宮工場
テルモペンポール Ltd.
甲府工場
テルモ・
クリニカルサプライ
(株)
1
TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
テルモBCT, Inc.
テルモメディカル
イノベーション, Inc.
カンパニー経営における研究開発体制
カンパニー経営における研究開発体制は、
「カンパニー研
もうひとつは、研究開発本部が担う
「コーポレート研究開
究開発」
と
「コーポレート研究開発」
の2つのグループに分か
発」
です。
ここでは、
既存事業の次世代製品の開発や、
現行カ
れており、両グループが連携して、
グループ全体の研究開発
ンパニーにはない新たな事業を創出する研究開発を目指し
を推進しています。
ています。
また、研究開発本部では、
テルモの競争優位な基
「カンパニー研究開発」では、3カンパニーの経営戦略に
盤技術を深化させる機能や薬事申請に必要な有効性/安全
基づき、計8事業がそれぞれ製品開発から生産・販売まで一
性データを取得する評価機能も担います。
さらに、全社の研
気通貫の運営体制となり、各事業戦略に沿った製品パイプ
究開発力を強化するための人材育成や新たな開発手法にも
ラインの開発を担います。
取り組んでいます。
カンパニー経営における研究開発体制
品質管理の体制図
コーポレート研究開発
カンパニー研究開発
次世代開発・新事業創出
に繋がる開発
カンパニー開発との
連携・支援
カンパニーの事業戦略に即した研究開発
開発・生産・販売を一気通貫で運営
心臓血管
カンパニー
IS事業
ニューロ
バスキュラー事業
● CV事業
● 血管事業
●
●
ホスピタル
カンパニー
血液システム
カンパニー
基盤医療器事業
● D&D事業
● DM・ヘルスケア
事業
●
●
血液システム事業
研究開発本部
新規開発 ● 企画管理部
コアテクノロジーセンター
● 評価センター
●ソフトウェア
ソリューションセンター
●
●
カンパニー研究開発との連携・支援
新製品の移管に加え、競合優位な基盤技術開発や申請に向けた効果/安全性評価を担う
また開発力強化のための人材育成や新たな開発手法にも取り組む
2
TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
イノベーション創出に向けた取り組み
「コーポレート研究開発」のミッションは、
「イノベーショ
スピードある事業化を目指します。2014年度には、米国ス
ンによる新しい価値の創出」です。現場のニーズを的確に
タンフォード大学の実践教育講座「バイオデザイン」の提唱
とらえ、早期事業化を見据えた新規開発活動を進めていま
する手法を用いて、革新的な医療機器の開発を目指す
「メド
す。現在、内部活動と外部活動の両軸において、
アーリース
テックデザインチーム」を新たに発足させました。バイオデ
テージから事業化に至るまでの開発体制を構築し、将来の
ザインの開発手法では、
まず臨床現場の観察を通じて、現場
ポートフォリオを幅広く探索しています。
に潜むニーズを特定します。特定したニーズをもとにそれに
内部活動では、領域を決めて新規探索活動を推進し、技
見合う技術を探索し、
プロトタイプの開発を行います。同時
術者だけでなく、幅広い機能軸の社員や現場でのニーズ探
に、事業化に必要な知財、薬事承認、保険償還なども考慮し
索活動を行っています。
また、社外のエキスパートも含めた
た戦略を立案し、最終的な事業化を目指します。
プロジェクトチーム制を導入することで、
出口を明確にした
新規開発のフローと取り組み方
新規案件
ベンチャーキャピタル
(EMP-II)
プロジェクト制
事業を見据えた運営
オンサイト開発
インキュベーター活用
ベンチャー設立
テーマ化・事業化
新規探索
現場・ニーズ探索活動
初期評価
外部活動
アイデア
内部活動
外部活動においては、
米国シリコンバレーをはじめ、
グロー
術取得を視野に入れるとともに、同氏の運営する早期製品
バルに活動しています。2013年10月に、発明家であり、心臓
開発育成の場(インキュベーター)であるFogarty Institute
血管領域で著名な医師でもあるDr. Thomas Fogartyが運
for Innovationに、テルモ社内テーマでベンチャー企業
営するベンチャー・ファンドEmergent Medical Partners Ⅱ
(Terumo Medical Innovation, Inc.)を設立し、移籍させ
(EMP-Ⅱ)に出資を決め、
最先端のベンチャー企業の早期技
ました。現在、事業化を目指して開発を進めています。
メドテックデザインチーム
(左右各2名)
Terumo Medical Innovation, Inc.での活動
3
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M&Aによる開発力の強化
1999年以降、
テルモは積極的に国内外の企業の買収や
とそれぞれの企業の卓越した技術とを融合させ、
グループ
子会社の設立等を行ってきました。
これは単に、技術の獲
会社が一体となって新しい価値を生み出すことも目的とし
得や製品のラインアップの強化、
シェアの拡大を目的として
ています。
いるだけではなく、テルモが長年強みとしてきた基盤技術
M&Aによる開発力強化の歴史
1999年度
心臓血管
●
3M社人工心肺事業買収(アメリカ・人工心肺事業)
2002年度
心臓血管
●
バスクテック社買収
(イギリス・人工血管)
2005年度
心臓血管
●
マイクロベンション社買収(アメリカ・脳血管治療)
2008年度
心臓血管
●
クリニカル・サプライ社買収
(日本・放射線科領域)
2011年度
血液システム
心臓血管
2012年度
心臓血管
2013年度
心臓血管
カリディアンBCT社買収(アメリカ・血液事業)
ハーベストテクノロジーズ社買収※
(アメリカ・細胞治療)
● オンセットメディカル社買収
(アメリカ・大口径シース)
●
●
●
●
●
アンジオケア社と戦略的提携
(中国・腎除神経カテーテル)
ART社から独占買収権取得
(フランス・生体吸収性ステント)
EMP-II社に出資(アメリカ・技術的知見の獲得)
※ 従来は心臓血管カンパニーに含まれていましたが、2014年10月より、血液システムカンパニーに含めています。
海外子会社とのシナジー効果を生み出すために、
テルモ
さらに、他社との提携も積極的に行っています。例えば、
は、近年日本の開発者を積極的に各子会社に派遣し、現地
2013年4月には、末梢血管領域事業の拡大を図るべく、株
開発者と共同して研究開発を進めています。例えば、心臓
式会社カネカとペリフェラル(下肢血管)用PTAバルーンカ
血管カンパニーでは、心臓・末梢血管カテーテル治療分野
テーテルの共同開発契約を締結しました。また、2014年3
の技術者を、脳血管治療用のコイル、
ステントなどの開発を
月には、生体吸収性ステントを開発するフランスのArterial
行っている米国のマイクロベンション, Inc.に派遣し、共同
Remodeling Technologies社(ART社)
の独占買収権取
で開発を行っています。
得、
同社との薬剤溶出型生体吸収性ステントの共同開発、
お
また、各国の独自の薬事制度に則した行政対応を行うた
よび同社への段階的な投資に関する契約を締結しました。
めにそれぞれの会社が連携するとともに、各事業部の本社
自社開発の他に、他社とも積極的に提携していくことで既
機能を事業部によっては海外に置くなどして、
いち早く新製
存の領域から新たな領域へと市場の幅を広げていきます。
品をグローバル展開できる体制を整えています。
4
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基盤技術の改良・改善と共有化
医療機器を開発・製造する上で共通して要求される基盤
耐光性、耐変性、耐滅菌性、薬剤適合性等、様々な機能を兼
技術は、
日々改良・改善を続けながらテルモグループ全体で
ね備える必要があります。適切な素材を開発・選定し、
ユー
共有されています。
そのひとつとして生体適合性を高める技
ザーの使い勝手等を踏まえた形状へ加工・成形するまでの
術が挙げられます。医療機器は、体表に触れるもの、体内に
一連の工程において、
テルモの素材に関する豊富な経験と
入れるもの、長期的に体内に埋め込むもの等、様々な形態を
技術が生かされています。
とって生体へアクセスすることにより、診断や治療に使用さ
これらの素材を加工、成形、滅菌等する段階においては、
れます。
そのため、身体への負担を最小限に留めながら、い
長年の実績によって裏打ちされた技術やノウハウ
(生産技
かに安全に生体にアクセスするかがポイントとなります。
ア
術)
によって効率的かつ徹底した品質管理体制が構築され、
レルギー反応や血栓症等が起きにくい素材を開発し、構造
その下で生産が行われます。各工場が、
自ら製造している製
上の工夫を凝らすことにより生体適合性を高めることが、
そ
品に関連する生産技術を蓄積しつつ、他工場の生産を横断
の製品を優れたものと位置づける要因になるのです。
的に支援する体制を組むことで、すべての工場において高
また、医療機器に使用される素材は、
その用途に応じて、
品質な生産体制が整っています。
5
TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
技術を製品につなげる組織力
開発から販売までの基本的なフローチャート
医療機器は、生理学、生化学、薬学、細胞工学、高分子化
学、
材料加工技術、
電子技術等の非常に多様な要素技術が統
合されて初めて成り立つものです。
また、
人の体に使用される
ものである以上、
その製造販売に係る承認には、国内外の当
開発
局によって、
安全面で非常に高いハードルが設定されます。
これまでに述べた通り、
テルモグループは幅広い基盤技
市販後調査
術を有し、同時に高度な専門知識を持つ多くの人材を擁し
特許出願・
調査
ています。
しかし、異業種からの参入などますます競争が激
しくなってきている医療機器業界において、新たな製品を確
実・迅速に社会に提供していくには、社内に存在する基盤技
安全性評価
販売
術に加えて、社外技術も積極的に活用して製品開発を行う
とともに、製品開発から販売に結びつけるまでの流れをコン
トロールし、医療機器特有の厳格な承認プロセスに対応で
きるような組織体制を構築することが、競争を優位に進め
承認申請
臨床試験
る上で必要不可欠となります。
これらを実現するために、
テルモの研究開発本部では、研
究から製品化までを一貫してスピーディーに進めることの
できるようプロジェクトの管理機能を強化しています。新規
との折衝を行う部門、市販後の製品の有効性・安全性の調
の医療ニーズや未成熟な技術を探索し、新たな価値を見出
査・管理を行う部門が、開発の初期段階から機能的に絡み
す部門と、それらを量産可能な製品に進化させる部門の2
合い、効率的な製品化を可能にしています。
また、近年では、
本柱の構造をとり、
その拠点を研究開発本部と各主要工場
日本に比べてよりスピーディーに実施することのできる欧
の両方に据えることで、研究開発段階にある新製品を生産
州の制度を利用して治験を進めたり、戦略的に海外子会社
移管するまでの工程が滞りなく行われる環境を整えていま
と連携し、各国の審査当局がそれぞれの国で取得したデー
す。
また、
その一部には、理化学・生物学的評価を行うことの
タを相互活用して早期承認を目指す同時治験を行うなど、
できる独自の評価センターを有し、研究開発本部や各工場
海外に多数の開発拠点を持つ強みを生かし、技術をうまく
による研究開発において必要となる実証データの取得や、
取り込むことで、新製品開発へとつなげる取り組みを行っ
臨床試験の前段階となる非臨床試験等を、社内で行うこと
ています。
を可能にしています。
このことは、多様な技術に対応した安
このように、
製品の開発から販売までをスムーズにサポー
全性評価のノウハウを獲得できるというメリットにもつなが
トできる組織体制は、テルモの医療機器メーカーとしての
ります。
長年の事業活動と、近年の積極的なM&Aや国内外の有力
これに加えて、知的財産権についての調査や保護を行う
企業との技術提携等により取得されたものであり、
テルモの
部門、臨床試験の実施をコーディネイトする部門、国内・海
強さを支える知的資産の一角を占める重要な要素となって
外の様々な薬事関連法規制に対応した申請や行政当局等
います。
6
TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
各事業における知的資産の活用
基本的な考え方
テルモには、現在のテルモの主幹を成す3つの事業分野
ション、高成長・高収益、短いライフサイクルを特徴とする
と、次世代を担うことが期待される新規分野があります。各
「先端製品」
と、改良改善、安定成長・高収益、長いライフサ
分野には、製品や対象ユーザーの違い等に基づいたそれぞ
イクルを特徴とする
「基盤製品」
の組み合わせで構成されて
れの特性があるため、
その特性に応じて適切な素材や生産
おり、
「 基盤製品」の安定した収益を医療の先端を担う
「先
技術、薬事戦略等を組み合わせ、それぞれ最適化した事業
端製品」に投資し、
「先端製品」のブランドイメージやテクノ
展開を計画・推進しています。
ロジーを
「基盤製品」
にフィードバックする、
というサイクル
テルモの各カンパニーの収益サイクルは、
それぞれ「先端
になっています。
製品」
と
「基盤製品」の両輪で形成されています。イノベー
心臓血管カンパニー
心臓血管カンパニーは、テルモの要素技術のうち、コー
微細技術が組み合わされ、高い柔軟性を実現しています。
ティング技術と合金・金属加工技術が複合的に活用されて
テルモでは現在、
「世界で存在感のある企業」
を目指すと
いる代表的な分野です。例えば、血管造影用ガイドワイヤー
いう長期目標を掲げており、
その実現に向け、
これまでに心
には超弾性合金技術、PTCA(経皮的冠動脈形成術)拡張カ
臓血管領域で培った技術を生かし、画像領域、下肢領域、脳
テーテルにはレーザー加工技術を採用しているだけでなく、
血管領域といった領域のパイプラインの強化を図っていま
それぞれに親水性潤滑コート
(Mコート)がコーティングさ
す。
これらの領域でもテルモの要素技術や精密加工・微細技
れており、血管深部への到達性向上の重要な一手を担って
術が生かされています。
います。
また、
ステントには、
これら要素技術に、精密加工・
末梢動脈疾患治療用ステント
「Misago(ミサゴ)」
は、高い
柔軟性と耐久性を追求した、独自のニッケル-チタン合金
製のZig-Zag 8 cell-2Link構造を採用しています。
また、術
者が片手で簡単かつ正確にステント留置が行えるよう手元
ハンドルを加え、操作性の向上を図っています。
※2014年度グッドデザイン賞受賞
末梢動脈疾患治療用ステント
「Misago」
薬剤溶出型冠動脈ステントの新製品「Ultimaster」
は、薬
剤含有コーティングの材料に、生分解性ポリマーを採用し、
加えてポリマーならびに薬剤を、
血管組織に接する面にのみ
塗布することで、
長期的にみたステント血栓症発生率の低減
が期待できます。
また、
コバルト合金の採用とステントデザ
インを工夫することにより、蛇行した血管内の通過性を向上
させるとともに、曲がった血管にも沿って留置しやすくする
ことで、
血管への負荷を下げ、
予後の改善が期待できます。
薬剤溶出型冠動脈ステント
「Ultimaster」
7
TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
PTCA拡張カテーテル
「Hiryu Plus
(ヒリュウプラス)
」
は、
耐久性と血管に追従しやすいよう柔軟性を両立するために、
バルーンに柔らかい素材と耐久性の高い素材とを組み合わ
せた3層構造を採用しています。
また、
カテーテルのシャフト
部分に補強体を採用することにより、
システム全体の操作性
向上を図っています。
PTCA拡張カテーテル
「Hiryu Plus」
TRI※用シース
「Glidesheath Slender」
は、
カテーテル等
を経皮的に橈骨動脈に挿入するために使用するTRI用シー
スです。内径をそのままに外径を細経化しており、
これによ
り細い橈骨動脈へのアクセスの適応率を高め、
さらなる低
侵襲性を実現しています。
※TRI(経橈骨動脈冠動脈カテーテル術)
:手首の血管からカテーテルを挿入
する治療法
TRI用シース
「Glidesheath Slender」
脳血管用オクリュージョン・バルーン
「Scepter C」
は、拡
張時のバルーン安定性を高めるとともにガイドワイヤーの
操作を容易にするダブルルーメン構造を採用し、屈曲した
末梢血管への到達性を向上させるため、
バルーン表面を含
めて親水性コーティングを施しています。
脳血管用オクリュージョン・バルーン
「Scepter C」
オ クリュ ー ジ ョン マ イク ロ バ ル ー ン カ テ ー テ ル
「Attendant Nexus(アテンダントネクサス)」は、末梢血
管内への到達性を高めるため、
カテーテル経を細くし、
また
血管径にあわせて膨張径をコントロールしやすい俵状のバ
ルーンに再設計しています。
オクリュージョンマイクロバルーンカテーテル「Attendant Nexus」
8
TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
心停止時の緊急心肺蘇生などに使われるPCPSシステム※
の体外循環装置用遠心ポンプ駆動装置「キャピオックス遠
心ポンプコントローラー SP-200(通称NEO)」
は、従来機に
比べ、大画面タッチパネルの採用、重量を4割削減、流量セ
ンサーに専用コネクタを不要とするなど、視認性と操作性を
向上させました。特に重量の削減は、緊急時の可搬性向上
に寄与します。
また患者さんの安全性に配慮し、流量や圧力
などの履歴が確認でき、循環状態の変化を見守るヒストリ
体外循環装置用遠心ポンプ駆動装置
「キャピオックス遠心ポンプコントローラー SP-200」
機能を追加しました。
※PCPSシステム
(Percutaneous CardioPulmonary Support [経皮的心
肺補助]システム)
:心停止時の緊急心肺蘇生や、重症心不全に対する一時
的な循環補助で使用される医療機器。遠心ポンプと人工肺を含む血液回
路キット、送脱血カニューレ、駆動装置などからなり、心臓と肺の機能を代
行し全身の血液循環を補助します。
ホスピタルカンパニー
ホスピタルカンパニーでは、病院内のベッドサイドからご
全、使い勝手、医療経済性を考慮した医療機器、一般家庭で
自宅まで、幅広い領域で使用される医療機器を取り扱って
の健康管理や予防医療をテーマとした医療機器など、
それ
います。医薬品に関する技術を併せ持つ強みを生かしてよ
ぞれの使用目的に応じた技術が採用されています。
り大きな付加価値を持たせた医療機器や、使用する人の安
例えば、病院内での感染対策を考えた安全機構を取り入
れた針刺し防止機構付き静脈留置針「サーフローV3」
を開
発、
2012年から販売を開始しました。
「サーフローV3」
は、
針
刺しリスクを低減するための独自の機構を備えるとともに、
血液の飛散を防止する機構を備えることで、
針刺しや血液飛
散による感染リスクを低減し、
使い勝手も両立させています。
針刺し防止機構付き静脈留置針「サーフローV3」
また、入院中や手術後の輸液管理における院内の各部
これら点滴に用いる医療機器をシステムで提案し、医療現
署の様々な点滴ニーズに対応が可能な閉鎖式輸液システ
場の安全と効率化に寄与します。
ム
「シュアプラグAD」
シリーズを開発、2014年から本格販
売を開始しました。
「シュアプラグAD」は、薬剤微量投与に
対応可能な構造を採用した閉鎖式輸液システムであり、薬
液滞留をなくすため独自に開発した新構造を採用していま
す。また、注射器や点滴器具を接続する際の専用のアダプ
ターが不要なため、簡単かつ迅速に薬液を注入できるよう
になっており、
これにより物品管理もしやすくなり、操作間
違いなどのリスクを低減するなど、使用する人の操作性だ
閉鎖式輸液システム
「シュアプラグAD」
けではなく、経済面での価値も両立させています。
テルモは
9
TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
長年にわたり注射針のトップメーカーとして培ってきた
テルモの独自技術と、ユーザー目線に立った探索からすく
い上げたニーズを組み合わせ、患者さんの生活の質を向上
させるために必要な製品を開発し、提供しています。例え
ば、従来の注射針に比べて細く、
インスリン注射時の痛みを
軽減するための独特な針先形状を持つ、世界最細※のペン
型注入器用注射針「ナノパスニードルⅡ
(ナノパス34)」
を日
本やドイツ、
イタリア、中国などで販売しています。2014年
ペン型注入器用注射針「ナノパスニードルⅡ
(ナノパス34)」
には、
「ナノパスニードル(ナノパス33)」
と合わせて累計販
売本数が10億本を突破しました。
※2013年8月現在 テルモ調べ
この独特な針形状を持つインスリン用の注射針で培った
針技術と、
テルモが長年培ってきたプラスチック製プレフィ
ルドシリンジで培った技術とを組み合わせて、海外の製薬
企業向けに高付加価値化を追求したプラスチック製のプレ
フィラブルシリンジ(薬剤充填用シリンジ)の開発を進めて
います。
また、医療現場でニーズの高い治療薬やバイオ医薬
品等、
これまでプレフィルドシリンジ化が難しかった医薬品
にも適合する付加価値の高いシリンジの開発を進めており、
プレフィラブルシリンジ(薬剤充填用シリンジ)
この分野におけるテルモ独自のビジネスモデルの確立を目
指しています。
1987年から腹膜透析液およびその周辺システムを発売
し、在宅医療である本療法において、
「患者さんにやさしい」
を目指して製品開発を進めてきました。その中で、世界初
の中性化されたイコデキストリン含有腹膜透析液「ニコペ
リック腹膜透析液」を開発、2014年に販売を開始しまし
た。
「ニコペリック腹膜透析液」
は、輸液分野で培った技術を
生かした2室容器を採用し、
イコデキストリンを浸透圧物質
として含有する腹膜透析液であり、使用時に混合することで
ニコペリック腹膜透析液
中性化することができるものです。
これにより、腹膜透析中
止の原因の1つと考えられている腹膜機能への影響の軽減
が期待できます。
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TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
病棟内のバイタルデータと電子カルテ連携を一つの重点
テーマとし、主に看護師の方の業務負荷軽減を目的として
データ入力を通信で実現する通信機能付きの体温計、血圧
計、血糖計等を開発しました。
これらにより、
これまで多くの
時間を要していた各種バイタルデータの入力作業を効率化
するとともに、データの未入力や誤入力、
タイムラグといっ
通信機能付バイタルサイン測定機器シリーズ
「HRジョイント」
た問題点の改善が図れるようになっています。
バイタルデータと電子カルテ連携を実現する通信機能付
きの血糖計として、音声ガイドとカラー液晶画面を搭載し
た血糖測定システムの新機種「メディセーフフィットスマイ
ル」を開発、2014年に国内で販売を開始しました。
「メディ
セーフフィットスマイル」
は、主に高齢の患者さんにおいて、
視力の低下や手指の感覚の鈍化などにより、操作の簡便
性、視認性向上が望まれているのを受け、患者さんがスムー
ズに血糖値を測定できるよう、音声と画面の両方で操作方
血糖測定システム
「メディセーフフィットスマイル」
法を案内する機能を設けました。
また、血糖値レベルを異な
る背景色で表示でき、初めての方でも視覚的に血糖値レベ
ルが分かりやすい仕様にするなど、様々な角度から医療従
事者や患者さんの使いやすさを追求し、多様化する患者さ
んの糖尿病管理をサポートしています。
血液システムカンパニー
テルモの輸血関連製品は、血液バッグを中心に160か国以上の国と地域で使用されており、
それぞれの国や地域によって、
採血方法や採取した血液を製剤化する方法が異なるため、地域ごとに最適な企業と連携しながら、市場に適した製品を開発・
提供しています。
近年、先進国では、
ドナーから献血された血液をそのまま
輸血する
「全血輸血」はほとんど行われず、患者さんに必要
な成分のみを分画して輸血する
「成分輸血」が主流です。全
血から患者さんが必要とする血液成分を効率よく分離する
ために、テルモが独自の技術を持つ血液バッグと、臨床検
査用の遠心分離装置のメーカーとして長い歴史を持つ独
Hettich社の装置とを組み合わせた血液自動製剤システム
「TACSI(タクシー)」
を共同開発しました。原料となる血液
血液自動製剤システム
「TACSI」
から必要成分を取り出す工程の自動化を実現させ、一連の
工程の精度の向上と作業効率を飛躍的にアップさせるとと
もに、血液成分の均質化・高品質化により輸血の安全性向
上に貢献しています。
11
TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
近年では、原因が解明されていない自己免疫性疾患や難
治性炎症性疾患、
ウィルス性疾患といった治療が困難な難
病と闘っている患者さんに、新たな選択肢として注目され
ているアフェレシス治療があります。テルモは難病と闘う
患者さんの血液から原因物質を含む血漿を分離・除去し、
献血で提供された血漿等を交換することでこれらの難病を
治療する血漿交換療法に用いる遠心型血液成分分離装置
「Spectra Optia(スペクトラ オプティア)」
を開発・提供し
遠心型血液成分分離装置「Spectra Optia」
ています。
また、輸血用の血液製剤をより安全に提供する仕組みを
実現するため、血液製剤の安全性を高める取り組みに力を
注いでいます。
その1例として、2014年に西アフリカで発生
したエボラ出血熱の広がりに対応するプロジェクトに参加
しています。
この中で、紫外線とリボフラビン(ビタミンB2)
とで血液製剤中の病原体を減少させるとともにその活動を
抑制する(不活性化する)病原体低減化システム
「Mirasol
(ミラソル)」
が活用されています。
病原体低減化システム
「Mirasol」
新規分野
テルモでは、
さらなる成長を担う新しい分野として、再生医療に取り組んでいます。
また、私たちの企業理念である
「医療を通
じて社会に貢献する」のもと、新しいワクチン投与デバイス、痛みの軽減や術後ケアにフォーカスした新製品の開発、低侵襲治
療の新たな領域への展開など、既存事業の次世代製品開発や新事業創出に向けて取り組んでいます。
再生医療への取り組み
—日本発、世界初の心筋再生医療製品の実用化—
2015年9月18日、
テルモが再生医療等製品として申請し
シートの製造販売承認申請を行いました。今後も再生医療
たヒト
(自己)骨格筋由来細胞シート
「ハートシート」が、再
の普及に向けて技術開発を進め、患者さんのQOL向上に向
生医療等製品として初の国内製造販売承認※を取得しまし
けて取り組んでいきます。
た。
このシートは、虚血性心疾患による重症心不全の患者
※条件および期限付承認
さんを対象とした再生医療等製品で、患者さんの大腿部よ
り筋肉組織を採取し、組織内に含まれる骨格筋芽細胞を培
養して作成します。心臓の表面に貼ることで重症心不全の
改善が期待でき、新たな治療の選択肢となることが期待さ
れています。
テルモは2007年より開発に着手し、大阪大学
(澤芳樹教授)
と共同で開発を進めてきました。2012年か
ら国内3医療機関で7例の治験を実施し、2014年の治験完
了後、10月に厚生労働省へ再生医療等製品として、ハート
ヒト
(自己)骨格筋由来細胞シート
「ハートシート」
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TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
新しいワクチン投与デバイス
注射というと、静脈内投与、皮下、筋肉内投与が一般的で
すが、
これらに加えて皮内への投与があります。皮内投与は
ワクチンの感作性を高めることが知られており、貴重なワク
皮内
皮下
チンを低用量でより多くの患者さんに使っていただく事が期
約2ミリ
筋肉
待されます。
テルモは、
2012年4月に第一三共株式会社と皮
免疫細胞の多い皮内への投与
内投与型のデバイスを用いた、
新しい感染症予防ワクチンの
実用化に関して基本合意し、医薬品および医療機器それぞ
れの専門性を生かして、医療現場に新たな価値を提供する
イノベーションを目指し、
臨床開発を進めてきました。
テルモ
は、従来困難であった皮内への投与を簡単かつ確実に実施
できることをコンセプトに、国内初の皮内投与デバイスを開
発し、2015年4月に、第一三共株式会社および他2社と共同
皮内投与イメージ
で開発した皮内投与型季節性インフルエンザワクチンにつ
いて、
共同開発先が国内製造販売承認申請を行いました。
疼痛緩和や癒着防止等の術後QOL改善の取り組み
テルモは、外科領域においても、安全でやさしい医療を
て、手術後の癒着を防止する製品の開発にも取り組んでい
目指すための開発にも取り組んでいます。2013年11月、
日
ます。外科手術後、手術創部と周辺の臓器が強固に付着す
本初の導入となるがん性疼痛ならびに術後疼痛を緩和す
る術後癒着は、術式を問わず高い頻度で発生し、腸閉塞、疼
る解熱鎮痛剤アセトアミノフェン静注液「アセリオ静注液
痛、不妊などの合併症を引き起こす一因となります。
これを
※の販売を開始しました。
1000mg」
これにより疼痛の商品
未然に防ぐため、
スプレーで塗布できるゲル状の癒着防止
ラインも拡充され、患者さんの痛みを軽減する取り組みを
材を開発し、現在日本での治験を進めています。
さらに強化していきます。
また、患者さんのQOL向上に向け
※アセリオ静注液1000mgの効能又は効果:経口剤及び坐剤の投与が困難
な場合における疼痛及び発熱
低侵襲治療の新たな領域への展開
テルモにとって新たな領域である泌尿器の分野で治療デ
ひしめく米国シリコンバレーで開発を行っています。
また、
バイスの開発にチャレンジしています。一部のテーマについ
患者さんが増加している下肢治療においても低侵襲デバイ
ては、社外ベンチャーを設立し、医療機器ベンチャー企業が
スの開発に力を入れています。
テルモでは、既存の事業だけにとらわれず、医療現場のニーズを重視した新しい価値を提供できる製品開発に取り組んでい
ます。各事業分野のコアとなる知的資産を他の事業分野にも展開させながら、革新的な製品や手技の開発をたゆみなく行って
いきます。
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TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
特許の取得と状況/模倣品対策
基本方針とその位置づけ
革新的なアイデアをノウハウや特許権等の知的資産とし
海外の拠点を含めたグローバルな研究開発活動によって
て管理し、
それら知的資産を戦略的に活用して利益へ転換
創出された革新的なアイデアが、知的資産としてグローバ
させる活動は、
メーカーの生命線であると考えます。
テルモ
ルに展開している事業の収益に確実に貢献できるように、
グループにおける知的資産の創出活動にあっては、
「創造的
研究開発戦略と事業戦略の双方と密接に連携したグローバ
な風土の醸成」、
「価値ある資産の増加」
を基本方針としてグ
ルな知的財産戦略を立案・推進しています。
ローバルに掲げています。
部門間の垣根を越えた創出活動
テルモでは、開発の初期段階から開発者と知的財産部員
に相談し合える環境を整え、
スムーズな創出活動をサポー
とが一体となって、
自社の発明と他社の特許や製品の特徴
トしています。
とを対比した上で、自社の開発がどのような方向に進むべ
また、知的財産部は、創出された発明を通じてテルモグ
きか、そして、
どのような知的資産のポートフォリオを構築
ループの事業の成長に貢献すべく、必要な国や地域を特定
すべきかを考えて発明創出活動を行っています。知的財産
して、特許出願および権利化の強化を図っていきます。
部員は、開発者と密にコミュニケーションをとることで気軽
知財マインドの形成
価値ある資産を増加させるためには社員の知的財産に関
となり、多種多様な社内研修も実施しています。
この社内研
する意識を高め、興味を持ってもらうことが必要と考え、世
修は、社員の等級や職種に合わせて制度化されており、基礎
界各国の知的財産権に関するニュースを社内でタイムリー
的なコースから専門的かつ実務的なプログラムまで整備さ
に発信しています。
また、安定して発明や技術的な考案が生
れています。
み出される環境づくりとして、毎年、知的財産部門が主催者
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TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
特許状況
特許出願件数(事業別)
2014年度の特許出願件数(事業別)
2014年度の特許出願件数(第一国出願件数)は478件
で、既存事業に関する出願件数が61%、既存事業に属さな
新規分野
い新規分野に関する出願件数が39%を占めています。
これ
39%
心臓血管
33%
は、
テルモが既存製品の改良・改善を継続するとともに、積
極的に将来の事業拡大・新領域への展開を見据えた投資を
行っていることを表しています。
血液システム
3%
ホスピタル
25%
特許保有件数(事業別)
2015年3月末時点の特許保有件数(事業別)
2015年3月末時点の国内外の特許保有件数は約3,600
件となっています。既存事業に関する保有件数が85%と高
新規分野
い比率を占めていますが、
これは、
「 先端製品」のテクノロ
15%
心臓血管
38%
ジーを「基盤製品」にフィードバックするというテルモの収
益サイクルの結果であり、新規分野として特許出願した発
血液システム
明等が既存事業に貢献していることを表しています。
10%
ホスピタル
37%
模倣品対策
グローバル展開を強化しているテルモにとって、
ブランド
を信頼してくださっているユーザーに対しても被害をもた
イメージは常に保護・強化していかなければならないもの
らす可能性があります。テルモは、メーカーの使命として、
です。
ブランドを不正に使用した模倣品は、
これまで築いて
常に世界的に模倣品の有無を調査し、早期発見に努めるな
きたブランドイメージを壊すだけでなく、
テルモのブランド
ど、断固とした姿勢で対策を講じています。
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TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
グローバル生産体制
グローバル生産体制
近年テルモは、生産体制のさらなるグローバル化を推進
海外では、2013年に、
カテーテル製品の増産のために既
しています。国内工場をマザー工場と位置づけながらも、主
存のベトナム工場の敷地に新棟を、注射器および針の増産
にアジア地域をテルモの生産センターとして発展させてい
のために既存のフィリピン工場の敷地に新棟をそれぞれ増
くべく、生産技術を積極的に伝達・移管し、海外においても
設しました。
また、脳動脈瘤のカテーテル治療で使用するコ
性能や品質を保ち安定的に生産できるよう支援を行ってい
イルの需要に対応するため、
コスタリカに新工場を開設しま
ます。
した。
さらに、輸血需要に対応するため、
ベトナムに同国2拠
国内では、生産拠点の多極化を兼ねて、静岡県の富士宮
点目となる新工場を建設し、2014年に竣工しました。
アジア
工場、愛鷹工場、
山梨県の甲府工場に加えて、
山口県に新工
と日本を軸にグローバル生産体制を整え、
コスト競争力を
場を建設し、2014年4月より操業を開始しました。
高めながら世界の需要に応えてまいります。
テルモグループの生産拠点(2015年10月1日現在)
欧州
4
拠点
英国
3拠点
ベルギー 1拠点
アジア他
5
ベトナム
フィリピン
中国
インド
拠点
2拠点
1拠点
1拠点
1拠点
日本
7
米州
拠点
日本
海外
計
7
17
拠点
8
拠点
米国
7拠点
コスタリカ1拠点
拠点
24
拠点
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TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
製造現場での品質管理
国際規格に適合した品質保証のしくみ
1995年、
テルモは欧州の医療機器指令への対応を皮切
りに、国際規格に適合した品質マネジメントシステムと既存
の医薬品GMP※1をベースにした、高度な品質保証体制の
融合を進めました。
そして現在、
グローバルな要求に適合す
る品質マネジメントシステムの構築を継続的に推進してい
ます。
医療機器の品質保証にまつわる国際規格のISO13485※2
の外部認証を、国内・海外すべての生産拠点で取得してい
工場での厳しい品質管理
ます。
また、医薬品医療機器等法、欧州医療機器指令、近年
強化されている米国のFDA規制や、
グローバルハーモナイ
ゼーションの潮流に伴い、急速に強化が進む新興国での規
制など、医療機器や医薬品に対する各国規制の最新動向を
早期に把握し、
品質マネジメントシステムの一層の改善に努
めています。
※1「Good Manufacturing Practice」
の略。医薬品などの製造管理および
品質管理に関する基準
※2 医療機器産業の品質マネジメントシステムを確立するために作成された
国際規格。
テルモの品質方針
品質マネジメントシステムの構築と実施、その有効性の
品質方針
維持のため、
経営者が自ら品質方針を定めています。
各部門
はこの方針に基づいて品質目標を設定し、
トップの方針が
私たちは、
医療の現場に安全と安心をお届けするため、
アソシエイト一人ひとりの目標に落とし込まれていきます。
■お客様にとって価値ある製品を追求します。
品質方針の一番目に掲げている
「お客様の視点」
がテルモの
■品質システムにおける自らの役割を理解し、
品質保証のベースになっています。
実践します。
■仕事の進め方を常に見直し、
改善します。
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TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
生命倫理の尊重
テルモの医療機器・医薬品開発および評価は、生命の尊
確認、
動物の適正な飼養・管理・自己点検を実行しています。
厳を第一に考え、関連法や公的指針だけでなく、社内規定を
このような当社の動物実験の実施体制は、
「 厚生労働省
定めて倫理性と科学性の両立を図っています。
の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する
研究開発および製品評価のための動物実験では、2005
基本指針」に適合していることが、財団法人ヒューマンサイ
年の法改正により明確化された3Rの理念※に加え、4番目の
エンス振興財団による外部評価により検証されています。
Rである
「実験責任
(Responsibility)
」
を果たせるよう、
動物
※3Rの理念:Replacement
(動物を使用しない研究への代替)
、
Reduction
(動物数の削減)、Refinement( 動物の受ける苦痛の軽減)の3項目を
十分に考慮・検討した上での研究が重要であると、1959年にRusselと
Burchが初めて提言した。
日本では2005年、動物の愛護及び管理に関す
る法律の改正で、
その理念が明文化された。
実験を実施する実施機関の長が社内に動物実験委員会を
設置し、社員教育、実験計画の審査、適正な実験実施と終了
高品質を守り抜く監査体制
品質を維持・向上させるため、品質マネジメントシステム
が適切に遵守・運用されていることを客観的に評価する内
部監査を実施しています。
内部監査は、
トレーニングを積み、
社内認定を受けたアソシエイトが行います。
結果は経営者に
報告され、改善指示がなされ、
それに基づき品質マネジメン
トシステムの継続的な改善につなげます。
さらに、医薬品医
療機器等法をはじめ欧米各国から全世界に拡大しつつある
規制や、取引先企業からの個別要求事項に適合しているこ
とを証明するため、
毎年多くの外部監査を受けています。
厳しさを増す外部監査にも対応
海外でも厳しい品質管理を実施
海外工場の役割が増す今、国内で培った品質向上のノウ
発展した評価手法の
「初期流動品質確認※」
が、
海外工場でも
ハウを海外アソシエイトに伝える一方、体系的な考え方や
「Shoki-Ryudo」
として導入されています。
標準化といったシステム面の多くを彼らから学んでいます。
※初期流動品質確認:新製品を量産移行する際に、品質の不具合の有無や製
品仕様などを
「お客様の視点」
に立って再度確認する品質管理。
海外アソシエイトとの相互交流を続ける中、国内で独自に
はテルモ株式会社の商標です。
テルモ、 、
TERUMO、
Misago、
ミサゴ、
Ultimaster、
Hiryu、
ヒリュウ、
Glidesheath Slender、
キャピオックス、
サーフロー、
シュアプラグ、
ナノパス、
ニコペリック、
HRジョイント、
メディセーフ
フィットスマイル、TACSI、
タクシー、
アセリオ、
ハートシートはテルモ株式会社の登録商標です。
Attendant、
アテンダントはテルモ・クリニカルサプライ株式会社の登録商標です。
Spectra Optia、
スペクトラオプティアはテルモBCT社の商標です。
Mirasol、
ミラソルはテルモBCTバイオテクノロジー社の商標です。
Scepter はマイクロベンション社の登録商標です。
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TERUMO CORPORATION Annual Report 2015 Technology and Quality Section
東京オフィス
〒163-1450 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー
© テルモ株式会社
2015年10月