JCI 解説テキスト ~JCI と機能評価の違い~

JCI 解説テキスト
~JCI と機能評価の違い~
Difference of JCI 4th Edition and Japan Council
for Quality Health Care(JCQHE)
第2版
株式会社 日本経営
本テキストは、JCI(Joint Commission International)について認証取得の
検討を始められたり、認証を受けないまでもできるだけ国際的な基準に近づけ
て病院運営をしたいとお考えの場合に、参考にして頂けるように作成したもの
です。
JCIの評価基準は、患者アセスメント・患者治療・患者教育・患者と家族
の権利など患者を中心にした機能に関する7つの領域と、品質改善・患者の安
全・施設管理など組織マネジメントの関する 6 つの領域、そして国際患者安全
目標の合計 14 領域から構成されています。また、各領域について評価するため
の評価基準は約320項目となっていて、その小項目レベルでは1,200項
目以上となっています。
<JCI規格 評価基準 Accreditation Standards for Hospitals>
第1章 国際患者安全目標
第2章 患者の流れ
第3章 患者の権利
第4章 アセスメント
第5章 治療プロセス
第6章 麻酔・手術
第7章 薬剤管理
第8章 患者教育
第9章 品質改善と患者の安全
第10章 感染の予防と管理
第11章 病院ガバナンス
第12章 施設管理
第13章 職員教育
第14章 コミュニケーション
これらの JCI の評価基準について概要を示すとともに、日本のひとつのスタ
ンダードである日本医療機能評価機構が定める基準(ver.6)とを対比すること
によって、基本的な相違点を明確にしています。
なお、実際の評価にあたっては、評価段階は3段階となっていて、評点は0
点/5点/10点の3段階で実施されます。また、合格基準は、小項目の平均
が5.0ポイント以上、中項目(評価基準)の平均が8.0ポイント以上、大
項目の平均が9.0ポイント以上となっています。
本テキストが、皆様の医療の質向上の一助になれば、幸甚でございます。
目次
第一部:患者中心の基準
第1章 国際患者安全目標(IPSG)
第2章 患者の流れ(ACC)
第3章 患者の権利(PFR)
第4章 アセスメント(AOP)
第5章 治療プロセス(COP)
第6章 麻酔・手術(ASC)
第7章 薬剤管理(MMU)
第8章 患者教育(PFE)
第二部:医療機関の管理基準
第9章 品質改善と患者の安全(QPS)
第10章 感染の予防と管理(PCI)
第11章 病院ガバナンス(GLD)
第12章 施設管理(FMS)
第13章 職員教育(SQE)
第14章 コミュニケーション(MCI)
JCI(第4版)と病院機能評価(Ver6.0)の相違
JCI基準
大項目
中項目
IPSG1
小項目
A…要求レベルがほとんど一致している項目 B…JCIのほうが要求レベルが高い項目 C…病院機能評価には設定されていない項目 D…対応困難項目
テーマ
患者の確認
概 要
作成推奨文
書
病院機能評価(Ver6.0)
関連項目
詳細
比較
医療機関は、患者識別の精度を高めるための方法があ 患者識別手
AOP.5.7
る。
順
対応
B
JCIでは、2種類の患者識別法(口答に
2.3.2 よる確認は不可)での確認が求められ
る。
B
IPSG.1のルールを文書化し、口答確認
5.2.3 しているのかを審査では確認される可
能性がある。
IPSG2
指示出し・
職員間コミュニケーショ 医療機関は、有効なコミュニケーション向上のためのア
指示受け手
ン
プローチを開発している。
順
IPSG3
ハイアラート薬の管理
医療機関は、ハイアラート薬の安全性の向上のための 薬品保管管
体制を作成している。
理手順
B
院内でハイアラート薬を設定しリスト化
4.3.2 するとともに、管理方法を手順にまとめ
実践することが求められる。
IPSG4
正確な手術部位、正し 医療機関は、正しい手術部位に、正しい手順で、正しい
周術期対応
い手順、正しい患者へ 患者に手術が行われることを保証するための体制を作
手順
の手術の保証
成する。
B
病院機能評価では、患者・手術部位の
2.3.2 誤認防止策が行われていれば良い
4.9.2 が、JCIでは、その方法まで要求されて
いる。
IPSG5
医療関連感染のリスク 医療機関は、医療関連感染のリスクを低減する方法を
低減
作り上げる。
感染対策マ
ニュアル
B
JCIでは、感染対策の手順だけではな
2.5.3 く、リスク低減の手法をまとめ実践する
ことが必要である。
IPSG6
転倒による患者の障害 医療機関は、転倒による患者の障害のリスクを軽減す
のリスク軽減
る。
医療安全管
理マニュア AOP.1.6
ル
A
2.3.2
入院対応マ
患者は、確認された医療ニーズと医療機関の使命およ
ニュアル
GLD.3.2
び資源に基づき、入院治療のために入院したり、または
外来対応マ
外来受診のため、登録を行っている。
ニュアル
B
救急患者の受け入れについては、病
4.12.1
院機能評価でも受け入れ基準と手順
5.2.1
の作成が求められている。
入院対応マ
ニュアル
GLD.6.1
外来対応マ
ニュアル
A
4.15.2
ACC1
医療機関への入院
ACC1.1
入院及び外来の患者登録体制を有している
MCI.19.2AOP5.3.1