SESSION 5 パースナリティ あなたのパースナリティは、最大の資産にもなり、 債務にもなる。それは、あなたの身心コントロール次第なのだ。 SESSION 5 パースナリティ パースナリティ セッション5では、好ましい、優れたパースナリティについて学びます。人間は誰でも、遺伝、環境、教育から、さまざまな性質や要素を受け継い だり、獲得したりします。それが、その人のパースナリティです。パースナリティには、好ましいものと好ましくないものがあります。常にプラスアル ファの努力を惜しまず、"自分がしてほしいことは、こちらから進んで相手にしてあげる”人は、必然的な好ましいパースナリティを持つようになりま す。パースナリティ、すなわち、性質、個性、資質は優れたものであるほど、成功への道はダイナミックにひらけます。言い換えれば、成功には優 れたパースナリティが不可欠なのです。 マスターマインドのノウハウを知っておわかりになったように、独力で成功した人たちはいません。誰でも、家族や友人や、勤務先、取引先の人 たちの協力を得て、初めて成功できるのです。そして、その人たちが、あなたを助けようとするのは、あなたを好きになる、つまり、あなたの優れ たパースナリティにひかれるからです。 誰も、嫌いな人を、自分から進んで援助しようとは考えません。成功には、パースナリティが必要なのです。 では、優れたパースナリティとはどういうものでしょうか? "売り込む”という観点から人間の一生を考えて見ましょう。 人はその生涯のすべての時間において、様々な形で自分を売り込んでいます。認められる~受け入れられる~同意を得る~採用される~協 力してもらう~これは全部、あなたが売り込みに成功したことを意味します。 生まれたばかりの赤ちゃんは、呼吸をはじめた瞬間から、立派なセールスパースンです。 赤ちゃんは、ミルクがほしい時に、泣き声をあげる、という単純な方法で自分を売り込み、母親に自分を認めさせて、目標を達成するのです。 幼児から少年少女期へと成長すると、今度は我慢することを学びます。自分をコントロールすることが長所や美点となり、それがセールスポイン トになるのです。 他人に対して好ましい態度を取ることが、どのような意味を持つのか、それを学ぶのもこの年代です。自我の発達に伴い、対人関係や社会性 が芽生えてきます。 ただし、他人に誇示できるだけの資質はまだありません。 大人になると、自分を売り込む、ということは個人的な動機だけではなく、社会的な責任とつりあいを考える必要があります。 求める前に与えるということを、身につけた人は、やがて成功することになります。 その間、パースナリティや心構えは一貫して重要な要素となります。 そして"優れたパースナリティ”と呼ばれるものの中で、最も重要な要素は、積極的心構えです。次にその問題を考えて見ましょう。 パースナリティの諸要素 積極的心構え 積極的心構え(PMA)、という言葉を入念に調べてみると、『どのような条件に出会っても、何とかこれを乗り越えて行こうとする建設的かつ実践 的な精神を持っており、常に前向きで確信に満ちていること』と定義することができます。 積極的心構えとは、ただ前向きに、ということだけではなく、強い信念、誠実さ、勇気、希望、忍耐、寛容、親切、良識といった徳性や、楽観主 義、独立主義の精神、気転のようなあらゆる肯定的な要素や性質の全部または一部の複合体から成っています。 積極的心構えの重要さを理解するには、それが私たちに及ぼす現実的な効果や影響について考えてみるのが一番です。 心構えや気構えというものは、私たちの態度にあらわれます。 声の調子や顔の表情、ちょっとした身体の仕草から話題や言葉づかいにいたるまで、すべての面にあらわれるものです。 そして心構えは、私たちの感情やものの感じ方まで支配し、その影響は本人が関わるすべての人にも伝わります。 良くない心構えを持つ人は、その毒を周囲にふりまきます。それは彼と直接関わる人だけでなく、間接的に関わる人々にも悪影響を及ぼしま す。 一方、明るくて気持ちの良い気構えの人は、彼が入って来るだけで部屋全体が明るくなり、そこにいる人まで気分が晴れやかになります。 植物にはアレロパシー効果というものがあり、たとえばメロンは、その果実から殺虫成分を発散させています。したがって、メロンと昆虫を一つ のところに同居させると、昆虫はバタバタと死んでゆきます。人間の場合は、「雰囲気」というものを、いわば発散させているようなもので、相手は この雰囲気を五感で感じ取って、影響を受けるのです。 私たちは誰かに出会うと、好きになったり嫌いになったりします。 これも相手が発する「雰囲気」によります。PMAプログラムをマスターして成功した多くの人々は、昔、「プログラムの17のノウハウを、完全に 身につけた、と考えたときに、信じられないくらい、自分の心身から強いプラスのエネルギーが発散しているような感じを受けた」と語っています。 あなたはいつも、周囲の人に、好ましい印象を与えているでしょうか? 誰にでもできることは、微笑をたやさないこと、自信を失わないこと、常に人々をはげまし、前進を助ける積極的な態度を持ち続けることです。 他人の感情に対して鋭敏な人は、相手の心を簡単に見抜いてしまいます。 そうした人々は、あなたがそこにいるだけで、あなたが彼らに対してよい感情を持っているのか、あるいは悪い感情を持っているのかを直ちに 見抜いてしまうのです。 ラルフ・ウォルド・エマースンは、他人の感情に対して敏感になるためのノウハウを理解すれば、あなたもやがて人の考えていることが手に取る ようにわかるようになる、と語っています。 「そのノウハウを身につけた人に対して隠し事をしようとするのは、ムダなことです。なぜなら、すぐにそれは露呈してしまうからです。その雰囲 気がその場の人々の心に浸透すると、その人は、すべてを知りうる力を獲得します。彼は全ての秘密を知ることができます」。 あなたが周囲の人々に対して好ましい印象を与え、健全な影響を及ぼすには、常に人々を励まし、前進させるような態度でいることが必要で す。 積極的心構えは、優れたパースナリティを育てるためには、もっとも大切な要素です。 それは人々の理解と協力の中で、着実に成長します。この積極的な心構えについては別のセッションで詳しく検討します。 心の柔軟性 前向きな態度で他人と接触することは、相手に対する関心やおもいやり、寛容さを生み、総じて晴れやかで暖かな心を双方にもたらします。 他人に対して強い関心を持ち、その美点や長所が理解できるならば、その人の生き方や考えを尊重したり、共感を抱くことが可能になります。 心の柔軟性とは、他人の生き方や考え方を理解できる脳力のことで、相手に対する共感脳力や協調性を含むものです。 そして、新しいもの、異なったものに対する新鮮な興味や関心、好奇心を持ちつつも、決して自分を見失うことがないのも、"心の柔軟性”の特 徴です。 かつてアンドリュー・カーネギーは、私にこう言ったことがあります。 「チャールズ・シュワッブを、アメリカの偉大なセールスパースンにしたものは、彼の持つ心の柔軟性である。 彼は地面の上にかがみ込んで、子供たちと一緒にビー玉遊びに興じたかと思うと、次の瞬間には、何百万ドルというビッグビジネスの契約書に サインをしているのだ」と。 人生とは、全くのところセールス以外の何物でもありません。 自分を継続的に社会に売り込み、専門的経験や職業的な出会いを自分自身の業績に変えていく……これがセールスでなくて何でしょうか。 そうした対人関係や接触を有利に運ぶためにも、心の柔軟性は不可欠です。 柔軟な心構えとは、一体どういうものでしょうか?それは物腰のやわらかさとも通じるものです。これはリーダーたる資格の一つです。 柔軟な心構えといっても、心構え自体が根無し草のようにフワフワしている、という意味ではありません。突発的なことでも余裕を持って受けと められる、そのような、鍛えられた心構えのことです。 一方、成功したセールスパースンの場合にも、臨機応変で柔軟な姿勢が見られます。 セールスパースンといえども人間ですから、様々な交渉相手から影響を受けないわけには行きませんが、そうした交渉相手との間に調和を保 つことが、セールスパースンの利益の基盤です。 そこでセールスパースンは、顧客との間に取り交わされる合意を目標に、地ならしをし、橋を架けることを目指します。 「客とセールスパースン」、それは要するに異なるパースナリティとパースナリティのぶつかり合いです。このような人間関係においては、ことさら 柔軟な心構えが必要です。 家庭でも、ビジネスに劣らぬくらい柔軟な心構えが必要です。 平常心を失うことなく、変化する状況に的確に対応することは、ビジネス以外でも求められているのです。 家庭といえども、各人のパースナリティはまちまちです。そのパースナリティを無視して、親が子供たちを一定の枠に押し込んだりしてはいけま せん。家庭という集団の規律を守ってゆくには、パースナリティはどこまでも尊重されなければなりません。 心に柔軟性を欠いている者には、指導者の資格はありません。 もし指導者や監督に柔軟性が欠けていたら、彼と気の合う一部の人の協力は得られても、部下全員の支持や協力を得ることはできません。 一方、柔軟な姿勢や考え方を持った指導者や監督は、部下全体の支持や協力を得ることができます。 彼は部下のパースナリティに応じて、それに見合った関係作りができるからです。 正しい願望や目標 優れたパースナリティを実現するために必要な第3の要因は、目標に偽りがない、ということです。 それは人間のパースナリティにとっては、何よりも大切なことです。 嘘いつわりがなく正直であることは、その言葉の端々から行動、動作にいたるまで、その人のすべてに表れます。 嘘はいずれ見破られるものです。また、嘘は次々とさらに嘘でぬり固めていかなければならなくなり、最後にはとりかえしのつかない結果になり ます。いつも正直であり、そして最後まで、正直でいたいものです。 正直であることが、その人の人格や生活態度に表れるように、嘘やいつわりも言葉、態度、動作のすべてに現れます。 それはどんな名優であっても、隠し通すことはできません。 正直は、信用や信頼の母であり、人に好かれるための条件です。 真に豊かな人間関係においては、正直であることは絶対の条件です。 偽りと信頼は、まるで水と油のような関係です。 常に「イエス」としか言わないイエスマンは、その偽善ゆえに、軽蔑の的となります。 「チャールズ・シュワッブが発した最初の異議を、私は忘れることができない」とカーネギーは私に感慨深げに言いました。 「私がまだ鉄鋼会社を経営していたとき、彼はほんの短い間だけ、私と共に役員の地位にあった。あるとき、私は彼が関係している業務に変更 命令を下したことがある。 彼は私の言葉を最後まで黙って聴いていたが、私の言葉が終わると微笑を浮かべ、自信をもってこう言ったのだ。 『よろしいでしょう。上司はあなたです。しかしこの件についてあなたは、私ほど調べてはいません。あなたの計画は、大変コストがかかるもので す』。 彼は私が見過ごしていたいくつかの重大な事実を指摘した。そしてそれは私の計画を覆すだけの説得力を持っていたのだ。 それ以降、私はチャーリー、つまりチャールズ・シュワッブに絶大な信頼を寄せた。彼は決して、"イエスマン”ではなかったのだ」。 他人に対して正直になるには、まず自分自身に対して正直になることが必要です。 「私は彼の言葉ではなく、その声の響きを忘れることができなかった」。 シュワッブがカーネギーを動かしたのは、彼が語った内容ではなく、彼の声の響きだったのです。それは、自分自身に正直であるもののみが持 つ響きです。 かつてエイボンの詩人は、次のようにうたいました。 汝自身に対して誠実であれ 昼夜を問わず、誠実であれ されば汝は、すべての人々に対して誠実とならん 嘘偽りのない人間性の形成は、自分自身に正直であることから始まります。それは健全な性格と優れたパースナリティに欠かせない条件で す。 繰り返しますが、まず第一に、自分自身に対して正直になることです。 肉親や家族に対して、正直になりなさい。 仕事や仲間や同僚に対しても、正直になりなさい。 友人や知り合い、そしてあなたの国に対しても、正直になりなさい。 あなたの正直な心の内を、示すのです。 何よりも、あなたを助けてくれた人たちに、正直になって下さい。その人たちは、あなたが正直であることを要求する権利があるのです。 正直な人間に対しては、無数の特典が与えられます。自分自身に対する信頼、ものごとに立ちむかう自信がそれです。あなたの言葉や行動 は、説得力に富み、人々を動かします。これは、最大の特典です。 反対に不正直な人は、自信や信念を持たず、その言葉は説得力を欠き、その行動は不明瞭なものです。 だから不正直な人は、明確な願望や目標を持つことができないのです。 決断力 決断力に欠ける人は、成功とは縁が薄いものです。 決断力に欠ける一番の大きな原因は彼が願望や目標を持っていないことです。願望や目標と、それに到達するための計画を持っている人は、 決断を求められる状態になれば、自分の計画と照らし合わせて、短い時間で、決断を下すことができます。 もし、計画らしいものがあっても、何か起こるたびに、決断を引き延ばす優柔不断な態度をとる人は、その人にとってその計画は、鮮明かつ具 体的なものではないのです。おそらく自主的なものでもないのでしょう。このような人々と行動を共にしてはいけません。優柔不断な人々をパート ナーにすることは、あなた自身の計画そのものを、危ういものにする恐れがあります。 決断の早さは、優れたパースナリティの一つの要素です。 成功した人は、決断も、それに伴う行動も早いのが特徴です。 決断力のある人は、例外なしに、彼が到達すべき目標を、しっかりつかんでいます。そのために何をしなければならないか、あるいは、何をす べきでないか知っているので、決断が早いのです。 私たちは、実際あらゆるチャンスに恵まれています。しかし、ほとんどの人は、チャンスがやってきたことに気づきません。私たちが何もしなけれ ば、それは単なる"可能性”のままで終わってしまいます。 チャンスを発見するためには、常に自分は何をすべきかを考え、それに対して充分な準備をしておくことです。こうすることにより、あなたにはチ ャンスを発見する機敏な直観力がそなわります。さらに、それを活かすための決断力があって、はじめて"可能性”は、事実に変わるのです。 マナー 私たちが、初対面の人を評価したり、あるいは初対面の人に評価される一つのものさしは、"マナー”です。そして、長い期間の人間関係の評価 をきめるのも、"マナー”です。東洋では、家族のあいだ、たとえば、夫婦、親子、兄弟姉妹のあいだにも、お互いの人格の尊重が有益なことをあ らわす、"親しき仲にも礼儀あり”という諺があります。"家族の連帯"もマナーから始まるのです。 積極的な心構え、正当な目的、他人の権利と人格の尊重、利益の公正な分配、これだけの事を守れば、私たちはまっとうな社会人として豊か な人間関係を結ぶことができるのです。 もちろん、それぞれの要素は互いに深く感謝し合っています。 マナーとは、いつ、いかなる場合においても他人の権利や人格を尊重する態度であり、恵まれない人々に救いの手を差し伸べる精神のことで す。 従って、マナーの真髄は、報酬を求めずに奉仕をすることであり、利己主義や貪欲、羨望、憎しみを抑制することなのです。 私たちが、友や仲間として互いにかかわり合って行けるのは、そこにマナーがあるからです。それは敵を作らず、競争相手を少なくすることにも 通ずる道です。 「それは実に失敬な話であった」。 と、あるときカーネギーは、話し始めました。 「ある日私たちのオフィスに、大男のスウェーデン人が、どなり込んで来たのだ。男の全身は、煮え立つような怒りで満ちていた」。 「しかし、シュワッブが部屋に入ってくるまで、この怒れるスウェーデン人をなだめる者は一人もいなくてね。 シュワッブは、部屋に入ってくると帽子を脱ぎ、怒れるスウェーデン人に対しても礼儀正しく挨拶をし、いつもの微笑みを投げかけながらこう言っ た。 『私の部屋へ来ませんか?あなたのお役に立ちましょう』」。 「シュワッブはスウェーデン人を、自分の部屋へ案内した。ひどく怒ったその職人は、ゆっくりと大股に歩いて行き、シュワッブの部屋に入ると、し っかりとドアを閉めた。 全員が耳を傾けた。シュワッブの部屋では、一体何が起こるのか?」 「15分後、ドアは開き、シュワッブとスウェーデン人はまるで旧知の間柄のように腕を取り合い、微笑を浮かべながら部屋から出てきた。しかも そのスウェーデン人は、シュワッブが愛用する葉巻を口にくわえていたものだ」。 「どうやって"怒れるスウェーデン人”をなだめたのか」と、私がシュワッブにたずねると、 「彼の奥さんや子供のことを二、三たずねて気持ちを落ち着かせ、それから葉巻を与えました。すると気が柔らいだようです。彼は、礼儀しらず の連中によって傷つけられていたのです」という答えだった。 怒りの原因は何だったのか、私はシュワッブに聴いてみたが、彼はこう言いました。 「彼には、はっきりとした根拠などなかったのです」。 ここで最も重要なことは、シュワッブがスウェーデン人に対して示した礼節と、それを可能にしたシュワッブの、人間に対する純粋な興味と関心 です。 シュワッブのマナーは、積極的な心構えによって生まれる寛大さ、忍耐、親切、如才なさと良識を典型的に表しています。 気転 気転は、マナーと非常に深い関係があり、人間関係を円満に保つために必要な資質です。 気転とは、適当なときに、的確な発言や行動を行うことです。よく、気転がきく、と言いますが、その気転のことです。常に良識にのっとり、気配り をし、礼儀正しく振舞うことは、気転が働く場を提供します。 気転を働かせて、手抜かりや失敗をなくそうとすることは、大変重要な問題ですが、その一助として、毎日の生活の中で私たちが犯してはいけ ないことを、次に挙げます。 1.声の調子を無視すること。 これはいけません。話し手の声の調子を十分に観察すれば、話し手の心理を理解することができます。声だけではなく、話し手の態度を読みと れば、この理解は一層深まります。無愛想な話し方をするときは、誰だって機嫌が悪いのです。 2.他人の会話をさえぎること。 これは大変無礼な振る舞いで、相手を不愉快にさせます。こういう行為によって、相手を説得するために、何倍もの時間がかかることになりま す。 3.沈黙が必要なときに、話をすること。 沈黙しているときではなく、沈黙が必要なときに、です。 4."私は”という言葉を使い過ぎること。 逆説なようですが、聞き上手になることが、相手を引き込むコツなのです。 5.自分をよく見せようとしたり、相手を侮辱するために、失礼な質問をすること。 6.公の場で、プライベートな話題を持ち出すこと。 7.招待されていないところへでかけること。 何事も積極性が必要ですが、マナーが伴わなければなりません。 8.自慢話。 自画自賛は、劣等感の表われです。才能や長所は、黙っていてもわかるものです。 9.マナーを、うわべだけ真似ること。 背伸びをしても、中身がなければ人はすぐそれを見破るものです。 10.突然の訪問。 相手のオフィスや家を訪れるときは、事前に通知をしたり許可を求めるのが当然です。 11.長電話。 不必要な会話で、電話を長びかせることは慎みましょう。 12.自分だけが知っている話題や得意の分野の事について、頼まれもしないのに話すこと。 13.論争を好み、勝負の結着をつけたがること。 老練な弁護士は、判決よりも和解を好むものです。 14.横柄な態度で、他人の依頼を断ること。 ばか丁寧に断るのも横柄な態度と同じことで、慇懃無礼というものです。 15.相手を見下すこと。 自分自身をいやしめるもっとも効果的方法は傲慢不遜の態度をとることです。 16.第三者のいる前で、部下を叱りつけたり、同僚を批判すること。 恥をかかされた、と考えた相手は、あなたの批判を受け入れることはありません。うらみが残るだけです。 17.頼み事を断られたときに、逆恨みをすること。 相手にはそれなりの事情があるのかもしれません。あるいは、頼む相手を間違えたのかもしれません。 18.交友関係や友人を利用し、筋違いの頼み事をすること。 19.卑俗で乱暴な言葉づかい。 20.不快感や嫌悪感をあたりかまわず吐露すること。 周囲のことを考えましょう。 21.愚痴をこぼしたり、自分の不幸を話すこと。 もし、どうしてもそうしたいのなら、それを聴いてくれる専門家のところへ行くべきです。医師、弁護士、牧師、僧侶、カウンセラー、警察など、彼 等はそれなりに対処してくれるでしょう。 22.政治や信仰などについて批判すること。 相手はどのような考えの持ち主かわかりません。このような、人によって立場の違うことに対してうかつに批判すると、思わぬ反発を受けること でしょう。 23.なれなれしいこと。 まさに、「親しき仲にも礼儀あり」です。 24.他人の中傷や悪口に夢中になること。 25.他人の業績を過小評価すること。 この1から25までのリストに従って、日頃の行動をチェックしてみましょう。 ボイス・コントロール 人間のパースナリティを、最もよくあらわしているものは言葉であり、その言葉以上に気分や心理状態をあらわしているのが、声(ボイス)なので す。 従って優れたパースナリティの持ち主となるためには、声の調子を整え、聞き手の耳に心地良く、しかもはっきりと意味が伝わるような話し方を 工夫する必要があります。これは何でもないようで、実は大変重要なことなのです。 怒りのこもった声や悪感情に満ちた声が、話を台無しにしてしまうことはよくあります。 相手の耳に入る不快な声は、要するに、何ももたらしはしないのです。 声や言葉は、人間の心と同様、コントロールされてはじめて、本来の価値を発揮するものです。 コントロールされていない声の調子は、さまざまな意味や感情が入り乱れ、意思の疎通をさまたげます。ですから、ボイス・コントロールを軽視 すべきではありません。 発生された言葉は、その言葉以上の意味を伝えることもあれば、それ以下の場合もあります。これは、声の調子が、話し手の思っていることや 主張したいことだけでなく、それに伴う感情も一緒に伝えるからです。 優れたパースナリティを持った人は、自分の声をあたかも楽器のように上手にコントロールすることができます。このような人は、楽器のキーに 軽く触れるようにして、ありとあらゆる感情やニュアンスを伝えることができるのです。 こうした技術を身につけるには、やはりトレーニングが必要です。 声色だけで、涙を誘うことのできる俳優がいます。 その声色の微妙な調子が、人々の心の琴線に触れ、感情を動かしてしまうのです。俳優の声の使い方は、あなたにとって、大変有益なテキスト になります。 「大声で話すほど、言葉は聞こえなくなってしまう」 という諺があります。これは真実です。 言葉で意味や考えを伝えるときは、おだやかな調子で的確に話すことが大切です。 表情とスマイル 優れたパースナリティを育てるには、話すときに声をコントロールすることと、スマイルを忘れないことが必要です。 ボイス・コントロールとスマイル、この二つの習慣を組み合わせることで、周囲とよい関係を維持することができます。 顔の表情には、その人の性格があらわれます。性格だけでなく、心の中で起こったことも、顔の表情にあらわれます。 スマイルにしろ怒った顔にしろ、すべては心理の表現であり、人間の心の動きは顔に出るものです。 顔の表情を変えることで、心理を変えることもできます。 不愉快なことがあったときにもスマイルを保てば、あなたの気持ちは明るくて前向きなものになるでしょう。それに、ちょっとしたユーモアを加える と、不愉快も軽減するものです。 明るい笑顔は、周囲の人々の心をも明るくし、悪感情を和らげます。明るい笑顔は、冷酷な悪意や敵意よりも強いのです。 誰でもちょっとした心がけ次第で、相手のちょっとした表情の変化から、嘘と真実を判別し、その心理を見抜くことができるようになります。 人間の心理は、必ず表情にあらわれます。このことを、常に心に銘記して、相手の表情を観察すること。これを心がけることです。 優秀なセールスパースンも、同じ原理(ノウハウ)を知っています。顧客の表情をうかがうだけで、何を考えているかを見抜き、その声で気分や 感情をとらえるのです。 声の調子や顔の表情は、人間の心の窓なのです。 とはいえ、賢明な人々は、仲間たちを喜ばす場合にだけ、心の窓を開けます。あなたはそうして良いときだけ、思い切り心の窓を開けてくださ い。 魅力的なパースナリティは、スマイルと豊かな表情と声によって作られます。 こうした性格を養い、あなたの武器にしてください。 寛大さ 寛大さとは、意見や習慣の異なる相手に対し、その信念や思想を尊重し、常に公正であることです。心を開き、常に風通しの良い状態を保つこ とが、寛大さを生みます。 寛大な人は、新しい知識や未知の経験に対して、常に開いています。そうすることによって、物事を理解する脳力も高まります。従来とは異なっ た知識や未知の経験を頭から拒否するのではなく、理解しようとする心構えをもった人は、何事にも正しい判断力を働かせることができるように なります。 他方、寛大さに欠ける人は、固定観念の持ち主であることが少なくありません。頭が固いのです。 自分の意見に固執し、自己を絶対化し、自分に反対する者はすべて間違っていると考えるのも、こうした人々の特徴です。このような人に、もは や進歩はありません。 不寛容は、マスターマインドにも反するもので、他人の知識や経験を自分の行為に活かすことを妨げます。 協力を得るかわりに敵を作るのが不寛容です。それは人間の成長を阻み、イマジネーションを枯らし、思考や推理の芽をつんでしまいます。 ある哲学者の信条 人間関係において、寛容の精神がいかに大きな価値を持つものか、そのことを自覚したある哲学者は、次の言葉を、自分の信条としています。 その成長のために、常に精神と心が開かれているように。 謙虚さを失い、学問的誠実さを失うことのないように。 閉ざされた心は、暗い心であり、狭い心である。 明確な根拠を持たずに、意見を表明することはやめよう。 他人の非も認めなければならない。よしんばそれが、当人にとっていかほど不都合なことであろうとも。 意見を異にする相手にも、変わらぬ敬意と尊重を持とう。 知識は、断じて絶対的なものではない。現代の科学をもってしても、大いなる宇宙の神秘をときあかすことはできないのだから。 自分の無知を認める勇気を持とう。 有益な知識は、いつでも分かち合おう。 友を得るには、知識よりも謙遜である。 私は、永遠に真理を求める1人の学究でありたい。それは謙虚に学び続ける生徒であり、わかったような顔をする教師ではない。 率直な言葉と行動 すぐに言い訳や口実を口にする人は、信用されないものです。 逆に人に好かれ、信用される人は、心を開いて率直に相手と交わる性格の持ち主です。言葉と行動に対して率直で、かけひきをしない人は好 かれます。 もちろん率直さは、礼儀正しいことや如才のなさ、寛容さと深くかかわっています。 それは、建設的で積極的な心構えから生み出されます。 率直な態度や言葉には、嘘いつわりがありません。したがって率直な態度を示し、率直な言葉で語ることは人々の信頼を集め、さまざまな恩恵 に浴することができます。ただし、率直さが、相手に対する非礼と受け止められては、元も子もありません。率直さが誤解を生まないように、話し 方に工夫をすることも必要です。 ユーモア あなたが笑えば、世界も笑う。そして、あなたが泣けば、世界も泣いてしまいます。 ユーモアと笑いは、そのくらい大切なものなのです。明るくて楽しい人生を歩むには、ユーモアの感覚を磨くことが必要です。 十分に磨かれたユーモアのセンスは、人間を柔らかくします。くつろぎや思いやりが生まれるのは、その柔らかさの中からです。 そんな柔らかさを持った人は、嫌われることはありません。 悩みや心配事にとらわれ、深刻になることから人を救い出すのもユーモアです。 毎日、決まった仕事を義務づけられている者にとって、さわやかな笑いやウイットに富んだ会話は、何よりの救いです。 健全な肉体と精神を維持するには、ユーモアのセンスは必要不可欠です。 寛大さや忍耐力に欠ける人ほど、世間の重圧を一身に背負っているかのような、深刻な表情を見せるものですが、精神にゆとりのある人は、 常に悠然と構えています。 それはユーモアが、寛容や忍耐と同じものだからです。 ユーモアという薬は、正直や礼儀正しい如才のなさ、忍耐などと調合すると、優れたパースナリティを育てるための特効薬になります。 無限の叡智に対する信頼 信ずることがなければ、理論も哲学も一切が無意味なものになってしまいます。 信ずるという力こそが、すべての偉業の本質です。 信念、信義、そして信頼。成功哲学の核心は、そこにあるのです。 無限の叡智に対する信頼は、自己に対する信頼、同胞に対する信頼を呼び起こすものです。 そしてびとたび、人間が信頼の絆によって結ばれるとき、あなたは最良の友や協力者を見出すことでしょう。 信念は、通常では考えられない程の、豊かな思考力をあなたの頭脳に与えます。 正義感 私たちの考える正義とは、"願望や目標を実現するにあたっての正直さを貫くこと”であり、これもまた、積極的な心構えの結果です。 周囲の状況や相手によって、言うことを変えなければならないようなことは、正義とは言えません。また、正義の旗をふりかざして、相手の反論 には一切耳をかさないというのは間違った正義感です。 相手を利用したり、何らかの報酬のみを目当てとしたしたものは、優れたパースナリティを育てる正義とは、程遠いものです。優れたパースナリ ティを育てる正義とは、あなたの良心や主義主張に照らし、正しいと信ずることを行うことです。 正義感を持つことは、あなたに次のような結果をもたらします。 1.人々があなたに信頼ある基盤を作り出します。これなくしては、優れたパースナリティを育てることはできません。 2.健全な性格を形成することに役立ちます。人に好かれる、という点では、まずこれが第一です。 3.人を引きつけるだけでなく、チャンスや仕事を引きつけることもできます。 4.自身と自尊心を養います。 5.目標意識を明確にします。 6.あなたの信念を強固なものにします。 7.ためらいや争いから、あなたを守ってくれます。 8.一段と強いパースナル・イニシアティブや自分自身を駆りたてる力をあなたに与え、明確な願望や目標の実現へとあなたを押し上げてくれま す。 パースナリティと共に、そのパースナリティが生み出す人間関係を、正しく豊かなものにしてくれるのも正義感です。 貪欲、羨望、憎悪、利己主義を追い出し、権利や責任についての正しい理解をもたらします。 正義には、道徳的正義と法律的正義の二つがあります。 ここでは、道徳的正義を問題にしていますが、人々を道徳的正義へと駆り立てるものは、自尊心であり人類愛なのです。 正しい言葉を用いること 話しをする脳力は、人間だけに与えられた特権です。自分の考えや感情を言葉によって表現し、伝えることは、本当に素晴らしい大自然の恵み です。しかし、90%以上の人がこの素晴らしい特技に無関心です。 英語をはじめとするすべての言語は、思想、感情、事実などをことごとく表現し、その意味を伝達することができます。 私たちが国語を学ぶのは、そうした力を身につけるためですが、的確な意味を伝えることだけが言葉の使命ではありません。 他人を傷つけたり、不快な感情を与えるような言葉を避け、相手にさわやかな印象を与えるような、正しくて美しい言葉を使うことが大切です。 いかなる場合にも、相手を傷つけるような言葉は慎まなければなりません。 他人を傷つける言葉や第三者を中傷するような言葉を口にするとき、その人は、「言葉を話す」という偉大な脳力を授けてくれた大自然の力を 冒瀆しているのです。 的確な言葉づかいは、教養や教育程度を判断するうえで、重要な目安になります。 場面や状況、立場に応じて適切に言葉を使い分けることのできる人は、成功するのも容易です。 不適切な言葉が相手に不快感を与える一方で、適切な言葉は、声の調子・顔の表情と相俟って、他人の好意や信頼を勝ち取ることができるの です。 効果的なスピーチ 効果的なスピーチは、優れたパースナリティとの組み合わせによって可能になります。 適切な言葉の使い方、明るく積極的な声の調子、人情味あふれる豊かな表情、こういった要素の組み合わせが、効果的なスピーチを生み出し ます。 公の場で自分の意見や考えを、はっきりと主張できない人は、大きなハンディキャップを背負うことになります。しかし、日常生活でそれができな い人は、もっと大きなハンディキャップを背負うことになるでしょう。 文明は絶えず、言語化された思想によって築かれてきました。自己表現脳力や優れた言語脳力によって、成功を手に入れた人はたくさんいま す。アメリカに限ってみても、たとえばジョージ・ワシントン、エイブラハム・リンカーン、フランクリン・ルーズベルトなどをあげることができます。 適切な言葉の使い方、明るく積極的な声の調子、人情味あふれる豊かな表情に加え、話題に精通していることが、スピーチや演説の要点で す。普段の会話も、同じことがいえるでしょう。よくわかっていることだけを話すべきです。自分が完全に理解していることを、パッションをこめて話 せば、あなたの言葉は聴き手の心へ必ず届きます。 感情のコントロール 「世界は、人間の感情によって支配されている」と言った人がいます。 世界はともかくとして、人間が感情によって支配されているのは事実です。 そして結局のところ私たちは、自分がやりたいと思うことをしているのです。 肯定的な感情と否定的な感情の中から主要なものを挙げると、次のようになります。 肯定的な感情 愛 :精神的な資質の反映です。 性 :クリエイティブな力の源です。 信 念 :あなたが潜在的に持っている大いなる力を引き出す働きをします。 希望と欲求:願望や目標の実現と達成を鼓舞します。 同 情 :同胞的精神の土台です。 楽観主義 :積極的な心構えの土台となります。悲観主義には、得るところが何もありません。 否定的な感情 恐 怖 :これはセッション1を参照してください。 憎しみ :これは、争いの前兆となるものです。 怒 り :これは、憎しみの始まりです。 羨 望 :うらやましく思うこと。これは、行動なき目標設定のようなものです。何の進歩も、もたらしません。 貪 欲 :これは、利己主義を生み出します。 嫉 妬 :これは、穏やかな形の不健全といえましょう。 復 讐 :これは、石器時代の遺物以外の何ものでもありません。 短 気 :これは、あなたの体力を不健全に用いる好例です。イライラしても物事がすみやかに運ぶわけではありません。ストレスに陥るだけ です。 迷 信 :これは、無知に基づく恐怖のゆるやかな形態です。 優れたパースナリティを育てるには、これらの否定的な感情は克服しなければなりません。コントロールされた感情をコントロールして、積極的 な感情に切りかえることができるということは、人間の持つ大きな力です。そして、この感情の克服とコントロールは、積極的な感情のメリットをよ く理解し、習慣化させることによって達成することができます。 興味と関心 信頼が信頼を生むように、そして批判が批判を生むように、関心は関心を生み出します。自分に関心を向けてもらいたい、と思うのであれば、 まずは自分から相手に対して積極的な関心を向けることです。 相手に対する無関心や冷淡は、相手の、あなたに対する無関心や冷淡を、必ず引き出します。決して良い結果はもたらしません。 相手の興味や関心事に対して注意を向けることは、その相手に最大の敬意を払っていることを意味します。 「話し上手は聞き上手」 と言いますが、相手の生活や仕事や趣味に関心を持ち、その上で聞き上手になれば、もうあなたは人間関係の達人です。 とはいえ、あなたが何よりも注意と関心と興味を向けなければならない対象は、あなた自身の願望や目標です。 自分の目標とは何であり、それを実現するためにはどうすれば良いのか? その問題に常に関心を持って考えていなければ、目標を実現するためのチャンスが訪れても、それを見逃してしまうでしょう。 注意力や観察力は、あなたの願望や目標を実現する手助けをします。 一方、無関心は、せっかくのチャンスを逃してしまい、失敗や挫折を招くもとになります。 あなたはどちらを選びますか? 多才であること 物事に無関心で、知識や話題に欠ける人に、楽しくて面白い人物はいないものです。 幅広く興味や関心を持つこと、これは魅力的で優れたパースナリティには、必要不可欠な要素です。 自分の仕事や生活以外のことを全く知らない人は、直ちに生き方や習慣を変えない限り、魅力的な人物にはなれないでしょう。 伝票の山にうずもれている経理マンは、会社では誰よりも数字には強いかもしれませんが、ただそれだけのことでは、人間としての魅力で他人 を圧倒することはできません。 限られた話題しか持たない人は、他人と話すとき、必然的に相手も自分も、その一つの話題の中に閉じ込めざるを得ません。 もし相手が、彼のその限られた特殊な話題に興味を示さないとしたら、彼は聴き手を失うことになってしまいます。 逆に多才でいくつも話題を持っている人は、人気者です。 このような人は幅広い知識を持ち、他人の考えや意見にも素直に耳を傾け、そこから積極的に学び取ろうとします。そして、それを頭の中で統 合し、新しい考えを生み出し、それを人生やビジネスの上で活用します。しかし、それらの知識をただバラバラに持っているだけでは、器用貧乏に 終わってしまいます。器用貧乏で成功した人は1人もいません。知識にまとまりがないため、いつになっても焦点が結べないためです。 多才な人は、夜空にきらめく星のことや、大地の地質学的構成から人間の衣食住にいたるまで、さまざまなことを知っています。なぜ、幅広い知 識が必要なのかといいますと、それらはあなたの頭の中で様々な形で結びつきあい、新しいアイディアや新しいヒントなどを生み出すからです。 同時に、パースナリティにも深みが出てきます。水素や酸素など原素は百数十ありますが、これらの組み合わせによって、おびただしい数の物質 が生み出されました。しかし、もし、この宇宙にわずかな数の原素しか存在しないとしたら、物質と呼ぶことのできるものすら、この世に存在しない でしょう。多才であることもこれと同様なのです。 さまざまな事柄に、広く関心や問題意識を持つことは、人間を理解することに通ずるものです。 そこには、毎日の生活の中から自分自身の成長の糧を得ようとする、真摯でひたむきな向上心があります。 人を好きになること 犬は、その人が好きかどうか、すぐにわかると言われています。そして犬は、そのことをはっきりと態度に表すのだそうです。 同じように人間も、少しつき合えば相手の感情を理解し、自分を嫌う人には反発し、自分を好きになってくれた人には引きつけられてしまいま す。 人間は、その行為だけではなく、好き嫌いといった感情面でも、評価され判断されるものです。 したがって"以心伝心”、他人を嫌う人は、自分も好まれることはありません。自分が好まれるには、まず相手を好きになることが必要です。 人間の心は、常に他人の心と触れ合っています。魅力的なパースナリティを育てるには、言葉や行為だけでなく、感情をコントロールする習慣 を身につけることです。 短気を起こさないこと 短気というのは、怒りの爆発で示される心の興奮、あるいは激情のことです。 別の言葉で言えば、統制を欠いた怒りの感情です。 感情が希薄で鈍感な人に、成功を期待することはできません。物事を成し遂げるためには、強力な感情が原動力となるからです。 しかし逆に感情が豊かで奔放な人は、自身の呼び起こした感情が相手の反応によって傷つくことが多いのです。 不用意な発言や気まぐれなひと言が相手を傷つけるだけでなく、誰よりも本人を傷つけることは、珍しいことではありません。 気分や感情をコントロールし、口をついて出る言葉をコントロールできないうちは、優れたパースナリティを身につけることはできません。 自分の気分や感情を抑えることのできない毒舌家は、他人を遠ざけ、他人に嫌われるものです。しかもそういう人ほど、たくさんの事を語りなが ら、その話には内容がありません。 余計なおしゃべりや不用意な発言は、心のコントロールが効かなくなったときに、口をついて出るものです。 「口は災いのもと」です。 アメリカでは、有能な弁護士は、法廷で証人をうまく怒らせることによって、有利な証言を引き出すテクニックを用いることがあります。 これと同じやり方は、世間でもよく用いられています。 余計なおしゃべりや不用意な発言は、ブーメランのように戻って来て、結局は本人を傷つけるものです。 友情や人間関係をも破壊します。したがって、気分や感情を調整し、コントロールすることは、とても大切なことなのです。 願望や目標を持つこと 願望や目標を持たず、それを実現したいという希望を持たない人は、傷つくこともない代わりに、優れたパースナリティを持っていても魅了する ことはありません。 願望や目標を持たず、成長や発展を望まない人に、世間の注目が集まることはありません。 願望や目標は、人間に活力と生命力を与えます。ただし、それらの願望や目標は具体的かつ鮮明でなければなりません。 貧困や敗北をものともせず、雄々しく前進して願望の実現へと至らしめる力は、願望や目標の設計とその実行の中に秘められています。 たとえわずかでもポテンシャルがあるうちは絶対に勝負をあきらめない、という不屈の精神力は、本人ばかりでなく、周囲の人々も励まし、前進 させます。 反対に声の調子や顔の表情に希望がなく、無目的な行動によって敗北主義の道を歩いているような人は、明確な願望や目標を持って生きてい る人物とは、まともに張り合うことができません。 大きな願望や高い目標を掲げ、それを実現しようとする確固たる意欲さえあれば、たとえ間違いや失敗を犯したとしても、周囲の人はそれを許 してくれるでしょう。 しかし希望を持たず、冷淡でエゴイスティックな人の失敗に対しては、世間はとても厳しいものです。 私たちは、動きが早くて変化の激しい時代と社会に生きています。失敗や敗北を自分の運命だと考えているような人と、よろこんで付き合おうと 思う者などどこにもいません。 節制 節制とは、あらゆることに対して節度を保ち、感情や気分を抑制する事です。 優れたパースナリティを育て、願望や目標を実現しようとする者にとっては、これは必須の要素と言えるでしょう。自分の日常生活や習慣を管理 できない人、克己心や自律心に欠ける人は、世間に受け容れられ、人々の信頼や好意を得ることはありません。たとえば、食生活についてもそう です。食欲をコントロールできない人間は、おそらく他の欲求をもコントロールできないに違いないと思われるでしょう。 生活の乱れは、本人から人間としての魅力を奪い取り、評判をそこなうことは確かです。 節制を心掛け、悪習に溺れることのない強い性格を持つこと、あるいは維持する事は、優れたパースナリティにとっては、大いなる目標そのも のです。 自分の生活習慣をコントロールできる人は、成功の確率の高いのです。この事実を忘れないでください。 忍耐 忍耐とは、苦痛に感じることや腹立たしく思うことがあっても、冷静に耐えること、平常心を保つこと、と定義することができます。 忍耐は、人間関係の摩擦から私たちを救い出してくれるでしょう。 一方、忍耐力のない性格とは、不機嫌で怒りっぽく、短気で不愉快といった否定的な性質をたくさん含んでいますが、要するにそれは、自制心 と克己心の欠如に問題があります。 こうした性格が、人に好かれないものであることは明白です。 忍耐や我慢ができない性格は、不節制や不健康な生活に原因がありますが、過労や休息の不足から起こることも多々あります。 常に冷静で自信に満ちた人にとって、忍耐力を養うことは、決して難しいことではありません。 十分な休息を取り、仕事とくつろぎのバランスが保たれていれば、生活習慣をコントロールすることで着実に、忍耐力を養って行くことができま す。 謙虚な心 優れたパースナリティにとって、謙虚な心は必要不可欠な要素です。 心が謙虚であることは、横柄、貪欲、虚栄心、利己主義がないことを保障するからです。 謙虚な心は、大自然や宇宙のような、人間を超えた力を理解することから生まれます。 衣・食・住といった生活の糧も、天の恵みであることを知ってください。 自分の精神を健全な状態に保ち、大自然との間に調和を造りだしている人は、常に謙虚です。 しかもこれは、個人の業績や富とは無関係です。 正しいみだしなみ 趣味の良い服装とは、適切な色・柄・その人に合ったデザインやサイズ、および職業にふさわしいもの、ということになります。 派手に自分を飾り立てえようとすることは、むしろ周囲に対して嫌悪感を起こさせるものです。 他人と異なる色や極端なデザイン、あるいは装飾品をやたらと身につけることは、自己顕示欲の強さに比例します。むろん何を着ようと自由で すが、人生の成功という観点から見ると、むしろこのような習慣は成功を遠ざける作用をするでしょう。これらのスタイルは、なるほど目立ちはしま すが、真に魅力的な人たちの場合とは、根本的に異なる目立ち方です。 魅力的な着こなしとは、着るものや装飾品が十分に選び抜かれていて、全体のアンサンブルが調和していることです。 こうした人は男女を問わず、周囲の注目を自然に集めます。 服装が人間を作る、と言ったら言い過ぎかもしれませんが、服装が人間の印象を決めることは確かです。 きちんとした服装は、当人に対しても自信を植えつけるものです。 パースナル・アイデンティティ 演出効果をもたらすことのうまさも、優れたパースナリティの一つの重要な要素です。 これは、顔の表情、声の調子、清潔できちんとした服装、正しい言葉づかい、感情のコントロール、マナー、効果的なスピーチ、多才、積極的な 心構え、ユーモア、機敏な反応、如才のなさ、といった他の要素との結合によって成り立つものですが、どの要素も、他のすべての要素ととても 深く結びついています。 建設的で効果的な演出は、"気の効いたことを言う”ことでもなければ、人の気を引こうとして、おどけたり噂話をすることでもありません。 効果的な演出とは、あなたというものに自分自身で統一イメージを創りあげ、それを生活やビジネスで活用することです。企業なら、コーポレイ テッド・アイデンティティ、つまりCIという形でその企業イメージを高めようとします。これは、個人の場合にもあてはまるのです。パースナル・アイ デンティティ、つまりPI戦略というものをあなた自身で考えてみましょう。あなた自身を高級ブランドにしてしまえば、あなたの身の廻りを高級ブラ ンドで飾りたてる必要はなくなります。とはいえ、演出過剰や大言壮語は、好ましくありません。時と場所に応じた演出が必要です。 スポーツマンシップ 買っても威張らず、負けて不平を言わない人は、人々に好かれるものです。彼らは良心的でフェアなスポーツマンシップの持ち主と言われるで しょう。 ここでいうスポーツマンシップは、必ずしもスポーツのみに関したことではありません。生き方そのものも指しています。 スポーツマンシップに乏しいことは、貪欲、不安、利己主義、不正直の結果です。 人に好かれることもなければ、魅力的なパースナリティを持つこともないでしょう。 良心的で公明正大であることは、優れたパースナリティの大切な要素です。 周囲の人々との間に友好関係を結び、理解や協力を得るには、そうした人格や人間性が必要です。 個人的な魅力 ここで言う"個人的な魅力”というのは性的な魅力であり、性的な感情を刺激する要素のことです。 性的な感情は、大自然が人間に与えた先天的な感情の一つであり、その事実から故意に目をそらす必要はありません。性的な感情も、優れた パースナリティを作り上げている一つの要素なのです。 性的な感情で大切なことは、それをコントロールすることであり、昇華することです。昇華とは、この場合、性的な感情をスプリングボードにして、 より高度なことをなし遂げることを意味します。このように、性的な感情を昇華して、夢や希望の実現を果たした例はたくさんあります。それは潜 在的な資産なのです。 性的な感情は、すべてのクリエイティヴな直感の背後にあり、生命を保存する力です。 それは、エンスージアズム、すなわち熱意やイマジネーションを喚起し、イニシアティブを振るい起こす力です。こうした力を活用することなく、成 功した指導者はどこにもいません。 健全な肉体を維持するためにも、性的な感情は必須なものです。それは、大自然のもたらしたさまざまな工夫の一つです。 性的な感情が昇華されると、人間の声に調子や声量の変化が生じます。 それが実際の言葉となって発せられるとき、パッションや豊かな感情が効果的に相手に伝わります。性的なエネルギーは、人間の声を音楽的 に高め、時にはそれが、感動的な美声を生むことさえあるのです。 一般に人間の声の調子は、背後にある感情によって左右されるものです。性的なエネルギーは、人間の持つ内面的な力の中では最も情熱的 で激しいもので、愛の感情の次に重要な基本的なモティベーションの一つです。 弁護士、芸術家、そして有能なセールスパースンや自己を表現することによって生計を立てている人は、性的なエネルギーを社会的な目標を 実現するためのエネルギーへと転化した人々です。 彼らは、エネルギーを転換するための方法を身につけているわけですが、これは実に有意義なことです。 性的なエネルギーが豊かであることは、少しも異常なことではありません。 ただしそのエネルギーを、社会的な目標を実現するための原動力へと転化する術を知らなければ、豊かなエネルギーは、本人にとっては負担 になるだけでしょう。 まとめ あなたのパースナリティは、あなたを他人から区別する心理的、精神的、肉体的特質をトータルしたものであり、第3者があなたを好むか嫌うか もそれによって決まります。 パースナリティ、つまり個性とは、人生を生き抜くための手段です。他人との摩擦をさけ、他人による反対を押えて友好や協力を生み出すのも、 あなた自身のパースナリティです。 明るく前向きなパースナリティの持ち主は高い地位や収入を得、一方、否定的で不愉快な性格の持ち主は責任ある地位に登ることはできな い、という事実によってパースナリティの財産としての価値を知ることができるでしょう。 こうした事実をよく考えてください。 そして他人を不快にすることがないよう、あなたのパースナリティを勇気をもって分析し、必要なら新たなものに造り上げることです。 「真の友は、決して欠点を指摘することはない」と言われますが、あなたの人生から悲惨、敗北、失敗、反対を取り除くためには、自分で自分の 欠点や否定的な要素を知る必要があります。 このプログラムの中には、あなた自身のパースナリティを知るための道具がセットされています。 他人を理解する脳力は大切ですが、あなた自身を理解する脳力も同じように大切です。 有史以来、あらゆる哲学者は、"汝自身を知れ!”と唱え続けて来ました。 しかし、自分のパースナリティと言われるものの資質を的確に把握することができなければ、自分自身を知ることはできません。 自己を分析すること、克己心に基づいて行われ、自己の欠点を認める勇気とそれを克服しようとする意欲が必要です。 哲学者は、自分の個性を、まず一つの全体としてとらえ、次にその要素を一つ一つ分析して長所と短所、意義と限界を明らかにします。 哲学者にとって自己を分析するということは、それによって己自身を知るだけでなく、他者を分析し、理解することが可能になるわけですから、 実に大きな価値があるわけです。 パースナリティの魅力を損なうさまざまな習性 次に挙げるのは、パースナリティの魅力を損なう悪しき習性から脱出するためのチェックリストです。これらはほとんどの人が無自覚に行ってい る習慣です。このチェックリストを活用するだけで、あなたのパースナリティの時価は、確実にはねあがります。 1.他人の話に割って入らないこと。 2.あからさまな利己主義、あるいは心に秘めた自己中心主義を捨てること。 3・中傷や皮肉、その他の否定的な言葉は使わないこと。 4.事実とは関係のない誇張をしないこと。 5.虚栄心と訣別すること。それは劣等コンプレックスの裏返しにすぎないことを知ろう。 6.すべてのことに関心を持つこと。無関心は、あなたが考えている以上に、パースナリティを傷つける。 7.見えすいたお世辞を言わないこと。率直な賞賛も、過ぎれば逆効果になることを知ろう。 8.人と話をする時の姿勢や言葉づかいに注意すること。 9.自慢、はでな服装、会話の独占などで注目を集めようとしないこと。 10.相手の知らない言葉や話題を持ち出す事で、自分の優位性を印象付けようとしないこと。また、知ったかぶりをしないこと。 11."巧言令色”つまり言葉をうまくかざり、顔色をうまくつくろうことに象徴される不誠実さと訣別すること。 12.他人の悪口や中傷、安っぽいうわさ話を会話のテーマにしないこと。 13.他人のあらさがしをしないこと。また、悲観主義者にならないこと。 14.意見のくいちがいに腹を立てないこと。 15.くよくよしないこと。 16.他人の才能や業績をけなさないこと。それによって、あなたが賢く見えるわけではありません。 17.頼まれもしない忠告をしないこと。これは余計なお世話というものです。 18.自分が理解できないことを理由に、否定したり批判したりしないこと。 19.嘘や言い逃れをしないこと。たとえ誰一人傷つけないとしても、嘘や言い逃れをする者は信用されません。 20.自分に都合の悪い事実でも、受け入れる度量を持つこと。 21.他人の尊厳を犯さないこと。言葉による冒涜だけでなく、行為による冒涜もあなたのパースナリティをいやしいものにします。 22.激しい感情をコントロールすること。騒音を立てて、近所に迷惑をかけるようなことは、あなたのパースナリティの価値を暴落させます。 23.明確で具体的な願望や目標を持つこと、願望や目標がないことは、無気力、無関心への最短距離です。 24.何かを得ようと思うのなら、まず何を与えられるか考えること。 25.大自然の法則から逸脱しないこと。 優れたパースナリティを身につけるために、このチェックリストをただちに活用してください。それは、あなた自身を知るうえでも有益なことです。 この25の悪習を断つことができれば、少なくともあなたは、他人に嫌われるようなことはありません。 そして優れたパースナリティを着実に身につけているのだ、という自信を持つことができるでしょう。 〈積極的な心構えの意味するもの〉 人々を成功へと導く優れたパースナリティの中で、積極的な心構えは、最も重要です。 そこで積極的な心構えを身につけるために必要な、いくつかの重要な要素について考えてみることにします。 〈明確な願望や目標〉 はっきりとした願望や目標を持ち、その実現のために努力することが習慣になれば、それ以外の無意味なことに時間やエネルギーを振り向け ることがなくなります。 積極的な心構えは、そこから生まれます。 〈静かな時間を作る習慣〉 瞑想や沈黙、黙考を行うために、毎日、一定の時間をさいてください。 仕事や家庭の雑事から心を解き放ち、願望や目標の実現に思いをめぐらしてください。願望が実現したときのイメージを具体的かつ鮮明に思い 浮かべることで、実現はますますゆるぎないものとなり、またそうすることでヤル気も沸いてきます。 〈自分自身の中で調和を保つ〉 心の調和やバランスは、願望や目標に従って生きることや、決断の早さによって保たれます。また過去の敗北の経験、不安、恐怖などに対して 防壁を築くことで守られます。そして、他人と調和をはかろうとするなら、まず自分自身の心の調和を求めることです。そうすれば他人との調和も できます。 〈健全な肉体〉 健全な肉体は、日頃の健康づくりと自己コントロールのたまものです。健康の維持は人生の成功にとっても決しておろそかにできない重要な要 素なのです。 〈心配を取り除くこと〉 一般に次の事実を知ることで、悩みや心配を取り除くことができます。すなわち、悩み事というものは、客観的に見れば根拠が薄弱で、本人だ けが深刻になっている場合が多い、ということです。 人間には、 1.解決できる悩み 2.解決できない悩み の二つしかありません。 それが解決できる悩みかどうかは、紙にその悩みを書き、解決策を列挙していくうちに、答えが出てきます。また、悩みの解決も一つの願望設 定としてとらえることができます。このようにして悩みの解決をはかるとよいでしょう。 解決できない悩みについては、それはもうそういう定めになっていたのだ、と考えることで思わぬ安息を得ることができる場合があります。とは いえ、これはあきらめることをすすめているわけではありません。悩みを客観視し、そのうえで少しでも悩みをやわらげることは誰にでもできます。 悩みを客観視するというのは、いわばいやな客が訪ねてきたといったふうに考えることです。いやな客でも、対応次第でそのいやなレベルを低め ることができます。 人が他人の中に捜し求めるもの、積極は自分自身の姿なのです。 他人の長所を見つけることが、自分の成長につながるのはそのためです。 ためらいの気持ちや疑いの念を解消してくれるのは、他人の長所に学ぶ姿勢です。 〈自分を支配している人生観をコントロールする〉 支配的な人生観とは、長期間にわたって1人の人間の生き方や考え方を決定づける思想のことです。 心を建設的な考えで満たし、否定的で非生産的な考えのつけ入る余地を与えず、物事を前向きな言葉で語るとき、その思想は積極的な意識を 人間に与えます。 人間を支配する人生観は、明確かつ具体的な願望や目標によって裏づけられた意欲によって、コントロールすることができます。 〈発言をコントロールする〉 話し言葉は、良くも悪くも強力な武器になります。 積極的な心構えと優れたパースナリティのためには、悪しき言葉は否定しなければなりません。 言葉はすべて、話し手の心にその形跡をとどめ、性格の一部となるのです。 〈話すときに微笑むこと〉 話すときに微笑むことは、言葉を和らげ、その意味に好ましいニュアンスを与えます。それは本人だけでなく、相手の心理にもとても良い影響を 及ぼします。 〈感情をコントロールする〉 自分自身の感情をコントロールすることは、積極的な心構えを身につけ、それを維持するためには必要不可欠です。 否定的な感情と肯定的な感情の双方を、完全にコントロールすることを覚える必要があります。これらはこのプログラム全体を学んでゆくうちに 身につけることができます。 否定的な感情は、肯定的な感情を強調することで、消滅させることができます。 〈成功者をみならう〉 偉大な成功者の日常の行動をみならうことにより、あなたもその偉大な成功者の行動や考え方のコツを身につけることができる場合もありま す。 PMAプログラムやHSSプログラムなど一連のナポレオン・ヒル・プログラムは、数多くの偉大な成功者の思考と行動のパターンを分析し、体系 化したものですから、これだけでも十分といえましょう。 ただ、ある特定の事業などにおいて、偉大な成功者となった人に焦点を定めたい場合、これらのプログラムと同時に、彼等と直接親交を結ぶ か、伝記などを読むのも無駄ではありません。 〈プラスアルファの努力〉 見返りや報酬を求めることなく、与えられたもの以上に与える習慣は、積極的な心構えを生み出すための最善の道です。 この習慣は、短期間で身につけることはできません。努力と意欲が必要です。 そして第一になすべきことは、自分自身を分析し、その力を知ることです。 自己分析と自己調査を勇気をもって行うことは、パースナリティを改善するための第一歩です。 この改善をさらに強力に推進するためには、周囲の人々のあなたに対する態度の変化が必要です。特に協力の申し出や友好的な態度は、あ なたを素晴らしい人間に変える魔法の力です。人々の態度の変化は、あなたがプラスアルファの努力を続けて行く過程で徐々にあらわれてきま す。 自分を調査し、分析することは、さらに別の効果を生み出します。 それは自意識です。ここでいう自意識とは、自分自身に対する"気づき”のことです。そして自意識が生まれることで、他人のパースナリティがよ り鮮明に感じられるようになり、人間を理解する脳力が与えられることになります。 優れたパースナリティを持つことの利点 自発的な行為はモティベーションから生まれます。 では一体優れたパースナリティは、何をあなたにもたらすのでしょうか? 1.優れたパースナリティは、他人の協力を呼び寄せ、マスターマインドの提携を準備します。 2.願望や目標を実現しようとする過程の中で、成功の条件である積極的な心構えを維持することができます。 3.リーダーシップの持ち主、という資格が与えられます。 4.心に調和をもたらします。これは人間関係を円満に保つための必要条件です。 5.財産を獲得するための力強いうしろだてとなります。 6.自信を築き上げてくれます。 7.敗北や挫折に負けない強い精神力をもたらし、結果的に勝利を可能にします。 8.他人に信頼され、人気者になれます。 9.人間関係を円滑に進め、摩擦を解決することができます。 優れたパースナリティには、まだまだたくさんの利点がありますが、魅力的なパースナリティを身につけるための努力を正当化するには、ただ一 つの利点だけで充分です。 人に好かれる性質とは、決して先天的なものではありません。魅力的で人より優れたパースナリティは、努力して身につけようとすることではじ めて得られるものです。 そして、とりわけ大切なことは、誠実に人を愛することです。 憎しみは憎しみを生み、嫌悪は嫌悪を生みます。無関心は無関心を生み、利己主義は利己主義を生みますが、それと同じように、愛は愛を生 むのです。 キリストが、 「すべて人にしてもらいたいと思うことは、人にもまたそのごとくせよ」。 と諭したとき、彼は、愛は愛を生み、憎しみは憎しみを生むことを理解していました。 かくして優れたパースナリティは、物質的にも巨大な富をもたらすだけでなく、人々の内面に寄与して、その精神を豊かにします。 優れたパースナリティは、誠実な努力を積み重ねて、はじめて獲得できます。しかし、これで終わりというものではありません。これは一生を通し ての努力なのです。 謙虚な人にとって、こうした資質を手に入れることは難しいことではありません。 不当な代償を支払うことなく、また誰一人として苦しめることなく、ごく自然に手に入れることができるのです。 あなたのパースナリティは、あなた自身のものです。もし改善しようとするのであれば、自分のパースナリティを知る事が先決です。 "汝自身を知れ!” すべての時代を通して、偉大な哲学者や宗教家はそう叫び続けてきました。 "汝自身を知れ!” この言葉をしっかりと胸に刻みつけてください。そうすればあなたの希望は、きっと叶えられるでしょう。 あなたのパースナリティを高めて下さい。そうすればあなたは、運命の支配者となり、魂の統率者となることができるでしょう。 現在のあなたの状態から、ただちに行動を開始しましょう。 そうすればあなたは、あのエマースンと共に、次のように言うことができます。 「事を成せ! されば力は与えられん」 最後に考えていただきたいことは、このセッション5を充分に理解すれば、人間関係全般を改善し、友好関係を作り出すための具体的な手段・ 方法が与えられる、ということです。 好ましい個性とは、しっかりとした自分の生き方や考え方を持つことから生まれるものです。それ自体が一つの重要な課題であり、要素なので す。 人間のパースナリティは、最大の財産か最大の負債のどちらかです。 それは、本人がコントロールできるもの、つまり精神、肉体、魂を含むものです。パースナリティは、その人のものです。彼の思想、行為、他人と の関係、あるいはあなたが世界の中で占める位置すら、パースナリティが決めるのです。 このように人間のパースナリティは、絶対に無視し得ない一個の存在なのです。 SELF TEST SESSION 5 パースナリティ 〈part Ⅰ〉 ※このテストは、あなた自身のための自己テストです。 答えを○で囲むか、記入してください。 1.心理学者の発見によれば、どんな職場や家庭においても独自の_______がある 1.発想 2.パースナリティ 3.規則 4.組織 2.いかなる状況の変化に対しても、安定した対応ができる習慣とは、? 1.柔軟性 2.礼儀正しさ 3.パースナリティ 4.如才のなさ 3.最も有益かつ最小の努力によって獲得できる性質とは? 1.柔軟性 2.礼儀正しさ 3.如才のなさ 4.感じの良い声の調子 4.適当な時に的確な言動をなすことを、________と言う。 1.柔軟性 2.礼儀正しさ 3.如才のなさ 4.寛容さ 5.あらゆる対象をつねに受け容れることができるのは、優れたパースナリティの一つの特性、______と呼ばれる。 1.柔軟性 2.礼儀正しさ 3.如才のなさ 4.寛容さ 6.ユーモアを解する心は、_________に対して強い抵抗力を持つ。 1.積極的な心構え 2.忍耐力の欠如 3.率直な言動 4.正義 7.効果的なスピーチをする際に最も重要なことは、自分が______課題について充分な知識を持っていることである。 1.読む 2.聞く 3.話す 4.研究する 8.人間の偉大な脳力の一つは、_______である。 1.論理的思考力 2.論争脳力 3.会話の管理 4.感情の抑制 9.あなたを他人から区別し、独自性を保障するものは、_______である。 1.思考 2.感情 3.意識 4.パースナリティ 10.次の要素のうち一つは、積極的な心構えではない。 1.明確な目標 2.健全な肉体 3.マスターマインド 4.感情の抑制 〈part Ⅱ〉 ※質問をよく読んでお答えください。質問の主旨に関することなら、好きなだけ回答していただいて結構です。 1.あなたのパースナリティをどのように定義しますか? 2.なぜ積極的な心構えが、優れたパースナリティの第一の要素なのですか? 3.優れたパースナリティを形成する上で、なぜ迅速な決断力が求められるのですか? 4.常に関連づけなければならない、優れたパースナリティの特徴とは何ですか? 5.あなたは気転をどのように考えますか? また、気転の有無によって個人の人間関係はどのように変化するでしょうか? 6.なぜユーモアを解する心が大切なのですか? 7.魅力的なパースナリティを破壊する、5つの悪習を挙げてください。 8.優れたパースナリティがもたらす利益を、5つ挙げてください。 9.どうしてパースナリティは、人間にとっての最大の財産なのですか? 10.なぜ仕事と遊びの間にバランスを保つことが必要なのでしょうか? 11.このセッションを勉強して、どのようなノウハウや発想を学びましたか? (1)そのノウハウや発想は、あなたにとってどのような意味がありますか? (2)そのノウハウや発想を、どのように活用するつもりですか? 12.このセッションを勉強したことで、あなたは何を始めますか?
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