プレスリリース 消費者が何度も断っているにもかかわらず、繰り返し電話をかけたり、 相手に口を出させず話し続けるなど、迷惑を覚えさせる執ような勧誘行 為を行うなどした事業者に対し、業務の一部停止を命じました。 平 成 2 4 年 1 1 月 2 0 日 北海道環境生活部くらし安全局消費者安全課 ○ 北海道は、訪問販売を行っている北翔クロテック株式会社(札幌市)に対し、特定 商取引法の違反行為(再勧誘、書面記載不備、迷惑勧誘)を認定し、平成24年11 月20日付けで、同法第8条第1項の規定に基づき、業務の一部(訪問販売に係る 役務提供契約についての「勧誘」、「申込みの受付」及び「契約の締結」)を3か月 間停止するよう命じました。 ○ ついては、特定商取引法の規定に基づき命令の事実を公表します。 1 事業者の概要 名 称:北翔クロテック株式会社(以下「会社」という。) 代 表 者:代表取締役 黒崎雄三(くろさき ゆうぞう) 所 在 地:札幌市清田区清田1条3丁目7番32号 資 本 金:3,000万円 設立年月日 :平成18年2月22日 取 引 形 態 :訪問販売 2 取引の概要 会社は、道内の消費者に事前に電話で住宅リフォーム工事の勧誘を行い、来訪の約束を取り 付けて消費者宅を訪問し、当該消費者との役務提供契約の締結を行っていた。 3 法令違反行為 (1)再勧誘(特定商取引法第3条の2第2項) 会社は、訪問販売による住宅リフォーム契約をしない旨の意思を表示した消費者に対して、 「直さなくていいんですか。」「壁が黒くなって、汚くなってる。」などと告げ何度も勧誘を行った。 また、クーリング・オフ通知を発信した消費者に対して当該契約を続けるように告げ、それを 断った消費者に対して、会社の別の従業員が「なんとか契約を続けられないでしょうかね。」な どと告げて、当該契約について再契約の勧誘を行った。 (2)書面記載不備(特定商取引法第5条) 会社は、訪問販売による住宅リフォーム契約締結時に消費者に交付した書面に、特定商取 引法において定められた以下の記載事項を正しく記載していなかった。 ・ 契約締結担当者の氏名 ・ 書面の内容を十分に読むべき旨の記載 (3)迷惑勧誘(特定商取引法第7条第4号) 会社は、訪問販売による住宅リフォーム契約をしない旨の意思を表示した消費者に対して、 「話を聞いてくださいよ。」などと相手の話を遮るように執ように勧誘を続けたり、勧誘の電話を 繰り返し、迷惑に感じた消費者が会社に勧誘の電話をかけないように伝えたにもかかわらず 1 電話をかけ続け勧誘を行った。 また、クーリング・オフ通知を発信した消費者に対し、事前の連絡もなく来訪し「それはない でしょう。」などと再契約するよう執ように勧誘するなど、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を 行った。 4 命令の内容 平成24年11月21日から、平成25年2月20日までの間、次の業務を停止すること。 (1)訪問販売に係る役務提供契約の締結について勧誘をすること。 (2)訪問販売に係る役務提供契約の申込みを受けること。 (3)訪問販売に係る役務提供契約を締結すること。 5 消費生活相談の状況 (1)道内における会社の消費者苦情相談件数 (PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)による) 年 度 19 20 21 22 23 24 合計 相談件数 3 7 4 14 12 13 53 (2)相談者の居住地域 石狩管内 60%、胆振管内 40% 問い合わせ先 環境生活部くらし安全局消費者安全課 取引適正化グループ 電話 011-204-5213 2 【事例1】 平成22年10月、北海道内の消費者A宅に、会社従業員Hから電話がかかってきた。会社から は、この電話の前にも数か月に1度の頻度で数回電話がかかってきていて、直近の3回はHから の電話だった。Hからかかってきた一番最初の電話のとき、AがHに、会社と役務提供契約を締結 する気はない旨、もう電話をかけないでほしい旨を告げていたにもかかわらず、Hはその後2回も 電話をかけてきた。 数回の電話の中で、Hは「外壁が傷んでいるようですね。」「外回りにクラックもありますし。」など と、A宅の外壁が傷んでいることを告げ、外壁の修理についてしつこく勧誘をしてきた。Aは他の業 者で安くやってもらえるところがあるので、Hの勧誘を断ったが、Hは「見本にしたい。見本なのでお 安くします。」と言い、Aが断っているにもかかわらず役務提供契約の締結について勧誘を続けた。 Hは、Aが何とか言葉を挟めば話を聞いてくれるものの、Aに口を出させない感じでずっと話し続 けた。 【事例2】 平成22年10月、北海道内の消費者B宅に、会社従業員から電話がかかってきた。会社従業員 は「B様のお宅でしょうか。」と聞いてきたが、Bはその問いかけには答えず会社従業員に電話の用 件を聞き返したところ、会社従業員はそこで初めて会社名及び外壁のリフォーム工事の会社である ことを答えた。 そして会社従業員は「壁、直さなくていいんですか。」などと言い、外壁リフォームの勧誘を始めた が、Bは外壁リフォームは検討もしていなかったので断った。しかし会社従業員は「直さなくていい んですか。」「壁が黒くなって、汚くなってる。」と、Bが断っているにもかかわらず、しつこく勧誘をし てきた。会社従業員は話を途切れさせず、Bが何度断ってもしつこく食い下がってきた。 【事例3】 平成23年6月、北海道内の消費者C宅に会社従業員から「家の修理で困ったことはないです か。あったら、すぐ見積もりに行きますから。」と電話があった。Cは断りきれず、会社従業員の来訪 を承諾した。その翌日にC宅に来訪した会社従業員は、CにC宅の屋根の写真を見せて「ここがだ めだから。」などと言って、屋根のリフォーム等について勧誘をした。Cは会社従業員に勧められる まま、屋根のリフォーム等についての役務提供契約を締結した。 契約締結後、Cの家族C’がこの契約を把握し、当該役務提供契約をクーリング・オフした。 クーリング・オフ通知を発信した後、会社従業員からC宅に電話がかかってきた。会社従業員は Cに対して「屋根だけでもやりませんか。」などと言って、契約を続けさせようとした。Cがなかなか電 話を切れず困った様子だったので、C’が電話を替わると、会社従業員は「クーリング・オフの理由 が聞きたい。」などと執ようにクーリング・オフの理由を尋ね、C’が話をしようとすると「話を聞いてく ださいよ。」と、C’の話を遮るなどした。 【事例4】 平成23年10月、北海道内の消費者D宅に会社従業員から電話がかかってきて、家のリフォー ムや外壁工事について勧誘をした。そこで、Dは会社に見積もりを依頼することにした。 数週間後、会社従業員IとJがD宅に来訪した。Dは二人に説明をうけ、家のリフォームについて役 務提供契約を締結しようと考えた。 その数日後、Iが見積書を持って再度D宅に来訪した。見積書の金額はDが予想していたより高 額だったので、Dは当初予定していた工事箇所の一部分のみを契約して、残りの箇所については、 3 時期を見て別に契約したい旨を伝えたが、Iは「現在の安い価格で契約した方が良い。」と、Dが見 積もりを取った工事の一部分だけについて契約を締結したいと言っているにもかかわらず、全ての 部分について契約を締結するように勧めてきた。 結局、Dは見積もりのとおりに役務提供契約を締結することにしたが、IがDに交付した契約書面 には、契約締結担当者の氏名及び書面の内容を十分に読むべき旨が正しく記載されていなかっ た。 【事例5】 平成24年1月、北海道内の消費者E宅に会社従業員から外壁の塗装について勧誘をする電話 がかかってきて、Eの家族E’が対応した。ちょうどE宅では、外壁リフォームについて検討していた ところだったので、E’は会社の話を聞いてみようと思って会社従業員の来訪を承諾した。 その日の午後に会社従業員Kが来訪した。Kは、E’にパンフレットを見せながら外壁塗装につい て説明した。E’が、すぐには結論を出せないので見積もりだけでもいいか、とKに聞いたところ、K が「見積もりだけでもいいですよ。」と言うので、E’は見積もりを依頼することにした。 E’は数日後にKから見積書を受け取り、しばらく検討する期間をおいたが、会社従業員から検 討結果を尋ねる電話がかかってきたため、E’はEを交えてあらためて会社からの話を聞こうと思 い、会社に連絡した。後日Kが来訪し、Kの説明を聞いてEとE’は契約を締結することにした。 KがEに交付した契約書面には、契約締結担当者の氏名及び書面の内容を十分に読むべき旨 が正しく記載されていなかった。 契約締結後、E’は会社に対して不信感を持つ出来事が重なったので、E’はEと相談して契約を クーリング・オフすることにした。 クーリング・オフ通知を出した後、会社従業員Jが突然E宅に来訪した。JはE’に対して「クーリン グ・オフをされたのは創業以来初めてです。」「どうしてクーリング・オフになったのか、確認に来まし た。」などと言い、E’に契約を続けさせようとしていた。E’はJにクーリング・オフした理由を説明し、 Jは帰った。 Jが帰った後、今度はKからE宅に電話がかかってきて「なんとか契約を続けられないでしょうか ね。」と言い、KもE’に対して契約を続けられないかと言ってきたが、E’はKにもクーリング・オフし た理由を説明した。 【事例6】 平成24年4月、北海道内の消費者F宅に会社従業員から外壁補修について勧誘をする電話が かかってきた。F宅には、数年前から会社従業員によるこのような電話がかかってきていた。 Fは会社従業員から電話がかかってくる都度勧誘を断っていて、その度に会社従業員は「分かり ました。すいませんでした。」とすぐに引き下がるが、数か月後に同じような電話をかけてきた。 Fが会社に電話をかけてF自身の名前と住所を伝え、迷惑なので電話をかけてこないように伝え ると、会社従業員は「分かりました。すみませんでした。」と言うが、それでも電話はかかってきた。 【事例7】 平成24年7月、北海道内の消費者G宅に会社従業員から家の塗装工事について勧誘する電話 がかかってきた。会社従業員が「ぜひ見積もりだけでも、参考までに取らせてください。」と言ったた め、Gは見積もりを取ることにした。 数日後に会社従業員Kが調査のために来訪し、日を改めて見積書を持ってKが来訪した。Gは、 この日に役務提供契約を締結する気はない旨をKが来訪した際に伝えていた。 4 しかし、Kは、Gが何度もこの日には契約を締結しないと伝えているにもかかわらず、この日に契 約を締結するように勧めてきた。何度か断ったものの、GはKの話に引き込まれていって、契約を 締結することにした。 KがGに交付した契約書面には、契約締結担当者の氏名及び書面の内容を十分に読むべき旨 が正しく記載されていなかった。 契約を締結したものの、Gはよく考えた結果、契約をクーリング・オフすることとし、会社に電話を かけてクーリング・オフの意思を伝えた後、クーリング・オフ通知を発信した。 Gがクーリング・オフ通知を発信した後、KがG宅に事前に何の連絡もなく来訪した。KはGに対し て、「それはないでしょう。」などと契約を解除しないように告げた。また、Gがクーリング・オフの理 由を告げると、Kは別の方法で直すことも提案してきた。Gは契約を解除したことについてKに何度 か謝った。 5 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号) 関係条項抜粋 (定義/訪問販売) 第二条 この章及び第五十八条の四第一項において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。 一 販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の 主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しく は売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供 契約」という。)の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供 二 販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業 所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約 の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は特定顧客 から役務提供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供 (再勧誘の禁止) 第三条の二 2 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思 を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。 (訪問販売における書面の交付) 第四条 販売業者又は役務提供事業者は、営業所等以外の場所において商品若しくは指定権利につき売買 契約の申込みを受け、若しくは役務につき役務提供契約の申込みを受けたとき又は営業所等において特 定顧客から商品若しくは指定権利につき売買契約の申込みを受け、若しくは役務につき役務提供契約の 申込みを受けたときは、直ちに、主務省令で定めるところにより、次の事項についてその申込みの内容を 記載した書面をその申込みをした者に交付しなければならない。ただし、その申込みを受けた際その売買 契約又は役務提供契約を締結した場合においては、この限りでない。 一~五(略) 六 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項 第五条 販売業者又は役務提供事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、次項に規定する場合を 除き、遅滞なく(前条ただし書に規定する場合に該当するときは、直ちに)、主務省令で定めるところによ り、同条各号の事項(同条第五号の事項については、売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項に 限る。)についてその売買契約又は役務提供契約の内容を明らかにする書面を購入者又は役務の提供を 受ける者に交付しなければならない。 一 営業所等以外の場所において、商品若しくは指定権利につき売買契約を締結したとき又は役務につき役 務提供契約を締結したとき(営業所等において特定顧客以外の顧客から申込みを受け、営業所等以外の 場所において売買契約又は役務提供契約を締結したときを除く。)。 特定商取引に関する法律施行規則 (昭和51年11月24日通商産業省令第89号) (訪問販売における書面の交付等) 第三条 法第四条第六号の経済産業省令で定める事項は、次のとおりとする。 二 売買契約又は役務提供契約の申込み又は締結を担当した者の氏名 第五条 2 書面には書面の内容を十分に読むべき旨を赤枠の中に赤字で記載しなければならない。 6 (迷惑勧誘の禁止) 第七条 主務大臣は、販売業者又は役務提供事業者が第三条、第三条の二第二項若しくは第四条から 第六条までの規定に違反し、又は次に掲げる行為をした場合において、訪問販売に係る取引の公正及 び購入者又は役務の提供を受ける者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その販売業者又 は役務提供事業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。 一~三(略) 四 前三号に掲げるもののほか、訪問販売に関する行為であつて、訪問販売に係る取引の公正及び購入 者又は役務の提供を受ける者の利益を害するおそれがあるものとして主務省令で定めるもの 特定商取引に関する法律施行規則 (訪問販売における禁止行為) 第七条 法第七条第四号の経済産業省令で定める行為は、次の各号に掲げるものとする。 一 訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を し、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除について迷惑を 覚えさせるような仕方でこれを妨げること。 (業務の停止等) 第八条 主務大臣は、販売業者若しくは役務提供事業者が第三条、第三条の二第二項若しくは第四条か ら第六条までの規定に違反し若しくは前条各号に掲げる行為をした場合において訪問販売に係る取引 の公正及び購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、 又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条の規定による指示に従わないときは、その販売業者又は 役務提供事業者に対し、一年以内の期間を限り、訪問販売に関する業務の全部又は一部を停止すべき ことを命ずることができる。 2 主務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。 7
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