非殺傷武器「テイザー」

非殺傷武器「テイザー」(TASER)を考える
)を考える
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その3
セキュリティー 東京支社長
田中 敏郎
この Neure Muscular Incapacitation(NMI)が用いられたテーザーが世の中に登場するま
では、自己防衛の為の武器は次の4種類しかなかった。鈍器(いわゆる硬いもの)、鋭利な
刃物(先の尖った物も含む、化学・毒物食品(毒薬等)
、火器類(火薬等で飛ばす物)であ
り、火器類を除き他の3種類は、おおよそ
石器時代まで遡ることになる。
基本的にはどれも相手に苦痛を与え、身
体に傷を負わせ、生命を奪うものが目的の
ものばかりであった。
世界中の警察職務に従事する者のジレ
ンマは、暴徒化した被疑者を逮捕、拘束し
なければならない場合に、異常な狂気で抵
抗するか違法薬物の影響で凶暴化した者
を可能な限り殺傷することなく取り押さ
えなければならないことである。特に、違
法薬物は興奮剤であり、覚醒作用が働くこ
とから鎮痛作用があり服用している者は
超人的な強さとスタミナを発揮することが多いものである。
テーザーから発信されるパルス電流は、人間の骨格筋肉を伸縮、動かすために脳から発
信される電流の波形と酷似しており、異なる電気信号などで動かされる心臓などの臓器に
は影響を与えることはないものある。骨格筋肉は、身体を包んでいる殻のようなものであ
り、心臓など重要な臓器は、その骨格筋肉の内側に収まっているものである。低周波の電
流は、筋肉質の繊維に沿って流れる傾向が強く、つまり、骨格筋肉の内側にある心臓など
の臓器に電流が流れることはないものである。
テーザーのパルス電流についても、脳から発信されるものと酷似しており、例えば1秒間
に1回のパルス波を流すと筋肉は1回だけ引きつけのような状態になる。同じく4~5回
流すと自らは動くことはできる状態で引きつけが連続して起きる。テーザーの19回にな
ると人はまったく動けない状態になるのと同時に骨格筋肉の収縮により痛みを感じること
になる。
またテーザーは、一度の引き金で自動的に5秒間連続作動するシステムになっている。
これは現場における50万回以上の実験結果をもとに被疑者の拘束と警察官の武力行使な
どから科学的に計算されたものである。
21世紀の現代においても、形状こそ違うが石器時代と同様の自己防衛の武器を使い続
け、所持又は使う者にも精神的負担を強いる、いわゆる飛び道具を使い続けなければなら
ない理由とはなんであろうか・・・・