全農が取り組む 総合包装提案活動(段ボール関係)

グリーンレポートNo.496(2010年10月号)
視
点
多様な流通形態に対応した包装・出荷資材
全農が取り組む
総合包装提案活動(段ボール関係)
∼直売所、通販、輸出向け資材の開発と提案推進∼
輸出向け資材
JAグループ段ボール事業は、国内青果物生産基盤の
脆弱化や、青果物流通の変化を受けて停滞傾向にある。
輸出向け包装容器として
これまで全農の取扱いは、
「市場出荷中心の県共販連動型
は、強度・鮮度保持機能
包装資材供給」が主であったため、近年増加傾向にある
を持った輸出専
①農産物直売所②直販③通販など、卸売市場以外の流通
用資材を開
チャネルへの資材供給について、総合的・機動的な対応
発するとと
ができていない面があった。
もに、販売
これらを踏まえ、全農では、農家・JAのニーズや多
部門と連携
様な流通チャネルに対応するため、包装関連資材や製函
した産地・
機などの「総合包装提案活動」に取り組んでいる。
輸出業者に提案・
推進している。写
多様化する流通チャンネルへの対応
真−3のパック
TACとの連携や新たな需要先向けに、多様な流通チャ
ンネルの要望に応じた資材の取扱拡大を進めている。
農産物直売所向け資材
粒が固定される形状になっており、スレ・オセによる損
傷が軽減される。そのため、高品質のまま長距離搬送が
農産物直売所向け資材としては、
「美粧性」
「持ち帰り
でき、輸出試
やすさ」など、利用者ニーズに合わせた包装資材の開発・
用が始まって
提案を進めて
いる。例えば、
いる。
作業が省力化
写真−1の箱
できる資材
は、直売所で
産地、消費
の購入意欲を
地における作
高めるため
業の省力化の
に、わかりや
ために、組み
すく美しいデ
写真−2 鮮度保持段ボール箱の例
は、いちご個々の
写真−3 個包装いちごパックの例
立てやすく、解体しや
写真−1 持ち帰りやすい段ボール箱の例
ザインで目を
すいノンステープル段ボ
引く、持ち手を付けることで持ち帰りやすい、という機
ール箱の開発・提案・
能を演出している。
直販・通販向け資材
普及拡大を進
めている。写
直販・通販向け包装容器としては、拡大傾向にある通
真−4はレタス
販需要に対し、鮮度保持機能や内容物仕分け機能を持っ
のノンステー
た包装容器を開発・提案している。写真−2の箱は、濡
プル箱の例で
れた朝どり野菜や冷蔵搬送が可能な超耐水段ボール箱で
あり、産地で
ある。ブロッコリーの鮮度保持のために氷詰め(トップア
導入が進めら
イシング)も可能であり、産直通販などに機能を発揮する。
れている。
4
写真−4
ノンステープル箱の例
グリーンレポートNo.496(2010年10月号)
表−1
環境配慮型資材
環境配慮型資材としては、植物由来樹脂(PLA)製パ
低コスト原紙導入率
低コスト原紙導入率
平成15年 16年
13% 35%
17年
42%
18年
45%
19年
57%
20年
63%
21年
68%
ックなどを中心とした資材を提案・推進している。現在、
いちごやミニトマト、ミディトマトでの利用が増えてい
装関連資材の統一・新形状段ボール箱への切り替えに併
る。いちごのパックは、昨年度、全国で約10,000千パッ
せた段ボール箱規格の共通化による低コスト化を進めて
クの取扱いがあり、今年度は50,000千パックの取扱いを
いる。
めざしている。
量販店向け資材
提案・相談をしやすくするWEBカタログ
量販店への対応策としては、産地と協議のうえ「やま
さまざまな提案や相談をしやすくするために、WEBを
びこくん(JAリターナブルコンテナシステム)
」を活用
活用した資材電子カタログの作成を進めている(図−
し、通いコンテナの取扱拡大を図っている(写真−5)
。
2)
。これを活用することで、地域や資材の種類を問わず
全国で流通している通いコンテナは、平成20年には約
幅広く対応でき、新しい情報をいち早く提案することも
70,000千レンタル(メーカー聞き取り)となっている。
可能となる。今年中に、まずは県域までの利用を考えて
いる。
このように、全農では、さまざまなニーズに合わせた
総合的な包装・流通提案を行い、生産物の販売力強化に
向けた取り組みを進めている。ぜひ積極的に相談をお寄
せいただきたい。
【全農 生産資材部 資材課】
●問い合わせ先
全農 生産資材部 資材課 103−6271−8322
写真−5 リターナブルコンテナの例
そのなかで、
「やまびこくん」を導入する産地は年々増え
ており、平成21年度実績で約9,500千レンタルとなって
いる(図−1)
。
180JAで導入
ユーザー登録数
は250名以上
10,000
8,000
イフココンテナ
三甲コンテナ
コンテナ合計
千 6,000
レ
ン
タ 4,000
ル
2,000
0
図−1
平成14年 15年
16年
17年
18年
19年
20年
21年
「やまびこくん」取扱い実績推移
低コスト原紙の導入や規格統一化で低コスト化
取扱開始から約10年が経つAKライナー・AS中芯など
オリジナルの低コスト原紙への切り替えについても、引
き続き取り組みを強化している。これらの低コスト原紙
登録データの詳細を表示します。
必要に応じ、印刷も可能です。
を活用することで、約1∼5%のコスト削減が可能とな
る(段ボール箱の表面・中芯・裏面の材質構成などによ
って削減率は異なる)
。低コスト原紙導入率は表−1に示
すように年々増えている。
また、県域を越えての段ボール規格集約をはじめ、包
図−2
5
WEBを活用した資材電子カタログ