非殺傷武器「テイザー」(TASER)を考える )を考える ( その9 その9 セキュリティー 東京支社長 田中 敏郎 すでにお伝えしているように、テーザーガン ECD は 世界各国の警察を中心に、13,000 箇所以上で、約 40 万人を超える警察官が所持をして任務についている。 同製品についての機能や科学的、医学的なことについ ては概略ではあるがお伝えしてきた。 ここでは、同製品についての法規制についていくつ かお知らせしたい。多くの国では種々の法規制により 導入はもとより、テストさえ難しい状況があった。そ れは英国、フランス、オーストラリア、ニュージーラ ンド、シンガポールなどがそうであったが、これらの 国を始め40カ国以上の政府機関が法令上の特例など を設けて、同製品の導入が進んできた経緯がある。も ちろん、これらの導入は、基本的には法令執行機関が 中心であり、一般市場での販売等は依然規制対象とな っていることが多いものである。 テーザーガンの発祥の地、米国内では規制する法律 は基本的存在しないものである。しかし、米国では輸 出規制を実施しており、同政府、商務省の管理法によ り「犯罪コントロール機器」と規定され、輸出許可を取得する必要がある。(カナダが除外) 同製品は、多くの国に輸出が許可されることと思うが、次の代表的な国には認められてい ない。 北朝鮮、イラン、中国、ロシア、ベネズエラ、などとなっている。 我が国では、どのような状況であるかお知らせしたい。今から12年ほど前に、テーザ ーインターナショナル社の初期バージョン製品である「エア・テイザー」が、関係当局に よって実質の国内法規制対象品目となった。初期バージョン「エア・テイザー」は、現在 のテーザーガン、「M26」 「X26」とは詳細な仕様等では異なることが多いが、基本的な構 造上の原理等は同様なものであることから、同製品は現在も対象となっている。 テーザーガンは、一般的なスタンガンと言われるものと同様に、高圧電流を電極を通じ て流すものである。そしてもう一つの機能としては、その電極自身を空気圧の力を使って 飛ばす能力をもっている。この電極の発射される能力を検証の結果、銃砲刀剣類所持等取 締法のいわゆる「空気銃」に該当するものと判断された。空気銃の所持は、各都道府県公 安委員会の許可を得ることが必要となるが、我が国では、護身(自衛)を目的とした銃砲 の所持が認められていないことから、エア・テイザーの所持は事実上不可能となり、関係 当局において通達されることとなった。よって我が国も先の英国、フランス、オーストラ リア等と同様に規制が行われているのが現状である。 しかし、我が国以外の各国は、種々の法規制を乗り越える形で評価テストを繰り返しな がら法令執行機関(主に警察)での本格的導入が始まっている。それは、メーカーである テーザーインターナショナル社の同製品の生産、出荷台数及び輸出状況でも明確に表れて きており、全出荷数の 15%以上は輸出に向けられ、それは毎年 10%以上の伸びで推移され ている。具体的な数値については後日お知らせするが、アメリカ以外の国々も、同製品が 現場での運用に最も適したものであると評価していることがわかる。 重ねて申し上げているが、我が国の法令執行機関(主に警察)の現場では、同製品の有 効性と必要性を感じている方々は決して少なくない。 次回は、英国警察による導入の経緯と現状をお知らせしたい。
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