第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会 プログラム・抄録集

第8回
日本カプセル内視鏡学会学術集会
プログラム・抄録集
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
会 長
春間 賢
川崎医科大学 消化管内科学 教授
テーマ
実地医療におけるカプセル内視鏡
̶ 皆で学ぼう正しい適応、正確な診断 ̶
会 期
2015 年 2 月 14 日 土
∼ 15 日 日
会 場
京王プラザホテル
〒160-8330 東京都新宿区西新宿 2-2-1
GI WeeK 2 月13日 金 -15日 日
第 11 回日本消化管学会総会学術集会 13 日(金)
∼14 日(土)
第 8 回日本カプセル内視鏡学会学術集会 14 日(土)
∼15 日(日)
第 47 回胃病態機能研究会 14 日(土)
∼15 日(日)
一般社団法人
日本カプセル内視鏡学会
The Japanese Association for Capsule Endoscopy
第8回
日本カプセル内視鏡学会学術集会
プログラム・抄録集
目 次
会 長 挨 拶 春間 賢(川崎医科大学
消化管内科学) …………………………………………
2
理事長挨拶 寺野 彰(学校法人獨協学園) ………………………………………………… 3
日程表……………………………………………………………………………………… 4
プログラム一覧…………………………………………………………………………… 6
交通・会場のご案内……………………………………………………………………… 15
学術集会参加の皆様へ〈お知らせとお願い〉………………………………………… 16
招待講演 Is training in capsule endoscopy necessary? …………………… 19
シンポジウム1 大腸カプセル内視鏡の使用経験と工夫 …………………………… 23
シンポジウム2 カプセル内視鏡画像の読影支援と読影精度の向上 ……………… 33
ワークショップ 小腸カプセルの新たな応用………………………………………… 43
ミニワークショップ 大腸カプセル内視鏡…………………………………………… 57
精選演題…………………………………………………………………………………… 67
一般演題① 臨床検討・その他………………………………………………………… 75
一般演題② 大腸カプセル内視鏡……………………………………………………… 81
一般演題③ 症例 腫瘍………………………………………………………………… 87
一般演題④ 症例 原因不明消化管出血(OGIB)…………………………………… 93
一般演題⑤ 症例 その他……………………………………………………………… 99
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
1
ご挨拶
会長挨拶
ご 挨 拶
川崎医科大学 消化管内科学 教授
春間 賢
この度、第8回日本カプセル内視鏡学会学術集会を主催させて頂きます川崎医科大学
消化管内科学の春間 賢です。カプセル内視鏡検査は腸病変の診断を目的として行われ
て来ましたが、2013年には大腸疾患の診断に保険適用が広がりました。海外では食道疾
患の診断や、消化管の機能診断にもカプセル内視鏡が応用されています。大腸カプセル
内視鏡検査は、繰り返す腹部手術による内臓臓器の癒着のため大腸の内視鏡検査が行え
ない症例など、これまで注腸造影検査やCT colonographyなどの検査でしかアプローチ
出来なかった症例には、直接腸管内を観察できるカプセル内視鏡検査は大きな福音であ
ります。一方、小腸カプセル内視鏡検査は、以前は大学病院など大きな組織でしか行え
ない検査でしたが、最近では、クリニックにおける実地診療にも用いられるようになっ
ています。このような状況のもと、本学会のテーマは「実地診療におけるカプセル内視
鏡検査−皆で学ぼう正しい適応、正確な診断」とさせて頂き、多忙な診療の中で、カプ
セル内視鏡検査の正しい適応を学び、また、効率よく、かつ正確な診断を行うには、医
療チームとしてどのように行動していけばよいかを論じて頂きます。主題としては現在
最も問題となっている「アスピリン製剤による胃・小腸・大腸粘膜障害」、いよいよ本
格的にスタートする大腸カプセル内視鏡検査について「大腸カプセル内視鏡の使用経験
と工夫」
、さらにコメディカルの方々を中心とした「カプセル内視鏡画像の読影支援と
読影制度の向上」の三つのテーマで、専門の先生だけでなく、出来るだけ実地診療の
中でカプセル内視鏡検査を行っている先生方や医師とコメディカルの方々にも発表頂
き、カプセル内視鏡検査の意義だけでなく、前処置や読影などの問題点を含めて論じて
頂きます。招待講演はスペインから、写真で拝見いたしますと大変イケメンのIgnacio
Fernandez-Urien Sainz先生をお招きし、大腸カプセル内視鏡検査を含めた、欧米での
カプセル内視鏡検査の現況をお話頂きます。講演にあたっては、できるだけスライドを
日本語訳し、やや英語に弱い方々にも理解頂けるように準備いたします。この度の学会
は、第11回日本消化管学会総会学術集会、第47回胃病態機能研究会と合同で行う第1回
のGI Weekとなり開催いたします。多くの方々に参加頂き、カプセル内視鏡検査の正し
い適応を学ぶとともに診断力を高め、本学会をさらに発展させて頂ければ幸いです。
2
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
ご挨拶
理 事 長挨拶
第8回日本カプセル内視鏡学会
学術集会によせて
学校法人獨協学園 理事長
獨協医科大学 名誉学長
寺野 彰
今回の日本カプセル内視鏡学会(JACE)は、初めてのGI Weekの一環として参加す
ることになった。例年夏に開催されてきた本学会ではあるが、会員の便宜をも考えて、
日本消化管学会などと合流して、冬に開催されることになった。
この変革期の会長としては、消化器系学会のリーダーたる川崎医科大学消化管内科学
の春間 賢教授にお願いすることになった。春間先生門下には、カプセル内視鏡を専門
とする医局員も多く、時代の先端を担っているわけで、会長としてもっとも相応しい陣
容であると思う。
さて、カプセル内視鏡もNature誌に発表されて以来、早くも15年が経過しようとし
ている。小腸の領域では、行政の怠慢によって、世界に出遅れた感があるが、JACEも
研究会を経て、世界で唯一のカプセル領域の学会となった。それだけに、国際的にも注
目され、会員数も1500人を超え、急速に増加してきている。さらに、世界に先駆けて、
我が国で大腸カプセル内視鏡が認可され、健康保険収載となった。適応に関しては大き
な問題点はあるものの、カプセル内視鏡としては大きな一歩である。普及度はまだ高く
はないが、今後急速に広まって行くであろう。そのためにも、多くの問題点を学会とし
て解決していく必要がある。
まずは、前処置である。通常の内視鏡と同じ前処置では、患者としては、どちらを選
択すべきか迷ってしまう。簡便な前処置法の開発が必要である。
次に問題となるのは、結果の読影である。多忙な医師には大変な負担である。読影セン
ターを設立して全国的に集約・結果の読影が出来ることが理想であるが、現状では困難
が伴う。そこで、読影支援技師の登場となるわけであるが、看護師、検査技師をはじめ
として希望者が多く、その資格と前提となる教育セミナーが必須となる。eLearningを
用いた全国的なセミナーが実施されているので、是非参加して欲しい。
今回の学会では、これらの問題点の解決に向けた活発な議論が期待されている。
Controlableで、Biopsyや治療の可能な夢のカプセル内視鏡が期待されるが、それには
一定の時間が必要だろう。しかし夢に向かった積極的な議論が必要である。今回の学会
が、大きなbreakthroughをもたらす学会となる事を祈りつつ、ご盛会を祈る。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
3
日 程 表
2 月14 日(土)
第47回胃病態機能研究会
日程表
本館5F「コンコードA」
第8回日本カプセル内視鏡学会学術集会
第一会場 本館5F「コンコードB」
第二会場 本館5F「コンコードC」
8:30
9:00
9:30
10:00
10:30
11:00
11:30
12:00
第11回日本消化管学会総会学術集会
12:30
13:00
13:30
14:00
14:30
15:00
15:30
※プログラムの詳細はホームページをご覧ください。
http://www.keiso-comm.com/11jga/index.html
16:00
16:30
17:00
17:30
18:00
18:10~19:20 18:30
19:00
第8回日本カプセル内視鏡学会学術集会・第47回
胃病態機能研究会 合同イブニングセミナー
抗血小板療法時の消化管合併症とその対策
~ガイドライン・カプセル内視鏡を含めて~
座長:荒川哲男 演者:樋口和秀
共催:エーザイ株式会社
19:30
19:30~21:00
第8回日本カプセル内視鏡学会学術集会
第47回胃病態機能研究会
合同懇親会
20:00
20:30
21:00
4
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
日 程 表
2 月15 日(日)
第47回胃病態機能研究会
第一会場 本館5F「コンコードB」
第二会場 本館5F「コンコードC」
日程表
本館5F「コンコードA」
第8回日本カプセル内視鏡学会学術集会
8:30
9:00
8:55~9:00 開会の辞
9:00~9:32 一般演題①
8:55~9:00 開会式
9:00~11:00 シンポジウム1
座長:坂田資尚
9:30
10:00
10:30
11:00
11:30
大腸カプセル内視鏡の使用経験と工夫
座長:緒方晴彦、斎藤 豊
基調講演:岡 志郎、角川康夫
特別発言:田尻久雄
9:32~9:56 一般演題②
座長:大仁田賢
9:56~10:20 一般演題③
座長:稲森正彦
10:20~11:59 主題
アスピリン製剤による胃・小腸・大
腸 粘膜障害
11:00~11:50 招待講演
座長:加藤元嗣、松本主之
Is training in capsule endoscopy necessary?
座長:松井敏幸
演者:Ignacio Fernandez-Urien Sainz
協賛:コヴィディエン ジャパン株式会社
12:00
12:30
13:00
12:10~13:00 ランチョンセミナー
新時代のH.pylori 除菌について
座長:春日井邦夫
演者:村上和成
共催:武田薬品工業株式会社
13:10~13:50 アフタヌーンセミナー
13:30
14:00
GERDとBarrett食道の診断・治療の最前線
座長:岩切龍一 演者:河合 隆
共催:大塚製薬株式会社
14:00~14:32 一般演題④
座長:間部克裕
14:30
15:00
15:30
16:00
14:32~15:04 一般演題⑤
座長:谷川徹也
15:04~15:36 一般演題⑥
座長:吉田直矢
15:36~16:08 一般演題⑦
座長:栗林志行
17:00
10:30~10:54 一般演題① 臨床検討・その他
座長:遠藤宏樹、勝木伸一
12:00~12:50 ランチョンセミナー2
13:00~13:50 精選演題
座長:中島 淳、山本博徳
13:00~13:30 一般演題② 大腸カプセル内視鏡
炎症性腸疾患におけるカプセル内視鏡の有用性
座長:垂水研一 演者:江㟢幹宏
共催:田辺三菱製薬株式会社
ここまできた経鼻内視鏡~BLI(Blue LASER Imaging)と経鼻内視鏡~
座長:榊 信葊 演者:川田研郎、
鈴木拓人
共催:富士フイルムメディカル株式会社
座長:中路幸之助、細江直樹
13:30~13:54 一般演題③ 症例 腫瘍
座長:矢野智則、阿部 孝
14:00~14:50 アフタヌーンセミナー
14:00~14:30
上部消化管内視鏡によるピロリ感染胃炎の診断~胃炎の京都分類~ 代議員会
座長:岡田裕之 演者:鎌田智有
共催:アストラゼネカ株式会社、第一三共株式会社
15:00~17:00 ワークショップ
小腸カプセルの新たな応用
座長:大宮直木、藤森俊二
特別発言:後藤秀実
座長:永原章仁
16:32~16:56 一般演題⑨
座長:杉本光繁
16:56~ 閉会の辞
カプセル内視鏡画像の読影支援と読影精度
の向上
座長:河上真紀子、田村君英
基調講演:中村哲也
特別発言:寺野 彰
12:00~12:50 ランチョンセミナー1
16:08~16:32 一般演題⑧
16:30
9:00~10:30 シンポジウム2
17:00~17:10 閉会式
15:00~16:20 ミニワークショップ
大腸カプセル内視鏡
座長:中村正直、斎藤彰一
コメンテーター:樋口和秀
16:20~16:40 一般演題④ 症例 原因不明消化管出血(OGIB)
座長:松本裕子、林田真理
16:40~17:00 一般演題⑤ 症例 その他
座長:藤田 穣、本多啓介
17:30
18:00
18:30
19:00
19:30
20:00
20:30
21:00
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
5
プログラム(第一会場)
本館5F「コンコードB」
8:55~ 9:00
開会式
春間 賢(川崎医科大学
プログラム
(第一会場)
9:00~11:00
シンポジウム1
大腸カプセル内視鏡の使用経験と工夫
座長:緒方
斎藤
基調講演1
消化管内科学)
晴彦(慶應義塾大学医学部 内視鏡センター)
豊(国立がん研究センター中央病院 内視鏡科)
大腸病変検出における大腸カプセル内視鏡の臨床的有用性
−前向き多施設共同オープン試験の結果から−
広島大学 内視鏡診療科 岡
基調講演2
志郎 p24
本邦における大腸カプセル内視鏡のこれまでの取り組みと今後の諸課題
国立がん研究センター中央病院 内視鏡科 角川
康夫 p25
階段の昇降運動と大腸カプセル内視鏡検査における大腸通過時間
S1-1
愛晋会中江病院 内視鏡治療センター 中路
幸之助 p26
当施設におけるカプセル内視鏡検査の工夫と検査時間に与える因子の検討
S1-2
北原内科クリニック 北原
史章 p27
当院における大腸カプセル内視鏡の使用経験について
S1-3
名古屋大学大学院 消化器内科学 佐藤
淳一 p28
潰瘍性大腸炎患者に対する大腸カプセル内視鏡前処置の工夫
(クエン酸モサプリドの効果)
S1-4
慶應義塾大学医学部 内視鏡センター 細江
直樹 p29
Pillcam COLON2と医用テレメーター(=生体情報モニター)との間で
起きる電波干渉の調査結果とその対策
S1-5
医療法人厚生会虹が丘病院 増田
淳一 p30
当院における大腸用カプセル内視鏡の使用経験
S1-6
藤田保健衛生大学 消化管内科 大森
崇史 p31
大腸カプセル内視鏡使用経験に関する国内アンケート調査の結果報告
S1-7
—日本カプセル内視鏡学会保険委員会より
(追加発言)
大阪医科大学 第二内科 樋口 和秀 p32
特別発言
6
東京慈恵会医科大学 内科学講座消化器・肝臓内科/内視鏡科 田尻
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
久雄 11:00~11:50
招待講演
座長:松井
敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器内科)
ジャパン株式会社
協賛:コヴィディエン
Is training in capsule endoscopy necessary?
Department of Gastroenterology, NHC(Navarra, Spain)
Ignacio
プログラム
(第一会場)
12:00~12:50
Fernandez-Urien Sainz p20
ランチョンセミナー1
座長:垂水
研一(川崎医科大学
共催:田辺三菱製薬株式会社
消化管内科学)
炎症性腸疾患におけるカプセル内視鏡の有用性
九州大学病院 消化管内科 江㟢
13:00~13:50
精選演題
座長:中島 山本
SS-1
淳(横浜市立大学
博徳(自治医科大学
肝胆膵消化器病学)
内科学講座消化器内科学部門)
腸溶型アスピリンから緩衝型アスピリンへの変更が有効であった
アスピリン起因性小腸粘膜傷害患者4例の検討
横浜市立大学 肝胆膵消化器病学 酒井
SS-2
英嗣 p68
NSAIDs、PPI併用における小腸への影響とイルソグラジンの効果
大阪医科大学 第二内科 小嶋
SS-3
幹宏 融一 p69
蛋白漏出性胃腸症におけるカプセル内視鏡の位置づけ
埼玉医科大学 総合診療内科 山岡
SS-4
消化管アミロイドーシスにおけるカプセル内視鏡所見の検討
九州大学大学院 病態機能内科学 岡本
SS-5
景子 p72
当施設におけるカプセル内視鏡検査での病変見逃しに関する検討
自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門 宇賀神
SS-7
康治 p71
Patency Capsuleのコーティング膜が停滞した3例
千葉大学医学部附属病院 消化器内科 齊藤
SS-6
稔 p70
ららと p73
地方のクリニックでのカプセル内視鏡の経験と今後
ハッピー胃腸クリニック 豊田
英樹 p74
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
7
14:00~14:50
アフタヌーンセミナー
座長:岡田
裕之(岡山大学
光学医療診療部)
共催:アストラゼネカ株式会社、第一三共株式会社
上部消化管内視鏡によるピロリ感染胃炎の診断〜胃炎の京都分類〜
川崎医科大学 消化管内科学 鎌田
プログラム
(第一会場)
15:00~17:00
ワークショップ
小腸カプセルの新たな応用
座長:大宮
藤森
W-1
智有 直木(藤田保健衛生大学 消化管内科)
俊二(日本医科大学 消化器内科学)
パテンシーカプセル排出率及び、被ばく率は、
投与前のピコスルファート内服により改善されうる
富山大学医学部 第三内科講座 三原
W-2
パテンシーカプセルによる小腸狭窄性病変へのアプローチ
東京女子医科大学 消化器内科 大森
W-3
鉄平 p45
パテンシーカプセルの開通性診断における腹部超音波の有用性
川崎医科大学 消化管内科学 石井
W-4
光太郎 p47
クローン病小腸病変に対するパテンシーカプセル内視鏡の有用性
藤田保健衛生大学 消化管内科 鎌野
W-6
正樹 p49
術後クローン病症例に対するカプセル内視鏡検査の現状
金沢大学附属病院 消化器内科 加賀谷
W-8
俊彰 p48
クローン病患者に対するパテンシーカプセル、カプセル内視鏡の
有用性の検討
三重大学医学部附属病院 光学医療診療部 葛原
W-7
尚史 p50
原因不明消化管出血の診断治療における小腸カプセルおよび
バルーン内視鏡検査の検討
東京慈恵会医科大学附属病院 消化器・肝臓内科 西村
W-9
尚 p51
肝硬変患者における門脈圧亢進症性小腸症の経過と増悪予測因子
広島大学病院 内視鏡診療科 青山
8
学 p46
小児におけるパテンシーカプセルの有用性
久留米大学 内科学講座消化器内科部門 桑木
W-5
弘 p44
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
大輝 p52
W-10
カプセル内視鏡による潰瘍性大腸炎小腸病変の検討
福岡大学筑紫病院 消化器内科 二宮
W-11
風夫 p53
消化管ポリポーシスにおけるカプセル内視鏡検査の有用性の検討
岡山大学病院 消化器内科 杉原
雄策 p54
小腸カプセル内視鏡の遺伝性消化管ポリポーシス症候群の
小腸病変精査における有用性についての検討
W-13
消化管濾胞性リンパ腫患者の診療におけるカプセル内視鏡の現状と今後の展望
−多施設共同研究の結果から−
札幌医科大学 腫瘍・血液内科 大須賀
岡山大学病院 光学医療診療部 川野
名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学 後藤
特別発言
17:00~17:10
崇裕 p55
誠司 p56
秀実 閉会式
春間 賢(川崎医科大学
消化管内科学)
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
9
プログラム
(第一会場)
W-12
プログラム(第二会場)
本館5F「コンコードC」
9:00~10:30
シンポジウム2
カプセル内視鏡画像の読影支援と読影精度の向上
座長:河上
田村
プログラム
(第二会場)
基調講演
真紀子(川崎医科大学附属病院 内視鏡・超音波センター)
君英(平塚胃腸病院 検査部)
医行為とカプセル内視鏡における読影支援・読影精度向上について
獨協医科大学 医療情報センター 中村 哲也 p34
時間効率化を目的としたデュアルビューとクワッドビューの比較検討
S2-1
小樽掖済会病院 消化器病センター 川西
PillCamR SB3カプセル内視鏡システムのVater乳頭検出率と読影時間の検討
SB2カプセルおよびRapidR ver. 6.5との比較
S2-2
川崎医科大学 消化管内科学 大澤
元保 p36
当院におけるパテンシーカプセル導入後の“overnight-CE”(ON-CE)
システムの内視鏡技師介入の現状
S2-3
JA広島厚生連尾道総合病院 内視鏡センター 栗本
保美 p37
当院におけるカプセル内視鏡読影支援の現状と読影精度の向上への試み
S2-4
国立病院機構北海道がんセンター 外来内視鏡センター 伊藤
有希子 p38
カプセル内視鏡読影支援において精度を上げるために
〜当院での取り組み〜
S2-5
宝塚市立病院 消化器内視鏡センター 松本
裕子 p39
小樽掖済会病院 消化器病センター 千葉
勇介 p40
読影支援技師の読影力に関する検討
S2-6
大腸カプセル内視鏡読影支援センターにおける、読影の実際と
読影精度向上の取り組みについて
S2-7
若宮渡部医院 渡部
宏嗣 p41
大腸カプセル内視鏡遠隔読影システムの構築
S2-8
社会医療法人宏潤会大同病院 田中
特別発言
10
啓太 p35
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
富士男 p42
学校法人獨協学園 寺野
彰 10:30~10:54
一般演題①
臨床検討・その他
座長:遠藤
勝木
O1-1
宏樹(横浜市立大学 肝胆膵消化器病学)
伸一(小樽掖済会病院)
貧血精査における小腸カプセル内視鏡検査の有用性の検討
福山医療センター 消化器内科 表
O1-2
静馬 p76
当院において経験したOvert-ongoing OGIBの5例
琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部 金城
札幌道都病院 外科 矢嶋
O1-4
知己 p78
カプセル内視鏡が有用であった
免疫不全関連リンパ増殖異常症の小腸病変2例
大分大学医学部附属病院 消化器内科 園田
12:00~12:50
光 p79
ランチョンセミナー2
座長:榊
信葊(早期胃癌検診協会)
共催:富士フイルムメディカル株式会社
ここまできた経鼻内視鏡〜BLI(Blue LASER Imaging)と経鼻内視鏡〜
東京医科歯科大学 食道外科 川田
千葉県がんセンター 内視鏡科 鈴木
13:00~13:30
一般演題②
大腸カプセル内視鏡
座長:中路
細江
O2-1
幸之助(愛晋会中江病院 内視鏡治療センター)
直樹(慶應義塾大学医学部 内視鏡センター)
S状結腸内視鏡併用する事での大腸カプセル内視鏡の苦痛低減
石原消化器内科クリニック 石原
O2-2
慎一 p82
クリニックにおける大腸カプセル内視鏡の使用経験と今後の課題
まつむら胃腸科 松村
O2-3
研郎 拓人 健三 p83
当院における大腸カプセル内視鏡の現状
川崎医科大学附属病院 内視鏡・超音波センター 河上
真紀子 p84
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
11
プログラム
(第二会場)
O1-3
徹 p77
カプセル内視鏡が術前診断に有用であった
球状型交通性回腸消化管重複症の一例
O2-4
O2-5
当科における大腸カプセル内視鏡検査の持ち帰り検査への取り組み
久和 p85
増子記念病院 肝臓内科 堀田
直樹 p86
大腸カプセル内視鏡前処置の検討
13:30~13:54
一般演題③
症例 腫瘍
プログラム
(第二会場)
座長:矢野
阿部
O3-1
金沢医科大学 消化器内科 白枝
智則(自治医科大学 内科学講座消化器内科)
孝(宝塚市立病院)
消化管出血で発見され術前診断困難であった小腸腫瘍の一例
日本医科大学 消化器内科学 高木
O3-2
OGIBを契機に小腸内視鏡で診断しえた慢性腎不全を合併した空腸癌の一例
宝塚市立病院 内視鏡センター 杉原
O3-3
信介 p88
奈央 p89
カプセル内視鏡が診断に有用であった小腸腺腫の1例
社会医療法人財団新和会八千代病院 消化器内科 白井
O3-4
大腸カプセル内視鏡が有用であった横行結腸癌の1例
高知赤十字病院 内科 岩村
14:00~14:30
代議員会
15:00~16:20
ミニワークショップ
斎藤
正直(名古屋大学 消化器内科)
彰一(東京慈恵会医科大学 内視鏡科)
大腸カプセル内視鏡検査時の新しい液剤型腸管洗浄剤を使用した
撮像時間内排出率、洗浄度、排出時間の検討
東京慈恵会医科大学 内視鏡科 斎藤
MW-2
彰一 p58
岐阜赤十字病院における大腸カプセル内視鏡検査の前処置法の工夫
岐阜赤十字病院 内視鏡科 高橋
12
伸一 p91
大腸カプセル内視鏡
座長:中村
MW-1
修 p90
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
裕司 p59
MW-3
Gastrografinを用いた大腸カプセルregimenの有用性
小樽掖済会病院 消化器病センター 藤田
MW-4
朋紀 p60
大腸カプセル内視鏡の排出率に影響する因子の検討
−当科の工夫も含めて−
広島大学病院 内視鏡診療科 井川
MW-5
当科における大腸カプセル内視鏡施行例の使用経験と工夫
松山赤十字病院 胃腸センター 原田
MW-6
当科における大腸カプセル内視鏡の使用経験
磁気誘導型大腸カプセル内視鏡(Modified PillCam Colon)は有用か?
札幌整形循環器病院 消化器内科 太田
大阪医科大学 第二内科 樋口
コメンテーター
16:20~16:40
裕子(宝塚市立病院 消化器内視鏡センター)
真理(杏林大学医学部 第三内科)
小腸カプセル内視鏡検査が診断に寄与した非特異性多発性小腸潰瘍症の
1例
九州医療センター 消化器内科 和田
みき p95
カプセル内視鏡検査を施行し、胃ポリープからの出血診断に至った1例
宝塚市立病院 消化器内科 瀧本
O4-4
将史 p94
鉄欠乏性貧血を契機に診断に至った
メッケル憩室を伴わない小腸の異所性胃粘膜の一例
杏林大学医学部 第三内科 三浦
O4-3
和秀 症例 原因不明消化管出血(OGIB)
座長:松本
O4-2
英敏 p66
一般演題④
林田
O4-1
貞治 p65
真弓 p96
大腸angioectasiaからの出血に対してカプセル内視鏡検査が有用であった
一例
宝塚市立病院 高田
珠希 p97
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
13
プログラム
(第二会場)
翔太郎 p64
大阪医科大学 第二内科 能田
MW-9
章二 p63
当院における大腸カプセル内視鏡施行例の検討
横浜市立大学 肝胆膵消化器病学 梅沢
MW-8
英 p62
大腸カプセル内視鏡(PillCam COLON2)−いかに完遂するか−
医療法人同仁会京都九条病院 消化器内科 光藤
MW-7
敦 p61
16:40~17:00
一般演題⑤
症例 その他
座長:藤田
本多
O5-1
穣(川崎医科大学
啓介(川崎医科大学
消化管内科学)
総合臨床医学)
カプセル内視鏡により確定診断された小腸型クローン病の3例
福島県立医科大学会津医療センター 小腸大腸肛門科 根本
O5-2
カプセル内視鏡で治療経過を追ったCronkhite-Canada症候群の1例
埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科 可児
O5-3
恒平 p102
結核性腹膜炎に併発した小腸潰瘍の1例
佐賀大学医学部 消化器内科 坂田
14
和仁 p101
カプセル内視鏡で発見された小腸ポリープを内視鏡的に切除した
Cronkhite-Canada症候群の1例
公立学校共済組合九州中央病院 消化器内科 藤田
O5-4
大樹 p100
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
資尚 p103
交通・会場のご案内
交 通 案内図
●新宿駅西口より徒歩
約5分(JR・京王線・小田急線・地下鉄)
新宿駅西口より都庁方面への連絡地下道をまっすぐ5分ほど
お進みください。地下道を出てすぐ左側にホテルがござい
ます。
●都営大江戸線都庁前駅より徒歩
地下道B1出口よりすぐ
改札を出てJR新宿駅方面に進み、B1出口階段を上がってす
ぐ右側にホテルがございます。
●リムジンバス
成田空港、羽田空港との直通リムジンバスがございます。
交通・会場
のご案内
所要時間 約80分
所要時間 約120分
所要時間 約70分
京王プラザホテル 〒160-8330 新宿区西新宿2-2-1 TEL. 03-3344-0111(代表)
会 場 案内図
会場レイアウト
京王プラザホテル 本館ᵓ階
本館5F
【ᵐ月ᵏᵒ日(土)】
コンコードA
2月14日(土)
イブニングセミナー
2月15日(日)
第47回胃病態機能研究会
コンコード
コンコードᵟ
(イブニング)
A
コンコード
コンコードᵠ
B
コンコード
コンコードᵡ
(懇親会)
C
コンコードB
2月15日(日)
第8回カプセル内視鏡学会
学術集会第一会場
PCセンター
参加受付
コンコードC
2月14日(土)
懇親会
2月15日(日)
第8回カプセル内視鏡学会
学術集会第二会場
アゼリア
学会本部/事務局
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
15
学術集会参加の皆様へ(お知らせとお願い)
1.参加受付
当日の受付のみとなります(事前登録は行いません)。
日 時 2015年2月14日(土)
17:30〜19:30
2015年2月15日(日)
8:00〜16:00
場 所 京王プラザホテル 本館5階「コンコードボールルーム」前
参加費 医師・一般………………………………………………………7,000円(※1)
コメディカル……………………………………………………3,000円(※2)
学生(学部生・修士学生のみ。博士過程は含まない) ……………無料
※1 医師・一般の方は、上記の参加費にて第47回胃病態機能研究会へご参加い ただけます(第11回日本
消化管学会総会学術集会への参加には別途受付が必要となります)。
※2 コメディカルの方は、上記の参加費にて第11回日本消化管学会総会学術集会と第47回胃病態機能研
究会へご参加いただけます。
お知らせと
お願い
参加受付にてネームカードを受け取り、所属・氏名をご記入のうえ、ネームカードを見え
る位置に着用してください。ネームカードのない方のご入場はお断りいたします。
医師・一般以外の方は身分を証明できるものをご持参ください。
2.プログラム・抄録集
日本カプセル内視鏡学会(JACE)会員の方には事前に発送しておりますので、当日は必
ずご持参ください。※2014年12月1日現在の会員対象
3.ランチョンセミナー
ランチョンセミナーに参加される方にはお弁当を用意しております。各会場前にてお受け
取りください。なお、数に限りがございますので、予めご了承ください。また、必ずラン
チョンセミナー会場内で食事をお済ませください。
※整理券の配布はございません。
4.アフタヌーンセミナー
アフタヌーンセミナーに参加される方にはお飲み物・菓子を用意しております。ドリンク
コーナーにてセルフサービスでお召し上がりください。なお、数に限りがございますので、
予めご了承ください。また、必ずアフタヌーンセミナー会場内でご飲食ください。
※整理券の配布はございません。
5.その他注意事項
会場内では、携帯電話の電源をお切りいただくか、マナーモードに設定してください。
16
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
◆講演に関するお願い
1.座長の皆様へ
1)担当セッションの開始15分前には、会場内右手前方の「次座長席」にお着きください。
2)時間厳守をお願いいたします。
2.口演発表の皆様へ
1)本館5階「コンコードボールルーム」前にて8時から16時の間、PC受付をご用意してお
ります。ご発表の30分前までにPC受付をお済ませください。
2)会場内の左手前方が次演者席となります。次演者の方は、前の演者の方の講演開始後、
次演者席にご移動ください。
3)プログラムの円滑な進行のため、発表は時間厳守でお願いいたします。
4)発表時間はセッションによって異なります。事務局からの個別のご案内をご参照くだ
さい。
《口演発表方法》
ください。
1)会場には液晶プロジェクター(解像度1024×768)を準備いたします。
2)会場で用意するPCのOSはWindowsのみとなります。
※Macintoshの方は必ずPC本体をご持参ください。
3)アプリケーションはPower Point 2003以降Power Point 2013まで対応しております。
4)発表データはPC本体をお持ちいただくか、USBフラッシュメモリでお持ちください。
どちらの場合もバックアップ用のUSBフラッシュメモリを必ずご用意ください。
5)Macintosh、Windows8及び動画をご使用の場合は、ご自身のノートPCをお持ち込み
ください。
6)ご自身でPCを持ち込む場合、会場でご用意するPCケーブルコネクタの形状はMiniDsub 15ピンとなりますので、このケーブルコネクタにあったPCをご用意ください。ま
た、このケーブルコネクタに変換するコネクタを必要とする場合も必ずご自身でご用
意ください。
7)PC持ち込みの場合、PC本体のACアダプタを必ずご持参ください。
8)動画に音声が入っている場合には、必ず、事前に運営事務局までお知らせいただきま
すようお願いいたします。
9)発表データのフォントは文字化けを防ぐために下記フォントに限定させていただきま
すのでご了承ください。
日本語:MSゴシック、MS Pゴシック、MS明朝、MS P明朝等の標準フォント
英 語:Century、Century Gothic
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
17
お知らせと
お願い
口演発表は、コンピュータープレゼンテーションのみとなります。下記の要領に従ってご準備
10)発表の際は演台に用意してあるリモートシステム(モニター、キーボード、マウス)
を使って、演者ご本人で操作をお願いいたします。尚、お持ち込みのPCはオペレー
ター席に置きますので、Power Pointの「発表者ツール」はご使用になれません。
11)コピーしたデータは、学会終了後、当学会にて責任を持って消去させていただきます。
■発表演台に関する利益相反(COI:Conflict of Interest)状態の開示について
本学会では、学術集会等における臨床研究に関する発表演題での公明性を確保する
ため、演題の筆頭発表者ならびに研究責任者より、利益相反状態に関する自己申告
を行っていただくこととしております。
つきましては、第8回学術集会のホームページより開示書式(PPT形式)をダウン
ロードして必要項目を記載し、スライドの2枚目または最後に提示してください。
※第8回学術集会ホームページ:http://jace.kenkyuukai.jp/special/?id=14150
お知らせと
お願い
18
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
招待講演
第 一会場
11:00~11:50
Is training in capsule endoscopy necessary?
座長:松井
敏幸 福岡大学筑紫病院
消化器内科
演者:Ignacio Fernandez-Urien Sainz Department of Gastroenterology, NHC(Navarra, Spain)
協賛:コヴィディエン
ジャパン株式会社
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
19
招待講演
招待講演
Is training in capsule endoscopy necessary?
Ignacio Fernandez-Urien Sainz MD, PhD
Department of Gastroenterology, NHC(Navarra, Spain)
Since its introduction in 2001 by Iddan et al., capsule endoscopy(CE)has become
a first-line tool for small bowel(SB)examination. In fact, over the years, it has
demonstrated to be an accurate, painless and safe procedure for patients and more
than 2 million capsule procedures have been performed worldwide. The success and
excellent acceptation, by both patients and physicians, of wireless technology for the
study of SB diseases led to the development of new capsule prototypes to examine
other segments of the gastrointestinal(GI)tract such as esophagus and colon. As a
result, the CE has experienced an increasing demand that is anticipated to continue
in the future. Ideally, this demand should be accompanied by the offer of well-trained
capsule endoscopists who can read the videos accurately. As with the vast majority of
endoscopic procedures, whether training in CE is necessary has been well documented
in the literature and several articles have demonstrated the positive impact of training
programs on capsule endoscopists performance. Unfortunately, the current scenario
is not optimistic. As demonstrated by a recent survey in United Kingdom, although
most of gastroenterology trainees are exposed and interested in learning CE, only a
very small proportion of trainees have ever reported a CE exam. And this situation
does not seem to change in the next years because in most European countries the
technique is not included as a mandatory subject to be learnt by gastroenterology
trainees during their residency period. On the other hand, CE training is feasible in
Europe. Some scientific societies, private groups and sponsors give the opportunity
to trainees to learn capsule endoscopy but there are no official consensus on courses
duration, content, trainee assessment, formal accreditation and courses quality control.
Considering these premises, core curriculum for CE training seems to be necessary,
providing a frame for education that can serve as a basis for modification according
to national healthcare systems, clinical and professional needs. A CE training core
curriculum should include theoretical lessons(indications, contraindications and
complications)
, practical lessons(lesions characterization, bowel cleansing process and
software management)and hands-on sessions(videos visualization)
.
20
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
招待講演
Personal Information
Ignacio Fernandez-Urien Sainz MD, PhD
BIOGRAPHICAL
Birth Date.......................................Jan/6th/1973
Birth Place......................................Santander(Cantabria, Spain)
Business Address......................Irunlarrea 3, 31008-Pamplona(Navarra)
e-mail...................................................ifurien@yahoo.es
EDUCATION AND TRAINING
LICENSURE
1991-1997: University of Cantabria(Spain)
.
1997
: Accreditation in Medicine(University of Cantabria, Spain)
.
INTERNSHIP
1994-1997: Gastroenterology Department(University of Cantabria, Spain)
.
1997
: Gastroenterology Department
(Mount Sinai Medical Center, NY, USA)
.
RESIDENCY
1999-2003: Gastroenterology(University of Navarra, Spain)
.
DOCTOR IN MEDICINE (PhD)
2011
: University of Navarra. Final Calification:“Cum Laude”.
PROFESSIONAL AND ACADEMIC POSITIONS
PROFESSIONAL POSITIONS
2003-2007: Staff Physician
(Gastroenterology Department; University of Navarra, Spain)
.
2007-2014: Staff Physician
(Gastroenterology Department; Universitary Hospital of Navarra, Spain)
.
ACADEMIC POSITIONS
2003-2014: Assistant Professor(University of Navarra, Spain)
.
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
21
22
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
シンポジウム1
第 一 会 場
9:00~11:00
座長:緒方
大腸カプセル内視鏡の使用経験と工夫
晴彦 慶應義塾大学医学部 内視鏡センター
豊 国立がん研究センター中央病院 内視鏡科
斎藤 基調講演1
大腸病変検出における大腸カプセル内視鏡の臨床的有用性
−前向き多施設共同オープン試験の結果から−
基調講演2
本邦における大腸カプセル内視鏡のこれまでの取り組みと今後の諸課題
S1-1
階段の昇降運動と大腸カプセル内視鏡検査における大腸通過時間
S1-2
当施設におけるカプセル内視鏡検査の工夫と検査時間に与える因子の検討
S1-3
当院における大腸カプセル内視鏡の使用経験について
S1-4
広島大学 内視鏡診療科 岡
国立がん研究センター中央病院 内視鏡科 角川
愛晋会中江病院 内視鏡治療センター 中路
志郎
康夫
幸之助
北原内科クリニック 北原
史章
名古屋大学大学院 消化器内科学 佐藤
淳一
潰瘍性大腸炎患者に対する大腸カプセル内視鏡前処置の工夫
(クエン酸モサプリドの効果)
慶應義塾大学医学部 内視鏡センター 細江
直樹
S1-5
Pillcam COLON2と医用テレメーター(=生体情報モニター)との間で起きる
電波干渉の調査結果とその対策
医療法人厚生会虹が丘病院 増田 淳一
S1-6
当院における大腸用カプセル内視鏡の使用経験
S1-7
大腸カプセル内視鏡使用経験に関する国内アンケート調査の結果報告
—日本カプセル内視鏡学会保険委員会より
(追加発言)
特別発言
藤田保健衛生大学 消化管内科 大森
崇史
大阪医科大学 第二内科 樋口
和秀
東京慈恵会医科大学 内科学講座消化器・肝臓内科/内視鏡科 田尻
久雄
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
23
基調講演1
シンポジウム1
大腸病変検出における大腸カプセル内視鏡の臨床的有用性
−前向き多施設共同オープン試験の結果から−
岡 志郎1)、田中 信治1)、齋藤 豊2)、斉藤 彰一3)、角川 康夫2)、
松本 美野里2)、相原 弘之3)、能田 貞治4)、倉本 貴典4)、渡辺 憲治5)、
大宮 直木6)、樋口 和秀4)、後藤 秀実6)、荒川 哲男5)、田尻 久雄3)
広島大学 内視鏡診療科、2)国立がん研究センター中央病院 内視鏡科、
1)
東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科/内視鏡科、4)大阪医科大学 第2内科、
3)
大阪市立大学 消化器内科学、6)名古屋大学 消化器内科学
5)
【背景】欧米の報告によると、大腸カプセル内視鏡(CCE)による径6mm以上の大腸ポリープ
の検出感度は84〜91%、特異度64〜94%と報告されている。しかし、本邦においてCCEによる
表面型腫瘍を含めた大腸病変の検出能は明らかになっていない。
【目的】本邦における内視鏡的または外科的治療適応の大腸病変に対するCCEの診断能と患者
受容性を明らかにする。
【対象と方法】本邦3施設(広島大学、国立がん研究センター中央病院、東京慈恵会医科大学)
において、CCE前3カ月以内に大腸内視鏡検査(CS)受診歴があり、要治療病変(径6mm以上
のポリープまたは他の形態の病変で、医師が内視鏡的もしくは外科的治療を必要と判断した病
変)を有する患者67例(男性51例、女性16例、平均年齢59.7歳)を対象とした。主要評価項目
としてCCE検査において対象病変を検出できた割合(感度)
、副次評価項目としてCCEの安全
性および患者受容性を検討した。CCEの受容性は「恥ずかしさ」
「恐怖感」
「痛み」
「嚥下のし
やすさ」「前処置」
「検査時の服薬」についてアンケート調査した。なお、CCE読影には実施3
施設とは独立した2名の読影委員を設置した。
【結果】CCEが要治療病変を検出した患者の割合は94%(58例)(95% CI 88.2%、99.7%)であ
った。CSと比較してCCEは要治療病変を有意に多く検出した(p=0.0191)が、肉眼分類毎の
検討では有意差を認めなかった(p=0.6646)
。重篤な有害事象は認めなかった。患者受容性に
関しては「恥ずかしさ」
「恐怖感」
「痛み」
「嚥下のしやすさ」の評価項目では「全くなかった」
から「ほとんどなかった」が83%から99%であったが、
「前処置」と「検査時の服薬」に関し
ては「普通」から「かなり大変」がそれぞれ77%、86%であった。
【まとめ】CCEは要治療病変を有する患者を安全かつ高い精度で検出し、患者受容性も高かっ
た。CCEは大腸がん検診受診率を向上させ、大腸癌の発症率及び死亡率の低下に寄与するこ
とが期待される。
24
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
基調講演2
シンポジウム1
本邦における大腸カプセル内視鏡のこれまでの取り組みと
今後の諸課題
角川 康夫、松本 美野里、斎藤 豊
国立がん研究センター中央病院 内視鏡科
2006年に登場した大腸カプセル内視鏡は現在、第2世代のPillCamⓇ COLON 2が用いられて
いる。本邦では2013年7月に医薬品医療機器総合機構(PMDA)から薬事承認を受け、2014年
1月には保険収載された。今後、大腸内視鏡の挿入困難例を中心にその需要が伸びていくこと
が予想される。この大腸カプセル(PillCamⓇ COLON 2)の6mm以上の大腸ポリープに対する
感度は84-91%である。この大腸カプセルは痛みがなく、また恥ずかしさも伴わないため、こ
れまで大腸の検査を受けたことのないような人々、といった新たな潜在的需要の掘り起こしに
も期待がかかる。
一方、本邦で先行して行われたこれまでの研究から様々な課題も浮上してきた。特に、多量
の下剤を服用しなくてはいけない点、バッテリー時間内に排出できない例が一定の頻度で存在
する点(その多くがS状結腸でバッテリー切れ)などは未だ克服したとは言い難い状況で、今
後取り組むべき課題と考える。
また、読影医師のマンパワーも課題のひとつである。そのため、保険収載されて間もない時
期に日本カプセル内視鏡学会(JACE)主催のハンズオンセミナーが全国各地で開催された。
また、web上で読影の技術を学べるe-learningシステムも始まった。これらは大腸カプセルに
携わる医師の読影能力を確実に向上させている。
本邦でこの大腸カプセルを使えるようになってまだ日が浅く、その分、一例ごとに気づき・
学びがある。各施設での創意工夫も始まっている。これらの使用経験や創意工夫の共有が諸課
題の解決につながり、さらには、クオリティーの高い大腸カプセル内視鏡検査に発展していく
ものと期待される。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
25
S1-1
シンポジウム1
階段の昇降運動と大腸カプセル内視鏡検査における
大腸通過時間
中路 幸之助1)、中江 遵義1)、熊本 光孝1)、藤田 篤代1)、塩谷 昭子2)、
鈴村 滋生3)、兵庫 佳代4)
愛晋会中江病院 内視鏡治療センター、2)川崎医科大学 消化管内科、3)浦河赤十字病院、
1)
愛晋会中江病院 内視鏡治療センター 看護部
4)
【 目 的 】 大腸カプセル内視鏡検査(CCE)において、大腸通過時間は個体差が大きく、また特
に左側結腸通過に時間がかかるため、バッテリーの充足時間内にカプセルが排泄されず、全大
腸が観察できない症例が多いことが知られている。排泄率の向上にはこの大腸通過時間の、病
変の見落としのない適度な短縮が必要である。今回われわれは、大腸カプセルの大腸通過時間
を短縮する患者因子・処置を探索した。
【方法】2013年11月から2014年8月まで当院で施行した
CCEの連続43例を対象とした。前処置は治験時のレジメンに準じて統一して行い、大建中湯、
こんにゃくブースター、排出遅延時にワゴスチグミン筋注のレスキューを使用した。患者背景
は平均年齢57.0歳。男性21例、女性22例。排出率100%で、総水分量の平均は4013ml、洗浄度
は全例adequateであった。階段の昇降運動ありが33例、なしが10例、便秘ありが12例、なしが
31例、糖尿病ありが16例、なしが27例、腹部手術歴ありが11例、なしが32例で、大腸通過時間
の中央値は2時間5分であった(20分から7時間30分)
。
【結果】大腸通過時間に影響を及ぼす可
能性のある因子と大腸通過時間の関連において、男性が有意に(危険率5%)大腸通過時間が
少なかった(P=0.0439)
。有意差には至らなかったが(P=6.4%)、年齢が若いほど通過時間が
短くなる可能性が示唆された(直線相関の場合r=0.28、もっとも相関係数が高くなるのは指数
相関だが、それでもr<0.3)
。階段の昇降運動ありの群がない群よりも、有意に(危険率1%)、
通過時間が短かった(P=0.00134)
。これは、他の年齢や性別よりももっとも寄与度が高いと考
えられた。また、腹部手術歴のある群(P=0.037)、糖尿病のある群(P=0.006)、便秘のある群
(P=0.253)
、ワゴスチグミンの使用した群(P=0.001)であり、少なくとも糖尿病は大腸通過時
間に影響がある可能性が高いと考えられた。【考察】階段の昇降運動により、もっとも大腸カ
プセルの大腸通過時間が短縮された。ひいては階段の昇降運動は、CCEでの排出率の向上に
寄与する可能性があると考えられた。
26
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
S1 - 2
シンポジウム1
当施設におけるカプセル内視鏡検査の工夫と
検査時間に与える因子の検討
北原 史章
北原内科クリニック
【はじめに】当施設におけるH26年2月〜9月の8か月間の大腸カプセル内視鏡検査の成績と検査
時間に影響する因子の検討を行い報告する。
【検査方法】当施設では、前日の検査食及び就寝前の下剤服用から始め、当日検査開始3時間前
から洗腸液1.5Lを内服。検査開始から1時間はwalking。1時間経過しても小腸に入らない時は
右側臥位中心のrollingを行う。1時間30分経過しても小腸に入らない時は消化管運動賦活剤の
投与とrollingを繰り返す。小腸への挿入が確認できれば洗腸液900mL服用後walking。小腸挿
入後1時間経過で再び洗腸液服用。大腸挿入を確認したら左側臥位中心のrollingを行う。横行
結腸以深への挿入が確認できた後はwalkingおよび立位座位を繰り返す。小腸挿入後4及び6時
間でコロンブースを摂取。その後30分以上経過してもカプセルが排出されない時は浣腸120mL
を施行。
【結果】症例数は40例(男性22例 女性18例、平均66.3歳)。検査理由はtrialが1例、癒着による
ものが10例、
深部挿入困難が29例。胃通過時間は平均1時間4分。小腸通過時間は平均1時間3分。
上行結腸通過時間は平均29分。横行〜下行結腸通過時間は平均58分。S状結腸〜排出までは平
均1時間55分。全大腸通過時間は平均3時間11分(最短23分、最長11時間55分)
。全検査時間は
4時間以内が15例、4〜6時間が8例、6〜8時間が11例、8〜9時間が4例、9時間以上が2例(この
2例は自宅に持ち帰り排出まで観察)
(平均5時間21分、最短1時間56分、最長14時間16分)で、
全例全大腸観察ができた。発見病変は大腸癌1例、大腸ポリープ2例、大腸憩室19例であった。
【検討結果】性別、年齢、検査理由、運動の良・不良、rollingの有無の5つの因子について各部
位の通過時間に与える影響について検討した結果、運動因子のみが全ての部位の通過時間に優
位に影響を与えていた。検査時間全体に相関が強い各部位の通過時間は全大腸通過時間とS状
結腸以下の通過時間であった。
【まとめ】検査時間の長さに大きく影響を与えるものは、運動およびS状結腸から排出までの
時間であった。今後大腸内視鏡検査の検査時間との相関も検討していきたい。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
27
S1-3
シンポジウム1
当院における大腸カプセル内視鏡の使用経験について
佐藤
前田
舩坂
安藤
淳一1)、中村
啓子1)、松下
好平2)、大野
貴文1)、後藤
正直1)、渡辺 修1)、山村 健史2)、森瀬 和宏1)、名倉 明日香2)、
正伸1)、吉村 透1)、中野 有泰1)、大島 啓嗣1)、古川 和宏2)、
栄三郎1)、宮原 良二1)、川嶋 啓揮1)、廣岡 芳樹2)、
秀実1、2)
名古屋大学大学院 消化器内科学、2)名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部
1)
【背景・目的】
2014年1月から第2世代大腸カプセル内視鏡(C2)による保険診療が始まったが、本邦におけ
るC2の成績について十分な検討はされていない。
そこで今回当院で施行したC2の結果を後ろ向きに調べ、その特徴について検討した。
【対象・方法】
対象は当院でC2を施行した41例(57.0±18.6歳、男:女=14:27)である。主な検査契機は腹
痛精査12例、消化管スクリーニング9例、潰瘍性大腸炎5例であった。C2の排出状況、所見に
つき検討した。
【前処置】
前処置については時間内排出率向上のため30例目以降は下記のレジメンに変更した。
検査前日:3食低残渣食。就寝前にクエン酸マグネシウム(34g)高張液投与、センノシド(24mg)
内服。検査当日:PEG溶液1L内服後、モサプリドクエン酸塩(20mg)とC2を内服。小腸到達
後に残りのPEG溶液1Lを内服。その後、排出されなければクエン酸マグネシウム(34g)等張
液投与追加。それでも排出されなければメトクロプラミド10mg筋注、炭酸水素ナトリウム・
無水リン酸二水素ナトリウム坐剤1個挿肛。
【結果】
C2の排出率は58.5%(24/41)であった。レジメン変更前は53.3%(16/30)、変更後は72.7%(8/11)
であった。
偶発症は1例も認めなかった。
有所見率は85.4%(35/41)であった。所見としては、憩室15例、発赤・びらん13例、ポリープ
13例、痔核3例、粘膜下腫瘍2例であった(重複あり)。
現在までに大腸内視鏡検査(CS)が17.5%(7/41)で施行されている(C2が排出されなかった
3例を含む)
。全7例でC2では5例、11個のポリープを、CSでは5例、12個のポリープを検出した。
CSをgold standardとした際のC2によるポリープ検出率は75.0%(9/12)、C2の偽陰性率は18.2%
(2/11)であった。
C2が排出された4例のみで検討するとC2では3例、7個のポリープを、CSでは3例、6個のポリ
ープを検出した。
同様にCSをgold standardと考えた際のポリープ検出率は100%(6/6)、C2で指摘した他の1病
変はCSでは指摘されていなかった。
ポリープのサイズはC2で中央値4mm[3-16mm]、CSで中央値3.5mm[3-10mm]であった。サイズ
の両検査間における一致率は66.7%(4/6)であった。
【課題】
C2におけるポリープ検出率、偽陰性率はともに良好であり、ポリープのサイズを推定するこ
とにも有用であった。しかし排出率が低いことが問題となっている。各施設の報告によると
C2の検査受容度が高いとされるため排出率が上昇すればCSと同等なスクリーニング検査とし
て受け入れられる可能性が高いと考えられた。そのためにも今後良好な前処置レジメンの確立
が必須である。
28
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
S1 - 4
細江 直樹1)、宮永 亮一2)、三枝 慶一郎2)、小林 拓3)、中野 雅4)、長沼 誠1)、
日比 紀文3)、金井 隆典2)、緒方 晴彦1)
慶應義塾大学医学部 内視鏡センター、2)慶應義塾大学医学部 消化器内科、
1)
北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター、
3)
北里大学北里研究所病院 消化器内科
4)
【目的】我々は、潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis: UC)患者に対し、第二世代大腸カプセル
内視鏡を用い、従来の大腸カプセル内視鏡の前処置よりも内服量を減量した前処置法を用い、
その病勢評価の実現可能性を報告してきた。これまでUC患者に行ったすべての前処置法の有
効性を検討し、問題点、改良すべき点を検討する。
【方法】慶應義塾大学病院、北里研究所病
院にて診断済みUC患者に対し行った大腸カプセル内視鏡90例90回のうち、導入初期に様々な
前処置法を試した10例10回、機器操作不良による撮像不良、患者都合による撮像中止した6例6
回を除外した74例74回を解析対象とした。30例30回は、<第1法>大腸カプセル嚥下後、ポリ
エチレングリコール(以下PEG)含有電解質溶液2リットル、およびクエン酸モサプリド20mg
をPEG前後に内服した。19例19回には<第2法>9時、PEG700mlを内服、11時に大腸カプセル
内視鏡とクエン酸モサプリド20mg、ジメチコン40mgを内服した。カプセルの小腸到達後から、
第一ブースタとして、クエン酸マグネシウム等張液900mlとクエン酸モサプリド20mg、第二
ブースタとしてクエン酸マグネシウム等張液600ml内服とした。その後に行った試験では<第
3法>第2法のクエン酸モサプリドをメトクロプラミドに変更し、第三ブースターとしてクエン
酸マグネシウム等張液600ml内服とした。<第4法>第2法につけくわえて、第三ブースターと
してクエン酸マグネシウム等張液600ml内服とした。以上の前処置法を行い、全大腸観察率、
洗浄度を検討した。【結果】第1法は全大腸観察率、洗浄度が不良であり、第2法に変更したと
ころ、全大腸観察率は89.5%(17/19)と改善した。第3法の全大腸観察率は78.6%(11/14例)
、
第4法の全大腸観察率は100%(12/12例)であった。【結論】早期のクエン酸モサプリド投与が、
大腸カプセル排泄促進に寄与する可能性が示唆された。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
29
シンポジウム1
潰瘍性大腸炎患者に対する大腸カプセル内視鏡前処置の工夫
(クエン酸モサプリドの効果)
S1-5
シンポジウム1
Pillcam COLON2と医用テレメーター
(=生体情報モニター)
との間で起きる電波干渉の調査結果とその対策
増田 淳一1)、堤 卓也1)、福田 貴幸1)、大平 龍夫2)、Micha Nisani3)
医療法人厚生会虹が丘病院、2)ギブン・イメージング株式会社(日本)、
1)
ギブン・イメージング社(イスラエル)
3)
【背景】
Pillcam COLON2は従来のカプセル内視鏡と比べ毎秒35枚の撮影が行えるようになり、格段に
その診断能力は向上した。しかし情報量が増加したことで、必然的に電波スペクトラムが広く
なり、従来のカプセル内視鏡では認めなかった電波干渉が散見される様になった。
当院では導入前のデモ患者2人で原因不明の電波干渉が発生した。そのためギブン・イメージ
ングのイスラエル本社からの技術者Micha Nisani氏と大平龍夫氏をお迎えして、スペクトラム・
アナライザ及びPillcam COLON2/DR3による電磁環境調査を施行した。
【目的】
① スペクトラム・アナライザを使用し、存在する電波の現状を把握する。
② Pillcam COLON2/DR3を使用し、ノイズの状況を把握する。
③ 電波のスペクトルからノイズの放射源を特定し、影響回避の方法を探る。
④ 電波環境の良い箇所を特定し、カプセル検査の推奨場所を探る。 【結果】
① 観測された電波は、ほとんどのものが医用テレメータから発射されたものであり、ある特
定の周波数のテレメータはPillcam COLON2と電波干渉を示した。
② テレメータの信号は階上・階下にも到達し、Pillcam COLON2と電波干渉を示した。
③ 直視可能状態ではテレメータと30m離れても信号の減衰は少ない。廊下の角を曲がってテ
レメータが直視できない状態になるとテレメータの信号は急激に減衰する。
【対策】
① テレメーターを使用する病院では、その影響回避のために被験者はテレメータとの距離を
空け、直視できる位置に留まらないことが必要である。
② また上下からも影響を受けるため、影響あるテレメーターの直上、直下の部屋では検査を
控えた方がいいと思われる(=2階以上離れることが必要である)。
③ Pillcam COLON2導入時は事前に検査場所の電波環境を調査する必要がある。
④ テレメーターの配置及び使用状況に変更が有る場合は、その都度確認電波状態を確認する
必要がある。
⑤ 検査室から外出時は電磁波防護用のベスト着用も検討する。
【対策施行後の結果】
上記対策後平成25年9月までに15人の大腸カプセル内視鏡施行したが、1例も電波干渉のよるト
ラブルは発生しなかった。
【まとめ】
Pillcam COLON2導入時に適切な対応を行えば電波干渉が問題になることはないと思われる。
30
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
S1 - 6
シンポジウム1
当院における大腸用カプセル内視鏡の使用経験
大森 崇史、大宮 直木、城代 康貴、宮田 雅弘、生野 浩和、小村 成臣、
中野 尚子、鎌野 俊彰、長坂 光夫、中川 義仁、平田 一郎
藤田保健衛生大学 消化管内科
【諸言】大腸用カプセル内視鏡(PillCamⓇCOLON2、以下PC2)の従来の前処置・ブースター
量は4.5〜6Lと多く受容性を向上させるために更なる有効な減量が望まれる。今回、独自の低
容量前処置・ブースター法を考案したためその成績を報告する。またPC2搭載のFICE機能の
有用性についても検討したので報告する。
【方法】当院における前処置・ブースター法は、検査2日前にセンノシド内服、検査前日に低残
渣食、クエン酸マグネシウムとピコスルファートナトリウム水和物を内服、検査当日はモビプ
レップ+水分を便洗浄度に合わせて内服させている。対象は2013年12月〜2014年9月に臨床研
究・保険適用で施行した34例(男性15例、女性19例、年齢中央値57歳、32-79歳)。大腸洗浄度
は4段階に評価した。またPC2でポリープを指摘しその後大腸内視鏡検査を施行した5例におい
て、FICE単独で読影を行い、PC2通常光による読影と比較しポリープ検出感度に上乗せ効果
があるか後ろ向きに検討した。ゴールドスタンダードは大腸内視鏡所見とした。
【結果】腸管洗浄剤含む総水分摂取量(中央値)は2340ml(480-4680ml)と低容量であった。
大腸洗浄度は適切(excellent/good)と判定したものが85.3%。記録時間内カプセル排出率は
85.3%で、カプセル内服後6時間以内の排出率は70.6%。検査直後の患者アンケートでは67.6%の
患者が再度大腸カプセル内視鏡検査を希望されるも、約4割の患者が「検査時間が長い」、「腸
管洗浄剤が多い」と回答した。大腸内視鏡施行5例においてポリープを25病変認め、最大径中央
値は4mm(2-25mm)であり、5mm以上の病変は8例(32%)、5mm未満の病変は17例(68%)。
PC2における通常光単独でのポリープ検出感度は56%、FICE単独でのポリープ検出感度は68
%。通常光・FICE併用のポリープ検出感度は72%であった。
【結語】当院の低容量前処置・ブースター法を用いることで総水分摂取量を約2.3Lまで減量す
ることが可能であった。また大腸洗浄度、排泄率ともに比較的良好な成績が得られた。これに
対して検査受容度は満足いくものではなく、更なる前処置・ブースター法の改良が必要と考え
られた。またFICE機能を用いることでポリープ検出感度は上昇することが示唆された。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
31
S 1 -7(追加発言)
シンポジウム1
大腸カプセル内視鏡使用経験に関する国内アンケート調査の
結果報告—日本カプセル内視鏡学会保険委員会より
樋口 和秀1)、日比 紀文2)、藤山 佳秀3)、松井 敏幸4)、伊藤 文生5)
大阪医科大学 第二内科、2)北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター、
1)
滋賀医科大学、4)福岡大学筑紫病院 消化器内科、
3)
聖マリアンナ医科大学 消化器・肝臓内科
5)
【背景】2014年1月からPilcam COLON2(PC2)が大腸カプセル内視鏡として保険診療で使用
可能となったが、本邦におけるPC2の使用実態は不明である。そこで、日本カプセル内視鏡学
会(JACE)として保険委員会が主導となり使用施設にアンケート調査を実施した。
【方法】アンケート調査対象施設は、JACE会員が所属する施設69施設で、2014年8月に施設長
もしくは所属長に郵送し、JACE会員にメールで案内と協力のお願いをした。アンケートの内
容は、検査適応(保険診療かそれ以外)
、使用理由、検査目的、全大腸観察率、排出時間、読
影時間、患者の受容性、前処置のレジメン、有害事象などである。
【結果】回収率は64%(44施設/69施設)であった。44施設中自費診療は6施設で、それ以外は
保険診療で使用されていた。検査の保険上の使用理由は、腹部手術の既往があり、前回の大腸
内視鏡時に痛みが強かった場合が多く、ついで、全大腸観察不可であった症例、潰瘍性大腸炎
などであった。検査目的は、スクリーニング、便潜血陽性、大腸ポリープのフォロー、炎症の
病勢把握などの順であった。全大腸観察率、検査当日排出率は、同じで78%(371例/477例)
、
洗浄度は、優48%、良36%、可12%、不可4%、排出時間の平均は、6〜16時間であった。読影
時間は、1時間以内が34%、1〜2時間が57%、2時間以上が8%であり、医師にとって読影が少し
負担であるといえる。前処置のレジメンは、各施設で試行錯誤している現状であった。患者の
受容性は、良い58%、普通32%、悪い10%でほぼ良好といえる。大きな有害事象はなかったが、
機器の不具合が8症例ぐらいであった。
【考察】PC2は、保険適応範囲内の理由でほぼ施行されており、患者の受容性も良好である。
前処置に関しては、まだ定まっていない。読影に関しては、医師の負担が少し多く、今後、保
険点数などの見直しが必要と考えられる。
32
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
シンポジウム2
第 二 会 場
9:00~10:30
座長:河上
カプセル内視鏡画像の読影支援と読影精度の向上
真紀子 川崎医科大学附属病院
君英 平塚胃腸病院 検査部
田村 内視鏡・超音波センター
基調講演
医行為とカプセル内視鏡における読影支援・読影精度向上について
S2-1
時間効率化を目的としたデュアルビューとクワッドビューの比較検討
S2-2
PillCamR SB3カプセル内視鏡システムのVater乳頭検出率と読影時間の検討
SB2カプセルおよびRapidR ver. 6.5との比較
川崎医科大学 消化管内科学 大澤 元保
S2-3
当院におけるパテンシーカプセル導入後の“overnight-CE”(ON-CE)
システムの内視鏡技師介入の現状
JA広島厚生連尾道総合病院 内視鏡センター 栗本 保美
S2-4
当院におけるカプセル内視鏡読影支援の現状と読影精度の向上への試み
S2-5
カプセル内視鏡読影支援において精度を上げるために
〜当院での取り組み〜
S2-6
読影支援技師の読影力に関する検討
S2-7
大腸カプセル内視鏡読影支援センターにおける、読影の実際と読影精度向上の
取り組みについて
若宮渡部医院 渡部 宏嗣
S2-8
大腸カプセル内視鏡遠隔読影システムの構築
特別発言
獨協医科大学 医療情報センター 中村
小樽掖済会病院 消化器病センター 川西
国立病院機構北海道がんセンター 外来内視鏡センター 伊藤
哲也
啓太
有希子
宝塚市立病院 消化器内視鏡センター 松本
裕子
小樽掖済会病院 消化器病センター 千葉
勇介
社会医療法人宏潤会大同病院 田中
富士男
学校法人獨協学園 寺野
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
彰
33
基調講演
医行為とカプセル内視鏡における読影支援・読影精度向上
について
中村 哲也
獨協医科大学 医療情報センター
シンポジウム2
医行為とは「医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、
または危害を及ぼすおそれのある行為」とされている。ここでは便宜上、医師でなければ行う
ことのできないものを「絶対的医行為」とし、診療の補助業務として看護師等が補助できる他
の行為と区別する。
カプセル内視鏡は、患者が飲み込むだけで数万枚の消化管内の画像を自動的に撮影する非侵
襲的な検査であり、医師の内視鏡技術は不要である。撮影された画像を、通常は検査後に動画
あるいは静止画として読影する。カプセル内視鏡あるいはパテンシーカプセルを行うべきか否
かについての判断および検査の指示は、医師による絶対的医行為に相当する。読影結果に基づ
く最終判断、追加検査・治療についてのコメント、患者への説明も絶対的医行為である。
一方、バルーン内視鏡や大腸内視鏡などの検査は医師の内視鏡技術が必要である。検査医の
技術や診断能力に応じてリアルタイムに所見を判断(読影に相当)し、必要と思った画像を能
動的に数十〜百枚程度撮影する。場合によっては、引き続き生検(病理組織検査)や内視鏡治
療を行う。これらの内視鏡検査はその全過程が絶対的医行為であり、看護師等による読影支援
を行う余地はない。
カプセル内視鏡画像の読影は、①所見の拾い上げ、②所見の解釈(異常か否か)、③重複所
見の確認、④診断の推定(その正確さについては指導的立場にある医師が責任を持つ)
、⑤追
加検査・治療方針についてのコメント(絶対的医行為)から成る。このうち、小腸用カプセル
の場合は②が特に重要であり、大腸では主にポリープが対象となることが多いため③が特に重
要である。読影精度向上のために必要なことは、①所見の拾い漏れがないこと、②偽陽性(異
常ではない所見を異常と解釈すること)を減少させること、③同じ病変を別の病変による所見
と見誤らないこと、④可能な限り所見から診断が推定できること、などがあげられる。カプセ
ル内視鏡検査による診断は、読影によって得られた所見(病変)の病理検査結果または、治療
を行った結果にもとづく最終経過によって初めて確定される。つまり、カプセル内視鏡による
診断はその大部分が推定診断にとどまる点に注意する必要がある。
以上の前提をもとに、カプセル内視鏡画像の読影支援と読影精度の向上についての提言を行
いたい。
34
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
S2 - 1
時間効率化を目的としたデュアルビューと
クワッドビューの比較検討
川西 啓太、千葉 雄介、小松 悠弥、北岡 慶介、高梨 訓博、和賀 永里子、
勝木 伸一、藤田 朋紀
【背景・目的】当院では2009年1月に小腸カプセル内視鏡(以下CE)を導入して以来、2014年9
月までの間で合計722件施行し、本年度からはカプセル内視鏡読影支援技師を2名取得し今後の
読影の強化を図っている。当院の支援技師は表示モードを見やすさや時間効率を考慮し、デュ
アルビュー(2画面表示)画像倍率200%、1秒間に20枚画面が切り替わる速さ(以下Speed20)
にして読影しており、視覚的負担を軽減できるとされているクワッドビュー(4画面表示)を
使用していない。その主な理由として、画面の見にくさによって所見を見落とす不安が上げら
れる。今回、時間の効率化を目的としてデュアルビューとクワッドビューの読影精度について
検討した。
【方法】2014年8月から9月までの10症例(男女比5:5平均年齢61.5歳)を小腸のみ
を読影範囲として検証を行った。デュアルビューでは画像倍率200%Speed20、クワッドビュ
ーでは画像倍率114%Speed40で設定、10症例中5症例を読影技師がデュアルビューで読影した
後1ヶ月以上の間隔を空けてクワッドビューで読影。残りの5症例を読影支援技師がクワッドビ
ューで読影した後1ヶ月以上の間隔を空けてデュアルビューで読影した。医師と読影支援技師
の読影結果を検討し、最終的なレポートとした。その後、デュアルビューとクワッドビューの
正誤判定を行った。
【結果】潰瘍性病変は15病変認められたが、病変指摘率はデュアルビュー
で73%(11/15)となり、クワッドビューでは45%(5/11)となった。また、ポリープは1病変
認められたが病変指摘率はそれぞれ100%。びらんは6病変認められたが、病変指摘率はデュア
ルビューでは83%(5/6)
、クワッドビューでは0%であった。
【考察】デュアルビューとクワッ
ドビューでは人により画面の見やすさが違うと思われるが、今回の検証でクワッドビューでは
デュアルビューと同じSpeedで読影した場合、読影時間の効率化は図れるものの見落とす危険
が多いと考えられる。しかし、重大な所見の見落とはなく見落とした病変はどれも微小病変の
ため、経験を積み訓練を行えば見落としを減らせるとも考えられた。【まとめ】今回は試験的
に上記の設定で行ったが、クワッドビューを用いた読影で一番効率的かつ安全に施行できる条
件設定を思案し実施していきたい。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
35
シンポジウム2
小樽掖済会病院 消化器病センター
S2-2
PillCamR SB3カプセル内視鏡システムのVater乳頭検出
率と読影時間の検討
SB2カプセルおよびRapidR ver. 6.5との比較
大澤 元保1)、河上 真紀子2)、畠 二郎3)、塩谷 昭子1)、春間 賢1)、本多 啓介4)
シンポジウム2
川崎医科大学 消化管内科学、2)川崎医科大学附属病院 内視鏡・超音波センター、
1)
川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波)、4)川崎医科大学 総合臨床医学
3)
【目的】PillCamR SB3カプセル内視鏡システムでは、カプセルの移動速度に応じて撮像フレー
ムレートを自動的に変化させるアダプティブ・フレームレート(AFR)機能により、撮像領
域は拡大している。また、SB3では、ビデオ処理機能が改良され、RapidR ver.8.0では従来の
ver. 6.5と比較して読影時間が効率化されているが、臨床的に従来法と比較した検討はほとんど
報告されていない。当院では2014年5月よりPillCamR SB3カプセル内視鏡システムを導入し、内
視鏡技師も、患者への説明、装着、読影に積極的に関わっている。今回、PillCamR SB3カプセ
ル内視鏡システムのVater乳頭検出率と読影時間についてSB2カプセルおよびRapidR ver. 6.5と
比較検討した。
【方法】SB3導入後に当院で施行した30件のカプセル内視鏡検査についてVater
乳頭検出率についてはSB2 80件と、読影時間については小腸通過時間をマッチさせたSB2 30件
と比較検討した。読影経験の豊富な内視鏡技師1名とカプセル内視鏡読影専門医2名がRAPID
ver. 6.5あるいは ver 8.0読影ソフトを用いて読影し、比較検討した。【結果】SB3システムの
Vater乳頭検出率は、SB2と比較して有意に高率(37.5% vs 16.2%、p=0.02)であった。SB3と
SB2システムの小腸撮影時間 (323分 vs 319分)、読影時間(25分 vs 25分)、サムネイルの数(19
vs 23)は両群で有意な差を認めず、読影者間でも有意な差はなかった。さらに症例を増やし
て検討する予定である。
【結論】PillCamR SB3カプセル内視鏡システムはAFR機能および読影
ソフトの改善により読影に負担をかけることなく従来のシステムと比較して病変検出率は向上
することが示唆された。
36
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
S2 - 3
当院におけるパテンシーカプセル導入後の“overnight-CE”
(ON-CE)システムの内視鏡技師介入の現状
シンポジウム2
栗本 保美1)、柏原 奈美1)、三坂 雅美1)、三島 ユカリ1)、山根 愛子1)、
立花 隆義1)、中宮 清実1)、佐藤 静江1)、森田 恵理子1)、楠見 朗子1)、
今川 宏樹2)、中土井 鋼一2)、小野川 靖二2)、花田 敬士2)
JA広島厚生連尾道総合病院 内視鏡センター、2)JA広島厚生連尾道総合病院 消化器内科
1)
【背景】当院では、2009年4月よりカプセル内視鏡検査(以下CE)を導入した。当初9時にCE
を内服し17時に終了する従来の方法で医師が全て行っていたが、2012年7月よりパテンシーカ
プセル(以下PPC)導入に伴い、件数が増加し医師の負担を軽減するなどの目的で、内視鏡技
師(以下技師)が協力・介入する事ができないかと考え、夜間帯を有効利用した方法、具体的
には15時に検査を開始、翌朝7時に終了する方法“overnight- CE”
(以下ON-CE)を、2012年に
立案し、全例に導入している。今回、読影支援システムの導入に伴い、当院における技師介入
の現状について報告する。
【現状】CE介入については、3名の技師(うち読影支援技師認定者
は2名)により専任で行っている。PPC+ON-CE実際の手順であるが、検査当日朝9時にPPC服
用して頂く。検査翌日15時、被験者は直接内視鏡センターに来院され、受付にてPPCの排出確
認後、CE担当医に報告する。排出がなければ腹部レントゲン検査を施行し、判定困難な場合
は腸管エコーもしくは腹部単純CTを施行する。PPCで開通性が確認されれば、技師に連絡が
あり、ワークステーションにチェックインしデータを入力後、当院で作成した独自の運用マニ
ュアルに沿って検査を開始する。CE装着後データレコーダの作動を確認し、30分間右側臥位
にて臥床して頂き、その後リアルタイム画像にて、CEの位置を確認する。小腸粘膜が確認出
来れば、注意事項の説明を行い被験者は帰宅される。電子カルテに、CE内服時間等を入力後、
当直科長に申し送り、検査2日目の7時にセンサアレイを外して病院に持参して頂き、技師はデ
ータレコーダを回収し、ワークステーションにデータをダウンロードする。午後から時間の許
す範囲で、認定技師が読影を行い、夕方医師によりダブルチェックを行う。しかし、内視鏡業
務兼任・人手不足など、通常業務内でのすべての読影は困難であった。そこで、午後から30分
間の時間制限を用いて、読影に集中出来る様に協力を得た。現在まで、他のスタッフに荷重負
担を掛ける事や、検査の滞りは見られていない。【まとめ】当院でのPPC+ON-CE運用の現状
を述べた。この運用方法だと早期診断・治療に繋がる。また技師が検査に協力・介入し、読影
に参加することで医師の負担の軽減、技師の意欲、読影技術の向上に繋がっている。今後の課
題として、放射線技師・病棟スタッフとの情報提供、連携・協力のシステムが整えば、さらな
るチーム医療の推進にも繋がる可能性がある。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
37
S2-4
当院におけるカプセル内視鏡読影支援の現状と
読影精度の向上への試み
伊藤 有希子1)、佐川 保2)、浅黄谷 美里1)、高森 晴美1)、櫻田 晃2)、
松野 鉄平2)、佐藤 康裕2)、中村 とき子2)、藤川 幸司2)、高橋 康雄2)
シンポジウム2
国立病院機構北海道がんセンター 外来内視鏡センター
1)
国立病院機構北海道がんセンター 消化器内科
2)
【背景と目的】
カプセル内視鏡読影支援技師認定制度のもとカプセル内視鏡画像診断を支援する小腸カプセル
内視鏡読影支援技師(以下「CE読影支援技師」
)が誕生した。当院でも内視鏡技師(看護師)
3名が認定され、平成26年8月よりCE読影支援技師による1次読影を開始した。一方、読影の質
の担保が重要であることからCE読影支援技師に対して内視鏡Pre-Reader評価フォーム(第7回
本学会にて発表)を用いて独自に診断能の評価およびfeedbackし、読影精度の向上に努めるこ
ととした。目標はこの取り組みから6ヶ月後に「CE読影支援技師が“1次読影”して異常と思
われる画像を拾い上げサムネイル画像を作成、医師はそのサムネイル画像をみて診断すること
で医師負担を軽減する」である。今回、その取り組みと成果について報告する。
【方法】
1. 読影支援について
1)一次読影の方法:①ランドマークのキャプチャ、②サムネイル作成とコメント入力、③一
次読影レポート作成、④内視鏡Pre-Reader評価フォームの記入。
2)CE読影支援技師はCE検査が施行された3日以内に1次読影を行う。活動性の出血性病変を
認めた場合には直ちに検査をオーダーした医師に連絡する。
3)overt ongoing bleedingの症例に関してはCE検査当日に読影を行い、結果を直ちに検査オー
ダー医に知らせる。尚、現時点では2次読影に関しても医師がフル読影をしている。
2. 読影精度の向上について
Pre-Reader評価フォームを用いて評価、CE読影支援技師にfeedbackする。
【結果】
1. 現時点ではまだ医師もフル読影をしており、時間的な短縮には寄与していないものの心理的
な負担軽減にはなっている。
2. 血管性病変・潰瘍性病変に比較して腫瘍性病変の診断能はやや低かった。類似画像による診
断結果参照が読影精度向上に寄与した。
【考察】
CE読影支援技師による読影支援は膨大な画像を読影していた医師の負担を軽減するとともに
検査効率の向上に繋がると考えられた。また、読影精度はそれ以上に重要であり、医師の診断
結果をCE読影支援技師にfeedbackすることによりCE読影支援技師の読影精度向上に繋がると
考えられた。
38
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
S2 - 5
カプセル内視鏡読影支援において精度を上げるために
〜当院での取り組み〜
松本 裕子1)、村上 雅也1)、川上 美里1)、武田 真理子1)、山﨑 之良2)、
李 兆亮2)、田村 公佑2)、柚木崎 紘司2)、宮崎 純一2)、阿部 孝2)
シンポジウム2
宝塚市立病院 消化器内視鏡センター 内視鏡技師、
1)
宝塚市立病院 消化器内視鏡センター 医師
2)
【背景・目的】当院では2010年7月に、小腸カプセル内視鏡検査(以下CE)を導入した当初よ
り、読影支援には技師が携わっている。2014年度より、「カプセル内視鏡読影支援技師認定制
度」が開始され、当院でも4人の内視鏡技師が読影支援技師に認定され、今後ますます読影を
強化する必要性がある。今回、カプセル内視鏡読影支援において精度を上げるために、当院で
取り組んでいる内容について報告する。
【対象・方法】当院では、院内でCEを年間約120件施行、
他院から年間約120件の読影依頼を受けている。CEの読影支援においては、4人の担当技師を
配属している。2010年7月から2012年4月までは、1人の技師が読影支援を行った後、医師が確
認していた。①医師がJACE主催の読影セミナーで読影はダブルチェックが望ましいと講義を
受けた。②読影支援に携わるためのトレーニング中にダブルチェックを行っていた時に、びら
んや発赤などの微小病変において、二人で確認した際、検出率が向上した。上記をきっかけに、
2012年5月からは、1人の技師の読影支援後に他の技師が再度画像を確認(ダブルチェック)し
医師の確認を実施した。2012年5月から2014年9月までに当院CEの274件、他院読影支援226件
においてダブルチェックを施行した。ダブルチェックを開始したことで、結果が遅くならない
よう、①次回診察日の確認、②緊急性の有無の確認などを事前に行った。出血などで、急ぎで
報告が必要な場合は主治医に連絡し、画像を確認してもらう。他院の読影支援においては、サ
ムネイルの作成とルイススコアの前評価を実施している。
【結果】読影を技師でダブルチェッ
クした際、0〜2個のサムネイルの追加があったが、主要病変の追加はなかった。【考察】読影
を技師でダブルチェックすることで、見落としなどのリスクを減少でき、読影支援の精度向上
へと繋がる。【結論】当院でも大腸カプセルの導入を予定しており、ますます読影支援を行う
機会が増えてくると思われる。今後も読影の精度を上げるため、より一層努力していきたいと
考える。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
39
S2-6
読影支援技師の読影力に関する検討
千葉 勇介、川西 啓太、小松 悠弥、北岡 慶介、高梨 訓博、和賀 永里子、
勝木 伸一、藤田 朋紀
シンポジウム2
小樽掖済会病院 消化器病センター
【目的】小腸カプセル内視鏡の小腸のみ、かつ潰瘍性病変と血管病変に絞り、カプセル内視鏡
読影医と読影症例数150程度の読影支援技師(以下A)と読影症例数10程度の読影支援技師(以
下B)を比較し、医師・A・Bの読影力について検討する。①病変の拾い上げの精度、②病変重
複の有無、③ランドマークの精度を比較することで一次読影の意義を考える。【方法】①医師
・A・B各々の読影者がブラインドで読影して所見をつける。②「所見の正誤」「所見重複の有無」
「ランドマークの正誤」を判断する。③読影結果の正答率を検証する。
【対象】2014年8月〜9月
に小腸病変が疑われ小腸CEを行った6症例、平均年齢66.4、男女比2:4【結果】医師と技師の
読影結果を検証して最終的なレポートとした。その結果、潰瘍性病変は6症例中3症例に認め
た。Aは2症例において医師より1つずつ多く微小潰瘍性病変を発見したが1症例1病変において
見つけられなかった微小潰瘍があった。Bは3症例において計7ヶ所微小潰瘍性病変の見落とし
があった。血管病変は6症例のいずれも点状発赤などの病的意義不明な病変であったが、6症例
21病変中医師に2ヶ所、Aに3ヶ所、Bに7ヶ所の見落としがあった。Bに通過時間の誤りが1ヶ所、
残渣の多い回盲部で大腸に到達したのを見落としたためランドマークの位置がずれていた。
【考
察】医師とAでは所見の数に大きな違いは無いものの、Bは若干少なかった。読影支援技師は
病的意義のないものを拾い、用語の間違いが存在したが重大な所見の見落としは無かった。当
院の経験においては読影の症例数が増えることにより病変を覚え、見落としを少なくすること
ができるため読影力の向上に繋がると考えられた。
【結論】支援技師の一次読影は経験値が向
上することにより医師の補助診断としての意義が増すと考えられた。
40
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
S2 - 7
大腸カプセル内視鏡読影支援センターにおける、
読影の実際と読影精度向上の取り組みについて
渡部 宏嗣
若宮渡部医院
保険適用となった。我々は2014年3月より、CCE読影支援センター(first CE reading support
center;以下FCERC)の運用を開始した。今回、CCE読影支援センターにおける、読影業務
の実際及び読影精度向上の取り組みについて報告する。
【読影支援の実際】読影支援は以下の手順により行った。①CCE実施各施設より、連結不可能
匿名化されたCCEデータを依頼状と共にギブン・イメージング社内に設置された読影支援セ
ンター(以下、G社サポートセンター)に送付して頂く。②G社サポートセンターは、CCEデ
ータに新たなIDを付与した上で、匿名化データを外部サーバーにアップロードし、読影依頼
が発生した旨を、FCERCに連絡する。③FCERCにおいては、読影の質を担保するため、3名
の消化器内科医師が独立してCCEを読影することとした。3名の内訳は、非認定医(小腸CE読
影20例)1名、CE暫定認定医(小腸CE読影500例以上)1名、CE暫定指導医(小腸CE読影500
例以上)1名である。各読影医師が、外部サーバーにアクセスし、各自が読影した上で、レポ
ートをアップロードした。④2名以上が指摘した場合は病変とした。1名しか指摘していない場
合は、暫定指導医が再読影し、病変かどうか判断した。⑤FCERCからG社サポートセンター
に読影が終了した旨を連絡し、G社サポートセンターから、電子メールにより、最終レポート
を依頼施設に送付した。
【結果】2014年7月現在、18例の読影支援を実施した。腫瘍性病変ありとした症例は12例であっ
た。7例は、全読影医が病変を指摘していた。3例は、読影医2人が指摘していた。2例は読影医
1人しか指摘していなかった。小腸内視鏡読影経験と大腸腫瘍性病変発見能との間に、一定の
関係は認めなかった。
【まとめ】CCE読影支援の実際について報告した。CCEは未だ医師の経験が十分とは言えない
状況であるが、複数の医師が独立して読影することにより、診断能の向上を得られることが示
唆された。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
41
シンポジウム2
【背景】2014年1月、大腸カプセル内視鏡(colon capsule endoscopy;以下CCE)が本邦にて
S2-8
大腸カプセル内視鏡遠隔読影システムの構築
シンポジウム2
田中 富士男1)、野々垣 浩二1)、西川 貴広1)、佐野 充子1)、梅田 千波1)、
加藤 正直1)、松永 純也1)、鈴木 結子1)、野呂 美幸1)、高田 憲昭1)、
安野 泰史1)、小谷 勝祥1)、吉川 公章1)、中村 正直2)、後藤 秀実2)
社会医療法人宏潤会大同病院、2)名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学
1)
【背景】
小腸用カプセル内視鏡(以下CE)を実施する病院側としてCE読影業務は画像枚数が非常
に多く、日常業務を行いながら、読影を行う事は困難であった。またCEの読影には経験を
積んだ専門家が必要であるが、各病院には配置できないのが現状である。
概に小腸用CE読影のため遠隔読影システムが実用化されているが、この経験のある名古
屋大学と共同で大腸用カプセル内視鏡遠隔読影システムの構築を行ったので報告する。
またシステム運用に伴い画像読影支援センターを立ち上げ、CE読影支援技師育成を行った。
【方法】
1)システム構成
カプセル遠隔読影システム(富士フイルムメディカル社製)は、インターネット上にクロ
ーズドネットワーク(VPN)を構築し、セキュリティ強化を図り、光回線によって膨大な
画像データの転送を行える形とした。また転送後はCE読影支援技師が一次読影し、医師は
読影結果からレポートを作成、依頼元にVPN経由で結果を返却する方式とした。
2)CE読影支援技師育成
CE読影支援技師の育成を目的に医療スタッフ(兼務)を配置し、e-ラーニングの受講と
学会参加を行った。また読影力向上の為、読影業務に専従する時間の確保を各部署に依頼し、
読影業務の時間確保を行った。
【結果】
・対外的ネットワークと医師・CE読影支援技師による読影環境の整った専用室(画像読影
支援センター読影室)を確保し、遠隔読影システムを構築した。
・CE読影支援技師育成により看護師2名、臨床検査技師2名、放射線技師3名のCE読影支援
技師有資格者7名となった。
【考察】
・大腸カプセル内視鏡遠隔読影システムを導入することで、以下の4点の業務改善が可能と
なる。
1)USBを宅配便で配送し読影までのタイムロスが減少する。
2)USB紛失のリスクを無くして安全性の確保ができる。
3)予約受け付けからレポート返信までの業務を効率化する。
4)CE読影支援技師と医師による多人数観察で見落としを減少させる。
【結語】
今後、本システムの認知を促し連携病院の増加に努める必要がある。また日頃より読影業
務、院内勉強会、学会参加なども継続して行い、読影力の向上に努める必要性がある。
42
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
ワークショップ
第 一 会 場
15:00~17:00
座長:大宮
藤森
小腸カプセルの新たな応用
直木 藤田保健衛生大学 消化管内科
俊二 日本医科大学 消化器内科学
W-1
パテンシーカプセル排出率及び、被ばく率は、
投与前のピコスルファート内服により改善されうる
W-2
パテンシーカプセルによる小腸狭窄性病変へのアプローチ
W-3
パテンシーカプセルの開通性診断における腹部超音波の有用性
W-4
小児におけるパテンシーカプセルの有用性
W-5
クローン病小腸病変に対するパテンシーカプセル内視鏡の有用性
W-6
クローン病患者に対するパテンシーカプセル、カプセル内視鏡の有用性の検討
W-7
術後クローン病症例に対するカプセル内視鏡検査の現状
W-8
原因不明消化管出血の診断治療における小腸カプセルおよび
バルーン内視鏡検査の検討
W-9
肝硬変患者における門脈圧亢進症性小腸症の経過と増悪予測因子
W-10
カプセル内視鏡による潰瘍性大腸炎小腸病変の検討
W-11
消化管ポリポーシスにおけるカプセル内視鏡検査の有用性の検討
W-12
小腸カプセル内視鏡の遺伝性消化管ポリポーシス症候群の
小腸病変精査における有用性についての検討
W-13
消化管濾胞性リンパ腫患者の診療におけるカプセル内視鏡の現状と今後の展望
−多施設共同研究の結果から−
岡山大学病院 光学医療診療部 川野 誠司
特別発言
富山大学医学部 第三内科講座 三原
東京女子医科大学 消化器内科 大森
鉄平
川崎医科大学 消化管内科学 石井
久留米大学 内科学講座消化器内科部門 桑木
弘
学
光太郎
藤田保健衛生大学 消化管内科 鎌野
三重大学医学部附属病院 光学医療診療部 葛原
金沢大学附属病院 消化器内科 加賀谷
俊彰
正樹
尚史
東京慈恵会医科大学附属病院 消化器・肝臓内科 西村
広島大学病院 内視鏡診療科 青山
福岡大学筑紫病院 消化器内科 二宮
岡山大学病院 消化器内科 杉原
札幌医科大学 腫瘍・血液内科 大須賀
名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学 後藤
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
尚
大輝
風夫
雄策
崇裕
秀実
43
W- 1
パテンシーカプセル排出率及び、被ばく率は、
投与前のピコスルファート内服により改善されうる
三原 弘、藤浪 斗、南條 宗八、吉田 啓紀、安藤 孝将、西川 潤、梶浦 新也、
細川 歩、杉山 敏郎
富山大学医学部 第三内科講座
ワークショップ
【背景・目的】小腸用カプセル内視鏡(CE)の小腸開通性確認のためのパテンシーカプセル(P
C)が原形排出されなかった場合、PCの位置確認のため、腹部X線検査や腹部CT検査が必要
となるが、腹部X線検査の正診率の低さ、及び、画像検査による被ばくが問題となっている。
排出率向上のためPC投与後のモサプリドやルビプロストンの投与や、低線量CT検査での被ば
く低減の試みが報告されているが、当科では、PC投与前のピコスルファート投与での原形排
出率上昇、及び被ばく低減効果を報告して来た。今回、症例数の増加に伴い再解析を行った結
果を報告する。
【対象・方法】2013年1月から、2014年9月までに当施設で、施行したPCのうち前投与なし群(C
群)及び、ピコスルファート前投与群(P群)における患者背景(前処置の有無、年齢、性別、
基礎疾患、開腹歴)及び、検査結果(PC開通性、開通性が確認された症例での原形排出率、
滞留率、X線・CT検査の有無)を検討した。なお、30時間未満に画像検査が施行された症例
は除外した。
【結果】対象期間内に施行されたPCは54症例で(重複含む)
、C群33例、P群21例であった。男
性率はそれぞれ67%、52%、年齢中央値は両群40歳、基礎疾患は、クローン病がそれぞれ82%、
81%、開腹歴はそれぞれ39.4%、42.9%であり、明らかな群間差は認めなかった。検査結果と
しては、PC開通率は、それぞれ90.9%、95.2%、開通性が確認された症例での原形排出率はそ
れぞれ60%(18/30)
、
95%(19/20)でありC群に比べてP群で有意に原形排出率が高かった(χ
二乗検定、p<0.01)
。なお、滞留例や前処理、及びPC投与により腹痛を訴えた症例はなかった。
腹部X線検査もしくは腹部CT検査が追加された症例は、それぞれ48.5%(16/33)、19.0%(4/21)
であり、C群に比べてP群で有意に少なかった(χ二乗検定、p<0.05)
。
【結論】ピコスルファ
ートの前投与により、PCの原形排出率は向上し、被ばくが低減される可能性が示唆された。
44
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
W- 2
パテンシーカプセルによる小腸狭窄性病変へのアプローチ
大森 鉄平、中村 真一、栗山 朋子、伊藤 亜由美、米澤 麻利亜、飯塚 文瑛、
白鳥 敬子
東京女子医科大学 消化器内科
の適応疾患が拡大された。PCによる開通性評価が不可と判定された場合CEの施行は困難であ
るが、PCの停滞部位を同定する事で有意病変の部位同定・治療がより積極的に行えることが
考えられた。そこで今回当院での使用経験をもとに、PCを用いた小腸狭窄性病変へのアプロ
ーチを検討した。
【対象と方法】2012年7月から2014年10月までに当院でPCを用いた185例のうち、腸管通過性が
不可と判定した18例(クローン病15例(うち3例が疑い)
、イレウス3例)を対象とし、臨床経
過を遡及的に解析した。PCの使用法は前日21時からの絶食下で、翌朝PC服用1時間前にクエ
ン酸モサプリド15mを使用したのち、9時にPCを服用した。PC服用2時間後より水分摂取、4時
間後より経口摂取可能とし、服用24時間後の翌日9時に開通性評価をおこなった。開通性評価
判定にはトモシンセシスを用いた。
【結果】開通性不可と判定した後に、17/18例(94.4%)にCTを施行した。PC近傍の所見とし
て吻合部6例、腸管壁肥厚6例、腸管拡張像2例がそれぞれに認められ、3例はCT上に明らかな
所見が認められなかった。14/18例(77.8%)にバルーン内視鏡(BAE)(経口5例、経肛門9例)
を施行した。13/14例(92.8%)に有意な病変が指摘され、6例にバルーン拡張を施行、3例が
手術適応と判断され外科治療を施行した。CTで明らかな所見を認めなかった3例はBAEによ
り腸管異常が指摘され、1例がバルーン拡張、2例が外科治療を施行する必要があった。全例に
おいてPCによる腸閉塞は認めなかった。バルーン内視鏡を施行し得た4/14例(28.6%)におい
てPCコーティング膜の遺残が確認され、内視鏡的に回収を行った。
【結論】PCで開通不可判定に至りBAEを施行した64.3%が治療内視鏡もしくは外科治療適応を
要していた。PCによる開通不可判定はリスクを有するBAEを施行する重要な要素となり、か
つ治療介入の機会となりうるものと考えられた。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
45
ワークショップ
【目的】2012年7月より、
パテンシーカプセル(PC)が使用可能となりカプセル内視鏡検査(CE)
W- 3
パテンシーカプセルの開通性診断における
腹部超音波の有用性
石井 学1)、塩谷 昭子1)、垂水 研一1)、藤田 穣1)、松本 啓志1)、鎌田 智有1)、
河上 真紀子2)、本多 啓介3)、眞部 紀明4)、畠 二郎4)、春間 賢1)
川崎医科大学 消化管内科学、2)川崎医科大学附属病院 内視鏡・超音波センター、
1)
川崎医科大学 総合臨床医学、4)川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波)
3)
ワークショップ
【背景】
近年、
クローン病(以下CD)の長期予後改善の指標として、内視鏡的粘膜治癒が注目されている。
その評価にはカプセル内視鏡(以下CE)が有用であるとされているが、CD症例にCEを施行
する際には、滞留を予防するため、パテンシーカプセル(以下PC)よる開通性診断が重要で
ある。しかしながら、
一般的にPCEの開通性診断に用いられる腹部レントゲン(以下XP)では、
PCの局在診断に苦慮する場合が多く経験される。
【目的】
CDを含む小腸の狭窄が疑われた症例に対する、PCの開通性診断における腹部超音波(以下
US)の有用性に関して、遡及的に検討することである。
【対象と方法】
CDを含む小腸の狭窄が疑われた症例52例(女性30例、平均年齢51歳)を対象とした。イレウ
ス症例、小腸造影あるいはUSにて口側に拡張を伴う小腸狭窄または大腸に明らかな強度の狭
窄を有する症例は除外した。開通性評価は、PCE内服33時間以内に回収されたPCの形態によ
り行い、回収できなかった症例に対しては、約33時間後にXPおよびUSにより行った。開通性
が確認された患者に対して、2週間以内にCEを行った。USによるPCEの局在診断に関する有
用性に関して検討した。
【結果】
全52例中、CDあるいはCDが疑われた症例は32例、その他20例であった。PC排泄の目視が可
能であった症例は22例、XPで体外に排泄が確認できた症例は8例(15.4%)、XPで大腸内に確
認された症例は4例、XPでは局在の判定が困難であった症例は17例、PCが内服できなかった
症例は1例であった。局在診断が困難であった17例(32.7%)にUSを施行し、6例は小腸内に、
7例は大腸内にPCが存在していることを確認し、4例はUSでは小腸に存在しないことが確認で
きた。USで小腸内にPCを確認した6例はCEを中止し、その他の4例のうち、2例はUS終了後2
時間で体外にPCが排泄され、2例はPCの肛門側の小腸にUSで狭窄を認めず、CT検査で大腸内
にPCが局在していることが確認できたためCEを施行した。PCで開通を確認できた45例にCE
を施行したが、滞留例は認めなかった。
【結語】
PCの開通性診断においてUSは有用であり、PC開通性診断によりカプセル滞留の危険性が高い
クローン病の診断および治療評価においてCEは安全に施行可能である。
46
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
W- 4
小児におけるパテンシーカプセルの有用性
桑木 光太郎1)、吉岡 慎一郎1)、柳 忠宏2)、福永 秀平1)、山内 亨介1)、
山崎 博1)、竹田津 英稔1)、光山 慶一3)、鶴田 修4)、鳥村 拓司1)
久留米大学 内科学講座消化器内科部門、2)久留米大学 小児科学講座、
1)
久留米大学 内科学講座消化器内科部門炎症性腸疾患センター、
3)
久留米大学病院 消化器病センター内視鏡部門
4)
が示されてきている。しかし、CEの偶発症である「滞留」のおそれのために、特にクローン病
などの腸管狭窄を有する症例ではCEが行えないことがある。2012年7月より崩壊性カプセル(パ
テンシーカプセル:PC)でCEの前に消化管の開通性を評価することで、今までCEの適応で
はなかったクローン病を含めて多くの小腸疾患にも対象が広がった。一方、小児科領域での炎
症性腸疾患数は近年増加傾向にあり、診断や治療効果判定のために種々の画像検査が行われて
いる。X線造影検査やバルーン内視鏡検査を含めた消化管内視鏡検査の侵襲性は小児患者にお
いては成人よりもさらに負担が大きいと考えられる。そこで今回我々は15歳未満の小腸病変を
疑う患者にPCの有用性を検討した。
【方法】2012年7月〜2014年9月に小腸疾患を疑われ、小腸精査が必要と判断した15歳未満の10
例を対象とした。PCでの開通性評価およびその後のCEについて検討を行った。
【結果】対象の内訳は性別が男児2例、女児8例であった。年齢の中央値は13歳(5-14歳)、検
査前診断はクローン病7例、慢性下痢2例、腸管ベーチェット病1例であった。10例中5例がPC
内服後30時間未満に目視で体外に変形なく排出されたのを確認でき、2例が30時間以上33時間
未満で体外に変形なく排出されたのを確認した。残りの3例も33時間の時点でX線写真により
変形なく大腸内に到達しているのを確認できた。PC後CEを実施するまでは平均3.3日(1-7日)
であり、全例が8時間以内の撮影で大腸まで到達していた。
【考察】小腸疾患を疑う15歳未満の症例でもPCを用いて開通性評価を行うことで、安全にCE
が行える可能性が示された。発達中の小児には被爆は憂慮すべき問題であり、侵襲性の観点か
らもその位置づけを検討する必要があり、今後の症例の蓄積が重要と考えられる。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
47
ワークショップ
【背景】小腸疾患の診断のためカプセル内視鏡(CE)は広く行われるようになり、その有用性
W- 5
クローン病小腸病変に対する
パテンシーカプセル内視鏡の有用性
鎌野 俊彰、大宮 直木、大森 崇史、城代 康貴、宮田 雅弘、生野 浩和、
小村 成臣、中野 尚子、長坂 光夫、中川 義仁、平田 一郎
藤田保健衛生大学 消化管内科
ワークショップ
【目的】パテンシーカプセル(PC)による消化管通過性検査が2012年7月保険適用となり、カ
プセル内視鏡(CE)によるクローン病(CD)の小腸粘膜病変の評価が可能となった。これま
でCDの小腸病変の評価は主に小腸X線検査経管法で行われてきたが、被爆や苦痛、微細な病
変の描出には術者の熟練を要する等の問題点があった。今回CDに対するCEの有用性に関して
検討した。
【対象・方法】対象は2013年8月から2014年9月までにPCを施行したCD(疑いを含む)
22症例23件で、
そのうち開通性が確認された20症例21件(91%)に対してCEを施行し、患者背景、
臨床的活動性の指標であるCDAI(活動性150以上)
、血清CRP値、大腸到達率、到達時間、有
所見率、ルイススコア(活動性135以上)を検討した。開通性の評価はKUB、低線量CTで行
った。
【結果】PCを施行した22症例のうち2例はともにCTで小腸内にPCを確認、開通性がな
いと判断した。CEを施行した20症例21件の内訳は男性14件、女性7件、平均年齢は36.6±12.5
(中央値41.0)歳、病型は小腸大腸型14件、小腸型6件、虫垂型1件、平均罹病期間は8.0±8.6(中
央値7.0)年、手術歴のある症例9例、CEの大腸到達は19件(90.5%)、食道通過時間4.7±5.1秒、
胃通過時間55.8±55.7分、小腸通過時間255.2±114.0分であった。有所見率は15件(71.3%)、所
見の内訳はびらん、アフタ、小潰瘍、縦走潰瘍、縦走潰瘍瘢痕、吻合部潰瘍であった。狭窄(吻
合部狭窄を含む)は5件6か所で認めた。この狭窄例の大腸到達は4/5件(80%)であった。狭
窄部の停滞時間は10.8±6.4分(40秒〜22分)であった。CDAIは114±61.5、血清CRP値は0.8±
0.05mg/dLであった。全小腸観察できた19件のルイススコアは890.6±361、CEで所見があるに
も関わらず血清CRP値が基準値以下である症例は5/15件(33.3%)、CDAI値150未満は10/15件
(66.7%)、ルイススコア135未満は5/15件(33.3%)であった。CEを施行した21件に滞留等の偶
発症は認めなかった。【考察】CDに対するCEはPCの導入で開通性が確認できれば滞留するこ
となく施行できた。血清CRP陰性例やCDAI低値例であってもCEで小腸病変を描出することが
でき、CEは小腸粘膜病変の活動性評価に有用であると考えられた。
48
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
W- 6
クローン病患者に対する
パテンシーカプセル、カプセル内視鏡の有用性の検討
葛原 正樹1)、原田 哲朗2)、田野 俊介1)、北出 卓1)、濱田 康彦1)、田中 匡介1)、
中西 佳子1)、中村 亜弓1)、堀木 紀行1)、竹井 謙之2)
三重大学医学部附属病院 光学医療診療部、2)同 消化器肝臓内科
1)
通性が確認できれば、クローン病患者に対しても小腸カプセル内視鏡(以下 SBCE)を行う
ことが可能となった。【目的】クローン病患者におけるPC、SBCEの使用状況と有用性につい
て検討すること。
【対象】2012年7月から2014年9月までに当院でPCを施行したクローン病患者
32例を対象とした。患者背景は平均年齢38.5歳、性別(男/女=23/9)、平均罹病期間9.7年(0-25
年)、病型(小腸型/大腸型/小腸大腸型=6/4/22)
、治療歴(あり/なし=27/5)
、手術歴(あり
/なし=20/12)(回盲部切除9例、右半結腸切除4例、大腸亜全摘3例、回腸部分切除4例)
、検査
契機は有症状23例(下血・貧血8例、下痢9例、腹痛・膨満感4例、その他2例)、無症状9例(大
腸型における小腸病変検索も含む)であった。【方法】①PC使用成績(開通率、確認方法)②
SBCE結果③PC、SBCEの偶発症をretrospectiveに検討した。PC内服後30-33時間までに排出さ
れた場合、腹部レントゲンあるいはCTなどの画像検査で大腸にPCを確認できた場合を開通性
ありと判定した。開通性確認後2週間以内にSBCEを施行し、病変の評価を行った。
【結果】①
PC開通率は87.5%(28/32例)であった。確認方法は目視確認16例、腹部レントゲン9例(自然
排出7例)
、CT7例(開通なし5例)であった。②PCで開通性が確認された28例のうち27例に対
してSBCEを行ったところ、全小腸観察率は81.5%(22/27例)で、滞留は1例も認めなかった。
有所見率は77.8%(21/27例)で、症状別では有症状例で83.3%(15/18例)
、無症状例でも55.6
%(5/9例)で所見を認めた。所見の内訳は縦走潰瘍4例、小潰瘍・びらん12例、吻合部潰瘍5
例であった。このうち新たな内科的治療が追加された症例は5例(IFX2例、ADA1例、AZA2例)
で、その他の症例は経過観察が選択された。PCで開通性が確認されなかった4例のうち3例は、
ダブルバルーン内視鏡で開放性潰瘍を伴う狭窄を確認され、うち2例で外科手術を施行された。
③PC、SBCEに伴う偶発症(穿孔、イレウスなど)は認めなかった。【結語】PCを使用するこ
とでクローン病患者におけるSBCEを安全に施行することが可能で、SBCEは治療方針決定に
も有用であった。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
49
ワークショップ
【背景】2012年7月からパテンシーカプセル(以下 PC)が本邦でも臨床導入された。PCで開
W- 7
術後クローン病症例に対するカプセル内視鏡検査の現状
加賀谷 尚史、北村 和哉、鷹取 元、中河 秀俊、金子 周一
金沢大学附属病院 消化器内科
【目的】クローン病(CD)診療においてカプセル内視鏡検査(CE)が、広く行われるように
ワークショップ
なっているが、手術既往症例に対する検討は少ない。
【方法】当院にて施行したCE検査のうち、手術既往CD症例の臨床背景、検査結果について検
討し、術後症例に対するCE検査の現状を検討した。
【結果】原則的にCD症例のCE検査前には、パテンシー検査(PC)を施行した。2014年7月ま
での検査件数は、51例65件(重複例7例)であった。
PC検査『開通性なし』17例のうち、術後症例は9例であった。平均CDAI58.8、CRP 0.3mg/dl、
albumin(alb)4.0g/dlであった。病変部位はモントリオール分類L1:L2:L3=4:1:4であったが、
L2例のPC不通過部位は回結腸吻合部であった。
PC検査『開通性あり』で、CE検査を施行した48件のうち術後症例は22件(男性:女性=9:13)
であり、検査時平均年齢37.8歳。診断時年齢24.2歳。いずれも滞留の合併症は認めなかった。
(A) 手術後1年以内にCE検査を行った4件の、検査時平均CDAI 58、CRP 0.4mg/dl、alb
3.9g/dlであった。活動性病変は3件に認められ、治療法の変更が2件に行われた。
(B)
手術後1年以後にCE検査を施行した18件の、検査時平均CDAI 73、CRP 0.2mg/dl、alb
4.1g/dlであった。活動性病変は10件に認め、モントリオール分類(A、L、B)、CDAI、CRP値、
Alb値、WBC値、Hb値、plts値、治療内容といったパラメーターと活動性病変の間に有意な関
連は認めなかったが、非活動性症例で術後CE検査時期は短い傾向があった。活動性症例のう
ち6件で治療の強化介入がなされ、4件では経過観察された。
(C)経過で複数回のCE検査を行った症例は4例であり、初回CE検査結果を元に1例では手術を
行われた。3例では経過観察されたが、平均11.3か月後の経過観察CE検査で、Lewis scoreの上
昇が確認され治療強化が行われ現在経過観察中である。
【結論】手術既往CD例において、既報のごとくCDAIやCRP、alb値では、活動性病変の評価は
困難であり、CE検査による粘膜病変の拾い上げが可能と考えられた。所見に基づく治療介入
が自然経過やQOLの維持に有効であるかどうか、今後の経過観察が必要である。
50
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
W- 8
原因不明消化管出血の診断治療における
小腸カプセルおよびバルーン内視鏡検査の検討
西村
小林
猿田
斎藤
尚1)、澤田 亮一1)、井出 大資1)、林 依里1)、小林 寛子1)、樺 俊介1)、
雅邦1)、斎藤 恵介1)、岩崎 哲良1)、荒井 吉則1)、菰池 信彦1)、
雅之1)、有廣 誠二1)、松岡 美佳1)、玉井 尚人2)、相原 弘之2)、
彰一2)、加藤 智弘2)、田尻 久雄1、2)、
東京慈恵会医科大学附属病院 消化器・肝臓内科、2)同 内視鏡科
1)
当院における、原因不明の消化管出血(Obscure gastrointestinal bleeding、以下OGIB)症
例の診断・治療に対する、小腸カプセル内視鏡(capsule endoscopy、以下CE)およびバルー
ン小腸内視鏡(Balloon assisted enteroscopy、以下BAE)の有用性について検討した。
【対象】
2005年4月から2014年6月までに当院でCEおよびBAE(2007年10月以降)を施行した症例。男
性274名、女性145名(平均年齢61歳)
。
【方法】
①Given Imaging社のPillcamⓇSB・SB2カプセル及びカプセル内視鏡システムを使用した。
②ガスコン水200mlとともにカプセルを嚥下し、内服後から2時間で飲水可、4時間後に食事可
とした。
③翌日にデータレコーダーを回収し、2名の内視鏡医が独立して読影した。
【結果】全小腸観察:354例/419例(84%)
胃平均通過時間:40.8分(37秒-321分)
小腸平均通過時間:288分(31分-788分)
偶発症:あり 停滞4例/419例 停滞1例/419例
CE及びBAEが行われた419症例のうち、Overt OGIBを主訴として行われた症例は43%(181症
例)であった。
Overt OGIBを主訴とし、CEを行った症例では、出血源を同定出来たものは67%であり、従来
の報告とほぼ同様であった。
(Am J Gastroenterol 2007;102:89)
CEでは異常はなく、BAEにより病変を指摘された症例は5症例であった。内訳は、Meckel憩
室3例、angiectasia1例、長径4cmの腫瘍性病変1例であった。従って、OGIB症例においてCE
で異常なしと判断された場合であっても、出血症状が継続する症例においては、BAEを含め
た他modalityの適応を検討すべきと考えられた。
【結語】
当院で経験したOGIB 181症例を対象に、CE並びにBAEを行った症例について検討を行い、そ
の有効性と限界について報告した。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
51
ワークショップ
【目的】
W- 9
肝硬変患者における門脈圧亢進症性小腸症の経過と
増悪予測因子
青山 大輝1)、岡 志郎1)、相方 浩2)、田中 信治1)、茶山 一彰2)
広島大学病院 内視鏡診療科、2)同 消化器・代謝内科
1)
【背景】これまで我々は肝硬変患者の門脈圧亢進症性小腸症(PHE)診断に対するカプセル内
ワークショップ
視鏡(CE)の有用性とその予測因子について報告した(Aoyama T, et al. JGH 2014)。しかし、
これまでPHEの臨床経過についてCEで検討した報告はない。
【目的】肝硬変患者におけるPHEの経過と、その増悪予測因子を明らかにする。
【対象と方法】2009年2月から2014年8月に当科でCEを施行した肝硬変患者238例のうち、少な
くとも半年以上CEで小腸病変の経過が追えた33例(男性22例、女性11例、平均年齢67歳、平
均観察期間19ヶ月(6-52ヶ月)
)を対象とした。PHE増悪の頻度とCE所見の内訳、PHE増悪の
有無と年齢、性別、肝硬変成因(ウイルス性/非ウイルス性)、および肝予備能(Child-Pughス
コア)
、門脈側副路(PSs)
、肝細胞癌、門脈栓、脾腫、腹水、食道静脈瘤(EVs)
、胃静脈瘤、
門脈圧亢進症性胃症(PHG)増悪の有無との関連を検討した。また、初回CE後の肝細胞癌治
療歴、食道・胃静脈瘤治療歴とPHE増悪の関連についても検討した。今回、PHEの増悪は、
CEで小腸に新たな病変の出現があったもの、既存病変(程度、範囲)の悪化があったものと
定義した。CEはGiven Imaging社のPillCam SB2/SB3を使用した。
【結果】13例(39%)にPHE所見の増悪を認めたが、20例(61%)は不変であった。PHE所見
改善例は1例も認めなかった。なお、PHE増悪の見られた13例の初回CE所見の内訳は、異常な
し5例(15%)
、
発赤6例(18%)
、
絨毛浮腫4例(12%)、毛細血管拡張4例(12%)、びらん2例(6%)、
小腸静脈瘤0例(0%)
、
であった。増悪後のCE所見の内訳は、異常なし0例(0%)、発赤10例(30%)、
絨毛浮腫9例(27%)
、毛細血管拡張5例(15%)
、びらん2例(6%)
、小腸静脈瘤1例(3%)であ
った。PHE増悪と関連した有意な因子は、PSs(P=0.0056)、EVs(P=0.0016)、PHG(P=0.0012)
の増悪であった。肝細胞癌治療歴(P=0.13)および食道・胃静脈瘤治療歴(P=0.24)とPHE
増悪に関連は認めなかった。
【まとめ】肝硬変患者では、造影CT検査にてPSs、上部消化管内視鏡検査でEVsあるいはPHG
増悪を認めた場合にはPHE増悪の可能性が高いが、CEで予測できる可能性がある。
52
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
W- 10
カプセル内視鏡による潰瘍性大腸炎小腸病変の検討
二宮 風夫、山岡 梨乃、金城 健、高田 康道、大門 裕貴、佐藤 祐邦、
久部 高司、平井 郁仁、松井 敏幸
福岡大学筑紫病院 消化器内科
化管病変や小腸病変合併の報告が散見される。今回我々はカプセル内視鏡(CE)にて小腸を
評価しえたUC患者について検討を行った。
【対象・方法】2008年4月から2014年7月までに当院
でCE(GIVEN Imaging社製)を施行したUC患者63例のうち、NSAID服用や感染症合併症例
などを除外した52例を対象としretrospectiveに検討を行った。対象の内訳は男女比27:25、平
均年齢39.3歳、平均発症年齢32.9歳、平均罹病期間6.42年であった。大腸非手術例は39例、大
腸全摘後症例は13例であった。小腸病変の評価はLewis scoreを使用した。病態活動性はUCの
診断基準の臨床的重症度による分類と活動期内視鏡所見による分類を使用した。回腸嚢炎の診
断は、
回腸嚢炎診断基準を使用した。backwash ileitisと思われる病変は点数化しなかった。
【結
果】①大腸非手術例のうち小腸病変を認めたのは39例中16例(41%)であった。男女比は6:10、
平均年齢は34.8歳であった。14例が全大腸型で2例が左側結腸炎型と、有意に(p=0.04)全大
腸型に病変を多く認めた。臨床重症度、内視鏡重症度、治療歴においては病変の有無に有意差
は認めなかった。部位別の比較では上部416点、中部225点、下部203点と上部小腸で高値とな
る傾向にあった。②大腸全摘後症例のうち小腸病変を認めたのは13例中5例(38.5%)であった。
男女比は4:1で平均年齢は42.6歳であった。2例で回腸嚢炎を認めた。治療歴を含め、いずれの
項目においても病変の有無に有意差は認めなかったが、小腸病変を認めた5例のうち回腸嚢炎
を認めなかった3例は、いずれも術後早期に重篤な病変を広範囲に認めた。また、部位別の比
較は上部100点、中部608点、下部1171点と下部小腸で高値となる傾向にあった。
【結語】UC患
者の小腸病変は比較的高率に認められ、非手術例では全大腸炎型に多く、手術例では回腸嚢炎
症例と術後早期の症例に認められた。病変は非手術例では上部小腸に、大腸全摘後例では下部
小腸に優位となる傾向を認めた。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
53
ワークショップ
【背景・目的】潰瘍性大腸炎(UC)の病変は大腸に限局すると考えられてきたが、近年上部消
W- 11
消化管ポリポーシスにおける
カプセル内視鏡検査の有用性の検討
杉原 雄策1)、川野 誠司2)、高嶋 志保1)、竹井 大介1)、半井 明日香1)、
井口 俊博1)、神崎 洋光1)、堀 圭介1)、原田 馨太2)、平岡 佐規子1)、
河原 祥朗2)、岡田 裕之2)、山本 和秀1)
岡山大学病院 消化器内科、2)岡山大学病院 光学医療診療部
1)
ワークショップ
【背景】
消化管ポリポーシスは消化管に100個以上のポリープを呈する疾患群であり、上下部消化管内
視鏡に加え小腸の検索も行うことが望まれる。近年カプセル内視鏡(VCE)の普及に加え、
適応が拡大されたことで全小腸を低侵襲に観察することが可能となり、その有用性が期待され
ている。
【目的】
当科においてVCEを施行した消化管ポリポーシス症例について検討し、小腸surveillanceの有
効性について評価すること。
【対象】
2009年1月から2014年9月までに当院にて消化管ポリポーシスと診断され、上下部消化管内視鏡
およびVCEが施行された19症例(25回)
。
【結果】
男性7例、女性12例、平均年齢50.7(23-81)歳であった。疾患の内訳はFamilial adenomatous
polyposis(FAP)12例(Spigelman分 類stage0;5例、stageⅠ;1例、stageⅡ;5例、stageⅢ;0例、
stageⅣ;1例)
、Cronkhite-Canada syndrome(CCS)4例(5回)、Peutz-Jeghers syndrome(PJS)
2例(7回)、Cowden病1例であった。VCEによる全小腸観察率は84%(21/25)で、滞留等の
有害事象は認めなかった。初回検査時における小腸の有所見率は63%(12/19)で、うちFAP
は50%(6/12)であったのに対し、それ以外の疾患では6/7(86%)と高率であった。また7例
に腫瘍性病変(空腸のみ3例、回腸のみ1例、全小腸3例)を認め、FAP1例、PJS2例に対して
ダブルバルーン内視鏡を用いてEMRを施行した。一方、CCSはステロイド治療による効果判
定目的に、PJSにおいてはEMR後のフォローアップにもVCEを用いていた。
【結論】
消化管ポリポーシス症例においては高率に小腸病変を有しており、そのsurveillanceにおいて
VCEは安全面、効率面からも有効である。
54
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
W- 12
小腸カプセル内視鏡の遺伝性消化管ポリポーシス症候群の
小腸病変精査における有用性についての検討
大須賀 崇裕、佐藤 康史、岡川 泰、大沼 啓之、二階堂 ともみ、石川 和真、
林 毅、佐藤 勉、宮西 浩嗣、小船 雅義、瀧本 理修、加藤 淳二
札幌医科大学 腫瘍・血液内科
(FAP)
)
、ガードナー症候群など)
、または、過誤腫性(Peutz-Jeghers症候群(PJS)、Cowden
病など)の多発性ポリープを来たす疾患であり、大腸のみならず、十二指腸以下の空腸・
回腸においてもポリープや癌が発生することが知られている。近年、本疾患に対し小腸カ
プセル内視鏡(CE)による検索が行われる機会が増えているが、その有用性については、
controversialである。また、本邦ではまとまった報告がなくその実態は不明な点が多い。そこ
で今回我々は、当科で遺伝性消化管ポリポーシスと診断された患者のうちCEを施行得た18例
を対象として、小腸病変の検討を行い、CEの有用性について検討を行った。
【方法】18例の遺
伝性消化管ポリポーシス症候群患者(FAP14例、ガードナー症候群1例、PJS2例、Cowden病
1例)に対してCEを施行し、場所、数、十二指腸ポリープの有無等を検討した。また、DBE
を併用した12例で、CEと検索ポリープ個数の比較検討を行い、CEの有用性を検討した。【結
果】14例(78%)で小腸ポリープを認めた。分布としては、空腸が12例、回腸が10例であった。
5mmより大きなポリープを認めた症例は3例(17%)であり、いずれも空腸に存在した。また、
十二指腸ポリープを有する症例でその頻度が高い傾向がみられた。なお、ガードナー症候群の
1例において、小腸癌を認めた。DBEとの比較では、検出力については両検査に有意な差は認
めず、スクリーニングとしてのCEの有用性が示唆されたが、症例数が少なく、さらなる検討
が必要と考えられた。
【まとめ】遺伝性消化管ポリポーシス症候群に対するスクーニング検査
としてCEは有用と考えられた。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
55
ワークショップ
【目的】遺伝性消化管ポリポーシス症候群は遺伝性に腫瘍性(Familial adenomatous polyposis
W- 13
消化管濾胞性リンパ腫患者の診療におけるカプセル内視鏡の
現状と今後の展望−多施設共同研究の結果から−
川野 誠司1)、岩室 雅也3)、岡田 裕之1)、高嶋 志保2)、杉原 雄策2)、
神崎 洋光2)、堀 圭介2)、喜多 雅英2)、原田 馨太1)、平岡 佐規子2)、
河原 祥朗1)、山本 和秀2)
岡山大学病院 光学医療診療部、2)岡山大学病院 消化器内科、3)岡山大学病院 総合内科
1)
ワークショップ
【背景】消化管濾胞性リンパ腫の典型的な消化管病変としては十二指腸の白色顆粒状隆起が知
られている。一方、バルーン内視鏡(BAE)やカプセル内視鏡(VCE)の登場で空腸・回腸
に高率に病変を伴うことが明らかとなり、小腸検索の重要性が強調されている。中でもVCE
は低侵襲に全小腸を観察できることからその有用性が期待されている。
【目的】濾胞性リンパ
腫の小腸病変の特徴、および実臨床における小腸内視鏡検査、特にVCEの実施状況を明らか
にする。【対象と方法】岡山大学および関連16施設で診断された消化管濾胞性リンパ腫110症例
を対象とし、小腸内視鏡実施群と未実施群において、患者背景を比較解析した。また小腸内視
鏡実施群のうちVCE施行内容と小腸病変の有無および病変の肉眼的特徴をretrospectiveに解
析した。
【結果】110例のうち34例(31%)に小腸内視鏡が施行されていた。小腸内視鏡実施群
と未実施群において年齢や性別、WHO grade、臨床病期に有意な差はなく、診断された年が
2008年以降の症例と、年間100例以上小腸内視鏡を施行している施設において施行率が有意に
高い結果であった(p<0.01)
。一方小腸内視鏡実施34例のうち、24例(71%)に小腸病変を認
めた。小腸内視鏡の内訳はVCE単独が19例、BAE単独が8例、VCEとBAE併用が6例であり、
VCEは25例(74%)に施行されていた。BAE単独施行の背景はVCE導入前もしくは未導入施
設の症例5例、小腸狭窄が疑われた3例であった。併用群は全例VCEが先行して施行され、う
ち5例においては組織学的評価目的のためにBAEが追加で施行されていた。【結論】消化管濾
胞性リンパ腫おいて小腸に病変を高率に認め、小腸内視鏡の必要性が示唆される結果である一
方で、小腸内視鏡検査の実施には施設間に差があり、さらなる啓蒙が必要と考えられた。小腸
検査においては低侵襲で全小腸を観察できるVCEで可能な限りスクリーニングを行い、組織
学的評価が必要な場合BAEを追加する方針が望ましいと考えられた。
56
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
ミニワークショップ
第 二 会 場
座長:中村
斎藤
15:00~16:20
大腸カプセル内視鏡
正直 名古屋大学 消化器内科
彰一 東京慈恵会医科大学 内視鏡科
MW-1
大腸カプセル内視鏡検査時の新しい液剤型腸管洗浄剤を使用した
撮像時間内排出率、洗浄度、排出時間の検討
MW-2
岐阜赤十字病院における大腸カプセル内視鏡検査の前処置法の工夫
MW-3
Gastrografinを用いた大腸カプセルregimenの有用性
MW-4
大腸カプセル内視鏡の排出率に影響する因子の検討−当科の工夫も含めて−
MW-5
当科における大腸カプセル内視鏡施行例の使用経験と工夫
MW-6
大腸カプセル内視鏡(PillCam COLON2)−いかに完遂するか−
MW-7
当院における大腸カプセル内視鏡施行例の検討
MW-8
当科における大腸カプセル内視鏡の使用経験
MW-9
磁気誘導型大腸カプセル内視鏡(Modified PillCam Colon)は有用か?
東京慈恵会医科大学 内視鏡科 斎藤
岐阜赤十字病院 内視鏡科 高橋
小樽掖済会病院 消化器病センター 藤田
彰一
裕司
朋紀
広島大学病院 内視鏡診療科 井川
松山赤十字病院 胃腸センター 原田
医療法人同仁会京都九条病院 消化器内科 光藤
横浜市立大学 肝胆膵消化器病学 梅沢
英
章二
翔太郎
大阪医科大学 第二内科 能田
コメンテーター
敦
貞治
札幌整形循環器病院 消化器内科 太田
英敏
大阪医科大学 第二内科 樋口
和秀
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
57
MW- 1
大腸カプセル内視鏡検査時の新しい液剤型腸管洗浄剤を
使用した撮像時間内排出率、洗浄度、排出時間の検討
斎藤 彰一1)、井出 大資1、2)、猪又 寛子1)、加藤 智弘1、2)、田尻 久雄1、2)
東京慈恵会医科大学 内視鏡科、2)同 消化器肝臓内科
1)
【目的】新しい洗浄剤を用いた服用量の軽減目的に検討を行った。
【対象と方法】内視鏡切除
目的で入院となった15名が対象である。現在(平成26年9月末)まで11名を施行し、その段階
での途中解析を報告する。カプセル内視鏡検査を行うに当たって、前日は低残渣食および夜
9時にピコスルフェート・ナトリウム10ccとクエン酸マグネシウム(以下マグP)50gを900ml
の水に溶解し内服する。検査当日は朝7時に塩酸モサプリド(ガスモチンⓇ)4錠を内服し来院
ミニワーク
ショップ
する。その後、前半A群(6例)と後半B群(5例)に分けて比較検討を行った。A群では朝9時
に消泡剤、重層とプロナーゼ水を内服の上、カプセル内視鏡を嚥下する。カプセル嚥下1時間
後にモビプレップⓇ 剤(以下モビ剤)1L+水500mlを内服。その2時間後にこんにゃくおよび
モビ剤1L+水500mlを内服。その2時間後にこんにゃく+マグP900mlを内服。その後、排出が
見られない場合はこんにゃく+マグP600mlを内服。またその1時間後に冷水500ml程度を内服
し、最終的にテレミンソフト座薬Ⓡを使用する。一方、B群では消泡剤等服用後にモビ剤500ml
+水250mlを服用してからカプセル内視鏡を嚥下し、1時間後に再度、ビプ剤500ml+水250ml
を内服。その2時間後にモビ剤1L+水500mlを内服。それ以降はA群と同様とした。各群での
平均年齢、排出率、排出時間および大腸観察時間、洗浄度について検討した。なお洗浄度は大
腸を盲腸・上行結腸、肝弯、横行、脾弯、下行・S状、直腸の各部位に分け、Excellentを3、
Goodを2、Fairを1、Poorを0で点数化し4段階で評価した。
【成績】平均年齢は全体で62.8歳(50
〜79)
、A群で65.7歳、B群で59.4歳であった。排出率はA群で100%、B群で80.0%であった。排
出時間の平均は全体では4時間40分、A群で5時間11分、B群で3時間55分であった。このうち大
腸通過時間ではA群で3時間8分、B群では2時間20分であった。洗浄度は各6部位の平均でA群
では13.1、B群では16.3であった。
【考察】洗浄剤の服用量を減量する目的で前日夜から洗浄を
始めた。またカプセル嚥下前に洗浄剤を服用するB群としないA群で検討を行った。当日の洗
浄剤を減量することでカプセルの排泄率および洗浄度が低下する傾向はなかった。またカプセ
ルの嚥下前に洗浄剤を服用することで特に近位右側結腸の洗浄度が改善され、同時に排泄時間
も短縮され、B群が有用な洗浄法であることが示唆された。
58
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
MW- 2
岐阜赤十字病院における大腸カプセル内視鏡検査の
前処置法の工夫
高橋 裕司1)、高橋 理秒2)、大野 陽子2)
岐阜赤十字病院 内視鏡科、2)内視鏡センター
1)
【はじめに】大腸カプセル内視鏡検査(以下CE-C)が2014年1月より保険収載され、今後臨床
現場での有用性が期待されている。しかし従来の大腸内視鏡検査に比し前処置は簡便とは言え
ず、また検査時間も長くなることもCE-Cの普及を妨げる大きな要因と思われる。今回我々の
施設でのCE-C前処置法の簡便化の試みを報告する。
【検討対象】2013年11月から2014年9月までに岐阜赤十字病院でCE-Cを施行した20例(男性12例、
【前処置法】
(前日)低残渣食2食+Magnesium citrate高張液250ml、
(検査当日)A法:Niflec1.5L
(or Moviprep1L:)+Magnesium citrate等張液1.8-2.7L(Niflec5例/Moviprep5例)、カプセル排
出不良時にはMetoclopramide10ml静注を行った。B法:Moviprep1L+Magnesium citrate0.9L+
Metoclopramide10ml静注×2回(カプセルが胃内および小腸内に存在することを確認した段階
で静注)A法、B法とも小腸内にカプセルを確認した段階でMosapride5mg4T内服。
【検討項目】各群で(1)水分摂取量(2)在院時間内(AM9:00-PM6:00)でカプセル排出率(3)
大腸到達時間(4)大腸通過時間を検討
【成績】(1)平均水分量:A法3.28L(range2.4-4.7L)B法2.04L(1.5-2.4L)、(2)在院時間内排出
率:A法50%(n=5)B法70%(n=7)
、
(3)平均大腸到達時間:A法165.1min(range83-534、1例
は胃内停滞で内視鏡で回収)
、B法平均120.3min(range38-147)(4)平均大腸通過時間 A法
303.9min(range72-2days、1例S状下行結腸で回収)、B法116.3min(range26-927)であった。
【結語】B法の方が、大腸到達時間、大腸通過時間は短い傾向にあり、両時間の短縮が在院時
間内でのカプセル排出率が向上した要因であった。また水分量も約1.2L減少させる事が可能で
患者の受容度向上が期待された。今後CE-Cの普及のためには更なる前処置の改良が必要と思
われる。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
59
ミニワーク
ショップ
女性8例、平均年齢60.9歳)
MW- 3
Gastrografinを用いた大腸カプセルregimenの有用性
藤田 朋紀1)、歌野 健一2)、五十畑 則之2)、遠藤 俊吾2)、勝木 伸一1)、
冨樫 一智2)
小樽掖済会病院 消化器病センター、2)福島県立医科大学 会津医療センター
1)
【背景・目的】大腸カプセル内視鏡検査において、推奨regimenによる大腸カプセル排泄率は
70-90%と報告されており、さらに検査時間が長い(消化管通過時間7時間以上)ことが、本検
査法の普及の妨げとなっている。boosterとしてリン酸水素ナトリウム製剤を用いることによ
り高い排泄率が得られることが海外から報告されているが、本邦では65歳以上の高血圧症に対
ミニワーク
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する同剤の投与は禁忌であり、boosterの選択肢は限られる。アミドトリゾ酸ナトリウムメグ
ルミン液(商品名Gastrografin、以下、商品名で表記)は一般に使用されている水溶性消化管
造影剤であるが、最近、これを含んだregimenにより100%に近い大腸カプセル排泄率が報告さ
れている。2施設でGastrografinを使用した経験では、排泄率が高いばかりでなく、消化管通過
時間が短縮される傾向がみられた。本研究では、Gastrografinを用いた大腸カプセルregimen
の有効性について検討を行った。
【方法】2014年6月以降に、保険診療上、大腸カプセル内視鏡検査の適応基準を満たす患者
を対象として、Gastrografinを含んだregimenにより大腸カプセル内視鏡検査を行った。使
用regimenは、前日:昼より低残差食開始、モビプレップ1L+水0.5L、就寝前ラキソベロン
10mL、当日:モビプレップ1L+水0.5L、ガスモチンとプリンペランシロップとともにカプセ
ル内視鏡を服用、1時間後からboosterとしてマグコロールP 0.9L+Gastrografin 50mLを1時間
空けて2回服用することとした(以上の総飲量4.9L)
。排泄されない場合は、マグコロールP 0.6L、ベサコジル坐薬、体位変換、腹部マッサージなどを追加した。
【成績】16例(年令中央値64歳、女14・男2;開腹歴あり11、内視鏡困難11)が対象となった。
大腸カプセル排泄率は93.8%(15/16)であった。全消化管通過時間は中央値4時間20分、最短
1時間45分、最長7時間42分、であり、従来の報告と比較して、明らかに短かった。大腸通過時
間は中央値2時間37分、最短42分、最長5時間25分、であり、同様に短かった。腸管洗浄度は全
例で良好であり、
読影が十分にできない例はなかった。6mm以上の大腸ポリープは、50%(8/16)
で発見することができた。排泄されなかった1例は、体躯の大きな51歳の男性であり、後日行
ったダブルバルーン大腸内視鏡検査で、高度のS状結腸憩室症が確認された。
【結語】Gastrografinを追加したregimenにより、大腸カプセル排泄率100%が目指せ、検査時
間の短縮化が図れるように考えられた。現在、このvalidation studyを企画し、IRBを通過した
段階にある。
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第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
MW- 4
大腸カプセル内視鏡の排出率に影響する因子の検討
−当科の工夫も含めて−
井川 敦1)、岡 志郎1)、田中 信治1)、中野 誠2)、青山 大輝2)、茶山 一彰2)
広島大学病院 内視鏡診療科、2)同 消化器・代謝内科
1)
【背景と目的】大腸カプセル内視鏡(CCE)は2014年1月に保険収載され、大腸癌検診の受診
率向上に寄与すること期待されている。しかし、CCEでは良好な洗浄度に加え、全大腸を観
察するためにバッテリー時間内の肛門からのCCE排出が不可欠である。今回、当科における
CCEの使用経験から腸管洗浄度およびCCE排出時間に影響する因子を明らかにする。
【方法】当科でCCEを施行した23例(男性19例、女性4例、平均年齢59歳、平均BMI23.5)を対
を検討した。使用機器はGiven imaging社製PillcamⓇ COLON2カプセルを使用し、前処置は検
査前日の低残査食、夜にmagnesium citrate高張液180mL、就寝前のsennoside内服、検査当日
のmosapride内服+ PEG-ELG 2Lを服用後、看護師が前処置の状態を確認後にCCEを嚥下した。
CCE嚥下1時間後に胃内に留まっている場合にはmosapride内服し、十二指腸へのCCE移動確
認後にブースターⅠとしてmagnesium citrate等張液900mL、CCE嚥下4時間後にブースターII
としてmagnesium citrate等張液900mL、CCE嚥下5時間後にmosapride内服した。ブースター
IIの時点でCCEが排出されない場合にはブースターⅢとしてmagnesium citrate等張液600mL
+こんにゃくブースター、ブースターⅣとしてPEG-ELG 1L+こんにゃくブースターを適宜追
加した。検査は全例院内で施行し、専属の看護師1名の協力のもと、前処置薬は可能な範囲で
短時間に内服するように指示・確認し、内服後には被験者にはできるだけ歩行を勧め、前処置
の状態やリアルタイムビューアにてCCEの動きや位置を随時確認した。
【結果】平均大腸通過時間93分(12−347分)で、腸管洗浄度良好例は100%(excellent 7例、
good 16例)であった。CCE排出率は100%で、こんにゃくブースター使用した2例以外はブー
スターIIまでの段階でCCE排出を認めた。さらにCCEの平均大腸通過時間100分を基準に、大
腸通過時間が100分未満の症例(A群)
、100分以上要した症例(B群)別に患者因子を比較検討
(A群/B群)したところ、男性の割合:87%(13/15)/ 75%(6/8)、平均年齢:58歳/62歳、平
均BMI:24.1/22.5、腹部手術歴:13%(2/15)/25%(2/8)、平均胃通過時間:39分/50分、平
均小腸通過時間:57分/52分、腸管洗浄度excellent率27%(excellent 4例、good1 1例)/ 38%
(excellent 3例、good 5例)
、基礎疾患あり: 53%(8/15)/75%(6/8)に関して、いずれも両群
間で差を認めなかった。
【結論】コメディカルの協力により腸管洗浄度とCCE排出率は極めて良好であった。また、
CCEの大腸通過時間に影響を及ぼす有意な指標は得られなかった。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
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ミニワーク
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象とし、患者背景、胃通過時間、小腸通過時間、腸管洗浄度、バッテリー時間内CCE排出率
MW- 5
当科における大腸カプセル内視鏡施行例の使用経験と工夫
原田 英、蔵原 晃一、八板 弘樹
松山赤十字病院 胃腸センター
【目的】当科では2014年4月に大腸カプセル内視鏡(CCE)を導入した。導入初期の前処置・ブ
ースターではCCE排出率が50%(3例/6例)と低かったため前処置・ブースターを変更し、変
更後はCCE排出率100%(5例/5例)と改善をみとめている。前処置・ブースターの変更の詳
細と合わせて当科におけるCCE施行例の現状と問題点を報告する。
【方法】当科でCCEを施行した症例を対象として、その患者背景、検査理由、既往歴、前処
ミニワーク
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置、CCE排出率、大腸通過時間、大腸洗浄度、CCE施行後の経過を検討した。CCEはPillCam
COLON2を採用し、7月までの初期前処置・ブースターのレジメンは、前日:大腸検査食3食
(朝・昼・夕)
、20時マグコロールP、当日:朝モサプリド4錠内服後、モビプレップ1000ml+
水500mlを1時間で内服、CCE嚥下、CCE内服後は1時間毎にモビプレップ500ml+水250mlを30
分で内服、同様にモビプレップ500ml+水250mlを30分で内服、10mgテレミンソフト座薬挿入、
500mgパントール静注、それら終了後の1時間後より食事摂取可能とした。変更後の前処置・
ブースターのレジメンは、前日:同様、当日:まずCCE嚥下させ1時間後に小腸内に位置して
いることを確認後モビプレップ1000ml+水500mlを1時間で内服、その後は同様とした。
【成績】現在(2014年9月)までにCCE施行例は計11例で平均年齢67.3歳(37-89)、男性4例、女
性7例であった。検査理由は、便潜血陽性6例、下血3例、リンパ節腫大1例、下痢症1例であり、
CCEを選択した理由は、開腹手術歴のあるTCS挿入困難例が11例中9例(81%)を占め、残り
2例は解離性大動脈瘤の患者で通常のTCS施行は危険と判断した症例であった。CCE排出率は
初期前処置では50%(3/6)で、排出されなかった3例の到達位置は横行結腸1例、S状結腸1例、
小腸1例であったが、変更後CCE排出率は100%(5/5)と改善した。大腸通過時間は中央値229
分(7-532)
、大腸洗浄度はExcellent 63%(7/11)、Good 27%(3/11)、不明9%(1/11)であっ
た。11例中4例(36%)で内視鏡的治療適応となる病変を認め、3例で後日バルーン小腸内視鏡
を用いてEMRを施行した。現時点でCCE施行例は11例であるが、学会当日までに更なる多数
例での検討を報告予定である。
【結論】当科では、前処置・ブースター法の変更により排泄率、洗浄度ともに改善を認め、
CCEは忍容性と実用性の両面から現状でも安定したレベルにある。CCEは挿入困難例だけで
はなく、解離性大動脈治療中などTCSや注腸造影検査の施行riskが高い症例に対しても安全に
施行可能であり、更なる適応拡大が期待される。
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第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
MW- 6
大腸カプセル内視鏡(PillCam COLON2)
−いかに完遂するか−
光藤 章二1)、水野 真紀2),宮脇 喜一郎1),奥田 孝太郎1)
医療法人同仁会京都九条病院 消化器内科、2)検査部
1)
【目的】大腸カプセル内視鏡検査を完遂するための前処置と検査の受容性について検討した。
【対象と方法】対象は健常ボランティア8例、人間ドック受診者4例、保険診療患者8例の計20例。
カプセルの各部位の通過時間、排泄時間、当日洗腸液服用量、腸管洗浄状態などを検討し、検
査後、検査に対する感想をアンケート調査した。
【前処置とブースター】検査前日は低残渣食
とし、クエン酸マグネシウム高張液180ml、0.75%ピコスルファートNa10mlを服用。検査当日
その後ブースターとしてPEG溶液、大建中湯、クエン酸モサプリド、クエン酸マグネシウム高
張液、マグコロールPなどを随時追加し、昼食時にコロンブースを供した。また、カプセルの
胃内および小腸確認時に随時メトクロプラミドの静注を行った。
【結果】検査目的を完遂出来
なかったのは2例で、完遂率は90%であった。大腸到達時間は53〜189分(平均126.4分)
、排泄
時間は110〜501分(平均283.2分)で1例は翌日排泄された。上行結腸および横行結腸の通過時
間はそれぞれ4〜64分(平均27.4分)
、1〜41分(平均7.1分)であったが、左側結腸は13〜328分
(平均124.8分)と最も長くばらつきが大きかった。検査当日の洗腸液(+水)服用量は10例が
3.0リットル、5例が3.2リットル、5例が4.1リットルであった。洗腸状態に大きな問題はなかっ
たが、5例でコロンブースが視野の妨げとなった。検査後アンケートでは、次回もカプセル内
視鏡を希望したのは11例、どちらとも言えない7例、通常内視鏡が2例で、特に排泄時間が長い
症例では苦痛が大きかった。
【考察】通常内視鏡の不完全検査例は必ずしもカプセルの排泄に
こだわる必要がなく、良い適応と考えられた。カプセル排泄時間は左側結腸の通過時間に左右
される。ブースターとしてのコロンブースとクエン酸マグネシウム高張液180ml服用は当日の
洗腸液服用量を3.2リットル以下に軽減できる可能性があるが、コロンブースの残渣は時に視
野の妨げとなった。左側結腸通過時間短縮の有効な方法がない現在、早期のメトクロプラミド
の静注などによる大腸到達時間の短縮も有用な手段であると考えられた。アンケートによる検
査の受容性は検査時間に左右された。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
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はPEG溶液(モビプレップ)1.0リットル+水0.5リットルを服用90分後にカプセルを嚥下した。
MW- 7
当院における大腸カプセル内視鏡施行例の検討
梅沢 翔太郎、酒井 英嗣、遠藤 宏樹、中島 淳
横浜市立大学 肝胆膵消化器病学
【背景・目的】
第2世代の大腸カプセル内視鏡(CCE)が保険収載された。前処置やブースターについて、体
外排出率や腸管洗浄度、受容性などの点で、どのような薬剤が適しているのかは詳細な検討は
なされていない。
【方法】
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当院で2014年3月〜9月に、臨床研究または保険適応でCCEを施行された18例を検討した。方
法は、前日の夕食後に高張クエン酸マグネシウム180ml、就寝前にセンノサイド3錠を内服し、
検査当日はモビプレップ配合内容剤1000mlと水分500mlを用い、便の洗浄度に応じて前処置を
追加した。カプセルを内服し、1時間後に小腸到達を確認、その2時間後にブースター①、さら
に1時間後にブースター②を施行した。ブースターは、モビプレップ500ml+水250mlもしくは
等張クエン酸マグネシウム900mlを用いた。臨床研究例は、CCE後にポリープ切除が予定され
ていたため開始後7時間でカプセル排出がなくても終了とし、他はカプセルが排出されるか、
バッテリーが切れた時点で終了とした。
【結果】
平均年齢64.7歳で、男女比は12:6、検査理由は臨床研究12例、内視鏡挿入困難6例であった。
ブースターはモビプレップが10例、クエン酸マグネシウムが8例であった。前処置・ブースタ
ー内服量は平均3597.8mlで、カプセル排出率は56%(10/18例)であった。排出されなかった8
例のうち2例は上行結腸、5例はS状結腸で終了となり、1例はRsで60mm大のポリープに通過を
妨げられていた。
ブースター別にみると、排出率に差を認めなかったが、排出された症例に限定すると、平均大
腸通過時間はモビプレップで208分に対し、クエン酸マグネシウムで84分と短かった。
【結語】
今回の検討では排出率は低い傾向であったが、多くが入院患者であり、歩行などの運動量が少
なかった可能性が考えられた。
クエン酸マグネシウムはモビプレップと比較しブースターとして有用な可能性が示唆された。
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第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
MW- 8
当科における大腸カプセル内視鏡の使用経験
能田 貞治1)、井上 拓也1)、比嘉 克成2)、柴森 直也2)、阿部 真也2)、
依藤 直紀1)、井口 宗威1)、太田 和寛1)、坂中 太輔1)、藤原 薫1)、
江戸川 祥子1)、小嶋 融一1)、岡田 俊彦1)、柿本 一城1)、阿部 洋介1)、
竹内 利寿1)、樋口 和秀1)
大阪医科大学 第二内科、2)大阪医科大学 内視鏡センター
1)
大腸カプセル内視鏡(以下CCE)は、平成26年1月より保険認可された。CCEの保険適応条件
は、大腸の器質的異常により大腸ファイバースコピーで回盲部に到達できない場合、あるいは、
目的で受診した症例について検討を行ったので報告する。当科へCCEの目的で受診した患者
は20例で、全例において過去に大腸内視鏡検査(以下CS)の経験があり、回盲部まで観察で
きていないことがある症例であった。
20例中、
検査の説明段階で検査を拒否された症例が6例(腸
管洗腸液の内服が困難3例、polypの治療ができないこと2例、費用が高い1例)、問診や他の検
査で滞留の危険性が考えられた症例が4例あり、CCEを施行した症例は10例であった。滞留の
危険性が考えられた4例では、いずれも腹部手術歴があり、他の画像診断で小腸の癒着、管腔
の拡張不良が確認され、滞留のリスクが考えられた症例であった。CCEが施行できた10症例
の検査の目的は、大腸polyp加療後のfollow4例、便潜血反応3例、腹痛1例、便通異常1例、潰
瘍性大腸炎1例であった。当科でのCCEにおける前処置およびブースタのレジメンについては、
腸管洗腸液の最大内服総量5.8Lとしている。CCEの結果は、polypを5例、1例で下行結腸に粘
膜下腫瘍(以下SMT)を指摘、潰瘍性大腸炎の症例では炎症の改善が確認できた。観察中の
CCEの排出は10例中6例で、SMTの症例では病変の口側でバッテリー時間内に観察を終了した。
尚、全例で滞留はみられなかった。腸管洗腸液の平均内服量は、3.6Lであった。尚、2名で腸
管洗腸液の内服量が5.8Lであったが、いずれの症例も観察時間内にCCEの排出はみられなかっ
た。【考察】CS挿入困難例では腹部手術歴がある場合があり、これらの場合、CCEの小腸での
滞留のリスクに目を向ける必要があると考えられた。CCEを施行できた症例では、潰瘍性大
腸炎の症例では病勢の把握が可能で、それ以外の9例では、5例でpolyp、1例で粘膜下腫瘍が指
摘でき、CCEは非常に有用であった。また、2例であるが、腸管洗腸液を5.8L内服したにもか
かわらず、検査時間内のCCE排出を認めなかった。CCE排出のために洗腸液を多量に内服す
ればいいというものではなく、検査の受容性の低下にもつながると考えられた。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
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大腸ファイバースコピーが実施困難と判断される場合、となっている。当科においてCCEの
MW- 9
磁気誘導型大腸カプセル内視鏡
(Modified PillCam Colon)は有用か?
太田 英敏1)、勝木 伸一2)、佐川 保3)
札幌整形循環器病院 消化器内科、2)小樽掖済会病院 消化器センター、
1)
北海道がんセンター 消化器内科
3)
【背景】カプセル内視鏡は低侵襲的検査として認知されているが、恣意的に動かせないことが
最大の欠点とされ、我々はこれまで小腸型カプセル内視鏡(SB2)にリング磁石を装着し、こ
の欠点を克服すべくシステムを開発してきた。しかし、フレームレートが少ない、胃噴門部、
S状結腸など深部臓器部分では磁力が到達しにくい、カメラの背面に当たる襞裏部観察は狭い
ミニワーク
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管腔内反転が必要などの欠点があった。今回これらの欠点を改善すべく大腸カプセル内視鏡
(PillCamColon 2;PCC)内に小磁石を装着し、電源スイッチが誤作動しないよう改変した内
視鏡を開発し、有用性を評価したので報告する。
【対照と方法】ボランティア4名(男1、女3)を対照とし、大腸カプセル内視鏡国内治験前処置
に準じ、ブースターを含む総量4.2Lを内服し、全消化管を観察した。カプセル内視鏡はPCCを
改変し、磁石誘導型カプセル内視鏡とし(軽量磁石円板(0.2g、直径5mm、0.2テスラ)を挿入、
リードスイッチの誤作動を防止)
、体外磁石には従来同様0.5テスラ磁石パドルを使用した。胃、
小腸、大腸の各通過時間、検査遂行率を評価した。また、胃、12指腸、大腸の指定観察部位(観
察が困難な噴門部、幽門輪背側(dark side of pylorus)、12指腸乳頭部、回盲弁など)、が観察
可能であったか否かを通常大腸カプセル内視鏡、従来の磁気誘導カプセル内視鏡と比較した。
【結果】1)誘導力の評価:PCCはSB2より0.1g軽量化されており、内蔵する磁石重量も0.5gか
ら0.2gへと軽量化し、長さが5mm増加したことで浮力の増加もあり、液体内で、無重力状況
が形成でき、重力に抗して動かせる範囲は6cmから20cmへと改善した。(EMBC2014 invited
session)体位変換併用で、従来困難であった体格良好な患者の噴門部なども観察可能な制御
力が確保できた。
2)平均通過時間(従来型/PCC改変型(min)): GTT(21.5/8.4)、SBTT(124.4/116.1)、CRTT
(47.4/47.2)
、全消化管通過時間(202/180)であり、従来型より改善を認めた。
3)全消化管検査完遂率:100%と全例でバッテリー寿命内に完遂できた。
4)指定部位観察率:噴門部、幽門輪背側、が従来型では91、47%であったが、PCC改変型で
は100%観察可能で著明な改善を図れた。乳頭部、回盲部は差を認めなかった。
5)洗浄度は5段階評価の3以上が75%と改善が必要と考えられた。
【結論】PCC改変磁気誘導型カプセル内視鏡は全消化管観察に有用だが、前処置等幾つかの改
善が必要である。今後、症例数を増やし、感度、特異度などの検討を行い、臨床的有用性を明
確にする予定である。
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第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
精選演題
第 一 会 場
座長:中島
山本
淳 横浜市立大学
博徳 自治医科大学
13:00~13:50
肝胆膵消化器病学
内科学講座消化器内科学部門
SS-1
腸溶型アスピリンから緩衝型アスピリンへの変更が有効であった
アスピリン起因性小腸粘膜傷害患者4例の検討
SS-2
NSAIDs、PPI併用における小腸への影響とイルソグラジンの効果
SS-3
蛋白漏出性胃腸症におけるカプセル内視鏡の位置づけ
SS-4
消化管アミロイドーシスにおけるカプセル内視鏡所見の検討
SS-5
Patency Capsuleのコーティング膜が停滞した3例
SS-6
当施設におけるカプセル内視鏡検査での病変見逃しに関する検討
SS-7
地方のクリニックでのカプセル内視鏡の経験と今後
横浜市立大学 肝胆膵消化器病学 酒井
大阪医科大学 第二内科 小嶋
埼玉医科大学 総合診療内科 山岡
九州大学大学院 病態機能内科学 岡本
千葉大学医学部附属病院 消化器内科 齊藤
自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門 宇賀神
英嗣
融一
稔
康治
景子
ららと
ハッピー胃腸クリニック 豊田
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
英樹
67
SS-1
腸溶型アスピリンから緩衝型アスピリンへの変更が
有効であったアスピリン起因性小腸粘膜傷害患者4例の検討
酒井 英嗣、遠藤 宏樹、梅沢 翔太郎、冬木 晶子、稲生 優海、松浦 瑞恵、
内山 詩織、大久保 秀則、日暮 琢磨、野中 敬、中島 淳
横浜市立大学 肝胆膵消化器病学
【緒言】近年、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)のみならず低用量アスピリン(LDA)で
も小腸に粘膜傷害を引き起こすことが明らかとなってきた。アスピリン起因性小腸粘膜傷害の
確実な治療法は薬剤の休薬であるが、背景疾患の再発リスクから休薬が不可能な場合も多い。
我々はこれまで、前向き横断研究により、腸溶型LDAを内服している患者では、緩衝型LDA
を内服している患者より、小腸びらん・潰瘍の頻度・個数ともに有意に高いことを明らかにし
てきた。本研究では、緩衝型への変更をおこなった4例のLDA起因性小腸粘膜傷害患者の治療
効果を検討する。
精選演題
【方法】カプセル内視鏡(CE)にて小腸粘膜傷害が同定され、かつその他の原因が除外された
6か月以上の長期LDA内服者のうち、レバミピドやミソプロストールなど小腸粘膜傷害の改善
効果が期待される薬剤が無効、もしくは副作用のため内服困難となった4名を対象とした。対
象患者のLDAを腸溶型(バイアスピリン 100mg)から緩衝型(バファリン 81mg)へ変更、半
年後に再度CEを施行し、変更前後で小腸びらん・潰瘍の個数を比較した。
【結果】本研究は少数例の検討であり、統計学的な有意差は解析できないが、治療前後で小腸
びらん(pre vs post、22.0 ± 15.4 vs 5.7 ± 4.5、respectively)
、潰瘍(pre vs post、15.3 ± 15.4
vs 2.3 ± 4.0、respectively)ともに著明に減少した。一方、血清ヘモグロビン値やアルブミン
値に関しては治療前後で変化は認めなかった。
【結論】近年のRCTにより、アスピリン起因性小腸粘膜傷害に対するレバミピドやミソプロス
トールの有効性が報告されてきている。しかしながら、実臨床においては、副作用により長期
間の治療薬内服が困難な症例も数多く存在する。そのような症例では腸溶型から緩衝型への剤
型変更が有効な治療法となる可能性がある。今後、胃十二指腸粘膜傷害への影響も鑑み、前向
き介入研究を実施することで剤型変更の治療効果を証明する必要がある。
68
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
SS-2
NSAIDs、PPI併用における小腸への影響と
イルソグラジンの効果
小嶋 融一、竹内 利寿、太田 和寛、原田 智、井口 宗威、江戸川 祥子、
能田 貞治、井上 拓也、樋口 和秀
大阪医科大学 第二内科
【目的】NSAIDs起因性上部消化管障害に対しPPIが標準治療とされているが、基礎実験におい
てPPIはdysbiosis を介してNSAIDs起因性小腸粘膜傷害を逆に悪化させるとの報告もあり、両
薬剤の併用におけるヒトの小腸への影響は明らかではない。今回我々は健常ボランティアを対
象に、NSAIDsとPPIを短期(2週)及び長期(10週)併用した際の小腸病変の変化と、イルソ
グラジンの効果についてカプセル内視鏡を用いて検討を行った。
【方法】短期試験は健常ボランティアを対象にdiclofenac 75mg/日とPPIの常用量である
omeprazole 20mgもしくはlansoprazole 30mgを2週間内服する検討(N=20)と、diclofenac
討(N=10)を行い、薬剤投薬前と2週後にカプセル内視鏡を行った。長期試験は健常ボランテ
ィア(N=37)を対象に、diclofenac 75mg/日とomeprazole 10mg/日を10週間内服する群(PPI
group)、その6週から10週にirsogladine 4mg/日を併用する群(PPI/irso group)、diclofenac
75mg/日とirsogladine 4mg/日を6週間併用する群(irsogladine group)の3群に割り付け、薬
剤投与前、2週後、6週後、10週後にカプセル内視鏡検査を行った。
【結果】短期試験において、PPI常用量の検討では発赤に関してomeprazole群のみ投薬後有意
に増悪するもlansoprazole群では増悪せず、びらん、潰瘍、浮腫は両群に有意な差を認めなか
った。PPI倍量の検討ではomeprazole群に比べlansoprazole群は投薬後、総じてNSAIDs起因性
小腸粘膜傷害に対し抑制傾向を認めた。長期試験においては、びらん、潰瘍は3群ともに2週
で増悪するものの、6週では改善傾向で、PPIのみ併用した群においては10週ではそれ以上の
変化を認めなかった。6週から10週にirsoglasineを併用した群ではPPIのみの群に比べ有意にび
らん、潰瘍は抑制された。また、diclofenacとirsogladineを6週併用した群では、diclofenacと
omeprazoleを併用した群に比べ、2週、6週でのびらん、潰瘍は有意に抑制された。
【結論】NSAIDsとPPIの併用において、上部消化管傷害の予防として使用されるPPIは、PPI
の種類や投与量によっても小腸病変に与える影響が異なる可能性が示唆されたが、NSAIDs
とomeprazoleの長期併用では抑制効果を認めなかった。また、長期の経過観察においてsmall
intestinal adaptationを示唆する結果を得た。そして、irsogladineはNSAIDs長期投与における
小腸粘膜傷害に対し、予防効果だけでなく、治癒効果も認めることが明らかとなった。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
69
精選演題
75mg/日とPPIの倍量であるomeprazole 40mgもしくはlansoprazole 60mgを2週間内服する検
SS-3
蛋白漏出性胃腸症におけるカプセル内視鏡の位置づけ
山岡 稔1)、大庫 秀樹1)、芦谷 啓吾1)、草野 武1)、野口 哲1)、菅野 龍1)、
小林 威仁1)、木下 俊介1)、飯田 慎一郎1)、井上 清彰1)、茅野 秀一2)、
宮川 義隆1)、山本 啓二1)、中元 秀友1)、今枝 博之1)
埼玉医科大学 総合診療内科、2)病理学
1)
【目的】蛋白漏出性胃腸症の原因はさまざまで、それぞれの原因によって病態や治療も異なる。
今回、当科における蛋白漏出性胃腸症の症例を検討し、カプセル内視鏡の役割を検討した。
【対
象】これまで当科で経験した蛋白漏出性胃腸症は8例で、そのうちカプセル内視鏡を施行した
のは7例である。原因、患者背景、臨床症状、カプセル内視鏡所見、臨床経過について検討した。
【成績】男性5例、女性2例で、平均年齢は64.4歳(39-95歳)と高齢者に多く認めた。原因とし
ては原発性リンパ管拡張症2例、腹部手術後2例、NSAID起因性小腸潰瘍1例、多発小腸潰瘍1例、
原因不明1例であった。症状は下腿浮腫が6例、下痢が4例であった。1例は検診で低蛋白血症を
精選演題
指摘された。来院時の血清Alb値は平均2.5 g/dL(1.8-3.3)であった。全例で蛋白漏出シンチが
陽性であった。カプセル内視鏡所見は、
原発性リンパ管拡張症では白色絨毛、散布性白点、発赤、
びらんを認め、1例は上位小腸、もう1例は小腸全体にみられた。消化管術後(胃癌1例、大腸
癌1例)の2例では小腸全体に散布性白斑を認めた。NSAID起因性小腸潰瘍1例では回腸終末部
に多発する輪状潰瘍とびらんを認めた。多発小腸潰瘍1例では小腸全体に発赤、びらん、潰瘍
を認めた。原因不明の1例では散布性白斑を認めた。臨床経過では、不変は5例で、NSAID起
因性小腸潰瘍例はNSAIDの中止により軽快した。多発小腸潰瘍例では一旦軽自然快退院する
もその後増悪をきたし、治療が奏功しなかった。【結語】蛋白漏出性腸症の原因はさまざまで
あるが、病歴とともにカプセル内視鏡所見を加味することによりその原因が明らかとなり、カ
プセル内視鏡が蛋白漏出性腸症の診断とともに病態に寄与するものと考えられた。
70
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
SS-4
消化管アミロイドーシスにおけるカプセル内視鏡所見の検討
岡本 康治1)、江崎 幹宏1)、蔵原 晃一2)、鷲尾 恵万1)、梅野 淳嗣1)、
前畠 裕司1)、鳥巣 剛弘1)、浅野 光一1)、森山 智彦1)、中村 昌太郎3)、
熊谷 好晃4)、平橋 美奈子4)、松本 主之5)、北園 孝成1)
九州大学大学院 病態機能内科学、2)松山赤十字病院 胃腸センター、
1)
九州大学 先端医療イノベーションセンター、4)九州大学大学院 形態機能病理学、
3)
岩手医科大学 内科学講座消化器内科消化管分野
5)
【背景】アミロイドーシスは、線維構造をもつ不溶性蛋白であるアミロイドが臓器に沈着する
ことによって機能障害を引き起こす症候群である。消化管は高率に侵される臓器のひとつであ
り、特に小腸はアミロイド沈着をきたす頻度が高いが、消化管アミロイドーシスの小腸カプセ
ル内視鏡所見に関する報告は数少ない。
【目的】消化管アミロイドーシスにおける小腸カプセル内視鏡(CE)所見の特徴を検討する。
れた12例を対象とし、臨床像およびCE所見を遡及的に検討した。
【成績】対象例の平均年齢は65歳、男性4例、女性8例。基礎疾患としては関節リウマチを3例、
悪性関節リウマチを2例に認め、その他、リウマチ性多発筋痛症、重症筋無力症、臀部慢性膿
皮症、多発性骨髄腫、末期腎不全(血液維持透析)を各1例に認めた。残る2例は明らかな基礎
疾患が特定できず消化管限局型と診断されていた。アミロイド蛋白の化学型は、AA型が9例、
AL型が2例、Aβ2M型が1例であり、Aβ2M型の1例を除く11例で消化管へのアミロイド沈着
が組織学的に確認され、検出部位は食道2例、胃5例、十二指腸・大腸が各9例であった。なお、
小腸ではバルーン内視鏡が実施された6例中4例でアミロイド沈着が確認されていた。アミロイ
ド蛋白の化学型別にCE所見を検討すると、AA型では9例中8例で微細顆粒状変化、4例でびら
ん・小潰瘍、2例で白色絨毛、瘢痕様粘膜を認めた。AL型では、2例中2例でKerckring雛襞の
肥厚、1例で粘膜下腫瘍様隆起、びらん・小潰瘍、白色絨毛を認めた。Aβ2M型では、1例中1
例でKerckring雛襞の肥厚、粘膜下腫瘍様隆起、びらん・小潰瘍を認めた。各所見の出現部位
を検討すると、AA型で高頻度に認められた微細顆粒状変化は上部小腸に優位に認められた。
また、いずれの化学型でも見られたびらん・小潰瘍は下部小腸に優位に出現していたが、6例
中4例ではNSAIDsが投与されていた。
【結論】小腸CE下にAA型アミロイドーシスでは上部小腸に優位な粘膜微細顆粒状変化、AL型
およびAβ2M型ではKerckring雛襞の肥厚を高率に認めたが、更なる症例の集積が必要と思わ
れた。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
71
精選演題
【方法】病理組織学的に全身性ないしは消化管限局アミロイドーシスと診断され、CEが実施さ
SS-5
Patency Capsuleのコーティング膜が停滞した3例
齊藤 景子1)、新井 誠人1)、小関 寛隆1)、對田 尚1)、櫻井 健洋1)、石神 秀昭1)、
沖元 謙一郎1)、峯村 荘子1)、丸岡 大介1)、松村 倫明1)、中川 倫夫1)、
渡部 宏嗣2)、勝野 達郎3)、横須賀 收1)
千葉大学医学部附属病院 消化器内科、2)若宮渡部医院、
1)
千葉大学柏の葉診療所 東洋医学センター
3)
【背景】従来カプセル内視鏡(CE)はクローン病(CD)や消化管の閉塞、狭窄、瘻孔が既知
又は疑われる患者は禁忌であった。しかし、2012 年7 月より、PillCam Patency Capsule(PC)
が保険適応となり、CEの適応も小腸疾患が既知又は疑われる患者に拡大となった。PCの有用
性については報告が散見されるが、合併症の報告は多くない。今回、我々はPCのコーティン
グ膜が停滞した3例を経験したので報告する。
【症例1】30歳代、男性。繰り返す原因不明の腸
閉塞で前医入院。造影CTで小腸壁肥厚認め、CDが疑われた。PCが回腸で停滞し開通性なし
精選演題
と判断され、その時点で転居に伴い当院受診。PC内服後約1ヶ月後の造影CTにて区域性の小
腸壁肥厚とその口側に高輝度の異物を認め、PCのコーティング膜と考えた。ダブルバルーン
小腸内視鏡(DBE)にて小腸型CDと診断。6カ所の回腸狭窄を認めた。CDの治療を開始し、
狭窄に対して5回の内視鏡的バルーン拡張術を行ったところ、コーティング膜は腸管内に認め
なくなった。【症例2】60歳代、女性。半年前から下痢を繰り返していた。造影CTにて小腸壁
肥厚とリンパ節腫脹を認めた。小腸狭窄が疑われ、前医にてPC施行。排出確認されず、CTで
小腸壁肥厚の口側にPC停滞を認め、更にPC崩壊後もコーティング膜が停滞した。当院で経口
的DBEを行い、悪性リンパ腫による高度の小腸狭窄を認め、停滞していたコーティング膜を
内視鏡で回収した。
【症例3】30歳代、男性。発症後22年の小腸大腸型CDに対して治療中で、
下行結腸人工肛門管理をしていた。粘膜評価目的にCEを予定し、PCにて開通性評価を行った
が排出確認されず、X-Pで大腸への到達が確認できなかった。72時間までに排出が確認できず
開通性なしと判断し、CE検査は中止した。約1か月後に腹痛、発熱で受診。造影CTで横行結
腸の壁肥厚と同部位を起点とした腸閉塞、膿瘍形成を認め、その口側にコーティング膜が停滞
していた。保存治療では改善乏しく、横行結腸切除術を施行し、コーティング膜を回収した。
【結語】PCは一定の時間が経つと溶解するが、非溶解性のコーティング膜は残存する。高度狭
窄が存在する場合はコーティング膜自体が停滞し、合併症を引き起こすことがある。CEの新
しい適応拡大にPCは重要な役割を果たすが、その運用に示唆に富む症例を経験したので報告
する。
72
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
SS-6
当施設におけるカプセル内視鏡検査での
病変見逃しに関する検討
宇賀神 ららと、坂本 博次、矢野 智則、井野 裕治、林 芳和、永山 学、
砂田 圭二郎、山本 博徳
自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門
【背景】カプセル内視鏡検査(CE)は低侵襲で全小腸観察が可能な検査であるが、特に通過速
度の速い上部空腸や残渣が残りやすい回腸末端を中心にCEで病変を見逃しやすいと報告され
ている。当施設ではその点を踏まえ、CE滞留を来しうる病変の有無の評価も兼ねて、初回CE
の前には可能な限り造影CTを行っている。
【目的】CEにおける小腸病変の見逃し症例の傾向を把握し、小腸病変見逃しの対策を検討する。
【方法】2013年1月〜2014年7月に当院で施行されたCE 132件(120例)に対し、2014年9月まで
の時点の経過を後ろ向きに確認を行った。
例(5.7%)にCEで指摘できなかった病変が確認された。見逃された2例は小腸悪性リンパ腫と、
Peutz-Jeghers症候群(PJS)の小腸ポリープであった。
症例1)62歳男性。主訴は血便、近医で上下部内視鏡とCTで出血源となる所見なく、当科紹介
になった。CEでは、下部回腸に小腸血管性病変Type 1aが疑われる点状発赤を1カ所認めるの
み(小腸通過時間179分)で、出血源の可能性は低いと考えられた。腫瘍性病変除外のため行
った経口DBEで空腸中部に軽度狭窄とその近傍に小隆起散在を認め、生検で濾胞性リンパ腫
と診断された。
症例2)34歳女性。9歳時にPJSと診断。21歳時に腸重積で小腸部分切除され、その後当科紹介
された。DBEにて5mm以上のポリープの治療後2年後に行ったCEでは回腸末端に5mmのIspポ
リープを認めるのみであった(小腸通過時間 428分)。しかし7か月後に定期的な悪性腫瘍サー
ベイランスのため施行した造影CTで回腸に腸重積を伴うポリープを指摘された。治療目的で
行った経口DBEで回腸(幽門から260cm)の癒着・屈曲部位に18mmのIpポリープを認め内視
鏡治療を行った。
【結論】CEは簡便かつ有用な検査であるが、受動視野で不連続画像による診断を行うため一定
数の見逃しは常に起こり得ることを念頭に入れる必要がある。CEで有意所見が認められなか
った際も、臨床的に小腸病変の疑いが強い場合や臨床的に問題が持続して解決しない場合には
DBEやCT等による再評価を行うべきである。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
73
精選演題
【結果】120例中、CE後に確認のためDBEが施行されたのは35例(29.2%)であった。35例中2
SS-7
地方のクリニックでのカプセル内視鏡の経験と今後
豊田 英樹、田邊 菜穂
ハッピー胃腸クリニック
カプセル内視鏡(CE)の適応も小腸疾患およびその疑いがある患者へと拡大され、大腸カプ
セル内視鏡検査(CCE)も保険適応となった。当院はCEを2008年5月に、CCEを2014年10月に
導入する。
【目的】当院で2008年5月〜現在までに経験した67症例をもとにCEをクリニックで
導入した意味について検討する。CCEをクリニックで導入する際に解決すべき問題点を明ら
かとする。【結果】①三重県下でCEを導入している施設は5施設であったが 現在は主要総合
病院の半数程度でCEが導入されるようになった。そのため2012年から当院でのCE症例は著し
く減少した。67症例中59例
(88.1%)
が他院からの紹介であった。さらに症例の住所は北勢23例、
中勢32例、伊賀7例、東紀州3例、南勢2例でありほぼ全県内から来院されていた。CEの施行理
精選演題
由は65例が原因不明の消化管出血あった。全小腸観察は50例(74.6%)で可能であった、42例
(62.7%)に所見を認めた。所見の内訳はangioectasia18例、phlebectasiaおよびvenous bleb5例、
潰瘍11例(NSAIDs:2例、LDA:3例)
、びらん12例(NSAIDs:3例、LDA:5例)、転移性小
腸腫瘍1例、活動性出血3例であった。滞留を3例に認めた(潰瘍狭窄、回腸癌、術後吻合部狭窄)
が全例内視鏡にて回収された。②CCEをクリニックで導入する際の最大の問題点は、カプセ
ル排出率の低さである。16時を過ぎてもカプセル排出がない場合はXPにてカプセルがS状結腸
に到達していることを確認し、ひき続きsigmoidscopyを行う方法(大腸カプセル内視鏡ハイブ
リッド方式)を行うこととしCCE導入を決定した。
【考察】採算面で課題はあるものの、状況
によっては地方におけるクリニックでのCE導入は可能であり、地域医療に貢献できると考え
られた。ただし、周辺医療機関でのCE導入増加に伴いクリニックでCEを行う意義は低下する
といったリスクがあるため基本的には基幹病院が責任を持って施行する検査であろうと考えら
れた。CCEにおけるハイブリッド方式の有効性については、症例を経験してその可能性を検
討する予定である。
74
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
一般演題①
第 二 会 場
座長:遠藤
勝木
臨床検討・その他
10:30~10:54
宏樹 横浜市立大学 肝胆膵消化器病学
伸一 小樽掖済会病院
O1-1
貧血精査における小腸カプセル内視鏡検査の有用性の検討
O1-2
当院において経験したOvert-ongoing OGIBの5例
O1-3
カプセル内視鏡が術前診断に有用であった
球状型交通性回腸消化管重複症の一例
O1-4
カプセル内視鏡が有用であった免疫不全関連リンパ増殖異常症の小腸病変2例
福山医療センター 消化器内科 表
静馬
琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部 金城
札幌道都病院 外科 矢嶋
知己
大分大学医学部附属病院 消化器内科 園田
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
徹
光
75
O1-1
貧血精査における小腸カプセル内視鏡検査の有用性の検討
表 静馬、堀井 城一朗、豊川 達也、村上 敬子
福山医療センター 消化器内科
【目的】近年、カプセル内視鏡(CE)の登場により従来困難とされた小腸病変の検出が可能と
なり、貧血を契機に小腸疾患が発見される機会も増加している。今回、原因不明の貧血に対す
る小腸検索の有用性について検討した。
【方法】当院にて2009年4月から2013年3月までの4年間
に施行したCE181例のうち、貧血精査目的にCEを施行した43例の患者背景、内服歴、CE所見、
有所見率、CE後の小腸内視鏡施行率および止血処置施行率、さらに偶発症について検討した。
【結果】平均年齢70.5歳(36-89歳)
、男性25例であった。検査前のHb値は平均9.2g/dl(5.8-12.9g/
dl)で、
4例に輸血が施行されていた。低容量アスピリン(LDA)を含むNSAIDs内服例は24例で、
16例がLDA内服例であった。LDA以外の抗血小板薬内服例は2例で、2例ともLDAが併用され
ていた。抗凝固薬内服例は3例で、2例がLDAと併用されていた。有所見率は55.8%(24/43例)
で、小腸潰瘍7例、小腸血管性病変14例、血管腫2例、小腸癌1例であった。またNSAIDs内服
例における有所見率は54.2%(13/24例)で、NSAIDs非内服例での有所見率は57.9%(11/19例)
一般演題 ①
と比較して有意な差は認めなかった。CE後の小腸バルーン内視鏡施行症例は9例で、そのうち
4例に止血処置が施行された。血管腫に対するEMRが2例で、小腸癌に対する小腸切除術が2例
であった。偶発症としては小腸癌の1例でカプセルの滞留を認め、小腸バルーン内視鏡にて回
収した。【考察】全43症例における有所見率は55.8%であり原因不明の貧血に対する小腸出血の
関与が示唆された。また半数以上の24症例においてNSAIDsが併用されており、NSAIDsの小
腸出血への関与が疑われたが、NSAIDs非投与例との比較では有所見率に有意な差は認められ
なかった。また今回の検討では小腸癌症例も2例含まれており、CEが重篤な疾患の発見契機と
なる事が示された。
【結論】貧血精査におけるCEの有用性が示された。今後、更なる症例集積
が望まれる。
76
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
O1-2
当院において経験したOvert-ongoing OGIBの5例
金城 徹1)、藤田 茜2)、川満 美和1)、溜田 茂仁1)、田中 照久2)、海田 正俊1)、
下地 耕平1)、田村 次朗1)、新垣 伸吾2)、高木 亮2)、柴田 大介2)、
東新川 実和2)、前城 達次2)、岸本 一人2)、平田 哲生2)、金城 渚1)、外間 昭1)、
金城 福則3)
琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部、2)琉球大学医学部附属病院 第一内科、
1)
浦添総合病院 消化器病センター
3)
【はじめに】当院では2008年から小腸カプセル内視鏡(capsule endoscopy:CE)を導入し、
OGIB(obscure gastrointestinal bleeding)に対し積極的に検査を行ってきた。特にOvertongoing OGIB症例の場合、造影CTで出血源の描出に乏しくても活動性出血が確認され、シン
グルバルーン内視鏡(single balloon endoscopy:SBE)を経口または経肛門的に行うかを判断
する一助となっている。今回、当院で経験したOvert-ongoing OGIBの5例をまとめたので報告
する。
【症例1】60歳、男性。5年前に小腸出血で小腸切除歴あり、血便にて来院。CEで吻合部
出血が疑われ、SBE施行するも出血処置できず、吻合部切除となった。最終診断は非特異性多
発性小腸潰瘍。【症例2】78歳、女性。大腸癌術後でフォロー中、血便にて来院。CEにて回腸
性で、腸結核疑いで治療し軽快。
【症例3】63歳、男性。発熱と血便にて来院。重症筋無力症
でステロイドとシクロスポリン内服中。CEにて空腸に潰瘍を認めた。サイトメガロウイルス
(CMV) p65 119/全視野で、SBEによる潰瘍生検でもCMV免染陽性でありCMV腸炎として治
療を開始。改善認めるも、再出血にて最終的には小腸切除を要した。
【症例4】77歳、男性。虚
血性心疾患にて抗血小板剤内服中。黒色便にて近医で精査するも出血源認められず、当院へ紹
介。CEにて上部小腸に出血源を認めた。SBEにて空腸にびらんから湧出性の出血を認め、ク
リッピングにて止血が得られた。アスピリンによる小腸びらんが疑われ、レバミピドで経過観
察となる。【症例5】61歳、男性。慢性腎不全で定期透析中の患者。下血を主訴に近医入院。小
腸出血が疑われ当院へ紹介。CEにて下部小腸に出血源を認め、経肛門的にSBE施行。術後癒
着のため出血源まで辿りつけず、アンギオによる止血を試みるも、出血源を同定できずに、最
終的には輸血による保存治療にて軽快。【最後に】Overt-ongoing OGIB症例において、CEを
行うことは適切なアプローチでSBEを行うことができ、非常に有用であった。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
77
一般演題 ①
に潰瘍を認め、SBEでは一部輪状傾向の潰瘍を認めた。組織PCRでは抗酸菌陰性だがQFT陽
O1-3
カプセル内視鏡が術前診断に有用であった
球状型交通性回腸消化管重複症の一例
矢嶋 知己、西森 英史、秦 史壯、池田 慎一郎、岡田 邦明、平間 知美、
鬼原 史、三浦 秀元
札幌道都病院 外科
【はじめに】
小腸憩室性疾患は従来術前診断が困難であり、また、真性憩室の一つである消化管重複症
(duplications of the alimentary tract )は稀な疾患である。今回われわれは、卵巣奇形腫経過
観察中に真性結石を伴う消化管重複症が疑われ、小腸カプセル内視鏡検査で回腸憩室症と診断
し、腹腔鏡補助下小腸切除術を施行した回腸消化管重複症を経験した。
【症例】
29歳、女性。
【家族歴】
特記すべき事項なし。
【臨床経過】
一般演題 ①
2013年より婦人科で卵巣奇形種を外来フォローされていたが、2014年2月下痢・腹痛を認め、
腹部MRIを施行したところ消化管重複症を疑われ精査加療目的に当院紹介となった。腹部造影
CTで回腸消化管重複症を疑い、パテンシーカプセルで真性結石のある憩室内に滞留しないこ
とを確認した後、小腸カプセル内視鏡検査を施行した。回腸に憩室の開口部が同定され、交通
性回腸消化管重複症と診断した。手術所見は、回腸末端から約40cm口側回腸に隣接する嚢状
腫瘤を認め、正常回腸と腸間膜を共有していた。腹腔鏡補助下に腫瘤と腸間膜を含めた小腸部
分切除術を施行した。病理組織検査では、腸管と連続性に嚢胞状に拡張した構造を認め、組織
学的にも小腸と粘膜および筋層が連続しており、消化管重複症として矛盾しない所見であった。
悪性所見は認めなかった。また腸石の結石分析より、デオキシオール酸を主成分とする真性腸
石と診断された。術後は順調に経過し、第10病日に退院された。
【まとめ】
成人発症でかつ真性腸石を伴った回腸消化管重複症に対し腹腔鏡補助下に切除し得た稀な1
例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
78
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
O1-4
カプセル内視鏡が有用であった
免疫不全関連リンパ増殖異常症の小腸病変2例
園田 光、水上 一弘、堤 康志郎、和田 蔵人、首藤 充孝、岡本 和久、小川 竜、
沖本 忠義、兒玉 雅明、
村上 和成
大分大学医学部附属病院 消化器内科
免疫不全関連リンパ増殖異常症は2008年のWHO分類において背景疾患別に、(i)原発性免
疫不全、
(ii)HIV感染、
(iii)臓器移植後(post-transplant lymphoproliferative disorders;
PTLD)、(iv)臓器移植以外の医原性に分けて記載されている。臓器移植及び免疫抑制剤・抗
体製剤の進歩や、HIV患者の増加によって免疫不全関連リンパ増殖異常症を経験する機会は
増加すると思われる。悪性リンパ腫は病期診断が重要であるが、PET-CTは腸管においては
生理的集積が認められるため、内視鏡観察が必要である。カプセル内視鏡(Wireless Capsule
Endoscopy;WCE)は苦痛が少なく、簡便であるため、悪性リンパ腫の小腸病変の観察に適し
ている。今回我々は免疫不全関連リンパ増殖異常症の小腸病変をWCEで観察し得た2症例を報
告する。
【症例1】40代、女性。200X年に生体腎移植を施行され、以降タクロリムス等の免疫抑制剤を継
現した。PET-CTでは小腸全域と肝臓にFDGの集積を認めた。WCEでは全小腸にわたって幅
の広い周堤を有し、中心に浅い陥凹を伴う粘膜下隆起や、耳介様の辺縁隆起を伴った平皿状潰
瘍を無数に認めた。Lugano国際分類stageⅣと診断し、 R-CHOP療法7クールと免疫抑制剤の中
止後のPET-CTでは小腸に軽度の集積を認めたがWCEでは病変は認めず、CRと判断した。
【症例2】30代、男性。20XX年にアメーバ性大腸炎のため近医に入院し、HIV感染を指摘され、
当院に紹介となった。内視鏡検査で胃とS状結腸にBurkittリンパ腫を指摘された。PET-CTで
は空腸に高度の壁肥厚とFDGの集積を認め、頸部リンパ節や肝臓にも集積を認めた。WCEで
は粘膜の肥厚や腫大した白色の絨毛を認め、大きな粘膜下隆起を形成していると思われた。ま
た、一部にびらんを形成し、出血していた。Lugano国際分類stageⅣと診断し、hyper-CAVD
療法を行っている
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
79
一般演題 ①
続投与された。移植11年後に十二指腸、及び回腸末端にびまん性大細胞性B細胞リンパ腫が出
80
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
一般演題②
第 二 会 場
座長:中路
細江
13:00~13:30
大腸カプセル内視鏡
幸之助 愛晋会中江病院 内視鏡治療センター
直樹 慶應義塾大学医学部 内視鏡センター
O2-1
S状結腸内視鏡併用する事での大腸カプセル内視鏡の苦痛低減
O2-2
クリニックにおける大腸カプセル内視鏡の使用経験と今後の課題
O2-3
当院における大腸カプセル内視鏡の現状
O2-4
当科における大腸カプセル内視鏡検査の持ち帰り検査への取り組み
O2-5
大腸カプセル内視鏡前処置の検討
石原消化器内科クリニック 石原
まつむら胃腸科 松村
川崎医科大学附属病院 内視鏡・超音波センター 河上
慎一
健三
真紀子
金沢医科大学 消化器内科 白枝
久和
増子記念病院 肝臓内科 堀田
直樹
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
81
O2-1
S状結腸内視鏡併用する事での
大腸カプセル内視鏡の苦痛低減
石原 慎一
石原消化器内科クリニック
【背景と目的】患者様の苦痛軽減を目的に2013年11月に大腸カプセル内視鏡を導入した。導入
当時は前処置等に関して明らかな指針はなく様々な文献等を参考に当院のオリジナルで前処置
を開始した。アンケートを行い少しでも楽な前処置方法を試みてきた。前処置の洗腸液を前
日と当日に分ける事で洗腸液の量が多いと言う意見は減ったが、
“いつでるか不安”
・
“いつ終
わるか分からないのが嫌”という洗腸方法だけでは改善されない問題点が明らかとなった。そ
の不安・苦痛を取るためにS状結腸内視鏡を併用し回収する方法(Colon Capsule Endoscopy
with Sigmoidscopy:CCES)を組み合わせる事で不安が解消されるのではないかと考えた。
【対
象】2013年11月から2014年2月までの大腸カプセル内視鏡施行した8症例(A群)と2014年2月
以降に開始から6時間以内にカプセルの自然排泄を認めなかった症例に対し、カプセル内服か
ら6時間後にCCES施行した4症例(B群)を対象とした。また、A群 8症例、男性4症例、女性
4症例、平均年齢60.8歳とB群の4症例、男性2症例女性2症例、平均年齢67.8歳で比較検討した。
【結果】A群のカプセル内視鏡の総時間は 463.8分であった。B群は360分後にS状結腸まで痛み
がない範囲内で内視鏡を行い、1症例を除く3症例で痛みなく回収できた。CCES後のアンケー
ト結果、S状結腸内視鏡への抵抗感があった患者様は1名・S状結腸内視鏡が痛かったと言う患
者様は0名であった。また、
“いつでるか不安”・“いつ終わるか分からないのが嫌”という意見
一般演題 ②
はなかった。
【結語】患者アンケートを基に前処置法を改良する事でしんどさの改善はえられ
るが、
前処置のみでは改善できない問題点もある。CCESをする事で、決まった時間に終了でき、
不安が取り除けると考えられたが、実際に6時間で良いかどうか等は症例数を増やして検討す
る必要があると考えられた。
82
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
O2-2
クリニックにおける大腸カプセル内視鏡の使用経験と
今後の課題
松村 健三
まつむら胃腸科
【目的】大腸カプセル内視鏡(CCE)の精度は腸管洗浄度とカプセル通過速度に強く影響される。
今回大腸セグメント毎の腸管洗浄度と通過時間に主眼をおき分析したので報告する。
【対象と方法】2013年12月から2014年8月までPillCamCOLON2を施行した9例。男4例、女5例 平均年齢68.3歳(59歳〜86歳)
【検査理由】スクリーニング目的2例、前回最深部までの大腸内視鏡検査が不成功例7名。
【前処置】我が国での大腸カプセル検査の治験で行った(前処置・ブースター法)に準じた。
【成績】①カプセル排出率100%(9/9)
、1例のみ翌日に排出。②時間内排出率(10時間以内)
88%(8/9)
。③全大腸観察率88%(8/9)1例のみ下行結腸で停滞。④腸管洗浄度・カプセル通
過時間を8例で分析。<腸管浄度>は4段階評価(Excellent、Good、Fair、Poor)でおこなった。
C:E-3、G-4、F-1 A:E-5、G-3 T:E-5、G-3 D:E-5、G-3 S:E-4、G-3、F-1 R:E-3、G-1、F-4 <カプセル通過時間> 胃平均
通過時間35分(20分〜57分)小腸71分(35分〜102分)大腸149分(11分〜416分)
:大腸セグメント毎ではC:3.4分(11秒〜8分)A:11.4分(1分〜29分)T:30.8分(5秒〜130分)
D:16.2分(3分〜88分)S:67.2分(9分〜264分)R:2.7分(4秒〜9分)
<排泄までの総時間>平均3時間56分(1時間45分〜9時間27分)
憩室が多発した症例でもカプセルの滞留などの偶発症はなかった。
【考察】1)今回の前処置・ブースター法で腸管洗浄度はほぼ適切(Excellent、Good)であり、
病変の描出は満足のいくものであった。2)しかし直腸では腸管洗浄度が落ちFairが半数、さ
らにカプセル通過時間では30秒以内が半数と病変を見逃すリスクがある。3)大腸癌の好発部
位が直腸・S状結腸に集中していることを考慮すると、この領域の見逃しは致命的である。4)
今後リアルタイムに画像を患者から転送させ、カプセル位置を確認しながらカプセルを進めて
いく方法が望まれる。5)そして病変の見逃しが高いと判断した症例ではS状結腸ファイバー
を(同日または後日)に検討すべきである。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
83
一般演題 ②
病変の内訳は大腸ポリープ3例、大腸憩室症3例、angioectasia1例であった。
O2-3
当院における大腸カプセル内視鏡の現状
河上 真紀子1)、塩谷 昭子2)、春間 賢2)、本多 啓介3)、畠 二郎4)
川崎医科大学附属病院 内視鏡・超音波センター、2)川崎医科大学 消化管内科学、
1)
川崎医科大学 総合臨床医学、4)川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波)
3)
【背景・目的】当院では2014年4月に大腸カプセル内視鏡を導入した。当院における大腸カプセ
ル内視鏡の前処置および読影の現状を報告する。
【方法】大腸カプセル内視鏡施行患者6名に対し、ブースターを含めた処置を行った。17時まで
にカプセルを排出し、帰宅できることを目標にレジメンに改訂を加えた。【結果】前日クエン
酸マグネシウム(マグコロールPⓇ)50g高張液内服、当日モビプレップⓇ1.5Lおよびマグコロ
ールPⓇ等張液900mL(総水分摂取量4L)の前処置にて残渣は少なく、観察はほぼ良好であ
った。当日朝、モサプリド4錠内服および当日下剤内服時のメトクロプラミド10mg imにより、
大腸への到達時間は短縮でき、
嘔吐はなく、
嘔気症状もほとんど認めなかった。しかし4例(67%)
でカプセルはS状結腸で長時間停滞し、下剤およびレシカルボン挿入追加を行ったが、カプセ
ル排出効果はなかった。3例で、グリセリン浣腸120mL直後にカプセル排出を認めた。
【結論】
S状結腸にとどまる大腸カプセル内視鏡の排出には、下剤の追加あるいはレシカルボン座薬よ
りグリセリン浣腸が有効であった。内視鏡技師による大腸カプセル内服後のブースター時期の
確認および患者の管理等の積極的な介入は、全大腸観察率および検査精度の向上に不可欠であ
一般演題 ②
った。
84
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
O2-4
当科における大腸カプセル内視鏡検査の
持ち帰り検査への取り組み
白枝 久和1)、中村 正克1)、大塚 俊美1)、林 蘭仁1)、野村 友映1)、山田 香穂1)、
太田 雅文1)、白枝 昌子2)、有沢 富康1)
金沢医科大学 消化器内科、2)医療法人社団白枝医院
1)
大腸カプセル内視鏡が保険収載されて以降、当科でも症例を増やすべく取り組んできた。しか
し、思った程増やすには至らず、原因を検討した結果、当科では1症例に1人の医師が付き検査
を行っており人員的に困難なことや、カプセル排出までに時間を要し診療時間内に排出に至ら
ないことがあるなど、検査の効率が悪いことが考えられた。そこで、我々は、データレコーダ
ーを装着後に自宅に持ち帰らせ、プロトコールを単純化することで、以降の検査を患者自身で
進めてもらう方法で、検査の効率化を図り、より多くの症例に対して行えるよう、持ち帰りの
大腸カプセル内視鏡検査を試みることとした。対象は、大腸カプセル内視鏡検査の適応を満た
し、30分程度で来院が可能な症例とした。方法は、前夜に前処置を行い、検査当日はAM9:00
に来院し、モサプリドクエン酸を内服、30分後にカプセルを嚥下する。小腸に到達しているこ
とが確認できた時点で帰宅とし、その後はスケジュール通りに腸管蠕動促進剤とブースターの
内服を行ってもらう。17時の診療時間終了までに排出されれば再診してもらい、排出が得られ
ない場合は、17時以降に食事を開始とした。その後、排出が得られなくても、カプセル嚥下12
時間後にはデータレコーダーを取り外し、検査は終了とした。その際はデータレコーダーを翌
日持参してもらうこととした。まず、ボランティア2例に行ったところ、カプセル嚥下後5時間
た中で検査を行え、戸惑うこともなくスムースに検査を進めることができたと、被検者の印象
は比較的良いものであった。この方法で経験した結果を報告する。入院の上で、管理下で検査
を行う方法もあるが、コストや設備の面で困難な医療機関が多いと考えられる。持ち帰りの大
腸カプセル内視鏡検査は、検査の効率化が図れ、さまざまな医療機関で行える有用な方法にな
るのではないかと考えられた。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
85
一般演題 ②
程で排出され、比較的良好な排出が得られた。また、自宅で進められることで、リラックスし
O2-5
大腸カプセル内視鏡前処置の検討
堀田 直樹1)、高木 千尋2)、今井 義晴2)、前原 紳治2)、徳永 有姫3)、
伊藤 陽子3)、土井 玲子4)
増子記念病院 肝臓内科、2)放射線科、3)看護部、4)検診センター
1)
【はじめに】当院は、透析、腎臓、肝臓疾患の専門病院であり、小腸内視鏡、小腸カプセル内
視鏡の経験はない。今回、2014年4月から大腸カプセル内視鏡の保険収載に伴い、当院にも導
入することとなり、前処置の検討を施行した。
【方法】症例は、ボランティア3人を用いた。当
院での大腸内視鏡の前処置は、前日の就寝前にラキソベロン1本使用し、検査当日、モビプレ
ックを病院に来院後内服開始としている。そこで、大腸カプセル内視鏡時の前処置は、この方
法を基本にした。1例は48歳男性、施行前2日前より、濃厚流動食を3食とり、施行2日前は、就
寝前ラキソベロン1本、前日就寝前には、マグコロールPを、当日は、朝よりモビプレックに
て処置した。モビプレック内服後1時間後より、検査開始。症例2は60歳男性、前日に大腸検査
食1食(昼のみ)とラキソベロン朝、昼、夕と10滴使用し、就寝前に残存分を使用した。当日は、
モビプレック内服後30分後より検査開始した。症例3は42歳男性、前日に大腸検査食3回と就寝
前にラキソベロン1本、当日はモビプレック内服後1時間後より検査開始した。いずれの症例も
透視にてカプセルの誤嚥がないことを確認して施行開始した。
【結果】症例1は、曝状胃であり
20分間胃内に停滞したので、プリンぺランⅠA筋注後カプセルは進行した。しかし、約2日間
食事をとっていないため、常備薬がそのままの状態で大腸内に残存していた。症例2は、モビ
一般演題 ②
プレックが胃内に残存していたため、カプセルが胃内で浮いてしまって、十二指腸を超えるの
に時間がかかった。検査食は、1回しか喫食しなかったが、腸管は、きれいであった。症例3は、
検査食3食喫食し、モビプレック内服後1時間以上たってから検査施行したため、十二指腸を通
過するのには、時間はかからず、腸管洗浄効果は、便残渣認めなかった。症例1.2も、腸管洗
浄効果では、便残渣は、認めなかった。しかし、透視台にて、体位変換などを施行し、カプセ
ルの位置を確認した。
【結語】大腸カプセル内視鏡の前処置は、当院では、始まったばかりで
あり、今後症例を蓄積しながら修正していく必要があると考えられる。はじめは、症例3の方
法を用いて施行していく予定である。また、我々の病院は102床であり、透視台も2台あるので、
簡単に予約がとれるので、内服時は、透視を使用してカプセルの進行を確認するのも検査時間
の短縮の1つになるかもしれないと考えられた。
86
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
一般演題③
第 二 会 場
座長:矢野
阿部
13:30~13:54
智則 自治医科大学
孝 宝塚市立病院
症例 腫瘍
内科学講座消化器内科
O3-1
消化管出血で発見され術前診断困難であった小腸腫瘍の一例
O3-2
OGIBを契機に小腸内視鏡で診断しえた慢性腎不全を合併した空腸癌の一例
O3-3
カプセル内視鏡が診断に有用であった小腸腺腫の1例
O3-4
大腸カプセル内視鏡が有用であった横行結腸癌の1例
日本医科大学 消化器内科学 高木
宝塚市立病院 内視鏡センター 杉原
信介
奈央
社会医療法人財団新和会八千代病院 消化器内科 白井
高知赤十字病院 内科 岩村
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
修
伸一
87
O3-1
消化管出血で発見され術前診断困難であった小腸腫瘍の一例
高木
遠坂
瀬尾
坂本
信介、馬來 康太郎、大森 順、秋元 直彦、小杉 友紀、鈴木 将大、
由紀子、春日 裕介、玉木 祐希江、松浦 陽子、江原 彰仁、小林 剛、
継彦、三井 啓吾、米澤 真興、田中 周、辰口 篤志、藤森 俊二、
長逸
日本医科大学 消化器内科学
【症例】80歳台 女性【現病歴】動悸を主訴に前医を受診。Hb 5.6g/dLと高度貧血を認めたた
め上部内視鏡及び下部内視鏡を施行したが出血源は認められなかった。腹部造影CTで空腸の
壁肥厚を認めたため小腸腫瘍からの出血を疑われて当科紹介となった。当科受診時、血液検
査所見Hb 9.0g/dL(輸血施行後)
、そのほか可溶性IL-2Rが564U/mLと軽度高値である以外特
記すべき所見なし。
【経過】腹部CTで指摘された空腸の病変を目標として経口でダブルバルー
ン小腸内視鏡を施行したところP-ringより40cmの上部空腸にびらんを伴う有茎性腫瘍を認め、
出血源と考えられた。
腫瘍の増大による腸閉塞の危険性も考えられたため治療適応と判断した。
内視鏡による切除も考慮したが、肉眼的に腫瘍の鑑別が困難で出血の危険性があることや、管
腔の2/3を占める腫瘍であることから外科的治療の方針とした。腫瘍の生検結果では腫瘍の間
質の線維化や粘膜筋板枝の走行の乱れ、小円形細胞を主体に一部好中球や好酸球の混在を認め
たが鑑別は困難であった。空腸の口側に腫瘍がありダブルバルーン小腸内視鏡による深部挿入
や全小腸観察が困難と考えられたため、小腸カプセル内視鏡で腫瘍肛門側の小腸の検査を行っ
た結果腫瘍は一か所のみであり、当院外科で腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した。切除し
た病変は24×23mm大の粘膜下腫瘍であり、組織学的には粘膜下層を主座とした脂肪組織の増
生を伴う腫瘤で脂肪腫と診断した。
【考察】本症例のように内視鏡所見や病理検査で確定診断
一般演題 ③
が困難な腫瘍の内視鏡治療は難しい。脂肪腫は非上皮性良性腫瘍の中では比較的多く報告され
ているが本症例では肉眼的に診断が困難であった。本症例のように出血の原因となる場合や腫
瘍増大により腸閉塞の危険が考えられる場合には良性腫瘍であっても切除の適応となる。術前
診断が困難であった小腸脂肪腫の症例を経験したのでここに報告し、画像を供覧したい。
88
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
O3-2
OGIBを契機に小腸内視鏡で診断しえた
慢性腎不全を合併した空腸癌の一例
杉原 奈央1、2)、穂苅 量太2)、田村 公佑1)、村上 雅也1)、松本 裕子1)、
柚木崎 紘司1)、李 兆亮1)、金 鏞民1)、宮崎 純一1)、島谷 昌明3)、内野 基4)、
池内 浩基4)、阿部 孝1)
宝塚市立病院 内視鏡センター、2)防衛医科大学校病院 消化器内科、
1)
関西医科大学 消化器肝臓内科、4)兵庫医科大学 IBDセンター
3)
症例は41歳男性。慢性腎不全(BUN 38.1 mg/dL、Cr 14.8 mg/dL)、腎性貧血(Hb 8.0 g/dL、
MCV 88.8 pg、MCH 28.8 fl)
、糖尿病、高脂血症、高血圧症にて他院へ通院中であり、週に3
回の維持透析を2年間受けていた。平成23年9月より貧血の進行と便潜血陽性を指摘され、上部
消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、CT検査等を繰り返し施行されたが原因は不明であった。
その後、鉄剤投与と頻回の計4単位の輸血を受けていたが、貧血は改善せず、黒色便が続いて
いたため、原因不明消化管出血(OGIB)と診断されて精査加療目的で当院を紹介受診となっ
た。小腸カプセル内視鏡(CE)で空腸に出血性の腫瘍性病変を認めた。さらに経口ダブルバ
ルーン小腸内視鏡(DBE)で上部空腸に2/3周性の2型進行癌を認め、生検では腺癌(低分化
腺癌>>中分化腺癌)であった。原発性小腸癌の診断で、手術の方針となった。手術待機中に
血便が出現し、DBEを行ったところ、腫瘍からの出血ではなく、上行結腸にangioectasiaを認
めた。クリップによる内視鏡的止血術を施行したのちは血便なく、他院外科にて空腸部分切除
術を施行された。腫瘍は上部小腸に存在し、術後の病理組織診断では、(大腸取扱い規約に準
じて)空腸、Type2、Tubular adenocarcinoma Moderately differentiated type(tub2)、pSS、
int、INFb、Ly3(D2-40)
、v3(EVG)
、pDM0、pHM0でstageⅡaであった。術後合併症は認
めず、軽快退院となった。本症例のように慢性腎不全経過中の貧血では、腎性貧血以外の消化
合、小腸病変を鑑別診断に列挙する事が重要であり、積極的にCE、DBE等の小腸内視鏡検査
で精査する必要があると考えられた。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
89
一般演題 ③
管出血の存在に留意する必要があり、上下部内視鏡検査でも出血部位が不明であるOGIBの場
O3-3
カプセル内視鏡が診断に有用であった小腸腺腫の1例
白井 修、氏原 正樹、市川 雄平、樋口 俊哉、小鳥 達也
社会医療法人財団新和会八千代病院 消化器内科
症例は66歳、女性。主訴は貧血精査。既往歴は子宮筋腫術後、高血圧、糖尿病、脂質異常症に
て近医通院中。家族歴に特記事項なし。平成25年5月7日にHb7.4g/dlと小球性貧血を認め、貧
血精査のため5月20日に当科紹介受診となった。前医の便潜血検査は陽性。来院時血液検査で
はHb12.5g/dlと改善傾向、AST34U/l、ALT37U/lで軽度の肝機能異常を認めた。上部消化管
内視鏡検査では萎縮性胃炎のみ、大腸内視鏡検査では結腸憩室、痔核のみで明らかな出血源は
認めなかった。原因不明消化管出血(OGIB)の精査として6月12日にカプセル内視鏡検査を施
行した。下部回腸に出血を伴った隆起性病変を認め、出血源と考えた。6月20日に腹部造影CT
検査を施行し、回腸に隆起性病変を指摘できたが明らかなextravasationは認めず、造影効果
は乏しかった。肝臓は脂肪肝で他には異常を認めなかった。7月8日に経口的ダブルバルーン内
視鏡を施行し、中部回腸まで挿入したが明らかな異常なし。7月19日に経肛門的ダブルバルー
ン内視鏡を施行し、下部回腸にカプセル内視鏡で指摘された隆起性病変を認めた。隆起性病変
は長径約25mmの有茎性ポリープで、頭部は金槌状と特異な形態を呈し、表面は発赤調で粘膜
の不整や潰瘍形成は伴わず、茎部は太く全体が確認しづらいため点墨とクリップでマーキング
を行って終了とした。
8月9日に治療と確定診断のため腹腔鏡補助下回腸部分切除術を施行した。
病理組織学的にはtubular adenoma with mild atypia.であり、悪性所見は認めなかった。術後
は経過良好で貧血の進行はなく、同時に発見された乳癌の治療のため外科通院となった。
小腸腺腫は、家族性大腸腺腫症の小腸病変や散発性の場合は腸重積やイレウスを契機に発見
されることが多い。自験例はOGIB精査のカプセル内視鏡を契機に診断された回腸腺腫の1例で
一般演題 ③
あり、頻度は少ないかもしれないが消化管出血の出血源として注意する必要があり、病変の発
見にはカプセル内視鏡が非常に有用であった。
90
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
O3-4
大腸カプセル内視鏡が有用であった横行結腸癌の1例
岩村 伸一1)、内多 訓久1)、甫喜本 憲弘2)
高知赤十字病院 内科、2)高知赤十字病院 外科
1)
【はじめに】2014年1月からの保険適用に伴い、制限付きではあるが実臨床で大腸カプセル内視
鏡(CCE)が使用可能となった。保険適用の範囲で有用であった症例の報告は少なく、問題
点も含めて紹介する。
【症例】
症例は60歳代男性。便潜血陽性のため大腸内視鏡(CS)施行したが、過長結腸のため盲腸非
到達であり、CCE行った。前処置は前日に高張マグコロールPⓇ 180mlとセンノシドⓇ4錠、当
日はモビプレップⓇと水による腸管洗浄とブースター行い、総摂取水分量は3㍑であった。カ
プセルの大腸通過時間は1時間44分、
嚥下から体外排泄までは3時間14分であった。解析の結果、
横行結腸癌が疑われ、また上行結腸、横行結腸、S状結腸、直腸に5mm〜16mmのポリープを
認めた。後日、バルーン内視鏡(BE)を用いて全大腸内視鏡完遂。上行結腸ポリープについ
ては切除を行い、腺腫と確認した。横行結腸には2型腫瘍を認め、生検で腺癌と診断し手術を
行った。
PSE(polyp size estimation)によるそれぞれの腫瘍の大きさは、CS、BEおよび手術所見とほ
ぼ一致していたが、CCEのみで発見されたポリープも存在した。
【考察】
本例は注腸X線で病変を指摘できず、CCEにより診断に至った。CCE後、追加内視鏡が必要な
場合でも検査料を保険請求できないことは問題である。また読影経験の浅い導入初期には解析
レポートの精度管理のため、できれば通常内視鏡所見との対比が望ましいと思われる。
であるが、苦痛を感じる被検者や同日カプセル未排泄例もある。
CCEは大腸腫瘍のスクリーニングに有用なモダリティーであり、腸管洗浄効果やカプセル排
泄率向上に優れ、忍容性の高いレジメンの工夫や保険適用要件の緩和を望みたい。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
91
一般演題 ③
当院ではモビプレップⓇを用いた前処置、ブースターを行っており、腸管洗浄レベルは概ね良
92
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
一般演題④
第 二 会 場
16:20~16:40
座長:松本
林田
症例 原因不明消化管出血(OGIB)
裕子 宝塚市立病院 消化器内視鏡センター
真理 杏林大学医学部 第三内科
O4-1
小腸カプセル内視鏡検査が診断に寄与した非特異性多発性小腸潰瘍症の1例
O4-2
鉄欠乏性貧血を契機に診断に至った
メッケル憩室を伴わない小腸の異所性胃粘膜の一例
O4-3
カプセル内視鏡検査を施行し、胃ポリープからの出血診断に至った1例
O4-4
大腸angioectasiaからの出血に対してカプセル内視鏡検査が有用であった一例
九州医療センター 消化器内科 和田
杏林大学医学部 第三内科 三浦
宝塚市立病院 消化器内科 瀧本
宝塚市立病院 高田
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
将史
みき
真弓
珠希
93
O4-1
小腸カプセル内視鏡検査が診断に寄与した
非特異性多発性小腸潰瘍症の1例
和田 将史1、2)、原田 直彦1、2)、向坂 誠一郎1、2)、畑 佳孝1、2)、徳永 紀子1、2)、
藤井 宏行1、2)、井星 陽一郎1、2)、隅田 頼信1、2)、中牟田 誠1、2)、中村 和彦3)
九州医療センター 消化器内科、2)同 臨床研究センター、3)九州大学 病態制御内科学
1)
【背景】非特異性多発性小腸潰瘍症は比較的まれな疾患であり、発生原因および誘因不明であ
る非特異性腸潰瘍に包括される。本症は若年者に多く、慢性持続性の出血とそれに起因する低
色素性貧血と低蛋白血症を主病像とし、中下部小腸に多発性の潰瘍形成を生じる疾患である。
治療法として確立されているものは中心静脈栄養や成分栄養による栄養療法のみであり、外科
的切除後は再発の可能性が高く、ステロイド、5-ASA製剤、抗プラスミン剤の投与も無効とさ
れている。本症は出血源不明消化管出血や低蛋白血症の原因として診断に難渋する場合も少な
くない。今回我々は小腸カプセル内視鏡検査が診断に寄与した非特異性多発性小腸潰瘍症の1
例を経験したため報告する。
【症例】54歳女性、難治性胃潰瘍により幽門側胃切除の既往あり。また、妹も胃潰瘍に対する
手術歴、慢性貧血症の既往を有している。当科受診の9年前より低蛋白血症、低色素性貧血を
指摘されており、上下部消化管内視鏡や小腸X線検査も施行されていたが、確定診断には至っ
ていなかった。改善しない低蛋白血症、低色素性貧血に対する精査目的に20xx年3月に当科紹
介受診。上下部消化管内視鏡検査にて明らかな異常所見を認めず、同年4月に小腸カプセル内
視鏡検査を施行した。中部小腸から肛門側に輪走傾向で、一部癒合する浅い潰瘍性病変を認め
た。管腔狭小化部位も認められ、慢性的な炎症が疑われた。経肛門的ダブルバルーン小腸内視
鏡検査では回腸に境界鮮鋭で斜走ないし輪走する潰瘍性病変が多発しており、潰瘍は互いに癒
合し地図状潰瘍を呈していた。管腔狭小化もみられ難治性潰瘍が示唆される所見であり、潰瘍
形態からも非特異性多発小腸潰瘍を疑う所見であった。生検では非特異的炎症所見のみで、肉
芽腫の形成はみられなかった。上記より炎症性腸疾患は否定的であり、各種培養検査からも感
染性腸炎は否定的であった。小腸潰瘍の原因となりうる内服歴もなく、非特異性多発性小腸潰
一般演題 ④
瘍症と診断した。治療は貧血に対して鉄剤静脈注射と成分栄養剤による栄養療法にて保存加療
する方針とし、低蛋白血症の改善は不十分であるものの貧血の改善が得られた。今回我々は小
腸カプセル内視鏡検査が診断に寄与した非特異性多発性小腸潰瘍症の1例を経験したため、若
干の文献的考察を加えて報告する。
94
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
O4-2
鉄欠乏性貧血を契機に診断に至った
メッケル憩室を伴わない小腸の異所性胃粘膜の一例
三浦 みき1)、林田 真理1)、齋藤 大祐1)、小暮 正晴2)、櫻庭 彰人1)、
吉敷 智和2)、山田 雄二1)、小山 元一1)、正木 忠彦2)、杉山 政則2)、
大倉 康男3)、高橋 信一1)
杏林大学医学部 第三内科、2)消化器・一般外科、3)病理学教室
1)
【症例】30歳代男性
【主訴】なし
【現病歴】健診の血液検査で、Hb9g/dl台の鉄欠乏性貧血を指摘され、前医で上部消化管内視
鏡検査と下部消化管内視鏡検査を施行されたが、明らかな貧血の原因を指摘されず、今回小腸
精査目的で当科を紹介受診となった。
【経過】当院で施行した腹部造影CTでは、淡い造影効果を伴う小腸に20mm大の腫瘤を指摘さ
れたが、腸重積や腸閉塞などの所見は認めなかった。腹痛などの腹部症状は認めなかったが、
パテンシーカプセルで消化管の開通性を確認後、カプセル内視鏡検査を施行した。上部小腸に
白苔を伴う、
発赤調の隆起性病変を認めた。経口的挿入によるダブルバルーン内視鏡検査では、
上部小腸に20mm大の隆起病変を認め、病変の表面の絨毛は一部欠損し、易出血性であった。
同病変を貧血の原因と判断し、腹腔鏡下で手術を施行した。トライツ靭帯より約120cmに亜有
茎性の隆起病変を認め、小腸部分切除が施行された。病理学的検査では、異所性胃粘膜と診断
された。術後は貧血の進行なく経過良好である。
【結語】
小腸の異所性胃粘膜は、大部分がMeckel憩室、消化管重複症、異所性膵組織などに合併して
認められ、無症状な事が多いが、稀に潰瘍形成による消化管出血や腸閉塞、腸重積、消化管穿
孔などを引き起こすことがある。今回、Meckel憩室以外の異所性胃粘膜が原因で鉄欠乏性貧
血を来した成人症例の1例を経験したので報告した。
一般演題 ④
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
95
O4-3
カプセル内視鏡検査を施行し、胃ポリープからの
出血診断に至った1例
瀧本 真弓1)、内橋 孝史1)、宮本 勇人1)、森 すみれ1)、高田 珠希1)、
西井 謙夫1)、西井 慎2)、花咲 優子1)、糸原 久美子1)、山崎 之良1)、
田村 公佑1)、李 兆亮1)、柚木崎 紘司1)、宮崎 純一1)、阿部 孝1)
宝塚市立病院 消化器内科、2)陸上自衛隊中部方面衛生隊
1)
【症例】60歳代男性【主訴】貧血【現病歴】糖尿病性腎症で透析中。貧血精査目的に当院紹介
受診となった。
【既往歴】糖尿病性腎症(透析中)、大腸ポリープ、高血圧症、閉塞性動脈硬化症、
二次性副甲状腺機能亢進症、糖尿病性網膜症、白内障【血液検査】WBC 5700/μl、Hb 9.6g/
dl、MCV 90.4fl、Plt 18.5万/μl、AST 12U/l、ALT 9U/l、BUN 36.1 mg/dl、Cre 9.71 mg/dl 、
LDH 167U/l、CRP 0.2mg/dl【画像検査】腹部CTでは貧血の原因となる所見は認めず。
【経過】
消化管出血を疑い上下部内視鏡検査を施行したところ、胃前庭部前壁に径10mm大の山田Ⅲ型
ポリープを認めるのみで、明らかな出血源はみられなかった。OGIBを考えカプセル内視鏡検
査を施行したところ、小腸内からの出血を疑う所見は認めなかったが、前述の胃ポリープから
の出血を認めた。出血性胃ポリープと診断し、出血源の治療として内視鏡的粘膜切除術(EMR)
を施行したところ、その後貧血の進行を認めず、現在は外来通院中である。【考察】上部・
下部消化管内視鏡検査を施行しても出血源が不明の消化管出血(obscure gastrointestional
bleeding:OGIB)の多くは小腸疾患が原因であり、カプセル内視鏡はその良い適応である。
また、OGIB症例の中には小腸外病変も十数%存在しており、胃前庭部毛細血管拡張症(gastric
antral vascular ectasia:GAVE)
、胃・十二指腸潰瘍、乳頭部出血、結腸憩室などからの出血が
ある。しかし、出血性胃ポリープがOGIB症例の小腸外病変として挙げられている報告は我々
が検索し得る限りでは認めなかった。また胃ポリープが原因の消化管出血は上部消化管出血全
体の0.28〜16.4%であるが、本症例のごとくカプセル内視鏡検査で診断し得た症例は稀である。
カプセル内視鏡は生理的条件下での検査であるため出血を診断し得た可能性があると考えられ
る。今回、カプセル内視鏡検査を施行し、胃ポリープからの出血診断に至った症例を経験した
ため若干の文献的考察を加えて報告する。
一般演題 ④
96
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
O4-4
大腸angioectasiaからの出血に対して
カプセル内視鏡検査が有用であった一例
高田 珠希1)、田村 公佑1)、内橋 孝史1)、宮本 勇人1)、西井 慎1、2)、
西井 謙夫1)、花咲 優子1)、瀧本 真弓1)、糸原 久美子1)、山崎 之良1)、
柚木崎 紘司1)、李 兆亮1)、宮崎 純一1)、阿部 孝1)
宝塚市立病院、2)陸上自衛隊中部方面衛生隊
1)
【症例】86歳、男性
【主訴】全身倦怠感
【既往歴】左視床下部出血術後、右大腿骨骨折術後、慢性腎不全、認知症
【現病歴】近医での採血にて小球性貧血の進行(2014年2月 Hb 9.9g/dl➡同年5月 Hb 8.0g/dl)
を認め、精査目的に同年6月当院を紹介受診となった。腹痛・血便等の症状は特に認めなかっ
た。上部消化管内視鏡検査、腹部CTを施行するも明らかな貧血の原因を指摘できなかった。
下部消化管内視鏡検査(CS)では盲腸にangioectasiaを認めたが、活動性の出血は認められな
かった。小腸出血を疑いカプセル内視鏡(CE)を施行したところ、上行結腸付近に活動性の
出血を疑う所見を認めた。明らかな小腸病変は認められなかった。CS所見と併せ既知の大腸
angioectasiaからの出血が貧血の原因と考えられ、精査加療目的に同年7月緊急入院となった。
【内服薬】イコサペント酸エチル、他
【入院後経過】第2病日にCSを施行し出血源と考えられる盲腸のangioectasiaに対しアルゴンプ
ラズマ凝固法による焼灼止血を施行した。焼灼時に同部位からの湧出性出血を認め、やはり出
血源と考えられた。第4病日より食事を再開したが、以降明らかな血便や貧血の進行を認めな
かったため、第6病日に退院となった。
【考察】
大腸angioectasiaは高齢者の右側結腸に好発する。間欠型の出血形態を呈するため観察時に出
血しているとは限らず、病変部位の同定に難渋する事が多い。本症例でもCS時は責任病変か
らの出血は認められなかったが、カプセル内視鏡及び止血時のCS所見より出血源と考えられ
た。従来のカプセル内視鏡検査ではバッテリー容量の問題で大腸まで観察する事が困難であっ
しても同定する事が可能であった症例が散見される。今回我々は大腸angioectasiaからの出血
に対してカプセル内視鏡検査が有用であった一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて
報告する。
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
97
一般演題 ④
たが、近年の技術進歩に伴い可能となった。それにより今回の症例のように小腸外の病変に関
98
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
一般演題⑤
第 二 会 場
座長:藤田
本多
16:40~17:00
穣 川崎医科大学
啓介 川崎医科大学
症例 その他
消化管内科学
総合臨床医学
O5-1
カプセル内視鏡により確定診断された小腸型クローン病の3例
O5-2
カプセル内視鏡で治療経過を追ったCronkhite-Canada症候群の1例
O5-3
カプセル内視鏡で発見された小腸ポリープを内視鏡的に切除した
Cronkhite-Canada症候群の1例
O5-4
結核性腹膜炎に併発した小腸潰瘍の1例
福島県立医科大学会津医療センター 小腸大腸肛門科 根本
埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科 可児
公立学校共済組合九州中央病院 消化器内科 藤田
佐賀大学医学部 消化器内科 坂田
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
大樹
和仁
恒平
資尚
99
O5-1
カプセル内視鏡により確定診断された
小腸型クローン病の3例
根本 大樹、歌野 健一、五十畑 則之、遠藤 俊吾、冨樫 一智
福島県立医科大学会津医療センター 小腸大腸肛門科
【はじめに】クローン病の診断では縦走潰瘍と敷石像が重要視され、どちらかの所見が認めら
れれば確定診断される。最近、下部消化管内視鏡検査で特徴的な内視鏡所見・生検組織像が認
められなかったが、カプセル内視鏡検査により確定診断された小腸型クローン病の3例を経験
したので報告する。
【症例1】22歳、
男性。2010年頃より裂肛症状あり。2013年12月、前医で虫垂炎のため虫垂切除術。
その後も、腹痛・下痢症状持続したため、当科を紹介受診。下部消化管内視鏡検査で、終末回
腸に深い潰瘍がみられたが、これより口側小腸の観察はできず、同部の生検標本で肉芽腫は確
認できなかった。上部消化管内視鏡検査で異常所見はなかった。小腸カプセル内視鏡検査では、
深部小腸を中心に多発潰瘍・縦走潰瘍を認め、クローン病と診断した。
【症例2】22歳、男性。兄が小腸型クローン病。2013年11月より体重減少、痔瘻と食後の腹痛
を自覚し、前医を受診。2014年6月にクローン病が疑われ当科を紹介受診。下部消化管内視鏡
検査では、回腸末端に小隆起を認めたが、生検標本で肉芽腫は確認できなかった。上部消化管
内視鏡検査では、竹の節状外観とノッチ様陥凹を認めた。小腸カプセル内視鏡検査で、空腸を
中心に縦走潰瘍と敷石状病変認め、クローン病と診断した。
【症例3】16歳、男性。2014年5月に肛門周囲膿瘍で切開排膿、7月に痔瘻手術(前医)
。クロー
ン病疑いで当科紹介。下部消化管内視鏡検査では異常所見はなかったが、上部消化管内視鏡検
査では、竹の節状外観とノッチ様陥凹を認めた。小腸カプセル内視鏡検査で、多発潰瘍と敷石
状変化を認め、小腸型クローン病と診断した。その後、ダブルバルーン小腸内視鏡検査を行い、
多発潰瘍・縦走潰瘍を確認した。生検標本では、肉芽腫様所見がみられた。
【おわりに】以上、小腸カプセル内視鏡検査により確定診断された小腸型クローン病の3例を報
告した。
一般演題 ⑤
100
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
O5-2
カプセル内視鏡で治療経過を追った
Cronkhite-Canada症候群の1例
可児 和仁、加藤 真吾、小林 泰輔、山本 龍一、名越 澄子、屋嘉比 康治
埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科
【はじめに】Cronkhite-Canada症候群(CCS)は比較的稀な疾患であり、カプセル内視鏡で病
変を確認し経過を追った症例を経験したので報告する。
【症例】71歳男性
【主訴】下痢、四肢脱力
【既往歴】特になし
【生活歴】喫煙10本/日、飲酒ウィスキー100ml/日
【家族歴】特になし
【現病歴】2014年4月下痢が出現し、他院で整腸剤処方されるも改善せず。5月から手掌、足底
の色素沈着、爪甲の委縮を認めた。また、四肢の脱力も認めていた。6月歩行困難となり神経
内科入院となった。
【現症】身長165cm、体重44kg、体温36.5度、血圧128/60mmHg、脈拍70/分、2時間毎の水様便、
手掌と足底の色素沈着、爪甲の委縮を認めた。
【検査所見】TP5.6g/dl 、Alb2.6g/dlと低値、K1.5mEq/lと低値であった。
【経過】脱力は低K血症によるものと診断、下痢精査で転科となった。上部消化管内視鏡にて
発赤、浮腫を伴ういくら状の粘膜を認め、大腸にも同様の所見を認めた。カプセル内視鏡では
空腸は粘膜が粗造であるが、ポリープ様隆起は目立たなかった。回腸には胃と大腸と同様のポ
リープが全周性に多発していた。電解質の補正と、PSL30mg/日で治療したところ、下痢と脱
力の改善を認め退院となった。治療開始から3か月後、カプセル内視鏡を施行、前回と同様に
空腸は粘膜粗造であった。回腸では残渣あり評価困難な部分もあるが、同様のポリープ様隆起
を認めた。
【結語】CCSは小腸の病変も伴うがカプセル内視鏡での報告は少なく、CCSに特徴的な粘膜病
変は空腸側よりも回腸側で多いことがわかった。
一般演題 ⑤
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
101
O5-3
カプセル内視鏡で発見された小腸ポリープを
内視鏡的に切除したCronkhite-Canada症候群の1例
藤田 恒平1)、檜沢 一興1)、井原 勇太郎1)、仁田畑 智紀1)、樋口 梢1)、
平橋 美奈子2)、江崎 幹宏3)、飯田 三雄1)
公立学校共済組合九州中央病院 消化器内科、2)九州大学大学院 形態機能病理学、
1)
九州大学大学院 病態機能内科学
3)
Cronkhite-Canada症候群(CCS)は蛋白漏出性胃腸症を伴う原因不明の非腫瘍性消化管ポリ
ポーシスである。約10%に胃癌や大腸癌の合併が報告されておりサーベイランスにも注意が
必要である。一方カプセル小腸内視鏡の普及に伴い小腸病変の報告が増加している。多くは
小病変であり切除を要することはないが、病変の発生や癌化に関して不明の点も多い。我々
はsulindac投与にて大腸多発腺腫は縮小したが、初診から8年後のカプセル内視鏡にて回腸に
20mmの亜有茎性ポリープが発見され、内視鏡的に切除した症例を経験したので報告する。症
例は57歳女性。水様下痢と爪甲脱落のため当科を受診した。全消化管検査にて胃、十二指腸、
回腸末端、大腸に大小多数の発赤したポリープを認めた。組織学的にも豊富な間質と嚢胞状に
拡張した腺管を認めCCSと診断した。prednisolone(PSL)30mgにて症状消失し臨床検査所見
も正常化した。6ヵ月後の大腸内視鏡検査にて粘膜の発赤浮腫は改善していたが、管状腺管模
様から成る多数の腺腫性ポリープの存在が明瞭となった。PSLを漸減中止し、sulindac 300mg
を開始した結果、更に6ヵ月後の内視鏡検査にて大腸多発腺腫は不明瞭となり、sulindac投与
12ヶ月後には全く消失していた。sulindacの投与は3年で終了したが、中止1年後には大腸腺腫
が再発したため再開し継続した。初診5年後に症状再燃したが、PSL 20mgで軽快し漸減中止
した。以後は再発なく経過し、上下部消化管内視鏡検査でも癌の合併は認めなかった。しかし
カプセル小腸内視鏡が施設導入され初診8年後に実施した結果、回腸の内腔を占める平滑なポ
リープが発見された。十二指腸〜上部空腸、回腸末端には大小の無茎隆起が多発していたが他
に明らかな病変はなく、sulindacに伴う粘膜傷害も認めなかった。経口小腸X線造影検査で病
変は回腸末端から1mの回腸に15×20mmの平滑な亜有茎性の透亮像として描出された。前年
にも小腸X線造影検査を施行していたが病変は指摘できなかった。経肛門的ダブルバルーン小
腸内視鏡を施行した結果、回腸に表面過形成上皮に被われた山田Ⅲ型ポリープが確認された。
病変が増大した場合には閉塞症状を生じる可能性もあると判断し内視鏡切除を行った。組織学
的には間質の浮腫と囊胞状に拡張した腺管から成る非腫瘍性ポリープであり、CCSに伴う病変
一般演題 ⑤
と診断した。
102
第8回 日本カプセル内視鏡学会学術集会
O5-4
結核性腹膜炎に併発した小腸潰瘍の1例
坂田 資尚、芥川 剛至、山内 康平、岩切 龍一
佐賀大学医学部 消化器内科
症例は70歳代、女性。腹部違和感の精査のため行われた腹部CT検査で、腹腔内に多発する結
節と腹水を認め、当院に紹介となった。血液検査ではCRPが軽度上昇し、CEA、CA19-9の上
昇は認めないもののCA125の上昇を認めた。腹部造影CT検査では、大網内の脂肪織濃度の上
昇と内部に結節を認め、腸管内リンパ節の軽度腫脹と回腸の一部に壁肥厚を認めた。小腸病変
の精査目的にカプセル内視鏡検査を施行したところ、回腸前半と思われる部位に不整形の潰瘍
を認めた。下部消化管内視鏡検査では、盲腸に潰瘍瘢痕を認め、回盲弁の変形を認めた。Tス
ポットが陽性であり、第一に結核性腹膜炎を考えたが、癌性腹膜炎を否定できなかった。胸
腹水からは悪性細胞や結核菌は検出されず、確定診断のため審査腹腔鏡を行った。腹膜の結節
から組織を採取し、病理診断を行ったところ、ラングハンス巨細胞と類上皮肉芽腫を認め、組
織の結核菌PCRが陽性であった。結核性腹膜炎と診断し、抗結核薬4剤併用療法(RFP、INH、
EB、PZA)を開始した。治療後症状は軽快し、腹部CT上も腹水は減少し、腹膜の肥厚は改善
した。報告によると結核性腹膜炎と腸結核の合併は稀とされるが、結核性腹膜炎において小腸
病変の精査まで十分に行えていないことも一因ではないかと考えられる。今回、カプセル内視
鏡で小腸潰瘍を確認した結核性腹膜炎の1例を経験したので、抗結核療法後の変化も含めて報
告する。
一般演題 ⑤
The 8th Annual Meeting of The Japanese Association for Capsule Endoscopy
103
memo
memo
第 8 回日本カプセル内視鏡学会学術集会開催にあたり、次の各団体様より
ご協賛を頂戴いたしました。ここに銘記し、そのご好意に深謝申し上げます。
共催団体一覧
広告掲載団体一覧
アストラゼネカ株式会社
大塚製薬株式会社
第一三共株式会社
杏林製薬株式会社
田辺三菱製薬株式会社
コヴィディエン ジャパン株式会社
富士フイルムメディカル株式会社
ゼリア新薬工業株式会社
大日本住友製薬株式会社
武田薬品工業株式会社
展示出展団体一覧
コヴィディエン ジャパン株式会社
協賛団体一覧
アッヴィ合同会社
一般財団法人淳風会
因島医師会病院
医療法人社団清和会 笠岡第一病院
大塚製薬株式会社
医療法人誠和会 倉敷紀念病院
公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構
倉敷リバーサイド病院
ゼリア新薬工業株式会社
医療法人社団 おがさ内科
医療法人社団景珠会 八重垣病院
医療法人恵和会 田嶋内科
医療法人社団 玄同会
コヴィディエン ジャパン株式会社
医療法人行堂会 長野病院
医療法人さとう記念病院
社会医療法人社団十全会
心臓病センター榊原病院
社会医療法人全仁会 倉敷平成病院
医療法人創生会 渡辺胃腸科外科病院
武田薬品工業株式会社
医療法人八紘会 上田紀念病院
医療法人豊医会
公立みつぎ総合病院
三菱三原病院
〈平成 26 年 12 月 19 日現在・五十音順〉
平成 26 年 12 月
第 8 回日本カプセル内視鏡学会学術集会
会長 春間 賢
B5_1/2 H108mm×W150mm 1C