今回は「読書の秋」にちなんで、絵本を通して世界を感じてみたいと思います。 青森市役所に勤務する英国国際交流員のクリストファー・オアーです。 日本の教科書に採用されたことのある作品や、世界的に広く知られている名作の作者、翻訳者及び作品について面白い 日本語のいわゆる外来語のほとんどが、そのまま英語として通用すると思っている方が少なからずいるかもしれませんが、そう 話題を取り上げてみました。どの作品も青森市立図書館に蔵書されています。ぜひ実際に手にとって、懐かしさあるいは新鮮 な感動を感じてみてください。 考えているあなたへ衝撃的なお知らせがあります! 残念ながら、日本で日常的に使われている外来語のほとんどが和製英語です...と主張したいところですが、裏付ける統計が 一切ないので、あくまでも私の個人的な意見として「英語のように聞こえるかもしれないが、実は英語ではない危険性がかなり高い 『スイミー 『大きなかぶ』 きなかぶ』 ちいさなかしこいさかなのはなし』 作 レオ・ レオ・レオニ/ レオニ/訳 谷川俊太郎 出版: 出版:好学社 作者のレオ・レオニはオランダ生まれ。デビュー作は『あお くんときいろちゃん』“Little Blue and Little Yellow”で、40 冊 近くの絵本を発表しています。 1 匹だけの小さな黒い魚スイミーが仲間と大きな魚に立 ち向かう・・・。Swimmy は簡単な英語で書かれていますの で、原書を読むのもおすすめです。 A・トルストイ再話 トルストイ再話/ 再話/ 訳 内田 莉莎子 /絵 佐藤 忠良 出版: :福音館書店 出版 ベビーカー(Baby car) 「赤ちゃん車」という意味です。 この部分、日本語では「うんとこしょ、どっこいしょ、それで もかぶは抜けません」と訳しています。改めて翻訳の絶妙な 表現に素晴らしさを感じます。 ペアルック(Pair look) 作 アーノルド・ アーノルド・ローベル/ ローベル/訳 三木 卓 出版: :文化出版局 出版 れ、少し悲しくもある物語です。 (英)Chav (英)Pram (米)Stroller 「2 人見る」という意味になってしまい、文法的に 変です。 言葉として成立しません。 4 NG 5 アバウト(About) No good=よくない 英語には「~について」や「ほど」という意味しか ありません。 Matching outfits General 長く教科書に採用されお馴染みの絵本で す。 がまくんとかえるくんのほのぼのする掛け合いがなんとも いえません。このシリーズは4作品ありますが、すべて緑と 茶色を基調とし、とても地味に感じます。これはローベルの 絵がもともとペンのみで描かれ、印刷の際に限られた色を ばさん」シリーズや「小さなバイキングビッケ」も彼が翻訳し日 本に紹介したものです。 のせているからだそうです。そのシックな色合いが、ほのぼ 作 エルジェ/ エルジェ/訳 川口 恵子 出版: 出版:福音館書店 適当と思われる言葉 「ふたりはともだち」の中の「おてがみ」が 翻訳した大塚勇三は多数の翻訳を手がけ、「スプーンお 『タンタンの タンタンの冒険』 冒険』シリーズ おかしい理由 アメリカ人を侮辱するときに使われる言葉 作 モンゴル民謡 モンゴル民謡/ 勇三/ 民謡/訳 大塚 勇三/ 絵 赤羽末吉絵 出版: 出版:福音館書店 遊牧民のスーホと白い馬との友情を超えた関係が描か 和製英語 ヤンキー(Yankee) 『がまくんとかえるくん』 がまくんとかえるくん』シリーズ モンゴルの楽器モリンホール(馬頭琴)の由来にまつわる 順位 ロシア語原文でも、全文を通してリズミカルな掛け声の繰り 返しが使われています。 原文:"Тянут ТянутТянут-потянут, потянут, вытянуть не могут. огут." 発音記号[ˈtˈanut pɐˈtˈanut ˈvɨtˈɪnutˈ nˈɪ ˈmoɡut] 日本語直訳:「引っぱって引っぱって、 でも抜くことができませんでした。」 『スーホの スーホの白い馬』 内モンゴルに伝わる民話を再話したものです。 言葉」(通称:クリスの和製英語トップ 5)を最も違和感のある順に紹介します。 のとしたお話を、さらに豊かに引き立てているように思いま す。 『うさこちゃん( 』 うさこちゃん(ミッフィー) ミッフィー) シリーズ 作 ディック・ ディック・ブルーナ/ ブルーナ/訳 石井 桃子 出版: 出版:福音館書店 このコーナーでは、以前青森市に住んでいた外国人の方の近況を紹介します! 今回は韓国平澤(ピョンテク)市在住の金 賢雅(キム・ヒョナ)さんをご紹介します。 ヒョナさんは青森市の友好交流都市である平澤市出身で、両市の友好交流事業として青森公 立大学に留学していました。 青森市の皆さん!こんにちは。キム・ヒョナと申します。 私は 2008 年から 4 年間、青森公立大学に留学しました。現在は韓国に戻り仕事をしています。 振り返れば4年間の生活は、とても特別なものでした。毎年、夏になるとねぶた祭りで跳ねましたし、いろんな国際交流行事にボラ ンティアとして参加しました。冬には、初めて雪かきをしました。韓国でも雪が降りますが、青森ほどの多い雪を見たことはありません。 ミッフィーの呼び名で親しまれている絵本・キャラクターで ベルギー生まれのエルジェが書いたマンガで、原作は仏 すが、原作のオランダ語では、nijntje pluis(ナインチェ・プラ 語。主人公の少年記者タンタンが相棒の白い犬スノーウィと ウス)という名前で、nijntje は「うさちゃん」、pluis は「ふわふ た祭りの熱気が伝わってくるようで胸がドキドキします。その楽しかった思い出が浮かび上がり、更に青森が恋しくなりました。 世界中を旅行し、毎度事件に巻き込まれるというお話が 24 わ」という意味。ミッフィーという名前は、オランダ語から英 青森との絆を大切にしていきたいと思い、地元の国際交流行事に参加したり、韓国に遊びに来た友達と会ったりします。この間、地 作。作品『青い蓮』では、上海を舞台に中国駐留日本軍の 語に翻訳されたときに付けられた名前だそうです。ブルー 秘密工作員ミツヒラトとタンタンが壮絶な戦いを繰り広げま ナ・カラーと呼ばれるごく限られた少ない色と、シンプルな線 だけで表現される絵が特徴的です。 す。時代の流れや世界事情も読み取れるお話です。 2 冬になると青森だけの綺麗な雪景色を浮かべます。 ぷらっと通信第 10 号 2014 November 8 月になってから SNS を通じてねぶたの写真や動画がアップロードされているのをよく見ました。動画を観て囃子の音を聴くとねぶ 元に民間の交流団体があることを知り、会員になりました。これからの活動も楽しみです。 今度は紙面上ではなく、直接話ができるよう青森へ行きたいと思います! 2014 November ぷらっと通信第 10 号 7
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