静岡大会報告集 - 静岡県言語・聴覚・発達障害教育研究会 (静言研)

平成26年度
豊かなことばと心を育む教育をめざして
~ つながりの輪をひろげよう ~
平成26年8月18日(月)
プラサ ヴェルデ(ふじのくに千本松フォーラム)
目次
講演会「ニャーゴのやさしさ・ティラノのおもいやり」 ・・・・・・・・・・・1
第1分科会 「発音に誤りのある子ども」・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
第2分科会 「ことばの育ちがゆっくりな子ども」・・・・・・・・・・・・・・5
第3分科会 「ことばがつまる子ども」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
第4分科会 「きこえに心配がある子ども」・・・・・・・・・・・・・・・・・9
第5分科会 「コミュニケーションの苦手な子ども」・・・・・・・・・・・・11
第6分科会 「つながり」(学校・保護者、大学・研究所等の研究機関との連携)・・13
第7分科会 「つながり」(医療、発達支援センター等の専門機関との連携)・・・・15
アンケートまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
講演
静岡大会報告集
「ニャーゴのやさしさ・ティラノのおもいやり」
講師
絵本作家
宮西 達也 さん
<お知らせ>
紙面の都合上、講演内容については、会場の反応等、詳細まで記述しておりません。
<第1部>
絵本は、好きですか?
○(宮西さんによる絵本「はーい」の読み聞かせがある)
○(宮西さんによる絵本「うんこ」の読み聞かせがある)
○(宮西さんによる絵本「まねしんぼう」の読み聞かせがある)
宮西さんは7年前から三島市に在住。4歳違いの弟と仲が良く、子ども時代の思い
出を参考に作成したのが絵本「まねしんぼう」である。子どもの頃の感情はとても重
要で、幼稚園や小学校の先生の言葉が大きな影響を与える。
○(宮西さんによる絵本「おとうとのおっぱい」の読み聞かせがある)
みんな、
「お母さんのおっぱい」で育てられている。
「お母さんのおっぱい」は大切
なものであることを説明していく。「初乳は大事で素敵なものである。」と教える。
○(宮西さんによる絵本「はらぺこヘビくん」の読み聞かせがある)
宮西さんは子どもの頃に、TV「野生の王国」でにしきへびが小動物を食べている
シーンを観た。それを思い出して書いたのが絵本「はらぺこヘビくん」である。
○(宮西さんによる絵本「まま みてて」の読み聞かせがある)
大人は子どもが赤ちゃんの時は、はいはいしたり立ったりしたりする成長を喜ぶが、
子どもがある程度大きくなると、赤ちゃん時代ほどは成長を見なくなってしまう。子
どもをしっかり見てあげてほしいという思いからこの作品を描いた。
○(宮西さんによる絵本「おかあさん だいすきだよ」の読み聞かせがある)
宮西さんはご自身がお父さんになってから、お父さん絵本(ウルトラマンシリーズ)
をたくさん描いてきた。
今は家で仕事をしているため、お母さん達のすごさが見えてくる。お母さんは、炊
事、洗濯、ゴミ出しからPTA関係のことまで行っている。お母さん達のすごさを伝
えたいと思って、お父さん絵本だけでなく、お母さん絵本を描くようになった。
大人は1日に 200 近い否定的な言葉を、
我が子に使っているという調査結果がある。
肯定的な言葉を増やして欲しいとの思いから、この本を描いた。
1
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
○ゆるキャラの「ゆうすいくん」の紹介
宮西さんは高校を卒業するまで清水町で暮らしていた。生家からは富士山が見える。
野原を駆け回り、川泳ぎや釣りをして育った。
(小学校1年生の途中までは、沼津で生
まれ育った。
)そんな繋がりで清水町のゆるキャラを作った。
○(宮西さんが二人の先生とコラボして、絵本「ふしぎなキャンディーやさん」の読み
聞かせがある)
絵本「ふしぎなキャンディーやさん」は小学校低学年の課題図書になっている。
読み聞かせというのは、それぞれの先生が、個性を発揮して読むことが楽しい。だ
から、子どものことをよく知っている先生方が、感性で読んで欲しい。読み聞かせは、
読む人の感性によって変わり、楽しむことができる。
○(宮西さんによる絵本「にゃーご」の読み聞かせがある)
「にゃーご」は1年生の教科書に掲載されている。教科書に載っていても、オリジ
ナルを是非読んであげて欲しい。教科書は字数やページの制限があるため、オリジナ
ルとは異なる場合がある。絵本作家は、ここに文章、ここに絵‥‥‥と、行間や構成
まで考えて作成しているので、絵本でお話を読んであげて欲しい。
○大人には一生懸命に生きて欲しい
大人が一生懸命でないと子どもは希望を持てなくなる。
先生方は、一生懸命生きている所を見せてあげて欲しい。子どもたちが、絵本作家
やオリンピック選手になりたいとか、○○先生みたいな人になりたいと思えるように
教育して欲しい。
○「にゃーご」の続きの「ちゅーちゅー」が出版された
○絵本が伝えること
絵本は、子どもから大人まで理解できる本である。子どもでも大人でも絵本を読む
ことで感動が得られる。
子どもには、知識だけでなく〝優しさと思いやり〟を持ってほしい。そう思って絵
本を描いている。子どもに〝優しさと思いやり〟を持ってもらうために、大人は感性
豊かな子どもを育てて欲しい。感性を豊かにするには、本物を見せること。ゲームは、
刺激的だが本物ではない。本物を与えて、知識だけでなく心を伴わせて欲しい。
<第2部>
Q
A
質疑応答
読者からの感想で印象的なのは?
病院に入院中の子どもからの手紙で、プテラノドンとティラノサウルスが会えれ
ば良かったという内容のものがあった。ティラノは、生きているのか、死んでい
るのかはみんなで考えて欲しい。作者としては、全てハッピーエンドだと考えて
いる。
2
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
第 1 分科会「発音に誤りのある子ども」
指導助言 聖隷クリストファー大学
司会
愛知県名古屋市立鳴海小学校
藤原 百合
増田 直人
『高学年の子どもの構音指導~自信と意欲を育てるために~』
提案
三重県名張市立桔梗が丘南小学校
杉本 洋子
愛知県立名古屋市立小幡小学校
東 明香里
『カ行の構音獲得を目指す指導』
提案
1
提案
(1) 高学年の子どもの構音指導~自信と意欲を育てるために~
①児童の実態
6 年男児、他校通級、5 年生の 6 月から週 1 回通級。イ列音の時に口が横に歪む。
エ列音の発音が歪む(奥舌が盛り上がる)。s→t dz→d tɕi→ti tsu→tu 本人か
らは、変えていきたいという意欲は感じられず「別に今のままでいい」と言う。
②指導の実際
長期目標「明瞭に発音することができる」「自分の思いや考えを意欲的に言うこ
とができる」
ア 5 年生 6 月~5 年生 3 学期【舌を脱力させ平らにできるようにするために舌の
訓練をする(口作り)】
【体の軸を作り、椅子に背筋を伸ばして座れるようにする
(体作り)
】
【自信と意欲が持てるように本人の好きなことを探る】
イ 5 年生 2 月~6 年生 1 学期
【自信と意欲をつけるために構音を身につけさせる】
ウ 6 年生 2 学期~卒業【在籍校担任との連携を密にすることで、意欲を高める】
【卒業式の決意表明が正しく構音できる】
語彙が少ないため遊びの中でもことばの概念を増やすように心がけた。「ブレ
インジム」
「とけあい動作法」などで体作りをしてから、舌のトレーニング、発
音練習をした。単調になりがちな発音練習では、ジェンガなどのゲームをしなが
ら、楽しく取り組めるよう工夫した。苦手な構音練習の後は必ず大好きなトラン
ポリンを行うようにした。
③成果と課題
「やればできる」という実感を持たせることで、発音練習への意欲も高まってい
った。担任の先生から、わずかな変化も見落とさずほめてもらえたことや、クラス
メイトから、変化を認められるようになったことで、日常生活の中でも正しい発音
で話すことができるようになり、交友関係も広がっていった。本児の指導を通して、
ことばの改善は、口や舌の訓練だけではなく、感覚統合や体幹を鍛える活動が大切
であることがわかった。また、
「ことばの教室」は、本人が学校で生き生きと過ごす
ための支援の場であることを、確認することができた。
(2) カ行の構音獲得を目指す指導
①児童の実態
6 年女児、自校通級。3 年時に転入、4 年生の 2 学期から通級再開。カ・ガ行がタ・
ダ行に置換している。
(
「キ」
「ケ」は、近い音を出すことができる。)
②指導の実際
ア Ⅰ期(H24.9 月~H24.11 月)舌の動きや基本的な構音を身につけるために、
3
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
舌の体操、ラムネ菓子やチョコレート菓子を使った舌を動かす練習やうがいに取
り組んだ。舌にどう力を入れていいのかわからない様子が見られ、ラムネ菓子を
口の中で転がすことができなかった。
イ Ⅱ期(H24.12 月~H25.7 月)カ行音の構音習得のために、口の体操、がらが
らうがい、キャンディで舌先を押さえてのカ行音の練習や、自分の声を録音して
聞き分ける練習に取り組んだ。舌先にキャンディを当てるだけで、構音できるよ
うになり、ラムネ菓子を舌の上にのせたまま構音できるようになった。また、自
分の発音を正しく聞き分けることができるようになった。
ウ Ⅲ期(H25.9 月~現在)カ行音の定着のために、苦手音のつく単語(語頭・語
中・語尾)や文を音読することに取り組んだ。文章中の苦手音を赤で印をつける
ことで、意識づけを図った。苦手音を含む俳句の暗唱をした。暗唱になると正し
く構音できていないことが多いが、リズムや句の内容を楽しみながら取り組むこ
とができている。
③成果と課題
チョコレート菓子を使っての舌の訓練は効果的だった。構音指導では、カ行音だ
けでなく、ガ行音も正しく構音できるようになったが、音読や日常会話では、詰ま
ったような言い方が抜けず、今後も定着を目指して指導を継続していきたい。構音
指導を通して、本児が自信を持てるようになり、ことばの教室以外でも積極性が見
られるようになった。
2 質疑応答・意見交換
(1) ブレインジム、とけあい動作法、うがい、ストローブローイングについて、実際に
どのような指導であるかを説明してもらった。
(2) 無意味音節の練習は、正しく構音できていない音を、新しい音として練習するのに
有効であるという報告があった。
(3) 低年齢の子への指導では、その子の好きなことや得意なことを利用して遊びの中で
意欲的に取り組み、自信を持たせることが大事である。
3 助言
・発音に問題のある子どもさんの全体像をとらえ、体作りから取り組まれたのは良かっ
た。
・音声学の知識は、構音指導(構音の誤りを分析)にとても大切である。学んでほしい。
・呼吸は発話のエネルギー源になるので、発話に関連した吹く遊びを取り入れることも
有効である。呼気が見える工夫をすることで、意識が高まる。
・うがいのやり方については、舌と軟口蓋の部分で行ううがいが、カ・ガ行音を作るた
めに有効である。
・子どもの口腔機能を知るために、食事をしているときに、舌がどう動いているか、口
を閉じているか、ものをためることができているか、噛んでいるか、などの様子を観
察することが大切である。
・般化には、自分の出した音をフィードバックさせることが大事である。録音したもの
を聞かせ、自分の発音に気づくことができるようにするという練習が有効である。
・子どもが「できた」
「ほめてもらえた」という達成感を持ち、自信に結びつく訓練が大
切である。そのために、子どもが興味を持っていることや、ニーズに合わせた教材を
使うことが望ましい。
・子どもにとって、学校は学習・生活の場であり、社会である。
「学校でできることを学
校という場で増やしていく」それがことばの教室の役割である。学校、病院、ことば
の教室と連携をとれるとよい。
4
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
第2分科会「ことばの育ちがゆっくりな子ども」
指導助言 常葉リハビリテーション病院
司
会 岐阜県瑞浪市子ども発達支援センターぽけっと
石黒 雄次
近藤久美子
『自分の思いを表現し、楽しくコミュニケーションができるために
~言葉は獲得してきているが、自分の気持ちや思いを伝えるのが苦手で
つい暴言になってしまうA児が他者と楽しくコミュニケーションをとるためには~』
提案 岐阜県岐阜市子ども・若者総合支援センター 加納幼児支援教室 足立 潤子
『正確で流暢な読みをめざして』
提案
三重県桑名市立修徳小学校
1
言語通級指導教室
川﨑 郁子
提案
(1) 自分の思いを表現し、楽しくコミュニケーションができるために
①今年度立ち上げられた施設である「岐阜市子ども・若者総合支援センター」(福
祉と教育一体化した支援)と「加納幼児支援教室」について説明された。
②A児の支援は、母親に足を向けてもらうことの第一歩から始まり、人と楽しくコ
ミュニケーションできる経験を積む支援をしてきた。好きなことに本児の思いで
じっくり取り組める、話を聞いたり自分の思いを話したりできる場として、認め
てもらう成功体験を積む。本児らしさや良さを発揮し、人と安心してかかわって
いくことで、人に伝えたいと思う気持ちや言葉を育むことを大切にしている。昨
年末から、個の場面を保障したペア指導へ。自分の思いを受けとめてもらえる経
験を積み、他児とも少しずつ穏やかにかかわれるようになってきているが、まだ
課題はある。A児の思いを十分に受けとめながら、A児自身がもっと伝えたい遊
びたいという思いをもち、コミュニケーションを豊かにする言葉を育むための支
援を考えていきたい。通うことに抵抗があった母親との信頼関係もできた。今回
の情報の提供を許可してくださるほどA君の状態を受けとめられるようになっ
た。
(2) 正確で流暢な読みをめざして
構音指導と並行し、平仮名・片仮名の書字と読みの指導を行ってきた。文章が流
暢に読めることが、読解や自信につながると考え、流暢な読みをめざし支援してき
た。各種の検査結果からみられた本児のもつ弱さに対するアプローチをしていった。
ビジョントレーニング、聴覚法、ブレインジムのエクササイズなども取り入れた。
構音は改善され、構音指導を終了したが保護者から「読むこと」について相談を受
け、ことばをまとまりとしてとらえて読めるように支援してきた。読字トレーニン
グや MIM などのワークを繰り返す、教科書を拡大コピーしてスラッシュを入れ予
習して読むなどの練習を重ねることにより単語をまとまりとして読めるようにな
ってきた。そのことが自信にもつながり、音読では、自分から手を挙げることがで
きるようになるなど、少しずつ読むことに対する苦手意識に変化がみられた。今は、
画数の多い漢字が覚えにくい、漢字・片仮名・平仮名の読みの混同があるなどの問
題が出てきた。今後必要な支援を考えていきたい。
2 質疑応答・意見交換
(1) 提案1:提案者から…事例は幼児。あそび主体で、その子の背景、人との関係など
を全体的支援。在籍園とノートや訪問で連携をとっている。在籍園の先生とは役割が
違ってよいと思う。が、個別で出せていることが在籍園で少しでも出せていければよ
いと思う。集団での姿、個での姿は、情報交換や参観により担当と担任で共有できて
5
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
いる。
(2) 提案2:提案者から…事例は学齢児。実態把握をしっかりし、その子の不器用さの
部分にアプローチしていく。集団でできないことを通級教室でやっている。検査ばか
りで子どもがイヤにならないよう、少しずつすすめてきた。検査を通して明らかにな
ったことがある。ブレインジムのエクササイズは、正中線を中心に手足を左右に動か
すことで左脳右脳を活性化させる・呼吸により心を落ち着かせる・集中力を高めるな
どの効果があるようなので、身体へのアプローチとして取り入れている。
(3) 意見:提案1は、得意な部分を引っ張り上げていく全体的な支援。提案2は、苦手
なところにアプローチしているが、今後たぶんこの子が得意な情報入力が必要になっ
てくると思う。得意なところを伸ばす、自信をもたせることが大切かなと思う。
(提案2提案者から)自信がなかった子が手を挙げるようになった。なわとびがで
きなくても頑張ってできるようになった。頑張ってできるようになることで自信がも
てるようになったと思う。今後も視覚的弱さを補いながら得意な聴覚を生かせていけ
たらと思う。
3 助言
(1) 提案1は、ことばの発達の問題という対人関係に問題があるタイプ。提案2は、脳
での視覚情報の処理能力の問題から文字学習で躓いている。将来的には得意な所を活
かしてほしい。聴覚的な能力をどう発揮させるか。機能的構音障害は、知的発達の問
題をも含めて考えていくこと。構音に直接働きかける時は、一定レベルの理解力が必
要である。
(2) <ことばの能力へのアプローチにあたって> ~基本的に気をつけたいこと~
①初回評価
ア 生育歴:家族構成・受診歴・相談歴も含めた生育の様子
イ 初回評価の様子・能力:運動能力、知的能力、ことばの能力と正常域との差。
各能力(運動能力・知的脳力・ことばの能力)間の差。各能力内の下位項目間の
差。対人関係。
ウ ことばの能力:理解(事物・事態・音声・単語・語連鎖…)と表出。理解と表
出の差。
エ 対人関係:外界への興味、人への興味、アイコンタクト、人との接し方(一方
的・待機…)
、接する相手(母・家族・先生・友だち…)、接することのできる人
数
以上の点等から評価を行いことばの発達や対人関係等のどこに働きかけるか?
②働きかける側面
ア ことばの理解(レベル・幅の広がり)
、ことばの表出(模倣・表出意欲・レベル・
幅の広がり)
、対人関係(1対1・1対多・対大人・対同年齢・対異年齢)等
③再評価・考察
ア もう一度評価を行い変化の理由を考える。そして次の働きへ
イ 働きかける前後の変化:それが学習(幅の広がり)なのか?・能力自体のレベ
ル変化なのか?上への変化とは限らない。こういった作業の繰り返しである。
④ことばの発達に関する要素
対人関係 ことばの理解力 ことばの表出力 運動能力 知的能力 等が各々絡
み合っている。働きかけながら評価をしている時もある。
教育と医療、畑は違うが、児の成長を願い、社会適応を願い、共に成長していき
たいと願い、見守りたい、寄り添っていきたい…という思いは同じではないだろう
か?児の一番の理解者でありたい。代弁者でありたいと思っている。
6
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
第3分科会「ことばがつまる子ども」
指導助言 日本吃音臨床研究会
伊藤 伸二
司
会 静岡県掛川市立大坂小学校 川隅 康成
『「どもってなければ立候補したかった。」
提案
愛知県刈谷市立小高原小学校 杉田
『「吃音とともに生きる」ための取り組み
提案
~Aさんに必要な支援を模索して~』
かおり
~幼児から学齢へバトンをつないで~』
静岡県掛川市立西郷小学校
田中 美哉子
静岡県掛川幼児ことばの教室 松浦
陽子
1
提案
(1) 「どもってなければ立候補したかった。」~Aさんに必要な支援を模索して~
①Aとの出会い 吃音について気づかないふりをしていたが、母親からの連絡帳をき
っかけに話を切り出すと、自分のことばのことを話し始めた。
②指導方針 自分の学級でも自分の力を発揮できそうだと自信を持たせること。こと
ばの問題だけで劣等感を持つことなく、
生活していくことができるようにすること。
③活動の様子
ア 4年生の頃 いつも入室するなり「〇〇やろうよ」と活動を提案。下級生のた
めに「ことばすごろく」を作った。ことばの訓練をすごろくの中に組み込んだ。
イ 悩みがなくなったかのような5年生の頃 教室での発言が増え、苦手だった「キ」
「チ」の発音も改善した。ことばの教室を卒業した。
ウ 6年生になって深くなる悩み 学校では元気だったが、どもりがひどくなって
毎晩泣いていたので、ふれあいキャンプへ参加した。
「吃音フォーラム」のチラシ
配布への母からの返事でAがいろいろできないことを吃音のせいにしていること
を知った。卒業式直前に吃音を理由に欠席したので、電話で来室をすすめ、悩み
を聞いたときには卒業生のことばへの不安を2人で言うことで解決していた。
④考察 外には見せない辛さを抱えるケースがある。
「楽にどもる」ために、ことばの
教室で何をしたらよいのか。
(2) 「吃音とともに生きる」ための取り組み ~幼児から学齢へバトンをつないで~
①指導方針と指導の流れ
ア 幼児ことばの教室 一緒に遊ぶことで「楽しかった」「できた」を実感させた。
保護者の気持ちに寄り添った。パンフレットを作成、配付し、園とも共通理解を
図った。
イ 学齢ことばの教室 「なぜことばの教室に通うのか」を問いかけ、吃音につい
て知る「吃音タイム」を設定した。みんなの前で話すスピーチタイムもグループ
活動で行った。
②児童の表れと指導について
ア 幼児の指導 Aさん:連発、難発。ネガティブな発言。自分の思いを主張でき
るようになった。Bさん:自発語が少なかった。主役に立候補した発表会前は随
伴症状もあり苦しそうだったが、発表会後は落ち着いた。
イ 学齢での指導 Aさん:
「あああー」となる話し方には気づいていた。吃音キャ
ラクター、お悩み相談、職業について、吃音カルタ、吃音の波の学習で「別にな
7
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
おんなくていい」と言えた。Bさん:
「もう勉強しているからわかってる」とよい
意味であきらめがついていた。離任式で代表のことばを務めた。
③成果と課題
ア 成果 幼児段階では、子どもも親も全面的に受け入れ、自信を持たせた。それ
を受け、学齢段階では直接吃音を話題にしていけた。
イ 今後の課題 幼児段階で吃音にどれだけ踏み込むのか。自分を語り出した学齢
段階でどう関わっていくか。
ウ 吃音指導を通して思うこと 吃音を避けない。吃音について直接話をする場を
設ける。本音で寄り添う。この大切さと難しさを感じる。
2 質疑応答・意見交換
Q 通級の頻度と指導形態は?
A 週1回の個別指導が基本。個人指導に加えて3,4人のグループ指導も取り入れて
いる。
Q どの段階でどのように吃音の指導に入ったらよいのか?
A 幼児でもことばの教室に相談に来た時点で本人は話しにくいと意識している。吃音
をオープンにし、話題にした方がよい。タイミングは子どもが教えてくれる。正し
い知識を教えていく必要がある。
「吃音」という言葉に抵抗のある親もいるが、吃音
と向きあうように仕向けるのも担当のすべき支援。
Q 在籍校の担任とどう関わったらよいのか?
A 「がんばれば治る」と未だに思っている担任もいる。担任はよかれと思って待って
いたらその子は待たせることが苦痛だったという事例もある。どうして欲しいのか
を一緒に語り合える関係を築きたい。担任は吃音については無知なので、ナラティ
ブ・アプローチの姿勢で担任と保護者をつなぐ役割を担当は担う。
A 吃音の指導はどの段階で終了できるのか?
Q 終了をすすめても通級を終了するのは不安だと言う子もいた。ことばよりも発達障
害の方が気になって終了した子もいた。吃音について周囲に説明できるようになれ
ばからかわれることがあっても、自分の力で対処できていく。
3 助言
・学童期の吃音については言語聴覚士よりも、ことばの教室の教員が教育した方がよい。
吃音は言語訓練で改善するものではない。子どもの幸せのために何が大事かを考えるこ
とが教育。劣等コンプレックスを抱かないように予防教育もできる。
・幼児期の吃音の指導は、歌うことを多く取り入れて欲しい。声が出る喜び、表現する
楽しさ、体を使って歌うこと、それらが日本語の発音・発声の基礎になる。
・吃音が原因で自殺した北海道の出来事は、吃音が問題、その人が問題なのではなく、
問題が問題である。つまり、吃音を否定的に考えると、行動、思考、感情にマイナス
の影響がでる。子どもと一緒に、どう生きるかを語ることが、問題を解決するために、
子どもが主体的に取り組む当事者研究につながっていく。
・
「吃音キャラクター」は吃音を外在化し、自分自身が吃音と向きあうことになる。ども
りと生きる覚悟、どもる覚悟を身につけることが大事。
8
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
第4分科会「きこえに心配のある子ども」
指導助言 静岡県立沼津聴覚特別支援学校
司
会 三重県松阪市立第二小学校
『つたえよう、きこえのこと
柏木 雅章
潮田 千尋
~生き生きと自己表現できる子をめざして~』
提案
岐阜県岐阜市立明郷小学校
稲葉 惠美
『少人数学習のよさを活かして
~『やまびこ』の時間にしていること~』
提案 三重県四日市市立中部西小学校 保井 香織
1 提案
(1) 『つたえよう、きこえのこと』~生き生きと自己表現できる子をめざして~
①必然性のある単元設定
自分たちが困っていることを出し合い、来年度学校のリーダーになる5年生に伝
えたい、知ってほしいという思いから、
「つたえよう、きこえのこと」の単元に取り
組んだことで、子どもたちにとって必然性のある単元となった。
②単元の内容
ア 聞こえにくさについて考える
困っていることを語ることで、自分のきこえを認識し、互いの経験を共有でき
た。
イ 周りの人の状況気持ちに気付く
劇の役割を演じることで相手の状況や気持ちも考えながらよりよい関係を作っ
ていこうと思えるようになった。周りの人が温かく見てくれることを感じられた。
ウ 相手に伝わるように伝え方を工夫する
自分をよく知らない人に伝えるためには、より相手を意識しなければならないた
め、今までに身に付けた話し方や伝え方を生かし、コミュニケーションの方法を工
夫することができた。また、劇を見た5年生と感想交流することで、達成感を味わ
うことができた。
③成果と課題
自分たちの働きかけによって周りの関わり方が変化することを実感し、積極的に
気持ちを表出できるようになった。これからも、聞こえにくさのある自分を認識し
ながら、自己肯定感がもてる活動や個に合った支援を考えていきたい。
(2) 『少人数学習のよさを活かして』~『やまびこ』の時間にしていること~
①和める場作り 異学年で伝え合う「折り紙」の活動
本から折り方を読み取り、具体的に操作しながら、先に習得した子どもが言葉を
使って伝えることができた。同じ難聴の仲間として意識し、上級生・下級生で刺激
し合いながらもお互いを認め、和める関係になっている。
②語彙力・文章を読み取る力を育てる個別学習
国語・算数の個別学習を保障し、読解力を付けるため、文章の形式や出題の仕方、
文章表記の特徴に着目して読み解く習慣を付けるようにした。また、教師と意見を
交わしたり、
学習のポイントが分かる板書や掲示を工夫したりして、基礎的な知識、
語彙を身に付け思考力の基礎固めをした。
③コミュニケーション力を育てる『やまびこ』の時間
体ほぐし、心ほぐしの活動として、発声練習・口の体操・発表練習を行い、ことば
集め、文作り・会話練習につなげている。基本型から発展させていくようにしたと
9
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
ころ、i メッセージだけで終わらず、相手とのやりとりができるようになってきた。
これからも『やまびこ』の時間に表現力、コミュニケーション力を育む取り組みを
し、実生活の場でも抵抗なく会話に入り、表現することの楽しさを味わえるように
なってほしい。
2 質疑応答・意見交換
(1) 質疑応答
Q 聴覚管理について
A 自分で管理。
診療所等へ定期的にかかり、年1回オージオグラムを提出している。
Q 中学生の通級について
A 思春期の悩み、英語等、個に合わせた対応が必要。将来の進路の一つとして関係
をとっておきたい。
(2) 意見交換
①障害認識について
・子ども同士で話し合うことは、互いにわかり合えるのでよい。困ったこと、乗り
越えたこと等を同じ立場の人の声として先輩の話を聞くのがよい。
・教員の校内研修、通常学級の総合の時間に「卒業生の話を聞く会」を行っている。
・聾学校出身者が通常学級で教育実習をしたことで、子どもたちが障害を理解した。
・子ども自身に正しい認識ができないと間違った理解のまま過ぎてしまう。発達段
階に応じて確実に伝わる問いかけをし、自己肯定感を高めることが大切。
②周りの理解について
・発音がよく、会話に困らないように見えると、分かっていると思われがち。特に
学級担任に困り感を分かってもらうことが難しい。
・通常学級の児童が難聴の授業参観をした。きこえの学級通信を全校に配布し、理
解を得るようにしている。
・中度難聴児は障害が軽いと保護者が安心してしまうと社会人になってから困る。
親が分かっていないと周囲の人に説明できない。
3 助言
・自己を客観視する力を付けていきたい。そのためには、自分と似ている仲間がいるこ
とは大切で、難聴学級のよさを生かした発表だった。「私はこう思う。他の人はどう
だろう?」
「自分には、何がどこまでできて、何ができないか。
」ということや、表に
出てこないもの(心情、行間等)を読み、生活の中で言語化する習慣を付けること、
ことばにして発信していく力を付けることが大切。年齢相応の生活言語が、学習言語
を支える。
・発問は大切である。難聴児に限らず、的確かつまとめて答えられる発問がよい。子ど
もからの発信で終われるものがよい。
(「分かったことは何?」会話や日記などで、
「ま
とめると、何の話だった?」
)
・自分が何かをすることで、周りが変わった経験(満足感、達成感)を積み上げること
は、自分にできることを積極的に考え、工夫してやろうとする力となる。職場ではこ
のような力は、発音や聞こえ以上に求められている。
・
「難聴児の課題は、孤立である」とも言われる。そうならないためにも、理解してくれ
る家族の存在は大きい。聴覚特別支援学校とのつながりももっていてほしい。
10
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
第5分科会「コミュニケーションの苦手なこども」
指導助言 特別支援教育ネット
司
会 岐阜県恵那市立大井第二小学校
小栗 正幸
西尾 克彦
『子ども自らに課題を意識させて取り組む』
提案
岐阜県瑞穂市立南小学校
大野
清貴
『自己肯定感を高め、安心して自己表現できる子を目指して』
提案
1
静岡県三島市立中郷小学校
田中久美子
提案
(1) 『子ども自らに課題を意識させて取り組む』
①保護者同席の指導を実践…母親だけでなく、父親・祖父母に同席してもらうことも
ある。家族一緒の面談もある。規則正しい生活ができることを価値づけている。き
ちんとした生活ができて初めて通級指導ができると親に伝える。家族で子どもの課
題を共有する。メリットは学校・家庭が同じ指導方針で取り組めること。保護者と
一緒に指導を行える。例えば、SSTのロールプレイで役割を演じてもらえる。褒
め方を保護者に示す。通級の終わりの時間 5 分間を親子で遊んでもらう。学校に対
し厳しく要求をされる保護者も悩んでいる。
②事例:広汎性発達障害と診断される小1男子…「話を聞くこと」
「自分の思いや体験
したことを順序立てたり整理したりして話すこと」を目指した指導。保護者と電話
やメールで連絡をとることが多い。本児に課題を意識させる。<何のために通級する
のか> まず、本児のすばらしい点を5つ話してから本児の課題を伝える。(WISCⅢの結果をもとに)具体的な手立てとして、ア 話をしっかり聞くために目線を合
わせる。そのためには指導者が鼻を押さえ、子どもの目線を鼻に向けさせる。イ 順
序立てて話すために、「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「どうした」「どうなった」
カードを活用する。ウ 正しく聞き取るために、短文から 4 項目を聞き取る。エ 学
校生活で行動に移すために、予想されるトラブルを題材に、どうするかロールプレ
イを行う。鬼ごっこでタッチされたかわからない時、ブランコで遊んでいて友達が
替わってと言ってきた時、どう考えどう伝えたらよいか。本児はその後学級会で司
会に挑戦し、やり遂げた。今後の課題は、聴覚過敏があるので、通常級の環境で聞
く姿勢をもてるようにする。突発的な出来事への対処ができるようにする。
(2)『自己肯定感を高め、安心して自己表現できる子を目指して』
①事例:小1男子(AD/HD,広汎性発達障害の疑い)…日常のことは言葉で伝え
たり理解したりできるが、自分の気持ちを適切に相手に伝わるように話すことが苦
手。チクチク言葉を言われると「どうせぼくは・・・。」とふてくされる。反面一番
になりたい気持ちが強い。自己肯定感の低さを感じた。そこで、褒められる場面を
増やす取り組みを行った。担任と連絡を取り、配慮してもらう。
ア 温かい言葉かけ イ 人との比較でなく、以前の自分との比較を促す。ウ 特
別扱いにならないようにクラス全体への指導に取り入れ、頑張りカードも本児だけ
でなく他の子にも使ってもらう。
通級していることをクラスで公表しようと提案したが、不安定になったのでやめ
た。
「通級に行っていることを知られたらどうなるんだろう?」通級していることを
公表して周りの理解を求めるのはまだ早い。まずは、自分に自信を持って生活でき
るようになることを優先させる。→自己肯定感を高めようと考えた取り組み。マジ
11
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
ック(簡単な手品)のやり方を教え、自分もできる!という自己有能感を導いた。
マジックの種類:クリップマジック、メビウスの輪など。担任に披露し、驚かれて
成功体験をすることができた。年度末の児童のあらわれ:先生に注意されても、一
回で受け入れることができるようになり、気持ちの切り替えがはやくなった。今後
の課題:さらに自己肯定感を高め、自信をつけられるような取り組みをする。円滑
なコミュニケーションができるようになるには相手の言葉を受け入れて自分の気持
ちも相手に適切に伝わるように表現できることが必要。家庭・学校と連携しながら
取り組みを考えていく。
2 質疑応答・意見交換
Q WISC検査の活用について
A 実施された場合、結果をもらい分析した上で指導にいかしている。言語理解・解釈
の数値の高さを利用した。
(大野先生)
Q 担任・保護者との連携について
A 連絡ファイルを作っている。学期に1回は学校訪問をしている。(大野先生)
保護者や学校とはサポートファイルを作り、保護者と学校と通級とで回すようにし
て連携を図っている。電話連絡も随時行うようにしている。年3回個別指導計画作
成会議があり、母が参加することもある。(田中先生)
指導計画・支援計画を共有していく時代になってきているのかも・・・
Q この通級児はロールプレイができず、何度も繰り返すうちに取り組めるようになっ
たということだが、どのようだったか。
A まず、親と指導者とでやって見せた。少しずつできるようになった。できた時はシ
ールを貼ったりもした。できた時「あなたは本当にすてきな子!」という言葉かけ
をした。
(大野先生)
3 助言
(1) 大野先生のアプローチ
大野先生のアプローチの素晴らしさは、教師と保護者のコミュニケーションを重視
しながら生徒に働き掛けておられるところである。しかも最初は家族同席という濃密
さから開始されている。この段階で生徒には安心感が、保護者には教師への信頼感が
紡ぎ出されていく。その濃密さは、子どもの成長に応じて家族全員の参加から特定の
家族へ、やがては、教師と生徒のみの学級運営へと発展していく。だからこそ、先生
の教室は単なる保護された空間ではなく、生徒が育つ環境になっている。本当は通常
の学級でも試みていただきたい展開だが、実際はなかなか困難かもしれない。とはい
え今回のお話は、教育の原点を描き出せる場所としての通級の姿をご提示いただいた
ものだと思う。
(2) 田中先生のアプローチ
田中先生のアプローチの素晴らしさは、教育の手段と教育の目的を明確に使い分け
ておられるところである。例えばマジックの活用など見事なものだと思う。生徒は担
任にマジックを披露することで鼻高々だ。しかし、田中先生の標的になっているもの
は生徒を鼻高々にすることではない。マジックという道具を手段として用いることで、
「以前の自分との比較」を弁別できる準備性を高め、それを自己肯定感、ひいては自
己表現の創造性を育てる目的に結実させておられる。しかも、大野先生が行っておら
れる、特別な状態から自然な状態への移行にも十分配慮しておられる。この方法論は
通級のみではなく、通常学級でも活用できる(活用すべき)ものだと思う。
(3) 小栗先生より
コミュニケーションが苦手な子どもへのアプローチだからこそ、その支援はコミュ
ニケーションを通して行わなければならない。これが答えである。
12
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
第6分科会「つながり」
(学校・保護者、大学・研究所等の研究機関との連携)
指導助言 国立特別支援教育総合研究所 久保山茂樹
司
会 愛知県小牧市立桃ヶ丘小学校 武藤 博紀
『三重県ことばを育む会 津支部の活動を通して ~つながることで変わる子育て~』
提案 三重県ことばを育む会津支部 平松 佳代
『交流学級でいきいきと学ぶための支援と連携 難聴理解の授業や手話活動を通して』
提案 愛知県大府市立石ヶ瀬小学校 真野 吉子
1 提案
(1) 三重県ことばを育む会 津支部の活動を通して ~つながることで変わる子育て~
言語、聴覚、発達に障害をもつ子が、自分らしく一人の人として楽しく、あたりまえに社会
の中で生きていくこと、よりよい環境で成長していけることを願って始めた活動。
①親同士がつながることのできる活動を
「月1回の保護者交流会」
「講演会・勉強会の実施」
「親子イベントの実施」
②交流活動を通して見えてきたこと
「生活を豊かにすることの大切さ」「家族とのつながり」「地域のなかでの居場所」「友達との
つながり」
会の活動は、保護者が肩を寄せ合うだけに終わるのではなく、活動を通して、学び、気づき、
それぞれが得たことを、それぞれの生活の場に帰り、生かすためのものでありたい。
(2) 交流学級でいきいきと学ぶための支援と連携 難聴理解の授業や手話活動を通して
難聴児が、生き生きと楽しい学校生活を送り、十分な学習ができるためには、周囲の配慮や
理解が必要となる。保護者や聾学校との連携、校内の教師間や児童とのつながりを密にし、啓
蒙活動を通して児童理解や環境調整を深める実践を続けている。
①交流学級での取り組み「子供同士をつなぐ」
「手話をつけて歌おう」
「難聴理解の学習」
②全校への啓蒙活動「難聴理解の授業」
「授業を終えて」
2 質疑応答・意見交換
(1)
Q 親の会について
A ・負担にならないように。でも、集まりたい人が、集まりたい時に、集まることができる
場所があるように。つながっていくことの大切さが親の会の大切な機能。
・同朋が語る会。親の悩みや本音をここで聞くことができた。支援者なので、専門性、専
門性、と言われるが、それだけでは、本当の障害者理解は難しい。
・会員になる人が減っている現実もある。県によっては、親の会が無いところも。
・全国で、親の会による補助事業を活性化していきたい。
・地域の中で生活することを理解されることの大切さ。
(2)
Q 難聴学級(小学校)卒業後の進路について
A 卒業生は、自立への思いをもって聾学校、特別支援学校へ進学した。現在在籍の2名につ
いては通常学級を考えているが、聞こえにくさからくる言葉のイメージの難しさ(こちら
の意図と違う捉え・イメージできる数が少ない)があるので、検討していく。
Q 聾学校との交流について
A 年3回の交流があり、児童だけで 1 日過ごす。サマースクールなども行われており、担任
も参観する。保護者の交流もある。聾学校の先生に学ぶことも多い。
13
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
Q 交流学習での評価(指導要録の形式)について
A 国語・算数について交流クラスに入り、担任が聞こえの支援に入っている。市全体で、知
的学級の児童には、文章表記の通知表、指導要録を用いている。以前在籍した児童は、そ
の形式を使用していたが、今後どうすればよいか、聾学校に相談した。通知表、要録とも
に、通常学級と同じものを使い、文章の欄に自立活動や生活単元学習の評価、気になる事
項について記述している。
Q 難聴理解の授業のうち、手話の使用について
A 人工内耳を使用しているお子さんについて、親御さんとしては、手話を忘れてほしくない
という思いもある。大勢の人がいる場所でも、手話ですぐに理解できるという利点もある。
本人は、
「聞こえる」という世界に入ったので、それほど必要感が無く、担任と、または、
聾学校に行ったときだけ使う程度。本人が「ち」
「し」等が分からなくなった時の確認に
使う程度。→自分は聞こえにくい、という意識が薄れてきてしまう→周りも、聞こえにく
いんだ、ということを忘れて、支援も忘れがちになってしまう
3 助言
(1)
①保護者の皆さんは、話したいと思っている、聞いてほしいと思っている
・先生方は子どものことを聞きたい。でも、保護者は保護者自身のことを、この子と生きて
いた私のことを聞いてほしい。
どの保護者も尊重すべき人として親としての歴史がある。→支援から、協働の対象へ。
②保護者の皆さんは、知りたいと思っている
・より適切な指導法は?つながるためにどのような仕組み作りをしたらよいか?
③保護者の皆さんは、確かめたいと思っている
・能力の向上だけが子どもの世界を拡げることになる?「いま」を大切にする方がよい?
・社会につながりを求めたとき、どのような反応があるだろうか。
本提案は、親の会の今日的意義を再確認できる。親の会には全国、ブロック、県など、さま
ざまなレベルでの活動があるが、
「支部」のレベルとして何が大切かを基本に立ち返って、丁寧
に活動を展開されている。保護者が集まることで、一人一人の保護者がもともと持っている力
を発揮することができ、それがまた、一人一人のために還元されているすばらしい活動だと感
じた。こうした親の会に対し、先生方が何ができるか考えたい。
(2)
①きこえの教室、ことばの教室について、通常の学級の子どもが学ぶということ
・きこえの教室、ことばの教室の担任と通常の学級の担任・子どもの関係
→きこえの教室、ことばの教室の子どもと通常の学級の子どもの関係の深まり広がり
→発信から協働へ
②○○さんへの配慮について、周囲他者が学ぶということ
・こういう配慮がないと○○さんはできない、困る と学ぶのか?
・こういう配慮があると○○さんができる、力が発揮できる と学ぶのか?
③障害理解の授業をめぐって
・目的は何か?○○さんの障害について学ぶ?○○さんについて?○○障害について?
・ニーズのない人、支援が必要ない人はいないということ
インクルーシブ教育システムの構築を目指している現在、通常の学級における障害理解教育
は、大きな意義がある。ただでさえ忙しいきこえの教室の担任が、きこえの教室の役割の幅を
拡げて通常の学級に入り込み、通常の学級の子どもたちに大切なことを伝えようとする姿勢に
学びたい。この取り組みが、やがて、通常の学級の先生との協働となり、通常の先生が主体的
に行うようになった時、支援の必要なお子さんが、学びやすく過ごしやすい学校が生まれると
想像する。
14
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
第 7 分科会「つながり」(医療、発達支援センター等の専門機関との連携)
指導助言 聖隷浜松病院
司
会 磐田市立磐田中部小学校
石野
千鶴
永井 さえ子
『大垣市スマイルブックを活用した各機関との連携について』
提案 岐阜県大垣市社会福祉課発達支援グループ
川瀬 裕美子
『地域の ST とのつながりの中で~効果的な連携について考える~』
提案
静岡県浜松市立双葉小学校
1
白井
有希乃
提案
(1) 大垣市スマイルブックを活用した各機関との連携について
①大垣市スマイルブックの作成(H22)
ア 活用する意義や方法について イ 本人プロフィール ウ 医療記録や発達検
査の結果 エ 個別支援計画や指導計画 などが、主な内容である。本人・保護者
が活用している。
②各機関との連携
ア 医療と発達支援グループ
イ 保健と発達支援グループ
ウ 園と発達支援グループ
エ 小中学校と発達支援グループ
オ 福祉・労働と発達支援グループ
③成果と課題
ア 保護者を交えた支援の引き継ぎの大切さを、保護者、保育園・幼稚園、学校等
とそれぞれの立場で理解してもらえるようになり、新たな場での子どもたちの支
援のスタートがスムーズに移行されるようになってきた。
イ 関係機関との連携が進み、専門的な支援や多面的な支援につなげることができた。
ウ 相談につながるケースが増えてきた。
エ 就学前の事業の定着
オ 療育機関の充実と保育園などとの役割の明確化
カ 小学校から中学校、中学卒業後から成人期へと支援をつなぐ体制づくり
キ スマイルブックの普及・定着
(2) 『地域の ST とのつながりの中で』~効果的な連携について考える~
①通級児への指導を通してのかかわり
ア 医療機関の ST との連携
A さん(口蓋裂・鼻咽腔閉鎖機能が不十分で通鼻音化・病院の言語リハビリに
も通いながら週 1 回通級)が、ST とことばの教室担当者が連絡を取り合う中で、
的確な支援を受けられた。
イ 相談機関の ST との連携
B さん(発音が全体的に不明瞭・不自然な息継ぎ・発音時の息漏れ)について、
ことばの教室担当が聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部のきこえと
ことばの相談室に相談した。対象児・保護者と共に、ことばの教室担当者も一緒
に行き、指導の進め方についてアドバイスをもらい、効果的だった。
②担当者の研修を通してのかかわり
ア ST によるスーパーバイズ
15
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
聖隷クリストファー大学の先生からスーパーバイズを受け、具体的な指導方法、
1 単位時間の流し方、子どもへの声のかけ方、指導の改善点などについて、スキ
ルアップが図れた。
イ 夏期集中講座
聖隷クリストファー大学言語聴覚学科と静言研西部地区の共催という形で、2
日間実施し、担当者の不安度が軽減した。
③成果と課題
・専門家からの刺激を受けることにより、自分たちの指導を振り返り、その後の指
導にいかせた。
・基礎をきちんと学べたことにより、自信をもって指導や保護者対応ができた。
・地域の ST とつながることで生まれる安心感
・担当者の意識の変化
・担当者の後継者問題
・集中講座の運営方法
・地域の ST との効果的な連携についての模索
・西部地区から静岡県全体へ
2 質疑応答・意見交換
(1) 質疑応答
Q 個別の教育指導計画・支援計画との関係は?
A 長いスパンで続けていくのはやはり難しい。今後の課題である。
Q 西部地区から静岡県に広がる見通しは?
A まずは、西部地区から。西部地区は恵まれている。石野先生のような方に入っ
てもらいながら進めていきたい。
(2) 意見交換
・スマイルブックを母子手帳と同じようにどの子にもわけるようにすると、受け取
る側の保護者は、違和感がなくなるのではないか。
・伊東市では、子育て手帳というものがあったが、サポートブックが出たらなくな
ってきた。
・アンケートで、スマイルブックを使うようになって、不登校率が変わるというよ
うなことが出てくると、説得力があるのではないか。
・子ども病院で ST とのかかわりがあった。1・2週間に 1 度会える程度であった。
短いスパンで、親に合わせた課題提示があるとよいと感じた。
・発達でも専門家からアドバイスがもらえるといいなと感じた。
・MIM(ミム)ついての説明
3 助言
・言語聴覚士についての説明。
・聖隷浜松病院で小児の新患は、難聴が34%、言語発達が25%。ことばの遅れは、
2、3歳で出てくる。
・ことばの教室では、ST と同じ言語発達を促す指導を仕事としている。しかし、研
修が不十分、誰かに聞こうにも聞くためのことばをもっていない、子どもにどんな
効果が出ているのかのはっきりはかる手段がないなど、課題も多い。
・ST の現状として、小児は少数。医師の診察を受けるのには紹介状もいる。待ち時
間も長い。
→専門性の向上を担当者にはして欲しい。そのために、勉強できる機会をもつ、本
などで一定以上の知識をもつ、困ったときに相談できる人間関係をつくる、とい
ったことがあげられた。また、石野先生自身も協力を惜しまないということであ
った。
16
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
アンケートまとめ
分科会別アンケート集約人数
分科会
番号
分科会
集約人数(人)
1
発音に誤りのある子ども
2
3
4
5
6
7
ことばの育ちがゆっくりな子ども
ことばがつまる子ども
きこえに心配がある子ども
コミュニケーションの苦手な子ども
つながり(学校・保護者、大学・研究所等の研究機関との連携)
つながり(医療、発達支援センター等の専門機関との連携)
36
計
50
30
12
80
7
25
240
1.開催日について
・よい(138)
・お盆前(8月前半)
(28)
・お盆明けで8月26日より前(2)
・8月末(5)
・月曜日はやめてほしい。
(8(火曜日がいい 1)
)
・もう少し早い時期が良い。
(8)
・できれば、休日の方が良い。
(2)
・もっと早い方がよい。8月10日前後ではどうか。(2)
・お盆は避けたい。
2.講演について
・楽しい・すばらしい・感動した・一生懸命だった講演でした。
(177)
・子どもをよくみとって、一生懸命に先生として仕事をしなければならないと思いまし
た。
(5)
・セールス的なところが気になった。(3)
・ついていけないところも多くあった。
・絵本のよさ、楽しさ、子どもへの接し方を満喫できた。(22)
・お母さんたちにも読んでもらいたいと思った。
・特別支援のヒントが盛りだくさんだった。
・感性を育てていきたい。
・にゃーごのやさしさ、思いやりを今の子どもたちに持ってほしいと思った。
・すごく引き込まれる話だった。
・心が癒やされた。
・大切に育てること、再確認しました。
・読み聞かせはオリジナルで、自分が思うように読めばいいと言われ、早速子どもたち
に読み聞かせたいと思った。
17
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
・宮西先生の絵本をたくさん読んでみたいと思った。
・子どもの心を聞くこと、一生懸命に生きること、優しい気持ち、思いやりの心を持つ
ことを再確認しました。
・絵本の本質に触れることができてうれしかった。
・違った視点から子どもと保護者のことについて聞くことができたと思う。
・先生に負けないように、子どもたちに感動を与えられるような、エネルギーを蓄えて
いきたい。
・子どもに寄り添うことの大切さを強く感じた。
・テンポの良いお話だった。
・読み聞かせのライブ感がとてもよかった。
・絵本のすばらしさを改めて感じたので、子どもたちに絵本を読み聞かせしていきたい。
・心に残ることばがあった。
(人はみんな違うからよい…。一生懸命生きる。プロは大
変。など)
・教育者としての原点を改めて見返す機会となった。
・サインがうれしかった。
・絵本は子どもだけのものではなく、すべての人のためのものですね。(2)
・教育者として真髄に触れたお話でした。
・今まで読んでいた絵本も、違う思いで読めるな~と思った。
・絵本を通して子どもに対すること、自分の生活を考えることができた。
・作家に読んでもらうというのはいいなと思った。
・講演だけでも参加した意味があると思った。
・夢のある物語が会場いっぱいに響き、いつもとは違う講演だった。時間が大変短く感
じた。参考になった。
(2)
・沼津に住んでおり宮西さんのことはよく伺っていたが、お目にかかるのは初めてだっ
た。心の豊かな人間を育てる、感動が感性を育てる、心に留めたいと思う。
・楽しく話を聞かせてもらったが、「子どもをつくる」という表現は少し気になった。
・大変おもしろかったが、言語指導、教育との関連は若干うすかった。
・とても興味深く拝聴した。場に合わせてアレンジして良いという作者の言葉に勇気づ
けられた。役割を分担して劇にすると楽しい、アドリブはコミュニケーションだと思
った。
・元気がわいてくる時間だった。
(3)
・57歳とは思えない若さだった。
・お話が上手だった。テーマをふまえ会場の人に合わせて話ができる素晴らしい方だと
思った。子どもとの対話を大切にしていきたい。
・都合で30分程しか聞けなかったが、ご本人に絵本を読んでいただけるなんて、すて
きなことだと思った。先生の人生が、一冊一冊に表現されていることがわかり、とて
も楽しかった。
・子ども達の身近にある作家の方の話はとても良かった。
・宮西先生のユニークであたたかい人柄が、お話と絵本によく出ていました。とても素
敵な方でした。ありがとうございました。
・ずっしり心にくる講演だった。大切な忘れていることを思い出させてもらった。
・宮西先生の本はよく知らなくて、今回の講演をきいて、読んでみたくなった。
・読み聞かせをことばの教室でも活用したいです。
18
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
3.分科会について
第1分科会
・よかった。
(7)
充実した分科会だった。
発表が身近な内容で良かった。
実践例が聞けたことが良かった。
・進行が上手だった。
(3)
・具体的な支援方法を学ぶことができた。(13)
・すぐに指導にいかせると思った。(7)
・体も鍛えて、構音指導につなげていくと言うことが興味深かった。
・発音に誤りのある子の実践的な練習の方法、効果的な方法を学ぶことができた。
・具体的な支援方法、心構えを学ぶことができた。
・短時間でも様々なことを聞けてよかった。
・2 学期からの準備に生かせる内容だった。
・いつも、どの音から練習したらいいのか迷っていた。自分で思ったやり方や進め方で
いいのか自信がないが、いろいろな方法を聞くことができ、早速やってみようと思っ
た。
・体も鍛えて、構音指導につなげていくと言うことがとても興味深かった。「ブレイン
ジム」
「とけあい動作法」など、勉強してみたいと思った。
・もう少し時間があるとよかった。
・グループ討議を入れてもらえるとよかった。全体の中では、聞きたいことがあっても
なかなか発言しづらかったので。
・時間配分がわかりにくかった。
・専門の先生のお話を聞くことができて良かった。
(6)
第2分科会
・とても参考になった。
(実践・助言)
(38)
・勉強になったが、多くの方が参加できると、もっと充実していくと思う。
・指導中の動画も参考になった。
・子どもの実態把握、子どもの理解、保護者支援がとても大切であると再認識。
・協議方法に工夫がほしかった。
(3)
・少人数の方が話しやすい。
(幼児と学齢に分けるとか)
・パワーポイントが小さくて見えにくかった。
・大会案内にタイトルのみではなく簡単に内容が書かれていると選びやすい。
・全体会の会場の隣で移動しやすかった。
・助言の石黒先生のお話がもっと聞きたかった。
・助言者の資料がほしかった。
第3分科会
・特にない。
・良い。
・ありがとうございました。
(3)
・参加してとてもよかった。
19
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
・初めて吃音の分科会に参加した。いろいろ知ることができてよかった。
・この4月からことばの教室担当になった。吃音の指導におよび腰。もっと前向きに取
り組みたい。
・吃音について、大きな会場での講演は聞いたことはあったが、この分科会で、より具
体的な話が聞けてよかった。
・実体験の話はとても良かった。
・とてもためになった。
・大変勉強になった。
(2)
・参加者からのご意見もたくさん出てとても勉強になった。
・実りのある研修が出来た。
・積極的に意見が出ていて実りのある研修だった。
・内容の濃い分科会だった。
・吃音の分科会に参加。日頃、悩んでいることに道筋(光)が見え、参加してよかった。
・2つの提案、通級としての日々の指導の悩みがまさにこれ!と思える内容でとても参
考になった。
・吃音へのアプローチを、意見交換&解説も含め、深めることのできた時間になった。
・すばらしい内容で、2学期からの実践に向けて、がんばりたい気持ちが強くなりまし
た。
・ことばの教室の取り組みについて参考になりました。
・ことばの教室に携わっていないので難しい内容だったが、これから勉強するよいきっ
かけになった。
・たくさん質問が出たため、自分の抱えている悩みについて考えることが出来てよかっ
た。
・吃音について、どもることへの訓練ではなく、問題が問題なのだという心を育てるこ
との大切さについて、語っていただき、吃音だけでなく、他のことにも通じることだ
と思い、感銘を受けた。
・どもりのことについて、少し、考えの幅が広がった。
・いろんな先生方の話がきけ、よかった。
・実践がとてもわかりやすくまとめられていた。
・これからも、吃音、何よりも子ども自身と向き合っていこうと思った。
・伊藤先生のお話を直接聞けてよかった。
・伊藤先生というとても専門的な方が助言者でいらして、はっきりと教えていただいて
よかった。
・伊藤先生のお話をたくさん伺え、とても参考になった。
・伊藤先生には、本当によい話をしていただき、参考になった。
・伊藤先生の話をもっとききたかった。
(2)
・伊藤先生のファンになった。
・吃音、伊藤先生のお話、とてもよかった。
第4分科会
・両方の実践、発表がすばらしかった。
(4)
・2校とも全校体制で難聴児を理解していこうという取り組みがなされていてすばらし
いと思った。
(2)
・
「きこえ」の指導を担当する教員は少ないので、他県の取り組みや情報が分かるこの
20
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
ような交流、研修の場はとても貴重だと思う。
・難聴児の自己理解、幼児期の支援について、分からなかったことがたくさん聞けた。
・先生方の発言がとても実になるものだった。明日からの指導にすぐに活用できる内容
だった。学校に持ち帰り、職員、子どもたちに返していきたいと思う。
・少ない人数の分科会だったが、話しやすく、いろいろな立場からのご意見を聞かせて
いただき、とても参考になった。(3)
第5分科会
・事例が具体的で良かった。
(多数)
・発表の先生方の具体的な実践報告を聞き、現状の中で、できることから始めていこう
という気持ちになった。
・
“ポジティブ支援”を心がけ、クラスにプラスの言葉、温かい言葉を広げていきたいと
思った。
・いかに自己肯定感をもてるようにするか、声かけやふるまいに気をつけたい。
・課題を意識させて取り組むやり方や親とのつきあい方など参考になった。
(自分の学校
にも)通級があるといいなと思った。
・他地区や他県の取組みを知る機会はそれ程多くないので、自分の指導や教室経営との
違いが色々とわかって新鮮な気持ちになった。自分なりに消化して取り入れていきた
いと思った。
・勝ち負けが今指導している子のテーマだったので、もう一度重要性を再構築して指導
を工夫していきたいと思った。
・小栗先生の話がよかったです。アドバイスも発表者、質問者のやりたいことを的確に
捉えて短時間でズバッと解決、さすが!
・助言の小栗先生のコメントがとても参考になった。「~できるようになる」ではなく、
「~できたような気にさせる」を意識してやっていこうと思った。
第6分科会
・いろいろな立場の方のお話をうかがえたことが何よりだった。特に、親の思いはとて
も参考になった。遠方よりありがとうございました。
・提案者の熱い想いを聞く時間を設定していただいてありがたかった。(2)
・提案者の思いの丈をお話いただき、十分に伝わったように思う。
・支援を見直すきっかけができた。
・持ち帰って役立てたいことがたくさんあった。
第7分科会
・連携について様々な情報を得られた。
(5)
・通級指導教室の言語通級に発達・知的障害のある子を承知で受け入れていると、公然
と話しているのには驚いた。ルール・原則が守られる中で、いかによりよい制度連携
を考えるための研究大会なのではないでしょうか。
・組織としての取り組みなので、自分一人の取り組みとしては、難しい面があった。で
も、一歩ずつでもやっていこうと思った。
・発表は理想的で、うらやましかった。
・言語担当ではないが、専門性の必要を感じた。
21
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
・詳しい資料、パワーポイント、視覚支援が有り、とてもわかりやすかった。
・専門的な言葉が有り、難しかった。
・何処の地域においても同じように悩みを抱えていることがわかった。
・それなりに意義があるとは思うが、考えを言うだけで、そこから何か変わることはな
い。何の意味があったのか、少し疑問を感じた。期待していた内容とは異なっていて
残念だった。言語ではないため、アウェーな感じがした。
・具体的な内容から、課題(つながりの)もうかび、難しさも感じた。
・部屋が狭かった。
(2)
・少人数でのグループワークなど、具体的な話し合いもよいのでは。
・質疑応答と研究協議、特に研究協議には視点(話題・課題)があるとよい。
・事例発表の後の質疑応答、意見交流と休憩後の研究協議の違いがわからなかった。
・質疑応答が充実していた。
(2)
・助言者から、ずばっとことばの教室の問題点をお話いただきすかっとした。幼児や小
1・2年といった早い時期での構音訓練の大切さを改めて考えた。
4.本日の日程について
・よい(昼食時間がゆったりだった。・10 時開会はありがたかった。)(127)
・午後講演会だと、終了がそろうと感じた。遠方より参加する人も少なくない中、分科
会終了にばらつきがでるのもどうかと思った。
・司会の方は大変だろうと思った。
・9 時開館なので仕方が無いが、あと 15 分早いスタートがよい。開会、あいさつなどは
短く、講演時間の確保がもっと欲しい。
・昼の時間が長すぎる。開始時間を 30 分早くし、1 時間縮めていただけるとありがたか
った。ガイドマップを配ってくださっても結局何処にも行けない。(2)
・昼食時、外に出た人はせわしなかった。
・分科会の途中で休憩があって良かった。
講演が先にあったので良かった。
・遠方からの方は大変だったのでは?
・午前に講演会、午後分科会はいいと思う。
・分科会の時間が足りないくらいだった。(2)
5.その他(気が付いたこと)
①会場
・駅に近くすてきな会場だった。
(39)
・会場が寒すぎた。
・屋上庭園も行けた。
・講演会会場の椅子が少し固かった。
・駐車場がもっとわかりやすいとよかった。
・エアコンが効きすぎてしんどかった。
・電車でも車でも来やすい所でよかった。
・静岡は東西に長く、会場も東・中・西部を各大会ごとに順に開催していると聞いたが、
22
第 42 回
東海四県言語・聴覚・発達障害児教育研究大会
静岡大会報告集
三重からの参加だと沼津は少し遠かった。東海四県大会ならせめて静岡以西での開催
にしていただけると助かる。三重でも他県の参加者の利便を考え、北・中部でのみの
開催を心がけている。ぜひ検討を。
②昼食
・食事ができるところがこんなに有ると思わなく、結局食べに行った。
(昼食は用意して
いたが。
)事前に教えてくださるとありがたかった。
・指導会場の中の食事処が、少なかった。
・昼食、お弁当注文してほしかった。
③係の対応
・事前にアンケートをとっていたので、分科会決定の連絡があると思っていたらなかっ
たので不安だった。
・9時半から受付であったが、案内板などがまだなく何処に行っていいかわからず困っ
た。
・スタッフの準備が丁寧だった。
・全体会をもっとコンパクトにやってもよいのでは。
・受付の仕方が工夫されていてよかった。
・分科会の協議の時間がとれるとよかった。協議項目を絞るとよかったかも。
・第5分科会は人数が多かったので、広い部屋か2つの会に分けるとよかったのでは。
・沼津駅、北口の表示がわかりにくく、一度下に降り、戸惑った。前もって「北口は2
階から出られます」と教えて欲しかった。
④その他
・個別支援計画の作成と、社会への啓発に今後の課題がある。
(5 歳児と 15 歳、18 歳の
つなぎをどうするか。
)組織制度の改革につなげる必要があるのでは。プロとしての意
識を保つことは大切だが、現行法の中で、きちんと指導が行われるようにするべきで
ある。
・
「資料代」ではなく、
「参加費」という名称だったので、公的負担してもらえた。
・専門性をアップしないと。
・困ったときに相談できる SV が近くにいてくれることの大切さを感じた。
・宮西先生のサインは嬉しかった。しかし、たくさんの人がおり、先生は大変だと思っ
た。
・他県、他校の様子がわかり勉強になった。
・自分の知識になり、良かった。
・来年度の研究主題は、今年度の成果、課題を出してからでいいのではないでしょうか?
・広く広くもっと多くの方に来て頂きたい。
・保護者として参加させてもらったが、とても興味深く聞かせてもらった。
23