校長 信方 壽 幸 学校だより 平成25年度 第7号 80 周年を迎えたろう学校

学校だより
平成25年度
第7号(107号)
発行日 平成25年11月1日
東京都立立川ろう学校
校長 信方 壽幸
〒190-0003
東京都立川市栄町1-15-7
Tel 042-523-1358 Fax 042-523-6421
80 周年を迎えたろう学校の理容科・美容科
~ろう学校の職業教育を考える~
校長
のぶかた
としゆき
信方
壽幸
ろう学校の理容科・美容科が設置されて、今年で80周年を迎えました。東京のろう学校には、理容
科・美容科はありませんが、理容科・美容科の歴史は、ろう学校の職業教育を考える時、忘れてはなら
ないことですので、今月の記事にすることにしました。
理容科・美容科の歴史は、昭和8年の徳島校における「理髪科」の設置から始まります。初年度の入
学者は 7 名だったそうです。聴覚障害者にとって、接客業は本来生業になりにくいとされる中、今から
80年前に、ろう学校の生徒の特性等を考慮して、サービス業である理容、美容の職種に参入させよう
と考えた先人たちの先進的な発想に、心より敬意を表したいと思います。
この「理髪科」が設置される以前のろう学校〈大正時代から昭和初期〉では、技芸科(のちに図画科、
裁縫科、工芸科として独立)という科が設置され、「聴力を使わず、話をせずにすむ手仕事で、かつ自
活できる」職業教育が中心でした。
このような中、昭和 8 年に徳島校の「理髪科」が設置されました(同年、馬渕校(現在の横須賀校)
には「邦文タイプ科」が設置〉。それまで徳島校には、男子部に竹細工、女子部に裁縫の職業科目しか
なかったため、当時の校長先生は「これでは職業科目が尐なすぎる」として「理髪科」の設置を考えた
そうです。その理由として、①理髪科を設置すれば、教師は初め男女共通でいけるため教員一人分の給
料その他を節約できること、②理髪科の免状をとるには、深遠な学理や高度の技術を必要とせず、小・
中学校程度の普通教育を受ければよいこと、③近時は聾唖者に対する教育法が進歩し、他人のことばを
口形や唇の動きなどにより判断し、自らもこれに倣って発声発語し、他人に自分の意思を伝えることが
できるようになったことなどが挙げられています。①、②の理由は、非常に合理的な理由ですが、③の
理由をみると、口話法の進展が聴覚障害児の職域を広げたことが分かります。
その後、理髪科を置くろう学校が増加し、昭和 22 年の理容師法によって、理髪科は理容科となり、
ろう学校は理容師養成施設・同実施研修所の指定を受けて設置・運営されるようになりました。最も多
い時期(昭和 41 年から 61 年度まで)は高等部設置校の約半数33校に設置され、昭和48年には全
国で 830 名を超える生徒が学び、卒業後は個人開業する者もいたそうです。しかし、昭和 50 年代に
は事務職や製造ラインなどの職種へ就職するものが増え、平成 25 年現在、理容科・美容科設置校は
19 校、生徒は 40 名程度になってしまいました。
この背景には、昭和 35 年に成立した身体障害者雇用促進法が大きく関係しています。この法律は、
昭和 51 年に改正され、障害者の法定雇用率を達成していない企業に対しては負担金を課すようになっ
たことから障害者の職域を拡大しました。でも、よくみると、多くの企業が、正社員でなく、契約社員
やパートで法定雇用率を達成しようとしています。流通・サービス業は、知的障
害特別支援学校の卒業生の割合が増加し、ろう学校卒業生と競合するようになっ
てきました。ろう学校の卒業生が就職する職種も、製造系から事務系が多くなっ
てきました。企業では、メールでの指示・伝達が中心になってきたそうです。
今、キャリア教育の重要性が叫ばれ、子供たちには、将来、社会的・職業的に
自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現するた
めの力が求められています。この視点に立って、学校・家庭の教育を見つめ直し
手話を含む多様なコミュニケーション手段を活用しながら、ろう学校の大きな目
標である「日本語の力の育成」を充実させることが大切だと考えます。
「聾学校理容科・美容科 80 年の歩み」(平成 25 年 10 月 24 日発行 全国聾学校理容科・美容科研究協議会)を参考に執筆
本校高等部普通科卒業生(現在大学4年生
男子)が、本年度の東京都教員採用
選考に、みごと現役合格しました。現役合格は快挙です!!
【あきの あそぼう会】
幼 稚 部
2~3年生が、お母さんたちと一緒にやりたいゲームを考え「あきのあそぼう会」を実施しました。
子供たちが考えた競技は、6つ。親子で「かけっこ」
「リレー」
「傘玉入れ」を、子供たちだけで「お菓
子つり」
「つなひき」
「へいきんだいきょうそう」をやりました。
当日、最初の競技「かけっこ」では、お母さんたちの走る速さに、目をまん丸にして、「ぼくのお母
さんは、速い!」
「わたしのお母さんの方が速い!」と大盛り上がりでした。最後の競技「リレー」は、
子供とお母さんたちが交互に走りました。接戦になりましたが、白組の勝ち。赤組は、くやしくて、
「も
う1回やりたい!!」とお願いしました。1回勝負の予定でしたが、リクエストに応えてもう1回。
どの種目も、みんな目を輝かせ一生懸命取り組みました。
小 学 部
【3年生
移動教室】
9月24日~25日、楽しみにしていた移動教室に行きました。台風20号が発生し、心配していま
したが、ほぼ予定どおりに行動することができました。
【高尾山】ケーブルカーは日本一の急勾配で、子どもたちは大喜びでした。最前列で景色を楽しむこと
ができました。登山もよく頑張っていました。頂上では「おーい、山びこー!」「やっほー!」と元気
いっぱいでした。つり橋のある4号路は、前日の雨の影響で残念ながら行くことができませんでした。
【わくわくビレッジ】原っぱやビオトープを探検したり、アスレチックで遊んだり、子供たちは登山の
疲れも関係なく元気いっぱい!入浴・夕食・布団敷きなどもスムーズ
に行い、夜はみんなで集まってゲームをしました。ふだんもよくやっ
ている「花いちもんめ」
「握手ゲーム」ですが、いつもとは違う環境の
せいか大盛り上がり!楽しい時間をすごすことができました。
【フォトスタンド作り】講師の先生の指導のもと、フォトスタンドを
作成しました。色紙を好きな形に切ってボンドで貼ります。集中して
取り組み、個性豊かな作品ができ上がりました。
初めての宿泊を終えた子供たち。また一回り成長したように感じま
した。
中 学 部
【関東聾学校体育大会】
10 月 6 日(日)、12 日(土)、17 日(木)、18 日(金)に各地で運動部 3 年生にとっては集大成
である関東聾学校体育大会が行われました。日々の練習や朝練をとおして、仲間との絆を深めながら大
会の日を迎えました。3年間の想いを胸に試合に臨みました。
1、2年生も3年生のために全力のプレーをしてくれ、盛り上げてくれました。現在は来年度に向け、
1、2年生が中心となり、練習に取り組んでいます。
<結果>
バレー部
第3位
卓 球 部
・団体戦
女子団体
・個人戦 (1部)
第3位
3年 金さん
ベスト8
(3部) 1年 進藤君 優勝
1年 長島君 第3位
野 球 部
第6位
高 等 部
【職リハの出前説明会】
10月3日(木)に国立職業リハビリテーションセンターの出前説明会がありました。対象生徒は高
等部普通科1年生・2年生と専攻科1年生の40名程です。卒業学年の生徒については進路活動を行っ
ているので、任意参加としました。
国立職業リハビリテーションセンターは、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき厚生労働省が
昭和54年に設置し、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営しています。
隣接する国立障害者リハビリテーションセンターとの密接な連携のもとに、障害のある方々の自立に
必要な職業指導や職業訓練などを体系的に提供している機関です。
職業に就くために必要な知識・技能の訓練を企業ニーズや障害のある方の障害状況等に合わせて行っ
ています。訓練科は11科あり、各訓練科の中に具体的な訓練職種である訓練コース(20コース)を
設定しています、というお話とセンター紹介ビデオの説明がありました。約1時間の説明会でした。
興味関心のある方は進路指導部までお問い合わせください。また、センターのホームページも合わせ
てご覧ください。
乳幼児教育相談
ひよこぐみ
【えのぐ、ぺたぺた】
ひよこ組では、月齢にあわせて様々な制作を活動に取り入れています。ちぎったり、クレヨンを使ったり、
折ったり切ったり・・・。中でもみんな大好きなのが、大きな紙いっぱいに絵の具をぬたくるボディペインテ
ィング。10 月のある日、1,2 歳児合同で行いました。好きな色の絵の具を選んで、筆やローラーで隙間なく
塗りつぶしたり、手を大きく動かし絵の具の感触を
楽 し み な が ら 、 大 胆 に 紙 や 体 に 絵 の 具 を 拡 げ た り、
小さな画伯たちが芸術の秋を堪能した一日になりました。
制作の後は・・・温かいシャワーで手足や顔を洗って、
さっぱりきれいになりました。