胃・食道ESD(内視鏡粘膜下層剥離術) を受けられる患者様へ 入院当日、このパンフレットを忘れず にご持参してください。 手術前日に内視鏡センターの看護師 が患者様のもとへ術前訪問にお伺い いたします。 わからない事などがあれば、遠慮なくご質問ください。 三豊総合病院 内視鏡センター 平成22.11月改訂 1)ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とは 早期胃癌の治療方法のひとつです。電気メスを使って胃の粘膜 (病変部)を切りはがしていく方法です。ナイフを用いて切り取るため 理論的に切除する組織の大きさに制限がなく、広い病変を一度に 剥離することができます。 2)内視鏡的治療の対象 内視鏡的治療の対象となる胃がんは、ほぼ「粘膜」内にとどまって いると診断された早期胃癌になります。 早期胃がん 日本胃癌学会の治療ガイドラインでは、下記2点が内視鏡的 治療の基要件となっています。 ●病変が一括で取れる部位と大きさであること ●リンパ節転移の可能性がほとんどないこと *具体的には下記の4つの条件を満たすものが対象となっています。 ①粘膜内癌(胃の表層(粘膜内)にがん細胞がとどまって いるもの) ②病変の大きさが2cm以下のもの ③分化型癌(癌細胞の形や並び方が胃の粘膜の構造を残し ているもの) ④潰瘍を併発していないもの 3)ESDの手順 ① マーキング 内視鏡を胃の中に入れ、病変の周 辺に切り取る範囲の目印をつけて いきます。 ② 局注 粘膜下層に薬剤を注入して浮かせ た状態にします。 ③ 切開 マーキングを取り囲むようにナイフで 病変部の周囲の粘膜を切ってゆきます。 ④ 粘膜下層剥離 専用のナイフで病変を少しずつ慎重 にはぎ取っていきます。 ⑤ 切除完了 ナイフを使って最後まで剥離するか、 最後にスネアを使って切り取ること で病変部の切除が完了します。 ⑥ 止血 切り取ったあとの胃の表面に止血 処置を施して終了です。 切り取った病変は回収して病理 検査に出します。必要があれば、 追加治療が行われます。 4)当日の手術準備(病棟では)~流れ ①手術当日の注意 ●手術当日の食事:朝食・昼食・夕食とも絶食です。 ●手術当日の内服薬:決められた薬のみ少量の水でお飲み 下さい。 ●手術開始の時間:一般的にはお昼ごろですが、当日の検査室の 状況で決定いたします。 ●ご家族の方は手術が終わるまで病室でお待ち下さい。 ●手術に要する時間は、病変の大きさなどで決まり、一定では ありません。 ②手術当日の服装について 病院の検査着を着ていただきます。 ●検査着の下 パジャマのズボンを用意して下さい。 ジッパーやスナップなどの金属の ついたものは避けてください。 ●下着 ゆったりめのパンツを履いてきてください。 女性の方はブラジャーやガードルは 外して下さい。 ○その他 手術では、電気メスを使用しますので、必ず貴金属類は取り外して ください。 例えば、指輪・ネックレスなどの装飾品、入れ歯・ 時計・湿布・カイロなど・・・。 *ペースメーカーや骨折をしてプレートが入っている人も お知らせください。 5)手術当日の内視鏡センターでの流れ ①まず前処置室で咽頭麻酔を行います 胃の中をきれいにするため、粘液除去 剤を飲んでいただきます。 のどの麻酔をするため、ゼリーをふくみ ます。 (胃の通常内視鏡検査時と同じ方法 です) ②治療室にご案内します 安全に治療するために、手術中はモニ ターにて全身状態の管理をします。 静脈麻酔を使用し、うとうと眠っている 状態で行います。そのため、鼻からは 酸素吸入を行います。 長時間の同じ体位は床ずれや深部静 脈血栓症の原因になるので当院では 「体圧分散」マットを使用しています。 ③治療中の患者様の状態について 左側臥位(胃内視鏡検査時と同じ)で行 います。 手術中は全身状態をモニター管理する ので、血圧計(足にまかせていただき ます) 酸素飽和濃度モニターを装着 します。 また適切な麻酔状態を維持するため、 当センターではBISモニターというシール を額にはらさせていただきます。 ●一般的には施行医は2名で、担当看護師と内視鏡技師が患者さまの そばについて介助します。 6)手術後の流れ 手術後の合併症予防について ESD手術をした部位は、手術後には潰瘍を形成した状態になります。 そのため、その潰瘍から出血したり、穿孔が起こることがあります。 出血・穿孔が起こると・・ 腹痛・吐血・下血が出現します ●出血・穿孔を予防するためには安静・水分摂取の制限・手術前後 の点滴・飲み薬が重要です。 7)退院後の生活・注意事項について 治療した部分の潰瘍は順調に治癒しています。しかし、完全に治癒する までに2ヶ月程かかります。 次回受診までの退院後2週間は以下のことに注意してください。 ●アルコール禁 ●熱い物は避ける ●刺激の強いものや消化の悪いものは避ける ●激しい運動や,重労働は避ける ●長湯は避ける 次のような症状があるときは、なるべく早く受診しましょう。 ●黒色便(黒い色の便) ●めまい・ふらつき(貧血様の症状) ●急激な腹痛 ●腹部膨満感(急激にお腹の張り感) ●吐き気・嘔吐(吐いたものの内容を確認してください) 退院おめでとうございます。 過労や精神的な緊張は潰瘍治癒を遅らせます。 心身の安静を心がけ、十分な睡眠をとり、 規則正しい生活を送りましょう。 わからない事があれば、 いつでもお聞き下さい。
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