Vol.205 所 長 コラム 政府筋 2013 / 9 月号 中小企業政策に硬軟の支援が本格化 今日、中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中において、中小企業の支援を行う担い手側の 活性化を図る目的で、平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」が施行され、これに 基づき金融機関や税理士、公認会計士、弁護士等申請のあった専門家を、国が経営革新等支援機関と して全国で約15,900機関を認定しました。当事務所の関連会社であるユアブレーンも経済産業省 近畿経済産業局より昨年10月に近畿第46号として認定を受けています。そしてその役割は中小企業 の経営力の強化を図ることにありますが、具体的には ① 中小会計要領の趣旨に則り、中小企業に適時・正確な記帳に基づく月次決算体制の構築を支援 することにより、経営者の「迅速な業績把握」と「金融機関等の利害関係者に信頼される基礎 財務資料のタイムリーな提供」を可能にすること。 ② 月次の業績と経営計画・前期業績との比較分析を行い、改善課題を抽出し、その克服のための 打ち手の検討を支援すること。 ③ 企業内外の経営環境を分析し、その分析結果に基づき、健全な企業には新たなる夢の実現のため の中期経営計画、業績不振の企業には現状を打破するための経営改善計画の策定を支援すること。 ④ 中小会計要領に基づいた信頼性のある決算書の作成を支援すること。 を内容とし、対象企業の経営状況によって、4つの層に分類した次の支援を行うこととされています。 ① 金融支援の必要がない中小企業 さらなる成長発展、経営者の夢の実現に向けた中期経営計画の策定支援を行ってください。また、 この層の企業であっても財務経営力は決して強くない企業も多く存在するので、財務の専門家とし て取り組むべき支援業務が必要とされます。 ② 金融支援を含む経営改善が必要な企業 関与先企業の大多数がこの層に位置します。認定支援機関の基本的な役割を理解し、月次巡回 監査をベースに積極的に経営支援を行うことが必要となります。 ③ 金融機関に条件変更を要請した企業 経営改善計画の策定が必要です。関与先に該当する企業がある場合は、積極的な支援を行うこと が要請されます。 ④ 自主再建困難な企業 金融機関や再生支援協議会で本格的な再生計画作りを支援する必要のある企業で、再生か廃業を 見極める必要があります。 Vol.205 2013 / 9 月号 これらのことは、当事務所では日常の方針として意識していることですが、TKC全国会 では更に活動目標として次の8項目の支援を行うことを標榜しています。 ① 社長さんの“夢の実現”に向けて事業計画の策定を支援します。 ② 毎月、貴社を訪問し、親身に経営アドバイスを行います。 ③ 正しい会計ルール(「中小会計要領」等)の積極的な活用を支援します。 ④ 信用保証機関や銀行等から信頼される決算書の作成を支援します。 ⑤ TKCシステムの利用を通して、毎月、現状を分析し、打ち手を提案します。 ⑥ 社長さんご自身が、自信を持って、業績と事業計画を説明できるようになります。 ⑦ 社長さんへの信頼が高まるので、貴社の資金調達力が向上します。 ⑧ 経営者塾等を開催し、社長さんに勉強の場を提供します。 これらのことは会計事務所として、お客様企業に単に税務や会計業務のみならず当然に果たすべき業務 と考えていることでありますが、よく考えてみれば特別なことを始めるのでなく、企業としてのお客様が 如何にあるべきか、の基本的な活動へのお手伝いを更に高め、或いは深めることにあるということです。 以上述べたことの基盤の上に、国や地方自治体が打ち出す中小企業向けの様々な施策に沿った「ものづ くり」 「まちづくり」 「地域活性化」 「需要創造型」 「企業創造型」などの補助金、助成金制度を利用し、こ れらについて認定支援機関の支援を受けることによって、支援の担い手としての立場が明確化されること になります。 さて、経営内容が充実されているお客様は別にして、業績が不安定又は赤字体質のお客様については 月次巡回監査に於いて、単にその結果の報告解説を行うだけでなく、継続企業として生き残る為には適正 なあるべき利益を把握していないと経営責任は果たせないのです。 目標利益+固定費=必要付加価値 必要付加価値=売上高-変動費(仕入、外注費) という大まかな年度計画を策定(月毎の細部計画の積上げ)することによって、毎月の予実対比(予算と 実績対応分析)をすることにより、事後の対応をするというPDCAサイクルに結びつけることによって 業績改善を図るという経営の原点に戻った意識改革に結びつけることを経営改革の糸口とすべきところ であります。 世間ではよく、計画を作っても計画通りに行かないから予算を業績によって作り変える方がおられます が、これは誤り(愚の骨頂)で、あくまで立てた数値を変更させずに計画を達成する為には何が不十分で あったかという分析をしない限り、計画を変更しても、かくありたいという理想を達成するパターンには 戻れません。それよりも目標は立てても、どうせ・・・ということになって経営改善(革)そのものへの 意欲がなくなり、経営が現状から脱し切れない、それが現在の姿かも知れないことになります。 以下次号 Vol.205 情報 2013 / 9 月号 教育資金の一括贈与だけではない! 生前贈与による相続税対策 前月号において「教育資金の一括贈与非課税措置」をご紹介させていただきましたが、これ 以外にも平成25年税制改正では、贈与税について、高齢者から現役世代への財産移転を促す 目的から、税率構造の見直しなどの改正が行われました。今回は、生前贈与による相続税対策の 手法について、主だったものを列挙してみたいと思います。各手法については、実施する上で 注意すべき点もあり、また、他にも様々な手法がありますので、相続税対策をご検討の際は事務 所内の姫路相続相談センター(TEL:079-288-0566)まで是非ご相談ください。 1.暦年贈与 金銭や不動産の持分などの贈与を毎年行い、相続開始時点での資産を減少させ、相続税の 税負担を減らす方法です。なお、平成27年1月 1 日以降の祖父母や父母から子や孫への贈与 については、贈与税の税負担が緩和されることになっています。 2.贈与税の配偶者控除 婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産またはそれを取得するための資金を贈与した 場合には、最高2,110万円までが非課税となる規定です。この規定を受けるためには、贈与 税の申告をする必要があること、贈与税は非課税であるが登録免許税や不動産取得税は課税 されることなどに注意が必要です。 3.住宅取得等資金の贈与税の非課税 祖父母や父母から贈与された金銭を自己の居住用不動産の取得や新築に充てた場合には、 一定額※について贈与税が非課税となります。これについても、贈与税の申告をすることを 要件に適用を受けることができます。 イメージとしては、1の暦年贈与は毎年コツコツと財産移転を行う手法であるため、長く続け て行うと効果的な相続税対策と言えます。2・3と教育資金の一括贈与は一度に多額の財産移転 を行う手法であるため、相続開始が近い場合にも効果的な相続税対策と言えます。 ※ 国税庁HP(http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4508.htm)をご参照ください。 (記事担当:松尾)
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