№142 平成28年8月1日 発行 環境学館いずみボランティア ~環境学館いずみボランティアスタッフによる「いずみガイド」~ 6月19日(日)理科教室「酸性雨のなぞ」 実験をして考える教室として、毎年人気のある表題の実験教室が 4 年生から 6 年生の子供たち 19 名の参加で 行われました。指導してくださったのは埼玉県立いずみ高校の先生、林信一さんです。 はじめに酸性雨についてわかりやすく説明していただきました。雨の仕組みは地上から蒸発した水が上空で冷 やされ、塵などに付着して水滴となり降ってきます。普段、雨を嫌がる人も多いと思いますが、その繰り返しに よって動物(人間)や植物が生きていられるのです。 しかし、その雨が人間の行為によって酸性雨となり、土壌や川、建物(コンクリート)などを溶かしてしまう等々、 悪い影響をもたらしています。 (本来、雨は大気中の二酸化炭素によって弱い酸性(pH5.6)を示す。この値より も強い酸性の雨を酸性雨という。)先生の説明を聞いてあらためて雨の重要性に気づかされました。 実験内容 1. 酸とアルカリを確かめよう 試験管、ビーカー、pH 試験紙、指示薬(BTB指示薬、BCG指示薬)酸性の液(レモン汁、お酢) 、 アルカリ性の液(重曹水、セッケン水)などが用意されていました。レモン汁などの液に指示薬を滴下す ると色の変化を起こします。色の変化で酸性(お酢は黄色)、アルカリ性(石けん水は青)が確認されました。 興味を引いたのは pH 試験紙(短冊形の細い紙)をパレットの中の試薬に付けると試験紙の色が変化し、 pH のおおよその値が測定できます。(畑の土の pH を測る際にもよく使います。) 2. 酸性雨を作ってみよう 家庭にあるような水槽に水蒸気を吹き込む装置を作り、氷を使って冷やし雨を作ります。そして、水槽 内で塩化ビニルを燃やし、酸性雨の基となる煙を発生させ、水槽内に溜まった水滴を集め pH を測定しま す。ところが、水蒸気がなかなか水滴にならず容器に水や氷を足して、無事実験に成功!酸性雨になりま した。 2 時間かけての酸性雨のなぞの実験でしたが、熱心な先生の指導に子供たちも気持ちを集中させて取り組みました。 試薬や火を使う実験なので、4 人のボランティアと職員が一体となってサポートしました。学校ではやらないような体 験をできる施設が環境学館いずみなのです。 私たちは日常で、雨を降っても酸性雨についてあまり意識しませんが、主な原因となる石油は 1 人当たり 1 日、4.9 ℓも使っているそうです。世界各国が環境の観点から再生可能エネルギーへとシフトしています。人間や動植物のため にいつまでも青い地球を守りたいですね。 (E.T) 6月26日(日)いずみ自然塾「第2回 滝不動湧水群」 いずみ自然塾(第2回)は、滝不動湧水群の観察行です。小学生も多数参加し、総勢28名の参加です。この 場所は環境学館いずみが、長年いろいろのテーマで、定点観察を続けてきた場所です。当日は梅雨の晴れ間で結 構暑い日でしたが、稲垣講師の案内で盛り沢山の解説を受けながら、長時間、皆熱心に観察しました。 初めに、河岸崖の上で高麗川が秩父の山と奥武蔵の山の間から飯能、日高をとおり、坂戸に流れてくることの 説明を受け、それを眺めます。 早速、坂を降りたところの橋下で、滝不動からの流れを観察します。ここは護岸されているので、水流水量や 水質等を計測するポイントです。田んぼに水を回しているせいか、水量が少なめです。 次に田んぼのあぜ道をとおり、滝不動に向かいます。途中にある「マムシ注意」の表示板が気になります。滝 不動近辺はいつもの見慣れたたたずまいを見せていますが、よく見ると、いろいろと目について飽きさせません。 崖面には、くずや竹藪がはびこっておりますが、小さな草花も負けずに咲いています。小さい水の流れの中には、 いろいろな水棲生物が見られます。メダカ、サワガニ、それとカワニナがたくさんいるということは,ホタルが 見られるということでしょう。ムギワラトンボも盛んに産卵しています。アオハダトンボもみつけました。下流 の人家が有るあたりは湧水量がふんだんで、庭の花や作物の水くれには重宝するでしょう。 滝不動尊のさらに上流に向かうと、水の勢いのよい所に出ます。ここは上にある弓削田醤油付近から出る湧水 の流れだそうです。この時期は田んぼに水を引くために、堰き止めて滝不動の方には流れておりませんでした。 崖を背に、高麗川の流れに向かいます。途中畑をキジのつがいが散歩していました。キジはどうしてオスメス 離ればなれで歩くのでしょう。 (うちと同じだって?)河畔林の中で,ウグイスが鳴いています。向こうからホト トギスがけたたましく鳴き返します。 ウグイスさん、ホトトギスから遠く離れなさい。 滝不動近辺から、さらに下流に向かいますと高麗川の本流に出ました。そこは下流に3号堰があるので、青々 とした水がたっぷり流れています。護岸の上に立って上流を眺めると、河畔林の濃い緑と、清流の深い青、遠く の山々の青のバランスがとても良く、稲垣講師が「ここは、高麗川でも好きな風景の一つです。」と言われるのも 納得です。ただ「コンクリートの護岸が大げさすぎる。」と嘆いて居られましたが、川のカーブと土手の上の人家 をみるとこの位の護岸はやむを得ないでしょう。 滝不動尊(水の守り神)はともかく、護岸の土手の上に諏訪神社が、堰の土手上に秋葉神社が祀ってあるところ を見ると、このワンドはひょっとして昔は暴れ川だったのでしょうか? 護岸の上で、若い人がバーベキューを楽しみ、釣り人も太公望を決め込んでいる風景はとても良いものです。滝 不動周辺はいつ来ても興味の尽きない場所です。 (Y.S)
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