第一章 利息計算と 利息計算とディスカウントファクター 1.単利計算の仕方 普通、利息計算といえば単利計算のことをいう。期間T年、その期間の金利を年率Rとする と、元金A円を期間T年間運用したときの利息は次のようになる。 利息=A×R×T よって、元金と利息の合計金額、すなわち元利合計金額は次のように表せる。 元利合計金額=元金+利息=A+ART=A(1+RT) 練習問題 元金 10,000 円を3ヶ月間( 1 年間) 、年率 10%の金利で運用すると元利合計金額はいく 4 らになるか。 (解) 10 1 10,000 × 1 + × = 10,250円 100 4 2.複利計算の仕方 複利計算とは、ある金利で運用して得た利息を再び元金に組み入れて同じ金利で運用して最 終的に元利合計金額がいくらになるか計算することである。 例題1 元金 10,000 円を半年複利(年2回複利)の 10%(年率)で1年間運用した場合、最 終的な元利合計金額はいくらになるか。 (解)最初の半年間運用したときの元利合計金額は 10 1 10,000 × 1 + × 100 2 これを、まるごと元金として更に半年間 10%で運用するので、最終的な元利合計金額は 10 1 10 1 10 1 10,000 × 1 + × × 1 + × = 10,000 × 1 + × 100 2 100 2 100 2 2 例題 2 元金 10,000 円を3ヶ月毎複利(年4回複利)の 7%(年率)で2年間運用した場合、 最終的な元利合計金額はいくらになるか。 (解) 7 1 10,000 × 1 + × 100 4 8 一般に、元金A円を年 k 回複利の金利r(年率)でT年間運用した場合、最終的な元利合計 金額は次の式で表される。 1 A1 + r × k kT 3.連続複利 年 k 回複利をもっと限りなく細かく複利で運用するというのが連続複利の考え方である。す なわち、元金A円を年 k 回複利の金利r(年率)でT年間運用した元利合計金額の式 1 A1 + r × k kT において、kを無限大にしたものが連続複利rで運用した元利合計金額となる。 k aa lim 1 + = e であることを利用して k → ∞ k r lim A1 + k →∞ k kT k r r = lim A1 + k →∞ k 元金A円を連続複利の金利r(年率)でT年間運用した元利合計金額は rT = Ae rT Ae rT で表される。 4.金利表示の変換 金利には、これまで述べてきた単利や複利があるが、これらは表示の仕方が違うだけで、同じ 期間だけ運用するのに単利の場合と複利の場合とで、どちらかが得になることはないように金利 を決めるのが普通である。 単利から複利への変換 元金A円を期間T年間運用するのに、次の2つの場合を考える case1 単利Rで運用する 年k回複利rで運用する case2 case1 と case2 の元利合計金額が等しくなることから、次の等式が成り立つ。 r A(1 + RT ) = A1 + k kT これをrについて解くと、 1 r = k (1 + RT ) kT − 1 単利から連続複利への変換 元金A円を期間T年間運用するのに、単利Rと連続複利rを考えると元利合計金額が等し くなることから A(1 + RT ) = Ae rT これをrについて解くと、 r= 練習問題 6 ヶ月間( (解) log(1 + RT ) T (log は自然対数) 1 年間)の金利、年率 5%を連続複利金利に直せ 2 5 1 log1 + × 100 2 r= = 0.049385 1 2 4.9385% 5.ディスカウントファクター(discount factor) 将来の価値と現在の価値はディスカウントファクター(以下DF)によって次のように関係 づけられる。 (現在の価値)=(将来の価値)×DF 例えば、1年後に支払うべき1万円を今日支払う場合の適当な金額、すなわち現在価値は (1万円の現在価値)=1万円×(1年間の DF) を計算することにより求めることができる。 では、DFはどのように定義されるのであろうか。 単利のディスカウントファクター 期間T年間の金利をR(年率) 、T年後に支払う金額をF円とし、F円の現在価値を x 円とする。 「x 円をT年間、金利R(年率)で運用したときの元利合計金額がF円になる」と考えると x(1 + RT ) = F これを x について解くと x= F× 1 1 + RT となるので、期間Tのディスカウントファクター DF (T ) は次のように定義される。 DF (T ) = 1 1 + RT 複利のディスカウントファクター 期間T年間の連続複利金利をr(年率)、T年後に支払う金額をF円とし、F円の現在価値を x 円とすると xe rT = F とできるので、これを x について解くと x = Fe − rT となるので、期間Tのディスカウントファクター DF (T ) は次のように定義される。 DF (T ) = e − rT 《参考》 r = log(1 + RT ) とすることにより単利のDFが導かれる。 T e − rT = e − log (1+ RT ) ×T T ( = e − log (1+ RT ) = e log (1+ RT ) ) −1 = 1 1 + RT
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