魔法の言葉

横浜市立桂台小学校
学校長 星野 昭子
横浜市栄区桂台南1―1―1
TEL 891―8000
平成27年度12月号
魔法の言葉
学校長 星野 昭子
早いもので今年のカレンダーも残り1枚となりました。桂台通り、富士見通りのイチョウ並木も
美しく色づき、富士山がくっきりと見える日も多くなってきました。朝晩冷え込むようになり、日
ごとに冬の気配を感じます。
11月19日、20日には、6年生が日光修学旅行に行ってきました。昨年より1か月遅いため
寒さが心配でしたが、幸い天候に恵まれて全ての活動を順調に実施することができました。世界遺
産日光の自然や歴史的建造物の美しさ、素晴らしさを十分に味わうことができました。2日間共に
楽しみ助け合って過ごしたことで、友達同士の関わりがさらに深まり、卒業に向けて学年の一体感
も強まったようです。
先日行われた区の一斉授業研究会で、私は他校のある学級の道徳の授業を参観しました。ゲーム
で負けて悔しい時も友達と仲良くゲームを続けるためにはどうしたらよいだろうか、ということに
ついて学習をしていました。資料に出てきた主人公は、始めはゲームに負けると怒って「もうやめ
た。」とトランプを投げ出して周りの友達を困らせていましたが、次に負けた時には「ま、いっか。
」
と言って気持ちを切り替え仲良く遊べるようになりました。授業の中で、担任の先生が「『ま、い
っか。』は気持ちをすっきりさせる『魔法の言葉』だよ。
」と子どもたちに紹介し、そのあとゲーム
を通してうまく使えるよう練習していました。
20年ほど前に、あるヒップホップグループが歌った「MAICCA(ま、いっか)」という曲がヒッ
トしました。その当時は、
「ま、いっか。
」という言葉があきらめや投げやりな気持ちを表している
ようで、自分にとってマイナスのイメージが大きかったように記憶しています。しかし、最近読ん
だ心理カウンセラーの著書の中で、
「
『ま、いっか。』は、人の悩みを一瞬で吹き飛ばす魔法の言葉
で執着を終着させる」という文章に出会い、イメージが変わりました。さらに今回の授業を見て、
この言葉のもつ力やよさを改めて見直しました。腹が立ったり、相手をどうしても許せなかったり、
失敗して何もかもがいやになったりするなど、日常には様々な不快な瞬間が訪れます。でも、そん
な時に「ま、いっか。
」と声に出して言うことで、いらいら、もやもやした気持ちを切り替え、す
っきりした気持ちで前向きに解決に向かうことは、子どもたちにぜひ身に付けてほしいソーシャル
スキル(人間関係や集団行動を上手に営むための技能)です。
しかし、この「魔法の言葉」も万能ではありません。自分や誰かが心から安心して過ごせないと
きや、人権が大切にされていないと感じるとき、正しいことではないと思うときには、「ま、いっ
か。」ではなく、自分の思いや考えを声に出して相手や周りに伝えることが必要です。見過ごさず、
あきらめず、腐らず、勇気をもって、子どもたちには今自分が置かれている環境をよりよく変えて
いこうとする気持ちを大切に持ち続けてほしいと思います。
今年の桂台小学校の人権週間は、12月1日(火)から11
日(金)の期間です。車いすバスケットボールチームの方によ
る講演会や児童の調べ学習など、様々な取組を行います。
一人ひとりの子どもたちに学校生活が「だれもが 安心し
て 豊かに」過ごせているかをじっくり見つめ直す機会にし
てほしいです。そして、そのために自分ができることを考え、
進んで行動できるようになることを願っています。
飼育小屋わきのキウイが実りました