2004.11(PDF:864KB)

P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S
NOV. 2004
もくじ
モデルの紹介
セーフティ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
プリベンティブセーフティ ・・・・・・・・・・・・25
日本でのサクセスストーリー ・・・・・・・・・・・・・7
アクティブセーフティ ・・・・・・・・・・・・・・・・25
パッシブセーフティ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
モデルの詳細
フロントエアバッグ ・・・・・・・・・・・・・・・・26
賢い車を目指した妙策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
サイドエアバッグ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
驚くべき多用途性とフレキシビリティ ・・・9
ウインドエアバッグ ・・・・・・・・・・・・・・・・27
秀逸の特性:エルゴノミクスと快適性 ・・10
シートベルト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
マルチファンクションディスプレイ ・・・・12
プリテンショナーシステム ・・・・・・・・・・27
シートとヘッドレスト ・・・・・・・・・・・・・・28
進化したイージードライブ ・・・・・・・・・・・・・・13
ISO FIX式チャイルドシートアンカー・・・28
車両火災防止対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
フィアットグループ各社の貢献 ・・・・・・・・・・15
FPS(車両火災防止システム)・・・・・・・29
Teksid(テックシッド)・・・・・・・・・・・・・・・15
マキシヒューズ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
Magneti Marelli(マニェーティ・マレッリ)・・・15
セキュリティ(盗難防止)・・・・・・・・・・・・・30
フィアットコードⅡシステム ・・・・・・・・30
ユニークな構造、刷新したスタイリング ・・・16
スペースフレーム構造 ・・・・・・・・・・・・・・・・31
エクステリア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
高いボディ剛性と耐衝撃性能 ・・・・・・・・31
インテリア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
有効スペースの拡大 ・・・・・・・・・・・・・・・・31
アピアランス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
エンジン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
1.6-16Vガソリンエンジン ・・・・・・・・・・・・・20
装備品
標準装備品とオプション装備品 ・・・・・・・・・・33
メカニカルシステム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
ボディカラーとインテリアカラー ・・・・・・・・35
トランスミッション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
フロントサスペンション ・・・・・・・・・・・・・・22
P.A.S.S.
リアサスペンション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
P.A.S.S.・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
ブレーキシステム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
メーカー保証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
ABS ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
テクニカルスペック
主要諸元、動力性能 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
THE MODEL IN BRIEF
■モデルの紹介
■概要
楽しく、ユーザーフレンドリー。誰もが愛するムルティプラが今、さらなる進化を遂げました。その外観
は、フィアットファミリーの最新モデルであることをさらに感じさせます。第74回ジュネーブモーター
ショー(2004年3月開催)で発表されたニュームルティプラは、6人分の快適なシートやコンパクトなが
らもセダン並みの広さを誇るインテリアスペースなど現行モデルの長所をすべて引き継ぎつつ、様々な用
途にフレキシブルに対応できる、類いまれな多用途性という際立つ個性を最新自動車業界での潮流の中で
確立しています。
独創的なボディラインが特徴のニュームルティプラ。全長約4mのショートかつコンパクトなボディに充
分すぎるほど広いインテリアスペースを、というニーズに対するフィアットの答えが、この車です。前席
3人、後席3人のシートアレンジはこの車が属するセグメントでは非常に稀な存在。ラゲッジルームも充
分な容量を誇ります。また、一般的な単なるモノコック構造ではなく、ユニークな「スペースフレーム構
造」によりボディを形成しており、どの点をとっても、標準的なMPV(マルチパーパスビークル:多用途
車)のドライビングが可能。さらに、ニュームルティプラはセグメントB(super compact)やセグメン
トC(lower medium)に属する車よりも車高を高く設定しています。つまり、路面からの運転席位置も
高いため、非常に運転しやすく、道路の支配者たる気分さえ味わうことができます。際だつスタイリン
グ、用途の広さ、インテリアスペース、エミッションコントロールを、この魅力あふれる庶民派の車が装
備することができる、その一因がここにあります。そう、ムルティプラは、エルゴノミクス(人間工学)、
スペースユーティリティー(車内空間効率)、ストラクチャー(構造)のどの角度からも妙策を施し、数
多くの特色を実現させたのです。
ニュームルティプラは、他の車とは明らかに異なる、楽しさあふれるデザインの車という本質を備えなが
ら、より上質な居住性をも追求する独創的な車という、特異な一面も持っています。1999年、世界で最
も重要かつ有名な近代美術の殿堂「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」で、美術展 Different Roads :
Automobiles for the Next Century が開催され、オリジナルモデルのムルティプラが展示されました。当時
21世紀という近未来へ向け、革新的なスタイリングと特色ある技術が融合する自動車の一例として紹介
されたのです。しかし、この出来事は単なる偶然ではなく、関係者にとって驚くことは何もありませんで
した。なぜなら、フィアット車はいつでも、時代時代の一歩先を行く先進性、精巧さ、使い易さの代名詞
であり続けているから。独創性に優れるコンパクトなMPV、ニュームルティプラも例外ではありません。
レジャーや旅行にも最適なモデルと言えるはず。もっと遠くへ走りたくなる車です。
−3−
格別のドライビングコンフォートを目指した妙案:
貴重なスペースを無駄にはしない。それが、妙案というものです。ニュームルティプラの特色はまだまだ
尽きません。まずは、この車が属するセグメントで希少な前席3人、後席3人のシートアレンジを実現さ
せた革新的な構造。乗員スペースは独自のデザインを施し、全長約4メートルのボディを真のMPVに仕上
げました。6人の乗員を前後2列にゆったり乗せても、充分に余りあるインテリアスペースを確保。ドア
側乗員の頭部にもゆったりした空間を実現し、窮屈さをまったく感じさせません。加えて、ドライバーの
視認性は改善され、車の周囲で死角になりがちな路面さえも存分に見渡すことができます。この優れた視
認性が実現したのは、ウエストラインを思い切って低くし、開口部であるウインドガラスを低い位置まで
延ばした結果です。
後席シートを前方へ移動または取り外すと、最大1,900リットルのラゲッジスペースを実現。車内空間はゆ
うに3立方メートルを超え、同セグメントで最大を誇ります。このようなさまざまな手法を取り入れた、ム
ルティプラ。多用途性やゆったりした乗員スペースを備えても、そのドライビングコンフォートの基準は
揺らぐことはなく、乗れば誰もが陽気になり、居住性を楽しめる最高のインテリアスペースを実現しまし
た。6人分の独立したシートと広いラゲッジルームを備え、家族はもちろん友人との旅行やレジャーにまさ
にうってつけの車。4人、5人、6人と乗車人数が増えると、それに応じてシートを増やすことができ、残
りのスペースをすべてラゲッジルームとして使うことができます。乗員数が3人までなら、リアシートを取
り外して完全なフラットフロアに。長い荷物やかさばる荷物を載せる自由空間に早変わりします。ショー
トボディと、あらゆる状況でも抜群の視界。交通量の多い市街地での日々の運転にも理想的な車です。
ムルティプラは、多彩なキャラクターを1台に集約。そのときどきに応じてユーザーのさまざまな要望に
沿った車に変化します。あるときはステーションワゴンに、そしてMPV、セダンとして、さらにはフラ
ワーショップのデリバリーなどにも使えます。インテリアスペースを自由に、ユーザーの好みに応じて使
うとき、この車の表情や行動力が車名の由来どおり、さらに「multiplies=増える」のです。
さらに、イタリア仕様車のニュームルティプラでは安全性にも寄与する革新的なコミュニケーションシ
ステムをフィアット車として初導入<オプション設定>。最先端の無線式近距離通信システム「Bluetooth
(ブルートゥース)」テクノロジーを搭載した携帯電話に対応します。ブルートゥース機能搭載の携帯電
話ならば、わずらわしい配線を無用にし、乗員がジャケットのポケットやハンドバッグにその携帯電話
を持ってさえいれば、車側のマイクとオーディオ用スピーカーを介したハンズフリー通話を実現。着信
時には自動的にラジオやCDの音量を下げ、通話用に切り換えます。つまり、乗り降りのたびに携帯電話
のケーブルをつなぎ直す必要もなく、乗り込んだ瞬間から車側のオーディオを利用したハンズフリー通
話を常に提供。最大3台までの「Bluetooth」機能搭載の携帯電話に対応することができます。
−4−
独自性と魅力はそのままにスタイリングを刷新:
スムーズなラインと、開口部となるガラスエリアを多用したニュームルティプラのエクステリアデザイン。
フロントエンドでは、まず、ヘッドライトとフロントグリルのデザインを一新しました。新型グリルは、
小さなドットパターンをクローム仕上げのラインで引き締め、丸いロゴマークを掲げたデザイン。ヘッド
ライトや新設計のボンネット、さらにボディカラー同色仕上げのバンパーとも完璧に調和しています。こ
のようにフロントデザインを刷新したことで、たくましくスタイリッシュ、さらに楽しく愉快な車に生ま
れ変わりました。
リアエンドでは、少しふっくらと丸みを帯びたバンパーと新型テールランプが、力強さとともにコンパク
トな印象を強調。テールゲートには、やはり大きめのフィアットのロゴマークをあしらい、着色加工した
広いリアウインドーと見事にマッチしています。
サイドビューでは、かたまり感と優雅さが明確に表れ、ニュームルティプラのスタイリングに美しいまで
に合致。今回からボディと同色仕上げとしたサイドスカートがその美しさをより強調しています。
インテリアでは、効率的な空間利用や用途の広さなど、先端技術の数々を駆使した結果、生まれた独創性
が光ります。たとえば、前後の中央シートはドア側のシートと同じサイズとし、インストルメントパネル
はクロス張りをベースに仕上げました。メーターやスイッチ類は、エルゴノミクスやムルティプラ独自の
スタイリングセンスをもとに配置しています。
新たなモデルレンジ:
ニュームルティプラ(イタリアでは2004年8月に発売。他国では以降、順次発売予定)は、2つのモデル
グレード(Active、Dynamic)を用意。どちらのグレードも充実した標準装備品と、10色のボディカラー
を揃えています。また、オプション装備品やアクセサリーも豊富に用意しています<イタリア仕様車>。
イタリア仕様車のニュームルティプラには、3タイプのエンジンを採用。まず、伝統的な76 kW(103 PS)を
誇る1.6リットル 16バルブの1.6-16Vエンジンと、最高出力85 kW(115 PS)を誇る1.9リットルの 1.9
JTDターボディーゼルの2タイプは、低燃費、傑出した動力性能、そして、バランスのとれたフレキシブ
ルなドライビングコンフォートを実現します。さらに、環境保護を深慮して開発した「Natural Power
(ナチュラルパワー)」エンジン。メタンガスとガソリンの両方に対応する最高出力68 kW(92 PS)の
1.6リットルエンジンは、このモデルを通してフィアットが環境保護に真摯に取り組んでいることを実証す
るパワーユニット。フィアットグループは、何年にも渡り環境保護を追求してきました。たとえば、マー
ケティング部門では、ユーザーからの数々の要望に加え、各分野の専門家(フィアットオート社とマニェー
ティ・マレッリ社)
、製造業者やTeksidで働くエンジニアたちの意見をまとめ、分析、検討するなど、自然
環境保護に対する取り組みは、様々な部門で実践されています。
−5−
ニュームルティプラには、ABS、ESP<イタリア仕様車>、6つのエアバッグ、乗員の体重や体型に合わ
せてエアバッグの作動を調整するセンサーなど、随所に安全設計を駆使し、数多くの安全装備を具備して
います。ウインドエアバッグは、万一、側面衝突が起きたときにサイド(ドア)ウインドーの上方から下
がるように膨張し、前席および後席ドア側乗員の頭部を保護します。リアシートには、格納可能な3人分
のヘッドレストを装備し、駐車するときにも良好な後方視界を確保。バックレストはより高い快適性を約
束します。
また、ISO FIX式チャイルドシートアンカーを後席ドア側に標準装備。この機構は、チャイルドシートを常
に正しく確実に取り付けることができるので、子供にとって最高の安全性を、保護者にとってはこの上な
い安心感を約束します。
−6−
■日本でのサクセスストーリー
すでに日本でも多くのユーザーに愛されているフィアット ムルティプラ。日本での発売は、2003年4月
のことでした。
2003年4月:
このセグメントでは世界で唯一3×2シーター6人乗りのシートアレンジと、道行く人を和ませるユニーク
なスタイルで、日本での販売を開始。1.6リットルエンジン、5速マニュアル式トランスミッション、右
ハンドル仕様の「ELX」がデビューしました。
2003年12月:
ELXをベースに、ラグジュアリー志向の「ELX-Plus」を販売開始。専用アルミホイールをはじめ、電動デュ
アルサンルーフ、10連奏CDチェンジャー、オーディオコントロール用ステアリングスイッチ、レザー仕上
げステアリングホイール&シフトノブなどを装備してデビューしました。
発売後約1年半、いまもなお高い人気を誇っています。
●フィアット ムルティプラ国内販売総数(2004年9月末現在)
◆ムルティプラシリーズ:約750台
−7−
NEW FIAT MULTIPLA
■モデルの詳細
■賢い車を目指した妙策
フィアットがすべてのモデルに対して導き出した妙策。それは、居住性をシンプル化すること、そして、
より上質の居住性を目指すこと。これは、フィアットの伝統とも言うべき、神聖な主義であり、ニューム
ルティプラはその主義を応用した顕著なモデルと言えます。たとえば、ニュームルティプラは比類ない用
途の広さとフレキシブルで高い実用性を実現。同様に、その快適性とイージードライブ性能はセグメント
トップを誇ります。また、最先端のエルゴノミクス技術を採用したニュームルティプラは、居住性におけ
る満足感をコンセプトに掲げ、今回新たな革命を起こしました。その一例が、フィアット史上初、イタリ
ア仕様のニュームルティプラが新発表の場となる「Bluetooth(ブルートゥース)」方式による携帯電話の
ハンズフリーシステムです。さらに、近年、自動車業界においても、環境保護への取り組みが高く評価さ
れる傾向にある中、ニュームルティプラは、ガソリンとメタンガスの両方に対応する「Natural Power
(ナチュラルパワー)」も選択可能です<イタリア仕様車>。
●驚くべき多用途性とフレキシビリティ
ニュームルティプラは、ただインテリアスペースが広いだけの車ではありません。用途の広さはもちろん、
ユーザーの思いのままにインテリアスペースをアレンジし、目的や好み、ライフスタイル、用途、家族構
成などに応じ、幅広く対応できます。運転席シートには電動式高さ調整機能を備え、すべてのシートはリ
クライン機能を装備しています。後席シートバックレストはラゲッジルーム拡張用に前方へ折りたたむこ
とも可能。さらにはシートごと取り外すことさえできます。ラゲッジルームを広げるため、あるいは後席
乗員の足元スペースを広げるために後席シートは前後150 mm間隔の計2か所の固定位置から選べます
(後席シートを最前部に取り付けた場合、ラゲッジルーム容量は540リットル)。また、前後とも中央シー
トを使わないときは、バックレストを前方に倒すと、アームレスト&テーブルに早変わり。ここには、小
物入れと2つのカップホルダーを備えています。
さらに、オプション設定では前席中央シートの代わりに、18リットル容量のクール/ホットボックスを
装備することもできます<イタリア仕様車>。このクール/ホットボックスは、1.5リットルのペットボ
トル3本を収納できる大容量タイプ。保冷/保温機能を切り換えられ、冷蔵庫のようにソフトドリンクを
保冷したり、温蔵庫のように食べ物などを保温するためには最適です。動力源は車載バッテリーなので、
キーを OFF(STOP) にすると、バッテリーあがり防止のため作動が停止しますが、停止後でも短時間
ならば、遮熱作用により内部の温度を保つことができます。
ニュームルティプラは日々の実用性の面でも追求を重ね、妥協を許しません。6人分の快適なシートと充
分な容量のラゲッジルームを備えながらも、全長約4mに仕上がっています。高い実用性と他に類を見な
い用途の広さーーこの際立つ個性は最新自動車業界での潮流の中で明確な革新性を確立しています。この
ような特徴を掲げるムルティプラは、車に対する新しい発見を提供し、新しい未来を作る車なのです。
−9−
●秀逸の特性:エルゴノミクスと快適性
ニュームルティプラは、あらゆる状況でも乗員の快適さを優先し、さまざまな用途や目的に対してフレキ
シブルに対応できることを目標に設計しました。車に乗り込んで最初に驚くのは、インテリアスペースの
広さです。このインテリアスペースは外観サイズからイメージするより、ずっと大きく感じるはず。とは
言え、ニュームルティプラは全長4,090 mm<イタリア仕様車>のショートサイズながら、前席、後席に3
人ずつ同等サイズの快適な独立シートを備えています。
前席に座ったとき、肘の高さでの幅はすべてのライバル車を超えており、後席では伝統的なMPVモデル
に比べ、なんら遜色はありません。インテリアスペースとしてはゆうに3立方メートルを超え、外寸との
比率であるボディ容積比率は同セグメントではベストグループに属しています。
車内の居住性については、パッセンジャースペース容積から容易に計算でき、この値は乗車中の居心地の
良さを端的に示します。ニュームルティプラは、充分に満足できる値を達成。そのため、より快適感を高
めるため、設計時にはシート形状と乗員のポジションについて、とくに配慮しました。
また、このタイプの車では、乗り降りしやすいことも非常に重要なこと。そのため、フロントピラーはで
きるだけ前方へ配し、ドアは合理的な形状で、開度も大きく設定しました。その上、シート座面をフロア
に近づけることも忘れていません。
ドア側乗員のヘッドクリアランスも充分に確保。メーターパネルなどコントロールスイッチ類は、操作に
支障がない限りできるだけ前方に配し、前席中央シートはドライバーの運転操作を妨げないよう、少し後
方に配置しています。そして、後席乗員のスペースはあたかも「リムジン」のようです。
6人分のシートの中で、誰がどのシートに座っても極上の快適さを約束。すべて同じサイズのシートは、
いずれも大きく、座り心地がよく、安全性も高く、そしてユーザーフレンドリーな仕上がりになっていま
す。後席シートから後ろ側は、余りあるほど広いラゲッジルームが控えています。その収納容量は6人乗
車時では430リットル、後席シートを取り外すと、最大1,900リットル(天井高さまで)にもなります。また
ステップを廃した低いフロアの恩恵で、大きなアウトドア用品やスキーバッグなどの積み卸しも容易にし
ています。
車内ほとんどのコーナー部分には、それぞれの使用目的に適した収納を設定。インストルメントパネル上
面両側には大きなグローブボックスを、オーディオ収納部の隣にはドリンクボトルや携帯電話などのホル
ダーも備えています。
− 10 −
とりわけ助手席側には、万一のとき、ドライバー以外の2人分をサポートするダブルサイズのエアバッグ
を装備しながらも、ドライバー側とほぼ同じサイズの大きなグローブボックスを巧みに組み込みました。
オーディオ収納部の上方にはコイン&カードホルダーを設置し、インストルメントパネル下側にも小物入
れを用意。運転席側には、たばこやライターなどの小物入れを備えています。
さらに、ELXでは両側のサンバイザー背面にはサングラスホルダーを巧妙に組み込み、運転席側には1人
分サイズ、助手席側には2人に充分なサイズを確保。サングラスやめがね、携帯電話、たばこ、ガムなど
軽量なものを収納できます。その上、駐車中はサンバイザーを格納すれば、不心得者にはそこに収納場所
があることさえ気づかれません。
ドア側前席シートバックレスト背面にシートポケットを装備。すべてのドアにはハードケースのドアポケッ
トを備え、後席のドアポケットには、カップホルダーを組み込んでいます。また、ELXではドア側助手席
下にシートアンダートレイを用意。ELX-Plusは、同じ場所に10連奏CDチェンジャーを備えています。
さらに、ELX-Plusでは乗員スペースをより明るく、より快適な空間にする電動デュアルサンルーフを標
準装備。2つのサンルーフを開ければ前後の乗員に分け隔てなく、この上ない開放感を満喫することがで
きます。
− 11 −
●マルチファンクションディスプレイ
メーターパネルには、デジタル表示式マルチファンクションディスプレイを内蔵。この先進的なディスプ
レイには、5つの主要な機能があります。
1.トリップコンピューターとして、ドライバーに役立つ情報の表示。
2.ドライバーのリアクションが必要になるようなドアの閉め忘れなど、重要部分の状態をモニターし、車
の状態を知らせるチェックモニター。
3.路面凍結警告や万一の異常を知らせる警告メッセージ。
4.表示単位を切り換えたり、制限速度を設定したりする表示設定。
5.次回点検時までの残り走行距離に応じ、点検時期を自動表示するメンテナンスインジケーター
また、以下のような多種多彩な情報を表示するだけでなく、イタリア語はもちろん、英語、フランス、ス
ペイン、ポルトガル、ドイツの各言語に切り換えることができるインターナショナル性にも配慮。このこ
とは、より多くのニュームルティプラオーナーを受け入れようとする積極性のシンボルでもあります。
今回デビューする日本仕様車では以下のような機能を備えています。
◆年月日、時刻表示
◆外気温度表示(路面凍結アラーム付き)
◆アラーム作動時のシンボルと警告メッセージ表示(油圧低下、オーバーヒートなど)
◆ドアやテールゲートの閉め忘れ表示
◆トリップコンピューター機能(平均燃費、瞬間燃費、平均速度、走行可能予測距離、走行経過時間、ト
リップメーター):走行可能予測距離を除き、全行程と区間別の2種表示
◆メンテナンスインジケーター機能(次回点検時期を走行距離に応じて表示)
◆メンテナンス情報表示(ブレーキ液指定規格、指定タイヤ空気圧などを表示)
◆表示言語(6か国語)や表示単位の切り換え機能
◆表示照度の調節機能
− 12 −
■進化したイージードライブ
サスペンションシステムを開発するとき、設計者らが目標としたことは、他のMPV(マルチパーパスビー
クル)に比べ、タイヤサイズを意識的に小さくし、一般的なセダンレベルのクイックで心地よいハンドリ
ングレスポンスを求め、決してドライバーに退屈さを感じさせないこと。その結果、きわめて運転しやす
い(イージードライブな)車が完成。たとえ、ファミリーユースであっても退屈とは無縁のハンドリング
性能を提供します。運転しやすさの証しとして、コーナリング中は弱アンダーステアを示し、思い描いた軌
跡に沿ってコーナー出口を駆け抜けることができます。つまり、ドライバーの意のままに、コーナリングで
きることを明確に物語っています。ドライバーは常にコーナリング曲線を予測できるだけでなく、不意の
ハンドル操作にも穏やかに反応するので、どんな状況でもすこぶる高いコントロール性能を発揮します。
ステアリングタイロッドのストローク量とハンドル回転角度の特性を示すステアリングギアレシオは、
51 mm/回転 に設定。ハンドル操作に対する応答性に優れ、高いコントロール性能を示しています。
荒れた路面を駆け抜けるときでもドライバーが進路修正に追われることもなく、イージー&コンフォー
トドライブを約束。一方、高速道路では、わずかなハンドル操作で素早く車線変更できます。
コーナリング時、ニュームルティプラはハンドル操作に正確に反応し、ふらつくこともなければ不安を感
じることも一切なく、抜群の安定性を提供します。決して低いとは言えない車高ですが、ニュームルティ
プラのコーナリング特性は、常に「フラット」
。安定した姿勢を保ちつつ、ダイレクトなコントロール性能
をドライバーに実感させるはず。ボディのロール角度は非常に小さく、さながらスポーツカーのようです。
また、優れたセルフセンタリング特性も誇るべき点。テスト走行に限りますが、100 km/hでの直進走行
中にハンドルを急激に60度回すと、ハンドルの操作力が明らかに重くなります。これは、車(=ハンド
ル)がセルフセンタリング力によって自然に、直進方向に戻ろうとする結果。そのため、一般ドライバー
が荒れた路面や深い轍に遭遇しても卓越した直進性を発揮します。
フロントサスペンションには、独立懸架式の標準型でもあるマクファーソンストラットを採用。また、タイ
ロッドを車軸より後方にレイアウトしたことで、路面の微少突起を柔軟に吸収し、安定したハンドリング性
能とコーナリング時でもスムーズなハンドリングレスポンスを確保しています。コイルスプリングをはじ
め、そのほかすべてのサスペンション構成部品は、どのような路面状況でも限りなく作動フリクションや
ノイズを低減。同時に、最良の乗り心地をめざして設計しました。
Euro-3規制対応のエンジンは、加速時も最高速度走行時でも卓越した動力性能を発揮。しかし、ニュー
ムルティプラにとっては、このような性能より低、中回転域での比類なきフレキシビリティとスムーズな
回転マナーの方が実質的なイージードライブに大きく貢献するはずです。
− 13 −
運転しやすい車=イージードライブの要素として、良好な視界、駐車の容易性、メーターやスイッチ類の
扱いやすさなどもリストアップの対象になります。ニュームルティプラは、これらすべての点において賞
賛すべきアドバンテージを誇っています。
ニュームルティプラは、とりわけ市街地でのイージードライブが得意。大きなサイドウインドーや高い着
座位置、非常に低いウエストラインが抜群の視認性を提供します。
運転席側ドアミラーはワイドアングル仕様の上下2分割式を採用。上側ミラーは電動調整式、下側は常に
後方遠景を映し出す角度固定式の非球面ミラーになっており、この2つを組み合わせ、可能な限り危険な
死角を排除しています。一方の助手席側ドアミラーも同じく上下2分割式。下側の角度固定ミラーは常に
左側後輪部を映し出し、駐車時に威力を発揮します。ドアミラーは両側とも電動格納機構を備えているの
で、駐車場の出入口など狭い所を通り抜けるときや余裕の少ない道路ですれ違うときに便利です。
全長約4mのショートボディサイズに加え、小さな回転半径(約5.5 m)、正確で軽い操作力のパワース
テアリングは、さまざまな運転状況下でイージードライブに大きく貢献しています。また、ELX-Plusで
はバックするときにパーキングセンサーが後方障害物との距離を知らせ、ドライバーを確実にアシスト。
R (リバース)にシフトすれば、自動的に後方監視を開始します。
− 14 −
■フィアットグループ各社の貢献
ユニークな個性と洗練された設計手法により、同一カテゴリー内でリーダーとなる小型MPV。装備品や
エンジン、メカニズムのどの点でも最新テクノロジーを駆使した車。これがフィアットのエンジニアと熟
練工らに求められたニューモデルの概要でした。目標達成のため、フィアット社は最良の資源を調達し、
製品開発から生産工程に至るまで、常に高い品質と信頼性の基準を確保。また、Fiat Research Centre
(フィアットリサーチセンター)はもちろん、外部協力メーカーやMagneti Marelli(マニェーティ・マレッ
リ)
、Teksid(テックシッド)などグループ会社とも良好な協力関係を築いてきました。この協力関係が実
を結び、革新的な解決策が次々と導き出され、同一カテゴリーでの新基準となるモデルが誕生したのです。
●Teksid(テックシッド)
Teksid社は、子会社であるMeridian Technologies社を通じてVerres(Aosta)工場で、マグネシウム製の
骨格材を生産しています。この特異な骨格材の最たる特徴は、従来のスチール製に比べ、約60%もの軽
量化を実現したこと。同時に、抜群の振動吸収特性により快適さにも大きく貢献。たとえば、ニュームル
ティプラでは、インストルメントパネル内にマグネシウム製フレームとして採用しています。また、Teksid
Ghisa社は、Crescentino(Vercelli)工場でエンジンのシリンダーブロックとクランクシャフトを、Teksid
Poland社はカムシャフトやサスペンションストラットを、フランスの現地法人Fonderie du Poitou Fonteで
は、エクゾーストマニフォールドを生産しています。
●Magneti Marelli(マニェーティ・マレッリ)
Magneti Marelli社は、ニュームルティプラのほかにもフィアット パンダやイディアをはじめ、ランチア
イプシロンやムーザなどに同社の技術の粋を極めた最新テクノロジーを投入。これらの新型モデルの開発
にあたり、革新的なシステムやコンポーネントを提供しています。とりわけ、ニュームルティプラ1.616Vガソリンエンジンの心臓とも言える信頼性の高いエンジン制御ユニット(ECU)は、優れた燃費性能
と共に傑出した動力性能を発揮します。
また、ニュームルティプラのエクステリアデザインも、同社の革新的なサポートがあったからこそ達成で
きました。ヘッドライトユニットも同社の最新テクノロジーにより製品化されたもの。担当設計者はMPV
シリーズの中でもフィアットファミリーをより強くイメージさせるフロントエンドを念頭に、ヘッドライト
ユニットをデザインしました。照射機能はもちろんのこと、一目で識別できるフロントエンドを形づくりな
がら、ロービームをはじめハイビーム、スモールランプ、方向指示器、フロントフォグランプさえも巧みに
組み込むことに成功しています。さらに、ニュームルティプラの新しいリアエンドを形づくるテールランプ
ユニットは、デザインを刷新し、直線的なイメージを際立たせています。クリアとレッドの2トーンカラー
のユニットには、現行型ではリアバンパーパネルに配していた後面反射鏡も内蔵しています。
そして、Magneti Marelli社製のサスペンションユニットは高い安全性と乗り心地のよさを提供。現行型
と構成要素は同じですが、すべてを格段にリファインしています。
− 15 −
■ユニークな構造、刷新したスタイリング
ショート、ワイド&トールなボディのムルティプラは、6人の乗員を前後2列にゆったり乗せ、乗員分の荷物
を楽々と収納可能。そのフォルムは、道行く人に強いインパクトを与えるばかりか、乗員の保護と安全性の
点で最高水準を追求し、さらに乗員の快適性への追求も忘れてはいません。このスタイリングを実現させた
のは、フィアットスタイルセンター。設計に取りかかるときには、フェイスリフト(マイナーチェンジ)
する理由が見つからなかったほどのムルティプラを、見事に新しく生まれ変わらせました。
ニュームルティプラは、同セグメントで希有な存在の前席3人、後席3人のユニークなシートアレンジをそ
のまま引き継ぎました。6人分のいずれのシートでも同等のサイズ、快適性、雰囲気にこだわり、2人分の
シートを前後3列に配置する一般的なMPVのような構造をあえて目指しませんでした。このシートアレン
ジによって、4,090 mm<イタリア仕様車>のショートボディに、広々としたラゲッジルーム(リアシート
の配置により430〜1,900リットルに変化)を提供します。
車内フロアは、乗り降りや手荷物の積み卸しが容易にできるようステップを無用とする高さに設定。後席
側にも一般的なワンボックス車にありがちな乗降用ステップはなく、セダンに比べれば、わずかに高めで
すがフラットフロアを実現しています。同時にやや高めのフロアは側面衝突時の耐衝撃性能に優れ、その
床下には触媒コンバーターを収納しています。
ニュームルティプラはタウンユースとしても、レジャー用としても大いに活躍する、理想的な車です。
●エクステリア
ニュームルティプラは、現行モデルの魅力あふれる構造はそのままに、エクステリアの刷新を図りまし
た。まず、フィアットスタイルセンターの設計者が取り組んだのはフロントエンド。ムルティプラの象徴
とも言うべき、屈託のない楽しい雰囲気は残しつつ、このモデルの確固とした個性をさらに引き出すこと
が目標でした。最先端技術を駆使したヘッドライトや、小さなドットパターンを配したグリルに掲げられ
た丸いロゴなど、フィアットファミリーたるデザインモチーフがさらに強調され、パワフルかつ研ぎすま
されたフロントエンドになりました。
グリルにはクローム仕上げのラインを立体的にデザイン。平行に走る水平ラインの中央にはロゴを掲げ、
モダンさと高級感を漂わせます。フロントエンド下部ではヘッドライトユニットを水平方向に伸ばし、3
つに分けたエアダクトも同じように側面パネルへ回り込むかのように配しています。
− 16 −
テールランプや、たくましさを感じさせつつ丸みを帯びた一体型バンパーなどリアエンドのデザインにも
一貫してフロントエンドとの調和が見られます。段差のない開口部を提供する大型テールゲートには、中
央に大ぶりなロゴを配し、ガラス面と金属パネル面が絶妙のバランス感を演出しています。
足元からルーフまでスクウェアなボディ断面をしているため、3人分のシートを横一列に並べたにもかかわ
らず、たとえばドア側シートは充分なヘッドクリアランス(頭上空間)を確保し、窮屈さをまったく感じ
させません。雨の日でもルーフからの水滴がシートの上などにしたたり落ちることはなく、ドアやウイン
ドーを開けるときの気遣いは無用です。フロントウインドーを除き、ほぼ垂直のウインドガラスは、車内
へ射し込む陽光を減らすため、炎天下の長時間駐車後など、他のどんな車に比べても車内温度の上昇を抑
制します。加えて、乗員の視認性を飛躍的に改善し、車の周囲で死角になりがちな路面さえも充分に見渡
すことができます。この優れた視認性とサイドビューが実現したのはウエストラインを思いきって短く
し、開口部であるウインドガラスを低い位置まで延ばした結果です。
サイドビューでは、リアエンド同様のかたまり感と安全性が印象的。さらに、非常にすっきりしたライン
と、ボディと同色のサイドスカートなど、新たなスタイリングモチーフが追加されました。これらが融合
し、ニュームルティプラの最も確固とした特徴になっています。
また、ニュームルティプラでは、フルフラットなフロアパンを採用し、フロントのドアピラーを可能な限
り、前方に遠ざけて配置したため、乗降時に自然な動作で容易に乗り降りできます。ドアピラーのシルエッ
トは、ボディフォルムの輪郭に沿って曲線を描いており、一般的なピラー形状とはかなり異なっています。
そして、これがムルティプラのユニークなアイデンティティーを形成。ウインドガラス部分のAピラー先
端部は、前方に大きく突き出したあと、下降線を描きながら垂直に下がります。この個性的なデザインの
結果、視界が遮られることを回避しました。さらに、視覚的にも強固なボディをアピールし、高い安全性
によって乗員のスペースを保護していることを強調しています。
ガラス面を多用したことで視認性が増し、道路の支配者たる気分さえ味わえます。さらには、車全体を完
全に把握できるため、市街地での走行や駐車時の安全性をさらに高めることにつながります。また、電動
格納式のドアミラーを標準装備し、運転席側のドアミラーの下部分では死角になりがちな場所も確実に映
し出します。助手席側の下側ドアミラーは、駐車時には欠かせない存在です。
− 17 −
●インテリア
デザイン性と革新性、スタイリングと個性。これらは、ここ最近のフィアットモデルに共通する特徴であ
り、ニュームルティプラもその例外ではありません。車のインテリアに注目すると、スペースユーティリ
ティーを追求したひとつのポリシーに基づき、充分吟味されたことを実感できるはず。あらゆる観点から
無用なスペースを巧みに排除しました。どのシートでも等しい快適性を保ちながら、ゆったりとした3人分
のシートを横並びにして前後2列にアレンジする。この命題を解決するために、アームレストやインナー
ハンドル、オープナーレバーなどを巧妙に一体化し、インナートリム自体やそれらの部品が車内へ張り出
すことを最小限にしました。
また、ドアロックノブを上方に移動。ドアをロックしたあと、ロックノブインジケーターをウインドガラ
ス越しに確かめることもできます。このように室内幅を広げるために採用した手法は、シンプルで便利、そ
して実用性をも高める結果になりました。後席はシートの前後移動や取り外し、バックレストを前後にリ
クラインすることが可能。パッセンジャースペース&ラゲッジスペースを自在にアレンジすることができ
ます。さらに、前後席共に中央シートは前後へのスライド調整機能を備え、たとえ、知らない人同士が隣
に座っても、窮屈さを感じることはありません。また、ニュームルティプラが創り出す、ゆったりとした
車内の雰囲気に、初めて乗った人でも思わず陽気になり、会話も弾むはずです。そして、パッセンジャー
スペース&ラゲッジスペースは、そのときどきの必要性に応じ、ラゲッジスペースをいとも簡単に自由に
変えることができる多様性を備えています。
ニュームルティプラでは、現行モデルと同様にメーターやスイッチ類などのレイアウトの秀逸さが光りま
す。一般的な車では、従来の習慣にしたがってメーターやスイッチなどを配したインストルメントパネル表
面に凸凹がなく、フラットサーフェイス仕上げが常識でした。しかし、ニュームルティプラのデザイナー
は、新しい視点から検討を加え、インストルメントパネルを3次元デザインで設計。傾いた面は製図台を
思わせるかのように機能的に見え、スイッチやメーター類、シフトレバーなどをはじめ、送風口グリルま
で効率的に組み込み、奥行きさえも最大限に利用して配置しています。
3次元デザインの採用により、すべての機能は合理性を基準に配置しました。デザイナーは各スイッチの
使用頻度やメーター表示などを容易に読み取ることができるもっとも効果的な距離さえも考慮。また、関
連機能ごとのパターンや補助的な役割の操作をグループ化することにも配慮しています。それらの結果、
スイッチを自然に、そして容易に操作したり、メーターからの情報を瞬時に読み取ることができるのです。
とはいえ、従来のようにメーターパネルをインストルメントパネル上に配置していることには変わりあり
ません。ただし、ドライバー(ハンドル)の正面ではなく、少し左に配し、ドライバーに対してオフセッ
トしています。これは、まさにパソコンのキーボードを打ちながらときどき、ちらっとモニター画面を見
るシーンと同じ。ドライバーが運転中に目線を落とすことなく、瞬時に、容易に情報を読み取れるように
するためです。そのため、メーターパネルは、あえて少しだけ遠くに配置しているのです。
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エアコンやベンチレーションは、インストルメントパネルにタワーのように配されたエアコンスイッチパ
ネルで操作します。つまり、もっとも重要な操作スイッチや警告灯/表示灯などは、中央部に集中配備し
ています。
ムルティプラでは操作性と左右間のウォークスルー機能をも考慮し、インパネシフトを採用。ハンドルに
近い、インストルメントパネルのこの場所に配した理由は、何よりもドライバーと車の間で絶えずコミュ
ニケーションを繰り返すために、最も大切なインターフェイスと考えるから。たとえ、シフト操作ごとに
ハンドルから手を離しても、最も近い位置にハンドルがあるので安心です。
車内をより有効活用できるよう、多彩な小物入れを数多く用意しています。たとえば、インストルメントパ
ネルの上側には左右個別のグローブボックス、下側には同じく左右に独立した小物入れを設置。ドア側のフ
ロントシートバックレスト背面にはソフトケースのシートポケットがあり、すべてのドアにはハードケー
スのドアポケットを用意しています。さらに、オーディオ収納部近くにはカップ(携帯電話)ホルダーと
アクセサリー電源ソケットを標準装備しています。
加えて、ELXでは、サンバイザーの背面部に運転席側と2人分の助手席用に大容量のサングラスホルダー
を備え、ドア側助手席下にはシートアンダートレイを設置しています。
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■エンジン
多くの車にとって経済性やスポーティーさなど多彩な要素がある中で、そのキャラクターを決定づける要
因のひとつがエンジンです。ニュームルティプラでは、まったく異なるエンジンとそれらにマッチする複
数のトランスミッションを用意。エンジンは、この革新的な車のオリジナルモデル開発当初のコンセプト
にふさわしく、環境保護と今日そして近未来の交通状況を考慮したイージードライブ、快適、ダイナミッ
クセーフティを重視した3タイプを設定しています<イタリア仕様車>。
イタリア仕様車では、異なるエンジン性能だけではなく、動力源となる燃料さえも複数のバリエーション
を取りそろえており、このモデルにとって画期的なことのひとつと自負しています。1つめは、76 kW
(103 PS)を誇る1.6リットル16バルブの1.6-16Vガソリン。2つめに、最高出力85 kW(115 PS)を誇る1.9
リットルの1.9JTDターボディーゼル。3つめに、「Natural power」と呼ばれるメタンガスとガソリンの両
方に対応する最高出力68 kW(92 PS)の1.6リットルエンジンです。また、ニュームルティプラでは、
1.6リットル専用と1.9リットル専用の2つのトランスミッションをそれぞれのエンジンに組み合わせ、ノ
イズレスでスムーズな作動を提供します<イタリア仕様車>。さらに、エルゴノミクスの観点から配置そ
のものを見直したインパネシフト式シフトレバーの採用により、その操作性を大きく改善していることも
見逃せません。
すべてのフィアットエンジンの例に漏れず、ニュームルティプラのパワーユニットは、先進的、良好な動
力性能と低燃費性能が自慢です。もちろん、環境保護にも対応しながらコンパクトに仕上がっているので
パッセンジャースペースなどに充分なスペースを提供。また、エミッションレベルでは「Euro-3」規制
をクリアしています。
以下の説明では、日本仕様車の「1.6-16Vガソリンエンジン」についてのみ記載しています。
●1.6-16Vガソリンエンジン
1.6-16Vガソリンエンジンは、16バルブ、1,596 cm3。別名「トルキーエンジン」と呼ばれるほど、全回
転域にわたり充分でスムーズな出力トルク特性を提供します。このエンジンは、卓越した動力性能とフレ
キシブルで満足感の高い、バランスに優れたパフォーマンスが自慢。混雑した市街地や高速走行時を問わ
ず、いつでも必要にして充分な動力性能を遺憾なく発揮します。
76 kW(103 PS)の最大出力は、5,750 rpm.で発生。そして最大トルク145 N・m (14.7 kgf・m) を
4,000 rpm.で発生します。特筆すべきは「トルキーエンジン」にふさわしく、実効的なパワーとなる最
大トルクの85%に相当する出力トルクを2,300〜5,800 rpm.もの広い範囲で生み出すことです。実際のパ
フォーマンスを端的に示すと、最高速度170 km/h(5速時)、0〜100 km/h発進加速は12.6秒。日本国内
測定法よりも厳しい条件の「ECE:市街地基準」燃費測定データでは、8.6R/100 km(11.6 km/Rに相当)
を達成しています。
− 20 −
ボア×ストローク80.5×78.4 mmのほぼスクウェアタイプとした、ベルト駆動DOHC、4バルブ。バル
ブクリアランス調整にはメンテナンスフリーの油圧式ラッシュアジャスター(タペット機構)を採用し、
タイミングベルトもオートマティックテンショナーを装備しています。
マルチ(4)バルブ式のエンジンは、吸気/排気抵抗を低減するので優れた出力とトルク特性に貢献しま
す。これは、よりコンパクトな燃焼室を形成できるため。同じ容積の燃焼室でも燃焼ガスにさらされる表
面積が少なくなり、シリンダーヘッドを冷却する冷却水温度も下がります。この結果、ユーザーにとって
喜ばしい実質的な低燃費も実現しています。
そして、シリンダーヘッド冷却システムの負荷が減少した結果、高出力エンジンながら信頼性と耐久性を
大きく向上しています。
吸気と排気系統のマニフォールドは、コンピューター(CAD-CAE)を使い、動的流体シミュレーション
プログラムを駆使して丹念に設計し、実際の混合比形成と各シリンダーへの適切な配分を実現。とくに、
インテークマニフォールドは400 mmものロングタイプを採用し、「トルキーエンジン」にふさわしく
低、中回転域での出力トルク特性を大きく改善しています。
燃料噴射&点火システム制御ユニット(ECU)は、マニェーティ・マレッリ社製の一体型を採用し、電
子制御式イグニッションシステムと最小サイズの燃料噴射インジェクターを装備しています。この制御ユ
ニットは、最新式の制御ロジックにより高容量、高速処理を誇り、あらゆる走行状況でもスムーズな走行
性と精緻なエミッションコントロールを達成。シリンダーごとに燃焼状態をモニターする「セレクティブ
ノックコントロール」機構は、常に最良のエンジンパフォーマンスとトータルの信頼性を約束し、たとえ
粗悪な品質のガソリンが混入したときでも、ノッキングなどの異常燃焼からエンジンを保護する役目も果
たします。
このほかの特徴は、ノイズレベルを低減するためのピストン形状や、今まで以上に潤滑性能と油膜保持性
に優れ、エンジンオイル消費量の低減を果たすシリンダーライナーのホーニング加工処理も見逃せません。
− 21 −
■メカニカルシステム
●トランスミッション
5速マニュアルトランスミッションは操作しやすく、なめらかで正確な操作性を誇っています。とりわけ、
インストルメントパネルに配置したインパネシフト式シフトレバーは、ニュームルティプラのエルゴノミ
クスデザインの優位性を強調しています。
オリジナルの開発時には1年半にもおよぶ評価試験を経て、操作性やシフトレバーの配置、シフトフィー
リングの点でも最高技術水準に達しています。このトランスミッションユニットは生産ラインで組み付け
る前に、電子制御ユニットに対する電気的な測定試験も含めた作動試験を実施しています。
また、振動音の低減やシフトレバーのバイブレーション対策にも充分配慮。アイドリングでの停車中にド
ライバーをイライラさせるバイブレーションを排除するため、トランスミッションのコントロール系には
慣性マス式のダイナミックダンパーを装備したほどです。
●フロントサスペンション
ニュームルティプラに採用した独立懸架式フロントサスペンションは、優れた乗り心地と卓越したロード
ホールディングを提供。伝統的なマクファーソンストラット式サスペンションは、これら2つの相反する
特性に対してベストバランスを達成するため、今回さらにリファインしました。
優れた乗り心地と共にどんな路面状況でもタイヤが路面を確実にグリップするように、コイルスプリング
にはバリアブルレート式を採用。配置場所やダンパー(ショックアブソーバー)に対する適切なオフセッ
ト角度は、ダンパーシャフトに対して曲げ方向のフリクションを低減しています。また、微振動を吸収す
るため、コイルスプリングを支えるアッパープレートとロアプレートには最適形状のラバー製リングを組
み込みました。
バンプストップラバーは、「cellasto」樹脂製を採用。この結果、従来のゴム製に比べ、より穏やかな衝撃
吸収特性を発揮し、コーナリング時でもさらにスムーズなサスペンション性能を約束します。リンク結合
によりダンパーへダイレクトに結合したスタビライザー(アンチロールバー)は、レスポンスのよいハン
ドリング性能に大きく貢献。サスペンションアームに結合していた従来型に比べ、この手法は質量にして
約1.5 kgもの軽量化を同時に達成。バネ下荷重の軽減にもなり、見逃せないポイントです。
− 22 −
ダンパーには、ダブルアクション型油圧テレスコピックタイプを採用。サスペンション全体での作動ノイ
ズや振動を大きく低減しました。このダンパーは、従来型のオイルシールを排除し、代わりにダンパーピ
ストン一体型のテフロン製シールを導入。微少入力時の乗り心地に大きく影響する作動フリクションを大
幅に減少させています。
また、ロアアームに鍛造製スチールを採用したことで同等以上の強度を獲得しつつ従来型に比べ、バネ下
荷重を約1kg軽量化。回転方向に約5度の傾角を与えたことで、制動時のピッチングを最小限にし、有効
なアンチダイブ効果を得ています。
●リアサスペンション
ニュームルティプラのリアサスペンションには、なじみ深いトレーリングアーム式独立懸架を採用。サブ
フレームとして機能するクロスビームにトレーリングアームを結合しています。クロスビーム自体は、ボ
ディにラバーマウントを介して結合し、ボディへの微振動やノイズを巧みに回避しています。
この方式を採用した結果、走行中のピッチングを抑制し、良好なスタビリティを約束するだけでなく、急制
動時でもオーバーステアを最小限にする効果を得ています。また、ボディに対して左右横方向と垂直方向
に非常にコンパクトな構成は、凹凸のない広いラゲッジルームの確保にも大いに役立っています。ニュー
ムルティプラのような車にとって、高い実用性を望むためにはフラットで広いラゲッジルームが必須です。
そのため、この点は非常に重要なポイントになっています。
古典的とも言えるサスペンションシステムですが、導入にあたり数々のリファインを実施。トレッドは、
結合式パイプフレームを用い、思い切ってワイドトレッドに仕上げています。また、洗練されたチュー
ニング手法により優れたパフォーマンスを提供するため、メタルブッシュにラバーを組み合わせてサス
ペンションとボディを結合。この手法は、優れたハンドリングと運転のしやすさ、乗り心地とのバラン
スを大きく高めていると、自負しています。
油圧ダブルアクション型リアダンパーは、低フリクション性能を特徴とするスペシャルリング(Krilon)を
介したラバーブッシュにより、トレーリングアームに結合。このスペシャルリングは、とりわけダンパー
シャフトに作用するねじれや横方向の反力を極力抑えるように作用します。さらに、ダンパーのピストン
ガイド部分にも、アンチフリクションタイプのブッシュを採用。この結果、ダンパーシャフトでの作動フ
リクションロスを大きく減らすことができ、路面の継ぎ目のような小さな突起を乗り越えるときなどに懸
念される、微少入力時での衝撃吸収力をも大幅に改善しました。
ホイールも含めたリアアクスルアセンブリーは、車の安定性を高め、安全性と共にイージードライブを約
束します。さらに、バリアブルレートのコイルスプリングにより、あらゆる路面状況でも優れた乗り心地
を提供します。
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●ブレーキシステム
ニュームルティプラのブレーキシステムは、X字型2系統配管式(1つの配管系統は、片側前輪と反対側
後輪を制御)を採用し、万一、片側の油圧配管に液漏れが起きてもバランスよく制動力を確保できます。
前輪にはベンチレーテッドディスク、後輪にはドラム式を装備。制動力のコントロールが容易で、最大積
載時でも充分な制動力を発揮します。
ベンチレーテッドディスクにフローティングキャリパーを組み合わせた前輪は、キャリパー剛性を高めた
ことでペダルフィーリングを大きく損なうノックバック(走行中にディスクがふれてブレーキパッドが押
し戻される現象)を排除。また、プリベンティブセーフティとして重要なブレーキパッド摩耗センサーを
装備し、前輪ブレーキパッドが限界近くまで摩耗すると、マルチファンクションディスプレイに警告メッ
セージを表示します。制動負荷の軽いリアは、なじみ深いドラム式を採用し、短いレバーストロークで、
より確かなパーキングブレーキ性能を確保しています。
エルゴノミクスに基づいたブレーキペダルレイアウトと共に、踏力に応じた確実な制動力を発揮。短い
ペダルストロークと良好なブレーキコントロール性能を約束します。また、大容量9インチサイズのブ
レーキサーボと13/16インチサイズのマスターシリンダーの採用により、優れたレスポンスの制動力を提
供します。
●ABS
ニュームルティプラはボッシュ製ABS 5.3型を採用。4つのアクティブセンサー、EBD(Electronic brake
force distributor:電子制御式制動力配分機構)を含む4チャンネル8バルブの電子制御コントロールユニッ
トで構成されています。
アクティブセンサーは従来のセンサーと同様にホイールの回転速度を検知しますが、ABSコントロールユ
ニットにはデータを送らずにそれ自体がデータを処理。この結果、システム全体のレスポンスが大きく向
上。停止直前の微速域まで車輪回転速度信号の検知を可能にしています(従来のパッシブセンサーでは4
km/h以下は検知できず)。同時に、周囲の電磁誘導ノイズや路面からの輻射熱による悪影響も大きく低減
し、常に確実な作動を保証します。
EBDは前後輪の荷重条件に応じてそれぞれのタイヤ/ホイールにかかる制動力を理想的に配分し、とりわ
け軽荷重時に後輪に起こりがちな早期ロックの防止に威力を発揮。最大6人乗りのニュームルティプラで
は、乗員数変化により重量配分が変わると車の前後配分に大きく影響するので、常に変わらない優れた制
動能力を確保するためには必需品です。従来は、プロポーショニングバルブがその役目を担っていました
が、このEBDによってメカニカル作動のプロポーショニングバルブよりも高精度で、柔軟性の高い制動力
配分の制御が可能。また、この機能はブレーキパッドの摩耗状態や路面グリップ状況にも対応し、さらに
は前輪ブレーキの負荷を軽くするので、ブレーキディスク/パッドの温度上昇を防ぐことで耐フェード性
を高め、ブレーキサーボ負荷の減少にも寄与します。
− 24 −
■セーフティ
●プリベンティブセーフティ
ニュームルティプラの高い安全性能は、最も強調すべき点のひとつ。まずは、プリベンティブセーフティ
(予防安全性)について説明します。このニューモデルは、広く、明るく静かなパッセンジャースペース
を備えており、あらゆる道路状況でも精神的、身体的に理想的な環境を提供し、充分にくつろげる、ゆと
りの空間になっています。
比較的高い位置にある運転席シートは、どんな体型のドライバーにも完璧なまでにフィット。ハンドルの
高さ調節機構、シフトレバーの配置に始まる操作しやすいスイッチ類のレイアウトなど、ユーザーフレン
ドリーを端的に表現しています。
広いウインドーと低いボンネットは前方視界を妨げず、車内からでもボディの四隅まで完璧に把握するこ
とさえ可能。そのため、駐車時や市街地走行時のセーフティマージンを高めたと言えるほどです。
インストルメントパネル中央に配した送風口がエアコンをとくに効果的に作用させ、パッセンジャース
ペースの隅々まで充分な空調と送風を約束し、大きなウインドガラスの曇りも素早く解消します。
日常的な走行時にプリベンティブセーフティのひとつとして役立つ、上下2分割式電動ドアミラーを標準
装備。運転席側ドアミラーの下側は、他の車では死角になりがちな部分も映し出す反面、助手席側ドア
ミラーの下側は、駐車時に役立つ左側後輪部分の視界を常に映し出します。さらに、ELX-Plusではパー
キングセンサーを標準装備しており、バンパーレベルを中心に後進時の危険回避をアシストします。
●アクティブセーフティ
ニュームルティプラのアクティブセーフティは、あらゆる運転状態や道路状況においても非の打ち所の
ない、ダイナミックな走行性能に貢献します。これらの特徴は、優れたレスポンスのエンジン出力特性
や安全なブレーキシステム、膨大なテスト走行時間に基づいてチューニングを重ねた、最適なサスペン
ションジオメトリー。たぐいまれな走行安定性は、これらの要素が互いに積み重なった証しです。サス
ペンション形式は、前輪が独立懸架式マクファーソンストラット。後輪も独立懸架式、伝統的なトレー
リングアーム式を採用しています。
ブレーキシステムは、先進的なEBD付きボッシュ製 ABSを採用。ABSはすでにおなじみのように、各タ
イヤ/ホイールが制動時にできるだけロックしないようにすることで、路面グリップを確保し、緊急回避
時にはブレーキペダルを床まで踏みつけながらでも、ハンドル操作を可能にします。
− 25 −
●パッシブセーフティ
ニュームルティプラは乗員の安全性に対し、あらゆる角度から検討し、最高の乗員保護機能を約束。試作
モデルの製作前に膨大なコンピューターシミュレーションを実行し、開発後期ではシミュレーションテス
トはもちろん、生産モデルでのクラッシュテストを何度も実施しています。安全対策として数多くの技術
的特徴を盛り込んだことも自慢のひとつです。たとえば、フロントおよびリアのクラッシャブルゾーン
は、より効果的に衝撃を吸収し、乗員への被害を最小限にします。これは、異なる厚さのドアフレームパ
ネルや、とりわけ強固な前後のピラー、ボックス断面構造のドアとドアパネル内に組み込んだサイドイン
パクトビームも大きく貢献しています。
ニュームルティプラは、ヨーロッパ側面衝突基準であるECE 95相当の社内テストをクリア。セダンに比べ、
やや高いフロアパネルのおかげで、万一の側面衝突時に他車がパッセンジャースペースに侵入することを
防ぎます。また、高いねじり剛性は、走行中にギシギシと聞こえるスキール音を解消し、トータルでの運
転性能も向上。長期にわたり車の品質を保つだけでなく、ボディ強度の向上はサスペンションシステムの
支持剛性をも向上させ、走行安定性も大きく改善しています。同時に、これらは衝撃保護に対して要求さ
れる部位に採用した「スペースフレーム構造」のボディ補強にも貢献。従来方式よりも厳しい64 km/h走行
時の変形バリアクラッシュテストにおいて、すばらしい結果を達成しました。
ニュームルティプラが標準装備している主要なパッシブセーフティシステムは以下のとおり。
フロントエアバッグ:
有毒ガスを一切使用せず、フロントフロアに配置したエアバッグコントロールユニットにより作動。衝撃
の大きさを感知するセンサーは実際のクラッシュテストにより、実験室レベルで較正しています。
◆運転席側(容量:60リットル)
◆助手席側(容量:120リットル)
中央シートおよび助手席ドア側乗員をサポートし、膨張装置は2組使用。子供の乗車時、一時的に作動を
解除できるキャンセラー機構付き。
サイドエアバッグ:
◆ドア側前席シート側面に装備(容量:12リットル)
この位置にサイドエアバッグを設定することで、乗員の身長やシート位置の前後の違いにかかわらず最も
効果的な乗員保護機能を発揮します。このシステムは、左右それぞれに独立した衝撃センサーを備えてお
り、作動膨脹時間を大幅に短縮しています。
− 26 −
ウインドエアバッグ:
◆ドア開口部ルーフ側に装備(容量:27リットル)
万一、側面衝突が起きたときは、サイド(ドア)ウインドーの上方から下がるように膨張し、前席および
後席ドア側乗員の頭部を保護します。
このウインドエアバッグをほかのタイプと比較すると、たとえば、シートバックレスト内蔵の大容量シン
グルタイプ(サイドエアバッグ兼用型)では、頭部と腰部を1つのエアバッグで同時に保護できることが
わかっています。しかし、ウインドエアバッグは常に正しい位置で膨張するため、さらに頭部保護効果が
高い上、サイズが小さいため膨張速度が速く、また乗員にとってじゃまになりません。そしてなにより重
要なことは上から下に瞬間的に膨張するため、乗員への2次災害の心配が皆無。たとえ、乗員が腕を広げて
いても安心です。ウインドエアバッグは、衝突時にサイドウインドーが割れたときでもサイドウインドー
開口部全体をカバーするので、横転時でさえも役に立ちます。そして、前席だけでなく後席ドア側乗員の
頭部保護に大きな効果を期待できることが特徴です。
シートベルト:
後席中央を含む、6人分すべてのシートにELR3点式シートベルトを標準装備。前席にはプリテンショナー
システム(3席分)に加え、ドア側シートにはアンカー高さ調節機構とロードリミッター機構も装備して
います。オリジナルのムルティプラ開発時の難題は、前席中央シートでした。このシートは、フィアット
社としては初めてシート自体にELR式シートベルトリールを組み込む必要が生じたのです。衝突時のシー
トベルトにかかる大きな衝撃エネルギーをシート単体で受け止めるために、シート構造を根本から見直
し、格段に強化しなければなりません。度重なる試行錯誤の末、要求項目を達成し、新しいシートが誕生
しました。
プリテンショナーシステム:
前席にはプリテンショナーシステムを採用。プリテンショナーシステムは衝突時にシートベルトバックル
をミリセコンド単位の速さで、約80 mm引き込み、シートベルトをさらに乗員の身体に密着させるよう
に作動します。また、ドア側前席には、ロードリミッター機構も内蔵。衝突後、乗員の上体が前傾する
と、シートベルト巻き取りリール部分に内蔵したロードリミッター機構がシートベルトの張力を一定以上
に高くならないよう適切に調整し、乗員の肩部分などにシートベルトが過度に食い込んだりするのを防
ぎ、エアバッグとともに乗員の上体をソフトに受け止めます。
− 27 −
シートとヘッドレスト:
6人分すべてのシートはアンチサブマリン構造。これは後部から追突されたときでも、横方向に強固なシー
トフレーム構造が衝突時の衝撃によって乗員の身体が前方に潜り込まないように支え、シートベルトの効
果を充分に発揮させるもの。もちろん、シートの前後調節機構は強靱で衝撃に強いダブルロック式。前席
ヘッドレストは高さ調節機構を装備し、後席ヘッドレストは、格納時用と乗車時用の2段階調節式。さらに
シート格納時には取り外すこともできます。
ISO FIX式チャイルドシートアンカー:
最近、日本車でも装備が増えつつあるISO FIX式チャイルドシートアンカーを後席ドア側に標準装備しまし
た。この機構は、チャイルドシートを常に正しく確実に取り付けることができるので、子供にとって最高
の安全性を、保護者にとってはこの上ない安心感を約束します。このアンカーは、ドア側後席バックレス
ト下部に取り付けられた2組のブラケットに組み込まれ、チャイルドシートを素早く、容易に着脱するこ
とができます。取り付けは、左右のアンカーラッチにチャイルドシート側のフックを噛み込ませるだけ。
取り外しは、チャイルドシート側のロック解除レバーを押しながら引き出すだけです。ブラケットの間隔
やラッチ部分などのサイズ、形状、結合方法は欧州統一規格に基づいているので、ISO FIX式であればすべ
てのチャイルドシートを取り付けることができ、他車で使っていたものをそのまま使うことも可能です。
「ISO FIX式」と呼ばれるのは、このような簡単な取り付け方法とISO FIX基準の厳しい安全規格をクリアし
ているからです。
− 28 −
●車両火災防止対策
FPS(車両火災防止システム):
車両火災防止システムのFPS(Fire Prevention System:ファイヤー プリベンション システム)は、フィ
アット全モデルに共通する良き伝統のひとつ。衝突後に起き得る車両火災防止対策のひとつでもあります。
FPSのメインユニットにはイナーシャ(慣性式作動)スイッチを設置してあり、衝突や横転時の衝撃でス
イッチが作動すると燃料供給ポンプの作動をただちに停止。その結果、燃料供給は停止し、供給配管の圧
力も下がることで、燃料の漏出を防ぎます。このシステムを含む燃料供給系は衝突時に損傷を受けないよ
うに、パイプの材質や配置、接続部分の取り付けなどにはとくに安全性を考慮して設計。また、強化樹脂
製燃料タンクは最も安全性が高いと言われる場所に配置。アルミ製のガードプレートにより、ブレーキ液
配管を守り、同じく燃料配管は触媒コンバーターや排気システムの熱を避けることで、燃料の温度上昇に
よるミスファイアーも防止します。
マキシヒューズ:
大電流を処理する主要配線には、マキシヒューズと呼ばれる大容量ヒューズを採用。万一の電装系統異常
時、配線の過熱が起こる前に電源を遮断し、車両火災を予防します。また、大電流を扱うスターターモー
ターとオルターネーターの接続配線には、耐熱性が高く衝撃や振動、劣化に対して耐久性の高いケーブル
アウターを採用し、そのレイアウトも最も安全な場所や経路を厳選しています。
インテリアトリムのすべてが、より厳しいとされる北米車両火災防止基準をクリアしていることも見逃せ
ません。主要部分は、耐火性素材を用い、たばこの火種が触れても炎が燃え広がることはありません。
− 29 −
●セキュリティ(盗難防止)
フィアットコードⅡシステム:
エレクトロニックイグニッションキーを採用した盗難防止装置(フィアットコードシステム)の優秀性は
すでに実証済み。ニュームルティプラでは、この従来システムを進化させた第2世代の「フィアットコー
ドⅡシステム」を標準装備としています。この仕組みにより、オリジナルキーだけがエンジンを始動で
き、ヨーロッパの数か国では盗難防止保険の優遇を受けられるほど、高い評価を得ています。
キーのグリップ部分にはシークレットコード(暗証信号)を発信するトランスポンダーを内蔵。フィアット
コードⅡシステムでは、このシークレットコードは特定されておらず、エンジン始動のたびにコード信号
の組み合わせが変わるので、複製した模造キーではエンジンを始動できません。これに加え、シークレッ
トコードは機密用アルゴリズムによって暗号化してあることから現在最良のセキュリティシステムとして
機能します。
シークレットコードは、ニュームルティプラの生産工場やキーメーカーの工場であってもコード化されて
いない形式では読みとることはできず、コード化変換のアルゴリズム自体は車載ユニットのいかなる部分
にも存在しません。ゆえにシークレットコード(暗証信号)自体をコピーすることは不可能です。
万一、システム自体に異常が起きたときは、エマージェンシーモードでエンジンを始動できます。このモー
ドでは、エンジン始動前のアクセルペダルの踏み込み回数によって、オーナー専用のロック解除番号(コー
ドカードに記載)を入力し、エンジンを始動することができます。
− 30 −
●スペースフレーム構造
ニュームルティプラは、生産過程においても革新的な手法を採用しています。通常の単なるモノコック構
造ではなく、スペースフレームと呼ばれる構造によりボディを形成。これは、溶接構造のスチール骨製格
材にボディパネルを張り合わせた構造であり、以下のような優位性を持っています。
高いボディ剛性と耐衝撃性能:
新開発の生産技術手法を導入し、高張力で厚みの異なるスチールパネルの構成を採用したことから車の
重量増加を避けながら、充分なボディ剛性を確保しました。その結果、この車のボディ剛性は、ねじり
剛性および曲げ剛性共に大きく向上しています。また、ニュームルティプラのフロアパンは低く、直線
的なレール形状をしているので前面衝突時の大きな衝撃エネルギーは下向きに放散され、乗員キャビン
を押しつぶす力が大きく減少します。この結果、車全体としての安全性能を飛躍的に高めました。
有効スペースの拡大:
ニュームルティプラは乗員への配慮と乗る人の要望を何よりも尊重。設計エンジニアらは、フラットなフ
ロアパンを採用できたことにより、乗員キャビンスペースを最優先に設計しました。省スペースのリアサ
スペンションを含み、かさばる大きな装置を床下に配置できたことから乗員シートは、ユーザーフレンド
リーと呼ぶにふさわしいレイアウトを実現することができました。
アピアランス:
ニュームルティプラが採用した設計手法は、現行モデル同様ムルティプラがムルティプラであるためのユ
ニークなボディラインを与えています。ルーフパネルにその一端を表わすスペースフレーム構造により、
紛れもないオリジナリティにもなっています。
標準的な量産モデルのためにスペースフレーム構造を採用したフィアット社の英断は、常に新しい開発方
法と設計手法へのアプローチを示しています。従来、設計エンジニアらは最大限のボディ剛性を確保し、
長期にわたる信頼性を維持するため、ボディの溶接ポイントをどこに、いくつ配置するかに膨大な時間を
費やしていました。この新システムの採用には多大な労力を必要としましたが、結合済みのアセンブリー
部材を使うことで従来のプレス成形部分と同じ耐久性を保証することができました。
− 31 −
EQUIPMENT
■装備品
■標準装備品とオプション装備品
●エクステリア
●インテリア
●オーディオ
熱線吸収ガラス
ELX
ELX-Plus
●
●
ヘッドライト光軸補正コントローラー
●
●
フロントフォグランプ
●
●
間欠機能付きフロントワイパー
●
●
ウォッシャー連動リアワイパー
●
●
ヒーテッド電動調整&格納式ドアミラー
●
●
エッジプロテクター付きドアオープナー
●
●
電動デュアルサンルーフ
−
●
リアデフロスター:タイマー付き
●
●
リアフォグランプ
●
●
超音波式パーキングセンサー
−
●
ルーフキャリアマウント内蔵式ルーフエッジモール
●
●
スチールホイール:185/65R15タイヤ
●
−
アルミホイール:195/60R15タイヤ
−
●
メタリックペイント
●
●
ティルト式ステアリングホイール
●
●
ファブリック張りシート
●
●
大容量サングラスホルダー
●
−
左右独立配置グローブボックス
●
●
レザーステアリングホイール&シフトノブ
−
●
運転席電動高さ調整機能
●
●
高さ調整式前席ヘッドレスト
●
●
インパネシフト&左右前席ウォークスルー
●
●
フロントシートポケット
(ドア側)
●
●
フロントシートアンダートレイ
(助手席ドア側)
●
−
背面カップホルダー付き可倒式センターシート
●
●
マルチファンクションディスプレイ
●
●
・
トリップコンピューター
●
●
・警告メッセージ機能
●
●
・チェックモニター機能
●
●
・外気温度、
日付、時刻表示
●
●
・メンテナンス表示機能
●
●
・表示設定機能
●
●
・メーターパネル照明調節
●
●
前後移動&可倒式独立リアシート
(着脱可能)
●
●
背面テーブル一体型可倒式リアシート
●
●
カップホルダー付きリアドアポケット
●
●
ラゲッジフック
●
●
オーディオコントロール用ステアリングスイッチ
−
●
AM-FMラジオ/CDプレーヤー
●
●
10連奏CDチェンジャー
−
●
●:標準装備、−:設定なし
− 33 −
●快適装備
●安全装備など
ELX
ELX-Plus
油圧アシスト式パワーステアリング
●
●
助手席バニティミラー
●
●
マップランプ付きフロントルームランプ
●
●
残照タイマー付きルームランプ(前後)
●
●
アクセサリー電源ソケット:インストルメントパネル
●
●
オートエアコン
●
●
ダスト/ポーレンフィルター
●
●
キーレスエントリー
(テールゲートロック連動)
●
●
集中ドアロックシステム
●
●
パワーウインドー:前席タイマー付き
●
●
ワンタッチ式パワーウインドー:運転席
●
●
アクセサリー電源ソケット:ラゲッジルーム
●
●
タイマー付きラゲッジルームランプ
●
●
電動式テールゲートオープナー
●
●
二重合わせガラス式フロントウインドー
●
●
ABS+EBD
●
●
デュアルエアバッグ
●
●
助手席ダブルサイズエアバッグ
(キャンセラー付き)
●
●
サイドエアバッグ
(前席ドア側組込型)
●
●
ウインドエアバッグ
●
●
高さ調整式フロントシートベルト
(ドア側)
●
●
プリテンショナー付きフロントシートベルト
●
●
シートベルトロードリミッター機構(前席ドア側)
●
●
全席3点式シートベルト+ヘッドレスト
●
●
アンチサブマリニングシート
●
●
ドア内蔵サイドインパクトビーム
●
●
フィアットコードⅡシステム(盗難防止装置)
●
●
ISO FIXチャイルドシートアンカー
(後席ドア側)
●
●
後席チャイルドセーフティロック
●
●
ハイマウントストップランプ
●
●
ファイヤープリベンションシステム(FPS)
●
●
●:標準装備、−:設定なし
※仕様は、予告なく変更されることがあります(2004年10月現在)。
− 34 −
■ボディカラーとインテリアカラー
●ボディカラー
ニュームルティプラは、数多くのボディカラーを取りそろえました。ボディカラーはその車のオーナーを
物語るもの。ニュームルティプラに設定したボディカラーは、大胆な色合いを好むユーザーの要望を満た
すことでしょう。また、ニュームルティプラの革新的なエクステリアデザインを高く評価しながらも、明
るい色を選ぶことで独創性を必要以上に強調したくないと望むユーザーにとっても満足感の高い選択肢に
なるはずです。
日本仕様車では、ソリッドカラー(2色)と、独特の明るさと透明度が自慢のメタリックカラー(6色)の
合わせて8色を用意しています。
ソリッドカラー:
ホワイト、ジャンプ ブルー
メタリックカラー:
クリスタル グリーン、ラグーン ブルー、カナリア ブルー、パレオ イエロー、ニューバティック オレンジ、
スティール グレー
●インテリアカラー
インテリア(シート)カラーは、ドリア ブルーのクロス張りを設定しました。
日本仕様車のシートカラーとボディカラーの組み合わせについては、以下の一覧表に記載しています。
■ボディカラー/インテリアカラー
ELX/ELX-Plus
シートカラー
ドリア ブルー
カラーコード
142
ソリッドカラー
249
ホワイト
●
476
ジャンプ ブルー
●
メタリックカラー
ボディカラー
432
カナリア ブルー
●
505
ニュー バティック オレンジ
●
593
パレオ イエロー
●
647
スティール グレー
△
745
クリスタル グリーン
△
792
ラグーン ブルー
●
●:標準設定、△:受注生産
− 35 −
P.A.S.S. ( Perfect Assistance Service System )
■P.A.S.S.(Perfect Assistance Service System)
フィアット オート ジャパンでは、フィアット正規ディーラーで新車購入された日本国内のフィアット車
オーナーのためにさらなる「オーナーセーフティ」を用意しています。
●P.A.S.S.
P.A.S.S.は、自家用乗用車の自損を含む事故発生や万一の故障時などに、365日24時間体制でユーザーを
アシストするもので、主たる対象を乗員としているサービスシステムです。新車登録されたすべてのフィ
アット車は、ユーザーの申し出により契約を交わし、新車登録後3年間このサービスを受けることができ
ます。
P.A.S.S.がアシストする主たる項目:
・事故、故障発生現場での車両のクイックサービス、または最寄りのフィアット正規ディーラーまでの車
両の移送、およびその費用負担
・旅行を継続するための代車、またはレンタカーの手配、あるいは当初の目的地までの交通手段の手配、
およびその費用負担
・ドライバーおよび同乗者全員の帰宅の手配、およびその費用負担
・現地で修理を待つ間の宿泊手配、およびその費用負担
・修理後に車両を受け取るとき、それにかかわる交通手段の手配、およびその費用負担
なお、上記のいずれの場合も、適用範囲およびその金額には限度があります。
●メーカー保証
フィアット オート ジャパンでは、フィアット正規ディーラーで新車購入されたフィアット車には、新車登録
後2年間、または65,000 kmのいずれか先に達するまでの期間を「メーカー保証適用期間」としています。
この保証は新車購入時だけに適用され、適用期間中に起きた使用上の不具合について、その修理にともな
う部品代および整備費用が無料となるものです。主たる保証対象部品はエンジン、トランスミッション、
サスペンション関連の部品から電装、電子制御ユニット関連の部品にまでおよびます。
ただし、バッテリー、ブレーキパッド(ライニング)、クラッチディスク、ベルト/ホース類、エンジン
オイルなどの消耗品類、ボディ、ガラス、モールディングなどの外装部品、そして一般点検整備やホイー
ルアライメント調整作業などの整備費用はメーカー保証の対象外となります。
くわしいことは、最寄りのフィアット正規ディーラーまでお気軽にお問い合わせください。
− 37 −
TECHNICAL SPECIFICATIONS
■テクニカルスペック
■主要諸元、動力性能
ELX
●寸法・重量
ELX-Plus
全長(mm)
4,095
全幅(mm)
1,875
全高(mm)
1,670
ホイールベース(mm)
1,680
2,665
トレッド(mm)
前輪
1,510
後輪
1,510
車両重量(kg)
1,390
1,410
乗車定員(名)
6
ドア数
5
ラゲッジルーム容量*(R)
6人乗車時:430
3人乗車時:1,900(ルーフ面までの容量)
*:メーカー参考値
●エンジン
形式
横置・直列4気筒
DOHC16バルブ、油圧タペット
ボア×ストローク
(mm)
80.5×78.4
総排気量(cm3)
1,596
最高出力(EEC基準)
76 kW(103 PS)/5,750 rpm.
最大トルク
(EEC基準)
145 N・m(14.8 kgf・m)/4,000 rpm.
圧縮比
10.5:1
点火方式
電子制御式ECU一体型
燃料供給装置
マルチポイント式電子制御燃料噴射
使用燃料
無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量(R)
61
排出ガス浄化装置
●トランスミッション
三元触媒+ラムダセンサー
形式
変速比
5速マニュアル
1速
3.909
2速
2.238
3速
1.520
4速
1.156
5速
0.946
後進
3.909
最終減速比
3.933(59/15)
クラッチ形式
乾式単板 ダイヤフラム
− 39 −
ELX
●ステアリング
形式
ELX-Plus
油圧パワーアシスト付きラック&ピニオン
ロック to ロック
2.7回転
回転半径(m)*
5.50
*:メーカー参考値
●サスペンション
前輪
独立懸架型マクファーソンストラット式
コイルスプリング
リンク結合型スタビライザー付き
後輪
独立懸架型トレーリングアーム式
コイルスプリング
スタビライザー付き
●タイヤ/ホイール
タイヤ
ホイール
●ブレーキ
形式
185/65R15
195/60R15
6J×15(スチール)
6.5J×15(アルミ)
X字型-2系統油圧式(バキュームサーボ付)
ABS+EBD
前輪:ディスク
(外径)
ベンチレーテッドディスク
(284 mm)
:キャリパー
フローティング式
後輪:
●電装システム
●動力性能
(EC参考値)
ドラム
バッテリー容量(Ah)
60
ACG最大出力(A)
90
最高速度(km/h)
170
0〜100km/h加速(秒)
12.6
0〜1km区間加速(秒)
34.4
CO 2 排出量(g/km)
205
※仕様や数値は、予告なく変更されることがあります(2004年10月現在)。
− 40 −
P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S P R E S S