パートナーシップの構築 - Marshall Goldsmith

Leadership Excellence
パートナーシップの構築 理理想的なリーダーは、内部・外部でパートナーシップを構築する⼈人のことだ。 マーシャル・ゴールドスミス 最近の研究で、私たちは 200 名以上の⾼高い潜在⼒力力を持つリーダーたちにインタビューし、現在
の理理想的なリーダーについて語ってもらった。結果は明⽩白だった。理理想的なリーダーは、内部・
外部でパートナーシップを構築する⼈人である。 内部のパートナーシップは、直属の部下、仕事仲間や上司を含む 1.
直属の部下との連携 従業員と組織との歴史的な「結束」は変わってきた。従業員はもはや組織から雇⽤用を保障して
もらうことを期待していない。保障は⼩小さくなり、ブランド・ロイヤリティも低くなっている。
潜在⼒力力の⾼高いリーダーたちは、⾃自分⾃自⾝身を、伝統的な「従業員」ではなく、「フリー・エージェ
ント」と⾒見見ている。理理想的なリーダーとは、「ウィン・ウィン」の関係を発展させ、個⼈人的な成
⻑⾧長と発達に敏感な⼈人である。その代わり、部下は価値を返す責任を感じている。部下は未来の
リーダーを上司ではなくパートナーと⾒見見ている! 知識識労働者の管理理職は(知識識労働者とは⾃自分たちのやっていることを上司よりもよく知ってい
る⼈人たちのこと)、良良きパートナーであらねばならない。彼らには選択の余地がない! もし彼ら
が素晴らしいパートナーでないなら、素晴らしい部下を持てない。 2.
仕事仲間との連携 成功したリーダーたちは、境界をぶち壊すために⼈人、資本、アイデアを共有するだろう。CEO
は組織の成功によって報いられるので、CEO は仕事仲間が管理理に必要な専⾨門性と幅広さを発達
できるよう共有されなければならないことを、成熟事業が⾼高成⻑⾧長事業に資⾦金金を移転できるよう
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資本が共有されなければならないことを、⼈人が成功と失敗から学べるようアイデアが共有され
なければならないことを知っている。 それらの利利点は CEO のいる全体がよく⾒見見渡せる場所からも簡単に分かるが、実⾏行行するのは難し
い。リーダーは交渉と「ウィン・ウィン」の関係に関するスキルを発展させる必要がある。彼
らは、⼈人、資本、アイデアを共有することを学ばねばならない。ある場合では、彼らは組織が
⻑⾧長期的な利利益の実現のために、短期的な損失を経験することを選ぶかもしれない。過去におい
て、多くのリーダーたちが、同僚僚と⼈人、資源、アイデアを争い、この競争に「勝つ」ことで報
いられてきた。将来において、リーダーは仕事仲間とパートナーとして恊働しなければならな
いだろう。 3.
上司との連携 リーダーシップの役割の変化は、上司と直属の部下の関係が双⽅方向で変わる必要があることを
意味する。多くのリーダーは、コンサルティング会社のマネージング・ディレクターのように
機能するだろう。彼らはネットワークの中でリードするパートナーであって、階層の中でリー
ドする管理理職ではない。コンサルティング会社のマッキンゼーでは、ディレクターはクライア
ントについての詳細な知識識はよりジュニアなパートナーほど持っていない場合がある。リーダ
ーは彼らが与えられた⽅方向がクライアントの最善の利利益にならないと思う時、上司に挑むよう
訓練されている。この哲学は、リーダーに上司と⾮非常に責任のある関係を持つことを教える。 未来のリーダーは、リーダーの個別オペレーションに関する知識識と、上司のより⼤大きなニーズ
に対する理理解⼒力力を結合するチームアプローチで上司と仕事をするだろう。そのような関係は、
責任を取ること、情報を共有すること、ミクロとマクロの視点を両⽅方持つよう努⼒力力することな
どが必要である。部下が上司よりもよく知っている時、彼らはどのようにして「影響⼒力力を上に
及ぼす」かについて学ばねばならない。 組織の外 リーダーは顧客、サプライヤー、競合とも連携しなければならない 2
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1.
顧客との連携 企業が⼤大きくなり、グローバル化するにつれて、そこには独⽴立立した製品の購買から統合された
ソリューションの購買への移⾏行行がある。この移⾏行行の理理由の⼀一つが、規模の経済である。ホーム
デポやウォルマートのような⼤大規模⼩小売り企業は、何千もの販売会社と取引したくない。彼ら
は少数の販売会社と仕事をするのを好む。それらの販売会社は、製品だけでなく彼らのニーズ
を満たすようカスタマイズされた配送システムを提供する。また、多くの顧客は単なるハード
ウエアやソフトウエアではなく、今や「ネットワーク・ソリューション」を望んでいる。 サプライヤーの顧客との関係が変化し続ける時、供給組織のリーダーは販売員のようではなく、
よりパートナーのようになる必要があるだろう。単に短期的な売上ではなく、⻑⾧長期的な顧客と
の関係性の構築に向けたトレンドは、サプライヤーに顧客の事業全体に関するより深い理理解⼒力力
を発展させなければならないことを意味している。彼らは、⼤大きな利利得を実現するために多く
の⼩小さな犠牲をしなければならない、要するに、彼らはパートナーのように振る舞う必要があ
るだろう。 2.
サプライヤーとの連携 統合されたソリューションへの移⾏行行が進むにつれて、リーダーはサプライヤーとの関係も変え
なければならない。例例えば、IBM のビジネスの多くが今や、⾮非 IBM 製品やサービスを取り込ん
だカスタマイズされたソリューションを伴っている。IBM の⾮非 IBM 製品を売るというアイデア
は過去にはほとんど聞かれなかったが、顧客への利利点にとって今では IBM ⾃自⾝身にとっても当た
り前となっている。同じ傾向は、製薬業界や通信業界でも起きている。 企業が単独の製品を売っていた世界では、サプライヤーとの連携は不不必要なだけでなく、倫倫理理
に反するとして⾒見見られていた! 企業の仕事は、「サプライヤーをたたいて」最低価格を出させ、
利利ざやと収益性を増加させることであった。今⽇日、多くのリーダーは⾃自らの成功はサプライヤ
ーの成功と直接関連があることを理理解している。事実、ある企業では、コア・バリューの⼀一つ
にサプライヤーに対するコミットメントを含めている。彼らは違いを超越し、共通の価値に注
⽬目している。それは製品やサービスのエンドユーザーに奉仕することである。 3.
競合企業との連携 3
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リーダーのパートナーとしての役割の最も極端な変化は、競合企業との提携にある。潜在⼒力力の
⾼高いリーダーのほとんどは、競合企業を潜在的な顧客、サプライヤー、パートナーと⾒見見ている。
知識識労働者に頼るほとんどの組織は、競合企業との多様かつ複雑な関係を持っている。今⽇日の
競合企業が明⽇日の顧客になる時、「勝つこと」の定義が変わる。⼈人は記憶を持つ。彼らの事業を
壊滅させようと不不当に「攻撃してくる」競合企業は、⼿手厳しい結果が待っているだろう。競合
企業は談合や不不当な慣⾏行行を期待すべきでなく、誠実さと公平な取引は期待すべきだ。 提携に向けたこの六六つのトレンドは、お互いを補強している。⼈人が雇⽤用の保障が少なくなって
いると感じるにつれ、彼らはサプライヤー、顧客、競合企業を潜在的な雇⽤用主として⾒見見始める。
リーダーが他の組織について多くを学び、⻑⾧長期的な関係性を構築し、「ウィン・ウィン」のパー
トナーシップを発展させなければならないという事実は、他の組織がそのリーダーをより雇⽤用
する傾向にあることを意味する。これはしばしば両⽅方の組織にとってポジティブなことだ。ア
ウトソーシングの傾向が増えるにつれ、誰が顧客、サプライヤー、直属の部下、上司、パート
ナーであるかを⾒見見極めるのが難しくなる。 将来のリーダーはそれらの関係を管理理するスキルを持つ必要がある。多くの点で、直属の部下
(私たちよりも僅かしか知らない)に何をするべきかを伝えることは、(私たちよりも良良く知っ
ている)パートナーとの関係を発展させるよりもずいぶんと簡単である。「サイロ」で働くこと
は、同僚僚とパートナーシップを構築しなければならないことよりも簡単である。上司から「指
⽰示を得る」ことは、顧客のニーズを満たしていないアイデアに挑戦しなければならないことよ
りも簡単である。顧客に製品を売ることは、統合されたソリューションを提供することよりも
簡単である。サプライヤーから最低価格を引き出すことは、彼らの複雑な事業ニーズを理理解す
ることよりも簡単である。競合企業と競争することは、複雑な顧客・サプライヤー・競合関係
を発展させなければならないことよりも簡単である。 リーダーシップの課題は増加している。誠実さ、ビジョン、⾃自⼰己の⾃自信のような伝統的な性質
の多くは、いまだ必要とされている。しかし、パートナーシップの構築は未来のリーダーにと
って、選択肢ではなく、必須条件になっている。 4
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マーシャル・ゴールドスミス博⼠士は、2011 年年と 2013 年年にシンカー50 より世界の最も影響⼒力力
のあるマネジメント思想家 10 名の⼀一⼈人として選ばれた。彼はまた、2011 年年には世界の最も影
響⼒力力のあるリーダーシップ思想家に選ばれた。マーシャルは、2011 年年と 2013 年年のシンカー50
のリストで最も⾼高く評価されているエグゼクティブ・コーチであった。著書の「What got You Here Wonʼ’t Get you There」は、INC マガジンと 800CEO リードの両⽅方で、2013 年年のトッ
プ 10 ビジネス書として掲載された(7 年年連続)。マーシャルのエンゲージメントに関する刺刺激
的な新しい研究は、近⽇日発売の「Triggers」(Crown, 2015 年年)にて発表される。 和訳:秋元祐次郎郎(株式会社秋元アソシエイツ、http://www.akimotoassociates.co.jp) Translation by Yujiro Akimoto, Akimoto Associates, Inc., Tokyo, Japan 5