検査項目の説明 参考基準値 腹囲・身長・体重測定(BMI) 解 説 z腹囲…おへその高さで測ったおなかの周りの長さ(cm) です。立った姿勢で、軽く息を吐いた状態で息を 止めて測ります。おなかの中の脂肪が多いほど、 動脈硬化が進みやすいのですが、脂肪の量を量る のは難しいので、脂肪の量と比例する腹囲を測り 動脈硬化の進みやすさを推定するのです。 男性は85cm未満、女性は90cm未満が正常と されています。 女性はあまり動脈硬化に影響しない皮下脂肪が 一般に男性より多いので、女性のほうがその分 大きい値になっています。 男性85cm未満 女性90cm未満 zBMI…Body Mass Indexの頭文字を取った略称で 肥満の度合いを表します。 体重kgを身長mの二乗で割った値で示します。 たとえば身長167.5cm、体重75.5kgの人のBMIは、 75.5を1.675×1.675で割った数、26.9 となります。 BMIは22が標準値(理想的な値)とされて いますので、標準体重(理想的な体重)は 身長mの二乗に22を掛けた値ということに なります。 たとえば上の例の人では、1.675×1.675×22 = 61.7kgが 理想的な体重ということになります。 18.5∼ 24.9 (22±2.2) 標準体重のプラスマイナス10%の範囲内なら 正常と考えてよいのですが、この例の人は 75.5kgですから、少し太りすぎですね。 ◆やせ…BMIが17.7∼18.4であれば「やせぎみ」 ∼17.6であれば「やせすぎ」と判定されます。 背後に何らかの病気が原因となっていることもあります。 (例えば、甲状腺機能亢進症、吸収不良症候群など) 医療機関で確認しても病気がなく、症状や変化もなければ 経過観察でかまいません。 7 8 肥満は病気の家の玄関口 肥満は日ごろ習慣となった食べすぎや運動不足で 起こります。肥満は病気の入り口です。 その入り口を入ると、高血圧、糖尿病、脂質異 常症、胆石症、痛風など、さまざまな生活習慣病 が待っています。そしてその行き着く先は、心筋 梗塞や脳卒中、そして動脈硬化性の認知症…。 肥満 糖尿病 動脈硬化症 高血圧症 心筋梗塞 脳卒中 <メタボリックシンドロームの判定基準> 必須項目 ●内臓脂肪型肥満 腹囲 男性85cm以上 女性90cm以上 「特定健診」と名付けられ、満40歳以上 のすべての国民が年1回受けることとされて います。 メタボリックシンドロームの判定結果 空腹時血糖 110mg/dl以上 2つ以上の項目に該当 基準該当 1つの項目に該当 予備群該当 該当しない 非該当 ●脂質異常 中性脂肪(TG) 又は/かつ HDL-ch 150mg/dl以上 40mg/dl未満 ●高血圧 収縮期血圧 又は/かつ 拡張期血圧 130mmHg以上 85mmHg以上 <特定保健指導の選定基準> 特定健診でメタボリックシンドローム、或いはその予備群とされた人は、下 表の取り決めに従って、医師・保健師・管理栄養士などから指導を受けるこ とになっています。 腹 囲 男性85cm以上 女性90cm以上 追加リスク* ①血糖②脂質③血圧 2つ以上 1つ 3つ 上記以外で BMIが25以上 2つ 1つ 喫煙歴 ― あり なし ― あり なし ― 対 象 40∼64歳 65∼74歳 積極的支援 動機付け支援 積極的支援 動機付け支援 動機付け支援 *追加リスク ①血糖:空腹時血糖100mg/dL以上、またはHbA1cN5.6%以上。 ②脂質:中性脂肪150mg/dL以上、またはHDLコレステロール40mg/dL未満。 ③血圧:最大血圧130mmHg以上、または最小血圧85mmHg以上。 情報提供 リスク ●高血糖 10 <肥満はライフスタイルの改善で解消できる> 大抵の肥満は、食べた栄養(カロリー)の一部が、消費されずに脂肪と なっておなかの中や皮下に蓄えられて生じます。従って、カロリーを摂りす ぎたり、それを使いなさすぎたりしないようにすると(つまり、食べ過ぎず 飲みすぎず、よく運動しさえすれば)、大抵の肥満は解消できるはずです。 ただし、度を越えた食事制限や急激な運動は危険です。運動の際にウォーミ ングアップが必要なのと同じで、徐々に慣らしてゆくのが大切です。「過ぎ たるは及ばざるが如し」で、「急がば回れ」です。 <食事はバランスよくとりましょう!> ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 一日3回、なるべく規則正しく食事する。 腹八分。「もう少し」と思うところで箸を置く。 脂肪の多いものは控え目にし、野菜は沢山食べる。 多くの種類の食品を食べる。一日30種類以上が理想的。 よくかんで、ゆっくり、楽しく食べる。 アルコール類はほどほどに。 なるべく床に就く2時間前までに夕食を済ませる。 夜食はしない。 ⑧ なるべく間食をしない。特に菓子や甘いジュース類は 避ける。 <運動不足に気をつけましょう!> 毎日の生活の中で、適度な運動を続けて、体の中に余分なカロリーを残さ ないことが肥満防止につながります。しかし、毎日欠かさず運動するとなる と大変ですね。 そこで、たとえば通勤で、駅まで自転車を使っているなら、少し早めに家 を出て歩いたり、駅ではエレベーターやエスカレーターに乗らずに階段を使 い、電車が来るまで時間があればプラットホームを歩くなど、生活の中でこ まめに「体を動かすこと」を意識するよう心がけてください。 1日の必要カロリーは体重1㌔当たり25∼30kcal(キロカロリー)です。 だから体重70㌔男性なら凡そ1800∼2100kcal、50㌔女性なら1300∼ 1500kcal程度でしょう。一方、健康保持のために運動で消費したいカロ リーは250∼300kcal、少なくとも必要カロリーの1割はクリアするのがよ いといわれます。しかし日常生活でカロリーを頭に置いて食べたり運動した りする人はあまりいないでしょう。そんな面倒なことをしなくても、「太り すぎない程度に運動する」のがよいのではないかと思います。体重が増えれ ば、増えた分は余分なカロリーが脂肪となって体に溜まっているのです。
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