東温市交通安全計画の概要

東温市交通安全計画の概要
計画期間
平成28年度から平成32年度まで
計画の基本的な考え方
1
交通事故のない東温を目指して
真に豊かで活力のある社会を構築していくためには、その前提として、市民全
ての願いである安全で安心して暮らせる社会を実現することが極めて重要です。
人命尊重の理念に基づき、交通事故被害者の存在に思いを致し、また交通事故
がもたらす大きな社会的・経済的損失をも勘案して、究極的には交通事故のない
東温を目指します。
2
人優先の交通安全思想
高齢者、障がい者、子ども等の交通弱者への配慮や思いやりのある「人優先」
の交通安全思想を基本とし、あらゆる施策を推進します。
3
先端技術の積極的活用
今後、全ての交通分野において、更なる交通事故の抑止を図り、交通事故のな
い社会を実現するため、あらゆる知見を動員して、交通安全の確保に資する先端
技術や情報の普及活用を促進します。
4
交通社会を構成する三要素
交通社会を構成する人間、車両等の交通機関及びそれらが活動する場としての
交通環境という三つの要素について、それら相互の関連を考慮しながら、適切か
つ効果的な施策を市民の理解と協力の下、強力に推進します。
5
救助・救急活動及び被害者支援の充実
交通事故が発生した場合の迅速な救助・救急活動の充実、負傷者の治療の充実
等を図るとともに、交通安全の分野における一層の被害者支援の充実を図ります。
6
参加・協働型の交通安全活動の推進
市民の主体的な交通安全活動を積極的に促進するため、行政が行う交通安全施
策に計画段階から市民が参加できる仕組みづくり等により、参加・協働型の交通
安全活動を推進します。
7
効果的・効率的な対策の実施
厳しい財政事情を踏まえつつも、地域の交通実態に応じて、少ない予算で最大
限の効果を挙げることができるように取り組むとともに、効率的な予算執行に配
慮します。
8
公共交通機関等における一層の安全の確保
公共交通機関等の一層の安全を確保するため、事業者は社内一丸となった安全
管理体制の構築・改善に取り組むこととします。
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第1章 道路交通の安全
第1節
道路交通事故のない東温を目指して
1 道路交通事故の現状と今後の見通し
(1)東温市の道路交通事故の現状
①交通事故発生件数
○特 徴
・事故発生件数は、平成27年は、平成26年より8件増加していますが、こ
こ数年は、減少傾向にあります。
・事故発生件数が減少傾向にある中、高齢者による事故発生件数は、ほぼ
横ばい状態にあり、発生した交通事故に占める割合が高くなっています。
②交通事故負傷者数
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○特 徴
・事故発生件数の減少に伴い、負傷者数も減少する傾向にあります。
・高齢者負傷者数は近年減少しているものの、事故発生件数及び負傷者
数の減少もあって、その占める割合は、ほとんど20パーセント前後で
推移しています。
(2)道路交通事故の見通し
高齢化の進行により、交通弱者と言われる高齢者の歩行中、自転車乗用中
の事故や、高齢運転者が関係する事故等の増加が見込まれ、今後なお一層憂
慮すべき事態になることが懸念されます。
2
交通安全計画における目標
年間の交通事故死者数0人(ゼロ)を目標とする。
① 本市の現状を考慮し、年間の交通死亡事故死者数0人(ゼロ)を目指す。
② 年間の交通事故発生件数は、究極の目標である0件を実現させるため、前
年に比較して着実に減少させる。
3
今後の道路交通安全対策を考える視点
従来の交通安全対策を基本としつつ、経済社会情勢、交通情勢の変化等に対
応し、また、実際に発生した交通事故に関する情報の収集、分析を充実し、よ
り効果的な対策への改善を図るとともに、交通安全活動に携わる関係機関等が
相互に情報の共有化を図り、連携を緊密にしながら、次に掲げる視点により強
力に推進します。
(1)高齢者及び子どもの安全確保
① 全国的に見ても、高齢者の交通事故死者数が多く、今後も高齢化が急速に
進むことを踏まえると、高齢者が安全にかつ安心して外出したり、移動し
たりできるような交通社会の形成が必要です。
② 高齢者が主として歩行及び自転車等を交通手段として利用する場合と、自
動車を運転する場合の相違に着目し、それぞれの特性を理解した対策を構
築する必要があります。
③ 子どもの安全を確保する観点から、通学路等において歩道等の歩行空間の
整備を積極的に推進する必要があります。
(2)歩行者及び自転車の安全確保
① 安全で安心な社会の実現を図るためには、自動車と比較して弱い立場にあ
る歩行者の安全を確保することが必要不可欠であることから、人優先の考
えの下、歩行者の安全確保を図る対策を推進していく必要があります。
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② 自転車については、自動車と衝突した場合には被害を受ける反面、歩行者
と衝突した場合には加害者となるため、それぞれの対策を講じる必要があ
ります。
③ 自転車の安全利用を促進するため、生活道路や幹線道路において、自動車
や歩行者と自転車利用者が共存できるよう、自転車の走行空間の確保を積
極的に進める必要があります。
④ 自転車利用者については、自転車の交通ルールやマナーに違反する行動が
多いことから、交通ルールはもとより、
「愛媛県自転車の安全な利用の促進
に関する条例(平成25年3月26日愛媛県条例第9号)」の浸透に向けた交通
安全教育等の充実を図る必要があります。
(3)生活道路及び幹線道路における安全確保
① 生活道路においては、歩行者及び自転車が被害者となる事故が多いことか
ら、地域における道路交通事情等を十分に踏まえ、各地域に応じた生活道
路を対象とした自動車の速度抑制を図るための道路交通環境の整備、安全
な走行方法の普及等の対策を講じることが必要です。
② 幹線道路を走行すべき自動車が生活道路へ流入することを防止するため、
幹線道路における交通安全対策及び交通流の円滑化を推進するなどの対策
を講ずる必要があります。
第2節
道路交通の安全について講じようとする施策
1 道路交通環境の整備
(1)道路交通環境の整備については、交通事故を防止し、安全で快適な市民生
活の確保を図るため、幹線道路から生活道路に至る間で適切に機能分担され
た安全な道路交通網の体系的整備や、少子高齢化等社会情勢の変化に対応し
た人優先の道路環境整備の強化を行うとともに、問題が生じている箇所ごと
に事故の特性や発生要因について分析を行い、整備を推進します。
(2)安全な道路交通環境の整備に当たっては、道路を利用する人の視点を生か
すことが重要であることから、地域住民や道路利用者の意見を取り入れなが
ら、地域の実情に即した整備を推進します。
◇主な取り組み
①高規格幹線道路等の更なる活用促進による生活道路との機能分化
②生活道路等における人優先の安全・安心な歩行空間の整備
③交通安全施設等整備事業の推進
④身近な生活環境の改善
⑤自転車利用環境の総合的整備
⑥交通需要マネジメントの推進
⑦災害に備えた道路交通環境の整備
⑧総合的な駐車対策の推進
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⑨道路交通情報の充実
⑩交通安全に寄与する道路交通環境の整備
2 交通安全思想の普及徹底
(1)幼児から成人に至るまで、段階的かつ体系的な交通安全教育を行うととも
に、高齢者自身の交通安全意識の向上を図ります。
(2)自転車を使用することが多い小学生、中学生及び高校生に対しては、交通
社会の一員であることを考慮し、交通安全意識及び交通マナーに係る教育を
充実します。
(3)交通安全教育・普及啓発活動を行うに当たっては、参加・体験・実践型や
衝突直視型の教育方法を積極的に取り入れ、関係機関が互いに連携をとりな
がら地域ぐるみの活動を推進します。
◇主な取り組み
①段階的かつ体系的な交通安全教育の推進
②効果的な交通安全教育の推進
③交通安全に関する普及啓発活動の推進
④交通の安全に関する民間団体等の主体的活動の推進
⑤市民の参加・協働の推進
3 安全運転の確保
(1)安全運転を確保するためには、運転者のみに限らず、これから運転免許を
取得しようとする者まで含めた運転者教育の充実に努めます。
(2)交通事故の実態を踏まえた運転者教育、安全運転管理者による指導、広報
啓発等により、高齢者や子どもをはじめとする歩行者や自転車に対する保護
意識の高揚を図ります。
(3)企業・事業所等の自主的な安全運転管理対策の推進及び自動車運送事業者
の安全対策の充実を図るとともに、交通労働災害の防止等を図るための取り
組みを進めます。
(4)道路交通の安全に影響を及ぼす自然現象等に関する適時・適切な情報提供
を実施するため、道路交通に関連する総合的な情報提供の充実を図ります。
◇主な取り組み
①運転者教育等の充実
②安全運転管理の推進
③自動車運送事業者の安全対策の充実
④交通労働災害の防止等
⑤道路交通に関連する情報の充実
4 車両の安全性の確保
(1)自動車の保守管理は、自動車使用者の責任の下になされるべきですが、自
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動車は、交通事故等により運転者自身のみでなく、第三者の生命、身体にも
影響を与える危険性を内包しているため、定期点検整備及び自動車検査の実
施を推進し、車両の安全性の確保を図ります。
◇主な取り組み
①自動車の検査及び点検整備の充実
②自転車の安全性の確保
5 道路交通秩序の維持
(1)交通指導取締り、暴走族取締り等を通じ、道路交通秩序の維持を図る必要
があります。
◇主な取り組み
①交通の指導取締りの強化等
②暴走族対策の推進
6 救助・救急活動の充実
(1)救急関係機関相互の緊密な連携・協力関係を確保し、救助・救急体制及び
救急医療体制の整備を図るとともに、救急現場又は搬送途上において、一刻
も早い救急医療、応急処置等を実施するための体制整備を図ります。
◇主な取り組み
①救助・救急体制の整備
②自動体外式除細動器の使用も含めた心肺蘇生法等の応急手当の普及啓発活
動の推進
③救急救命士の養成・配置等の推進
④救急・救助資機材等の整備
⑤ヘリコプターによる救急業務の推進
⑥救助隊員及び救急隊員の教育訓練の充実
⑦救急医療体制の整備
⑧救急関係機関の協力関係の確保等
7 被害者支援の充実と推進
(1)交通事故被害者等は、交通事故により多大な身体的、精神的及び経済的打
撃を受けるなど、大きな不幸に見舞われており、このような交通事故被害者
等を支援することは極めて重要であることから、交通事故被害者等のための
施策を総合的かつ計画的に推進します。
◇主な取り組み
①自動車損害賠償保障制度の周知
②自転車損害賠償保険制度の周知
③交通事故相談活動の推進
④交通事故被害者等支援の充実強化
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8 道路交通事故原因の総合的な調査研究の推進
(1)交通事故が集中して発生している特定の区間又は地点(交差点及びカーブ
等)で集中して発生している道路に対し、警察及び関係機関等と共同して効
果的な事故防止対策を推進します。
(2)最近の交通事故発生状況の変化に対応した交通安全に関する施策の検討等
に資するため、県や警察署等と連携し、多角的な交通安全対策の推進に努め
ます。
第2章 鉄道及び踏切道における交通の安全
第1節
1
鉄道事故のない東温を目指して
鉄道事故の現状と交通安全対策の今後の方向
鉄道の運転事故は、長期的には減少傾向にありますが、重大な列車事故の未
然防止を図るとともに、利用者等の関係する事故を防止するため、道路管理者
や鉄道事業者等の関係機関が連携・協力し、効果的な対策を総合的な視点から
推進します。
愛媛県における鉄道の運転事故
平成22年
発生件数
17件
死傷者
13人
→
平成27年
発生件数
11件
死傷者
9人
発生件数で約35%の減少、死傷者数で約31%の減少となっています。
愛媛県における踏切事故
平成22年
発生件数
9件
死傷者
4人
→
平成27年
発生件数
6件
死傷者
4人
死傷者数に増減はないものの、発生件数は約33%の減少となっています。
2
交通安全計画における目標
交通の安全と円滑化を図るため、市民の理解と協力のもと、年間の鉄道の運
転事故及び踏切事故の死者数 0 人(ゼロ)を目指します。
第2節
1
鉄道交通の安全について講じようとする施策
鉄道施設等の安全性の向上
鉄道施設の安全性向上のため、必要に応じ、維持管理や補修等を鉄道事業者
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に要請します。また、駅施設等におけるバリアフリー化については、高齢者、
障がい者等の安全利用にも十分配慮したものになるよう、段差の解消、転落防
止設備の整備等を推進します。
2
踏切道の整備の促進
踏切保安設備(遮断機・警報機)の整備されていない踏切道については、関
係機関等と協議を行い、踏切道の利用状況、踏切道の幅員、交通量等を勘案し
た上で整備を推進します。また、踏切道に歩道がない踏切や歩道が狭隘な踏切
等においても、歩行者等安全対策について効果の高い構造の改良を推進します。
このほか、踏切道に接続する道路の拡幅については、踏切道において道路の
幅員差が新たに生じないよう努めるものとします。
3
鉄道交通の安全に関する知識の普及
鉄道運転事故の大多数を占める道路障害事故、踏切障害事故及び人身障害事
故の防止のため、学校、沿線住民、自動車運送事業者等を幅広く対象として、
関係機関等の協力の下、広報啓発活動を積極的に行い、鉄道の安全に関する正
しい知識を浸透させます。
4
救助・救急活動の充実
鉄道の重大事故等の発生に対して、避難誘導、救助・救急活動を迅速かつ適
確に行うため、主要駅における防災訓練の充実や鉄道事業者と消防機関、医療
機関、その他の関係機関との連携・協力体制の強化を推進します。
5
公共交通事故被害者への支援
公共交通事故被害者への支援については、公共交通事故が発生した場合の情
報提供のための窓口として、平成24年4月、国土交通省に設置された公共交通
事故被害者支援室と連絡協調を図り、公共交通事故の被害者等への支援を着実
に進めます。
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