09E419 任天堂らしさと今後の成長課題 ~ユーザーとの対話の歴史とアンケート調査から~ 09E419 長谷川 茜 1 長谷川茜 09E419 Ⅰ.はじめに Ⅱ.国内ゲームメーカー 国内ゲームメーカーの ゲームメーカーの頂点に 頂点に立つ任天堂 1.本稿で 本稿で用いるゲーム いるゲームの ゲームの定義 2.ゲーム機 ゲーム機およびゲームソフト およびゲームソフトとは ゲームソフトとは 3.国内の 国内のゲームメーカーの ゲームメーカーの市場占有率 Ⅲ.任天堂の 任天堂の成功までの 成功までの道程 までの道程 1.設立から 設立から人気 から人気ゲームメーカー 人気ゲームメーカーになるまで ゲームメーカーになるまで 2.2つのゲーム つのゲーム機 ゲーム機の事例から 事例から考 から考える低迷期 える低迷期の 低迷期の失敗要因 (1)ニンテンドウ 64 の事例 (2)ニンテンドーゲームキューブの ニンテンドーゲームキューブの事例 3.Wii のヒットから ヒットから考 から考える任天堂 える任天堂の 任天堂の成功要因 (1)Wii の特徴 (2)Wii の販売結果 (3)Wii の成功要因 Ⅳ.Wii U の今後と 今後と任天堂の 任天堂の成長課題 1.アンケートについて アンケートについて (1)アンケートの アンケートの概要 (2)質問項目 2.香大生による 香大生による任天堂 による任天堂ゲーム 任天堂ゲームの ゲームの利用状況 3.Wii U の魅力は 魅力は消費者の 消費者のニーズと ニーズとマッチしているのか ッチしているのか 4.「任天堂 「任天堂らしさ 任天堂らしさ」 らしさ」と任天堂のこれから 任天堂のこれから Ⅴ.おわりに 1.要約 2.結論 3.今後の 今後の展望 2 長谷川茜 09E419 長谷川茜 Ⅰ.はじめに 吾輩はゲーマーである。ゲーマーとは、日本では主に、ゲームを趣味とする愛好家たち の呼称として使われている。小学生の頃から兄弟との喧嘩といえばゲーム機の取り合いが 主な原因だった私は、大学生になってもそのゲームへの熱は冷めず、友人とゲームをしな がら朝を迎えたことも多々ある。私は特に昔から任天堂のゲーム機が大好きで、他社のゲ ーム機よりも任天堂のゲーム機で遊んでいる時間が長かった為、任天堂のゲーム機が常に 一番売れていて、常に任天堂はゲームメーカーの中でトップを走っていると思っていた。 しかし、実際の任天堂のゲーム機の歴史は成功ばかりではなく、販売台数が伸びず不振に 陥り、他社のゲーム機にトップを奪われていた時代もあったのである。 そこで、本稿では、任天堂の創業から現在までの歴史を振り返る中で、失敗に終わった 「ニンテンドウ 64」および「ニンテンドーゲームキューブ」の失敗要因と、成功した「Wii」 の成功要因を、 ライバルである SCE のゲーム機の特徴との比較を通して導き出すとともに、 香川大学の学生へのアンケートの結果から、新作の「Wii U」が成功するか否かを示し、こ れらをふまえた上で、 「任天堂らしさ」と任天堂の今後の成長課題を述べる。その為に、本 稿では以下の4つの章を設定した。 まず、第Ⅱ章の「国内ゲームメーカーの頂点に立つ任天堂」では、本稿で用いるゲーム、 ゲーム機およびゲームソフトの意味を定義し、国内のゲーム機およびゲームソフトの販売 数を示すことで、国内のゲームメーカーの市場占有率を明らかにし、本稿で任天堂に焦点 を当てる理由を述べる。 次に、第Ⅲ章の「任天堂の成功までの道程」では、任天堂の創業から現在までの歴史を、 3つの時代に分けて振り返る。まず、任天堂が創業からゲームメーカーとして広く知れ渡 るようになる 1980 年代までの商品の変遷を述べる。次に、任天堂が発売した「ニンテンド ウ 64」および「ニンテンドーゲームキューブ」の特徴を示し、それらの失敗要因を、ライ バルである SCE のゲーム機の特徴と比較することを通して導き出す。最後に、任天堂が発 売した「Wii」のコンセプトや特徴を示し、Wii と SCE のゲーム機のユーザーの傾向の違い を比較することを通して、Wii の成功要因を述べる。 続いて、第Ⅳ章の「Wii U の今後と任天堂の成長課題」では、香川大学の学生を対象に実 施したアンケートの結果から、任天堂のゲームの利用頻度や任天堂の新作ゲーム機である 「Wii U」の需要を把握し、Wii U の魅力と消費者のニーズを照らし合わせることで Wii U が成功するか否かを考察した後に、これまでの歴史をふまえた上で、任天堂が今後成長す る為に必要な「任天堂らしさ」を導き出す。 最後に、第Ⅴ章の「おわりに」では、本稿の要約や結論、今後の展望と課題を述べるこ とで、本稿の結びとする。 3 09E419 長谷川茜 このような4つの章から、任天堂のゲーム機の失敗および成功要因を考察することで、 「任天堂らしさと今後の成長課題‐ユーザーとの対話の歴史とアンケート結果から‐」と いうテーマに対しての結論を明らかにしていく。 Ⅱ.国内ゲームメーカー 国内ゲームメーカーの ゲームメーカーの頂点に 頂点に立つ任天堂 第Ⅱ章では、本稿で用いるゲーム、ゲーム機およびゲームソフトの意味を定義し、現在 の国内のゲーム機およびゲームソフトの、メーカーごとの市場占有率を把握する。まず、 第1節では、本稿で用いるゲームの定義を示す。次に第2節では、ゲームを行う際に用い る「ゲーム機」と「ゲームソフト」の、本稿での意味を明確にする。次に第3節では、ゲ ーム機およびゲームソフトの、それぞれの国内でのメーカー別販売数を示しながら、近年 のゲーム機およびゲームソフトの市場での、各メーカーの市場占有率を把握する。 以上を通して、本稿で扱うゲーム、ゲーム機およびゲームソフトの意味を定め、ゲーム 機およびゲームソフトの国内市場の、メーカーごとの市場占有率を明らかにすることで、 市場でトップを走る任天堂に焦点を当てる。 1.本稿で用いるゲーム いるゲームの ゲームの定義 本節では、本稿で用いる「ゲーム」という言葉の意味を、辞書や論文を用いて吟味する ことを通して定義し、ゲームを行う際に用いるハードウェアおよびソフトウェアの、本稿 での呼び方を定める。 まず、新村(2008)および松村(1995)によると、ゲームとは、 「遊戯、勝負ごと、試合」 のことを言う。次に、岡本(2011)によると、ゲームとは「個人・家庭での利用を想定し たコンピューターゲーム」のことである。辞書的な意味のゲームは、本稿で用いるゲーム の定義としては広義である。本稿では、広い意味を持つゲームの中でも、 「コンピュータを 用いたゲーム」に焦点を当てて考察していくことから、本稿では「個人・家庭での利用を 想定したコンピューターゲーム」をゲームの定義とする。また、ゲームを行うにはハード ウェアおよびソフトウェアが必要であり、本稿ではハードウェアを「ゲーム機」 、ソフトウ ェアを「ゲームソフト」と呼ぶことにする。 次節では、ゲームを行う際に必要なゲーム機とゲームソフトの本稿での意味を、現在発 売されている商品を例に挙げて述べる。 2.ゲーム機 ゲーム機およびゲームソフト およびゲームソフトとは ゲームソフトとは 本節では、内容を「①ゲーム機とは」および「②ゲームソフトとは」の2つに分け、ゲ ームを行う際に用いるゲーム機およびゲームソフトとは何かを、現在発売されている商品 を例に挙げることで明確にする。 4 09E419 長谷川茜 ①ゲーム機 ゲーム機とは ゲーム機は「据置型ゲーム機」と「携帯型ゲーム機」の2つに分かれている。まず、 「据 置型ゲーム機」とは、主にテレビ等の家庭用受動機に接続して利用するゲーム機の事であ る。現在国内で発売されている主な据置型ゲーム機には、ソニー・コンピュータエンタテ インメント(Sony Computer Entertainment、以下 SCE と呼ぶ)(1)の「PlayStation 3」 、 任天堂(2)の「Wii」 、マイクロソフト(3)の「Xbox 360」等がある。次に、 「携帯型ゲーム機」 とは、受動機とゲーム機本体が一体化したハンドヘルド(4)タイプのゲーム機の事を指す。現 在国内で販売されている主な携帯型ゲーム機には、SCE の「プレイステーション・ポータ ブル」や任天堂の「ニンテンドー3DS」等がある。 ②ゲームソフトとは ゲームソフトとは ゲームソフトは、対応するゲーム機の種類によって、光ディスク(5)やロムカートリッジ(6) 等、形状が異なっている。光ディスクをゲームソフトとして使用している主なゲーム機に は、Blu-ray Disc を使用している SCE の「PlayStation 3」や、UMD(7)を使用している SCE の「プレイステーション・ポータブル」 、独自規格ディスクを使用している任天堂の「Wii」 、 DVD-ROM を使用しているマイクロソフトの「Xbox 360」等がある。ロムカートリッジを 使用している主なゲーム機には、任天堂の「ニンテンドーDS」や「ニンテンドー3DS」等 がある。 以上のように、ゲーム機およびゲームソフトは、現在国内の複数のメーカーで開発・販売 されている。次節では、ゲーム機およびゲームソフトの、それぞれのメーカー別販売数か ら、現在の国内のゲーム機およびゲームソフトの、メーカーごとの市場占有率を明らかに する。 ソニー・コンピュータエンタテインメントとは、ソニー株式会社と、株式会社ソニー・ ミュージックエンタテインメントが合弁で設立した企業であり、主に家庭用ゲーム機な らびにゲームソフトの開発、製造、販売等を行っている(ソニー・コンピュータエンタ テインメント HP 2012,12 月 30 日閲覧) 。 (2) 任天堂の事業内容については、第Ⅲ章の第1節で詳しく説明する。 (3) マイクロソフトとは、世界最大級のコンピュータ・ソフトウェア会社である。マイク ロソフトには7つの事業部門があり、その1つがゲーム関連の事業部門である(日本マ イクロソフト HP 2012,12 月 30 日閲覧) 。 (4) ハンドヘルド(handheld)とは、 「片手で持てる」という意味の英語であり、本稿で は片手で持ち運びが出来る大きさの物を指す(IT 用語辞典 2012,12 月 30 日閲覧) 。 (5) 光ディスクとは、CD や DVD、Blu-ray Disc 等の、データの読み書きにレーザー光を 利用する記憶媒体のことである(IT 用語辞典 2013,1月 13 日閲覧) 。 (6) ロムカートリッジとは、ROM(記録されている情報を読み出すことのみ可能なメモリ ーのこと)が内臓されているプラスチック製の部品の総称である(IT 用語辞典 2013, 1月 13 日閲覧) 。 (7) UMD とは、Universal Media Disc の略で、光ディスクの規格の1つである(IT 用語 辞典 2013,1月 13 日閲覧) 。 (1) 5 09E419 長谷川茜 3.国内の 国内のゲームメーカーの ゲームメーカーの市場占有率 市場占有率 本節では、内容を「①国内メーカー別ゲーム機販売台数」、「②国内メーカー別ゲームソ フト販売本数」および「③任天堂に焦点を当てる理由」の3つに分ける。まず、株式会社 エンターブレイン(2011)に掲載されている、2010(平成 22)年のメーカー別ゲーム機の 販売台数およびメーカー別ゲームソフトの販売本数をそれぞれ円グラフで示しながら、国 内のゲーム機およびゲームソフトの、メーカーごとの市場占有率を把握する。そして、数 あるゲームメーカーの中から任天堂に焦点を当てることにした理由を説明する。 ①国内メーカー 国内メーカー別 メーカー別ゲーム機販売台数 ゲーム機販売台数 以下の図1は、2010(平成 22)年の、国内のメーカー別ゲーム機の販売台数を円グラ フにしたものである。 (図1)国内メーカー別ゲーム機販売台数 6
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