2016年 10月11日号 Vol.325 10月の見通し 波立つ潮の変わり目 株式をやや強気から中立へ 年末に向けて世界経済が上向く兆しはあるも のの、短期的には米大統領選などの不透明 要因に警戒が必要であることからピクテ・グ ループの短期的な投資環境見通しは株式の 評価をやや強気評価から中立へ引き下げま す。 それぞれの金融政策 世界経済の勢いが増すなか、米連邦準備制 度理事会(FRB)が追加利上げに踏み切る公 算も強まっています。ピクテは12月の利上げ を予想しており、米国経済も利上げに耐えら れるだけの強さがあると考えています。 一方、日銀は9月21日の金融政策決定会合 で総括的検証を行ない、長期金利の操作に 軸足を置いた新たな枠組みを導入すると発 表しました。黒田総裁の大胆な金融緩和策 は転機を迎えています。ECBでもマイナス金 利や量的緩和策の見直し機運が強まってお り、主要中央銀行による資金供給量がピーク 時と比べて半減する可能性が現実味を帯び てきそうです。 金融政策の変化に加えて、11月に行われる 米大統領選挙などの政治イベントにも注意が 必要です。世論調査では民主党のクリントン 候補が共和党のトランプ候補をリードしてい ますが、英国の国民投票が世論調査と逆の 結果になった苦い経験から、市場は疑心暗 鬼になっています。選挙が近づくにつれて市 場は神経質な動きを強めるでしょう。 漁師は潮を見る 今年は親潮(寒流)の勢力が弱く日本近海の 海水温が下がらないため、秋刀魚が不漁で 高値が続いています。漁とは気象や潮の流 れなどを総合的に判断しなければならないも のですが、相場の世界でも「漁師は潮を見 る」という格言があります。市場のトレンドを 俯瞰しながら投資判断することの大切さを意 味しています。 足下の市場環境を見渡すと、潮目の変化を 感じさせる兆候が見られます。 年初から20円以上も円高に振れた為替相場 は、米ドル需給の逼迫感を背景に緩やかなド ル高に転じる可能性があります。 そうなれば年初から10%以上も下落している 日本株に対する見方も次第に前向きなもの に変わってくると期待されます。 しかし、潮の変わり目は波も高くなるもので、 債券利回りが急上昇すれば株式市場全体に 悪影響を及ぼす可能性があります。また、米 大統領選挙に代表される政治リスクにも警戒 を怠ることはできません。 このため、今は足下の株価上昇のタイミング を利用して一時的に手持ち現金比率を引上 げ、不透明感が薄れた後の本格的な買い出 動に備えるのが得策ではないでしょうか。 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市 場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績 は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全 性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることが あります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護 機構の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかな る情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
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