Instructions for use Title フランスにおける政治生活 Author(s) ロベール

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Issue Date
フランスにおける政治生活
ロベール, ジャック; 深瀬, 忠一(訳)
北大法学論集, 17(3): 1-28
1967-02-28
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/16076
Right
Type
bulletin
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17(3)_p1-28.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
フランスにおける政治生活
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仏
g旬。ロEr--EV)
前に迫った一九六七年国民議会総選挙理解のために絶好のすぐれた解説となろう。原文全部も本号に別に掲げ、また、懇談会の内容
本稿原文は、ロベール教授が一九六六年七月一六日、北海道大学法学部主催で行なわれた講演の原稿に手を加えられたもので、目
る。一九六六年四月より、東京の日仏会館フランス入学長となって来日され、精力的な活躍をしておられる。
プ ル 法 経 学 部 教 授 に 転 じ 、 今 日 に 至 る 。 一 九 六 二 一 年 に 、 戸 回 目 。ERr-巾自民225 を 出 版 ( ﹁ の ・ ロ ・ ご し た ほ か 、 多 数 の 論 文 が あ
学 部 教 授 と な り 、 一 九 六O 年 に 至 る 。 後 モ ロ ヅ コ の 首 都 ラ バ の 法 経 社 会 科 学 部 の 教 授 に 転 任 派 遣 さ れ て い た が 、 一 九 六 二 年 グ ル ノ ー
- ロ・﹄・社より出版)は、可国己ロgny自 己 賞 を 受 け た 。 一 九 五 六 年 法 学 部 公 法 教 授 資 格 試 験 に 合 格 、 ァ ル ジ 工 法
(一九五六年 F・O
OE去FEuR広
年 に は 、 そ の 論 文 戸250F己
J ・ロベール氏は、一九二八年アルジェリアのアルジェに生れ、ァルジェ法学部を卒業、パリ法経学部博士過程を終了、一九五四
ブ
ったロベール教授に深く感謝したい(訳者)。
の 要 約 は 、 九 月 のM ・ デ 且 ヴ ヱ ル ジ ェ 教 授 講 演 ・ 演 習 の 要 約 と と も に 資 料 と し て 収 録 し た 。 多 忙 中 、 本 誌 に 貴 重 な 論 稿 を 寄 せ て 下 さ
)
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(
3・ 1
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、、、、、、、
この六ヶ月来のフランスが、政治面で、 ニュースの話題にこと欠かなかったことはたしかです。大統領選挙戦、そ
の選挙が決選投票にもち込まれたこと、ベ γ ・ バ ル カ 事 件 、 北 太 西 洋 条 約 機 構 に 対 す る フ ラ ン ス の 態 度 、 ド ゴ l ル 将
軍のモスクワ旅行の発表等々。そのように多くの出来事が次から次へと観察者の注意をひき、世論の深刻な関心を喚
び起しました。
もちろん、現代世界は一般的にいって、われわれを単調さに慣れっこにさせるようには殆んどなっていませんし、
また歴史のそれぞれの時期には注意を喚起し釘付けにするような何らかの重要な事実があったということができます。
、、、、、、、、、、、
しかしながら、現時点におけるフランスの政治的状況を特徴づけているところのものは、世論が争う余地なく覚醒し
たということです。構造が革新されたとか綱領およびスローガンに斬新なものがでてきたといったような状況に直面
プレザ&
したわけでは決してありません。そうではなく、 フランス国民がドゴール将軍という一人の人聞に、思考する重荷を
ポ λチユラ
委ねてしまって白から思考する荷を負うことをやめた八年間の後に、世論がその仮眠状態からぬけ出し、自己の現状
フランス人は既得の真理のようにみえたところのものが
につき自問し、それまで承認されてきた公理に改めて疑問をもつようになったということが争いえないのです。では
、、、、、、、、、、、、、
この覚醒は何に起因するのか。それは本質的には、去る二一月の大統領選挙がブラシス人の精神に与えた衝撃によ
る、とわれわれには思われるのです。
まず三週間の問、 ついで一五日間 (二回の投票の聞の)、
改めて問題にされるのをみました。そしてこのような問題の再吟味は、総じていえば、数人の立候補者がそれぞれ自
分の力伺にしたがい、自分を支持する人達のために働らき、自分のスタイルと自分の個性をひっさげ、争いようのな
い風貌をもって相たたかうことによって、なされたのでした。
、、、、、、、、、、、、、ァンパグト
決選投票が必要となった理由の一つは、選挙戦によって惹起されたこの﹁対決﹂の意義をドゴール将軍がやや軽視
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フラソスにおける政治生活
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最近では、 信仰告白的学校に補助金を賦与することに対する
した(有名なドレフュス事件です )o その後、﹁直接行動連盟﹂が議会主義の襲撃に突進したときフランスはあやうく
リーグ
フランスは第一次大戦前に、 イスラエル系プラゾス将校が売国行為をしたか否かを知ろうとして深刻な分裂をみま
現在も興味をもってはいません。そこにフランス政治生活の不変数があります。
題とは何でしょうか?
、、、、、、、
それは、何といっても園内政治の問題です。フランス人は要するに、対外政策には決して興味をもたなかったし、
ではいったい、現在まき起っている論争の中心に位置し、その議論が今日の政治生活す]方向づけているような大間
フランス人は新たに、公的な事柄に関心をもつようになり、大論争に興味をもつようになりました o
証明しています。
フラソス・ラジオ・テレヴィジヨ γ ・放送の自由主義的な新らしい態度、﹁対面式﹂の放送は、この深刻な変化を
フアス・ア・フア λ
この選挙戦はフランスに、この時以来撤回することのできない状況を創り出しました。
す
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・
・
・
・
・
。
策が存在するような場合、ある個人を選挙するにあたってこの議論の説得力を働らかせることははるかに困難なので
だという議論が容易に説得力を働らかせえたでしょう o しかし多くの立候補者が対決し合い、 した、がって代りの解決
または﹁反対﹂によってしか解答することのできない人民投票の場合ならば、否定的な解答があった場合は﹁虚無﹂
一つの政治的誤りでした o
立
していたことに由来するのではないでしょうか?
ス
という表現を用いたことは、
フ
内戦に陥って崩壊しそうになりました(一九三四年
)
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第二次大戦の少し前の、
エチオピヤ派兵に対するファシスト・イタリヤを制裁する国際連盟の議決
非難の動議が(純然たる園内政治の問題)、 フランスにおいて数百万の署名を集めるに至っています:::。
﹂れに反し、
一九三八年におけるミュンヘン会談や、 よりわれわれに近い時期のものとしては、 ドゴ l ル将軍の政府による共
アン・テルム
-F
(訳者註1
考﹂されているからです。
﹀
一般的にその意味を検討するとすれば、何よりも先ず国際的な現象であることは明らかです。植民
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人聞を仲介とする││二つのイデオロギー・ブロックの戦いであ
フランス人民が苦汁にみちたインド支那の抗争に当初から関心をもっていなかったなどということはできません。 L
合にのみ役立つべきものでした。国内世論にとっては、非植民地化は何よりもまず国の内部の問題です。たしかに、
行動を正当化してきたのです。しかし実際には、 フランスの圏内の世論にとって、これらの議論は対外的に用いる場
免かれているわけでは決してありません。まさにそのような仕方で、 フ ラ ン ス は 海 外 の 所 有 領 地 に あ っ て 遅 延 作 戦 の
り、また自分達の敗北は自由の敗北である:::と叫びたてることに気をつかってきました。フラ γスもこの規則から
に対して戦っているのだとか、自分達の戦いは
地保有諸列強が、後衛的戦闘に従事する場合にはいつも、世界の面前で、自分達は自由世界の防衛のために共産主義
非植民地化は、
いては国内政治との関係において﹁思
ってわれわれの主張の弱点を突かれたとは思わないのです。 なぜなら非植民地化とかヨーロッパ機構はフラソスにお
たのです。
、、、、、、、
対外政策の諸問題についてフランス人の世論がこのように不熱心であることに対しては、 ﹁非植民地化﹂と﹁ヨ l
、、、
ロッバ﹂というこつの劇的な問題を提起して反論することはたしかにできるでしょう。しかしわれわれは、それによ
した。これらの出来事は甚だ重大なものだったにもかかわらず、 せいぜい何日かの間新聞が語っていたにすぎなかっ
産主義中国の承認あるいは共和国大統領のラテン・アメリカへの旅行など:::は、殆んど情熱をわきたたせませんで
や
説
論
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フランスにおける政治生活
かしフラ γスの人民が自分に関係しているとほんとうに身にしみて感ずるに至ったのは、 フランス政府がインド支那
に ﹁ 徴 兵 定 員 ﹂ を 送 る こ と を 考 え は じ め た 時 に で し た 。 職 業 軍 人 だ け が 死 ん で い る 聞 は 、 フランス人民は、結局この
戦争は﹁傭兵﹂の戦争だと考えて割切っていました。フランスの息子達がその生命を危険に曝しに行くことになった
その時からこの戦争は、人々の精神と世論とその態度とを一変させたのです。イ γド支那戦争は、 フラ γスの青年達
がその手を白から﹁汚す﹂ことになるのを恐れるようになった時はじめて、﹁汚なく﹂なったのです:::。
アルジェリアについても、行動様式はそれに近いのです。フランス人民は、軍がフランスにおける文民政権にとっ
パシイプイカシオン
て危険な存在となることなく叛乱を軍事的に制圧できる左考えられるかぎりにおいて、またとりわけこの戦争が国家
予算に重圧となり過ぎることなく維持できるかぎりにおいて、 ア ル ジ ェ リ ア に お け る 鎮 圧 作 戦 を 承 認 し ま し た 。 ア ル
ジエリア軍がパリの政府に対し重大な圧力を政治的に働らかせはじめた時、すなわち共和的諸制度にとって危険なも
のとなりはじめた時にはじめて、財政的な議論が一歩進んでこの戦争はやめるべきだという世論になったのです。ア
ルジエリア戦争の終結が世論によって承認されたのは、国際政治上の理由によるのでは決してないのであって、もっ
ばら世論がパラシュート部隊を恐れたからであり、 ま た 増 税 さ れ る の が 厭 だ っ た か ら で あ る に す ぎ ま せ ん 。 た し か に
非植民化は多くの人々にとっては外交政策の問題であったけれど、 フ ラ ン ス 人 に と っ て は そ う で は な か っ た の で あ り
ます。
ヨーロッパに関しても同様のことを容易に確認できるでしょう。もっともフランス人は、 '11少 な く と も 主 要 な 政
治的指導者の声明によって判断するかぎり、 ヨーロッパについて大いに語っているようにみえますが、││このヨ l
ロッバについての極めて明確な観念というものを殆んどもちあわせていないということを、 つ け 加 え て お き ま し ょ
ぅ。この大陸的機構は、彼らにとってはなお非常に遠いことと考えられ、 そ し て 恐 ら く は そ の 実 現 が 決 し て 目 前 の も
)
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説
論
一九六五年一二月の大統領選挙がヨーロッパをめぐってくりひろげられたと主張することは、
のではないので、彼らはそのあり方の態様に関する議論には、基本的な関心を全く示していないのです。
例えば、
真違いで
す。実際上は正面切っての反ヨーロッパ主義者は一人もいませんでした。 J ・L ・ティクシエ・ヴイニヤンク1ル氏
(国粋主義極右)からフランソワ・ミッテラン氏(共産主義者を含めた左翼統一候補)に至るまで、ドゴ l ル将軍を
含めて││将軍自身もまたそれなりのやり方でヨーロッパ主義者だと考えることができます││あらゆる立候補者が
ヨーロッパの必要性を訴えていました。そうだとするといったいフランスの世論は、祉の底で狙っている現実の内容
に深刻な相違があることを蔽いかくしたままで同じ言葉を使用し、誰もかも好意的な発言をしているような問題に対
して、どうしてほんとうの関心をもつことができるでしょうか;:。誰一人としてヨーロッパが何でありまたどのよ
うになるだろうかについてほんとうに知っている者はいません。もしこの問題にいま少し接近して研究することを試
みようとするなら、 ヨーロッパの本来性質的に異なった二つの観念を区別することを余儀なくされるでしょう。すな
、、、、、、、、、、
わち、 ヨーロッパの政治的観念と法律的観念であって、この二つの観念の各々がそれ自身二つに区分されます。
カナリゼ
に限定する場合には、 ヨーロッパ機構建設の目的は、経済的に再び
政治的意味でのヨ l ロ ヅ バ は 、 要 す る に 、 厳 密 に ﹁ 大 陸 的 ﹂ な 地 理 的 関 連 に お い て 、 あ る い は 地 球 的 関 連 に お い て
考慮することができます。 ﹁ヨーロッパ的空間﹂
強力になったドイツを自由世界の機構の中に統合することによって、何よりもまずドイツを﹁運行づけ﹂ることであ
るように思われます。そのようにすれば、 ドイツが東側の誘惑、すなわち平和条約の問題の最終的な解決への招待と
いう形態に本質が表われている誘惑に屈するようなことを避けることができるでしょう。世界的な視野からすると、
ヨーロッパが東・西の大いなる抗争のなかでヨーロッパ自身の地位を占めることです。ヨーロッパ機構の建設は、二
つの影響圏に世界を分割してその二つのブロックで夫々分け前を持とうと地球規模の論議を夢みているところのこっ
北法 1
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フランスにおける政治生活
のブロッグの聞に第三のやブロックを樹立し、安定と平和の契機として有益な一つのバラ γサーとなるでしょう。ドゴ
ール将軍の政治的ヴィジョンはそこにあるように思われます:::。しかし、そうだとするとこの選択と﹁太西洋のヨ
ーロッパからウラルまで﹂というフランス共和国大統領が屡々用いる表現とはどのようにして調和させることができ
る の で し ょ う か ? 要するに、もし新ヨーロッパ機構の中にソヴェト同盟を包含させるとすれば、そのこと自体によ
ってまさにヨーロッパをその中間に位置せしめようとした二つの事フロックの一つを廃止してしまうことになります。
東の陣営が将来中国によって構成されるということを、ーilそれはなお一つの解決ではありますが 111考えでもしな
いかぎりは。しかしこのようなことになったとしたならば、 ヨーロッパとアメリカ合衆国は恐らく共同戦糠をはるで
しよう。そして、その仮設によれば、 ソ同盟はヨーロッパに包含されるのですから、要するにもはや二つの陣営しか
な い で し ょ う o このことは﹁仲裁者ヨーロッパ﹂という解決を無に帰するものでしょう。
ヨl ロ
きて政治の次元から、 より厳格に法律的な次元に移るとすると、ヨーロッパ機構は、選択される視点次第で、非常
、、、
に異なった二つの途をとることができるように思われます。連合の途または連邦のそれです。
ヨーロッパ連合を欲するということは、経験と政治的理論が久しい以前から確定している憲法的諸機構を、
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ッバのために欲するということです。すなわち、連合構成諸国から委任を受けた代表者のみによって構成され、
員一致﹂の基礎に基づき機能するところの﹁連合議会﹂の原則です。それは、いかなる連合構成国も白から明示的に
同意していない議決によって強制される目に会うことはありえない、 ということを意味します。ゴ lリストの構想は
そこにあるようです。しかしそのようなヨーロッパの実現が可能だと想像することは、最も古典的な歴史の教訓を馬
鹿にすることになります。結局、連合形態をとって極めて輝やかしい運命を赴った例は殆んどありません。連合は弱
体さによって影がうすくなるか、あるいは最も意欲的なグループの権力によって急速に支配されるようになってしま
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うかです。例として引用できるのは、国際機構がその制度を全員一致に基づいて機能させようとした場合のそれら国
際機構の赴った││あまり激励的とはいえない││経験、 また、別な考えの次元でいうと、 ドイツ帝国布告以前のプ
ロシヤがあります。
実際には連合は最も屡々、相当速やかに連邦に変遷しています。アメリカ合衆国およびスイスにとって、連合的法
形態は、連邦に到達するための││とびこえることの必要な││前段階を構成するにすぎませんでした。
ところで﹁前段階としての連合﹂というこの考え方が、現在フランス政府によって再び採用されています。プラン
スにとっては、 ヨーロッパ連邦は今日では時期尚早であろう、 したがって必然的にその以前に連合段階を通過すべき
だろうと o しかしこの構想は実際には一切の真のヨーロッパ機構建設を延期する:::という既定の決断を隠している
ものではないかということを疑問にすることがでます。連邦的解決方法が﹁熟して﹂いないと公言し、 またその実現
までの猶予期聞を││近似的なものすら││決めることを避けて、問題を﹁'無期限﹂に延期しているノのですから。
これとは逆にヨーロッパ連邦を欲するということは、現在の世界にモデルが数多く存在するところのはるかによく
練られた憲法的構造に組することを明らかにすることです。それは、連邦構成国が、連邦政府によってその決定を強
制されることがありえ、 また指導される││構成国が多くの分野において異論の余地のない自主性をどんなに認めら
一致した外交にも、
れていようと││ことを承諾することであり、 また、 ヨーロッパ全住民によって普通選挙により選ばれた連邦議会が
多数決に基づいて議決することを承認することです。それはまた、共通の国籍、単一の軍隊、
なじく同意することです。
誰が現時点のヨーロッパにおいて、 そ こ ま で 行 く 気 に な っ て い る で し ょ う か ? フランスだけについて語るとして
も、フランス人のうちではたしてどれだけが彼らの国籍をやめてしまい、独立の軍隊をもはやもたず、彼らの外交を
お
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フラ γ スにおける政治生活
他国の外交に右へならえさせ、彼らの国民的個性を一般的利益の溶鉱炉の中に溶解させてしまうような、気持になれ
るでしょうかワ
このようにして、真のヨーロッパ機構を全然希望しないが放に連合を欲している人達と、真のヨーロッパ機構を望
むけれども連邦設立による避けられぬ帰結を恐れている人達との間で、どのようにしてフランスの世論がその性格を
﹁もしあなたがヨーロッパ主
真 に 判 別 す る こ と が で き ま し ょ う か ? 実をいうとフランスにおいては、 ヨーロッパとはこれもまた、 ドゴ l ル将軍
という一人の人間に反対せんがため振りまわされる国内政治の選挙戦用の議論でした。
義者であるなら、 ドゴ i ル将軍に反対投票しなさい﹂と好んで言われました o しかし実は誰一人として、フランス共
和国大統領が欲しているものが何であり、 また﹁ヨーロッパ主義者である﹂ということが何を意味するかを、正確に
知っているものはいなかったのです。
では結局のところ、 フランスにおいて世論を熱狂させ、 また政治の檎舞台を占めている真の問題とは何でありまし
ょ う か ? まず第一には、次期国民議会選挙であり、そしてその次には、 フラ γスの政治制度の将来という深刻な問
題です。
一九六七年春にフランスにおいて展開されるはずの次期国民議会選挙に関しては、ここでは次の三つの問題を検討
﹁
ゴ lリスム﹂が維持されるか否かという問題以上でも
しましょう o 選挙の成り行き、現存する政治的諸勢力、そしてこれら諸勢力の戦術。
次期総選挙の結果がどう出るかは非常に単純なものです。
・R (新共和国連合)が総選挙戦で勝利すれば、すなわちもし同連合の旗色の下
以下でもないからです。もし U - N
)
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(
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説
論
に選出された代議士が議会において絶対多数を獲得したとすると、それはフラ γスにおいて来る四年間ゴ!リストの
経験を引続いて追求することであり、 そして諸政党が改めて野党に投げ入れられることになります。それはまた、
ゴール将軍がその第二回目の大統領の任期満了まで在職しないと決めるような場合に、辞職する大統領の支援をえて
いる候補者が共和国大統領に選出されることを予見させます。
場合を規定しているけれど﹀。それとも、
選挙人の審判を法的に認めて屈伏するか。ということは政治の平面では共
辞職すること、このことは疑もなくフラ γスにおける体制の危機を惹起するでしょう︿憲法は共和国大統領の辞職の
微妙な対立状態がもたらされます。ドゴ!ル将軍がそこで採用しうるだろうのは三つの解決に限られます。第一には、
七年の任期で再選されたばかりです)と、将軍の構想に全く同調しない多数派が議席を占めるところの議院との聞に
派が議会に出現するのです。その時には、国の元首の地位になお留っているドゴール将軍(彼は一九六五年一二月に
完全に喪失してしまう。そうなった時は反対派が勝利し、そしてゴ lリスト体制の政治的志向性に対し敵対的な多数
そうではなく、第二の発生可能性として、 U - N・Rが代議士数を激減させるうき目にあい、その多数党の地位を
動的な政治的関連のなかにおいては、第一の状況とかなり類似した状況におかれることになりましょう。
にとはいえなくてもその人格に忠実である M ・R ・P (人民共和派)傾向の若干の代議士も、同様でしょう。より流
和独立派党員はそのような多数への支持の役割を果すものとなりえましょうし、 また、 ドゴ l ル将軍の政策に全面的
置する若干の代議士の協力をうることは U - N ・R にとって容易でしょう。すなわち、 ギスカール・デスタン氏の共
多数獲得のためには若干議員の支持票しか必要としない。この場合には、政治的に多数党と反対党との境界線上に位
-Rが議会において絶対多数を獲得はしないけれども、議会における最も重要なグループを形成し、したがって絶対
もし逆に、 U ・N ・Rが総選挙戦において敗北したとすると、二つの発生可能状態がありえます。 一つは、 U・N
ド
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フラソスにおける政治生活
和国大統領が多数派の列の中から首相を指名することになりましょう(しかしドゴ l ル将軍が白からの意見に対し基
本的な同意を全く示していないような議院と首相に協力できるなどと思ってもみることができましょうか?)。
とも、彼の掌中にある憲法装置を用いて議院を解散するか。しかしこのことは再びフランス人民に発言の機会を与え
ることに帰し、したがって世論が何週間かあとになって意見を変えるわけがあるとは殆んど思われません。そうした
o
場合には第一次投票の結果の確認、すなわち共和国大統領に対する二度目の拒否まで待ってみることになるでしょう
が、今度こそ大統領が辞職を余儀なくされることになりましょう
以 上 に よ っ て 、 次 期 選 挙 戦 に 賭 け ら れ て い る も の す べ て を み た わ け で す 。 で は ﹁ ゴ lリ ス ム ﹂ の 将 来 に と っ て 決 定
的な結果が明らかになるようなこのたたかいを目標として、政治的諸勢力はいかなる態勢をとっているでしょうか?
フランスでは、政党が流動的で数が多いことをもって長い間特徴づけられてきたとしても、現在においてはプラン
一九六五年
スの政治的な諸々の家族が一定の再編成をしだしたように思われます。諸勢力の伝統的な細分化のあとを受けて、現
在では政治的な配置の再結合が行なわれつつあります。この新らしい進化は、全く疑えないことですが、
一二月の大統領選挙に際して諸政党が順応せざるをえなかった必要性に由来しています。この点に関して、元首の普
通選挙による指名がかぎりなく良い効果をもたらしました。この選挙制度は、諸政党が若干の大きな傾向ごとに大同
団結しブロッグを形成することを余儀なくさぜました。最初から大した将来性が全くないようにみえた最高職に対す
る若干の立候補者を別とすれば、 フ ラ ヅ ス の 世 論 を ひ き つ け た の は 三 つ の 大 潮 流 だ け だ っ た こ と は 容 易 に 見 分 け が つ
きます。すなわち、 U-N-Rが推進力となっているゴ Iリストの流れおよびその同盟者達、 M-R ・P および独立
派の全国センターの支持を同時に受けているルカニュエ氏に代表される中道右派、そして長年月の後はじめて大同団
結し(共産党、社会党および急進社会党)プランソワ・ミッテランを指導者にたてた左翼です。
北 法1
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そ
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に対し改めて距離をおくような傾向があるので、
むしろ四政党主義に向いつつある
フランス社会党書記長ギィ・モレ氏のこの点に関する政治分析を信用するとすれば、現在四つの
﹁民主社会主義左翼連合﹂
ところが現時点においては、共産党が(大統領選挙においては左翼単一候補者を細心かつ誠実に支持したのです
が
﹀
、
ように思われます
R!独立共和派﹀、中道右派
重要な政治的グループが存在します。 すなわち、 国家主義的で権威的な右翼 (U-N ・
(M・R ・pと急進社会党の一分派およびC-N ・I の独立派の大部分を再編成し、 ジャン・ルカニュエ氏によって
度、
協定
活発にされている民主主義者センター)、中道左派(共
社和
会制党
急、進 社 会 党 家 族 の 大 部 分 お よ び い ず れ
は恐らく若干の留保づきで加入するだろう統一社会党を衆合した民主社会主義左翼連合によって代表される)、
て最後に共産党。
し
住宅、対外政策面では、軍事的,フロックに対する非介入、ヨ l ロッバ集団安全保障体制の実現、核打撃軍の廃棄、同
化、小中納税者の課税の軽減、社会面では、国による教育の優先および六O 万の住宅を建設しうち三O 万は低廉家賃
うのです。共産党がこの綱領中にとくに掲ぐべきものとして提案したのは、経済面では、資本主義的巨大独占の固有
成させるよう働らきかけました。この綱領に基づいて左翼の統一立候補者を提示することができるようにしようとい
、
共産党の戦術はもちろん最も明快なものです。同党は出発当初から左翼連合をして同党と協調し共同の政綱を作
l
在するのですから、必然的に今のうちから四つの選挙戦術が存在するわけです。
いて、政治的諸勢力が今のうちからそれぞれの戦術を選んでいるのです。フランスの現時点では四つの政治勢力が存
中道諸派の政府か、それとも中道右派の支持をうけたゴ lリストの多数の形成か。この=一つの可能な方式を眼中にお
を試みるとするなら、それは実際上三つしか存在しないことがすぐわかります。ゴ lリストの多数方式か、それとも
さてこれらの現存勢力に応じて、来るべき春の選挙の結果政府がどのような方式で構成されることが可能かの考察
そ
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論
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.
フランスにおける政治生活
時的かつ管理された軍縮の一般化。しかし共産党の司令部は、そのような綱領を作成しようと同党と交渉するはずの
民主社会主義左翼連合に話しをつけることに完全に失敗しました。それのみか、ミッテラン氏の仲間達は自分達││
そして仲間違だけ││の間で一つの綱領を作成し、それを共産党指導者にただ﹁通知﹂しただけでした。なお、厳密
な選挙の平面に限っても現在までのところなんらの合意も成立していません。もし共産党が左翼連合に対してllIそ
してもし後者が遂に共同綱領の討議を承諾したとして││最上位の左翼候補者のために第二次投票において相互に候
補者の取下げをしようという提案に固執しているとしても、この考え方は実際上実現しうる次元の問題としては殆ん
両者の立場の遊離
共産党とどのような討論の機会があろうと改めて問題にすることを全然
日々新たな立候補者名を発表しています。 今の時点では、
左翼連合は、
ど進んでいないのです。結局共産党は、既に多数の選挙区で多くの候補者を立てることによって単独行為をとろうと
しているようです。 同様に、
考えていないような綱領に基づいて、
は、友好的な雰囲気の中での意見の交換が、論争になり直接的な攻撃にかわるという点にまで達しています。要する
に共産党は今日では、 ミッテラン氏の綱領、がゴ lリストの立場のあるものにすら及んでいない(とりわけヴェトナム
問題について)とか、徹底の仕方が不充分である(例えば、国有化すべき企業の範囲について)とかいって非難する
﹂とに、全然障踏を示していないのです。
実際上、共産党の大きな関心の的はその孤立状態から脱出して、左翼の家族に再統合することです。この前の大統
領選挙において左翼の統一候補を非常に誠実に支持した共産党は、この政策を総選挙にも継続しよう、 ただしそれに
よって単なる支持勢力にとどまることを是認するわけではない、と考えているのです。
ー中道左派(ミッテラン氏)の戦術ははるかに微妙です。 それは、 共産党ともルカニュエ氏の中道右派とも縁を切
らないことをねらっています。ミッテラン氏は要するに、去る一二月の大統領選挙に際して共産主義者の票が大量に
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7
彼め名前に投ぜられたことを決して無視していません。彼にようて獲得された七百万票のうち、誇張なしで、そゅう
ち三百万票││この数は恐らく現実の数以下でしょうーーが共産党に投、ぜらるべきものであったといえます。したが
ってミッテラン氏にとって、次期議会選挙においてこの支持者を奪われてしまうのはとんでもないことです。そこで
彼はその共産主義の友人達のことを頭において友愛の声明を繰り返えしています。しかし他方、フランスの穏健な選
挙民にそっぽを向かれないためには、共産党とあまり結びつきすぎたりまたは共産党によって支配されているように
見えては決してならない。この点で作戦を誤ると、去る大統領選挙で第一次投票においてルカニュエ氏に投票した
が、第二次投票においてミッテラン氏に投票することに甘んじた右寄りの選挙民を遠ざけてしまうことになりましょ
ぅ。そのうえ、もし反対派が総選挙において勝利するに至った場合、ミッテラン氏はいかなる政治勢力も単独では多
数を占めえないことを非常によく知っています。新たな多数派は、分散的な反対派を糾合することによってのみ形成
することができるでしょう。したがって今のうちから、同盟者になってくれるかもしれない人達とは決して縁を切ら
ないことが好都合ですが、﹁最もなってくれそうな﹂同盟者はルカニュエ氏なのです。 そこでミッテラン氏は、
の改革の情熱と、 S・F・I・0 (社会
大いに考えられることはーーといってもすべての予測は政治にあっては幻影でしょうけれどーl ー、ミッテラン氏は
画について、自由の将来について、経済政策について、││民主主義センターの政治的構想と殆んど違わないのです。
党)の教義的厳格さと、理論家達の実用的自由主義との妥協であるところの、左翼連合の綱領はil制度の将来の計
ュエ氏のそれに非常に近いことがただちにわかります。諸々の ﹁クラブ﹂
せること、左翼連合の綱領を尊重すること。ところで、この綱領を検討してみると、それが多くの点においてルカニ
をめぐらしています。すなわち、断乎として個人独裁的権力に対して闘争すること、新たな多数党を意欲的に実現さ
形式的にせよ同盟を結びうるすべての者に提示する三つの条件を、意識的に省略的な言葉使いで規定するという配慮
彼
と
説
論
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8
フ ヲ γ スにおける政治生活
地方め次元では共産党ともルカニュエ氏の仲間とも戦術的な同盟を排斥しないだろうことです。しかしそれはまさに
共産主義者がどんな報賞があっても欲しないところのものです。もし共産主義者がその票を左翼連合の候補者に投じ
たところが、成功のあかつきに左翼連合は 1 1共産主義者をのけものにして││民主主義者センターとともに統治す
るとしたならば、彼らはなんというべテ γ商 売 に ひ っ か か っ た こ と に な る こ と で し ょ う /
ールカニュエ氏にとっても選挙戦術を的確に判定することはまったく同じように複雑です。組む人々は違うとはい
ぇ、同氏のやり方はミッテラン氏のそれと同じことです。同氏にとっては、ミッテラ γ氏 と も l │ 成 功 し た 場 合 に
は、彼とともに恐らく統治することになりましょう││、ゴ Iリストとも縁を切らないようにしなければならない。
ルカニュエ氏および彼とともに民主主義者センターは、右翼であるゴ lリストと左翼連合との間の新たな戦闘の仲裁
者をもって任ずる一種の第三勢力となることが、政治的に非常に賢明であることを決して知らないわけではない。民
主主義者センターは、 われこそドゴlル将軍を大統領選挙にあたり決選投票への追い込みに成功させたのだというこ
とを、非常によく知っています。同党は議会選挙にあっても同様の戦利品を再びえようと欲しているのでしょう。二
大対抗勢力がどちらも議会において絶対多数に達しないようにしておいて、しかる後同党が仲裁を提案しようという
のです:::。この事情からいって、それはゴ lリ ス ト と の 正 面 切 っ て の 敵 と も ま た 左 翼 の そ れ と も み え て は な ら な
ぃ。これがルカニュエ氏が、穏健な選挙民相手の運動において、態度を既に決めている諸勢力に慎重に対処しつつ、
またその競走者達から遊離しないようにしながら、 カトリヅグ教およびヨlロヅパ主義の選挙民の顧客からなる聴衆
を見出すよう努力しつつ、用いている戦術なのです。
これらの反対派の、雑然と詰めわ合され、巧妙であると同時に危険でもある選挙戦術を前にして、どのようにゴ l
リスト達はその戦闘を指揮しようと考えているのでしょう?
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9
ゴ lリストの戦略は一見意表をつくものがあります。 それは、
フランスの他の政治的諸勢力の進化の方向に対し
て ま つ こ う か ら 逆 流 す る 位 置 づ け を し て い る か ら で す 。 他 の 諸 勢 力 が 現 在ll困難がないわけではないことはたしか
ですが││融合とはいえないにしても再集結の試みを実行しはじめている時に、ゴ1リスト政党は反対に﹁多集団化﹂
世論全体に向っ
しつつあるのです。その目標は要するに、 フランスの選挙人に諸々の政治的選択を包括する充分ひろい全音階を提供
するため、 最大限多様的になることです。 公然とあらゆる一本岩主義を排斥して、 U-N・R は
、
て、ゴ 1リ ス ト の 旗 の 下 に 極 め て 諸 々 の 傾 向 を 見 出 す こ と が で き る か ら 、 す べ て の 傾 向 の 人 々 が 全 く 安 心 し て 支 持 で
きると説得し、他党の選挙区への﹁喰い込﹂みを策しています。たしかに、ゴ lリ ス ト の 家 族 に 所 属 す る た め に は
│園内政治においては││市民の自由と
- 1 最近首相ジョルジュ・ポンピドウ氏が想起させたように!││、第五共和制の諸制度およびその運用の実態を承認
し、ドゴ l ル将軍によって指導されている外交政策に同意を与え、そしてl
国家にとって必要な権威とを和解させる大原則に賛同する、 と い う こ と す べ て が 同 時 に 要 求 さ れ ま す 。 し か し こ の こ
と、が明確となりさえすれば、共通のイデオロギーに必らず同調しなければならないというようなことは全くない。ゴ
0
・コ1リスムはその支持者に若干の大目標に対する忠誠を要求するでしょうが、他方彼らの思想上の百
ーリストの家族には、同じ血のつながりはあっても理論的には他の兄弟達と秩を分ちつつ、 なお所属していることが
充分可能です
進社会党の家族を代表していようし、他方真正進歩主義は E ・ダステイエ・ド・ラ・ヴィヂュリ l、 アソドレ・フィ
ることを、強調しています。例えば、 エドガ1・フォール氏やピザニ民のような人物は、ゴ lリスム内部において急
す。そのようなわけで現在ゴ 1 リ ス ト 筋 で は 、 多 数 派 勢 力 の 内 部 に お い て 既 に 様 々 の 変 化 あ る 政 治 的 諸 傾 向 が 存 在 す
しより正確にはゴ1リストの多数派の旗の下で、様々の精神的家族が完全に共存できることを説得しようとしていま
、
家喋鳴を自由に放任します。この点ゴ lリストの戦術はきわめて巧みであって、世論に対して、 U・N・R の
L、
な
考
託
E
命
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0
フラ γ スにおける政治生活
リップ、 アンドレ・ルッセおよび J ・M ・ドメナシュのような人物によって形成されつつあるといえようし、
﹁左翼
化的﹂とはいえようがより穏健な流れはダヴィド・ルッセ氏およびルイ・ジヨックス氏によって指導されているだろ
ぅ。モ lリス・シュ l マン民はというと、ゴ 1リスト・グループの内部で社会的カトリック主義を代表しているとい
えよう:::。これらの種々の傾向に伝統的ゴIリストの大集団およびギスカール・デスタン氏を中心に集合している
独立共和派(右派ゴ lリスト)を加えるとするならば、ゴ lリストの天幕が包み込んでいる政治的多様性がどんなに
大きいものかを容易に測ることができます。
そのようにしてゴ!リストがフランス人に向い納得させようとしているのは、深いところでの理論的志向性がどの
ようなものであろうと、ゴ lリストの戦列に完全に合流することができるということです。右翼の人も左翼の人も中
道の人も、 ドゴIル将軍の大目標に対する同じ忠誠心において相たずさえて進むことになりうるというのです。
﹁もし国家的独立と平和政策とを和解させねばならないとするならば、もしあらゆる
このことは首相・ジヨルジュ・ポ γピドウ氏が最近の声明で、完全に浮彫りにしてみせたところです。すなわち、
とりわけ同氏が強調したのは
市民のための自由の政策とハそれにもかかわらず)秩序および国家の一定の権威の政策とを和解せしめねばならな
いとするならば、もしわれわれの経済を進歩せしめる健全な経済政策と不平等を減殺せしめる社会的進歩の政策と
コ
。
同
ゴlリスムのll非常に明
U ・N ・
Riu ・D ・T(CEgobHHMons25F
l リ ス ト 左 派 1訳者註)の全国評議会での演説において首相は、
o そして一九六六年六月二六日ポワチエにおける
を和解せしめねばならないとするならば、存在しうる政策は左翼と右翼との旧来の諸傾向を和解させることによるほ
ふ
、
一﹂
+4hp
'刀
‘
、 '
b
uチ J
、
,
H S
己・労働民主連合の略
B
瞭なli次のような定義を与えました。﹁ゴlリスムとは、右翼と左翼との諸々の伝統のうちにあるより良いものを綜
合しようという未曾有の企だてである:::、右翼と左翼との、すなわち秩序と運動との綜合である。ゴ lリスムは、
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E
命
あらゆるフランス人の友和の回復と、すべての者の為にフランスを統治することの可能性とを表わすのである:::﹂。
以上が、議会選挙前夜におけるゴ lリスト・グループの提示している野心です。フランスにおける政治的多様性の
また U-N-R と対抗しうるような勢力のうちとれ一っとして明快で・
全体を、自分の陣営の中に結集しようというのです。戦術の次元において、この着想は巧妙であり、さらに、反対派
の不明確な逃げ口上に倦き倦きさせられ、
論理的で・底意のない綱領をまともに提供していないことを知っている世論を誘惑するに足る力をもっています。し
かしこの包容作戦に若干の困難が伴なわないわけでは決してありません。とくにギスカール・デスタン民を中心に集
少なくとも現在のところ彼らの重
まっている独立共和派は、この前の立法期全体にわたって常に彼らの票をゴ1リスト・グループに投じていたのです
が、彼らの忠実さの維持に対し将来報酬を払わせるという程ではないにしても、
要性を感ぜさせようと欲しているように思われます。ギスカール・デスタン氏は、諸衛星によって固まれている単一
の政党というゴ lリストの構想にかんするポンピドウ氏の見解には全然同意できないということ、 また、ある危ぶな
っかしい、彼によれば不満足なゴ iリストが指名されたため多数をとれる選挙区で多数派が敗れるおそれがある時は
いつでも、 たとえU-N-Rの前代議士と対立することになるとしても、彼らの候補者を出すことを留保するだろう
と、はっきり公言しています。こういった立場をとれば、各選挙区において多数派の単一候補者だけを出そうという
ポンピドウ氏の希望には、断然対立することになってしまうでしょう:::。
実際にはゴ 1リストの戦術は、二つの目標をねらって決定されたように思われます。 いうまでもなく総選挙で勝つ
のが目標ですが、もしゴ lリスト・グループが議会において絶対多数を獲得できない場合に即応して、同盟関係をつ
ルカニュエ氏の民主主義者センターと連繋をつけ交渉するこ
くり出すことです。この点に関して後者の場合には、ゴ lリスムの内部にあって、政治的に中央に位置しているとこ
ろのエドガ l ・フォール氏やピザニ氏のような人物が
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2
ブラ γ スにおける政治生活
とができましょうひそういうわけだから、 モIリス・デュヴエルジェ氏の表現を再録すれば、現在ゴ 1リスムが﹁急
進社会党化﹂しつつあることになるでしょう。ゴ lリスムは、自己単独で政治的選択肢のあらゆる傾向を代表しよう
と欲することによって、第三共和制下の急進社会党のあり方、すなわち無限の理論的ニュアンスの違いを苧みつつも
殆んどすべての政治的地平線からやってきた人物達を共存させていた一つの陣容に似てくることになりましょう。
ルネ・カピタン氏はというと、 さらにつきつめて、伝統的な諸政党は消滅してしまい、政治的舞台にはゴlリスト
政党だけが残り、広く開放的であり自由化されたその党内に、 フランスのあらゆる精神的家族が集まるようになる日
がくるであろう、 と考えているのです。
﹁政治的革命﹂のl │それはわれわれの眼前に現在展開されつつあり、 またわれわれの憲法的および政治
今のところそのようなことは理論上のヴィジョンであるにすぎないことはたしかです。しかしこのヴィジョ γは少
なくとも、
的将来のすべてがそのヴィジョ γに今からかかわりをもっているのですがーーーその規模がどんなに大きいものかを示
す価値をもっているのです。
のは、権力が個人化されたあらゆる制度にとっても同様に真であります。或る国の政治制度が一人の人間によって支
独裁制の問題は、屡々一吉われるのを聴くのですが、独裁者の継承の問題です。独裁制にとって真であるところのも
の問題です。
フランスの政治制度の将来は要するに、 フランスの現時点において政治的論議と討論の中心におかれている、第二
キ
配されてレる程度が、制度自体が彼によってのみ存続するかのようにみえる点にまで達したその瞬間から、その人間
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キキ
説
論
が去ってしまうことが予見されるようになると最も重大な憲法問題を生むことが不可避的となり、 また、制度がその
政治機構の将来すなわち
人聞がいなくなっても持ちこたえうるだろうか、あるいは制度が生き残るためには予めその制度を変革しておくこと
が前提ではないか、 という問題が必然的に提起されざるをえないものです。
そうだとすれば、 ドゴ I ル将軍の個性が制度を多分に圧倒しているフランスにおいて、
﹁ゴlリスム以後﹂の機構の問題が次第に公然と論議されるようになってきたことが確かめられたとしても、鷲ろく
にはあたりません。
この憂慮すべき問題についてよく考えてみようとする場合、次のような四つの仮設を想定することができるように
思われます。
ー一九五八年憲法を全面的に残すが、第五共和制下に屡?ぞうであったように、その機構装置がわずらわしいもの
一九五八年憲法を維持し、少なくとも一度は、それを誠実かつ完全に適用してみるか。
になった時それを適用しないでも構わぬことにするか。
ーそれとも、
ーそれとも一九六五年の普通選挙による大統領の選出に出発し、真の大統領制に向かいつつある路線にフラソスの
政治制度をおし進めるか。
ーそれとも、 より根元的に、人民に発言権を与え憲法問題を全体として据えなおすか o
これら四つの可能性をめぐって、相異なる政治勢力の立場がすでに結品してまいりました。
i ﹁既成事実﹂の維持賛成者、すなわち、 一九五八年以来なされてきたように、ゴ lリストの思いつきゃ気分のま
一九五八年憲法は、 ドゴ l ル将軍の要望と指示に正確に従って起草されているのであって、政
まに憲法を機能させることをつずけようと希望する者達は、 いうまでもなくU・N・R の隊列からでています。新共
和国連合にとっては、
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フランスにおける政治生活
治的変動に応じて解釈され適用されねばならない。政治家がすべて憲法に対する宗教的尊敬をもっているアメリカ合
衆国での状況と違って、一七八九年の革命以来相当多数にのぼる憲法をつくりかえてきたフラ γスは、法律的条文は
o第三および第四共和制についてどんな風に考えることがで
政治的な必要性に従がうものだと考えているか、少なくともあきらめが現在あるように思われます。この点に関し
て、第五共和制はフラ γス人に随分悪い例を示しました
きるにせよ、これら二つの体制のもとでは一八七五年および一九四六年の憲法が細心の注意をもって適用せられたこ
とは争いえないところです。その起源においては議院制的なそれらの制度を結局議会万能制に堕落させてしまったよ
うな遺憾な政治の慣行が居坐ることを可能にしたことはたしかですが、しかしどんな時にも、内閣総理大臣あるいは
共和国大統領が白からの計画を実現するため、憲法の条文をふみにじる意図をもったことはありませんでした o残念
一九五八年憲法は適用さるべき仕方では適用されませんでした。窟法の条文がふみにじられた
ながらそれと同じことを、第五共和制の指導者達については語ることができないのであります。
度々繰り返えして、
り、憲法の精神が歪曲されたりしました。そのような例として若干のもののみを挙げるとすれば、 ドゴlル将軍は、
憲法によれば議員の一定数の署名が集まった時ただちに大統領の義務となるとされている国民議会臨時会の招集を拒
否しました。憲法第八九条は明文をもって改正の手続として事前に両院にはからなければならないと規定しているに
もかかわらず、将軍は憲法改正をただ人民投票手続だけでやってのけることにも、賠賠しませんでした。ほかにも、
憲法第二O条が﹁政府は国家の政策を決定し指揮する﹂と規定しているにもかかわらず、ドゴ l ル将軍はフランスの
アルジェリアの独立問題は、正確には共和国大統領が人民投票によって国民に問うことを認めている問
国際面におけると同様圏内面でもフランスの政策の重大な選択についてなんら障るところなく白から決定していま
す。最後に
題のうちに決して這入ってはいないと解することができます。のみならず、憲法はフランス共和国が不可分であるこ
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5
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論
とを明確にしている以上、この共和国の一部分そのもの(海外県は要するに共和国の不可分的一部をなしているのだ
q
d
法
巧
t
q
δ
から) に与えられる独立は、事前に合法的形式で憲法を改正することを必要とするのではないかを疑問にできます j o m
それはともかくとして、ゴlリスト筋は、率直に公一一一目しているわけではないのですが、憲法の文字をこのようにね
じまげたことも全体としてみると結局よいことだったと考えています。なぜなら、そのような歪曲を敢てしたからこ
一九五八年憲法がドゴlル将軍が権力の座について以来度?ぞの条文
そアルジェリア戦争を終結せしめえたのみならず、 フラ γス人民をして普通選挙により元首を選出する原則を採用せ
しめることが可能となったからだと。彼らは、
を修正されたものであるのに、これらの事情に直面して超えることのできない障害ではありえないことになったから
といって、何故にフランスにおける公権力組織の基礎として全く役に立たなくなってしまったことになるのか:・
そんなわけはないとみるのです。
とわいえ、権力の側近筋では、!ーー憲法の条文を全体としてはそのままにしておきながら││憲法によって設置さ
れている若干の制度を修正しようと欲しているようです。現在のところとりわけ元老院がねらわれています。ゴ lリ
スト筋が元老院に向けている非難は、保守的であると同時に世論の種々の傾向に対して代表性が不充分だということ
です。モ lリス・デュヴェルジェ氏は、久しく以前から、元老院選挙における代表の仕方に不平等があることを指摘
し、元老院にはフランスの都市区域よりも農村地帯の方がより大きく代表されている:::ことを遺憾としています。
タリマ
さらに元老院が数ヶ月来権力に対し組織的な反対的態度をとり硬化してきた事実は、権力と第二院との聞に信頼の
雰囲気│lそれは元老院議長・ガスト γ ・ モ ネ ル ヴ ィ ル 氏 が い だ い て い る 制 度 の 性 質 に か ん す る 若 干 の 所 信 に よ っ
て、既に異状な変容をみていたのですがllを樹立することに全然貢献していません。
実際にはゴlリスト筋では、元老院を全部廃止してしまわないまでも、少なくとも経済的諸勢力、国民の種々異な
プランスにおける政治生活
った社会層および国の﹁知名人達﹂をより代表させるような議院につくりかえることを望んでいるようです。簡単に
言えば、元老院を多様な職能による経済議院にしようとしているようです。それはたんに経済的部門に属する問題の
みにつき意見を表明する任務をもっ一種の評議会であろうか、それとも逆に、元老院の政治的性格を維持しつつ、た
それとも元老院をして﹁諸地域﹂からの派生院とし、諸地域
だ議席の半数のみが普通選挙の方法によって選任され、他の半数が職業的諸範時および経済的諸利益の代表者達に留
保されることを規定するにとどまるものであろうかつ
経 済 開 発 委 員 会 の 一 種 の 全 国 的 代 表 に し よ う と し て い る の だ ろ う か ? 未だ何も決定されていません。若干の政府当
局者の最も最近の声明から判断すると、この改革問題はごく近い将来においては実行されはすまいとさえ思われるの
です。
しかしながらそのような改革の原則自体が既に世論のうち多くの部分で、正当な憂慮と激しい反対とをひき起して
います。乙の改革の反対者にとっては、元老院は、逆行的要素であるどころか、反対に、あらゆる民主的制度に不可
欠のものであり、そしていかなる代価を払っても立法的であると同時に政治的な議院として留まらねばならない。立
法の平面では、参議院の常設性は要するに議決さるべき法案を二重に審議することを確保し(このことは合理的に作
﹁私の生涯の或る期間においては、現実よりも歴史により接近し
業、かなされることを担保する)、そして政治的平面では参議院は均衡の不可欠の要素を構成するのである、
問、それが元老院である﹂
0
戻ってきた。色々な出来事によって私は、人民には反省の時聞を与えねばならないということを学んだ。 反 省 の 時
ていた。そして人民の感情の直接の派生体である単一の議院に対する信仰をもっていた。しかし私はそれをはなれて
クレマソソーが既によく語っていたことですが、
O
どの仮設がとられる場合においても、 元老院の改革を実行するには、憲法改正を必要とする厄介な手続問題が起る
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7
と
でしょう。今度は、憲法第八九条に規定された手続を尊重するだろうか(しかしそれは改革の問題自体が元老院に提
一市されることを前提とするが、元老院が白からの変革に好意的な解答を与えることは疑がわしいから、そこで改革手
憲法第一一条に規定する﹁公権力の
そのような一切の問題はなお長い月日の間停止されたままになり
続は阻止されてしまうでしょう﹀、それとも反対に、今一度、 人民投票に訴え、
組織﹂に関する問題だと弁解するのでしょうかワ
そうです。
したがって元老院の構造に修正を加えることだけを留保しつつ、ゴ lリスト筋は憲法の平面では現状維持の断乎た
る意思を表明しているのです。
ー他の筋では、事物を異った見地からみます。もちろん、憲法の法文上共和国大統領職に与えられたあまりにも法
一九五八年憲法の条文を保存してどうしていけないことがあろう
外な若干の特権の削除を目的とする若干の改正は留保するが、憲法典を誠実かつ真実に適用する仕方で│lそれは今
日まで未だに全然なされていないことですがーーー、
か、と考えます。もし一九五八年憲法を要するにその全条項について(削除されることになるだろう若干の行き過ぎ
た条項は別として)適用すれば、憲法によって欲せられた制度が、議会主義の教典通りに完全に機能できることに気
付くのです。憲法のなかに要するにそのような制度のもつあらゆる特徴が見出されるのだから:::。少なくともこれ
ミッテラン氏のような人達の考えているところです。もし憲法第一六条を削除し、もし大統領が人民投票に訴え
けるグループの細分化や世論のあまりにも大きすぎる分散の弊害は、政府を形成する時に首相と彼を支持するグル l
ようなものではないし、 また議会主義を改めて試みれば新たに内閣の不安定を惹起するだろう、と。しかし議会にお
が容易に機能することができるでしょう。もちろんこう言う人があるでしょう、第四共和制の例はおよそ奨励できる
うる場合を注意深く限定し、もし現在まで裁量に委ねられていた解散権を規律するならば、完全に生存可能な議院制
ヵ
:
説
論
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3・24)398
フランスにおける政治生活
プとの間で締結する﹁多数派の契約﹂の制度、そしてこの契約の破棄はただちに選挙人の前に帰えることを惹き起こ
す よ う な 制 度 に よ っ て 、 矯 正 す る こ と が 可 能 で は な か ろ う か ? これが制度面において、左翼連合の綱領が提案して
いるところであります。
そのような構想は、全く疑いようもなく、 フラ γスの憲法的伝統とヨーロッパにおける政治形態の現状の掘り下げ
た研究に基づいています。フラソスは要するにナポレオ γの英雄詩時代に続く﹁王制復帰﹂以来、若干の権威主義的
な挿入期聞を別とすれば、議会主義の路線に決然として従ってきた固です。フランスは今日ではこの点について既に
長い過去をもっています。フランスがこの忠実さを棄て去って他の経験にとび込んでゆくことは理性にかなったこと
で あ り ま し ょ う か ? また別に、次第次第にヨーロッパ機構について語るようになってきた時点で、 ヨーロッパ諸国
すべてが採用している政治形態を放棄することは、時誼にかなったことでしょうか。議院制は要するにすぐれてヨ l
ロッパの制度なのです。何故にフランスは丁度この現時点で、この点についてだけその隣人達から遊離することを選
ぽうというのでしょう?
これらの議論は、価値のないものでは決してありません。しかしながらそれらは、 フラ γスにおいて日日多数とな
りつつある、大統領制の賛同者を説伏することに成功してはいません。
!これら大統領制賛同者は、その論拠を、共和国大統領の普通選挙による選出をフランスに設定した一九六二年の
人民投票の結果から引き出していることは明らかであり、さらに進んで、フランスがこの日付以来大統領制の路線に
従がうことに決めた以上、中途で停止することはできないとします。要するにフランス人は、その時以来彼らの元首
を国民の投票によって直接指名することを承認することにより、北アメリカ型の制度の方向に重要な一歩を印したこ
とは疑がいの余地がありません。そうである以上、 ど う し て そ の 歩 み を 継 続 し な い の か ? と若干の人々に考えるの
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自
命
です。
もちろん、この考え方に対しては種々の反対論がなされるでしょう o市民の投票により個人的に信任投票された一
人の人聞の権力が憂慮すべきものとなりかねないことを諸州の独立性によって償なっているアメリカの連邦制に対
し、そのような抑制力をもたないフランスの中央集権主義はちがうという人がありましょう。また同様に、元首と政
府の首長との職務を分離させることが有益であるが、そのことは大統領制の構造の中では排除されている、という人
もありましょう。最後には、国民から選挙された大統領と同じく国民によって指名された議会との聞に権力が分割さ
れていることは、抜け道のない衝突の芽を苧んでいる、なぜなら一方(大統領には)いかなる政治責任もなく、他方
(議会には) いかなる解散もなく、試練を経た手続によってそのような衝突を解決する方法が全く考えられていない
からである、 と考える人もありましょう。
われわれはここで大統領制の利点と難点についての理論的論議には、 われわれの主題の限界を超えるので、 たち入
りません。ただ、これら一切の憂慮も、 アメリカ大統領制の機能の実際においてはいかなる重大な危機も経験されて
おらず、 またさしたる困難もなく衝突と無秩序とを解消している:::ことを研究することによって容易に鎮められる
だろうことを一言うにとどめましょう o たしかにフランスはアメリカではないし、 ジョソソン大統領はルイ・ナポレオ
γ ・ボナパルトに似てはいません。しかしどうして、 フラソスにおける大統領制の誠実かつ真実の経験を少なくとも
一度は試みることによって、悪魔払いをやらないということがありましょうか?
(訳者註 2)
これがとりわけ現時点においてルカニュエ氏を中心とする民主主義センターの指導者達の考えているところであ
ります。
残る最後のグループは主として共産党によって代表されています、
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0
0
フランスにおける政治生活
共産党は、
一九四O年と一九五八年に二度崩壊した﹁表面だけの﹂議会主義と同時に、独裁制の危険を自国すことに
なるだろう大統領制を、拒否します。共産主義の指導者達はうむことなく他の政治勢力に向って、政治の舞台から立
法権を、同党によると、根絶させることになるだろう:::大統領制に傾むくあらゆる屈折に対して警戒を呼びかけて
います。
実際には、共産党がフラソスに大統領制を導入することに反対している真の理由は、別のところにあります。その
理由は、民主主義社会のマルグス主義的分折に由来します。共産党によると、普通選挙による共和国大統領の選出の
装置は、資本主義と保守的勢力とを有利ならしめることになります。要するに、元首は 1 1 そして共産主義者はここ
で好んでドゴールのことを考えるのですがll現時点においては独占企業の象徴であって、直接選挙によって、その
政治的地位をより増強し、さらにその事実によって資本主義者の利益の優越性を強化するような正当性を補充的に与
えることになる:::。モlリス・デュヴェルジェ氏は、この分析のどこに正しそうな誤りがあるかを、適確に指摘し
ています。およそ資本主義的独占企業の不可避的象徴であるのとは違って、共和国大統領は逆に経済的勢力に対し抵
抗 す る 最 適 任 の 人 間 で は な い だ ろ う か ? 普通選挙により選出された政府の首長または元首は結局、経済的な諸々の
力に対して、変動する議会の多数に支持されている首相よりもより大きな自由を掌中に納めてはいないだろうか?
少なくとも明らかなことは、選挙民の全体は、相互に孤立した議会議員よりも、諸々の資本主義的力によってより操
縦されにくいということです。この点に関して、共和国大統領の普通選挙による選出は、左翼諸勢力を経済的独占の
圧力に抵抗するよう動員するため有利に役立ちうるだろうとすら、考えること、ができます。
一九四五年l 一九四六年にも同じだったものですが、 フランスに議会支配制を再導入し
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実際には、共産主義者の立場は、その正当化の議論には明らかに争そいの余地があるけれど、相当力強い一貫性を
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﹂ろの政治制度、すなわち非常に正確に、
以上が、 フランスの憲法制度の改革問題にかんする、現在における諸々の政治的立場の図式的な要約であります。
この事情から、次期国民議会選挙がどんな重要性をもっているかを容易に理解できるでしょう o その選挙結果にこ
そ、フランスの将来の政治が依存することになるだろうからです。
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たしかに、 ドゴlル将軍が国の頭首として留っているかぎり、憲法問題はそれ程強い尖鋭さをおびることはないで
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(原文脱稿は、
挙民にそれが決して独裁制ではないことが理解されさえすれば││承認させる能力があるからです:::。しかしドゴ
ール以後はどうなるでしょうかつ
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(訳者註l ) G ・ ヴ デ ル ・ パ リ 法 経 学 部 長 は 、 大 統 領 選 挙 直 後 の ア ン ケ ー ト に 対 す る 解 答 に お い て 、 伝 統 的 な 非 宗 教 性 の 問 題 が 争
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iR広三百巴窓口 0・由申ーさ・℃・ ω。)。ロベール教授は、このヴデル教授の観察は知識人のレベルでの問題で、民衆のレベルでは、
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自 分 は そ う は 忽 わ な い と 私 に 答 え て い た 。 本 文 の 以 下 の 分 析 は 、 ま こ と に 鮮 や か で あ っ て 、 li異 論 を も っ 人 も あ ろ う が │ │ 、 ロ ベ
ール教授のこの論稿を通じてみられる切れ味のよいほりの深さと個性的な解釈をうかがわしめる。
ω を参照されたい。
(訳者註2 ﹀ ロ ベ ー ル 教 授 自 身 も 大 統 領 制 に 賛 成 し て お ら れ た 。 た だ し 、 ル カ ニ ユ エ 氏 支 持 と は 無 関 係 。 次 掲 資 料 、
ヴ エ ル ジ ェ 教 授 とJ ・ ロ ベ ー ル 教 授 を 迎 え て ﹂ 中 、 二
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