「『1日30分』を続けなさい!」の本にも、次のようなことが書かれています。 学習支援部 №17 2016.1.29.発行 自分で発音できない音は聞き取れない。 … リスニングが苦手な英語学習者がしなければならないのは、さらにリスニン グを学習することではなく、発音の勉強なのです。 英語力は音楽やスポーツと同様、練習で身につける 前号で紹介した「『1日30分』を続けなさい!」の本の著者である古市幸雄さんは、社会 人になって、仕事で忙しく時間がなかなか取れないにもかかわらず意欲的に勉強を続けて、30 歳から英語力を身につけ TOEIC 980点(英語によるコミュニケーション能力の検定試験で満 点は990点)を取り、MBA(欧米の経営学修士のことでビジネスマンがキャリアアップのため に留学して取得する)などの各種資格を取得し、英語学校などのビジネスを起業しました。 古市さんが、社会人になってからのアメリカ留学で実践した勉強法は次のようなものでした。 英語のスキル向上のために、毎日40分間英字新聞を読むことを自分に課しました。読 むのをサボった次の日には、前日の新聞と合わせて2日分読みました。 … 先ほども書きましたが、学校の勉強以外の時間は、毎日、新聞を必ず読んだり、テレ ビドラマを見て英語を勉強していました。 … ネイティブが多用するフレーズはどこで見聞きすることができるか? それは、ホー ムコメディと呼ばれるテレビドラマシリーズです。私が英会話を習得したのは、留学 中にこのテレビドラマを見て、彼らが多用する基本フレーズを徹底的に会得したから です。 このような「毎日多く英語に触れる・使う」というのは、受験英語でも学習の鉄則でしょう。 つい最近目にしたある進路関係の冊子の中に、「『使える英語』を身につけよう!」という記 事がありました。東進ハイスクール・東進ビジネススクール講師の安河内哲也さんによるもの ですが、その中にはやはりこのことの重要性が書いてありました。 Q 高校生が英語力を引き上げる秘訣は? A まず音読。ネイティブの発音を真似て覚えるまで繰り返す。 一つ発想を変えてほしいのは、英語は国語や数学のように 「勉強する科目」ではなく、音楽や体育のように 「練習する科目」だということ。いくら楽譜の読み方を勉強 しても、毎日毎日手を動かして反復練習を繰り返さないことに はピアノを弾けるようになりませんよね。英語も同じで、まず は声に出して音読すること。ネイティブ・スピーカーの発音を 真似て、リズムやイントネーションに気をつけながら何度もリ ピートする。そして、読みながら、つねに意味を伝えることを 意識する。初心者が英語力を大きく引き上げるには、勉強時間 の50%以上を音声活動に費やすべきだと私は思います。 ずっと苦手のままとは限らない ひろ し 森博嗣というベストセラー作家がいます。名古屋大学工学部建築学科助教授のかたわら執筆 活動をして、途中で大学の先生を辞めて小説家になってしまった変わり種の人です。この人は なんと子どもの頃は国語が大の苦手で、研究者になってから漢字を覚え、文法を理解し、文章 が読めるようになったとのこと。苦手科目の克服に困っていて、あきらめかけている人がいた ら、森さんの次の文章を読んでみてください。 僕は、子どものときに、文字を読むことが大変苦手だった。そのため、国語や社会の授業 が嫌いになり、結果的に、算数へ逃避していた。算数が一番、文字を読む機会(時間)が少 なかったからだ。この不得手は、高校生になる頃には幾分ましになったけれど、それでも人 並みではなかったように思う。大学は理系しか受験できなかったから、工学部へ進んだ。 でも、それくらい苦手であっても、僕は文字を読むことを諦めたわけではない。人よりも 時間がかかるというだけで、読めないわけではなかった。具体的に測ったことはないけれど、 僕自身の感覚では、小学生の頃には、みんなの5倍くらい時間がかかった。大学生のときに は、それが2倍くらいに改善されていた。 スピードが遅くても、時間をかければ読める わけだから、時間さえあれば完全に解決する問 題である。今でも、僕は本を読むのが人よりも 遅い。でも、遅ければ遅いなりに、考える時 間、発想の余裕が生まれる。まんざら悪いわけ でもない。 … 小学校の算数や中学校の数学、物理の授業 で、やはり理解に時間がかかる人がいたはずで ある。その時間がかかることを、「できないこ と」だとあっさり諦めてしまったのではない か。足が遅いことを、「走れない」と解釈した ようなものだ。そもそも、「できる」「できな い」という単純な評価で人間を分けることが、 科学的ではない。「文系」と「理系」も非常に 非科学的な言葉だ。 (「科学的とはどういう意味か」より)
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