6 健康増進計画 (PDFファイル 832KB)

熱海市健康増進計画
6 健康増進計画 (領域別計画)
(1)
健康管理
【 基本的な考え方 】
健康はひとりひとりの意識から
【 基本的な目標 】
① 生活習慣病の予防
② 疾病の早期発見・早期治療
[ 現状・課題 ]
生活習慣病の予防
健康管理のためには、乳幼児期から高齢期までの健診や相談事業をはじめとして、健康に関する意識付けや行動
変容に向けた取り組みが大切です。すべてのライフステージにおいて共通することとして、「適切な食生活や実践を身
につけること」、「適度な運動習慣の習得」など、生活習慣の改善につながる働きかけが重要となります。特に40歳代
以降は、メタボリックシンドローム予防(内臓脂肪症候群予防)や、がん等生活習慣病の早期発見を目的とした、特定
健康診査・がん検診等を受けることが重要です。健診の受診者数は伸び悩んでおり、特に働き盛りの世代では低い傾
向にあります。健診の受診勧奨・周知の取り組みや関係機関との連携を強化し、受診率の向上に努めます。健康づく
りにはひとりひとりの意識が重要です、生活習慣病の予防をはじめとした、行動変容につながる知識の普及を目指しま
す。
図 30
平成 22 年度 特定健診 年代別受診率
100
90
80
70
60
50
男性の受診率(%)
女性の受診率(%)
40
30
20
10
0
40∼49歳
50∼59歳
60∼69歳
70∼74歳
資料:熱海市健康と子育て支援課調べ
40 歳以上を対象にメタボリックシンドローム予防を目的とした特定健康診査が平成 20 年から開始されました。本市
の国民健康保険において特定健診の受診率の年度推移は横ばいである。また、上記グラフは平成 22 年度の特定
健康診査年代別受診率を示したものであるが、どの年代も女性の方が受診率が高い。また男女ともに 40 歳代の受
診率が最も低い状況である。40 歳代・50 歳代の男性は健診結果からもメタボリックシンドロームの該当率が高いため、
特定健診・特定保健指導の受診、参加率を高める工夫が必要です。
- 26 -
図 31
平成 21 年度 特定健康診査 未受診者アンケート
1
特に理由はない
2
持病があり定期的に通院して検査を受けている
20
3
忙しくて時間がとれないから
15
4
自分は健康であると思っており必要ないと思うから
5
健康診査にお金がかかるから
6
健康診査を受けて病気が見つかるのが怖いから
7
何かと指摘されるのが嫌だから
8
その他
9
無回答
特定健診を受けない理由
%
25
10
5
0
1
2
3
4
5
% 22.6 20.9 18.7 9.5 7.1
6
7
8
9
6.8
3
9.5
6.8
項目
資料:熱海市健康と子育て支援課調べ
平成 21 年度の特定健康診査未受診者に対して、実態調査を行い、未受診の原因を把握した結果が図 31 です。
1「特に理由がない」という回答が 22.6%と最も高い回答となっています。
特定健康診査への理解や関心を持たない理由として、4「今は健康だから」などの主観的な健康感と 3「忙しくて余
裕がない」などのライフスタイルの理由が挙げられました。
図 32
平成 22 年度 各種がん検診 年代別受診率
平成22年度 がん検診年代別受診率
胸部検診
胃がん検診
大腸がん検診
40.0
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
40歳代
50歳代
60歳代
70歳代
80歳以上
年代
平成22年度 女性特有がん検診年代別受診率
%
乳がん検診
子宮がん検診
上
以
0歳
年代
8
7
0歳
代
代
0歳
6
5
0歳
代
代
0歳
4
0歳
3
0歳
代
代
40
35
30
25
20
15
10
5
0
2
%
資料:熱海市健康と子育て支援課調べ
- 27 -
図 32 で、平成 22 年度、各種がん検診の年代別受診率をみると、明らかに 40 歳・50 歳代の働き盛りの世代での
受診者が少ないことがわかります。市で実施しているがん検診受診率年次推移は過去 5 年間横ばいです。
感染症予防
感染症の発生・拡大を防止するためには、普段から予防に対する正しい知識の普及や、予防接種の体制を整える
とともに、蔓延に備え家庭・職場・地域において対策がとられるように情報提供することが重要です。
予防接種はここ数年、公費対象ワクチンの拡大などがなされています。今後も接種率の向上に向けて更なる取り
組みが必要になります。
結核感染者の数は高齢者の占める割合が高く、検診などでの早期発見が少なく、症状が現れて初めて受診・発見
されることが多く、検診受診を含めた知識の啓発が重要です。
新登録患者は減少傾向ではあるが、そのほぼ半数を 70 歳代以降の高齢者が占めているのが現状です。
図 33
0%
10%
20%
熱海保健所管内 結核新規登録者の年齢構成
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
H1 8
H1 9
H2 0
H2 1
H2 2
H2 3
∼2 0 歳
2 0 歳代
3 0 歳代
4 0 歳代
5 0 歳代
6 0 歳代
7 0 歳∼
資料:静岡県熱海健康福祉センター調べ
図 34
結核患者罹患率の経年変化
罹患率〈人口10万対)
県
熱海市
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
15年
16年
17年
18年 19年
年数(年)
20年
21年
22年
資料:静岡県熱海健康福祉センター調べ
- 28 -
こどもの予防接種は予防接種法で定められた定期予防接種と、任意接種がある。定期予防接種は 80%∼90%
で推移しているが、任意接種も含めこどもが予防接種で防げる病気にかからないように、接種率を高めるよう個別の
周知に努める必要があります。
表9
BCG接種率表 (年度別 20∼23 年)
年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
対象者(人)
217
172
194
176
接種者(人)
191
182
168
155
接種率(%)
88.0%
105.8%
86.6%
88.1%
資料:熱海市健康と子育て支援課調べ
高齢者のインフルエンザ予防接種は二類の定期予防接種である。
抵抗力の弱い高齢者がインフルエンザにかかると重症化し易く、また地域での蔓延を防ぐ為にも接種率を高く保つ
ように啓発が重要です。
表 10
公費助成によるインフルエンザ予防接種実績
年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
対象者(人)
14、661
15,073
15,174
15,371
接種者(人)
6,545
5,661
6,833
6,084
接種率(%)
44.6%
37.6%
45.0%
39.6%
資料:熱海市健康と子育て支援課調べ
- 29 -
[ 施策の方向 ]
市民の方に以下のことをすすめていきます −
◇ 生活習慣病の予防をこころがけた生活をしましょう。
◇ 健康に関する情報に関心を持ち、誤った情報に惑わされないようにしましょう。
◇ 各種健診を積極的に受診し、健康管理に努めましょう。
◇ 健診で見つかった異常値は放置せず、また体に症状があるときも早期に受診し適切な医療を受けましょ
う。
市民の方の健康づくりを支援するため、以下のことに取り組みます −
基本的な目標
内容
担当課
地域や関係機関等との連携を図り、健康課題を明確化しま
す。
・
健康づくりに関する情報を各種保健事業や市ホームペー
ジ、広報あたみなどで提供し、正しい知識の普及や意識
の啓発を図ります。
・
健康づくり団体との連携を図り、地域における健康づくりを
推進します。
疾病を早期発見する体制づくり
・
各種健康診査の必要性や制度の周知に努め、受診率の
向上を図ります。
・
健康診査を受けやすい体制づくりに努めます(人間ドック
等)。
<40∼59 歳>
・
胃がん検診・大腸がん検診・特定健診を受けやすくするた
め人間ドックに対する補助制度の導入を検討していきま
す。
生活習慣病の予防及び疾病
・
の早期発見・早期治療
・
職場への検診の受けやすい環境・体制づくりの啓発をして
健 康 づくり課
いきます。
市 民 生 活 課
健康づくり推進委員連絡会など健康づくり団体による広
報活動の充実していきます。
<60 歳以上>
・
健診を受けることの重要性について啓発を充実します。
<女性特有のがん検診(乳がん・子宮頸がん)>
・
実施医療機関が少なく受診率が低迷しているため、検診
車等による検診機会の拡大を検討していきます。
・
子宮頸がん予防は中学1年生に予防ワクチンの接種推
奨を行います。ワクチンと子宮頸がん検診の啓発を充実し
ていきます。
メタボリックシンドロームや生活習慣病の該当者の減少
・
メタボリックシンドローム等生活習慣病ハイリスク者に対す
る特定保健指導等、健診後の生活習慣改善のための充
実した保健指導を実施します。
・
要精密検査となった人の確実な受診を促し、必要な方に
は受診の継続の徹底を図ります。
- 30 -
結核などの感染症予防についての知識の普及に努め、流行拡
大の防止を図ります。
・
予防接種の体制整備に努め、接種率の向上に努めま
健 康 づくり課
す。
感染症予防
・
危 機 管 理 課
胸部検診の受診率の向上を図ります。
新型インフルエンザ等新しい感染症に対しては、発生段階より
関係機関と連携し行動計画などを策定します。
[ 目標値 ]
項目
現状値
3,109 人
1
特定健康診査の受診者数(率)
28.3%
(平成 23 年度)
2
3
メタボリックシンドローム該当者の率
メタボリックシンドローム予備群の率
特定保健指導の実施率
(平成 34 年度)
(60%)
男性 19.73%
女性
女性
8.6%
6.45%
(平成 23 年度)
(23 年から 25%減少)
男性 15.3%
男性 11.48%
女性
女性
3.9%
5.6%
(平成 23 年度)
出典
7,658 人
男性 26.3%
(平成 23 年度)
4
目標値
特定健診法定報告
2.9%
(23 年から 25%減少)
60%
< 各種がん検診受診者数・受診率 >
項目
現状値
目標値
(平成 23 年度)
(平成 34 年度)
1
肺がん検診
20.7%
25%
2
胃がん検診
7.9%
20%
3
大腸がん検診
9.1%
20%
4
子宮がん検診
4.9%
20%
5
乳がん検診
7.3%
20%
- 31 -
出典
健康と子育て支援課
(健康づくり課)
事業報告
(2)
身体活動・運動
【 基本的な考え方 】
楽しみながら、自分にあった方法で身体を動かそう
【 基本的な目標 】
① 身体活動量を増やす
② 自分に合った方法を相談できる
③ 身体活動・運動が続けられる環境をつくる
[ 現状・課題 ]
心身の健康的な発達のために、文部科学省では、幼児(3 歳∼6 歳の小学校就学前の子ども)は様々な遊びを中
心に毎日合計 60 分以上体を動かすことを推奨しています。しかし、3 歳児健診のアンケート調査では、60 分以上と
答えている割合は 65.3%となっています。
また、昨年実施した市民アンケート調査の結果、「スポーツや運動を週1回以上行っている人」は 36.5%で、国が示
している目標 65%を下回っています。特に 30 歳代では 20%という結果で、年齢があがるにつれ実施率が上がる傾向
にあるものの、70 歳代でも 44.2%です。
図 35
3 歳児健診時の外遊び時間
不明
12%
60-90
分
9%
52.8
6.1
39.6
60歳代
運動の実施の有無
10.2
44.2
70歳代
49.8
12.4
48.0
週1回以上
32.8
50歳代
40歳代
90120分
18%
37.0
全体
0-30
分
8%
31-60
分
27%
120分
以上
26%
図 36
30歳代
20歳代
0.0
9.0
28.4
58.2
15.7
22.1
68.8
39.6
資料:3 歳児健診時のアンケート
ほとんどない
55.9
9.1
20.0
月1回程度
11.3
40.0
49.1
60.0
80.0
100.0
資料:第 23 回市民アンケート調査(熱海市総務課)
身体のどこかに痛みがあったり生活習慣病などで体調に不具合があると、身体を動かす機会が減る傾向にあります。
平成 24 年度に実施した要介護認定を受けていない 65 歳以上を対象とした基本チェックリストにおいては、週 1 回以
上運動していない人のうち 66.8%の人が腰痛・膝痛を抱えています。さらに平成 23 年度に新たに介護認定を受けた
方の原因を調べてみると、75 歳以上では、筋力低下・骨折・関節疾患が 46.7%を占めています。
幼児期から身体を動かす楽しさを知っていることで、一度運動を中断しても再開する可能性が高いと言われており、
幼児期において 60 分以上身体を動かす幼児の割合を増やす必要があります。また、筋力低下や関節疾患・生活習
慣病の一部は、積極的に運動を行ったり日常生活でストレッチや筋力トレーニングを取り入れることにより改善が望め
ます。そのため、若いときからの運動習慣をつけることや自分の身体状況に応じたストレッチや筋力トレーニングを行え
るようにすることが大切です。
- 32 -
図 37
基本チェックリストでの運動習慣の有無と運動できない理由
運動習慣が無い人の痛みの有無
運動習慣の有無
運動習慣
なし
51.5%
運動習慣
なしのうち
腰痛・膝
痛がない
人
33.2%
運動習慣
あり
48.5%
運動習慣
なしのうち
腰痛・膝
痛がある
人
66.8%
資料:平成 24 年 4 月∼9 月までの基本チェックリスト回答結果(熱海市保険課)
図 38
要介護認定新規申請者の年齢別人数と割合
年齢別新規登録者割合
40∼74歳
146人
0.0%
75歳以上
482人
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
75歳以上 新規申請理由
40∼74歳 新規申請理由
悪性新生物
心疾患
15.8%
2.1%
15.8%
2.7%
4.4%
6.2%
12.0%
認知症
関節疾患
6.8%
8.9%
15.1%
14.4%
19.7%
8.3%
骨折
筋力低下・廃用性
13.1%
21.4%
脳血管疾患
16.4%
4.8%
12.2%
知的精神障害
その他
資料:平成 23 年度要介護認定新規申請者理由より(熱海市保険課)
- 33 -
第 23 回市民アンケート結果において、週 1 回以上運動すると答えた方の運動の種類は、ウォーキングが一番多く
58.5%です。続いて水泳・ダンス・ジョギングランニングとなっています。ウォーキングは、毎日行うと答えている人が
78.9%、週 2 回以上 69.3%となっており、手軽に取り入れられる運動として位置づけられていると考えられます。そのた
め、運動習慣がない方でも行えるような施策を考える必要があります。
また、市民アンケート調査の結果では運動している人の中にも、場所・施設の確保や運動時間の確保に苦慮してい
る人がいます。施設を使いやすくする工夫のほか、エレベーターを使わず階段を利用するなど日常生活動作を工夫し
身体活動量を増やす方法を提案できるようになる必要があります。
表 11
区分
ウォーキング
月1回以上運動すると答えた人の最も行う運動・スポーツの種類
ほとんど
週2回
週1回
月1回
毎日
以上
以上
程度
無回答
71
62
28
24
ジョギング・ランニング
2
6
3
7
サイクリング
1
4
189
18
1
ゴルフ
2
10
22
テニス
1
1
4
卓球
計
1
1
6
1
バトミントン
35
2
1
1
2
水泳
1
10
4
3
18
野球
2
1
1
1
5
サッカー
1
1
バレーボール
1
3
バスケットボール
1
3
5
6
2
16
マリンスポーツ
1
4
8
13
柔道・剣道
1
1
2
グランドゴルフ
2
1
9
ゲートボール
1
1
2
ダンス・エアロビクス
3
6
1
5
4
その他
9
8
11
5
2
35
無回答
13
9
23
7
7
59
103
111
106
88
14
422
合計
資料:第 23 回市民アンケート調査(熱海市総務課)
健康の保持・増進、生活習慣病をはじめとする疾病を予防するために、幼少時期から身体を動かす楽しさを体験し
てもらい、意識的に身体を動かす習慣を身につけて
生涯を通じて自分に合った方法で身体を動かして行けるように支援していきます。
- 34 -
[ 施策の方向 ]
市民の方に以下のことをすすめていきます −
◇ 日常生活の中で意識的にからだを動かしましょう。
◇ 自分にあった体の動かし方をみつけましょう。
◇ スポーツイベントや教室などに積極的に参加しましょう。
市民の方の健康づくりを支援するため、以下のことに取り組みます −
基本的な目標
内容
担当課
市民自らの経験やアイデアを活かし、身体を動かすことの必要性
や利点を広く市民に伝えます
エレベーターなどの使用を控えて階段を利用するなど、日常生活
の動きを工夫するだけで身体活動量を増やす方法を紹介します
家事や勉強や仕事の合間にできるストレッチなど簡単な体操プ
ログラムを紹介します
健 康 づくり課
子供のときから身体を使った遊びの楽しさを体験できるように、遊
身体活動量を増やす
びの教室を開催します
様々な運動やニュースポーツ等を体験できる教室を開催します
身体能力に自信がない人でも参加できる教室を開催します
幅広い年齢層が一緒に参加できるスポーツイベントを開催します
消費カロリー等を表示したウォーキングコースを設置して、積極的
に歩く人を増やします
健 康 づくり課
市 民 生 活 課
身近な場所で指導してくれる人材を育成します
健 康 づくり課
相談窓口を設置し、利用方法等を市民に周知します
身体活動・運動が継続できる
観 光 経 済 課
健 康 づくり課
医師や専門家に相談できる機会を作ります
自分に合った方法が見つかる
ま ち づ く り 課
運動が継続できるよう、一緒に運動をしたり、情報を共有できる
健 康 づくり課
仲間づくりを支援します
市 民 生 活 課
地域(サークル活動やサロン)の活動をサポートします
運動施設を気軽に使える仕組みを作ります
健 康 づくり課
モチベーションが高まるしかけを提案します
[ 目標値 ]
項目
1
2
3
現状値
毎日 60 分以上身体を動かす 3 歳児の割合
スポーツや運動を週 1 回以上行っている人の
割合
65 歳以上の高齢者のうち、痛みがあって運動
習慣がない人の割合
- 35 -
目標値
(平成 29 年度)
備考
65.3%
73%
3 歳児健診アンケート
36.5%
43%
市民アンケート
66.7%
60%
生活機能評価
(3)
こころ
【 基本的な考え方 】
みんなで向き合い一人で悩まない環境を作ろう
【 基本的な目標 】
① メンタルヘルスの知識について普及啓発
② 心の相談窓口の充実
③ 職場・学校・地域で考えるメンタルヘルス対策
[ 現状・課題 ]
こころの健康とは、一言では表せない広い意味がありますが、いきいきと自分らしく生きるための重要な条件であり、
具体的には、自分の感情に気づいて表現できること(情緒的健康)、状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決が
できること(知的健康)、他人や社会と建設的でよい関係を築けること(社会的健康)を意味しています。人生の目的や
意義を見出し、主体的に人生を選択すること(人間的健康)は大切な要素であり、こころの健康は「生活の質」に大きく
影響します。
こころの健康を害す原因には様々ありますが、過重なストレスや心労等が長期に渡ると“こころの病気”として診断
されることもあります。特にうつ病は、年々増加傾向にあり社会問題となっています。現代のストレス社会では成人では
10 人に 1 人が一生に一度は何らかのうつ的症状を経験すると言われているまさに現代病とも言われています。
表 12
図 39
自立支援医療受給者証・手帳 保持者データ (熱海市)
医療費受給
手帳
うつ
神経症
統合
失調症
全体
うつ
統合
神経症
失調症
全体
H20
71
17
151
278
H20
13
2
84
136
H21
87
21
156
305
H21
16
3
83
139
H22
109
30
154
332
H22
17
4
80
138
H23
111
37
164
359
H23
23
4
89
151
H24
115
31
155
353
H24
25
6
88
157
精神障害者保健福祉手帳交付者数
自立支援医療受給者数
180
160
140
120
うつ
神経症
統合失調症
100
80
60
40
20
0
H20
H21
H22
H23
H24
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
うつ
神経症
統合失調症
H20
H21
H22
H23
H24
資料:熱海市社会福祉課
- 36 -
図 40
年代別自立支援医療受給者証・手帳発行者数 (熱海市)
平成23年度年代別手帳発行数の割合(うつ病)
70歳代
10.0%
20歳代
30歳代
1.7%
11.4%
60歳代
33.0%
40歳代
28.9%
50歳代
15.0%
警察庁「平成 22 年中における自殺の概要資料」(図 41)によると、自殺の動機の 5 割は「健康問題」で、その中の
4割は「うつ病」と言われています。多くの方が自殺に至る前に、何かしらの「こころの病気」、特にうつ病にかかっている
と言われています。
熱海市においては、図 42 のとおり、自殺SMR(標準化死亡比)が 137.9 と、静岡県平均となる 100 を越えており、
静岡県内の他市町と比べても自殺による死亡が高いことが言えます。「こころの病気」が原因であるかどうかは不明で
すが、うつ病対策は自殺予防対策に繋がるとして考えることが出きます。
図 41
男女問題
3.0%
学校問題
1.0%
自殺の原因
その他
5.0%
家庭問題
13.0%
勤務問題
8.0%
経済・生活問
題
22.0%
うち、44.4%が
健康問題
48.0%
「うつ病」
資料:「平成 22 年中における自殺の概要資料」(警察庁)
- 37 -
図 42
静岡県内における自殺のSMR
自殺SMR (静岡県下 上位5位と下位5位と熱海市の比較)
300
250
200
150
100
1 位:松崎町
217.4
2 位:下田市
176.2
3 位:伊東市
150.6
4 位:西伊豆町
149.6
5 位:東伊豆町
145.0
6 位:熱海市
137.9
31 位:掛川市
80.4
32 位:森町
78.7
33 位:磐田市
78.6
34 位:袋井市
69.8
35 位:小山町
65.9
50
0
小
町
山
市
井
市
田
町
袋
磐
森
市
川
豆
伊
町
町
豆
伊
市
海
掛
熱
東
西
市
東
町
崎
市
田
伊
下
松
資料:「平成 22 年 静岡県人口動態別冊(市町別死亡統計表)」(静岡県健康福祉部)
その他、うつ病の多くに不眠の症状が見られることから、十分に睡眠を取れているかどうかは、うつ病の早期発見の
手がかりの一つとなります。本市における睡眠の状況を図 43 から見てみると、熱海市においては、睡眠が足りないと
感じている人は市町国保と比べて、大きく差異はありません。しかし、男性の 40 歳代∼50 歳代の働き盛りの年代に睡
眠で休養が十分に取れていると感じている人が少ない傾向が見られています。うつ病の多くに不眠の症状があること
から、睡眠障害をきっかけに、心身の変化について、自身だけでなく、周囲の人も早期に気づくことが重要です。また、
そういった場合には、相談できるような体制を築くことが必要となり、相談窓口や医療機関の周知が重要です。
うつ病は早期に気づき対応することで、心身をよい状態にすることが出来ます。
図 43
睡眠が取れている人の割合
睡眠で休養が十分取れている人割合(男性)
睡眠で休養が十分とれている人の割合(女性)
100.0%
100.0%
90.0%
90.0%
80.0%
80.0%
70.0%
70.0%
60.0%
60.0%
50.0%
50.0%
40.0%
40.0%
30.0%
30.0%
20.0%
20.0%
10.0%
10.0%
.0%
40∼44
歳
45∼49
歳
50∼54
歳
55∼59
歳
60∼64
歳
65∼69
歳
70∼74
歳
合計
熱海市
57.4%
69.0%
60.3%
78.7%
78.9%
86.6%
87.8%
81.2%
市町国保
68.9%
69.7%
70.6%
熱海市
75.3%
80.6%
83.0%
83.6%
.0%
80.1%
40∼44
歳
45∼49
歳
50∼54
歳
55∼59
歳
60∼64
歳
65∼69
歳
70∼74
歳
合計
熱海市
69.2%
64.6%
64.9%
74.9%
79.3%
78.3%
80.7%
77.3%
市町国保
62.8%
63.7%
63.2%
71.2%
74.7%
77.9%
77.1%
74.3%
熱海市
市町国保
市町国保
資料:平成 22 年特定健診 標準的質問票より(静岡県健康総合センター)
以上のことから、本計画においての「こころの健康」とは、うつ病の早期発見と早期治療の対策として捉え、重点的
に取り組みます。
- 38 -
■ うつ病って何
「憂うつな気分」や「気持ちが重い」といった抑うつ状態がほぼ一日中あってそれが長い期間続く、というの
はうつ病の代表的な症状です。
こうした症状が見られた場合、うつ病と診断されることが多いのですが、本当は、これだけで診断がついた
ことにはなりません。
大うつ病と呼ばれるタイプのうつ病には一定の診断基準があり、参考になります。他に性格や環境、ある
いはほかの病気やこれまで服用していた薬が関係していることもあります。
うつ病と診断するめやすとして、次のような症状のうちいくつかが 2 週間以上ずっと続く、というものがありま
す。ひとつひとつの症状は誰もが感じるような気分ですが、それが一日中ほぼ絶え間なく感じられ、長い期
間続くようであれば、もしかしたらうつ病のサインかもしれません。
・
抑うつ気分(憂うつ、気分が重い)
・
何をしても楽しくない、何にも興味がわかない
・
疲れているのに眠れない、一日中ねむい、いつもよりかなり早く目覚める
・
イライラして、何かにせき立てられているようで落ち着かない
・
悪いことをしたように感じて自分を責める、自分には価値がないと感じる
・
思考力が落ちる
・
死にたくなる
うつ病では、自分が感じる気分の変化だけでなく、周囲からみてわかる変化もあります。周りの人が「いつ
もと違う」こんな変化に気づいたら、もしかしたら本人はうつ状態で苦しんでいるのかもしれません。
・
表情が暗い
・
涙もろくなった
・
反応が遅い
・
落ち着かない
・
飲酒量が増える
【 厚生労働省HP 「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス」より抜粋 】
- 39 -
[ 施策の方向 ]
市民の方に以下のことをすすめていきます −
◇ 休養と睡眠は十分とりましょう。
◇ 相談相手をつくりましょう。
◇ 鏡を見て、にっこり“笑顔”を作ってみましょう。
◇ うつ病について理解を深めましょう。
◇ 体調の変化に気づいたら、迷わず専門の相談窓口・医療機関を訪ねましょう。
◇ 日ごろから、気分転換や気晴らしとなるような趣味や生きがいを持ち、ストレス等に対処できるようにしまし
ょう。
市民の方の健康づくりを支援するため、以下のことに取り組みます −
基本的な目標
内容
メンタルヘルスの知識について
講演会やキャンペーンなどで、家族・職場等にうつ病に関する知
普及啓発
識を広めます。
心の相談窓口の充実
担当課
チラシやホームページにおいて、心の相談が出来る「こころの相談
健 康 づくり課
窓口」の周知を行い、気軽に利用しやすい環境を作ります。
社 会 福 祉 課
研修会・勉強会等に参加し、相談窓口の専門職の資質の向
上に取り組みます。
専門の心理職を配置することで、こどもを持つ家庭、幼稚園・保
育園、学校において、こどものこころの発達や悩みを相談しやす
い環境を作ります。
職場・学校・地域で考えるメン
タルヘルス対策
65歳以上が行う「生活機能評価」より、ハイリスク者へのアプロ
ーチの検討を行います。
教 育 委 員 会
健 康 づくり課
長 寿 介 護 課
市・県・医療機関等、関係機関内のスムーズな連絡調整が出
健 康 づくり課
来るように努めます。
社 会 福 祉 課
ゲートキーパーの養成を行い、互いに気づき合える環境づくりを
推進します。
社 会 福 祉 課
[ 目標値 ]
項目
1
現状値
ゲートキーパー養成講座の開催回数
2回
目標値
(平成 29 年度)
増加
備考
開催実績
■ ゲートキーパーとは
ゲートキーパーとは、悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る人のことです。
悩みを抱えた人は、「人に悩みを言えない」「どこに相談に行ったらよいかわからない」「どのように解決したらよいかわ
からない」等の状況に陥ることがあります。周囲が悩みを抱えた人に気づき、支援するために、周囲の人々がゲートキー
パーとして活動することが必要です。
【 出展 : 静岡県作成 「こころの健康 ガイドブック」より 】
- 40 -
(4) たばこ・お酒
【 基本的な考え方 】
きれいな空気と適切な飲酒で健やかな毎日を
【 基本的な目標 】
① 喫煙者を減らす禁煙支援
② 受動喫煙を減らす
③ 多量飲酒が体に及ぼす悪い影響を周知する
④ 未成年者には「吸わせない」「飲ませない」環境づくり
[ 現状・課題 ]
たばこ
本市における喫煙状況を図 44 からみると、市町国保との比較では喫煙率が男女とも高い状況です。
特に、年代別では 40 歳代の喫煙率は高く、女性の全体喫煙率は、市町国保の約 3 倍に相当します。
子育て世代の女性の喫煙率が高いことは、家庭での子どもへの影響も大きいと考えられます。家庭に喫煙者が多く
いる環境では、未成年から吸い始めるきっかけに繋がることが懸念されます。
図 44
習慣的喫煙状況
たばこを習慣的に吸っている人の割合(男性)
たばこを習慣的に吸っている人の割合(女性)
60.0%
60.0%
50.0%
50.0%
40.0%
40.0%
30.0%
30.0%
20.0%
20.0%
10.0%
10.0%
.0%
.0%
40∼44 45∼49
歳
歳
50∼54 55∼59 60∼64 65∼69
歳
歳
歳
歳
70∼74
歳
合計
40∼44 45∼49 50∼54 55∼59 60∼64 65∼69 70∼74
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
合計
熱海市
55.1%
41.0%
36.9%
35.7%
30.5%
23.7%
18.4%
27.8%
熱海市
32.7%
30.8%
15.0%
17.3%
15.1%
9.6%
9.1%
13.1%
市町国保
39.40%
36.20%
33.50%
31.40%
26.30%
19.00%
14.60%
23.10%
市町国保
16.90%
13.10%
10.20%
6.80%
4.60%
2.80%
2.20%
4.80%
熱海市
熱海市
市町国保
市町国保
資料:平成 22 年特定健診 標準的質問票より(静岡県健康総合センター)
また、本市のがんSMR(標準化死亡比)を見ると(図 45)県を 100 として本市は 118.4 と高く、また習慣的喫煙者
該当比と合わせてみると、その関連性を示唆しています。
- 41 -
図 45
悪性新生物(がん)SMRと習慣的喫煙者該当比の関連性
悪性新生物SMR×習慣的喫煙者該当比 (男性)
130.0
熱海市
習慣的喫煙者該当比
120.0
110.0
100.0
90.0
80.0
70.0
60.0
70.0
80.0
90.0
100.0
110.0
120.0
130.0
悪性新生物SMR
資料:平成 22 年特定健診 標準的質問票より(静岡県健康総合センター)
国立がん研究センターの資料を引用すると(図 46)、がんの原因の 3 割は喫煙と関係すると言われており、がんS
MRが高い本市の禁煙対策は急務であると考えられます。
また、一般的には公共施設等で分煙が進んでいますが、本市のように第三次産業に就業している人の割合が多い
ところは小規模な自営業や中小企業であるため、喫煙に関しては制限を設けない限り自由に吸える環境にあります。
また、小規模な飲食店や夜間のアルコールを扱うサービス業などでは、店内を分煙にすることは難しく、受動喫煙対
策も進みにくい状況にあると考えられます。
図 46
がんの原因
その他(運動不
足・感染・環境汚
染・家族暦・飲酒
等)
40%
たばこ
30%
食事
30%
米国 リチャード・ドール博士が 1983 年に発表 資料:独立行政法人国立がんセンター中央病院HPより抜粋
たばこの害を受けやすい、またはたばこの害で健康を多大に害す人(未成年・妊産婦・呼吸器疾患や循環器疾患
等に罹患している人など)は、早急に禁煙や分煙対策に取り組む必要があり、禁煙に取り組めるためのサポート体制
や、たばこの煙から守る環境づくりも合わせて必要です。
- 42 -
図 47
妊婦の喫煙状況 (熱海市)
母子手帳発行時アンケート・妊婦の喫煙者
%
20.0
18.0
16.0
14.0
12.0
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
14.2
10.4
8.7
7.1
H20
H21
H22
H23
資料:母子手帳発行時アンケートより(熱海市健康と子育て支援課)
- 43 -
お酒
本市における飲酒の状況は、毎日飲酒する人の割合は市町国保と比較して男性では差がなく、女性は 2 倍高い
状況にあります。(図 48)特に、女性の飲酒する習慣率が高く市町国保の約 2 倍に相当します。
また、毎日飲む人の中で多量(3 合以上)に飲む人の割合を市町国保と比較すると、働き盛り世代(40 代)では男
女とも多い傾向になります。
長期にわたり大量の飲酒をすると、肝臓でアルコールが代謝される際に中性脂肪が蓄積し、脂肪肝や肝硬変など
の肝臓障害が引き起こされます。さらに、すい炎などのすい臓の障害や糖尿病のほか、消化管、循環器系、脳、末梢
神経障害など、全身の臓器におよび障害が現れます。また、アルコール依存症を引き起こすこともあります。
これらアルコールの害について啓発を行うとともに、適量飲酒の推奨を行うことが必要です
図 48
飲酒状況 (頻度)
お酒を毎日飲む人の割合(男性)
お酒を毎日飲む人の割合(女性)
50.0%
50.0%
45.0%
45.0%
40.0%
40.0%
35.0%
35.0%
30.0%
30.0%
25.0%
25.0%
20.0%
20.0%
15.0%
15.0%
10.0%
10.0%
5.0%
5.0%
.0%
.0%
熱海市
市町国保
40∼44
歳
45∼49
歳
50∼54
歳
55∼59
歳
60∼64
歳
65∼69
歳
70∼74
歳
合計
36.7%
32.8%
38.5%
42.9%
45.7%
43.3%
43.8%
42.9%
34.40%
36.80%
42.80%
47.20%
熱海市
46.80%
44.30%
40.00%
40∼44
歳
43.40%
45∼49
歳
50∼54
歳
55∼59
歳
60∼64
歳
65∼69
歳
70∼74
歳
合計
熱海市
25.0%
16.9%
13.3%
18.5%
13.3%
12.2%
9.3%
13.1%
市町国保
12.30%
13.40%
11.50%
8.60%
6.50%
5.10%
3.60%
6.50%
熱海市
市町国保
市町国保
資料:平成 22 年特定健診 標準的質問票より(静岡県健康総合センター)
図 49
毎日多量(3 合以上)に飲酒する人の割合
毎日多量(3合)に飲酒する人の割合(女性)
毎日多量(3合以上)に飲酒する人の割合(男性)
40.0%
40.0%
35.0%
35.0%
30.0%
30.0%
25.0%
25.0%
20.0%
20.0%
15.0%
15.0%
10.0%
10.0%
5.0%
5.0%
.0%
.0%
40∼44歳45∼49歳50∼54歳55∼59歳60∼64歳65∼69歳70∼74歳合計
40∼44歳
45∼49歳
50∼54歳
55∼59歳
60∼64歳
65∼69歳
70∼74歳
合計
毎日多量に飲酒する人の割合(女性)
毎日多量(3合以上)に飲酒する 人の割合(男性)
熱海市
11.1%
35.0%
12.0%
8.3%
4.9%
6.3%
4.9%
7.3%
熱海市
23.1%
.0%
6.7%
.0%
1.5%
2.3%
4.7%
3.2%
市町国保
15.4%
11.7%
9.6%
7.2%
4.8%
2.9%
1.8%
4.6%
市町国保
9.0%
6.1%
4.1%
3.4%
1.5%
1.0%
1.1%
2.7%
熱海市
熱海市
市町国保
市町国保
資料:平成 22 年特定健診 標準的質問票より(静岡県健康総合センター)
- 44 -
[ 施策の方向 ]
市民の方に以下のことをすすめていきます −
◇ 喫煙者は受動喫煙の健康への影響について知り、喫煙の際にはマナーを守りましょう。
◇ 職場での禁煙・分煙対策に努めましょう。
◇ 妊娠、または病気により禁煙を勧められている人は禁煙に努めましょう。
◇ 適正飲酒、休肝日を設け、節度ある飲酒習慣を心がけましょう。
◇ 未成年には絶対に喫煙・飲酒をさせないようにしましょう。
市民の方の健康づくりを支援するため、以下のことに取り組みます −
基本的な目標
内容
担当課
禁煙をサポートする相談窓口や医療機関の紹介(情報提供)を
します。
喫煙者を減らす禁煙支援
楽しく禁煙に参加できる保健事業の展開を行います。
健 康 づくり課
例 : 「禁煙チャレンジラリー」等、チームで禁煙の取り組み、
楽しく励ましながら禁煙に挑戦できるような事業等
旅館、飲食店などで禁煙・分煙に取り組む環境を支援します。
受動喫煙を減らす
・
ステッカー・ポスター等の掲示物作成についての支援
・
禁煙・分煙に取り組んでいる施設や飲食店、旅館等を周
健 康 づくり課
知 (県事業の推進)
海岸付近の禁煙取り組みの実施
・
海岸(サンビーチ・長浜海岸・大縄海岸)での吸殻調査の
実施
・
花火大会時におけるキャンペーン活動
路上等喫煙防止
推進協議会
(協 働 環 境 課)
市民向けに、「たばこの害」や「多量飲酒」が及ぼす体への影響
を啓発する効果的媒体を使用し周知します。
「たばこ」や「多量のアルコール」
市のホームページ、広報紙、各種保健事業などを利用し、「喫
が体に及ぼす悪い影響を周知
煙や受動喫煙が健康に及ぼす影響」、「喫煙と疾病」、「適量
する
飲酒量」、「休肝日の勧め」等を周知します。
健 康 づくり課
体に優しい飲み方(薄めて飲む、ほかの水分と一緒に飲む、おつ
まみを楽しみながら飲むなど)を啓発します。
「吸い始め」、「飲み始め」のきっかけを抑える大人向けの啓発を
行います。
未成年には「吸わせない」「飲
ませない」環境づくり
例 : 父兄対象の薬学講座の実施など
健 康 づくり課
(未成年者は体への影響が大きいことを周知)
児童や生徒を対象に、小中学校において「薬学講座」や「保健
教 育 委 員 会
だより」等で、飲酒・たばこの害について学習を行います。
各 小 中 学 校
- 45 -
[ 目標値 ]
項目
1
2
3
4
習慣的喫煙者の割合
妊婦で喫煙している人の割合
現状値
目標値
男性 27.8%
男性 20%
女性 13.1%
女性
7.1%
8%
0%
毎日多量(3 合以上)に飲酒する人
男性
7.3%
男性
6.0%
の割合
女性
3.2%
女性
2.5%
分煙・禁煙に取り組んでいる飲食
店・旅館等の把握と推進
出典
(平成 32 年度)
静岡県健康総合センター
「特定健診受診時にお
ける標準的質問票」
母子手帳発行時アンケ
ート
静岡県健康総合センター
「特定健診受診時にお
ける標準的質問票」
県事業:いきいきフォー
3 店舗
増加
ラム実施(H23 年度店
舗数)
- 46 -
(5)
栄養・食生活
【 基本的な考え方 】
よい食生活が健康な体をつくる
【 基本的な目標 】
① よい生活リズムとよい食生活の実行
・
規則正しく三食を食べる (朝食をしっかり食べる、夜食はしない 等)
・
適正な食事量を食べる (自分に見合った食事量を知る、間食の摂り方を考える 等)
② 生活習慣病を予防する食生活をする
[ 現状・課題 ]
食生活は、糖尿病・循環器疾患・がんなどの生活習慣病関連の原因となる肥満の密接な関係があり、また、生活
の質との関連も深いものです。
本市の特定健診時の質問表からも(図 50)、20 歳時の体重から 10kg以上の増加している方の割合は、男性で 4
割、女性で 3 割となり、市町国保との比較においても多い傾向が見られています。
図 50
20 歳時の体重から 10kg以上の増加している割合
20歳時の体重から10kg以上増加している割合(男性)
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
20.0%
10.0%
.0%
市町国保
熱海市
40∼44歳
45.4%
42.9%
45∼49歳
46.7%
54.1%
50∼54歳
46.4%
47.7%
55∼59歳
42.1%
42.3%
60∼64歳
38.3%
45.0%
65∼69歳
33.2%
36.0%
70∼74歳
30.7%
39.6%
合計
36.4%
41.1%
70∼74歳
24.9%
31.5%
合計
24.1%
28.4%
20歳時の体重から10kg以上増加している(女性)
35.0%
30.0%
25.0%
20.0%
15.0%
10.0%
5.0%
.0%
市町国保
熱海市
40∼44歳
23.3%
25.0%
45∼49歳
24.3%
20.0%
50∼54歳
24.7%
23.9%
55∼59歳
23.0%
26.2%
60∼64歳
23.7%
23.9%
65∼69歳
24.3%
32.0%
資料:平成 22 年特定健診 標準的質問票より(静岡県健康総合センター)
- 47 -
特定健診受診率は、平成 24 年の目標である 65%に及ばず、平成 22 年度受診率は 29.3%と低迷しており、受診
率が低いことが課題です。健診の受診を促しメタボリックシンドローム予防に力を入れるとともに、メタボリックシンドロー
ムの要因である肥満は、幼児期からの生活習慣に起因することから、各ライフステージ別に対策を立てる必要があり
ます。
また、図 51 の通り、十代の若い世代における「やせ」や「肥満」の増加を抑えるため、高校生を対象とした健康づくり
の対策を検討しなければなりません。
図 51
体格 : 小中学生・高校生の痩身・肥満の状況
痩身傾向出現率
%
20
15
10
5
0
小学生
中学生
高校生
痩身※1
1.8
1.4
女子
男子
2.9
1.3
4.5
16.4
肥満傾向出現率
%
20
15
10
5
0
小学生
中学生
高校生
肥満※2
7.4
8.7
女子
男子
9.9
9.6
18.8
13.2
資料:小中学生 「平成 23 年度 育つ熱海っ子」 (熱海市学校教育課)
:高校生 「平成 23 年度熱海高校身体測定結果」 (静岡県立熱海高等学校)
痩身とは : 小中学生は肥満度 -20%以下の者
肥満とは : 小中学生は肥満度 20%異常の者
高校生はBMI 18.5 未満の者
高校生はBMI 25 以上の者
本市は、サービス業に従事する方の割合が多いため、個人にあった健康な生活習慣を促し、大人のよい生活習慣
を子どもの育つ環境につなげていくことが必要です。
図 52
就業の状況
熱海市 産業別就業人口割合(15歳以上)(%)
第一次産業 : 農業、林業・狩猟業、
平成17年度 1.7 12.9
84.9
0.4
第一産業
第二産業
第三産業
分類不能
漁業・水産養殖業
第二次産業 : 鉱業、建設業、製造業
第三次産業 : サービス業、卸売・小売業、
運輸・通信業、不動産業、
公務、金融・保険業 等
0%
20%
40%
60%
80%
100%
資料:「平成 22 年国勢調査」(総務省統計局)
- 48 -
幼児期から高校生の食生活に関するアンケートを見ると、年齢が上がるにつれ朝食の欠食率が高くなるのは、生活
リズムの乱れが関わっていることが推測されます。朝食を食べる習慣を身に付けるには生活リズムを整え、早寝早起
きを奨励する必要があります。また、夜食を食べる習慣は、翌朝の食欲に影響すると考えられるため、朝食を欠食す
る一因として考えられます。生活リズムを整えるとともに夜食の習慣を見直す必要があります。
次に、間食やジュース等の糖分を含む飲み物については、間違った食べ方をすると食欲に影響するため、食べ方
に注意する必要があります。嗜好品の食べ方も年齢が高くなるにつれて、自己管理になるため自由に食べている様
子がアンケート結果から推測され、学童期・思春期の間違った食べ方を改善する指導に取り組む必要があると考えら
れます。
図 53
幼児期∼高校生の生活習慣
11時以降に就寝する子の割合(%)
7時以降に起床する子の割合(%)
%
80
75.4
70.3
70
%
90
60
73
72.4
70
52
60
50
40
50
40
30.9
30
20
80.7
80
63.2
30
11
20
10
10
0
小学校
中学校
園・学校がある日
11.1
7
2.1
0
高校生
小学校
中学校
園・学校がある日
園・学校がない日
高校生
園・学校がない日
資料:平成 23 年度実施「健康アンケート」(熱海市健康と子育て支援課)
図 54
幼児期∼高校生の朝食の摂取状況について
朝食の摂取状況
0%
20%
40%
80%
100%
96.2
5歳児
1.1
98.3
小学校
中学校
高校生
60%
1.3 0.4
84.4
11.7
73.1
食べた
2.7
21.1
食べない
3.9
5.8
空欄
資料:平成 23 年度実施「健康アンケート」(熱海市健康と子育て支援課)
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図 55
幼児期∼高校生の夜食の摂取状況について
夜食の摂取状況
0%
20%
40%
60%
80%
47.8
5歳児
小学校
100%
52.2
59.3
中学校
62.1
高校生
63.7
40.3
0.4
35.2
2.7
0.6
35.7
食べる
食べない
空欄
資料:平成 23 年度実施「健康アンケート」(熱海市健康と子育て支援課)
図 56
間食・飲み物について
間食を時間を決めて食べる子の割合
%
園・学校がある日
園・学校がない日
80
70
60
50
間食を量を決めて食べる子の割合
%
68.6
90
85.5
園・学校がある日
園・学校がない日
82
80
70
50
56 58.6
60
48.9
50
40
33.3
30
17.8
20
37.4
40
27.1
30
11.1
10
44.4 47
20
8.6 10.3
10
0
0
5歳児
小学校
中学校
5歳児
高校
小学校
中学校
高校
ジュースを多量(500ml以上)に飲む子の割合(%)
45
39.4
40
35
28.2
30
25
20.8
20
15
10
6.7
5
0
5歳児
小学校
中学校
高校生
資料:平成 23 年度実施「健康アンケート」(熱海市健康と子育て支援課)
- 50 -
また、大人になってからの「よい食習慣に取り組んでいる人の割合」(図 57)では、各項目とも 5∼8 割いますが、より
よい健康のため改善をはかる必要があります。
乳幼児期・学童期・思春期の生活習慣・食習慣は、大人になってからの健康や生活の質に関わります。成長すると
ともに自立していく過程で身に付けなければならない生活習慣や食習慣をきちんと身に付けるためには、家庭や学校
での食育推進が必要となります。
図 57
大人の食習慣について
良い食習慣を取り組んでいる割合(%)
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
82.4
76.7
69.3
64
72.6
50.7
朝
食
を
間
き
ち
ん
と食
べ
る
食
は
あ
ま
よ
く噛
ん
で
りし
な
毎
日
食
べ
る
い
塩
の
野
菜
を
欠
か
さ
分
の
な
い
夜
食
過
剰
摂
取
は
に
注
意
食
べ
な
い
資料:平成 23 年度「市民アンケート」(熱海市総務課)
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[ 施策の方向 ]
市民の方に以下のことをすすめていきます −
◇ 「早寝 早起き 朝ごはん」を合言葉によい生活リズムとよい食生活を送りましょう。
◇ 適正体重の維持のため適正な食事量に心がけましょう。
◇ 栄養のバランスを考え食事をしましょう。
◇ 生活習慣病を予防するため、味付けは薄味、脂肪分を控え、野菜料理を積極的に食べましょう。
◇ 間食の食べすぎに気をつけ、夜食は食べないように努めましょう。
市民の方の健康づくりを支援するため、以下のことに取り組みます −
基本的な目標
内容
担当課
よい生活リズムを促し、よい食生活の実行を推奨します。
・
乳幼児期の子を持つ家庭に、集団健診において食事指
導を行います。
・
幼稚園・保育園において保護者に対しお便り等で伝えま
す。
・
小中学校において、児童、生徒に対して保健だよりや学
校給食の時間等で伝えます。
・
健 康 づくり課
教 育 委 員 会
社 会 福 祉 課
幼 稚 園 ・保 育 園
市のホームページ、広報誌、各種保健事業などを利用し
周知します。
よい生活リズムとよい食生活
幼稚園・保育園及び小中学校において、肥満、痩せの園児・
教 育 委 員 会
児童・生徒に対して適切な生活指導を行います。
幼 稚 園 ・保 育 園
特定健診の受診を促し、自身の健康状態を把握し食生活の
改善ができるように健康相談、教室を開催します。
健 康 づくり課
介護予防事業において、よい生活リズムを促しよい食生活の実
行を推奨します。
・
「不規則な食生活が健康に及ぼす影響」等を周知しま
す。
・
「低栄養」「過剰栄養」等の栄養状態を確認しアドバイス
健 康 づくり課
長 寿 介 護 課
します。
・
栄養バランスのよい食事を勧めます。
健康づくり食生活
「生活習慣病予防料理教室」を開催します。
推 進 協 議 会
(健 康 づ く り 課)
生活習慣病を予防する食生活
をする
特定健診の受診を促し、自身の健康状態を把握し、生活習慣
病を予防するアドバイスを健康相談、教室等で行います。
健 康 づくり課
介護予防事業において、生活習慣病を予防する食生活のポイ
健 康 づくり課
ントを伝えます。
長 寿 介 護 課
市のホームページ、広報紙、各種保健事業などを利用し、生活
習慣病を予防する食生活のポイントを伝えます。
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健 康 づくり課
[ 目標値 ]
項目
現状値
目標値
(平成 32 年度)
出典
朝食を食べる人を増やす ※
1
□ 中学 3 年生
84.4%
95%
□ 高校 2、3 年生
73.1%
85%
□ 成人
82.4%
95%
□ 中学 3 年生
62.1%
75%
□ 高校 2、3 年生
63.7%
75%
□ 幼児(5 歳児)
57.1%
65%
□ 小学 6 年生
52.2%
60%
□ 中学 3 年生
39.4%
50%
□ 高校 2、3 年生
22.8%
35%
69.3%
80%
□ 男性
41.1%
35%
□ 女性
28.4%
25%
夜食を食べる人を減らす ※
2
朝食からバランスよい食事を摂る ※
3
4
野菜料理を食べる人を増やす ※
(成人)
20 歳時の体重から 10kg以上の増
5
加している方を減らす
10 代の痩せの人を減らす
6
□ 中学生女子
2.9%
2.5%
□ 高校生
4.5%
4.0%
※ 「あたみ腹ペコ食育推進計画」目標値に準ずる
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健康アンケート