第 10 回 ペースメーカーフォローアップ研究会

第 10 回
ペースメーカーフォローアップ研究会
プログラム・抄録集
会期
会場
2010 年 7 月 10 日土曜日(10 時 20 分開会)
WINC AICHI 愛知県産業労働センター
第 10 回当番世話人 山田 宣幸 (三菱京都病院 臨床生理検査科)
代表世話人
高垣 勝 (滋賀県立成人病センター 臨床工学部)
後援
日本臨床工学技士会
愛知県臨床工学技士会
目次
第 10 回ペースメーカーフォローアップ研究会を開催するにあたって ······················· 2
日程進行表································································································································ 3
交通案内図································································································································ 4
会場案内図································································································································ 5
参加案内 ···································································································································· 8
司会・座長・演者へのご案内 ································································································· 9
プログラム ··································································································································· 11
シンポジウム抄録 ····················································································································· 19
若手セッション抄録 ·················································································································· 25
一般演題抄録 ··························································································································· 33
各社メーカーによる展示および製品説明等のご案内 ···················································· 54
世話人・監査一覧 ···················································································································· 55
ペースメーカーフォローアップ研究会の歩み ··································································· 56
ホームページ・メーリングリストのご案内 ············································································· 57
謝辞 ············································································································································· 58
事務局案内································································································································ 60
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第 10 回ペースメーカーフォローアップ研究会を開催するにあたって
第 10 回ペースメーカーフオローアップ研究会が、愛知県産業労働センターにおいて
開催される運びとなりました。開会にあたり御挨拶申し上げます。
近年、植え込みデバイスも多種多様となり、非常に複雑な機能をもつようになってき
ています。これらを理解し患者様の QOL に貢献しようにも、学ぶ場がなく迷っておられ
る方も散見します。当研究会は植え込み型デバイス関連業務研鑽の場として活動を
続け、10 年目となりました。毎年たくさんの方に参加いただき、参加者の輪も全国規模
で広がってきたように感じます。地の利が良いとのこともあり、京都での研究会開催を
続けてまいりました。
今回は学ぼうとする意識が高く、様々な講習会も積極的に行われている“熱い愛知
県”での開催となりました。現時点で決まっている内容では、“プログラマーデータの活
かし方 ~診断情報の使い方~”、各メーカー協力によるミニレクチャー、若手(1~3
年目)による企画も用意し、初心者から上級者まで大変興味深い内容となっています。
参加いただいた皆様がそれぞれの仕事場において、「明日から実践できる何か」、「臨
床貢献につながる何か」を見つけていただき、持ち帰っていただけることを期待してい
ます。
本会の趣旨をご理解の上、多くの医療関係の方々にご参加をお願い申しあげます。
第 10 回ペースメーカーフォローアップ研究会 当番世話人
三菱京都病院 臨床生理検査科 山田 宣幸
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日程進行表
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交通案内図
電車をご利用の場合
• (JR・地下鉄・名鉄・近鉄)名古屋駅より徒歩約 2 分
• JR(東海道新幹線)をご利用の場合
◎東京…約 97 分
◎新大阪…約 51 分
お車をご利用の場合
• 名古屋高速都心環状線「錦橋」出口より約 6 分
• 駐車場…収容台数 123 台
飛行機をご利用の場合
• 中部国際空港(セントレア)…約 28 分
(名鉄空港特急利用)
※名古屋駅発各駅への所要時間は、乗り換え・待ち時間を含みません。また、時
間帯により多少異なります。
会場周辺図:WINC
会場周辺図:WINC AICHI 愛知県産業労働センター
新幹線や空港からのアクセスも便利
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会場案内図
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メーカーブース配置図
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参加案内
○参加受付
1.参加受付は、5 階小ホール 2 入口にて午前
午前 10 時より行います。
時より
2.受付は当日受付と事前登録受付に分かれ
当日受付と事前登録受付に分かれています
当日受付と事前登録受付に分かれています。
ています
当日受付の方は、参加費
2,000 円をお払いいただきプログラム・抄録集、参加証をお受
当日受付の方
け取り下さい。
事前登録の
事前登録の方は、ランチョンセミナーお弁当引換券、参加証をお受け取り下さい。
3.参加証に氏名・所属をご記入の上、会場内では見えるところに必ずお付け下さい。
4.研究会メーリングリストの登録受付も行っていますので、希望される方は所定の用紙に
連絡先等をご記入下さい。
※当研究会参加により、日本臨床工学技士会「ペースメーカ関連専門臨床工学技士」認定
のための単位が取得できます。
○会場案内
第1会場(シンポジウム、ランチョン、一般演題①) : 5 階小ホール 2、 10 時 20 分より
第2会場(一般演題②、③) : 12 階 1204 号室、13 時より入室可能 13 時 10 分より
第3会場(メーカーによる製品説明等の会場) : 9 階 901 号室、10 時 30 分~15 時
○ランチョンセミナー
第 1 会場 5 階小ホール 2 にて 12 時より
○クローク
ご用意いたしておりませんので予めご了承願います。
○ご注意
1.会場内での写真撮影、録音、VTR 集録は禁止いたします。
2.座長、司会者の指名によりご所属・お名前を告げてから質問・討議を開始してください。
3.会場内では携帯電話のスイッチをお切り頂くか、マナーモードに切り替えてください。
4.会場内での呼び出しは行いません。
○その他
その他ご不明な点がございましたら受付にてお申し出下さい。
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司会・座長・演者へのご案内
○司会・座長の方へ
司会・座長の方は、担当セッション開始
担当セッション開始 10 分前までに各会場の右最前列へお越し下さい。
分前までに各会場の右最前列へ
予定時間内で各セッションが終了するよう、進行調整をお願い致します。
○演者の方へ
1.演者は発表開始
発表開始 20 分前までに、各会場の左最前列へご着席下さい。
分前までに、各会場の左最前列へ
2.発表時間について、シンポジウムは 12 分以内、若手セッションは 10 分以内、一般演題
は 8 分程度(質疑時間を 6 分とります)でお願いします。
3.発表形式は、Microsoft PowerPoint によるパソコン発表です。
4.演題にキーボードおよびマウスがあります。お預かりしたデータの 1 ページ目を係員が出
しますので 2 ページ目からご自身で送り、戻しの操作をお願い致します。
5.レーザーポインタおよび手元灯りを演題にご用意しております。
※円滑な進行のため、時間厳守にご協力ください。
○発表データの受付について
○発表データの受付について
1.表データは CD-R または USB メモリーに保存して、発表時間の
発表時間の 60 分前までに
PC データ受付(5
データ受付(5 階小ホール 2 入口)までお持ち下さい。
入口)まで
2.PC データ受付にてデータの転送および動作チェックをさせて頂きます。
※参加受付をお済ませでない場合、PC 受付は出来ません。
※PC データ受付は混雑が予想されますので出来るだけ分散して受付くださいますよう、
ご協力をお願い致します。
※お預かりした発表データにつきましては、研究会終了後当方にてデータ消去させて頂き
ます。
○PowerPoint の動作環境
の動作環境について
環境について
1.OS は Windows XP で、アプリケーションは Microsoft PowerPoint Ver.2007 です。
2.動画をお使いになる場合は、ご自身の PC をお持ち頂き PC データ受付にて PC をお預
けのうえ動作確認をお願いします。
3.Macintosh の PC をご使用の場合も、ご自身の PC をお持ち頂き PC データ受付にて PC
をお預けのうえ動作確認をお願いします。
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○お持込 PC・
PC・CDCD-R・USB メモリースティックについて注意点
1.PC のお持ち込みに際しては、外部ディスプレイ出力が可能であることを必ずご確認下
さい。また、バッテリー切れを防ぐため電源アダプターをご持参下さい。
2.PC は再起動をすることがありますのでパスワード入力は不要に設定して下さい。
3.お預かりした PC は発表終了後、会場にてご返却させて頂きます。
4.CD-R は Windows format のみとさせて頂きます。フォントは文字化けを防ぐため下記の
フォントで作成して下さい。
・日本語の場合:MS ゴシック、MSP ゴシック、MS 明朝、MSP 明朝
・英語の場合:Century、Century Gothic
5.お持ち込みの PC および上記に反するメディアでのトラブルに関しましては、本研究会で
は一切の責任を負いかねますのでご了承下さい。
○フォント・動画、解像度について
1.フォントは OS 標準で装備されているものをご使用下さい。画面レイアウトの崩れを防ぐに
は下記フォントのご使用をお勧め致します。
・日本語の場合:MS ゴシック、MSP ゴシック、MS 明朝、MSP 明朝
・英語の場合:Century、Century Gothic
2.パソコンの解像度は、XGA(1024×768)に統一致します。左記以上の解像度には、プロ
ジェクターが対応不可能な場合があります。
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プログラム
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第 1 会場 小ホール 2 (5 階)
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開会挨拶
10:20~
10:20
~10:30
第 10 回ペースメーカーフォローアップ研究会 当番世話人
山田 宣幸 (三菱京都病院 臨床生理検査科)
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シンポジウム
10:30~
10:30
~11:50
「プログラマーデータの活かし方 ~各種レポート情報をどう利用するか~」
司会: 中川 孝太郎 (横浜栄共済病院 ME 科)
前川 正樹
(桜橋渡辺病院 ME 科)
① 閾値、波高値情報
熊谷 英明 (昭和伊南総合病院 総務課施設係)
② レートイベントトレンド
今村 博明 (KKR 枚方公済病院 臨床工学科)
③ メモリーEGM
寺村 聡 (草津総合病院 臨床工学科)
④ 不整脈診断
高垣 勝 (滋賀県立成人病センター 臨床工学部)
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教育講演 ランチョンセミナー
12:00~
12:00~13:00
「デバイス治療と循環器関連薬剤」
講師:吉田 幸彦 先生 (名古屋第二赤十字病院 循環器内科部長)
司会:古川 博一 (手稲渓仁会病院 臨床工学部)
共催:日本ライフライン株式会社
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若手セッション
13:10~
13:10
~14:30
司会:森井 淳夫 (滋賀県立成人病センター 臨床工学部)
山田 宣幸 (三菱京都病院 臨床生理検査科)
① 当院のペースメーカー外来における取り組みと今後の展望
~各施設を参考に業務の確立に対する取り組み~
内野 敬 (戸田中央総合病院 臨床工学科)
② 当院におけるペースメーカー業務の問題点
川村 正義 (健康保険南海病院 工学技士科)
③ 植込み時の設定をいかに考えるか
小森 直美 (京都第二赤十字病院 臨床工学課)
④ SORIN 社製ペースメーカー植込み自動検出機能により動作判読に難渋した 1 例
筏 雄亮 (桜橋渡辺病院 ME科)
⑤ 植え込み時における初期設定の意味 どうしてその設定なの?
寺田 實 (滋賀県立成人病センター 臨床工学部)
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一般演題①
14:40~
14:40
~16:40
座長:小林 博 (大阪警察病院 臨床検査科)
野村 知由樹 (医誠会都志見病院 臨床工学部)
① ペースメーカーフォローアップ時にテレメトリー不可能であった一症例
土井 照雄 (社会保険紀南病院 臨床工学部)
② 障害電流の発生が波高測定を困難にした症例
松崎 尚康 (広島大学病院 診療支援部 臨床工学部門)
③ ペースメーカー本体側の誤認によりリード抵抗値異常を呈した一例
早坂 啓 (仙台循環器病センター 臨床工学科)
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④ ペースメーカーチェックにおける自動測定機能の検討 ~COMET 試験より~
田高 朋宏 (荻窪病院 ME室)
⑤ 各種デバイス植込み患者管理に関する情報の共有化について
志賀 美子 (名古屋大学医学部附属病院 臨床工学技術部)
⑥ 当院の小児ペースメーカーの現状
神谷 典男 (聖隷浜松病院 臨床工学室)
⑦ 当院における遠隔モニタリングシステム(ケアリンク)の登録状況と運用の現状
高橋 勝行 (倉敷中央病院 臨床検査科)
⑧ 植込デバイスに関するインシデントの検討・報告
一柳 宏 (名古屋大学医学部附属病院 臨床工学技術部)
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閉会挨拶
16:40~
16:40
~16:50
ペースメーカーフォローアップ研究会 代表世話人
高垣 勝 (滋賀県立成人病センター 臨床工学部)
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14
第 2 会場 1204 号室 (12 階)
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一般演題②
13:10~
13:10
~14:40
座長:高垣 勝 (滋賀県立成人病センター 臨床工学部)
熊谷 英明 (昭和伊南総合病院 総務課施設係)
⑨ MVP 機能により DDD 変更後センシング不全を来した 1 例
宇井 雄一 (岡崎市民病院 臨床工学室)
⑩ Block PACにより設定レートを下回った1症例
広瀬 徳勝 (聖隷浜松病院 臨床工学室)
⑪ テレメトリー検査とホルター心電図における
自己心拍優先機能の評価が解離した 2 例
木山 綾子 (倉敷中央病院 臨床検査科)
⑫ 心電図上、見極めの困難な under sensing と under sensing 様波形
西 純子 (大阪警察病院 臨床検査科)
⑬ 心臓手術後の心房頻拍(AT)により 2:1 伝導と思われたが房室ブロックだった一例
洞 博之 (国立病院機構 名古屋医療センター 臨床工学室)
⑭ ペースメーカー植込み術後 Check にて Lead Perforation を疑った1症例
藤竹 俊輔 (鹿児島愛心会 大隅鹿屋病院 臨床工学科)
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一般演題③
14:50~
14:50
~16:20
座長:高垣 勝 (滋賀県立成人病センター 臨床工学部)
熊谷 英明 (昭和伊南総合病院 総務課施設係)
⑮ 肺胸郭インピーダンス法(Optivol)が
心不全モニタリングとして有効性を示した2 症例
辻 善範 (大垣市民病院 臨床工学技術科)
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⑯ 日差・日内R波形および波高値変動を繰り返すBrugada症候群の一例
井野 裕也 (京都桂病院 臨床工学科)
⑰ 植え込み時、High DFT が判明した 2 症例の経験
小川 浩司 (国立循環器病研究センター 臨床工学部)
⑱ LIA 機能により ICD リード(フィデリス)のリード断線を早期発見できた一例
高橋 美恵 (青梅市立総合病院 臨床工学科)
⑲ 植込み device に内蔵された EPS 機能の有効性について
木田 博太 (大阪府立急性期・総合医療センター 臨床工学技士室)
⑳ ICD、CRT-D の作動に関する検討
大坪 克浩 (愛知県立循環器呼吸器病センター 臨床工学科)
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第 3 会場 901 号室 (9 階)
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各社メーカーにおける展示および製品説明会場
10:30~
10:30
~15:00
【展示企業】
BIOTRONIK
Boston Scientific
Medtronic
ST.JUDE MEDICAL
日本ライフライン
日本光電
フクダ電子
※ABC および五十音順
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シンポジウム抄録
「プログラマーデータの活かし方」
プログラマーデータの活かし方」
~各種レポート情報をどう利用するか
各種レポート情報をどう利用するか~
情報をどう利用するか~
第 1 会場 10:30~
10:30~11:50
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① 「ペーシング閾値、波高値」
昭和伊南総合病院 総務課施設係
○熊谷 英明
植込み型ペースメーカの内臓機能は、年々進化し各社独自のアルゴリズムで複雑
化され、特殊機能設定項目も多く難解な場合もある。今回、ペースメーカ設定の基本
となるペーシング閾値・心内波高値について当院での考えを報告する。
アウトプットは、予想外のペーシング不全の出現を考えると高い方が安心であるが、
ペースメーカの電池寿命は設定アウトプットによって大きく左右されるため安全性を担
保しつつ電池寿命をより長くできるような設定が望ましい。当院では、ペーシング閾値
の問題がない場合は、心房アウトプットは、1.5V、心室アウトプットは 2.5V を基本設定
とし、自動閾値測定出力調節機能を有する機種については積極的に設定 on とし、自
動閾値測定出力調節機能を使用してアウトプットが 2.5V 以上に設定されてしまう場合
には自動閾値測定出力調節機能は無駄に電池を消費していると考え off としている。
センシング感度の設定には、実際の心内波高値がどの程度であるかを知ることが重要
で、ペースメーカ点検したときの心内波高値だけでなく、期外収縮や発作性心房細動
時の実際の波高値を知ることが重要である。当院では、植込み時の心房・心室センシ
ング感度は問題なければノミナール設定を基本設定とし、メモリ機能でのちに心内波
高値が評価可能であれば心房センシング感度は最高感度とし発作性心房細動時の
心内波高値をモニタし退院時に適切な設定をできるよう心がけている。また、感度を鋭
く設定している場合、メモリ EGM でオーバーセンシングの有無を注意して確認してい
る。
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② レートイベントトレンド」
枚方公済病院 臨床工学科
○今村 博明
現在のペースメーカーは様々な診断機能が付加されており、レートイベントトレンド
は以下の項目を推測または確認することができる。
1)レートの推移
2)レートレスポンスのレート上昇幅、動作状況の確認
3)心房、心室の各ペーシング比率
4)MTR(最大追従レート)でのペーシング比率
5)不整脈を疑う所見など
これらは一定期間の観察が可能で、パラメータの設定変更を行うためには不可欠な
診断データである。また設定変更によっての変化や動作確認をするためにも有用であ
り、今回実際のレートイベントトレンドを示しご説明する。
21
③ 「メモリーEGM」
枚方公済病院 臨床工学科
○寺村 聡
現在、様々なメモリー機能が各社・各機種独自に付いている。また、最近ではⅣ型
(Mode Switch Type / Search A-V Type)・頻拍 Pacing(ATP / Suppression)などにお
けるメモリー機能も充実し、ますます多機能化に伴い電池寿命などにも影響を及ばす
こともある。
そこで、様々なメモリー機能の有用性や使い勝手などを評価し、どういった形で情報
提供し、其れをいかに有用な設定変更に繋げて行くかの取り組みについて報告させ
て頂きます。
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④ 「不整脈診断機能の活かし方」
滋賀県立成人病センター 臨床工学部
○高垣 勝
ペースメーカーの不整脈診断機能には、心房性頻拍、心室性期外収縮、心室頻拍、
ペースメーカー起因頻拍などがあるが、ペースメーカーが心拍を認識する要素は波高
とそのタイミング(振幅と時間)という 2 つでしかないことから、感度、ブランキング、不応
期などの関係によっては自ずとその限界がある。従って、ペースメーカーがレポートし
てくれる不整脈情報は、同時に記録された EGM とともに評価しないと、実際の状況と
は異なる認識を持ってしまったり、誤った情報を与えてしまったりする可能性がある。
一方、仮にある種の不整脈を誤判断してしまう症例があるとして、その患者と同種の
ジェネレータを植込んだ症例すべてにおいて、その不整脈の判断が信用できないも
のであるかというとそうではない。ジェネレータに依存するというよりは、むしろ個々の患
者の心拍状況に大きく依存していると考えられる。
今回は、ペースメーカーの不整脈診断機能を精査しその信頼度を高め情報提供す
る取り組みについて報告させていただく。
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若手セッション抄録
第 1 会場 13:10~
13:10~14:30
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① 当院のペースメーカ外来における取り組みと今後の展望
~各施設を参考に業務の確立に対する取り組み~
戸田中央総合病院 臨床工学科
○内野 敬、高橋 良輔、斉藤 賢和、菅谷 大輔、山元 秀之、荒川 靜司
【はじめに】
当院は埼玉県戸田市にあり、循環器内科・心臓血管外科をはじめ 23 の診療科を持
ち ICU 10 床/CCU 6 床を含め 446 床の地域中核総合病院である。昨年は PMI を年
間 53 例(ICD 3 件、CRT-D 11 件を含む)行なった。外来フォローは 242 件であった。
現在ペースメーカ関連業務は、植え込み時のプログラマ・アナライザ操作やペースメ
ーカ外来を中心に臨床工学技士 5 名+新人 2 名で構成されている臨床工学科中央
管理室にて行なっている。中央管理室ではペースメーカ業務の他にカテ業務、体外
循環業務、呼吸器/機器管理業務、温熱療法業務を行っている。ペースメーカ外来は
臨床工学技士 2 名、循環器医 1 名(通常の外来と兼任)で毎週水曜に予約制で行な
っている。循環器医は通常の外来の合間に問診を行い、臨床工学技士は一人がプロ
グラマを操作し域値、波高値等のチェックを行なう。他方が手帳およびカルテに結果を
記載する。循環器医と相談してジェネレータ設定、次回フォロー期間を決定後、臨床
工学技士にて最終設定をダブルチェックし終了となる。ペースメーカ関連業務につい
て以前は植え込み時・ペースメーカ外来すべてが業者任せであったが、立会い規制
に対応するため 2008 年より徐々に臨床工学技士にて行なうようになった。しかし、
CRT-D 等の植え込み時にはいまだメーカの力を借りているのが現状である。今回、当
院ではペースメーカ外来をより円滑に行なうべく取り組みを行なった。
【取り組み内容と成果】
業者に依存していたペースメーカ植込み患者情報を市販ソフト Access にてデータ
ベース管理(患者 ID・氏名・住所・連絡先・デバイス情報・設定パラメータ・外来フォロ
ーアップ時の記録)し、患者情報の把握を行なう。また適切なペースメーカ外来でのフ
ォローアップとフォローアップ未患者の調査をする。当院のフォローアップ中の患者数
は 279 名であった。しかしその中で 115 名は経過不明であった。経過不明患者をカル
テにて詳細を確認したところ死亡および転院が確認できたのは 65 名であった。また 4
名が情報の誤記載であった。残り 46 名に電話にてペースメーカフォローの状況確認
を行なったところ、死亡および転院は 9 名、外来来院は 15 名であった。残りの 22 名は
電話がつながらず詳細不明であった。データベース管理することで事前に患者情報を
得ることができ、フォローアップ時の対応がスムーズになった。今回の取り組みで、植
え込み後の適切なフォローを受けていない患者が多くいることが分かった。各患者の
ペースメーカ外来は 1、2 回/年であり、また高齢者も多いことから次回予定を忘れてい
る患者も多く存在した。
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【問題点および今後の対策と疑問点】
問題点『患者自身がペースメーカ外来の役割を正確に理解していないことがある。』
医師のインフォームドコンセントの大部分はデバイス植え込みに関するものであり、患
者も植え込みに関する事項(合併症等)は理解するが植え込み後の注意点や今後の
フォローに関する情報は不十分である場合が多い。そこで新規植え込み後、入院期
間中に臨床工学技士による患者への説明が必要なのではないか。内容はペースメー
カ外来の役割・重要性、日常生活において注意が必要な事項の確認、緊急時の対応
や連絡先を考えている。問題点『一人にかかる時間の短縮。循環器医が通常の外来と
平行して行なっているため、チェック後の医師確認までに時間がかかってしまう。』現
在は事前に循環器医と相談し、域値が落ち着いていれば医師の確認前に出力を下
げるなどの工夫をしている。また経験の浅いスタッフでも適切なペースメーカチェックが
安全に行うことが出来る工夫として今後マニュアル化を考えている。
【結語】
当院で行ったペースメーカ業務確立に対する取り組みを示したが、各施設で行ってい
る内容を参考に今後の業務確立に生かしていきたい。
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② 当院におけるペースメーカー業務の問題点
健康保険 南海病院 工学技士科
○川村 正義
【はじめに】
工学技士がペースメーカー業務に携わるようになったのがここ数年であり、他の業
務との掛け持ちとなるため専門的に業務ができない。そこで、工学技士科より3名を選
出し業務に携わることが出来るようになった。一昨年より月1回から2回のメーカー主催
のよる勉強会を実施し現在も継続中である。また、中央で開催される勉強会にも積極
的に参加し知識を得るよう努力はしている。現在、ペースメーカーインプラント、リプレ
ース、チェックに携わっている。
【問題点】
メーカーごとでプログラマー、アナライザーの操作法が異なる為、各メーカーに対応
できていない。メドトロニック、ボストン社は比較的操作する回数が多く慣れるのにも早
いが、日本光電、日本ライフライン、セントジュード社は患者数も少ない為、操作する
機会が少なく慣れるのに時間がかかる。
【対応策】
まず、メドトロニック、ボストン社を集中的に勉強し操作出来るようにした。現在では、
チェックに関しては技士のみでも対応可能である。残りの3社についてはメーカーによ
る勉強会を継続中であるが、プログラマーを院内に設置していないため慣れるのには
もう少し時間が必要である。
【まとめ】
メドトロニック、ボストン社については技士のみでチェックは対応できるがアナライザー
の操作がまだ不十分であり今後も継続して学習していく。現在、実施している勉強会
を継続し各社プログラマー操作が出来るようにする。メーカー対応の時からチェックが
一年であり今後先生方と協議し半年のチェックに変更していきたい。今後、工学技士
科のペースメーカー業務の確立を目指し努力していきたい。
28
③ 植込み時の設定をいかに考えるか
京都第二赤十字病院 臨床工学課
○小森 直美
【はじめに】
当院では 、ペースメーカ(PM)、植込み型除細動器(ICD)、心臓再同期療法
(CRT-P、CRT-D)等の植込みに携わるようになり数年が経過した。今回 CRT-D 植込
み患者に対し、ICD が作動しなかった症例を経験したので報告する。
【症例】82 歳 女性 2010 年 3 月に一過性意識消失し、当院救命救急に搬入。心筋梗
塞、高度僧帽弁逆流と診断され冠動脈バイパスおよび僧帽弁形成の手術のため当院
心臓血管外科転科となる。術後、頻回に VF を認めたため CRT-D の植込みを行う事と
なった。
【植込み時の主な初期設定】
モード:DDD、設定レート:60ppm、出力:心房 5.0V、右心室 3.5V、左心室 5.0V、波
高:心房 0.5mV、右心室 0.6mV、左心室 1.0mV、AV ディレー:80ms、VT ゾーン
180bpm(モニターのみ)、VF ゾーン 200bpm(41J×8 回)
【状況】
植込み後フォローアップ中に VT を認めたが、スローVT であったため ICD は作動し
なかった。また、血行動態が破綻したため体外式除細動器により VT を停止させた。現
在は VT ゾーン 150bpm(11J、21J、41J×4 回)、VF ゾーン 200bpm(41J×8 回)と設定
変更を行っている。
【まとめ】
当院では、ゾーン設定に対して EPS、アブレーション、誘発テストなどを施行して行う
場合と、モニターやホルターなどを参考に行う場合がある。今回、病棟で VF(240bpm)
を確認できており、誘発テストは行わずに設定した。当初の設定では VT を認めなかっ
たため、VT ゾーンはモニター設定としていた。
【結語】
治療が確実に行えるよう設定を組むことは必要なことではあるが、心機能が不安定な
患者における設定は、通常の設定を組むよりも困難であると感じた。
29
④ SORIN 社製ペースメーカ植込み自動検出機能により動作判読に難渋した 1 例
桜橋渡辺病院 ME科
○筏 雄亮、前川 正樹、阿部 顕正、室井 量子
【症例】
80 代男性、Ⅱ度 block、アダムストークス発作にて 2000 年 5 月に Medtronic 社製
VDD リード 5038 及び VDD ペースメーカ PRODIGY VDD 植込み。以後、トラブル無く
経過し 2010 年 2 月に電池消耗によりジェネレータ交換となる。
【事例】
術前確認における作動様式は AS-VP 94%、VS 3%、VP 3%であり、VVI 40ppm に
て自己心拍(40~60ppm)がⅠ度 block で認められた。開創後、トルクレンチでリードを
取り外し、アナライザを用いてチェックを行ったが、測定上リードの状態は良好であっ
た。その後、交換用のジェネレータ SORIN 社製 REPLY DR を VDD モード、50ppm 設
定で接続したがモニター上は VVI 作動であり、心房側の sensing failure が発生した。
ワンドを当てて確認すると EGM では心房波を認めたが、マーカー表示は VP のみであ
った。心房 sensing の極性が Bipolar であることを確認し、心房感度の変更やリードの再
接続を行ったが状態は変わらなかった。この時点で設定上の不備ではないと判断し、
一度プログラマの session を終了させ、再 interrogate を行った結果、心房側のマーカ
ーが出現した。しかし心房側は不応期内センスとなっていたため、心房レートの低下を
疑い、PVAB、感度等、設定を見直したが作動は変わらず判読に難渋した。その後、
base rate を下げることで一時的に AS-VP が確認できたため、心房レートの低下ではな
く心室ペーシングに伴う逆行性伝導を考え、硫酸アトロピン 0.25mg の試験静注で心房
レートが上昇し、AS-VP 作動を得ることができた。これにより、再 interrogate した時点で
心房レートの低下と心室からの逆行性伝導が同時に起こっていたことが判明した。ま
た、リード接続時の心房側の sensing failure は一度 end session することで回避された
ため、SORIN 社製ペースメーカ特有の初期検出機能によるものと考えられた。
【まとめ】
現在ペースメーカには様々な技術が導入され、安全機構としての自動検出機能が
搭載されており、その作動様式は複雑である。今回、複数の要因が重複して発生する
ことで判読に難渋する症例を経験した。
30
⑤ 植込み時における初期設定の意味 どうしてその設定なの?
滋賀県立成人病センター 臨床工学部
○寺田 寛
【はじめに】ペースメーカーには多くのパラメータがあり、出荷時にはメーカーの
Nominal 値がプログラムされている。Nominal 値でもペースメーカーとして機能するが、
当センターでは植込み時により各疾患に対して適切な作動が行われるようにパラメー
タを設定している。しかしながら、それらの設定はベテランの技士などの経験や知識に
基づく設定であり、ペースメーカーに携わって日の浅い技士にとってはすべてを理解
するのは難しい。そこで理解を深めるためにも自身で設定の意味を考えてみた。
【植込み時の設定】パラメータの変更点として、疾患やメーカーに関わらず統一して変
更している点は V blanking を最短とし、AF 検出レートは 170ms、出力は心房・心室とも
に 3.5V としている。SSS では、AV delay に決定するのに AP-VS 状態にした AV-delay
の値から 40~50ms 延長させている。また、モードスイッチのモードやレートを変更できる
ジェネレータについては、モードスイッチ時モードを DDI,レートは基本レートと同じにし
ている。その他、各種自動機能は基本的に Off としている。
【設定の意味】V blanking はクロストークを防ぐ目的のパラメータであり、長い設定の場
合、頻拍時 P-R 間隔が縮まった時に心室イベントをセンシングしない恐れがあるが、
短くしてクロストークが起こったとしても V セーフティペーシングで補うことができるのだ
と考えられる。AF 検出レートは、最大トラッキングレートと差が少ない方が頻拍になら
ず、患者の動悸を軽減できると考えられる。また、検出レートが 170bpm ならば AF を十
分検出できると考えられるが、一方で洞レートが 150bpm 近くまで上がる可能性があり、
AT/AF と誤認させないためであると理解している。出力に関しては、PSA によるリード
留置決定時に多くのケースでは閾値が 1V 以下であることが確認されているが、植込
み直後はリード-心筋接合部が電気的に安定した状態ではないと考えられ、確実に
capture する値としていると考えられる。SSS での AV delay は V capture および fusion
ペーシングさせないようにし、自己心拍を優先させ不必要な VP させないために設定し
ていると考えている。AVB でのモードスイッチ時のモードは DDI、レートは基本レートで
あるが、1 週間後チェックまでは院内で安静状態であるのでこのような設定にしている
と考えている。自動機能に関しては植込み直後ではリード等が安定しておらず避けた
方がいいのではないかと考えている。
【結語】今回、患者の状態に合う各パラメータの設定の意味を自身で考えてみた。上
記の設定は当センターで施行しているものであり、各施設でそれぞれの考え方がある
と思うのでこの機会に様々な意見を参考にしたい。
31
32
一般演題抄録
‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐--‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-
一般演題①(演題番号①~⑧)
第 1 会場 14:40~
14:40~16:40
‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐--‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-
一般演題②(演題番号⑨~⑭)
第 2 会場 13:10~
13:10~14:40
‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐--‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-
一般演題③(演題番号⑮~⑳)
第 2 会場 14:50~
14:50~16:20
‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐--‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-‐‐-
33
① ペースメーカーフォローアップ時にテレメトリ不可能であった一症例
社会保険紀南病院 臨床工学部
○土井 照雄、大上 卓也、西野 功、山田 秀人
【緒言】ペースメーカー移植後はそのシステムに異常がないかを調べる定期的なペー
スメーカーフォローアップ(以下PMFU)が必要である。今回我々は、定期PMFUの
際にペースメーカーとのテレメトリが不可能であった事例を経験したので報告する。
【症例・経過】76歳男性、完全房室ブロックにて1988年4月にDDDペースメーカー移
植された後、1994年1月、2003年2月に電池消耗のため交換術を施行された。200
9年5月のPMFU時に、電池抵抗が3.1KΩ、2009年11月には3.8KΩと上昇傾向
を認めたため、3ヵ月後の2010年2月にPMFUを予定していた。しかし、2010年2月
18日の定期PMFU時の心電図で心拍数30台の完全房室ブロックを認め、プログラ
マーを用いたチェック時に、ペースメーカーを認識せずテレメトリできなかった。追加で
マグネットを用いた簡便な検査(ミニクリニック)においても同様であった。徐脈による症
状を認めていたため、同日緊急ペースメーカー電池交換術を施行した。手術時、リー
ドの測定データは何ら問題なく継続使用が可能であると判断し、手術は問題なく終了
した。摘出したペースメーカーは術前と同様にテレメトリ不可能であった。術後経過は
何ら問題なく5日後に退院された。
【考察】20年以上もリードを継続していたことや、心電図にてペーシングスパイクが認
めなかったことからリード断線を疑ったが、胸部レントゲン画像において前回と比較し
て何ら変わりなく、明らかなリード断線は認めなかった。次にテレメトリできなかった事よ
り、今回の原因はペースメーカーの電池が消耗している為と判断した。しかし、前回の
PMFU時より3か月でテレメトリできないほどの急激な電池消耗は考えにくく、ペースメ
ーカーの不具合も考慮しメーカーにて解析を行うことを依頼した。摘出したペースメー
カーは現在解析中である。もし電池寿命が原因であればペースメーカーの電池寿命
に関する管理体制を見直し、多機種にわたるペースメーカーの情報を一元化すること
が必要となる。
【結語】今回我々は、定期PMFU時にテレメトリ不可能であった一症例を経験した。
34
② 障害電流の発生が波高測定を困難にした症例
広島大学病院 診療支援部 臨床工学部門
○松崎 尚康、岡原 重幸、宮本 聡史、吉山 潤一、高橋 秀暢
【はじめに】スクリューインリードを使用する際、障害電流(以下、COI)が発生し波高値
測定に影響を与えることがある。今回、COI により心室波高値測定に難渋した症例を
経験したので報告する。
【症例】54 歳男性。拡張型心筋症と診断され、非持続性心室頻拍を頻回に認めること
か ら 、 ICD ( SECURA DR, Medtronic ) 植 込 み と な っ た 。 心 房 リ ー ド ( CapSureFix
NOVUS)を RAA、心室リード(Sprint Quattro)を RV mid septum にスクリューインした。
測定には Medtronic の PSA を使用した。心室リードのスクリューイン前の R 波高値は
10mV 以上で、スクリューイン直後で測定値は 8mV であった。直後のペーパーで、
V-EGM を確認したところ COI を認めた。10 分が経過すると COI は低下し先行するス
パイク波を認めた。測定値は 3.0mV 台であった。40 分が経過すると COI は、さらに低
下し、下向きの心室波が認められた。測定値は 6.0~7.0mV で安定したため、この部
位で留置となった。この間、リード抵抗や閾値に異常値は認めなかった。術後 4 日目
の定期チェックでは、R 波高値は 6.3mV でリード抵抗、閾値などに変化はなかった。
【考察】COI は、リードをスクリューインした際に発生し、リードの心筋への固定具合の
指標となるが、COI 波形の形状は、その周波数やフィルターによって形を変える。本症
例の測定値は COI の影響により高く測定されていたが、10 分程度で影響は弱くなり、
測定値が低下したものと考えられた。その後の測定値の上昇は、それまで存在してい
なかった下向きの心室波形が現れてきたことに関係し、COI 波形の更なる形状変化の
影響によるものか、リード先端の固定が変化したものと推測した。一般的には、測定上、
COI が問題となることは少ないが、測定者は COI の影響を認識し、波高測定値を術者
へ正確に伝えることが重要である。
35
③ ペースメーカー本体側の誤認によりリード抵抗値異常を呈した一例
仙台循環器病センター 臨床工学科
○早坂 啓、前田 寿、鈴木 信司
【背景】ペースメーカー外来(PMC)にて,断続的にリード抵抗値異常を示す一例を経
験したので報告する。
【症例】92 歳女性。2009 年 5 月めまいを主訴とし,心電図上高度房室ブロックを指摘さ
れ当院受診。ペースメーカー(PM)の適応とされ,同年 6 月 VDD 型 PM 植え込み術を
施行した。リードはガイダント社製高抵抗値型 VDD リード,PM 本体はソーリンエラメデ
ィカル社製 Facil DR を使用した。入院中はリードその他に異常を認めなかったが,1 ヶ
月後の PMC にてリード抵抗値トレンドグラム上異常高値(3000Ω以上)が記録されて
いた。PMC にての胸部レントゲンや,実測リード抵抗値(1600Ω前後),拝みテストに
は全く異常は認められず,感度設定変更で経過観察していた。以降 1 カ月ごとに観察
を行っていたが,同様の抵抗値異常の警告表示が続いており,原因の特定に難渋し
た。その後メーカー側の調査報告により,リード抵抗値測定範囲が PM 本体の出力設
定値に依存しており,出力設定ごとの測定限界を超えると一律 3000Ω以上と表示され
ることが判明した,本症例のような高抵抗値型リードと組み合わせた場合,適正な抵抗
値であっても異常高値と誤認される現象であった。
【考察】極早期の不完全断線の先入観から原因究明まで時間を要した。リード抵抗値
自動測定方法にも各社特徴があり,機能の習熟と共に,メーカー担当者との連携の重
要性を再認識した。また,同条件下の PM では,リード抵抗値トレンドグラムが継続的
に無効となってしまうことなどから,警告基準の見直しを含めた,ソフトウエア上の改善
をメーカー側に提案したい。
【結語】本症例のリード抵抗値異常の警告表示は,結果として PM 本体の特性によるも
ので,機能上問題がないことが判明した。本症例の事例を元に PM 特性の習熟に努め
今後の PMC に生かしたい
36
④ ペースメーカーチェックにおける自動測定機能の検討 ~COMET 試験より~
荻窪病院 ME 室 1)、上尾中央総合病院 臨床工学科 2)
○田高 朋宏 1)、佐藤 大之 1)、岡田 有香 2)
【はじめに】近年のペースメーカー植込み症例の増加に伴い、フォローアップの負担が
増大し、効率化が課題となっている。現在使用されているペースメーカーには閾値測
定などの自動機能が備わっているものもあり、その有効利用がフォローアップ効率化
の一助となり得る。今回、メドトロニック社製ペースメーカーAdapta™(DR、SR、VDD)、
Sensia™(DR、SR)シリーズに搭載されている自動機能によるフォローアップ所要時間
及びその精度を比較検討した COMET 試験(COmparison of Automatic and Manual
ThrEshold Testing Study)の最終結果を報告するとともに、当院での自動機能を活用
したペースメーカ外来の現状を報告する。
【対象】国内 27 施設の Adapta、Sensia シリーズの使用症例、計 361 症例(シングチャ
ンバー N=79、デュアルチャンバー N=282)。
【方法】本試験は、多施設共同、前向き、観察試験として実施された。対象ペースメー
カのフォローアップ時に自動機能と手動で測定を行い、自動機能によるペーシング閾
値測定の精度、およびそれぞれのフォローアップの所要時間を計測した。測定精度は
測定誤差の平均値及びその 95%信頼区間にて、所要時間は Paired-t 検定にて評価し
た。
【結果】①手動測定に対する自動機能のペーシング閾値測定誤差は、心房 -0.026 V
[95%信頼区間 -0.043 ~ -0.009 V]、心室 -0.014 V [95%信頼区間 -0.033 ~
0.004 V] であり、いずれも同等性範囲 (-0.25 ~ 0.50 V) 内であった。ペースメーカ
チェック所要時間は、自動機能を利用した場合 1.97 ± 2.85 分、手動の場合は 5.27
± 5.71 分であり、自動機能を有効にして行う方が有意に短縮した (P < 0.001)。
【結論】自動機能を効果的に活用することは、ペースメーカーフォローアップ所要時間
の短縮など、ペースメーカー外来の効率的な運用の手段になり得ることが示唆された。
当院では自動機能搭載のデバイスは、自動機能と手動測定の測定値の差やデータト
レンドを考慮しながら積極的に自動機能を活用している。現在、自動機能搭載のデバ
イスを使用中の患者 70 名中 66 名(94.3%)を自動機能によりフォローアップしており、
ペースメーカ外来の時間短縮を図っている。今後は、遠隔モニタリングシステムを含め、
自動機能を活用したペースメーカーフォローアップの指針などを検討することにより更
なる効率化が期待される。
37
⑤ 各種デバイス植込み患者管理に関する情報の共有化について
国立名古屋大学法人名古屋大学医学部附属病院 臨床工学技術部
○志賀 美子、一柳 宏、錦 麗絵、佐藤 有紀、原 季実子、長谷川 静香
梅田 修平、正木 涼子、後藤 和大、鎌田 彩、林 裕樹
【目的】平成 20 年 4 月より実施されている業者の立会い規制により、今まで業者に依
存していたペースメーカ関連業務を臨床工学技術部で行うことになった。現在、心臓
外科で約 150 名、循環器内科で約 380 名の植込み患者を外来にてフォローしている。
当初、心臓外科では専用の記録用紙が存在したが、循環器内科に至っては、電子カ
ルテにおいてもメーカ名やモデル名など、決まったフォーマットでの記録が行なわれて
いない状態であった。そこで独自のデータベースを作成し、担当するスタッフ間で情
報の共有化を図った。
【方法】電子カルテは富士通社製のものを採用しており、情報 IT センターによってファ
イルメーカの各種データベースとのリンクが可能となっている。将来的にリンクすること
を目的にファイルメーカを用いて、トラッキング用紙と手帳をもとに患者情報を対象にし
たものと、デバイス別のトラブル対応やプログラマー操作など、業務に関する内容を対
象にした2種類のデータベースを作成した。
【結果】患者情報を対象としたデータベースは、外来でのフォローにおいて、事前に患
者データを確認出来る事により、迅速に対応できるようになった。また、対応に配慮が
必要な患者においての申し送りも記載欄を作成することで、確実に担当スタッフへ伝
わるようになった。業務に関する内容を対象としたデータベースは、植込デバイス関連
のみならず、他業務についても活用し、スタッフ間の業務に関する申し送りや知識及
び情報周知につながった。
【結論】データベースに情報を入力する作業は多忙な業務に拍車をかけるものだが、
スタッフ間の情報の共有化、また入力することによる知識の定着を図ることができ有用
であった。今後は、電子カルテとリンクすることにより、ID などの患者情報の入力ミスを
なくし、チェックデータも電子カルテにも統一されたフォーマットで記載され、チェック後
の技士による入力業務の軽減化が可能となる予定である。
38
⑥ 当院の小児ペースメーカーの現状
聖隷浜松病院 臨床工学室 1)、同 心臓血管外科 2)
○神谷 典男 1)、広瀬 徳勝 1)、田中 良樹 1)、増井 浩史
岩田 真智子 1)、北本 憲永 1)、小出 昌秋 2)
1)
、村松 明日香
1)
【はじめに】成人に比べ、小児のペースメーカー(PM)植え込み症例は、患児の成長や
活動性に伴い特有の合併症を生ずる。そのため成人に比べ、注意深い観察を必要と
する。当院では成人は循環器科、小児は心臓血管外科でのフォローアップに区分け
されており、今回は小児ペースメーカーにスポットを当てて現状を報告する。
【対象】1999~2009 年 11 月までに心臓血管外科で植え込まれた 12 名で、植え込み
時年齢は 1 ヶ月~11 歳。モードは DDD(R) 5 名、AAI(R) 3 名、VVI(R) 4 名で、基礎疾
患は多脾症に伴う洞不全症候群(SSS)4 名、先天性 SSS および房室ブロック(AVB)2
名、心筋炎後の SSS 1 名、心房中隔欠損症術後の SSS 1 名、完全型房室中隔欠損症
術後の AVB 2 名、無脾症、右心性単心室、人工弁置換術後の AVB 1 名、感染性心
内膜炎後の AVB 1 名。
【結果】2006 年から CE が携わるようになってから現在まで新規植え込み 2 例、電池寿
命による PM 交換 1 例、リード追加 1 例の経験をした。また、
抵抗値は変わらないものの閾値上昇が見られ(設定 5.0V/1.0ms)経過観察が必要と
思われる 1 例を除けば、現在まで明らかなリード断線や感染兆候も見られず、死亡例
もない。
【フォローアップ】心臓血管外科外来にて 3 ヵ月ごとの第 2 あるいは第 4 土曜日の午前
のみの診療で、チェック時は患児に仰臥位あるいは座位を選択してもらうか、親御さん
に抱っこしてもらうなど成人に比べ必要以上に気を配り、患児がリラックスできるよう心
がけながら CE 1~2 名であたっている。
【考察】患者 12 名すべてにおいて心筋リードを使用しており 11 名はステロイド溶出心
筋リードを使用している。心筋リードは、心内膜電極に比べ閾値が高く、寿命も短いと
されるがステロイド溶出心筋電極は長期的にも機能を維持できており、小児の早期電
池消耗を軽減する一助となることが考えられた。そのため現在、これまでの結果やステ
ロイド溶出心筋電極の報告例また遠隔モニタリング機能の導入も検討しながらフォロ
ーアップ期間の延長を模索しているところである。
39
⑦ 当院における遠隔モニタリングシステム(ケアリンク)の登録状況と運用の現状
倉敷中央病院 臨床検査科 同 CE サービス室 1)、同循環器内科 2)
○高橋 勝行 1)、三宅 弘之 1)、小室 拓也 1)、朝原 康介 1)、福島 基弘 1)
木山 綾子 1)、平井 雪江 1)、藤井 理樹 2)、田坂 浩嗣 2)、岡本 陽地 2)
楠瀬 真奈 2)
【はじめに】遠隔モニタリングシステム(ケアリンク)は、増え続けるフォローアップ外来の
効率化およびイベントの早期発見と早期治療の実現を目指して開発されたシステムで
ある。しかしながら、機器の設置や操作などは患者自身が行う必要があり、問題もある
と思われる。
【対象患者と導入状況】当院では、外来にて対象患者(ICD/CRTD)にパンフレットを来
院時に配布し、外来診察時に担当医師より説明し同意の得られた患者に対して順次
導入している。新規デバイス植込み患者も、退院後一ヶ月後の外来フォローアップ時
に同様に説明し導入している。2009 年 12 月 3 日から導入を開始し 2010 年 3 月 25
日までの間に外来受診したケアリンク対象患者 122 人(男性 90 名、女性 32 名、平均
年齢 68.9±12.3 歳)。外来で同意が得られた患者は 90/122 人(73.7%)、不同意 14/122
人(11.5%)、保留 18/122 人(14.8%)であった。ケアリンクモニタ送付後のキャンセルが
4 人、2 ヶ月経っても初回送信のない患者 9 人、現在の導入率は 77/122 人(63.1%)で
あった。不同意およびキャンセル(18 人)の理由は、現状のままでいい・必要性がない
10 人、出来ない 3 人、めんどくさい 1 人、コストの問題 2 人、不明 2 人で、保留の理由
は、家人と相談して決めたい 8 人、次回まで考えたい 8 人、引越し予定 2 人であった。
同意が得られた患者でも、設置や操作などで不安を訴えれたり、コストについての質
問が多かった。
【運用】ケアリンクへの登録は、事務が担当している。患者データの参照は、技師と医
師により行われているが、ケアリンクの WEB 上ですべてを閲覧運用するには十分とは
いえず、EXCEL ファイルでのエクスポートや PDF レポートの作成などを利用して、当院
ではファイルメーカと連携させてケアリンク患者の管理および閲覧をできるように準備
を進めている。
【結論】遠隔モニタリングシステム(ケアリンク)は、患者自身が機器の設置や操作を行う
必要があり、不安をかかる原因の 1 つであるように思われた。また、医療従事者側も、
ケアリンクシステムを活用するにあたり運用にあわせて工夫していく必要があるように
思われた。
40
⑧ 植込デバイスに関するインシデントの検討・報告
国立大学法人名古屋大学医学部附属病院 臨床工学技術部 1)、名古屋大学大
学院医学系研究科循環器内科学 2)
○一柳 宏 1) 、志賀 美子 1) 、佐藤 有紀 1) 、長谷川 静香 1) 、原 季実子 1)
梅田 修平 1)、正木 涼子 1)、後藤 和大 1)、鎌田 彩 1)、錦 麗絵 1)、林 裕樹 1)
因田 恭也 2)
【目的および背景】2008 年度より本格的に植込みデバイス業務を開始し、約 2 年が経
過した。業務内容は、植込み立会いから外来クリニックに至るフォローアップを行って
いる。2008 年度より施行された業者の立会い規制に伴い、2009 年度から殆どの立会
いをなくしている。その中で、臨床工学技士のみの植込み立会いおよびフォローアッ
プにて、業者立会いでは起きなかったインシデントも多く見られた。今回 2008 年 4 月よ
り発生したデバイス関連のインシデントについて検討し、報告する。
【結果】植込みデバイス関連のインシデント全 23 例を技士による設定ミス、連絡不足に
よるもの、その他に分類すると、設定ミスによるものが 14 例(植込み・交換時 7 例、フォ
ローアップ時 7 例)、連絡不足 8 例、その他が 1 例であった。設定ミスによるものは、技
士による知識・確認不足がほとんどであった。フォローアップ時のインシデントは、手帳
やトレンドデータの確認不足により、時系列的にデータを確認できていないことによるリ
ード不全の見逃しがあった。連絡不足によるインシデントは、単純な連絡不足であるも
のと、デバイスに関わりの少ないメディカルなどの植込みデバイスに対する知識・認識
不足のために連絡されなかったものがある。
【考察】設定ミスによるものは、技士による知識・確認不足がほとんどで、知識の向上を
図るだけでなく、チェックや植込みの際には、データの複数人による確認、チェックリス
トでの確認が必要であると思われる。また、チェック時のトレンドデータの確認はもちろ
んであるが、現在データ管理を行っているファイルメーカによりチェックすることで、時
系列的な確認も可能となってきており、インシデントの予防となると考えられた。デバイ
スの植込まれた患者に、電気メス等を用いる手術や CT などの検査をする際は、ME へ
連絡をもらうことを各科に周知し、電子カルテにはデバイスの情報がわかるように重要
項目欄に一行で記載するようにしてからは、インシデントは減少したと思われる。
【まとめ】これまでは、各々がメーカからの資料や勉強会にて得られた知識を用いて植
込みにあたっていたが、先述したインシデントが発生していることから、すべてのスタッ
フが安全に業務を遂行できるような、最低限のチェックリストが必要であると考える。外
来などでは、限られた時間でのチェックであり、トレンドや測定データからすみやかに
判断をしなければならない難しさがある。すべての症例に対応することは難しいが、イ
ンシデントやインシデント症例を検討し、対応を考えていきたい。
41
⑨ MVP 機能により DDD 変更後センシング不全を来した 1 例
岡崎市民病院 臨床工学室
○宇井 雄一、山本 英樹、木下 昌樹、山口 正輝、豊田 美穂、峰澤 里志
神谷 祐介、浅井 志帆子、馬場 由理、田中 佑佳、丸山 仁実、西村 良恵
西分 和也
【はじめに】MVP 機能は洞不全症候群患者において心房細動誘発や長期的な予後の
観点から AAI(R)モードと DDD(R)を自動的に選択し,できるだけ心室ペーシングを回
避する機能である.今回 DDD 変更後T波のオーバーセンスによりセンシング不全を来
した 1 例を報告する.
【症例・経過】80 歳代女性.2008 年 3 月洞不全症候群に対しメドトロニック社製
EnRythm(DDD)植込み術施行.左鎖骨下静脈より心房,心室にメドトロニック社製
Model 5076 ・ 45cm , Model5076 ・ 58cm リ ー ド を 留 置 , ペ ー ス メ ー カ の 設 定 は
DDDR+AAIR,LR70,UR120,Paced AV interval 180ms,Sensed AV interval 150ms,
心房センス感度 0.3mV,心室センス感度 0.9mV とした.2010 年 1 月失神による転倒,
めまい,倦怠感を認めたためホルター心電図を施行したところ発作性心房細動後に
HR の異常を認めペースメーカチェックをしたところ P 波高値 R 波高値に異常を認めな
かった. EVENT 記録では心房頻拍終了後 1 分間 DDD 変更時に心室ペーシングを
しており,心内心電図ではペーシング後 T 波のオーバーセンスを認めた.これにより
HR が LR 以下になったと考えられたため AV interval を延長し心室センス感度を鈍く
変更した.
【考察】EnRythm の MVP 機能によるモード変更時のセンシング感度は,ペーシング時
では鋭くなるため T 波のオーバーセンスが起きたと考えられる.
【まとめ】今回 EnRythm のモード変更に伴うセンシング値設定のアルゴリズムによるセ
ンシング不全を経験した.ペースメーカチェックを行う上においてペースメーカの機能
特性を熟知することが必要だと思われた.
42
⑩ Block PAC により設定レートを下回った 1 症例
聖隷浜松病院 臨床工学室
○広瀬 徳勝、神谷 典男、増井 浩史、村松 明日香、田中 良樹
岩田 真智子、北本 憲永
【はじめに】洞不全症候群(SSS)患者において、不要な右心室(RV)ペーシングを減ら
すため、自己房室伝導優先機能を使用した設定をするのが一般的となっている。しか
し、それ特有の動作によって患者に不利益を生じさせる可能性も少なくない。今回、
Block PAC により設定レートを下回る症例を経験したので報告する。
【症例】37 才女性。1988 年大動脈閉鎖不全に対し大動脈弁置換術施行。2010 年1月
人工弁の圧格差増大のため大動脈弁再置換術施行。術後に SSS, 発作性心房細動
(p-af)あり、Pause 頻発のため PM 植え込み術が施行されたが、植込み 1 病日後に心
房リードが脱落し、心房リード再留置術施行した。機種は SORIN 社製 Reply DR、モー
ドは Safe-R・レート 60-130ppm に設定した。また p-af の予防としてオーバードライブを
設定した。再留置 1 病日後に脈が 40bpm 台になると連絡があり、緊急でペースメーカ
ーチェックを施行した。
【結果】今回の症例に対する Safe-R の動作を詳細に解析したところ、AAI 動作時の心
房不応期を脱した頻発する Block PAC が原因となり 40bpm の脈が頻発したことが確認
されたが、その心内心電図にペースメーカーの不応期とマーカー表示の不一致あり動
作の解析に大変苦慮した。また PAC の予防として設定していたオーバードライブがこ
れにより作動しなかったと考えられた。
【考察】今症例より、多発する PAC 患者に対してのモード選択の基準を設け、また動作
解析のため、独特の不応期とマーカー表示を理解する必要性があると感じた。
【結語】今後も多くの症例を糧に、知識の向上と共有を図り、質の高いフォローアップを
患者様に提供できるよう努めていきたい。
43
⑪ テレメトリー検査とホルター心電図における
自己心拍優先機能の評価が解離した 2 例
倉敷中央病院 臨床検査科 1)、同 CE サービス室 2)、同 循環器内科 3)
○木山 綾子 1)、高橋 勝行 1)、小室 拓也 1)、福島 基弘 1)、平井 雪江 2)
三宅 弘之 2)、朝原 康介 2)、藤井 理樹 3)、田坂 浩嗣 3)、岡本 陽地 3)
光藤 和明 3)
【はじめに】近年、長期にわたる右室ペーシングが心機能を悪化させることが知られて
いる。そのため、ペースメーカー(PM)には自己心拍を優先させ、不必要な右室ペーシ
ングを減少させる機能が搭載されている。当院では洞不全症候群だけでなく、間欠性
の房室ブロックの症例にも自己心拍優先機能を設定することがある。
【症例 1】71 歳女性。労作時呼吸困難を主訴とし呼吸器内科より紹介となった。間欠性
の房室ブロックにて Medtronic 社製(ADAPTA) PM 植え込み。植え込み時にも
Rate70bpm の 1:1 伝導を認めたため、設定を MVP:Managed Ventricular Pacing( AAI
<>DDD Lower Rate50 Upper Rate130 AV180/150)とした。植込み後のテレメトリ
ー検査では、心室ペーシング(Vp)率 17.2%で MVP が有効であるように思えたが、ホル
ター心電図にて数ヶ所で一時的に房室ブロックを認めた。HR45-50bpm の補充収縮
が出現し、最長約 26 秒間房室ブロックが持続していた。これは、Lower Rate と拮抗し
た補充収縮の出現により、房室伝導があると誤認識されたためであると考えられた。房
室伝導が認められるときの AV 時間は約 250ms であったため、房室ブロックの持続を
防ぐ目的で Search AV 180/150+120 に設定変更した。1 ヶ月後の外来での Vp 率は
87%であった。
【症例 2】78 歳女性。間欠性の高度房室ブロックにより SORIN 社製(replyDR)PM 植え
込み。植え込み時も間欠性の房室ブロックであったため、設定を SafeR(AAI<>DDD
Lower Rate60 Upper Rate130 AV185/155ms)とした。
植え込み後のテレメトリー検査では Vp 率 99%と SafeR は無効であるように思えた。ま
たホルター心電図での Vp 率も 99%で、テレメトリー検査との差はなかったが、Vp の内
70%は fusion 波形であった。設定された AV 時間と自己の AV 時間が拮抗していたた
めと考え、自己心拍を優先する目的で SafeR のまま AV delay を 235/205 に延長した。
1 ヶ月後の外来での Vp 率は 22%であった。
【結語】
テレメトリー検査とホルター心電図における自己心拍優先機能の評価が解離した 2 例
を経験した。今回の 2 例は、テレメトリー検査のみでは適した設定への変更は困難な
症例であったと考えられる。ホルター心電図等他の検査結果も考慮しながら各個人に
適した設定を検討していく必要がある。
44
⑫ 心電図上、見極めの困難な under sensing と under sensing 様波形
大阪警察病院 臨床検査科
○西 純子、向畑 雅彦、小林 博、田中 詳子、白樫 勝亮、水谷 哲
【はじめに】現在、当院では植え込み Device に対する外来を週 3 日、午後半日を用い
実施している。1 回の外来につき約 30 人、年間延べ 4000 人の患者テレメトリーを技師
のみで行っており、Device 外来の全患者においてテレメトリー直前の 12 誘導心電図
検査を実施している。今回我々はテレメトリー直前の 12 誘導心電図で明らかなペース
メーカーの異常作動所見を認めたが、テレメトリー結果は正常作動であったものと再調
整の必要があったものを提示し、12 誘導心電図のみでは見極めが困難である症例を
報告する。
【症例】症例 1:96 歳、女性、Ⅲ度 AV block にてペースメーカーを植え込んだ患者。
Mode:VDD(Medtronic)、LR:50、PVARP:Auto、Sensitivity:0.18mV(A)2.80mV(V)
Amplitude:2.000V、PulseWidth:0.34ms、SAV:120ms
症例 2:84 歳、女性、Ⅲ度 AV block にてペースメーカーを植え込んだ患者。
Mode:DDD(Medtronic)、LR:60、PVARP:Auto、Sensitivity:0.35mV(A)2.00mV(V)
Amplitude:2.250V(A)2.500V(V)
、
PulseWidth:0.40ms(A)0.40ms(V)
、
SAV/PAV:120/150ms
症例 3:67 歳、男性、Ⅲ度 AV block にてペースメーカーを植え込んだ患者。
Mode:VDD(Medtronic)、LR:50、PVARP:Auto、Sensitivity:0.35mV(A)2.80mV(V)
Amplitude:2.000V、PulseWidth:0.34ms、SAV:180ms
【結果】症例 1(図 1)に関しては明らかな A under sensing であり、テレメトリーチェックで
sensing 閾値測定後、Sensitivity 再調整が行われた。
症例 2(図 2)に関しては心電図上 A under sensing に見えたが、テレメトリーチェック時
に Auto PVARP による正常動作であることが確認され、設定変更はされなかった。
症例 3 (図 3)に関しては心電図上 A under sensing に見えたが、テレメトリーチェック時
に PMT intervention による正常動作であることが確認され、設定変更はされなかった。
【考察】ペースメーカーはペーシングモードや設定が自動で変動するなど、実に様々
な機能を持っている。そのため心電図だけではペースメーカー動作が正常か否か判
断に難渋することも多い。全てを心電図から判断することは確かに困難なこともあるが、
リアルタイムで変化を捉えることのできる 12 誘導心電図でしか分からないこともあり、や
はり 12 誘導心電図は重要であると考える。
【結語】今回の症例を踏まえ、心電図検査に携わる検査技師も常にペースメーカー機
能の知識を習得し、テレメトリーチェックを担当する技師や医師と連携して検査に従事
すべきであると考える。
45
⑬ 心臓手術後の心房頻拍(AT)により 2:1 伝導と思われたが房室ブロックだった一例
独立行政法人 国立病院機構 名古屋医療センター 臨床工学室
○洞 博之、新美 伸治、足立 小百合、竹上 晴規、後藤 考遵、犬飼 和哉
篠田 悟
【はじめに】心臓手術後の患者が AT による 2:1 伝導を EGM 波形で確認したが、一週
間後の再チェックで完全房室ブロックであることが判明した一例を経験したので報告
する。
【症例】74 歳 男性 平成 6 年 MS にて MVR+TAP 施行。Af の既往歴あり。H21 に SSS
にて 9 秒の洞停止出現し 6 月に恒久的ペースメーカ植込み術施行(Zephyr XL
DR5826 Mode DDI Rate 50ppm)。術中は Af のため波高値の良いところで固定(術後
1 週間チェックでは A 閾値 1.0V/0.4ms、P 波高値 1.3-1.5mV)。12 月下旬に心不全
で入院。入院初日に PM チェック施行し、EGM にて約 120bpm の AT 波形と心室への
2:1 伝導を確認した。さらに最長約 13 時間の AT/Af のログが前回のクリニック(約 1 ヶ
月前)から 33 件確認したが、AS-VS 心拍数ヒストグラムの 80bpm 以上は<1%であった。
主治医と相談し AT であれば DDD で無理に同期させずに、そのまま経過観察とした。
一週間後に再度チェック施行すると R-R 間隔は前回とほぼ同じであるが A 波と R 波
が一週間前と若干ずれており、Dr の許可を得て 130ppm の心房ペーシングをしたとこ
ろ AV 伝導を認めず完全房室ブロックであることを確認した。
【結果および考察】入院初日は Af の既往歴もある事から高 Rate で行う心房の閾値チ
ェックを施行しておらず、入院時またはそれ以前から房室ブロックであった可能性があ
り,また今回の入院ではじめて AT を確認したが、Zephyr は AS のみのヒストグラムデー
タが無く、今回のように約 120 bpm の AT Rate で AV のタイミングがほぼ 2:1 のようにな
るとその半分の心拍数がカウントされるため、ヒストグラム 80bpm 以上の AS-VS が<
1%で 60-70bpm が約 20%であるため前回のチェック以前から AT が起きておりさらに
房室ブロックであった可能性も考えられる。
46
⑭ ペースメーカー植込み術後 Check にて Lead Perforation を疑った1症例
医療法人 鹿児島愛心会 大隅鹿屋病院 臨床工学科
○藤竹 俊輔、山口 翔史、前原 寛理、衛藤 俊祐、宮路 真梨子
緒方 篤史、松野 下敏、長元 優、安田 まどか、甲斐 雅規、田淵 友崇
【目的】当院、臨床工学科ではペースメーカー(以下、PM)業務を 2008 年 4 月より開始
した。現段階における PM 業務は手術立会い、プログラマー設定(入院・外来)、デー
タ 管 理 な ど を 行 な っ て い る 。 今 回 我 々 は 、 PM 植 込 み 術 後 Check に て Lead
Perforation を疑った 1 症例を経験したので報告する。
【症例・経過】症例は 76 歳女性、3 度 AV ブロックの患者に対し SJM 社製 Identity DR
を植え込んだ。心室リード(SJM 社製 TENDRIL52cm)を中位中隔に、心房リード(SJM
社製 ISOFLEX46cm)を右心耳にそれぞれ留置した。手術終了時、プログラマー(SJM
社製 Merlin)にて PM Check を行なったところ、心房リードに問題点はなかったが心室
リードの Pacing 閾値が 1.75V 0.4ms(Bi)と高値を示した。 また自己脈が確認できず
R-Wave は測定できなかった。Impedance は 698Ω(Bi)と問題なかった。 手術室退室
時 の PM 設 定 は DDD 60/110ppm Output : 心 房 3.5V 0.4ms ( Bi ) 心 室 3.5V
0.4ms(Bi) Sensitivity:心房 0.5mV(Bi) 心室 2.0mV(Bi)とした。術後 5 日目、心室
Pacing failure が認められたため、PM Check を行ったところ、心室リードの Pacing 閾値
が 3.25V-3.75V (Bi)であり、閾値上昇が顕著であった。心室 Output を 5.0V に設定
変更し Pacing 閾値精査のため、Pulse 極性を Bipolar から Unipolar に変更したが Pulse
極性を変更したと同時に、Pacing failure による Asystole となったため、Emergency VVI
(Output:7.5V Uni)で緊急回避した。その後、複数回の UCG により心嚢液の暫時増加
が確認され Lead Perforation と認められた。心室リード留置部は右心室自由壁が疑わ
れたため右心室心尖部に再留置し Pacing 閾値が低下した。入院期間 39 日間を経て、
軽快退院した。
【考察】業者立会い規制により、各病院の臨床工学技士やその他の有資格者が PM 業
務に携わるケースが増加するなかで、様々のトラブルが予想されるため設定の変更に
は充分注意しなければならない。今回のケースは閾値上昇の様々な要因を把握して
慎重な設定変更を行なうべきだった。また、Emergency VVI 作動への切り替えは、緊
急ボタンで即対応が可能であったが、電池消耗著しい場合、その機能も運用出来な
いため電池状態を把握する必要がある。この経験で PM 業務の重要性と危険性を再
確認した。また、不整脈部門で活躍できる技士を 1 人でも多くするために、その魅力も
伝えていかなければならないと考える。
47
⑮ 肺胸郭インピーダンス法(Optivol)が
心不全モニタリングとして有効性を示した2 症例
大垣市民病院 臨床工学技術科 1)、大垣市民病院 循環器科 2)
○辻 善範 1 、小山 富生 1)、山田 哲也 1)、高木 理守 1)、高谷 佳朱衣 1)
江口 顕三 1)、山脇 大輝 1)、森川 宏 1)、三木 里華 1)、曽根 孝仁 2)
森島 逸郎 2)
【症例 1 :女性,65 歳】2006 年 8 月に慢性心房細動,DCM,CHF にて C-RTD 植え込み。
以降外来通院にて follow、NYHAⅡ程度で推移していた。2009 年 6 月ジェネレーター
交換(Consulta) 実施。2010 年 1 月初旬より背部痛出現。その後下肢、顔面浮腫がみ
られるように なり、同年 2 月 1 日 CHF 悪化にて入院。入院時所見:BNP 283.0,体重
60kg,LVEF 48%,IVC 径 16mm であった。入院後、hANP 0.025γ投与にて尿量
2000mL/ 日 以 上 を キ ー プ 、 体 重 55kg ま で 低 下 し た 。 そ の 他 の デ ー タ も BNP
112.0,LVEF 53%,IVC 径 12mm と改善し、同年 2 月 16 日退院となった。Optivol fluid
index(Ofi)の推移は心不全症状の推移と近似しており、2010 年 1 月初旬頃より Ofi 上
昇開始、自覚症状が改善された同年 2 月中旬に index trend がリセットされていた。
【症例 2 :男性,79 歳】DM,CRF,OMI,VT 既往の患者。2002 年 11 月に ICD 植え込み。
CHF 増悪により入退院を繰り返し、2006 年 8 月 C-RTD に grade up。2008 年 10 月
VT Electrical storm 出現、2008 年 12 月 VT ablation 実施。以降、VT イベントは無い
ものの CHF 入院を繰り返している。2009 年 10 月ジェネレーター交換(Consulta)実施。
2010 年 1 月中旬より、息切れ、尿量低下を自覚し、同年 1 月 14 日 CHF 悪化にて入
院。入院時所見:BNP 977.9,Cre 3.06,LVEF 18%,IVC 径 13mm,CTR 72.5%,両側に胸
水を認めた。入院中、カテコラミン投与で軽快するも、投与量を減らすと心不全兆候が
みられることがあった。その後、BNP 448.9 と改善傾向。エコー所見では LVEF
17%,IVC 径 12mm と変化は無かったものの症状軽快したため同年 3 月 26 日退院とな
った。Ofi の推移は、入院時とカテコラミン投与量減少時に上昇を認め、症状軽快時は
リセットされていた。
【まとめ】
心不全症状を呈した C-RTD 患者で、Optivol が心不全モニタリングとして有効性を示
した症例を経験したため報告する。
48
⑯ 日差・日内R波形および波高値変動を繰り返す Brugada 症候群の一例
京都桂病院臨床工学科 1)、京都桂病院心臓血管センター2)
○井野
永島
西野
大場
裕也 1)、吉田 篤 1)、藤田 吏恵 1)、渡邊 佳代子 1)、大林 明日香 1)
史人 1)、柏原 謙 1)、加納 和哉 1)、山本 法生 1)、舘 智子 1)
佳央里 1)、山本 裕貴 1)、廣川 亮 1)、川田 浩史 1)、岡田 忠久 1)
久雄 1)、円城寺由久 2)、溝渕 正寛 2)、吉井 康欣 2)、常深 孝太郎 2)
森田 雅文 2)、江島 恵美子 2)、柴田 兼作 2)、舩津 篤史 2)、小林 智子 2)
中村 茂 2)
【症例】43 歳男性、既往歴や家族歴は特記することなし。会社の定期検診心電図検査
で Brugada 波形(Ⅰ型)を指摘され当院に紹介される。当院での心臓電気生理学的検
査で再現性を持って心室細動が誘発されたことより、Brugada 症候群と診断され植込
み型除細動器(ICD)植え込みの方針となった。植え込み翌日に ICD による R 波高値検
出が急激に悪くなり、ノイズをオーバーセンスすることにより VF 検出心拍数に達して充
電が開始されるが、数秒後に検出が解除されるイベントが起こった。植え込み 2 日後
に再度テストを行うと R 波高値検出は改善していたが、心室リードで感知される心内電
位は植え込み時と明らかに違っていた。また、12 誘導心電図では ICD 植え込み直後、
翌日、5 日後で明らかな波形の変化があり、特に胸部誘導 V1~V3 において著明であ
った。植え込み 16 日後に行ったフォローアップ外来時の R 波高値は極めて低値であ
ったが、ノイズの検出はなく、頻拍エピソードの検出もなかったので Home Monitoring
によってデバイス管理を行うこととなった。Home Monitoring デバイス管理を行っている
中で、時折『最小値 R 波高 2.0mV 以下』である注意勧告メッセージが電子メールと Fax
により報告されていたが、その測定を行った前後の平均値や定期外来で測定した値
が 5.0mV 前後であったことから引き続き経過観察を行っていた。2010 年 3 月 13 日就
寝中にショックの衝撃により目覚められ、当院の循環器外来に緊急受診。原因は T 波
の オ ー バ ー セ ン ス に よ る 不 適 切 作 動 で あ っ た 。 こ の と き 行 っ た 対 策 は 、 Upper
Threshold の開始をセンシング基準値の 50%→75%に、High Pass 1 フィルターを
10Hz→20Hz に、頻拍検出数を 8/12→16/20 と変更し、除細動試験でもアンダーセン
スが無かったので、センシングリード追加術などの侵襲的処置は行わず設定変更のみ
とした。現在も経過観察中である。
【結語】Brugada 症候群において R 波の日差・日内変動を繰り返し、ICD がノイズや T
波をオーバーセンスすることにより VF 検出心拍数に達して不適切作動を起こす症例
を経験した。現在の ICD はセンシングトラブル解決のためにより詳細な設定の変更が
可能であるが、誤認識による不適切作動は未だ完全には回避出来ず、更なる補助療
法とフォローアップ時の詳細な設定が必須である。
49
⑰ 植え込み時、High DFT が判明した 2 症例の経験
独立行政法人 国立循環器病研究センター 臨床工学部
○小川 浩司、西垣 孝行、四井田 英樹、高橋 裕三、吉田 幸太郎
西岡 宏、峠崎 純一、松本 泰史、染川 将太、藤井 順也、林 輝行
【はじめに】ICD 植え込み時には、ICD の本来の役割でもある致死性不整脈を誘発し
停止する事ができるか、同時に除細動閾値(Defibrillation Threshold ;DFT)に対して
十分な安全域が確保されているのかを確認する必要がある。DFT Test の際に、10J 以
上の安全域を確保できない High DFT 症例も散見される。現在の ICD は High DFT 症
例にも対応するため、極性・ショックベクトル・ショック波形など Device の設定を変更す
ることができる。今回、High DFT 症例に対するプログラミングの工夫や対処について
症例を提示し報告する。
【症例 1】35 歳、男性、他院を受診し ECG で RBBB、V1~V3 で coved 型の ST 上昇が
みられ Brugada 症候群が疑われ当院紹介となった。EPS で Vf が誘発され、若年での
突然死家族歴もあり ICD 植え込み術施行となった。若年であったため、Lead は
BIOTRONIK 社製の Linox S (Single Coil)を選択し 、Device は BIOTRONIK 社製
Lumax 540 VR-T を使用した。DFT Test 施行時に Device 最大出力 40J でも Vf が停
止せず体外式除細動器で停止した。極性変更・波形変更も試みたが 10J の安全域を
確保できず Lead を BIOTRONIK 社製 Linox SD(Dual Coil )へ変更した。変更後、28J
で Vf の停止を確認することができた。
【症例 2】52 歳、男性、運動中に突然倒れ CPR 開始、AED で除細動施行後に心拍再
開。搬送時に Vf となり緊急カテーテル施行されたが冠動脈に有意狭窄はなかったが
EF が 15%であり、ICD 植込み目的で当院紹介となった。Lead は BIOTRONIK 社製
Linox SD、Device は BIOTRONIK 社製 Lumax 540 VR-T を使用した。DFT Test 施
行時に Device の最大出力から 10J の安全域を確保できなかったため、極性変更・波
形変更など試みたが安全域を得ることはできず、Lead の再留置を行う方針となった。
Lead 位置変更後は、28J で Vf の停止を確認することができた。
【結論】今回、植え込み時に DFT Test を施行する事で High DFT 症例に対して設定
変更や Lead 変更などにより対応することができ、改めて植え込み時の DFT Test の重
要性を再考させられる症例を経験した。
50
⑱ LIA 機能により ICD リード(フィデリス)のリード断線を早期発見できた一例
青梅市立総合病院臨床工学科 1)、胸部外科・臨床工学科 2)、循環器内科 3)
○高橋 美恵 1)、須永 健一 1)、關 智大 1)、平野 智裕 1)、峠坂 龍範 1)
田倉 明子 1)、佐藤 浩 1)、葛西 浩美 1)、大島 永久 2)、大友 建一郎 3)
【はじめに】Lead Integrity Alerts(以下 LIA と略す)とは、メドトロニック社製のデバイス
に新しく搭載された、リードに関するモニタリングを強化した安全機能である。今回当
院では、LIA により ICD リード(フィデリス)のリード断線を早期発見できた症例を経験し
たので報告する。
【症例】HCM、VF 蘇生後で ICD 植込みとなった 20 歳の男性。2007 年 3 月メドトロニッ
ク社製 Marquis(DR7274)植込み。2007 年 10 月フィデリス自主回収の説明。2009 年 7
月 LIA インストール。今回 2009 年 11 月、アラートが頻回に鳴ったために、当院救急外
来受診となった。
【経過】来院時、RV リードのリードインピーダンス高値(2112Ω)を示すアラートと、セン
シングインテグリティカウンタ(以下 SIC と略す)375 が確認された。ノイズによるオーバー
センシングの EGM も記録されていたが、不適切作動によるショックには至っていなか
った。また、来院時のマニュアル測定では、リードインピーダンス 912Ω、センシング
16mV と、若干のリードインピーダンスの上昇は認められたが、正常範囲内であった。
【考察】今回の症例は、リードインピーダンスが 2112Ωという高値を示したため、通常の
アラートでも翌日には発見できたと考えられる。しかし先に LIA 基準を満たしていたた
め、頻回にアラートが鳴り早期受診につながったこと、LIA 基準により検出までの時間
が延びていたことは、不適切作動の回避につながったと考えられる。また、来院時の
データが正常であっても、LIA により EGM が残っていることは、確定診断に有用であっ
た。
51
⑲ 植込み device に内蔵された EPS 機能の有効性について
大阪府立急性期・総合医療センター 臨床工学技士室 1)、同 心臓内科 2)
○木田 博太 1)、中村 年宏 1)、上野山 充 1)、平松 美代子 1)、奥山 裕司
山田 貴久 2)、福並 正剛 2)
2)
【目的】ペースメーカや ICD・CRT-D などの植込み device には、心房・心室プログラム
刺激機能やバースト刺激機能(以下 EPS 機能)が内蔵されている。こうした機能を用い
る こ と で 、 不 整 脈 の 停 止 や 誘 発 、 有 効 不 応 期 や 洞 房 伝 導 時 間 ( 以 下 SACT) 、
Wenckebach rate などの計測が可能となっている。こうした EPS 機能の有効性について
症例を通して検討した。
【方法】当センターに外来通院中のペースメーカ・ICD・CRT-D が植え込まれている患
者を対象とした。2009 年 1 月から 12 月に、device 内臓の EPS 機能を使用した症例に
ついて、使用目的とその効果について調査した。
【結果】Device 内蔵の EPS 機能を使用した症例は 14 例であった(植込み時は除く)。バ
ースト刺激による頻脈性不整脈の停止を目的とした症例が 6 例(心房粗動:3 例、心室
頻拍:3 例)であり、1 例を除いて停止可能であった。また頻脈性不整脈の誘発を目的と
した症例は 2 例であった。房室伝導能の評価を目的とした症例は 3 例であり、
Wenckebach rate が房室ブロック進行の指標となった。抗不整脈剤やβブロッカーの
薬効評価を目的とした症例は 3 例であり、SACT や Wenckebach rate によって薬効を
推定した。
【結語】植込み device に内蔵された EPS 機能は、不整脈の誘発・停止だけでなく、房
室伝導能の評価や薬効の評価においても有効性が示唆された。
52
⑳ ICD、CRT-D の作動に関する検討
愛知県立循環器呼吸器病センター 臨床工学科 1)、同 循環器内科 2)
○大坪 克浩 1)、新田 功児 1)、脇田 亜由美 1)、長瀬 弘行 1)、玉村 英昭
浅井 徹 2)、石黒 久昌 2)
1)
【目的】当施設では現在 5 社の ICD、CRT-D の植込みおよびフォローアップを行って
いる。各社、機能の多様化に加えアルゴリズムも複雑化しているため解析に難渋する
症例も少なくない。ICD、CRT-D における当施設でのフォローアップ間隔の 1 クールで
ある 4 ヶ月間での作動状況を検討する。
【対象】2009 年 12 月 1 日から 2010 年 3 月 31 日までに ICD、CRT-D の予定および緊
急フォローアップを施行した 107 例(ICD 73 例、CRT-D 34 例)のうち作動が確認され
た症例。
【方法】作動記録より適切・不適切を判別し、作動の原因、対処方法を検討した。
【結果】全作動件数は 12 例(11.2%)であり、内訳は適切作動 10 例(9.3%:ICD 8 例、
CRT-D 2 例)不適切作動 2 例(1.9%:ICD 2 例)であった。
適切作動 11 例は、全て心室頻拍(VT)に対するものであった。不適切作動 2 例は、洞
性頻脈と心房粗動の各 1 例であった。洞性頻脈例では、上室性頻拍との識別機能が
設定されていない心室細動(VF)ゾーンでの検出となり、最大エネルギーでの除細動
治療が施行された。対処として、上室性頻拍との識別機能が有効となる VT ゾーンを追
加し、今回検出された洞性頻脈がこのゾーン内で検出されるように設定を変更した。
心房粗動例では、心室センス後のブランキング内に粗動波が重なったため上室性頻
拍との識別機能が有効に働かず、VT と誤認識し ATP 治療が施行された。対処として、
心室センシング後のブランキングを OFF とし、全ての粗動波をセンシングできるように
設定を変更した。
【考察】不適切作動 2 例は、いずれも調律は上室性であったため、上室性頻拍との識
別機能が有効となるように設定する必要があった。設定によっては心室性の不整脈を
検出できない恐れがあるため、十分検討したうえで設定する必要がある。また各社で
設定可能な項目や特性が異なるため機能を把握することが重要であると思われる。適
切作動に対しても、設定の調整が必要となる場合があるため、全てのエピソードにお
いて解析を綿密に行う必要があると思われる。
53
各社メーカーによる展示および製品説明等のご案内
第 10 回ペースメーカーフォローアップ研究会参加受付をされた方が対象となります。
回ペースメーカーフォローアップ研究会参加受付をされた方が対象となります。
会場 : 第 3 会場 901 号室(9
号室(9 階)
10:30~
~15:00
時間 : 10:30
展示企業 : BIOTRONIK
Boston Scientific
Medtronic
ST.JUDE MEDICAL
日本ライフライン
日本光電
フクダ電子
※ABC および五十音順
メーカーブース配置図
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世話人・監査一覧
代表世話人
高垣 勝
(代表世話人:滋賀県立成人病センター 臨床工学部)
世話人
【北海道】
古川 博一
(手稲渓仁会病院 臨床工学部)
【神奈川】
中川 孝太郎 (横浜栄共済病院 ME 科)
【長野】
熊谷 英明
【滋賀】
寺村 聡
(昭和伊南総合病院 総務課施設係)
(草津総合病院 臨床工学科)
森井 淳夫
【京都】
関本 崇
山田 宣幸
(滋賀県立成人病センター 臨床工学部)
(医仁会武田総合病院 臨床工学科)
(三菱京都病院 臨床生理検査科)
【大阪】
小林 博
今村 博明
前川 正樹
(大阪警察病院 臨床検査科)
(KKR 枚方公済病院 臨床工学科)
(桜橋渡辺病院 ME 科)
【兵庫】
児玉 哲也
(西神戸医療センター 臨床工学室)
【山口】
野村 知由樹 (医誠会都志見病院 臨床工学部)
監査
泉田 洋志 (京都保健衛生専門学校 臨床工学技士専攻科)
※ 都道府県および病院名五十音順(平成 22 年 6 月現在)
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ペースメーカーフォローアップ研究会の歩み
ペースメーカーフォローアップ研究会の歩み
研究会開催記録
回数
開催年月日
当番世話人
所属
第 1 回 平成 13 年 4 月 21 日
高垣 勝
医仁会武田総合病院
第 2 回 平成 14 年 4 月 13 日
山田 宣幸
三菱京都病院
第 3 回 平成 15 年 4 月 12 日
森井 淳夫
第二岡本総合病院
第 4 回 平成 16 年 4 月 24 日
小林 博
大阪警察病院
第 5 回 平成 17 年 7 月 2 日
寺村 聡
第二岡本総合病院
第 6 回 平成 18 年 7 月 1 日
今村 博明
KKR 枚方公済病院
第 7 回 平成 19 年 4 月 30 日
前川 正樹
桜橋渡辺病院
第 8 回 平成 20 年 6 月 14 日
森井 淳夫
滋賀県立成人病センター
第 9 回 平成 21 年 6 月 27 日
寺村 聡
草津総合病院
第 10 回 平成 22 年 7 月 10 日
山田 宣幸
三菱京都病院
その他 開催記録
・第 16 回近畿臨床工学会 ペースメーカーフォローアップ研究会セミナー
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ホームページ・メーリングリストのご案内
当研究会では、昨年度 5 月よりホームページ(HP)の運用を開始いたしました。これ
により、当研究会の情報、第 10 回 PMF 研究会の案内、不整脈関連 HP への LINK 等
を随時ネット上でご案内させていただいております。また、当研究会ではメーリングリス
トも立ち上げております。その参加方法等についても、HP より案内させていただいて
おります。是非、ご利用下さい。
アドレス
http://pmfu.sakura.ne.jp/
*検索する場合は、「ペースメーカーフォローアップ研究会」にてお願い
します。「ペースメーカフォローアップ研究会」の場合、検索に引っ掛から
ない場合があります。
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謝辞
第 10 回ペースメーカーフォローアップ研究会の開催にあたり下記の皆様よりご支援、
ご協賛頂きました。ここに深甚なる感謝の意を表します。
第 10 回ペースメーカーフォローアップ研究会
当番世話人 山田 宣幸
【後援】
日本臨床工学技士会
愛知県臨床工学技士会
【ブース展示企業】
BIOTRONIK
Boston Scientific
Medtronic
ST.JUDE MEDICAL
日本ライフライン
日本光電
フクダ電子
【ランチョンセミナー共催企業】
日本ライフライン
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【広告掲載企業】
BIOTRONIK
Boston Scientific
Medtronic
ST.JUDE MEDICAL
日本ライフライン
京都医療設計
京都医療用酸素
三笑堂
ダテメディカルサービス
帝人在宅医療
日本光電
フクダ電子
フクダライフテック
メッツ
【協賛企業】
JCT
エムシー
増田器械
メッツ
メディテイク
メドケア
※ABC および五十音順
※平成 22 年 6 月 8 日現在
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事務局案内
〒601-1495 京都府京都市伏見区石田森南町 28-1
医仁会武田総合病院 臨床工学科 ME センター内
TEL/FAX
075-572-6359(ME センター直通)
E-mail
[email protected]
URL
http://pmfu.sakura.ne.jp/
事務局担当 関本 崇
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