学校長あいさつ - モスクワ日本人学校

中学部意見発表会が7月11日午後に開かれます。
3分間で自分の意見を述べ、聞き手にそのメッセージ
を伝えることは、決して簡単なことではありません。
子どもたちにそれなりの指導をするのであれば、まず
私たちが模範を示さなければとの思いで、国語科の
村松先生と私でお手本を示しました。
村松先生の発表のタイトルは「仲間」でした。
私は、「チャンスの神様」のタイトルで、子ども
たちの前で発表しました。
私の意見発表の文章を紹介します。
※(7月10日
「チャンスの神様」
中学部
クレムリン・赤の広場見学)
モスクワ日本人学校
校長
白川
修三
みなさん、チャンスの神様は、前髪しかなく後ろ頭はつるつるに禿げているという話を知っていますか。
ギリシャ神話にはたくさんの神々が出てきます。その中に、時間の神様、クロノスとカイロスがいます。
私たち全員が、このクロノスには出会っています。そしていつもいっしょにいます。なぜなら、クロノスは、
誰でもが平等にもっている一定の時間の流れの神様です。
そして、もう一人の時間の神様カイロスが、めったに出会うことがない絶好のチャンス、絶好の時をくれ
るチャンスの神様なのです。ギリシャの神々の彫刻で、チャンスの神様は、前髪はふさふさしているが後頭
部がつるつるに禿げ、翼が付いている美少年として表されています。(※カイロスの写真を見せる)
カイロスは、飛ぶような速さで走ります。あまりにも速く走るので、目の前に現れてもなかなか気づきま
せん。運よくカイロスが前を走ってくるのに気づきました。これを「チャンス到来!」と言います。
カイロスを捕まえようと手をのばします。捕まえることができるのは前髪だけ、前髪を捕まえそこなうと、
カイロスは、あっという間に横を通り過ぎてしまいます。ふりむきざま、カイロスをつかまえようとしても、
カイロスの後ろ頭はツルツルに禿げているので、捕まえた―と思っても、つるりとすべってにがしてしまい
ます。しまった。もう一度と思っても、チャンスの神様は、はるか遠くを走っています。
私たちはこのことを「絶好のチャンスを逃がした」と言います。
このように、その瞬間にカイロスの前髪をつかまないと、後ろ頭はつるつる、もう二度と捕まえられませ
ん。次のチャンスの神様との出会いを待つしかありません。
しかし、一回でチャンスの神様を捕まえる方法があります。カイロスは、がんばっている人、努力をして
いる人に大変興味を持って近づき、この人は、「何をがんばっているんだろうか」とそのスピードを緩める
そうです。もし、あなたが夢に向かって努力をしているなら、あなたの近くに何度もやってきて、カイロス
はそのスピードを緩めてくれるのです。そこで、すれ違う瞬間、えいっとその前髪を捕まえます。
みなさん、夢に向かって努力する人の前に、チャンスの神様はそのスピードを緩め、何度もあらわれると
いうことが分かっていただけたと思います。
わたしの前にもあらわれてくれました。私は、カイロスの前髪をグイッとつかんでモスクワ日本人学校へ
来ることができました。
みなさんが夢に向かって努力しているなら、チャンスの神様カイロスは、いつでもあらわれます。
さあ、チャンス到来。その時には、しっかりと、チャンスの神様カイロスの前髪をつかまえ、ぐっとひきよ
せ、チャンスを自分のものにして、よりよい自分の未来を築いてください。
以上で発表を終わります。