2008年度分

3年生セミナー資料(植田 好道)
2008 年 5 月
1. 使用テキスト: 次がセミナーテキストの候補です.
(1)「整数の分割」アンドリュース・エリクソン著,佐藤 文広訳,数学書房.
(2)「フーリエ解析大全,上・下」ケルナー著,高橋訳,朝倉書店.
(3) “An introduction to Hilbert space,” N. Young, Cambridge Univ. Press
(1) の本は与えられた自然数 n をいくつかの自然数の和に分ける場合の数 p(n)(分割数と呼ばれ
ます)などの研究を含む面白い題材を取り扱った本で主に組み合わせ論的に考察されます.ほとんど
n−1
自明に p(n) ≤ 2n−1 であることが分かりますが
よ
q (自分で考えてみてください),実は p(n) は 2
2
n−1
1
1
n−1
= √n log 2 → +∞
りずっと小さく,limn→∞ √n log p(n) = 3 π が知られています( √n log 2
ですから p(n) は 2n−1 よりかなり小さいですね).この極限式は解析学(特に複素関数論)の
難しい話が必要なので3,4年生のセミナーで勉強するのはちょっとしんどいですが,自然数を
分割するという話はとても面白い話題です.(2) の本は実解析と呼ばれる話題を広く読み切り形
式で取り上げて行くとても面白い本です.私が好きな本の1つです.代数よりも解析学(積分論
や複素関数論など)を好む人に最適です.私のところでセミナーをするしないに関わらず,副読
本としてでも是非読んでもらいたい一冊です.なお,その記述から教職希望の方にも最適です.
(3) は狭い意味で数学系の研究者を目指したい/目指す可能性がある人向けとして挙げました.正
直この本でも十分ではありませんがまあ最低ラインと言ったところです.現在修士1年生の人が
3年生のときのセミナーでは “Theory of Linear Operators in Hilbert Space,” N.I.Akhiezer &
I.M.Glazman, Dover の本を使いました.元々はこの本とは異なる本を提示していたのですが,相
談してこの本に替えました.このように,大学院進学希望の場合は相談して他の本も含めて候補
を挙げて慎重に決めます.というわけであくまでもここで挙げた本のリストは参考程度に考えて
ください.なお,私の研究内容の一旦は下記に挙げる私のホームページが少しは参考になるかも
しれません.また,せっかくやる限りは可能な限り成長してほしいのでセミナーは厳しくやりた
いと思っていますのでよろしく.
2. セミナーのやり方: 毎週1回90分∼120分で行います.3年生向けのセミナーなので本
を読み進むスピードよりも正確に理解して一歩一歩着実に進むことを目標にします.あまりだら
だらするのはよくないですが,少なくとも3年生の間はスピードよりも理解度を優先します.時
間・場所ですが,相談して決めます.
3. 連絡先: 研究室直通電話番号:092-726-4773
e-mail address: [email protected]
Homepage address: http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/∼ueda/index.html
研究室:六本松(相談などのためには e-mail 等でまずは連絡をとるのがお互いに都合いいでしょ
う.また,月曜日午後はほぼ毎週,理学部1号館にいることが多いです.
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