メディア論 追加課題 3 NE22-0245A 平島 晨司

メディア論 追加課題 3
NE22-0245A 平島 晨司
「あまちゃん」
「半沢直樹」以前/以後の世相評価
TV 視聴率とは、そのテレビ番組をどれだけの世帯で見られているか、を表す指標である。
TV 局にとっては番組制作の基本指標であり、この数字次第で番組の続編制作、または打ち
切りが決まってしまうという。過去にはこの視聴率を TV プロデューサーが買収し操作しよ
うとした事件も発生しているほどである。
昨年、その TV 視聴率で話題になったのが、TBS によって制作されたドラマ「半沢直樹」
である。初回 19.4%というまずまずの数字でスタートしたものの、その後回を追うごとに
増えていき、最終話ではなんと視聴率 42.2%をマークする大ヒット作品となった。この数
字は同局制作のドラマでは過去最高の数字であり、平成のドラマ作品の中でも 2011 年の日
本テレビ制作「家政婦のミタ」の 40.0%を超える最高値を更新した。作品中のセリフ「倍
返し」が流行になり、今では社会現象級とも言われているが、半沢直樹という作品は当時
TV 局の中ではヒットするとは予期すらしていなかったという。
ドラマのメインターゲットは主に女性である。そのため、ドラマには視聴者である女性
層が喰い付く要素、つまり登場人物との恋愛に共感できる女性を配置したり、芸能事務所
のイケメンタレントを起用したり、あるいは主題歌を大物歌手とタイアップしたりという
工夫で主にヒット作を作ってきた。しかし今回の半沢直樹では、主題歌は BGM、芸能事務
所出のタレントも少なければ恋愛要素、そもそも女性キャラクター自体が少ないという、
ないない尽くしである。実際制作側はヒットするとは考えもしなかったようで、ヒット作
なら通常あるはずの放送枠の延長にもキャストの他ドラマへの出演予定などが重なり、失
敗してしまった。この高視聴率コンテンツの延命につなぐ余裕すらなかったわけである。
ではそもそも半沢直樹がここまでヒットしたその要素は何であったのか。それはストー
リーの面白さと俳優たちの演技力であろう。原作が元銀行マンとしての経験を持つ、直木
賞を受賞した池井戸先生の作品であり、更にドラマ化に至ってはエンターテイメント性を
盛り込み、銀行というお固い場所でありながら、設定や背景・対立軸を老若男女誰でも分
かるように仕立てた勧善懲悪型のストーリー。そして主役の劇場俳優出身の堺 雅人さんや、
歌舞伎俳優の片岡愛之助さんなど、人気度やファンの多さに左右されずに役を演じきった、
演技派俳優陣の活躍であるといえよう。
たしかに、恋愛要素やイケメンタレント、主題歌などを持たない、銀行を舞台にした出
世ストーリーに女性層が喰い付くとは思わなかったであろう。しかし、ないない尽くしと
いうセリフは逆に言えば、TV 局制作側スタッフは『これがあれば喰い付くだろう』という
視聴者に対する奢りがあったとも感じ取れる。つまりそういったマーケティングや視聴者
に媚びる姿勢がなくとも、純粋な面白さ・エンターテイメントとしてまだまだドラマが作
れる、という姿勢を TV 局側、そして視聴者側に思い知らせたのではないだろうか。
メディア論 追加課題 3
NE22-0245A 平島 晨司
「あまちゃん」
「半沢直樹」以前/以後の世相評価
半沢の後番組である「安藤ロイド」は日本の有名芸能事務所の俳優を主演に置き大々的
なアピールをしたが、その視聴率は凡作に終わってしまった。これも今までの定番である
ヒット作の後番組も成功しやすい、という法則が通用しなくなってしまったことを意味す
る。半沢直樹で目が肥えたこれからの視聴者層はあるある尽くし、の典型的なドラマに No
を突きつけたのだ。これからのドラマ作品が楽しみである。
※あまちゃんについては未視聴なのでレビューは記載しておりません。
引用資料
・半沢直樹公式サイト – TBSWEB
(http://www.tbs.co.jp/hanzawa_naoki/)
・半沢直樹の原点は黒澤明の「用心棒」~インタビュー(週刊朝日)
(http://dot.asahi.com/wa/2013092000028.html)