飲食店の滞在時間の分析 学籍番号 199801081 西岡 亨祐 社会経済専攻 指導教官 石井 健一 1 目次 1目的 1.1 概況 ------------------------------------------------------------------------- 3 1.2 仮説の設定 ---------------------------------------------------------------- 4 2方法 2.1 ファミリーレストランの来店者の測定方法 ---------------------- 5 2.2 項目別に見た滞在時間の分析方法 ---------------------------------- 7 2.3 滞在時間の分析方法 ---------------------------------------------------- 7 3結果と考察 3.1 ファミリーレストランの来店者の分析 ---------------------------- 8 3.2 項目別に見た滞在時間の分析 --------------------------------------- 14 3.3 滞在時間の分析と仮説の検証 --------------------------------------- 19 4結論 参考文献 ----------------------------------------------------------------------- 26 2 1、目的 1.1 概況 日本経済はデフレ不況一色である。外食産業も例外ではない。2001 年(平成 13 年)の一般 飲食店はじめ、宿泊施設の飲食、集団給食、料飲店なども含めた外食産業市場規模は 26 兆 9,118 億円(日本フードサービスホームページ)であるが、これは 3 年連続の市場規模の縮 小となっている。 ここまで外食需要が急速に拡大した要因として、高度経済成長による日本の経済規模の 拡大、収入の伸びが相対的に大きい若齢人口の増加、核家族化の進行と女性の社会的進出、 外食は最も手近でかつ安価なレジャーであったこと、モータリゼイションの進展などがあ げられる。大衆消費社会では、他人と同じように生活することがその「強い社会的同調性」 (人並み意識)によって社会的強制となり、標準化された耐久消費財の場合と同様に、消費(生 活)のソフト面についてもパターンの均一化、平準化(同質化傾向)を招来し、外食の場合も規 格化標準化された店舗運営の総体が「商品」として消費者によって求められ、ファミリー レストランやファーストフードなどの業態の提供する「外食」は外食市場の急速な拡大の 中心的かつ重要な要因となった。そして成熟社会となった現在、消費者の関心は「多様性・ 個性化」、「価値観の変化」、「モノよりサービス」、「品質志向」、「価格志向」、「健康志向」 等に寄せられることが多い。ある一定の水準に達した所得およびこのような消費者意識・ 価値観と消費行動の基準の変化を基礎にして成立した成熟社会では「消費者の異質化」が 消費の最も重要な傾向となった。成熟社会での外食市場も消費者の多様化・個性化傾向、 すなわち「消費の異質化」(多様化細分化された市場)を前提にしなければならなくなったの である。(岩渕 1996) 成熟社会、つまり圧倒的な消費をし尽くした後の社会というのは、もうこれ以上新たに 買う必要のものが減る、という社会である。加えて日本は世界的にもまれに見る高齢化社 会である。だから人はあまりお金を使いたがらない。一方で、消費者が使わなくてはなら ない「時間」は増える。残業は増えない、余暇時間は増える。老後というのは究極の余暇生 活と考えることすらできる。「お金は増えず、時間は増える。」これがこれからのデフレ社 会の消費者の気持ちであり、その気持ちに対応した飲食店「安価に時間をつぶすことができ る店」が良い店ということになる。加えて「楽しく気軽に」時間つぶしができればそれに 越したことはない。ただこうした店は滞在時間の長さから回転数が下がり、それがそのまま 売上減少につながる。従業員を鍛え良いサービスを提供し、あるいはメニューそのものに工 夫をして追加注文などが自然に取れるようにし、長い滞在時間ならではの高客単価を目指 す。あるいはローコスト店舗、ローコスト運営を前提とし従来よりも低い売上高でも十分 に利益が出るような体質での経営を目指す。またはその両方の手法を駆使して、よりゆった りと時間を使えるような店づくりが必要である。(飲食店経営 3 2003.1 月号) 1.2 仮説の設定 そこで本研究では実際に、飲食店で滞在時間の長い消費者はどのような人達が多いのだ ろうかという所に目を向けた。そしてその人達を知ることで「楽しく、気軽に」使えて、そ れぞれの人達の要望にあったような飲食店をたくさんつくれば、外食市場の拡大につなが るだろうと考えた。 まず女性同士で来店している人達は滞在時間が長いのではないだろうかと考えた。一般 的に、男性よりも女性の方がおしゃべり好きというイメージが強い。そうだとすれば飲食 店に来店した人達も女性同士であれば、おしゃべりの時間が長くなり、滞在時間も長くな ると考えられそうである。 次に大人数で来店している人達は滞在時間が長いのではないだろうかと考えた。たくさ んの人達で来店していれば、注文をするまでにも時間がかかるだろうし、食事を済ますまで にも時間がかかるだろう。またたくさんの人がいることでいろんな話題が出てくるのでお しゃべりも尽きることがないだろうと考えられ、滞在時間も長くなると考えられそうであ る。 最後に、座席配置という観点から考えると、座り心地が良いほど滞在時間は長くなるの ではないだろうかと考えた。より個室感を味わえるような、自分達だけの空間を味わえる ような座席配置であれば、人目を気にせずゆっくりくつろぐことができるはずである。そ うすることで滞在時間も長くなると考えられそうである。 仮説 (1) 女性同士で来店していると滞在時間は長い。 (2) 大人数で来店しているほど滞在時間は長い。 (3) 座り心地のよい席に座っている人達の方が滞在時間は長い。 2、方法 外食市場の急速な拡大の中心的かつ重要な要因の一つとなったファミリーレストランに 目を向けて、その来店者の滞在時間を調べることにより、人々のファミリーレストランで の時間の使い方を見ることにした。 つくば市桜にある 3 つのファミリーレストラン「ココス、サイゼリヤ、バーミヤン」を選 んだ。その理由として 1、 ファミリーレストランと位置付けられている。 2、 すべて同業他社が経営を行っている。 3、 同じような立地条件である。 以上の 3 つがあげられる。 データ(サンプル数)の収集方法としては、来店者が着席した時間から退席した時間を、目 視で確認しメモに書き残すことでデータを集めた。 4 調査日は以下のとおり ココス 7 月 7 日(日)、7 月 18 日(木)、9 月 10 日(火)、9 月 29 日(日)、10 月 17 日(木)、10 月 26 日(土) サイゼリヤ 7 月 14 日(日)、8 月 1 日(木)、9 月 8 日(日)、9 月 17 日(火)、10 月 24 日(木)、11 月 3 日(日) バーミヤン 7 月 11 日(木)、8 月 4 日(日)、9 月 3 日(火)、9 月 22 日(日)、10 月 3 日(木)、10 月 19 日(土) サンプル数 667 有効サンプル数(滞在時間が把握できたもの) 568 できるだけたくさんのサンプルを得るために夜のピークの時間に調査を行った。 平日と土日ではピークの時間がずれているため調査時間を 1 時間ずらした。 平日は 19 時~23 時の間で調査を行った。 土日は 18 時~22 時の間で調査を行った。 2.1 ファミリーレストランの来店者の測定方法 まずレストランごとでどのような違いがあるのかを知るために、来店者の団体構成、来 店者の年代、来店者の男女構成、来店した曜日、来店者の人数構成、レストラン別の座席 構成の 6 つの項目のそれぞれの店における割合を調べた。なお、本研究では客観的に判断 できるもの(男女構成、曜日、人数構成、座席構成)以外はすべて研究者の主観的判断によ るものとした。 2.1.1 レストラン別に見た来店者の団体構成の測定方法 それぞれの店にどのような団体構成をした人達がどのくらい来店しているのかをしるた めにここではグループを大きく 4 つに分けた 1、ひとりで来店した人 2、男性・女性のカップルで来店した人達 3、家族で来店した人達 4、友達同士で来店した人達 男性・女性のカップルは明らかに親子という関係の男性・女性のカップルを除いて、男性 ひとり、女性ひとりのペアで来店したものはすべてカップルとした。そのため実際は家族の 15 歳以下の子供をつれている人達は無条件で家族のグループに入れ、男性・女性のカップル や男性だけ、女性だけの場合についても親子関係に見られるものは家族のグループに入れ た。友達同士のグループは前記の 3 つのグループのいずれにも属さないものをすべて含ん でいる。そのため実際は先輩・後輩という関係や先生・生徒という関係などもあったと考 えられる。 5 2.1.2 レストラン別に見た来店者の年代の測定方法 初めはそれぞれの年代(20 代、30 代、40 代・・・)と分けて、それぞれの店にどのような年 代の人達がどのくらい来店しているのかを調べたが、細かく分けすぎるとサンプル数が少 なすぎるため、20 代と 30 代以上、家族という 3 つのグループに分けた 1、20 代の来店者 2、30 代以上の来店者 3、家族で来店した人達 この年代の判断基準はすべて見た目による。20 代、30 代が同じグループに混じっていた ものは 666 件中 18 件しかなかったので、20 代の来店者にまとめた。ほとんどが同じ年齢 層の人達で来店しているか、年代に差がある場合は親子関係に見て取れた。 2.1.3 レストラン別に見た来店者の男女構成の測定方法 男性、女性の違いによってそれぞれの店にどのくらい来店しているかを知るためにグル ープを 3 つにわけた。 1、 男性・女性が混合したグループ 2、 男性だけのグループ 3、 女性だけのグループ 男性・女性が混合したグループにはカップル、友達同士が含まれる。男性だけ、女性だ けのグループにはひとりで来店した人、友達同士が含まれる。 2.1.4 レストラン別に見た曜日ごとの来店者の測定方法 土日と平日でそれぞれの店での来店者数の違いをしらべた。 2.1.5 レストラン別に見た来店者の人数構成の測定方法 初めは細かく、人数を分けて調査していたが、5 人以上のグループ(6 人、7 人、8 人・・・) のサンプル数が少ないため 5 人以上というグループの中にすべて含めた。それぞれの店に 何人ずつの割合で来店しているのを知るために以下の 5 つのグループに分けた。 1、 ひとりで来店した人 2、 2 人で来店した人達 3、 3 人で来店した人達 4、 4 人で来店した人達 5、 5 人以上で来店した人達 6 2.1.6 レストラン別に見た座席の構成の測定方法 それぞれの店ごとで席のつくり(ソファー・つながったソファーと椅子・椅子)、配置(独 立性がある・片方に遮るものがある・両隣に遮るものがない)がどのように違っているかを 知るために、座り心地、居心地のよさを順位で 1 番から 9 番までつけることにより表わし た。 1 番目に座り心地の良い席 ソファーの席で独立性がある 2 番目に座り心地の良い席 つながったソファーと椅子の席で独立性がある 3 番目に座り心地の良い席 椅子だけの席で独立性がある 4 番目に座り心地の良い席 つながったソファーの席で片方に遮るものがある 5 番目に座り心地の良い席 つながったソファーと椅子の席で片方に遮るものがある 6 番目に座り心地の良い席 椅子だけの席で片方に遮るものがある 7 番目に座り心地の良い席 つながったソファーの席で両隣に遮るものがない 8 番目に座り心地の良い席 つながったソファーと椅子の席で両隣に遮るものがない 9 番目に座り心地の良い席 椅子だけの席で両隣に遮るものがない 図 2.1~2.3 を参照 1、3、5、6、8、9 番目の座席配置については図 2.1~2.3 のとおりである。2 番目に座り 心地の良い席は大人数で来店した時に起こりうる座席である。4、7 番目に座り心地の良い 席はひとりで来店した時に起こりうる座席である。 2.2. 項目別に見た滞在時間の分析方法 ココス、サイゼリヤ、バーミヤンのそれぞれ 3 店舗、来店者の団体構成、来店者の年代、 来店者の男女構成、来店した曜日、来店者の人数構成、レストラン別の座席構成ごとに滞 在時間の平均値と標準偏差を求めた。そうすることでどの項目が滞在時間に影響を及ぼし ているのかをみた。 2.3 滞在時間の分析方法 得られた滞在時間の平均値で特に影響をあたえているものを選んで一変量の分析を行う。 7 3、結果と考察 3.1 ファミリーレストランの来店者の分析 3.1.1 レストラン別に見た来店者の団体構成の分析 表3.1.1 団体構成 レストラン別に見た来店者の団体構成 ひとりで来店した人の度数 ひとりで来店した人の割合 カップルで来店した人たちの度数 カップルで来店した人たちの割合 家族で来店した人たちの度数 家族で来店した人たちの割合 友達同士で来店した人達の度数 友達同士で来店した人達の割合 合計 ファミリーレストランのタイプ ココス サイゼリヤバーミヤン 16 12 23 8.1 5.1 9.9 51 79 75 25.8 33.3 32.3 54 31 64 27.3 13.1 27.6 77 115 70 38.9 48.5 30.2 198 237 232 100.0 100.0 100.0 合計 51 7.6 205 30.7 149 22.3 262 39.5 667 100.0 表 3.1.1 よりファミリーレストランという大きな枠でとらえるとその利用は約 40%が友 達同士で、約 30%がカップルで、約 20%が家族で利用されている。それぞれの店舗ではサ イゼリヤにおいて家族の来店者が 13%と他の 2 店舗に比べて半分の割合という少なさで、 友達同士の来店者が約 48%と他の 2 店舗に比べて多いのが目立った。これによりココス、 バーミヤンはさまざまな団体構成の人達が来店するが、サイゼリヤは家族の利用率が低い ことがわかった。 3.1.2 レストラン別に見た来店者の年代の分析 表3.1.2 年代 レストラン別に見た来店者の年代 ファミリーレストランのタイプ ココス サイゼリヤバーミヤン 98 187 120 49.7 78.9 51.7 45 19 48 22.8 8.0 20.7 54 31 64 27.4 13.1 27.6 197 237 232 100.0 100.0 100.0 20代の来店者の度数 20代の来店者の割合 30代以上の来店者の度数 30代以上の来店者の割合 家族で来店した人たちの度数 家族で来店した人たちの割合 合計 合計 405 60.8 112 16.8 149 22.4 666 100.0 表 3.1.2 より全体では約 61%が 20 代、22%が家族、17%が 30 代以上の人達が来店して いることがわかった。サイゼリヤの 20 代の来店者が他の 2 店舗の来店者が約 50%なのに 比べて、約 80%と極端に差がついた。また家族の来店者や 30 代以上の人達の来店者につい てもサイゼリヤは他の 2 店舗の半分以下の割合となっていた。これによりサイゼリヤは若 者の支持が高い店であるといえる。 8 3.1.3 レストラン別に見た来店者の男女構成の分析 表3.1.3 男女構成 レストラン別に見た来店者の男女構成 男性・女性のペア・グループの来店者の度数 男性・女性のペア・グループの来店者の割合 男性だけの来店者の度数 男性だけの来店者の割合 女性だけの来店者の度数 女性だけの来店者の割合 合計 ファミリーレストランのタイプ ココス サイゼリヤバーミヤン 108 123 148 54.5 52.1 63.8 31 53 52 15.7 22.5 22.4 59 60 32 29.8 25.4 13.8 198 236 232 100.0 100.0 100.0 合計 379 56.9 136 20.4 151 22.7 666 100.0 表 3.1.3 より全体でみると約 60%が男性・女性のペア、グループで来店し、残り約 20%ず つで男性だけ、女性だけの来店者となっていた。ココスでは男性だけの来店者がすくないの が目立った。またバーミヤンにおいては女性だけの来店者が他の 2 店舗に比べて半分以下 の割合であった。これによりココスは男性だけの来店者の利用率が、バーミヤンは女性だ けの来店者の利用率がそれぞれ低いことがわかった。サイゼリヤは男女の区別なく利用さ れている。 3.1.4 レストラン別に見た曜日ごとの来店者の分析 表3.1.4 曜日 レストラン別に見た曜日ごとの来店者 ファミリーレストランのタイプ ココス サイゼリヤバーミヤン 107 124 121 54.0 52.3 52.2 91 113 111 46.0 47.7 47.8 198 237 232 100.0 100.0 100.0 土日の来店者の度数 土日の来店者の割合 平日の来店者の度数 平日の来店者の割合 合計 合計 352 52.8 315 47.2 667 100.0 表 3.1.4 より全体の約 53%が土日に来店し、約 47%が平日に来店している。土日の方がど の店も来店者は多くなっていた。 3.1.5 レストラン別に見た来店者の人数構成の分析 表3.1.5 来店人数 レストラン別に見た来店者の人数構成 ファミリーレストランのタイプ ココス サイゼリヤバーミヤン 16 12 23 8.1 5.1 9.9 104 141 117 53.0 59.7 50.4 40 40 44 20.2 16.9 19.0 22 23 30 11.1 9.7 12.9 15 20 18 7.6 8.5 7.8 198 236 232 100.0 100.0 100.0 ひとりで来店した人の度数 ひとりで来店した人の割合 2人で来店した人達の度数 2人で来店した人達の割合 3人で来店した人達の度数 3人で来店した人達の割合 4人で来店した人達の度数 4人で来店した人達の割合 5人以上で来店した人達の度数 5人以上で来店した人達の割合 合計 9 合計 51 7.7 363 54.5 124 18.6 75 11.3 53 8.0 666 100.0 表 3.1.5 より全体の半数が 2 人で来店していることがわかった。どのお店についても 2 人 で来店している人たちが半数以上を上回っていた。ファミリーレストランに来店する人達 の 2 組に 1 組は 2 人組であるということがいえる。 3.1.6 レストラン別に見た座席の構成の分析 表3.1.6.a レストラン別に見た座席の構成 座席の構成 1番目に座り心地の良い席の度数 1番目に座り心地の良い席の割合 2番目に座り心地の良い席の度数 2番目に座り心地の良い席の割合 3番目に座り心地の良い席の度数 3番目に座り心地の良い席の割合 4番目に座り心地の良い席の度数 4番目に座り心地の良い席の割合 5番目に座り心地の良い席の度数 5番目に座り心地の良い席の割合 6番目に座り心地の良い席の度数 6番目に座り心地の良い席の割合 7番目に座り心地の良い席の度数 7番目に座り心地の良い席の割合 8番目に座り心地の良い席の度数 8番目に座り心地の良い席の割合 9番目に座り心地の良い席の度数 9番目に座り心地の良い席の割合 合計 表3.1.6.b 座席の構成 ファミリーレストランのタイプ ココス サイゼリヤバーミヤン 115 83 58.4 35.2 2 1 1.0 0.4 58 27 24.6 11.6 5 4 2.5 1.7 61 65 131 31.0 27.5 56.5 1 9 0.5 3.9 1 1 9 0.5 0.4 3.9 12 21 46 6.1 8.9 19.8 4 9 1.7 3.9 197 236 232 100.0 100.0 100.0 合計 198 29.8 3 0.5 85 12.8 9 1.4 257 38.6 10 1.5 11 1.7 79 11.9 13 2.0 665 100.0 レストラン別に見た座席の構成 1~3番目に座り心地の良い席の度数 1~3番目に座り心地の良い席の割合 4~6番目に座り心地の良い席の度数 4~6番目に座り心地の良い席の割合 7~9番目に座り心地の良い席の度数 7~9番目に座り心地の良い席の割合 合計 ファミリーレストランのタイプ 合計 ココス サイゼリヤ バーミヤン 117 141 28 286 59.4 59.7 12.1 43.0 67 69 140 276 34.0 29.2 60.3 41.5 13 26 64 103 6.6 11.0 27.6 15.5 197 236 232 665 100.0 100.0 100.0 100.0 図 2.1~2.3 をみればわかるようにココスには 1、5、8 番目に座り心地の良い席があり、 サイゼリヤには 1、3、5、8 番目に座り心地の良い席があり、バーミヤンには 3、5、6、8、 9 番目に座り心地の良い席がある。2、4、7 番目に座り心地の良い席が図にないのは大人数 で来店した時に席をくっつけることで 2 番目の席となったり、ひとりで来店することによ って 4、7 番目の席となったりするからである。そこで表 3.1.6 よりこれら席の順位を得点 としそれぞれの席の平均値を求めると ココス 2.81 サイゼリヤ 3.43 10 バーミヤン 5.62 となり得点の平均値の一番低いココスが一番居心地が良いといえる。 表 3.1.6.a よりソファーで独立性がある席はそれぞれの店でココスは約 60%、サイゼリヤ では 35%、バーミヤンはソファーで独立性のある席はなかった。椅子だけの席で独立性が ある席はココスにはなく、サイゼリヤで約 25%、バーミヤンで約 10%であった。つながっ たソファーと椅子の席で片方に遮るものがある席はココス、サイゼリヤとも約 30%、バーミ ヤンでは 56%であった。またつながったソファーと椅子の席で両隣に遮るものがない席は バーミヤン約 20%とココス、サイゼリヤの割合の 2 倍以上もあることがわかった。 以上のことからココスはソファーの席で独立性のある席が約 60%を占め、約 30%はつな がったソファーと椅子の席で片方に遮るものがある席が占めているので、他の 2 店舗に比 べて非常に居心地の良い店であることが言える。またサイゼリヤはソファーの席で独立性 のある席は約 35%、椅子だけで独立性のある席は約 25%で合わせて約 60%は独立性のある 席が占めている。表 3.1.6.b よりバーミヤンでは独立性のある席は約 10%しかなく、席の約 60%がつながったソファーと椅子で片方に何かさえぎるものがある席によって占められ、そ の次に多い席はつながったソファーと椅子の席で両隣に遮るものがない席が約 30%となっ ており、3 店舗のなかでは一番居心地が悪い店であることが言える。 3.1.7 まとめ ココス 美味しい料理とくつろげるサービスで、ほのぼの安心できるファミリーレストラン(ココス ジャパンホームページ) ドリンクバー 320 円 メイン料理は約 14 種類、和風ハンバーグ 680 円~サーロインステーキ 1480 円。 麺類・飯物は約 16 種類、ミートソース 580 円~辛口刺激のビーフカレー880 円。 サイドメニューは約 24 種類、ミニサラダ 180 円~気まぐれピザ 980 円 デザートは約 22 種類、バニラアイスクリーム 150 円~丸ごと巨峰サンデー480 円 和食は約 8 種類、和風きのこ雑炊 580 円~和風ハンバーグと有頭エビフライ膳 1280 円 アルコールは約 11 種類、グラスワイン 180 円~ボトルワイン 1000 円 11 ココス 団体構成 いろんな団体構成の人達が利用 年代 半数が 20 代 男女構成 男性だけの来店者が少ない 曜日 土日の方が来店者が多い 人数構成 2 人組が半数以上 座席の構成 1 番居心地がよい サイゼリヤ 「素材」にこだわったヘルシーな「本物のイタリア料理」を懐具合を気にせず、誰もが、 気軽に、便利に、楽しめるレストラン(サイゼリヤホームページ) ドリンクバー 単品 250 円 何か注文すると 180 円 メイン料理は約 13 種類、ハンバーグステーキ 380 円~ビーフステーキ 880 円。 麺類・飯物は約 18 種類、ミラノ風ドリア 290 円~シーフードのオーロラソース 580 円 サイドメニューは約 37 種類フォッカチオ 100 円~エスカルゴのオーブン焼き 680 円 デザートは約 11 種類、ミルクイタリアンジェラート 180 円~パンナコッタ 350 円 アルコールは約 28 種類グラスワイン 90 円~ボトルワイン 1880 円 サイゼリヤ 団体構成 家族の利用率が低い。約半数は友達同士で利用 年代 約 80%が 20 代 男女構成 男女で半数を占め、男性と女性で約 25%ずつ 曜日 土日の方が来店者が多い 人数構成 2 人組が半数以上 座席の構成 2 番目に居心地がよい 12 バーミヤン 「安い、おいしい、速い、体に良い」を実現した本格中華専門レストラン(すかいらーく ホームページ) ドリンクバー 単品 180 円 メイン料理は約 11 種類四川麻婆豆腐 380 円~特製海鮮炒め 680 円 麺類・飯物は約 15 種類、バーミヤンラーメン 380 円~海老のあんかけチャーハン 680 円 サイドメニューは約 21 種類、焼餃子 180 円~北京ダック 580 円 デザートは約 5 種類、杏仁豆腐 180 円~黒ごまプリン 230 円 アルコールは約 22 種類生ビール小 240 円~紹興酒ボトル 1300 円 バーミヤン 団体構成 いろんな団体構成の人達が利用 年代 半数が 20 代 男女構成 女性だけの来店者が少ない 曜日 土日の方が来店者が多い 人数構成 2 人組が半数以上 座席の構成 3 番目に居心地がよい 以上のことをまとめるとサイゼリヤの家族の利用率が低く、20 代の若者の利用率が約 80%と高いのはイタリアンという業態がまだまだ 30 代以上の年齢層の人達や家族連れに浸 透しきれていないように考えられる。ココスは和食の定食メニューがあり、バーミヤンは 日本人にとってなじみのある中華料理なので、比較的幅広い年齢層、団体構成に受けてい るものと考えられる。またサイゼリヤではワインに力を入れており、その種類も豊富であ る。グラスワイン 90 円、デカンタは 250ml で 180 円、500ml で 350 円とそのリーズナブ ルさも若者の支持をえているように考えられる。 サイゼリヤの家族での来店者やバーミヤンの女性だけの来店者の割合は、他の店舗の半 分の割合になっており、極めて少ないことがわかる。サイゼリヤに来店する家族連れが少 ないのはやはりイタリアンという業態が浸透しきれてないないということが考えられる。 バーミヤンに来店する女性だけの来店者がすくないのは、バーミヤンのデザートの種類の 少なさによるものと考えられる。ココスも男性だけの来店者は他の店舗の割合に比べて少 ないが、際立って少ないというものでもなかった。 座席の構成はメニューの価格帯に相関している。ココスは価格帯が一番高く、座席も 1 番目に座り心地が良い。バーミヤンは価格帯が一番低く、座席も 3 番目となっている。サ イゼリヤは価格帯も座席もココス、バーミヤンの間となっている。 13 3.2 項目別に見た滞在時間の分析 3.2.1 レストラン別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 表3.2.1 レストラン別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 度数 平均値 標準偏差 ダンカンの検定 F値 ファミリー ココス 167 59.94 35.15 a 5.53** レストランの サイゼリヤ 192 54.60 28.22 b,a タイプ バーミヤン 209 49.82 24.89 b 全体 568 54.41 29.56 表 3.2.1 より F 値は 5.53 で 1%水準で有意であった。つまりレストランによって滞在時 間に差があると言える。 ココスの滞在時間の平均値 59.94 分、標準偏差 35.15 と長く、続いてサイゼリヤが滞在 時間 54.60 分、標準偏差 28.22、バーミヤンが滞在時間 49.82 分、標準偏差 24.89 であった。 またダンカンの検定では 5%水準でココスとサイゼリヤ、ココスとバーミヤン、サイゼリ ヤとバーミヤンで統計的な差が見られた。 座り心地の良い席が多いココスの滞在時間が一番長かった。 3.2.2 団体構成別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 表3.2.2 団体構成 団体構成別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 度数 平均値 標準偏差 ダンカンの検定 F値 ひとりで来店した人 42 36.23 20.35 c 27.80*** カップルで来店した人達 177 50.27 23.53 b 家族で来店した人達 137 45.31 13.98 b 友達同士で来店した人達 212 67.36 37.12 a 全体 568 54.41 29.56 表 3.2.2 より F 値は 27.80 で 0.1%水準で有意であった。つまり来店した団体構成によっ て滞在時間に差があると言える。 友達同士で来店した人達の滞在時間の平均値が 67.36 分、標準偏差 37.12 と一番長く、続 いてカップルで来店した人達の滞在時間が 50.27 分、標準偏差 23.53、家族で来店した人達 の滞在時間 45.31 分、標準偏差 13.98、ひとりで来店した人達の滞在時間 36.23 分、標準偏 差 20.35 となった。家族で来店した人達の標準偏差が特に低く、13.98 であった。友達同士 で来店した人たちは 37.12 であった。これにより、家族で来店した場合は食事のための時 間として来店する人達が多いため、標準偏差は低く、滞在時間も 60 分に達していないと考 えられる。また友達同士で来店した場合は食事をしてすぐに出て行く人達もいるが、ゆっ くりと話をしたり、勉強をしたりする人達が多いようである。そのため滞在時間も長く、 標準偏差も高くなっている。 またダンカンの検定では 5%水準で、友達同士で来店した人達とカップルで来店した人達、 友達同士で来店した人達と家族で来店した人達、カップルで来店した人達とひとりで来店 した人、家族で来店した人達とひとりで来店した人の間に統計的な差が見られた。 14 3.2.3 年代別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 表3.2.3 年代 年代別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 度数 平均値 標準偏差 ダンカンの検定 F値 20代の来店者 332 58.79 32.72 a 10.74*** 30代以上の来店者 99 52.34 31.38 a 家族で来店した人達 137 45.31 13.98 b 全体 568 54.41 29.56 表 3.2.3 より F 値は 10.74 で 0.1%水準で有意であった。つまり年代によって滞在時間に 差があると言える。 20 代の人達の滞在時間は 58.79 分、標準偏差 32.72、30 代以上の人達の滞在時間は 52.34 分、標準偏差 31.38 と大きな差は見られなかった。しかし家族で来店した人達は滞在時間 45.31 分、標準偏差 13.98 となっており、標準偏差を見るとここでも家族で来店した人達は 食事のための時間として来店していることが考えられる。 20 代・30 代の人達は話をしたり、 勉強したりするための時間として来店している人達もいる。 またダンカンの検定では 5%水準で、20 代の来店者と家族で来店した人達、30 代以上の 来店者と家族で来店した人達の間に統計的な差が見られた。 3.2.4 男女構成別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 表3.2.4 男女構成別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 度数 平均値 標準偏差 ダンカンの検定 F値 男女構成 男性・女性のペア・グループの来店者 328 51.52 24.39 b 25.74*** 男性だけの来店者 116 45.90 22.08 b 女性だけの来店者 124 70.03 40.69 a 全体 568 54.41 29.56 表 3.2.4 より F 値は 25.74 で 0.1%水準で有意であった。つまり男女の構成によって滞在 時間に差があると言える。 女性だけの来店者の滞在時間は 70.03 分、標準偏差 40.69、男性・女性のペア・グループ の来店者の滞在時間は 51.52 分、標準偏差 24.39、男性だけの来店者の滞在時間は 45.90 分、 標準偏差 22.08 となっている。これにより、しか またダンカンの検定では 5%水準で、女性だけの来店者と男性・女性のペア・グループの 来店者、女性だけの来店者と男性だけの来店者の間に統計的な差が見られた。 15 3.2.5 曜日別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 表3.2.5 曜日別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 度数 平均値 標準偏差 F値 曜日 土日 309 51.91 26.86 4.91* 平日 259 57.40 32.30 全体 568 54.41 29.56 表3.2.5.a 曜日別にみた団体構成 曜日 団体構成 土日 15 4.9 105 34.0 101 32.7 88 28.5 309 100.0 一人で来店した人の度数 一人で来店した人の割合 カップルで来店した人達の度数 カップルで来店した人達の割合 家族で来店した人達の度数 家族で来店した人達の割合 友達同士で来店した人達の度数 友達同士で来店した人達の割合 合計 平日 27 10.4 72 27.8 36 13.9 124 47.9 259 100.0 合計 42 7.4 177 31.2 137 24.1 212 37.3 568 100.0 表 3.2.5 より F 値は 4.91 で 5%水準で有意であった。つまり土日と平日で滞在時間に差 があると言える。 土日の来店者の滞在時間は 51.91 分、標準偏差 26.86、平日の来店者の滞在時間は 57.40 分、標準偏差 32.30 となっており、平日のほうが少しだけ滞在時間が長かった。表 3.2.5.a より土日には滞在時間の短い、家族の来店者が 13.9%から 32.7%に増加し、滞在時間の長い、 友達同士の来店者が 47.9%から 28.5%に減少しているので、このような結果が得られたと 考えられる。また土日は 18 時~22 時、平日は 19 時~23 時で調査を行ったので違いが生ま れたのかもしれない。 16 3.2.6 来店人数別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 表3.2.6.a 来店人数別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 度数 平均値 標準偏差 ダンカンの検定 F値 来店人数 ひとりで来店した人 42 36.23 20.35 b 5.32*** 2人で来店した人達 312 54.89 30.79 a 3人で来店した人達 103 57.60 28.37 a 4人で来店した人達 67 53.33 22.60 a 5人以上で来店した人達 44 62.61 34.03 a 全体 568 54.41 29.56 表3.2.6.b 来店人数別に見た団体構成 1人 団体構成 一人で来店した人の度数 一人で来店した人の割合 カップルで来店した人達の度数 カップルで来店した人達の割合 家族で来店した人達の度数 家族で来店した人達の割合 友達同士で来店した人達の度数 友達同士で来店した人達の割合 合計 来店人数 3人 4人 2人 5人以上 42 100.0 42 100.0 177 56.7 30 9.6 105 33.7 312 100.0 48 46.6 55 53.4 103 100.0 39 58.2 28 41.8 67 100.0 20 45.5 24 54.5 44 100.0 合計 42 7.4 177 31.2 137 24.1 212 37.3 568 100.0 表 3.2.6.a より F 値は 5.32 で 0.1%水準で有意であった。つまり来店人数によって滞在時 間に差があると言える。 ひとりで来店した人の滞在時間は 36.23 分、標準偏差 20.35、2 人で来店した人達の滞在 時間は 54.89 分、標準偏差 30.79、3 人で来店した人達の滞在時間は 57.60 分、標準偏差 28.37、 4 人で来店した人達の滞在時間は 53.33 分、標準偏差 22.60、5 人以上で来店した人達の滞 在時間は 62.61 分、標準偏差 34.03 となった。 表 3.2.6.b より 4 人で来店した人達の 58.2%は家族で来店した人達であり、2 人で来店し た人達の家族の割合 9.6%で、3 人で来店した人達の家族の割合 46.6%、5 人以上で来店し た人達の家族の割合 45.5%となっており、この中で家族で来店した人達の割合が特に高い のは 4 人で来店した人達の割合である。また人数別(たて)に見た家族で来店した人達の 割合でも一番、割合が高いのは 4 人で来店した人達の場合である。家族で来店した人達の 滞在時間の平均値は低いということはわかっているので、その割合の多い 4 人で来店した 人達の滞在時間の平均値が下がったと考えられる。 またダンカンの検定では 5%水準で、ひとりで来店した人と 2、3、4 人で来店した人達、 5 人以上で来店した人達との間に統計的な差が見られた。つまり滞在時間にはっきりと差が でるのはひとりで来店するか、しないかによるものと考えられる。 17 3.2.7 座席の構成別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 表3.2.7.a 座席の構成別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 度数 平均値 標準偏差 F値 座席の 1番目に座り心地の良い席 166 60.40 33.28 2.86** ランキング 2番目に座り心地の良い席 3 60.50 13.26 3番目に座り心地の良い席 73 58.53 32.98 4番目に座り心地の良い席 8 39.75 28.53 5番目に座り心地の良い席 217 52.86 27.03 6番目に座り心地の良い席 7 42.14 19.71 7番目に座り心地の良い席 11 35.96 11.54 8番目に座り心地の良い席 71 49.14 24.70 9番目に座り心地の良い席 12 38.08 20.85 全体 568 54.41 29.56 表3.2.7.b 座席の構成別に見た滞在時間の平均値と標準偏差 度数 平均値 標準偏差 ダンカンの検定 F値 座席の 1~3番目に座り心地の良い席 242 59.84 32.95 a 8.66*** ランキング 4~6番目に座り心地の良い席 232 52.09 26.96 b 7~8番目に座り心地の良い席 94 46.19 23.50 b 568 54.41 29.56 表 3.2.7.a より F 値は 2.86 で 1%水準で有意であった。つまり座席によって滞在時間に差 があると言える。 度数が 50 以上の使用頻度の高い席を見てみると 1 番目に座り心地の良い席、3 番目に座 り心地の良い席、5 番目に座り心地のよい席、8 番目に座り心地の良い席の 4 つである。と いうのも 2 番目に座り心地の良い席というのは、店に大人数で来店した場合でないとでき ない状況なので度数が少なくなっている。また 4、7 番目に座り心地の良い席というのは店 にひとりで来店した場合でないとできない状況なのでこれも少なくなっている。6 番目に座 り心地の良い席というは店にひとりで来店した場合か、バーミヤンに 2 つだけしかない席 なので非常に使用される場合が少なく度数が少ない。9 番目に座り心地の良い席は店にひと りで来店した場合か、バーミヤンに 6 つだけしかない席なのでこれも使用される場合が少な く度数が少ない。そこで 1、3、5、8 番目に座り心地の良い席の順通りに、滞在時間の平均 値を見ると 1 番目に座り心地の良い席は滞在時間 60.40 分、標準偏差 33.28、3 番目に座り 心地の良い席は滞在時間 58.53 分、標準偏差 32.98、5 番目に座り心地の良い席は滞在時間 52.86 分、標準偏差 27.03、8 番目に座り心地の良い席は滞在時間 49.14 分、24.70 となっ ており、座り心地の良い席ほど滞在時間が長くなっているといえる。また標準偏差も座り 心地の良い席ほど高くなっていることから、座り心地が良いと食事だけでなく、話しをし たり、勉強をしたりする機会が増加していると考えられる。 独立した場所(1~3 番目に座り心地の良い席)、片方に何か遮るものがある場所(4~6 番目に座り心地の良い席)、両隣に何も遮るものがない場所(7~9 番目に座り心地の良い席) とまとめると表 3.2.7.b のようになる。座り心地のよい場所ほど滞在時間は長くなっている。 またダンカンの多重範囲検定では 5%水準で、独立した場所と片方に何か遮るものがある 場所、独立した場所と両隣に何も遮るものがない場所の間に統計的な差が見られた。 18 3.3 滞在時間の分析と仮説の検証 3.3.1 5 変数の効果の検定と仮説の検証 表3.3.1 5変数の効果の検定 変数 F値 レストランのタイプ 9.78 *** ***0.1%で有意 人数構成 3.89 ** **1%で有意 年代 12.93 *** *5%で有意 男女構成 11.45 *** 座席のタイプ 0.13 3.2 ではそれぞれの独立変数についての滞在時間の平均値をもとめた。ここではそれぞれ の変数が滞在時間にどのように影響を及ぼしているのかを分析した。 仮説を確認すると (1) 女性同士で来店していると滞在時間は長い。 (2) 大人数で来店しているほど滞在時間は長い。 (3) 座り心地のよい席に座っている人達の方が滞在時間は長い。 である 以上の 3 つの仮説の独立変数である男女構成による来店者、人数構成による来店者、座 席のタイプによる来店者と、レストランのタイプによる来店者、年代による来店者の 5 つ 変数を使って、従属変数である滞在時間の効果を検定した。尚、3.2 で結果が得られた団体 構成による来店者の滞在時間は、この中に含まれているもので、他の独立変数と同じ項目(ひ とりで来店した人、家族で来店した人達)があるので分析には含めなかった。また 3.2 で結 果が得られた曜日による来店者の滞在時間は土日と平日では、来店者数に違いがあっても 滞在時間に大差がないことがわかったので含めなかった。 表 3.3.1 より、5 変数の効果の検定によって、これらの独立変数の中で有意水準を満たさ なかったものは座席のタイプによる来店者の滞在時間であった。つまり座席のタイプによ って滞在時間は影響されないということが言える。それ以外の変数はすべて 1%以下で有意 な水準か、もしくは、0.1%以下で有意な水準であった。つまり滞在時間に影響を及ぼす変 数はレストランのタイプ、来店者の年代、来店者の人数構成、来店者の男女構成によって 滞在時間が影響されているといえる。 以上のことより仮説(3)の「座り心地のよい席に座っている人達の方が滞在時間は長い。」 という仮説は棄却された。つまり来店者の滞在時間を決める要因として店の座席の種類や 配置は関係がないということである。また仮説(1)の「女性同士で来店していると滞在時間 は長い。」、仮説(2)の「大人数で来店しているほど滞在時間は長い。」という仮説はここでは 支持されるとは断言できないが、来店者の滞在時間を決める要因として男女構成と人数構 成は関係があるということが考えられる。 19 3.3.2 レストランと男女構成による交互作用項の分析 表3.3.2 レストランと男女構成による滞在時間の平均値と標準偏差のクロス表 ココス 男女構成 女性だけの来店者の滞在時間の平均値 80.07 女性だけの来店者の滞在時間の標準偏差 44.53 男性・女性のペア・グループの来店者の滞在時間の平均値 53.58 男性・女性のペア・グループの来店者の滞在時間の標準偏差 27.90 男性だけの来店者の滞在時間の平均値 45.96 男性だけの来店者の滞在時間の標準偏差 23.09 合計 59.94 35.15 ダンカンの検定 a サイゼリヤバーミヤン 66.12 59.78 37.48 36.81 51.56 50.03 21.17 23.91 48.41 43.36 26.40 16.23 54.60 49.82 28.22 24.89 b,a b 合計 70.03 40.69 51.52 24.39 45.90 22.08 54.41 29.56 ダンカンの検定 a b b 3.3.1 で行った変数間効果の検定の分析で、レストランのタイプと男女構成についての交 互作用項は 0.1%以下で有意な水準となった。 表 3.3.2 より女性だけの来店者はココスでは滞在時間 80.07 分、標準偏差 44.53、サイゼ リヤでは滞在時間 66.12 分、標準偏差 37.48、バーミヤンでは滞在時間 59.78 分、標準偏差 36.81 とどのレストランとも男性・女性のペア・グループの来店者や男性だけの来店者に比 べて滞在時間は長くなっている。特にココスではずば抜けて長くなっている。男性・女性 のペア・グループの来店者はココスでは滞在時間 53.58 分、標準偏差 27.90、サイゼリヤで は滞在時間 51.56 分、標準偏差 21.17、バーミヤンでは滞在時間 50.03 分、標準偏差 23.91 と滞在時間、標準偏差ともにほとんど違いはない。また男性だけの来店者についてもココ スでは滞在時間 45.96 分、標準偏差 23.09、サイゼリヤでは滞在時間 48.41 分、標準偏差 28.22、バーミヤンでは滞在時間 43.36 分、標準偏差 24.89 と滞在時間、標準偏差ともにほ とんど違いはない。 」という仮説は支持 以上のことから仮説(1)「女性同士で来店していると滞在時間は長い。 され、尚かつココスでは女性同士で来店すると滞在時間は特に長くなるということがいえ る。 3.3.3 レストランと年代による交互作用項の分析 表3.3.3 年代 レストランと年代による滞在時間の平均値と標準偏差のクロス表 ココス サイゼリヤバーミヤン 20代の来店者滞在時間の平均値 72.50 55.99 52.73 20代の来店者の滞在時間の標準偏差 43.07 29.20 25.34 30代以上の来店者の滞在時間の平均値 53.62 53.88 50.65 30代以上の来店者の滞在時間の標準偏差 25.86 35.41 34.79 家族で来店した人達の滞在時間の平均値 45.82 47.02 44.13 家族で来店した人達の滞在時間の標準偏差 17.20 13.28 11.07 合計 59.94 54.60 49.82 35.15 28.22 24.89 ダンカンの検定 a b,a b 合計 58.79 32.72 52.34 31.38 45.31 13.98 54.41 29.56 ダンカンの検定 a a b 3.3.1 で行った変数間効果の検定の分析で、レストランのタイプと年代についての交互作 用項は 1%以下で有意な水準となった。 表 3.3.3 より 20 代の来店者はココスでは滞在時間 72.50 分、標準偏差 43.07、サイゼリ ヤでは滞在時間 55.99 分、標準偏差 29.20、バーミヤンでは滞在時間 52.73 分、標準偏差 25.34 となっており、サイゼリヤ、バーミヤンでは大きな差は見られなかったが、ココスの 20 滞在時間が特に長くなっていた。また 30 代以上の来店者はココスでは滞在時間 53.62 分、 標準偏差 25.86、サイゼリヤでは滞在時間 53.88 分、標準偏差 35.41、バーミヤンでは 50.65 分、標準偏差 34.79 となっており、店舗間での差はあまり見られなかった。また 20 代のコ コス以外の来店者と比べても滞在時間、標準偏差ともに大きな違いは見られなかった。家 族で来店した人達ではココスでは滞在時間 45.82 分、標準偏差 17.20、サイゼリヤでは滞在 時間 47.02 分、標準偏差 13.28、バーミヤンでは滞在時間 44.13 分、標準偏差 11.07 とこれ も店舗間では大きな差は見られなかった。しかし同世代(20 代、30 代、40 代といった)の人 達と来店した場合と比べると、家族で来店した場合は、滞在時間は短くなり、標準偏差は 低くなるということがわかった。 3.3.4 レストランと座席のランキングによる交互作用項の分析 表3.3.4 レストランと座席のランキングによる滞在時間の平均値と標準偏差のクロス表 ココス サイゼリヤ バーミヤン 座席の 1~3番目に座り心地の良い席の滞在時間の平均値 60.80 59.76 56.21 1~3番目に座り心地の良い席の滞在時間の標準偏差 35.28 30.73 34.59 ランキング 4~6番目に座り心地の良い席の滞在時間の平均値 59.04 45.55 51.69 4~6番目に座り心地の良い席の滞在時間の標準偏差 31.44 23.90 26.62 7~9番目に座り心地の良い席の滞在時間の平均値 56.82 48.30 43.51 7~9番目に座り心地の良い席の滞在時間の標準偏差 52.22 28.22 13.12 合計 59.94 54.60 49.82 35.15 28.22 24.89 ダンカンの検定 a b,a b 合計 59.84 32.95 52.09 26.96 46.19 23.50 54.41 29.56 ダンカンの検定 a b b 3.3.1 で行った変数間効果の検定の分析で、レストランのタイプと座席のランキングにつ いての交互作用項は 5%以下で有意な水準となった。 表 3.3.4 よりココスでは 1~3 番目に座り心地の良い席の滞在時間は 60.80 分、標準偏差 35.28、4~6 番目に座り心地の良い席の滞在時間は 59.04 分、標準偏差 31.44、7~9 番目に 座り心地の良い席の滞在時間は 56.82 分、標準偏差 52.22 となっており、滞在時間に大き な違いはない。つまりココスに来店した人達はどの席に座っても滞在時間に差がでること はないといえる。サイゼリヤでは 1~3 番目に座り心地の良い席の滞在時間は 59.76 分、標 準偏差 30.73、4~6 番目に座り心地の良い席の滞在時間は 45.55 分、標準偏差 23.90、7~9 番目に座り心地の良い席の滞在時間は 48.30 分、標準偏差 28.22 となっており、4~6 番目 に座り心地の良い席と 7~9 番目に座り心地の良い席の滞在時間と標準偏差に大きな違いは ない。つまりサイゼリヤでは 1~3 番目に座り心地の良い席に座る以外はどの席に座っても 滞在時間に差がでることがないといえる。バーミヤンでは 1~3 番目に座り心地の良い席の 滞在時間 56.21 分、標準偏差 34.59、4~6 番目に座り心地の良い席の滞在時間 51.69 分、 標準偏差 26.62、7~9 番目に座り心地の良い席の滞在時間 43.51 分、標準偏差 13.12 とな っており、座り心地の良い席ほど滞在時間が長くなっている。このようにレストランのタ イプによって座り心地の良い席で滞在時間に差があったり、なかったりするので、座席の 座り心地のよさは滞在時間に影響をあたえてないといえる。 21 3.3.5 レストランと人数構成による交互作用項の分析 表3.3.5 レストランと人数構成による滞在時間の平均値と標準偏差のクロス表 ココス サイゼリヤ バーミヤン 人数構成 5人以上で来店した人達の滞在時間の平均値 58.61 59.60 69.37 5人以上で来店した人達の滞在時間の標準偏差 28.55 24.64 46.04 3人で来店した人達の滞在時間の平均値 60.47 60.45 52.71 3人で来店した人達の滞在時間の標準偏差 30.33 29.19 25.89 2人で来店した人達の滞在時間の平均値 60.85 55.09 49.80 2人で来店した人達の滞在時間の標準偏差 38.81 29.76 22.90 4人で来店した人達の滞在時間の平均値 61.76 52.66 47.24 4人で来店した人達の滞在時間の標準偏差 33.53 15.47 13.05 ひとりで来店した人の滞在時間の平均値 49.32 26.35 34.07 ひとりで来店した人の滞在時間の標準偏差 31.81 12.71 11.06 合計 59.94 54.60 49.82 35.15 28.22 24.89 ダンカンの検定 a b,a b 合計 62.61 34.03 57.60 28.37 54.88 30.79 53.33 22.60 36.23 20.35 54.41 29.56 ダンカンの検定 a a a a b 3.3.1 で行った変数間効果の検定の分析で、レストランのタイプと人数構成についての交 互作用項は 8.8%と有意水準 5%に近い数字が得られた。 表 3.3.5 よりココスでは 5 人以上で来店した人達の滞在時間 58.61 分、標準偏差 28.55、 3 人で来店した人達の滞在時間 60.47 分、標準偏差 30.33、2 人で来店した人達の滞在時間 60.85 分、標準偏差 38.81、4 人で来店した人達の滞在時間 61.76 分、標準偏差 33.53、ひ とりで来店した人の滞在時間 49.32 分、標準偏差 31.81 となっている。ココスではひとり で来店するか、2 人以上で来店するかによって滞在時間に大きな差がでている。2 人以上で 来店した場合は滞在時間に大きな差はなかった。サイゼリヤでは 5 人以上で来店した人達 の滞在時間 59.60 分、標準偏差 24.64、3 人で来店した人達の滞在時間 60.45 分、標準偏差 29.19、2 人で来店した人達の滞在時間 55.09 分、標準偏差 29.76、4 人で来店した人達の滞 在時間 52.66 分、標準偏差 15.47、ひとりで来店した人の滞在時間 26.35 分、標準偏差 12.71 となっている。サイゼリヤでもひとりで来店するか、2 人以上で来店するかによって滞在時 間に大きな差がでていて、また 2 人以上で来店した場合は滞在時間に大きな差はなかった。 バーミヤンでは 5 人以上で来店した人達の滞在時間 69.37 分、標準偏差 46.04、3 人で来店 した人達の滞在時間 52.71 分、標準偏差 25.89、2 人で来店した人達の滞在時間 49.80 分、 標準偏差 22.90、4 人で来店した人達の滞在時間 47.24 分、標準偏差 13.05、ひとりで来店 した人の滞在時間 34.07 分、標準偏差 11.06 となっている。バーミヤンでは一見、人数構成 によって滞在時間に差があるように見えるが、このレストランのタイプと人数構成という 交互作用項は 8.8%と有意水準 5%に近い数字のため、もともと信頼のおける値ではない。 バーミヤンにおいて 5 人以上で来店した人達の滞在時間が 69.37 分と長いのは、滞在時間 が 229 分という来店者が 1 組存在したためである。229 分という値の変わりに仮想の平均 値 58.00 分をいれると滞在時間の平均値が 69.37 分から 57.93 分となる。そうすると、一 番滞在時間が短い 4 人で来店した人達の 47.24 分と約 10 分の差が生まれるがダンカンの多 重範囲検定で約 9 分の差は統計的に同じであると示しているので、バーミヤンにおいても ひとりで来店しない場合は滞在時間に差があるとはいえない。つまりバーミヤンもひとり で来店するか、2 人以上で来店するかによって滞在時間に大きな差がでるということになる。 22 3.3.6 仮説の検証とまとめ 仮説を確認すると (1) 女性同士で来店していると滞在時間は長い。 (2) 大人数で来店しているほど滞在時間は長い。 (3) 座り心地のよい席に座っている人達の方が滞在時間は長い。 である 仮説(1)「女性同士で来店していると滞在時間は長い。」という仮説は 3.3.2 のレストラン と男女構成による交互作用項の分析から、女性同士で来店すると滞在時間は長くなるとい う結果が得られ、この仮説は支持される。女性同士で来店すると男性同士、男性・女性の ペア・グループに比べて、滞在時間が長くなるのはおしゃべりや勉強会などで時間を使うこ とが多いということになるのだろう。特にココスでは滞在時間が長くなるという結果が得 られた。また年代についても分析したところサイゼリヤ、バーミヤンは 20 代の来店者と 30 代以上の来店者の滞在時間に大きな差が見られないのに対し、ココスでは 20 代の来店者は 滞在時間が長くなるという結果が得られた。ココスの 20 代の来店者や女性同士の来店者の 滞在時間が長かったのは、ココスはサイゼリヤやバーミヤンに比べて、座席のつくりがゆ っくりとくつろげるつくりになっていることと、デザートの種類が多いということが起因 しているものと考えられる。 仮説(2)「大人数で来店しているほど滞在時間は長い。」という仮説は 3.3.5 のレストラン と人数構成による交互作用項の分析から、ひとりで来店しているか、2 人以上で来店してい るかによって滞在時間に差があるという結果が得られた。しかし 2 人以上で来店した場合 に、大人数で来店しているからといって必ずしも滞在時間が長いというわけではないとい うことがわかった。人数構成が滞在時間に影響を及ぼすのはひとりか、ひとりでないかと いうところに着目しなければならない。そのため厳密に言えばこの仮説は支持されるとは いえない。 仮説(3)「座り心地のよい席に座っている人達の方が滞在時間は長い。 」という仮説は 3.3.1 の 5 変数の効果の検定で有意な水準をみたさなかったため仮説は棄却された。つまり座席 の座り心地によって、来店者の滞在時間は必ずしも左右されることはないということであ る。しかしレストランのタイプによって座席のタイプが違うのも事実で、ファミリーレス トランのタイプだけの滞在時間をくらべれば、座り心地の良い席の多いココスは滞在時間 が一番長く、座り心地の良い席の少ないバーミヤンは滞在時間が一番短くなっている。つ まりその店の座席のタイプが座り心地の良い席が多ければ、たとえその店の座り心地の良 くない席に座っても滞在時間が長くなる可能性があるということになる。 23 4、結論 これらの結果から考えられることは、どのレストランもその方針にあった店のつくりや メニューで顧客を得ているということである。ココスでは美味しい料理とくつろげるサー ビスで、ほのぼの安心できるファミリーレストランという方針のもと、座席の配置をゆった りとり、くつろぎやすいようにしている。このため滞在時間が他の店舗に比べて長くなり、 来店者の数で稼ぐというより、料理の質(値段)で稼ぐため、メニューの価格帯は他に比べて 高くなっている。またバーミヤンでは「安い、おいしい、速い、体に良い」を実現した本 格中華専門レストランという方針のもと、「安い、速い」というところに目を向けると、メ ニューの価格帯が低く、来店者の滞在時間が短いという薄利多売の形をとっている。そして サイゼリヤでは「素材」にこだわったヘルシーな「本物のイタリア料理」を懐具合を気に せず、誰もが、気軽に、便利に、楽しめるレストランという方針のもと、イタリアンとい う業態のため若者の支持が高く、メニューの価格帯は高くなく、滞在時間も長くはなって いない。 それぞれのレストランでは女性だけの来店者の滞在時間が長いことがわかった。特にコ コスでは圧倒的に長いという結果が得られた。また年代別に考えると同世代(20 代、30 代 40 代・・・)で来店する場合は、家族で来店する場合に比べて滞在時間が長くなることもわ かった。これは家族で来店する場合は食事をしながら団欒し、同世代で来店する場合は団 欒しながら食事をするという違いがあるように考えられる。またココスでは 20 代の来店者 の滞在時間が長いことから、座席がゆったりとくつろぐことのできるようにつくられてい るということと、メニューにデザートの種類が豊富ということが影響を及ぼしていると考 えられる。人数構成を考えるとたくさんの人が来たからといって、滞在時間が長くなるわ けではなく、ひとりで来店するか、そうでないかによって滞在時間は影響されることがわ かった。ひとりで来店すると話しをする人もなく、読書をしたり、勉強をしたりするとい うことがない限り滞在時間が長くなる要因はない。 以上のことから滞在時間の長さは来店者の年代、男女構成、人数構成、店のつくり(席 のつくりと配置)が大きく影響をおよぼしていることが考えられる。 そこで滞在時間の長い若者や女性向けに、席をゆったりさせて、良いサービスを提供し、 メニューに工夫をして追加注文などが自然に取れるようにし、長い滞在時間ならではの高 客単価を目指したローコスト店舗、ローコスト運営を目指せば、消費者にとっても経営者 にとってもおいしい、うれしい店舗ができるのではないだろうか。もしくは滞在時間のあ まり長くない家族向けに低価格で、良いサービスを提供し、来店者の回転率のあがるよう な店舗をつくれば、消費者にとっても経営者にとってもおいしい、うれしい店舗ができる のではないだろうか。 外食事業を展開する上で、最も重要とされるのは、どの世代にターゲットを絞るかとい うことである。滞在時間の影響という観点から考えると、滞在時間が短いのは家族の来店 者やひとりで来店した人、男性だけの来店者であり、滞在時間が長いのは女性だけの来店 24 者であり、20 代の来店者である。つまり滞在時間が短くなり、来店者の回転率が上がるよ うな店をつくるのなら、家族向けや男性向け、またはひとりで来店することが容易にでき るような店舗を開発する必要がある。このような店舗は実際に座席のつくりや配置も長い 間座っているのに適したものにはなっていない。また滞在時間が長くなり、来店者の回転率 が良くない店なら、若者向けや女性向けに追加注文がとれ、前述で述べた店舗より高い客 単価を目指した店舗を開発する必要がある。このような店舗は実際に席のつくりや配置は 長い間座ることができるようにつくられていることが多い。 こうしたことを考えるとバーミヤンは女性だけの来店者の割合も少なく、20 代の来店者 の滞在時間は短くなっているので回転率をあげて利益を得ようとしているようである。そ のためには注文をしたいときに従業員が見当たるように、サイゼリヤやココスで採用して いる注文の際に使用する呼び出しチャイムを導入したほうがよさそうである。また女性だ けの来店者は少ないのだから、家族向けや男性・女性のペア・グループ向けに大皿で取り 分ける形の料理をリーズナブルな値段でたくさんの種類を取り揃えるとよさそうである。 ココスは女性だけの来店者や 20 代の来店者の滞在時間が長くなっているので、デザートの 種類だけにかぎらず、サイドメニューの種類を増やし、メニュー全体の価格帯を下げれば、 長い滞在時間でもたくさん追加注文をする人達が増えそうである。サイゼリヤでは結果的 に来店者の約 80%が 20 代の来店者になっているにもかかわらず、20 代の来店者の滞在時 間が長くないということがわかった。これはデザートの種類があまり豊富でないのと、座 席のつくりがソファーでゆったりできるものが少ないということに起因しているものと考 えられる。そこでもっと滞在時間を長くて、ゆったりくつろいでもらえるような店舗を目 指すのなら、座り心地の良い座席を増やし、デザートの種類も魅力のあるものを増やすべ きである。逆に滞在時間を短くして回転率を上げるのならば、座席は椅子を使ったものを 増やし、パスタやピザを大皿でリーズナブルな値段でたくさんの種類の中から選べるよう にするべきである。 最後にもっとこの研究を決定づけさせるために、来店者や一般の人々にアンケートを行 えば、意識調査ができてもっと詳しくファミリーレストランについての意識を調べること ができたのではないだろうかと考えた。またファミリーレストランという業態だけでなく カフェや居酒屋・BAR などのいろんな業態の来店者の滞在時間を調べて比較研究すれば、 もっと多面的に外食産業という業界がわかったかもしれない。 25 参考文献 ・外食産業論-外食産業の競争と成長 ― 1996 年発行 ・月刊 飲食店経営 岩渕 道夫 著 2003 年 1 月号 ・社団法人日本フードサービス協会ホームページ ・株式会社ココスジャパンホームページ http://www.jfnet.or.jp/ http://www.cocos-jpn.co.jp/ ・株式会社サイゼリヤホームページ http://www.saizeriya.co.jp/ ・株式会社すかいらーくホームページ http://www.skylark.co.jp/ 26
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