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【2013.12月号】No.412

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2013年
社会と企業をつなぐコミュニケーション誌
第35巻第12号通巻412号2013年12月1日発行 1980年10月23日 第3種郵便物認可(毎月1回1日発行)ISSN 0918-4600
12
月号
412
Vol.
●第29回
「企業広報賞」受賞者インタビュー
自分磨きを怠らず、
明るく知的に情報を発信
アサヒグループホールディングス(株)代表取締役社長
泉谷直木
●企業広報研究
◆持続的成長と経営革新に向けた統合報告
一橋大学大学院 商学研究科教授 商学博士
伊藤邦雄
◆ブランドは自然と溢れ出るもの
リーダーシップコンサルティング 代表
元 スターバックスコーヒージャパン CEO
岩田松雄
●社会広聴アンケート
グローバル人材育成に必要な、
日本文化・歴史の教育と情報の充実
-「グローバル人材の育成に関するアンケート」
調査結果-
December 2013
今 月 の 表 紙
凸版印刷の印刷博物館では、印刷工房「印刷の家」で
活版印刷を体験できる参加型展示を行っている
写真は、参加者が印刷に使用する活字を選ぶ様子
CONTENTS
2013年12月号
第29回
「企業広報賞」
受賞者インタビュー
自分磨きを怠らず、
明るく知的に情報を発信
2
ブランドは自然と溢れ出るもの
5
2020年東京オリンピック・パラリンピック
招致成功の要因と変化した日本のイメージ
8
泉谷直木(アサヒグループホールディングス(株) 代表取締役社長)
岩田松雄(リーダーシップコンサルティング 代表/元 スターバックスコーヒージャパン CEO)
企業広報研究
ジャック・レスリー(ウェーバー・シャンドウィック 会長)
『経済広報』
では、裏表紙に関連する写真・イラストを
持続的成長と経営革新に向けた統合報告
10
グローバル人材育成に必要な、
日本文化・歴史の教育と情報の充実
14
伊藤邦雄(一橋大学大学院 商学研究科教授 商学博士)
表紙に掲載しています。
社会広聴アンケート
-
「グローバル人材の育成に関するアンケート」
調査結果-
経済広報センター活動報告
マスコミとの付き合い方
第3回
12
危機管理Q&A⑤
月 の動き
総目次
国内
6日
10月の景気動向指数速報(内閣府)
9日
11月の景気ウォッチャー調査(内閣府)
10月の国際収支速報(財務省)
18日
11月の貿易統計(財務省)
19 ~ 20日
日銀の金融政策決定会合
27日
11月の失業率(総務省)
11月の有効求人倍率(厚生労働省)
30日
大納会(東京証券取引所)
連載
社会保険料負担の増加と消費税問題
17
~持続可能な社会保障システムを目指して~
熊野英生((株)第一生命経済研究所 首席エコノミスト)
社内取材が決め手
25
緊急時のプレスリリース作成の心得
山見博康(山見インテグレーター(株) 代表取締役/広報・危機対応コンサルタント)
26
2013年1〜 12月号
27
英米主要紙誌の論調分析
20
22
24
岡田
晃(大阪経済大学 大学院客員教授/経済評論家)
企業広報ニュース(機関誌紹介/出前授業/キッズコーナー/ Book)
経済広報センター NEWS
企業・団体のCSR活動(凸版印刷(株))
裏表紙
12月の動き
発行/一般財団法人経済広報センター 国内広報部 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館
印刷/三葉株式会社 ☎ 03-3294-4751
※本誌掲載の記事・写真・イラスト・図版の無断掲載を禁じます。
表紙裏
☎ 03-6741-0021
海外
4日
10月の米貿易収支(米商務省)
5日
ECB(欧州中央銀行)定例理事会(ドイツ・フランクフルト)
6日
11月の米雇用統計(米労働省)
12日
11月の米小売売上高(米商務省)
18日
FOMC(米連邦公開市場委員会)
(米FRB
(連邦準備制度理事会)
)
11月の米住宅着工件数(米商務省)
2013年12月号〔経済広報〕
1
第29回「企業広報賞」受賞者インタビュー
第29回「企業広報賞」受賞者インタビュー
自分磨きを怠らず、
明るく知的に情報を発信
ります。
日・明日、の意)に当てはめてストーリーを作り出
しています。縦軸にYTT、横軸に5W2Hの21
■
「会社の顔」である経営者として、特にどのような
ことを意識して情報発信されていますか。
泉谷
マスに情報を当てはめ、マトリックス化するので
す。ただ、単純・単調なストーリーでは人々の関心
主に3つのことを意識しています。1つは
は得られません。いかに知的で、人の関心を引き出
「有言実行」です。情報発信の目的は、社会と企業の
せる“オモロイ”話となるようにストーリー化するか
信頼関係をつくり、間にあるギャップを埋めていく
が重要です。
ことですが、発信したことを実行できなければ意味
最後は現場を見る
がありません。
2つ目は自分の言葉で話すこと、なおかつ可能な
い ず み や な
お
き
泉谷直木
アサヒグループホールディングス(株) 代表取締役社長
■聞き手:中山
洋
経済広報センター
常務理事・事務局長
第29回
「企業広報賞」の表彰式が8月28日に開催された
(本誌10月号参照)
。今月号では、企業広報経営者
賞を受賞されたアサヒグループホールディングスの泉谷直木代表取締役社長のインタビューを掲載する。
広報の役割、トップの役割
限りオープンに話すことです。取材を受ける際や、
しゃっています。社員の広報マインド向上のため
スピーチの際も事前に原稿を自らの言葉に落とし込
に、どのようなインナーコミュニケーションを心
んでいます。頭の中を整理するためにも、事前準備
掛けていらっしゃいますか。
は大切です。準備をしておくと取材を受ける際も自
泉谷
分の意図が記者に正確に伝わります。また、内容の
分かけて自分の言葉で全社員に向けて発信していま
濃い記事に仕上げてもらえるよう、取材する側に
す。この内容はグループ会社にもDVDにして配布
も、出せる範囲で可能な限り情報を提供するように
しています。経営内容をオープンにし、社員全員が
努めています。
経営に参加すべき、というのが私の考え方です。
3つ目は逃げないことです。トップ広報は良い場
月に一度、経営状況報告会を開き、30 ~ 40
ポータルサイトでは2種類の情報発信を行って
が増えますが、広報部門は常に社会と接することの
面ばかりではありません。しかし、厳しい場面だか
います。1つは
「HD Navi」というコーナーで、
できる数少ない部門です。企業が伝えたい自社のア
らこそトップとして逃げないという姿勢が必要であ
街で見たものや最近読んだ面白い本など、日々感じ
■広報部長を経験された経営者として、広報につい
イデンティティーや情報と、社会から見た企業イ
ると考えています。トップが積極的に前に出ること
たことを中心にラフな情報を発信しています。もう
て何かお考えはございますか。また、企業にとっ
メージが乖離していることもあるでしょう。この
を好むか好まないか、広報の重要性を認めているか
1つは「マンスリービュー」で、先ほどの経営状況報
て広報の役割とはどのようなものとお考えでしょ
ギャップをどういうコンテクスト、つまり文脈で埋
認めていないかで、広報部門の立場は大きく変わっ
告会と同様の内容です。
うか。
めていくかが広報の大事な使命だと考えています。
てきます。トップが前に出ることを好まないと、結
泉谷
社内への情報発信には、情報を共有するほかに、
広報の役割とは、
「企業と社会のコミュニケー
そのためには、社会人として常に成長し、「会社人
局は広報部門が前に出て対応することになり、マス
2つの目的があると考えています。1つはトップが
ションインフラ」をつくり、情報を流していくこと
間」と「社会人間」が両立できる人間である必要があ
コミからは
「あそこはトップと会わせない、広報マ
いかに好奇心旺盛かを示し、社員のマインド向上を
だ、と表彰式でご挨拶させていただきました。少し
ります。
インドの低い会社」という評価が下されます。トッ
図ることです。もう1つは、できる限りホットな情
プの広報に対する姿勢は非常に重要です。
報を収集するためにアンテナを張り、現地現物を見
表現を変えますが、「広報コンパス論」という考え方
ほかにも、
「広報」の
“広”の字を変えていくと、
があります。コンパスは軸足となる針の部分と外に
様々な広報の役割が見えてきます。例えば
「交報」
と
円を描く鉛筆部分の2つで成り立っています。広報
すれば、まさに社内と社外の情報を交わらせる、そ
の仕事に置き換えるならば、「針」の部分は社内に置
してそれを一致させていく役割です。また、時には
く軸足、「鉛筆」部分は社外に向けての情報発信とな
攻めの姿勢を取ったり、逆に攻められたりという
ります。当然、円が広がるほど情報発信の的は広が
「攻報」
の場面もあります。戦略的に情報を発信して
ります。そのためには社外の常識や世の中の動きを
情報を知的で“オモロイ”話に
■情報をストーリーとして発信する上で、どのよう
な工夫をされていますか。
泉谷
て回ることで、自分自身に対するマインド向上に努
めることです。
私は社内に情報を発信する際、次のようなプロセ
スを踏んでいます。まずは頭で考えますが、考えた
今は情報が溢れている時代で、単発的に情報
ことを即座に発すると言葉が弱くなるので、次に情
いく
「考報」
も必要です。また、視点を高く持つこと
を発信してもすぐに忘れられてしまいます。しか
熱を燃やします。さらに、万が一できなかった時の
よく把握しておくことが必要です。しかし軸足から
で個別の社内情報を社会情報化して発信していく
し、ストーリーで情報が入ってくると
「次に何が起
ことを考え、トップとして覚悟を決めます。覚悟が
離れ過ぎると、バランスを崩してしまいます。つま
「高報」
という役割もあります。情報発信により会社
こるのだろう」という将来への期待感と、「以前はど
決まったら、足腰を使って現場や現場社員のところ
り、企業としての方針やスタンスとなる軸足をしっ
の業績やレピュテーションに大きく貢献し、社内に
うだったのだろう」という過去への関心を引き出す
を歩きます。私は、考えがいかに高尚であっても、
かりと持ち、社外に情報発信をしながら両者をしっ
好影響を与える
「効報」
という側面もあります。さら
ことができます。この2つをうまく繋ぐことができ
現場が全てだと思っています。時には、自宅の近隣
かりと繋ぎ合わせることが広報の役割です。
に広い視点でいうと、情報発信によって社会と社内
ると、情報の力がより強くなります。
の自動販売機を自転車で200台以上見て回ることも
また、組織が大きくなるほど社内で完結する業務
2
■
「社員一人ひとりが広報マン」と日ごろからおっ
〔経済広報〕2013年12月号
を幸せにし、明るくしていく
「幸報」
という役割もあ
私自身は情報を、5W2HとYTT
(昨日・今
あります。現場を回り、確信を得て初めて言葉を発
2013年12月号〔経済広報〕
3
第29回「企業広報賞」受賞者インタビュー
企業広報研究
思考することも楽しくなります。
もう1つは、広報部門での経験を社会人として、
人間として成長する材料にしてほしいと考えていま
す。広報での経験や培った思考は、ほかの仕事にも
必ず生かせます。例えば、マーケティングの部署に
いけば、より顧客視点で物事を捉えることができる
ブランドは
自然と溢れ出るもの
でしょうし、財務部門では単に財務管理をするだけ
ではなく、経営にどう影響するか、経営の仕方をど
う変えなければならないか、という視点を持つこと
ができるでしょう。
します。
私はこのプロセスを経て初めて“言の葉”が“言霊”
私の人生標語は
「良いとこ伸ばそう自信を持って」
です。また「人生で一番大事なことは『自分のウソ』
に変化し、影響力を持つと考えています。トップと
を信じないことだ」という言葉も好きです。日常に
いう肩書きがあるからではなく、きちんとプロセス
ある様々な機会をチャンスに変え、
「自分のウソ」
を
を踏み、努力をした上で語っている言葉だからこそ
信じずに、自分を磨き続けることが大切です。これ
重みがある、そう社員に感じてもらいたいのです。
はマスコミとの良好な関係構築にも役立ちます。昔
また、私自身は社内の人間から「さん」付けで呼ん
は記者の数が少なく、一人の記者が多くの業界を担
でもらっています。社内で仕事をする時は全員が仲
わ
た
ま
つ
お
岩田松雄
リーダーシップコンサルティング 代表
元 スターバックスコーヒージャパン CEO
■聞き手:佐桑
徹
経済広報センター
国内広報部長
ブランドは溢れ出るもの
インパクトがあり多くの人々の印象に残り、一時的
当していました。紙面に空きが出て記者から連絡が
■ブランド構築の成功例として、多くの書籍で、ス
きない。コーポレート・ブランド戦略に広報・広告
間です。また、社長は社内の全てのチーム、組織に
あった際に、即座に情報提供できること、記者と飲
ターバックスやディズニーが取り上げられている
属しているという意識を持っています。組織なので
む際は
「時間を取ってもらっている」
という意識を持
が。
上下関係はもちろんありますが、その壁を可能な限
ち、情報という名のお土産を持っていくことなど
岩田
ブランド構築というと、ロゴやバッジ、社名
では、パートナーと呼んでいるが)一人ひとりがス
り低くし、社員とコミュニケーションを密に取るこ
は、広報パーソンにとって重要な心構えです。自分
を替えることと捉えられがちだが、それは表面的な
ターバックスのミッションを理解し、それを実現し
とが良い仕事に繋がると考えています。
磨きを怠らなければ、そういうことができるように
もの。私は、コーポレート・ブランドとは、会社の
ていれば、スターバックスの価値は伝わっていく。
なります。
ミッションを表したもの、結局は企業の在り方だと
本来のブランドは、ミッションが社員の人たちを通
何より、当社が扱っているのはビールという楽し
思っている。これらは、派手な新聞広告やテレビコ
じて溢れ出るものだと思っている。また、悪いとこ
■御社の広報部門に期待されていることは何ですか。
い時に飲むお酒です。社内外のどちらに対しても、
マーシャルで構築できるものではない。目立った広
ろを見せないようにするのも、ひとつのブランド管
泉谷
良い意味でビール文化を体現し、広報パーソンには
告を出すと、印象には残るかもしれないが、宣伝は
理かもしれないが、すぐにばれてしまうだろう。
明るく楽しく仕事をしてほしいと考えています。
覚えていても、何の商品か、どこの企業のコマー
自分磨きを怠らない広報パーソンに
大きく分けて2つあります。1つは個人に広
報マン、広報ウーマンとして活躍してもらうことで
す。繰り返しになりますが、社内の常識と社会の常
は常に社会基準で物事を捉え、世の中の変化に好奇
心を持ち、思考範囲を広げていくことが大切です。
これを継続すると必ず成長できます。
■アサヒグループの今後のビジョンをお聞かせくだ
さい。
泉谷
アサヒグループでは、お客さまの期待以上
思考の広げ方として、「第2のタイトル」という自
の
「
『食の感動
(おいしさ・喜び・新しさ)
』を通じて
己研鑽方法があります。その日の朝刊1面トップの
世界で信頼される企業グループを目指す」というビ
記事を読み、10分間そのニュースについて様々な
ジョンを掲げています。メーカーとして提供する商
視点で思考することです。例えば、そのニュースが
品はもちろん、社員一人ひとりも世の中の期待以上
及ぼす影響を国、会社、職場、家族、自分、と視点
の応えが出せるようになることが目標です。皆さま
を変えて考え、ニュースを読み替えていきます。そ
に素敵な場面、素敵な時間を過ごしてもらえるよ
れを続けることで素晴らしいトレーニングになり、
う、アサヒグループの総力を結集していきます。k
1年も続ければ、思考範囲が格段に広がりますし、
〔経済広報〕2013年12月号
(文責:国内広報部専門研究員
鈴木恵理)
に売り上げが伸びても、それではブランドは構築で
部門が絡むのは分かるが、それが全てではない。
広告を打たなくとも、店員さん
(スターバックス
シャルか分からない。
期待以上の
「食の感動」
を
識には、様々なギャップがあります。広報パーソン
4
い
スターバックスのコーポレートカラーは、ダーク
グリーン。コーポレートマークは、「サイレン」と呼
ブランド確立のための5つのレイヤー
■それでは、企業ブランドを構築するために何をし
たらいいのか。
ばれる、2つの尾を持ったギリシャ神話上の人魚。
岩田
スターバックスを好きな人、ブランドを意識してい
るものではない。顧客がブランドに抱くイメージ
る人は、このマークを見ると、つい目がいってしま
は、ピラミッド型の氷山のように海の上に浮かんで
う。その背景には、各人のスターバックスに対する
いるものだ。私は、ブランド確立のための5つのレ
ポジティブな記憶や思い入れがある。
イヤーを考えている。
私は何も広告やコマーシャルを否定しているわけ
コーポレート・ブランドは、一朝一夕にでき
外からは④の部分しか見えないが、実は、水面下
ではない。広告を打つかどうかを検討するのではな
に、それを支えるミッションや社風がある。①は、
く、会社のミッションを踏まえた上で、どう発信し
最も根源的な会社のミッション。
「世の中をよくした
たらよいかを考えるべきだ。目立つコマーシャル、
い」
「世のため人のために働きたい」といった思いが、
突飛な広告を流して、それがたとえすごく面白く、
まずある。それを達成するためのミッションが②で
2013年12月号〔経済広報〕
5
企業広報研究
企業広報研究
商品やサービス、広告、ロゴ、ストーリー、接客態度、
店内のデザインや清掃など
た教育・研修をする。それを見たお客さまがまた、
前に買っていただいたお客さまへの裏切り行為にな
ここで働いてみたいと思う、という好循環になって
る。ブランドはお約束。価格もその大きなお約束な
のだ。自らのコーヒーに誇りを持ち、コーヒーのお
このため、スターバックスでアルバイトをしてい
いしさを維持することが、スターバックスのブラン
た学生は、就職で有利といわれるまでになってい
ドなのである。
る。スターバックスで働くこと自体がブランドに
③ ②を具体化するオペレーション
伝説を生むブランドに
研究開発、教育、研修、社風、
「JUST SAY YES!」
「友達を
迎えるように接客する」など状況に応じて進化するもの
ミッション
外から見えにくい
② ①を達成するためのミッション
「心を豊かにするためにおいしいコーヒーをつくる」
「人権や環境に配慮した化粧品をつくる」
など基本的に変わらないもの
①もっとも根源的なミッション
「世の中をよくしたい」
「世のため人のために働きたい」
という思い
(出典:『ブランド』)
■それは具体的には、社員のどういう行動に現れる
なっているといえる。同じように、リクルートの社
員もブランド化している。入るのも難しく、辞めて
も他社が欲しがる人材輩出会社になっている。
のか。
岩田
ジョハリの窓
スターバックスで働くパートナーが、スター
バックスの理念、ミッションを理解し、誇りを持っ
て仕事をした例は幾つもある。お店の常連だった女
自分は知っている
第1の窓
第3の窓
共通認識・定評
フィードバックを
もらうべきこと
(すでに「表裏」
になっているもの)
他
第2の窓
人
は
アピールする
知
ら
必要があること
な
い (心に秘めたミッション)
(他人しか知らない
あなた)
第4の窓
未見の我
(出典:
『ブランド』
)
■ご著書『ブランド』では、個人のブランドについて
も書かれているが。
自分は知らない
ブランド
ずに他人が知っている自分」が「ブランド」といえる。
ある。
「 人々の心を豊かにするためにおいしいコー
子高校生が心臓の移植手術を受けるため米国に旅立
岩田
ヒーをつくる」といったことが、これに当たる。
つ前、そのお店のシナモンロールを食べたいと言わ
どう生きていくか、である。
「ジョハリの窓」という
感がある。何のために、誰のために、自分が存在し
れ、パートナーが早朝、駅まで届けたというエピ
マトリックスがある。これは、コミュニケーション
ているのかを知っている。しかし、真の一流になる
ソードがある。
学や心理学で頻繁に使われる図だ。
ためには、それだけでは足りない。人々に自分の使
②を具体化するオペレーションが③だ。研修や教
育を行う、社風の構築などだ。具体的には、
「友達を
迎えるように接客する」といったことを浸透させる。
個人のブランドは、どう見せるかではなく、
これは、企業も個人も同じだ。一流の人には、使命
就業規則上は、営業時間外に商品を持ち出しては
4つの窓がある。第1の窓は、開放された窓。自
命や価値を伝え、知ってもらう必要がある。こうし
そして、④は、顧客へのミッションの伝達だ。商
いけないが、スターバックスのミッションには沿っ
分も他人も知っている自分だ。第2の窓は、隠され
て生まれた好循環が、真の一流の人物へと押し上げ
品やサービス、ロゴ、店内の雰囲気などで、それを
ている。お客さまに掛け替えのない経験を与えるこ
た窓。自分が知っていて他人が知らない自分。これ
る。自分自身が「ブランド」にならなければならない
伝える。例えば、機械的に「いらっしゃいませ」と言
とが、ブランドになっていく。お客さまの期待を超
は、大いにPR広報すべき分野である。そして、第
のである。自分には、他人に誇れる価値などない、
うのではなく、友だちを迎えるように「こんにちは」
えると感動を生む。そして、こうしたエピソードが
3の窓は、自分が知らず他人が知っている自分。こ
と言う人がいるかもしれない。そういう人に、自分
伝説のように伝わっていく。
れは、フィードバックしてもらえばいい。第4の窓
の
「価値」を発見していただくために、私は著書
『ブ
は、自分も他人も知らない自分。ここには未知の自
ランド』を書いた。
「暑いですね」など、その場に合った言葉で、きちん
とお客さまの目を見ながら、気持ちを込めて挨拶す
6
いる。
■岩田流ジョハリの窓
ミッション
④顧客へのミッションの伝達
ニューを導入したりしない。安売りをしては、その
他人は知っている
⑤顧客がブランドに抱くイメージ、評判
時間の経過
ブランド
外から見えやすい
■ブランドとミッションの関係
る。その結果、⑤のように、顧客がイメージや評判
■働くパートナーの意識が高いということか。
分がいて、まだ気付いていない“まだ見ぬ自分(未見
を持つようになるわけだ。⑤だけを意識してロゴや
岩田
の我)”がいる。今後、何か新しいことができる可能
会社のバッジを替えて取り繕っても、ブランドはつ
まずはお客として来店し、スターバックスの雰囲気
性がある。自分でこういうことはできないと決め付
くれないし、すぐに底の浅さがばれてしまう。
などに感銘し、スターバックスで働いてみたいと思
けないで、領域を広げる努力をした方がいい。そう
スターバックスは、単に利益を上げるためにコー
う。しかし、アルバイトでも志望者は多く、競争率
することで自分の領域が広がっていく。
ヒーを売っているわけではない。だから、ほかの外
が高い。このためスターバックスの価値観に合った
「自分が知っている自分」は他人に伝えなければな
食産業のように、クーポンを配布したり、セットメ
優れた人材を選別できる。その上で、しっかりとし
らない。これを「ミッション」とすると、
「自分が知ら
〔経済広報〕2013年12月号
スターバックスで働くパートナーの多くは、
k
(文責:国内広報部長
佐桑
徹)
1958年生まれ。大阪大学経済学部卒業後、日産自動車
入社。外資系コンサルティング会社ジェミニ・コンサル
ティング・ジャパン、日本コカ・コーラ役員、ゲーム会
社アトラス社長、タカラ常務取締役、イオンフォレスト
社長を経て、2009年にスターバックスコーヒージャパ
ンCEO。2011年にリーダーシップコンサルティング
を立ち上げ現職。現在、次世代のリーダー育成に力を注
いでいる。主な著書に
『ブランド』
『ミッション』
(共にアス
コム刊)
などがある。
2013年12月号〔経済広報〕
7
企業広報研究
企業広報研究
2020年東京オリンピック・パラリンピック
招致成功の要因と変化した日本のイメージ
催が決定した背景には、中国の経済成長が著しく、
に対し、日本は25パーセント、韓国は8パーセン
まさに“中国の時代が到来する”という世界的な機運
トと、中国に大差をつけられていることが分かる。
があった。
すでに、日本経済の回復基調や今回のオリンピッ
しかし一方で、コントロールができない事態が発
ク招致成功で、日本への注目度は高まり始めてい
生した際に、どうリカバリーするかも重要だ。今回
る。オリンピックを情報発信のプラットフォーム
の例でいうと、日本では津波や原子力、イスタン
として、日本は声を大にして自らのメッセージを発
ブールは政情不安、スペインは景気後退だった。
信、主張し、世界市場でリーダーシップを発揮する
今回の東京オリンピックは、IOCの人事やアベ
ことが重要である。
ノミクスへの注目度など、様々な要因が重なり合っ
ジャック・レスリー
などの負のイメージを払拭し、リカバリーに成功し
た点も大きな要因のひとつであり、今後各国が学ぶ
ウェーバー・シャンドウィック 会長
■聞き手:佐桑
徹
経済広報センター
■今回の東京オリンピック・パラリンピック招致活
動に、御社はどのように関わってきたか。
情報発信の好機到来
しかし、何よりも勝利に貢献したのは招致委員会
そのものだ。彼らは様々なイベントやキャンペーン
の機会に、オリンピックへの情熱を伝える広報活動
■最近の欧米企業のPR活動の中で、日本企業が参
考にできるものはあるか。
レスリー
べき点だ。
国内広報部長
一貫したメッセージの発信
■今回のオリンピック招致成功で、海外における日
本のイメージは変化したか。
私は30年以上PR業界に携わっている
が、昨今見られるような、急激な変化は初めての経
験だ。特に、3~4年前からビジネスのやり方が抜
本的に変化している。
特徴としては、従来のブロードキャストモデルか
を展開してきた。我々PR会社にはテクニックの支
レスリー
援は可能だが、情熱をつくり出すことはできない。
いわゆる
「失われた20年間」は、世界は以前よりも
モデルへの変化だ。これまでは単にリリースを発信
ク招致委員会のメンバーとは2016年の招致活動の
彼らのつくり出した日本国民のオリンピックに対す
日本に注目しなくなっていた。中国が世界第二の経
し、マスコミが記事にし、それをステークホルダー
ころから関わっていたので、今回は初期段階から連
る熱意こそが、IOC委員の心を動かした。
済大国に成長し、各国のニュース報道でもアジア
に届けるが、届いた情報をどこまで信じるかは本人
圏では中国が主要テーマだった。しかし、今回の
任せになっていた。しかし現在は、インターネット
オリンピック招致成功によって、各国は
「Japan is
やソーシャルメディア・ツールを介して、企業とス
Back」の印象を抱いたであろう。
テークホルダーとの双方向のやり取りが継続的に、
レスリー
東京2020オリンピック・パラリンピッ
携を取ってきた。
そのため、招致活動における当社の役割も多岐に
■最終の招致委員のプレゼンテーションは非常に印
わたる。招致活動では、IOC委員からの投票を獲
象的だった。どのようなトレーニングを積んだの
日本がデフレや景気後退に陥っていた、
らオーディエンスと繋がりを持つエンゲージメント
得するために、グローバルなコミュニケーションプ
か。
オリンピックには世界と開催地との橋渡しの役割
しかも24時間体制で行われている。当社でもデジ
ログラムを展開する必要がある。当社は主に、世界
レスリー
あのような場でプレゼンテーションを行
がある。つまり、オリンピックの開催地に選ばれる
タル部門が伸びているが、このエンゲージメントモ
中の当社事務所と連携を取りながら、発信するメッ
うためには、相当のトレーニングと練習が必要とな
ことで、その国に世界の関心を向けることができ
デルへの変化はPR活動の中核となってきている。
セージ策定の支援、招致委員会が関わるスポーツイ
る。トレーニングに関しては、我々だけではなく
る。1964年の東京オリンピックも、第二次世界大
日本企業は、そういった流れに後れを取っている
ベントの支援、世界各国のマスコミの報道状況のモ
様々な分野の関係者が支援を行ったが、最終的には
戦から復興を遂げ、世界的な経済大国になりつつあ
わけではない。しかし、素晴らしい技術をいち早く
ニタリングなどを行った。また、招致委員会の中で
本人たちがどれだけ練習し、努力してきたかが重要
る日本を象徴していた。
開発する能力は持ち合わせているのに、その技術を
も主要なスポークスパーソンのメディアトレーニン
だ。今回、日本のプレゼンターたちは、
「世界中の
2020年の東京オリンピックは再度、20年間の景気後
グや、リスク対応策の考案など、危機管理の側面で
人々に思いを伝えるプレゼンテーションを提供しよ
退から復活した日本の姿を世界に知らしめるひとつの
も支援を行ってきた。
う」という意気込みの下に十分な練習を重ね、難し
きっかけとなる。津波や震災を乗り越えて復活を遂げ
い異国語でのプレゼンテーションでも、あのように
た日本の姿に、世界は関心の目を向けるだろう。
■2016年と2020年で、招致活動で異なった点
各事業にスピーディーに導入できていない。このス
ピード感は、今後の日本企業の課題であろう。
■最後に日本企業にメッセージを。
レスリー
素晴らしい出来になった。
は。招致の成功の要因は。
レスリー
8
欧米の最新PR事情
て勝ち取った招致である。中でも、津波や原発問題
■今後、日本企業は世界に向けて、どのようにメッ
セージを発信していけばよいか。
日本企業はリスク回避を重視し、安全志
向が強い傾向にあるが、今の時代、コミュニケーショ
前回の経験を生かしたことが大きく異な
■今回の東京招致のみならず、過去にはソチや北京
る点だ。今回は「ワンヴォイス」、つまりスポークス
のオリンピック招致も成功に導いてきた御社だ
レスリー
当社では、人々が日常生活やビジネス
のリスクを覚悟の上でステークホルダーをエンゲー
パーソンが誰であっても、日本として一貫したメッ
が、共通する要因は何か。
で、どのようなことを話題にしているかをマスコ
ジしようとする企業には、うまくいけば業績や企業イ
ンを全て管理することは不可能である。しかし、多少
セージを発信することに重点を置いて招致活動に取
レスリー
招致成功には広報活動やコミュニケー
ミやオンラインメディアから集計し分析した調査
メージの向上など、見返りも大きい。ソーシャルメ
り組んだ。招致活動の終盤まで“なぜ”、“今”東京で
ションのノウハウももちろん必要だが、タイミング
「シェア・オブ・ヴォイス
(share of voice)
」
を行って
ディアなどデジタルの領域をうまく活用しながら、新
オリンピックを開催することに意味があるのか、招
が重要だ。開催国や開催都市が、その時の世界の情
いる。調査から北米主要メディアにおけるアジア3
致委員が声を揃えて明確に説明できたことも勝因の
勢や流れに適合している、という理由で選ばれるこ
カ国
(日本・中国・韓国)についての話題の露出比率
ひとつであろう。
とが多々ある。例えば、中国で北京オリンピック開
を示したい。結果によると、中国が67パーセント
〔経済広報〕2013年12月号
たなチャンスを見いだしてほしい。 (文責:国内広報部専門研究員
k
鈴木恵理)
2013年12月号〔経済広報〕
9
企業広報研究
企業広報研究
持続的成長と経営革新に
向けた統合報告
い
と う
く
に
お
伊藤邦雄
一橋大学大学院
商学研究科教授 商学博士
者の在任期間と企業価値創造の関係を示すデータを
デル”である。日本的経営に磨きをかけ、全社的な
見ると、任期6年目あたりから14年目ぐらいまで、
視点で自社の強みと弱みを認識し、強みをさらに伸
継続して効果的な価値創造を実現している。また、
ばしながら弱みを克服することで、競争力の底上げ
ROA(総資産利益率)との関係でも、任期4年目か
を達成した。
「○○ウェイ」といった形で基本理念の
ら20年目にわたり高い水準を維持していることが
浸透を図ったほか、自前技術に基づく
「ダントツ技
見て取れる。現に、持続的に企業価値を高めている
術」や、卓越した
「摺り合わせ」能力が強さを発揮し
企業の経営者の任期は総じて長い。コーポレートガ
たのも特徴である。
バナンスの整備・強化を図り、本来の長期経営を実
しかし、この
「企業競争力2.0」は、もはや限界に
現していくという、“同期化”を図ることが重要であ
直面している。スイスのIMD
(国際経営開発研究
る。
所)が発表している国際競争力ランキングの推移
を見ると、日本は1990年代初頭の世界1位から、
持続的な企業価値創造のためには、企業価値と親
2002年には30位にまで下落している。歴史上、わ
統合報告をテーマに「企業広報講演会」を開催した。会員企業・団体の広報、IR、CSR担当者など約70名
和性のある指標を選択・決定し、指標にこだわった
ずか10年間でこれほど急激に競争力を失った国は
が参加した。
経営意思決定を行い、指標達成度に基づいて役員報
日本だけである。最近は多少回復しているが、依然
酬を決定し、さらには指標に対する社員の理解・浸
として15位前後という水準にとどまっている。
経済広報センターは、10月8日、一橋大学大学院商学研究科教授・商学博士の伊藤邦雄氏を講師に迎え、
日本企業が直面する
「不都合な現実」
――“最もイノベーティブながら低収益”というパラドックス
透を図ることが大切である。そして、企業価値を高
この
「失われた10年」
、そして
「20年」をもたらし
は非常に低い。企業価値を持続的に高めていくため
めるために、強い意志と高い実行力を持って、一貫
た原因は、法人税率の高さといった制度インフラの
には、ビジョンや理念などを軸にした中期経営計画
した企業価値経営を行わなければならない。
弱さもあるが、より本質的な問題が内在していると
考えられる。
今年初め、英オックスフォード大学ハートフォー
を策定・開示し、資本市場からの理解と納得を獲得
加えて、厳しく、しかし深い洞察力を持った長期
ドカレッジ学長のウィル・ハットン氏が来日した。
することが必要だが、実際には資本市場から計画の
投資家の目が求められると同時に、日本の経営者に
ハットン氏は、世界で最もイノベーティブな国は日
実効性に疑義を抱かれ、コミットできない経営計画
は、持続的企業価値を生むシナリオを持ち、それを
本であるとの持論を展開しているが、一方で、日本
は信頼できないと受け止められている。
しっかりと投資家に説明する能力が不可欠である。
ニー間の壁が増大し、連携が働かなくなった。本社
企業の収益性は、欧米企業に比べて継続的に大きく
③日本企業の経営の短期志向化
実態としては、IRの場で自社の財務業績は説明で
はスリム化によって「小さな弱い本社」となり、会社
きても、どのような戦略、プロセスで企業価値を生
あるいはグループ全体の発想で戦略を実践する力を
●蔓延する「部分(個別)最適化」の弊害
1990年代後半、日本企業では事業部間・カンパ
劣っているという現実がある。私は、
「世界で最もイ
企業価値の創造や業績をめぐる方針の理想と現状
ノベーティブ」でありながら「持続的低収益性」とも
について、アンケート調査からは、多くの企業が長
み出すのかを明確に語れる経営者は非常に少ない。
失った。また、社員の視野は狭まり、成果主義の導
いうべき日本企業のパラドックスは、企業価値にこ
期的な企業価値の創造を理想としながらも、現状と
経営者は、この能力をもっと高めていかなければな
入によって個人主義化も進んだ。つまり、「部分(個
だわり、企業価値を持続的に高める経営が欠如して
しては短期的な財務業績を優先する経営に向かわざ
らない。
別)最適化」が蔓延したのである。かつての日本企業
いることに原因があると考えている。
るを得ないという実情が確認されている。
このパラドックスを解くには、幾つかのカギが存
在している。
①
「二枚舌経営」の限界
業績が好調だった1980年代までの日本企業は、
④薄いCFOのプール
日本企業の競争力の進化プロセス
は、個々の業務範囲を明確に規定せず、他部署やメ
ンバーと有機的に連携するチームワークを強みとし
ていたが、それが部分最適化によって抑制され、結
日本企業の凋落の大きな要因のひとつに、CEO
日本企業のパラドックスを解消するために、もう
の女房役あるいは参謀となるべき有能なCFO(最
ひとつ重要なポイントは、経営能力を磨き、進化さ
果として競争力の低下に陥ったといえよう。
高財務責任者)の人材不足が挙げられる。CEOが
せることである。
●企業価値を持続的に高める
「企業競争力3.0」の必
要性
ややもすれば短期志向の資本市場をうまく懐柔しな
思い切って経営を執行するためには、対等な立場で
がら、長期的経営を実践することに成功していた。
議論ができ、企業の実情を冷静に分析している有能
まず
“基盤競争力モデル”とも呼べる
「企業競争力
日本企業が失われた10年、20年を克服して再飛
しかし、1990年代半ば以降、この“良き”二枚舌経
なCFOの存在が不可欠である。
1.0」の構築がある。ここでは、
「品質とコストはト
躍し、企業価値を持続的に高めるためには、
「企業競
営が資本市場から見透かされて機能しなくなり、現
⑤コーポレートガバナンスの意図せざる同期
レードオフ」という既成概念を打破し、世界が認め
争力2.0」から、さらに進化した
「企業競争力3.0」の
日本企業の経営者の任期は、慣行的あるいは暗黙
る日本品質、継続的な
“カイゼン”による生産性向
構築が不可欠である。
のうちに4年間、6年間と決められているケースが
上、そして長期雇用に基づく企業内での技術・ノウ
多いが、これでは事業構造改革を断行し、それを軌
ハウ伝承を実現した。
在では、対資本市場と社内とで言語を使い分ける
“悪しき”二枚舌経営に変貌してしまっている。
②経営能力の劣化
日本企業の多くは中期経営計画を策定・開示して
10
いるが、売上高や純利益などの目標値の達成度合い
〔経済広報〕2013年12月号
道に乗せて企業価値を創造することは難しい。経営
日本企業の競争力の進化プロセスを振り返ると、
次のステージの「企業競争力2.0」は“自己最適化モ
「企業競争力3.0」とは“自律的全体最適化モデル”、
すなわち環境変化にしなやかに、かつ俊敏に適合
し、絶えず進化し続け得る経営モデルである。具体
2013年12月号〔経済広報〕
11
企業広報研究
企業広報研究
的には、縦割り・部分最適からの脱却や横断知の創
この2つの世界の融合を理解してもらうことが肝要
造、鋭敏な組織感応力、危機耐性力・危機進化力の
である。
られる。横断的・統合的発想に基づき、持続的な企
業価値創造に取り組むことが、現在の日本企業の経
営上の最大の課題なのである。
と統合報告の登場
Governance
Opportunities
and risks
Intellectual
いことから、投資家の間では、どのように企業評価
に使ってよいのかという戸惑いも生じていた。そこ
で、各企業の創意工夫を生かしながら、統一的なフ
Financial
Mission and vision
Manufactured
統合報告は自由度が高い半面、比較可能性が乏し
Manufactured
Strategy and
resource allocation
Intellectual
Business model
Business
activities
Inputs
Outputs
Outcomes
レームワークの模索が進展してきた。その担い手
企業報告をめぐっては、3つの「不都合な現実」が
が、2010年8月に設立されたIIRC
(国際統合報
存在する。1つ目は、この20年間で財務情報が主
告審議会)である。IIRCは現在、フレームワー
体の企業報告の価値関連性(株価説明力)が大幅に低
クのコンサルテーションドラフトを公表して世界中
下していることだ。この傾向は世界的に見られ、
「企
から意見を募集しており、今年末までに最終フレー
業報告
(ディスクロージャー)の危機」ともいわれて
ムワークを公表する予定である。
いる。2つ目は、企業は有価証券報告書や決算短
●国際統合報告フレームワーク草案のポイント
Human
Human
Social and relationship
Performance
Future outlook
Social and relationship
Natural
Natural
(出典:IIRC「Consultation Draft of the International <IR> Framework」
)
企業報告は新たな開示パラダイムへ
信、コーポレートガバナンス報告書、CSR
(企業
IIRCが公表する国際統合報告フレームワーク
統合報告においては、20世紀には当たり前だっ
の社会的責任)報告書など、実に様々な開示資料を
草案では、冒頭に
「
“原則主義”
要求事項の要約」
と記
た開示パラダイムが大きく変わろうとしていること
発行しているが、手間とコストは増加の一途だとい
載がある。すなわち、フレームワークはあくまでも
を理解する必要がある。
うことである。とりわけ自発的な開示報告書はグ
原理原則を示すものであり、詳細なルールを設ける
できない。企業は、多様で複雑な事業プロセスから
生まれる企業価値創造プロセスを整理し、解きほぐ
してステークホルダーに説明すべきである。
経営革新に繋がる統合報告
20世紀は“More is better.”、つまり開示情報は少
統合報告は、日本企業が抱えている経営課題の解
ローバルな標準が存在しないため、そのフォーマッ
細則主義とは異なる。具体的な要求事項としては、
ないよりも多い方がよいというスタンスであり、四
決に貢献し得る。新たな競争力
「企業競争力3.0」で
トや記述方法は企業ごとに異なっているのが実態で
「オーバービュー」
「基礎概念」
「基本原則」
「内容要素」
半期決算が導入され、有価証券報告書の開示項目
は、持続的競争力を高めるために、いかに組織の縦
ある。3つ目は、1990年代以降、企業価値の主要
「作成と開示」
の5つが提示されている。基礎概念で
も次々と追加された。また、
「二者択一的二分法」
に基
割り化・部分最適化にメスを入れ、柔軟な全体最適
な決定因子が有形資産から無形資産、すなわちブラ
は
「資本」
や
「ビジネスモデル」
など4項目、基本原則
づく開示システムであり、例えば、強制開示なのか
化を実現できるかがカギを握る。これに対して統合
ンドや知的財産といった「見えざる富」へと変化して
では「重要性と簡潔性」「信頼性と完全性」など6項
自発開示なのか、財務情報なのか非財務情報なのか、
報告は、社内の各部署を巻き込んだ対話の場を提供
きたことだ。しかし、これまでの企業報告は有形資
目、内容要素では
「ガバナンス」
「機会とリスク」
「実
過去情報なのか将来情報なのか、といった形で、企
することで、組織の縦割り化・部分最適化に風穴を
産
(財務情報)に焦点を当てており、無形資産(非財
績」
「将来の見通し」
など7項目、作成と開示では
「重
業報告の対象が二者択一的に決められてきた。
開け、全体最適を実現する道を開くことができる。
務情報)の発信は不十分であった。
要性決定プロセス」や「信頼性」など5項目が、それ
これらの「不都合な現実」と向き合った結果、財務
ぞれ説明すべき事項として示されている。
これに対して、統合報告は、二者択一ではなく
また、統合報告の推進は、人材育成にも繋がる。今
“Integration is better.”であり、縦割りではなく横
の日本企業に決定的に欠けている人材は、
“全体最適
情報に加えて、企業の環境やコーポレートガバナン
統合報告における企業価値創造プロセスをまとめ
断 知 を 重 視 す る“Cross-functional is better.”で あ
型プロデューサー”である。統合報告は、組織横断
スなどの非財務情報も統合し、統一的な枠組みで報
たものが
【図】
である。この図は、組織の外部環境を
る。本社も縦割りになっている企業が多いと思う
的なプロジェクトの中で取り組むものであり、視野
告する「統合報告」の概念が登場したのである。
背景とした内容要素と各資本
(財務、製造、知的、
が、本気で統合報告に取り組むには、組織に横串を
の広い人材を育成することが可能となる。
人的、社会・関係、自然)の相互作用を示しつつ、
刺したプロジェクトが必要である。さもなければ、
組織の価値創造プロセスの全体像を表している。
単なるバインディング(合冊)にとどまってしまうだ
待できるという意見もあるが、統合報告を単なるコ
経営と企業報告の融合
各種報告書を集約することによりコスト削減が期
これまで、経営の課題と企業報告の課題について
この企業価値創造プロセスは非常に複雑だが、ど
ろう。また、「強制的自発開示」が進展し、開示自体
スト削減、あるいは「新しい報告スタイル」と理解し
説明してきた。通常、この2つは別々に考えられる
うすればこの図を使って自社を説明できるかを考え
は強制だが、内容の詳細は企業の自由裁量に委ねら
ていては、本質を見誤ってしまう。統合報告は、自
が、峻別していると本質を見失ってしまう。整理す
ることは、会社の戦略や価値創造プロセスの整理に
れている。
社の様々な活動から成る企業価値創造プロセスを、
ると、経営の課題は
「横断的・統合的発想への取り
有効である。ハードルは高いが、企業経営をこのよ
組み」、企業報告の課題は「企業報告の統合化への取
うなフレームワークでとらえることが、現代のマネ
業績、持続可能性などの各要素が分かちがたく結び
営プロセスの一環であり、経営革新の重要な原動力
り組み」であり、2つは密接に繋がっているのであ
ジメントなのである。
付いており、企業分析のプロフェッショナルである
なのである。
しゅんべつ
る。統合報告を実行するためには、まず経営者に、
12
統合報告のフレームワーク
Society
Organization
企業報告をめぐる3つの「不都合な現実」
External environment
Financial
Society
Organization
構築、コーポレートブランド経営の実践などが求め
■【図】企業価値創造プロセスの全体像
〔経済広報〕2013年12月号
今日の企業は、理念やビジョン、戦略、リスク、
アナリストですら、それらの要素を分解することは
一貫したストーリーで豊かに、統合的に説明する経
k
(文責:国内広報部専門研究員
森田真樹子)
2013年12月号〔経済広報〕
13
社 会 広 聴
社会広聴アンケート
ア ン ケ ー ト
2 8割以上が日本文化・歴史に関する教育や情報の充実が必要と回答
グローバル人材育成に必要な、
日本文化・歴史の教育と情報の充実
グローバル人材の育成に向けての様々な取り組みについて、必要か、必要でないかを聞いた。
「必要だと思う」
割合が高いのは「日本文化・歴史に関する初等中等教育の充実」で、前回調査(2011年)と同じく8割を超えて第
-「グローバル人材の育成に関するアンケート」調査結果-
1位。第2位は「海外での日本文化・歴史に関する情報の充実」
(80%)、第3位「科学技術立国のための理科教育
充実」
(77%)で、前回調査の第2位と第3位が入れ替わっている。
日本企業では、事業活動の急速なグローバル化に伴い、国際的に活躍できる人材へのニーズが高まっている。
■グローバル人材の育成に向けて必要な取り組み(年度別・全体)
2013 年度 ■必要だと思う
2011 年度 ■必要だと思う
経団連では、2011年6月、産業界がグローバル人材に求める素質や能力を示すとともに、そのような人材
を育成するため、産学官が取り組むべき課題をまとめ、具体的なプロジェクトを実施している。さらに2013
年6月、政府の産業競争力会議や教育再生実行会議におけるグローバル人材育成のための議論も踏まえ、「世
界を舞台に活躍できる人づくりのために」と題し、グローバル人材の育成に向けたフォローアップ提言を実施
した。
そこで、経済広報センターは、グローバル人材の育成に関する意識調査を行い、その結果を取りまとめた。
調査の対象は、全国の様々な職種、世代で構成されている当センターの社会広聴会員のうちインターネッ
トで回答可能な3127人。1891人が回答し、回答率は60.5%だった。調査期間は7月25日~8月5日。
回答者の属性は、男女別では、男性(846人、44.7%)
、女性
(1045人、55.3%)
。世代別では、29歳以下
(89
(n=1891)
(n=1965)
(n=1891)
海外での日本文化・歴史に関する情報の充実
(n=1965)
(n=1891)
科学技術立国のための理科教育充実
(n=1965)
(n=1891)
大学生一般に対するグローバル人材を意識した教育
(n=1965)
(n=1891)
産業技術や科学技術を理解するための大学でのカリキュラム
(n=1965)
(n=1891)
初等中等教育での、グローバル化した経済や国際社会に関する教育
(n=1965)
(n=1891)
大学でのキャリア・職業教育
(n=1965)
(n=1891)
選ばれた層への徹底した教育
(n=1965)
(n=1891)
初等中等教育からのキャリア・職業教育
(n=1965)
0
(1255人、66.4%)。
14
16
20
23
23
19
24
23
25
24
26
25
29
30
43
38
57
62
46
44
10
20
54
56
30
40
50
60
70
80
90
100 %
*小数点以下第1位四捨五入のため、合計が100%とならない場合もある。
33.7%)
。職業別では、会社員・団体職員・公務員(774人、40.9%)、会社役員・団体役員(76人、4.0%)、自営
人、1.3%)
、無職・その他(292人、15.4%)。就学前・就学中の子どもの有無では、有り(636人、33.6%)、無し
■必要だと思わない
■必要だと思わない
86
84
80
77
77
81
76
77
75
76
74
75
71
70
日本文化・歴史に関する初等中等教育の充実
人、4.7 %)、30歳 代(265人、14.0 %)、40歳 代(359人、19.0 %)
、50歳 代
(540人、28.6 %)
、60歳 以 上
(638人、
業・自由業(150人、7.9%)、パートタイム・アルバイト(242人、12.8%)
、専業主婦・夫
(332人、17.6%)
、学生
(25
(単一回答)
3 最も回答が多いのは「26 ~ 30位」
2011年TOEFLスコアの国別ランキングでは、日本はアジアの中では、30カ国中28位となっている。そこ
で、現状認識を探るべく、アジア30カ国におけるTOEFLのスコアについて、日本が何位
(圏内)に入ってい
1「外国語によるコミュニケーション能力」が8割を超える
ると思うかを聞いた。最も回答が多いのは「26 ~ 30位」
(34%)、次いで「21 ~ 25位」
(23%)で、約6割が21位以
下と認識しており、実態と認識に大きな乖離はない。
グローバル・ビジネスで活躍する日本人人材が持つべき素質、知識・能力について聞いたところ、第1位「外
国語によるコミュニケーション能力」(82%)、第2位「海外文化・歴史、価値観の差に興味・関心を持ち柔軟に
対応する」
(75%)、第3位「既成概念にとらわれず、チャレンジ精神を持ち続ける」
(66%)
となっており、前回調
査
(2011年度)と上位3位までは同じで、それぞれ3分の2以上となっている。
「高等学校等における国際交流等の状況について」
(出典:文部科学省)によると、1998年に海外留学した日本
■グローバル・ビジネスで日本人人材が持つべき素質、知識・能力
(年度別・全体)
(複数回答)
56
43
5 創意工夫を生かした特色ある教育を
46
46
個別企業の利益を超えて、進出地域・
国の繁栄を考える高い公共心、倫理観を持つ
グローバル人材育成のために初等中等教育に求められる取り組みで、特に有効だと思うものを聞いた。第1
45
47
当該職種における専門知識
23
企業の発展のために、逆境に耐え、
粘り強く取り組む
位「画一的・一律的な公教育システムを改革し、国際化教育や体験活動、地域の特性を重視するなど、創意工夫
■2013 年度
(n=1891)
27
(n=1965)
■2011 年度
2
2
その他
0
〔経済広報〕2013年12月号
大きな差はない。
66
67
日本文化・歴史に関する知識
14
も多く、次いで「約20%減少」
(20%)、
「約10%減少」
(20%)で、約6割が減少したと回答しており、実態と認識に
75
73
海外文化・歴史、価値観の差に興味・
関心を持ち柔軟に対応する
10
20
30
40
50
の高校生は4186人だったが、2011年には3257人で、約22%減少した。そこで、2011年に海外留学(3カ月以上)
した日本の高校生の数は、1998年に比べてどのくらいになっていると思うかを聞いた。
「約30%減少」が21%と最
82
80
外国語によるコミュニケーション能力
既成概念にとらわれず、チャレンジ
精神を持ち続ける
4 約6割が減少したと認識
60
70
80
90
100 %
を生かした特色ある教育を実施する」
(58%)、第2位「イングリッシュ・キャンプ等の英語漬け体験等を通じて、
生徒が英語に触れる機会を大幅に拡大する」
(44%)、第3位「政府・自治体・学校が、生徒や保護者に『グローバ
ル化対応の重要性』を理解させるとともに、留学希望者への助言・情報提供を強化する」
(43%)となっている。
2013年12月号〔経済広報〕
15
社 会 広 聴
経済広報センター活動報告
ア ン ケ ー ト
6 グローバル人材には教養が必要
グローバル人材育成のために高等教育に求められる取り組みについて聞いたところ、第1位
「グローバル人材
に必要な教養(物事を考察する際の基礎となる論理的思考力や、幅広い視野)
を基礎の学習を通じて身に付けさせ
る」
(67%)となっている。第2位以下は下記グラフの通り。
■高等教育に求められる取り組み(全体・上位7項目)
(5つまでの複数回答)
グローバル人材に必要な教養(物事を考察する際の基礎となる
論理的思考力や、幅広い視野)を基礎の学習を通じて
身に付けさせる
~持続可能な社会保障システムを目指して~
67
交換留学をした学生が、帰国後、単位交換が容易に行えるよう、
海外大学との単位相互認定や協働教育を一層推進する
56
く
大学入試を、これまでの知識偏重なものから、学生の意欲、
能力などを多面的、総合的に判断できる制度へ転換する
海外の優秀な研究者や教育者の採用を促進するとともに、
日本人教員の英語力や教育力を強化する
39
産業界と大学が協働で教育カリキュラムや
インターンシップ・プログラムを開発する
38
海外からの研究者・留学生受け入れ、日本人学生の海外留学を
促進する観点から、学事暦の多様化(秋入学への移行、
クォーター制の導入など)を図る
30
大学入試の際、TOEFLなどの英語能力を測定できる
外部試験を活用する
29
10
20
30
ま
の
ひ
で
お
熊野英生
41
0
(株)第一生命経済研究所
首席エコノミスト
10月3日、
「社会保険料負担の増加と消費税問題~持続可能な社会保障システムを目指して~」をテーマに、
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストを講師とする講演会を開催し、社会広聴会員など約80名が
参加した。
●消費税より重い社会保険料の負担
40
50
60
70%
7 採用活動の多様化や、国籍を問わず有能なグローバル人材の活用を
は実質購買力の低下である。税率が5%から8%に
引き上げられた場合、実質購買力が約3%落ちるこ
家計の総収入
(税引き前)
が月額50万円の平均的な
とが予想される。家計調査から分析すると、教養・
勤労者世帯では、月額約32万円の消費支出をして
娯楽、レジャー、衣料品などの分野において節約志
おり、さらに厚生年金保険料や健康保険料などの社
向が顕著に表れてくると思われる。
会保険料は、消費税の負担を上回るものとなる。家
●政府の経済対策
グローバル化に対応するため、日本企業はどのような人事戦略を採用すべきかを聞いた。第1位
「採用活動の
計の総収入が月額50万円のモデルケースで考えた場
多様化
(通年採用、既卒者採用、秋入社など)を推進する」(55%)
、第2位「国籍を問わず、有能な人材を幹部に
合、厚生年金の月額保険料は4万3000円。それに
政府は、消費増税の表明と同時に、賃金を上げる
登用する」
(53%)、第3位「新入社員を短期・長期の海外研修に派遣する」
(38%)
、第4位
「海外赴任を前提とし
約2万5000円の健康保険料と介護保険料や雇用保険
ための経済対策である「所得拡大促進税制」を発表し
料が加わって、約7万4000円になる。2007 ~ 12年
た。同制度は、企業が従業員の給料を一定以上拡大
度の5年間で、社会保険料は13%増加した。これ
した時に法人税が減税される仕組みだが、実際は賃
は消費税が2.3%引き上げられた場合と同じである。
上げのコストの方が法人税の軽減より重くのし掛
消費税の負担を議論するのであれば、そのエネル
かってくると予測されるため、この税制はあまり使
ギーの何倍もかけて社会保険料の議論をすべきでは
われないと思われる。しかし、医療業界や通信業界
ないだろうか。
など、多くの雇用を伴って新しいビジネスを展開す
た日本人の採用・育成を拡充する」
(37%)となっている。採用活動の多様化や、国籍を問わず、有能なグローバ
ル人材を採用し活用することが、日本企業の人事戦略上重要であると認識していることが分かる。
■日本企業の人事戦略(全体・上位7項目)
(複数回答)
採用活動の多様化(通年採用、既卒者採用、
秋入社など)
を推進する
55
国籍を問わず、有能な人材を幹部に登用する
53
新入社員を短期・長期の海外研修に派遣する
38
海外赴任を前提とした日本人の採用・育成を拡充する
37
採用や昇進・昇格等の要件として、一定レベル以上の外国語能力を要求する
32
外国人人材の活用を促進するため、職場や人事制度の環境整備を行う
32
今よりも採用の多国籍化を進める
●消費税率引き上げによる影響
26
0
10
20
30
40
50
60
70%
今回の調査結果からは、グローバル人材の育成に向けて必要な取り組みとして、日本の文化・歴史に関する教
育や情報の充実を挙げる人が増加していることが分かるとともに、グローバル人材育成のための教育において
は、創意工夫を生かした特色ある教育や、グローバル人材に必要な教養を身に付けることの重要性を挙げる人が
多いことも分かった。
(文:国内広報部主任研究員
16
社会保険料負担の増加と
消費税問題
〔経済広報〕2013年12月号
塩澤
る企業にとっては、この税制は魅力的に映るだろ
う。現在、中小企業やサービス業で人手が不足して
1997年4月に消費税率が3%から5%に引き上
いるが、賃金を上げずに人手を獲得しようとするの
げられたが、11月末に金融システム不安が生じた。
で、求人件数は上積みされ、雇用者数は増加しない
今回も引き起こすのではないかという懸念がある。
結果となっている。労働需給は逼迫しているので、
安倍政権は、この経験に関してかなり神経質になっ
一部の企業が賃上げを実施すれば、同業他社が追随
て、景気対策に余念がない。従って、財政政策、金
して賃金を上げていく可能性もあるので期待した
融政策、成長戦略など、経済成長を後押しするよう
い。
な様々な政策を実施しなければならない。消費税率
が引き上げられると、耐久消費財の分野で駆け込み
ひっぱく
●なぜ賃金が上がらないのか
k
需要が発生するが、一方、日用品やサービスの分野
サラリーマンの平均生涯年収は、この10年間で
聡)
などでは、駆け込み需要はあまり発生しない。問題
6.6%、約1300万円も減少している。一方、社会保
2013年12月号〔経済広報〕
17
経済広報センター活動報告
経済広報センター活動報告
険料は2004年から2017年までは段階的に上がる仕
保険料が掛かるようになった。2004年の年金制度
いる年金の額を絞り込むか、年金保険料を引き上げ
援金を拠出したからにほかならない。2008年から
組みになっている。企業は、なぜ賃金を上げること
改革によって、毎年右肩上がりに保険料が引き上げ
るしかない。おそらく、2017年で固定する予定の
始まった後期高齢者医療制度の問題点は、高齢者か
ができないのだろうか。まず、企業の収益がリーマ
られ、2017年には9.15%に固定される予定である。
年金保険料をさらに引き上げていかざるを得ない。
ら保険料を取ることが問題ではなく、高齢者医療制
ンショック以前の水準に回復していないことが挙げ
また、2014年には、次期の年金改革の前提になる
年金の支給額を変更せずに年金保険料を上げていく
度を守るため、現役世代から支援金を拠出させ、高
られる。企業の利益水準は、2012年の秋ごろから
ような財政検証が行われる予定なので、2017年以
と、年金保険料を払っている人々の年金制度に対す
齢者医療費の肩代わりによって、健保組合の収支を
少しずつ改善されてきているが、生産性が向上して
降、年金保険料を上げざるを得ない状況が生じてく
る参加意欲が落ちることに繋がる。また、年金支給
急激に悪化させていることにある。このことが、見
利益が上がるという正常な成長のプロセスが働いて
る可能性がある。なぜ2017年以降に年金保険料を
開始年齢をさらに引き上げて、実質的に年金支給額
えない人件費の負担となって企業に重くのし掛かっ
いない。1990年代前半のバブル崩壊以降も高い生
上げなければならない可能性があるのか。そこには
を切り下げる可能性もあるかもしれない。
ている。現在の健康保険料率(平均)は、協会けんぽ
産性を発揮して賃金を上げていたが、2000年代に
年金収支の問題がある。2009年に実施された厚生
なると生産性が頭打ちとなりリストラも実施され、
年金保険の収支予測(財政検証)では、2014年に収
労働分配率が下がった。賃金を上げるためには、生
支が黒字化(+12兆円)するようになっている。し
現行の年金制度に対しては、掛けた保険料が返っ
ている健康保険組合の健康保険料率を10%まで上
産性を上げ続けなければならない。また、企業経営
かし、2011年の収支実績は、
「積立金より受入」
を含
てこないのではないかという強い誤解がある。特に
げることが盛り込まれている。法人税は赤字になっ
者は、過去のリーマンショックや震災の経験から、
めずに、マイナス
(-4.9兆円)である。予測と実績
若い世代は年金を受け取れないのではないかと誤解
た場合は支払う必要はないが、社会保険料は赤字に
先行きの景気に関して慎重になっている。その上、
が大きく乖離している。なぜ食い違うのか。保険
している。国民年金においては、支払った保険料が
なっても支払わなければならないため、企業にとっ
2017年まで社会保険料の負担が毎年右肩上がりで
料収入は2017年まで上がり続ける予定であるのに、
返ってこないということは考えにくい状況である。
て大変な負担となる。後期高齢者医療制度を維持す
増加し、それ以降も上がり続けるのではないかと予
賃金は下がり続けている。予測した時点では計算外
インフレや運用収益を考慮しないで、現在の保険
るために、健保組合から支援金を拠出させる仕組み
想するので、賃金のベースアップができにくい状況
であった賃金水準の低下が進んでいて、保険料収入
料と受給額で単純計算してみる。2013年の月額保
を変えなければ、健康保険制度はいつか立ち行かな
に置かれている。さらに、企業が構造的に雇用を増
は増えていない。一方、年金を受け取る人の数は増
険料1万5040円を40年間支払うと約722万円となる。
くなる。
やさない体質に変わってきていることも要因として
加している。
平均寿命から65歳を引くと、男性は14.94歳、女性
挙げることができる。賃金を増やす前に雇用を増や
すのが順序だと思うが、円高や新興国企業の台頭な
どの影響を受け、特に製造業は右肩下がりで雇用者
数が減ってきている。
●従来型公共事業投資の限界
2011年の後半から65歳になった団塊の世代が、
は21.41歳なので、それぞれ2013年の年間年金受給
額である78万6492円を掛けると、男性は1175万円、
が約10%、健康保険組合が約8.6%。2012年の衆院
選の際の自民党の政策公約の中には、大企業が属し
●健康管理で医療費の削減を
健康保険料率を上げずに済ませるには、高齢者自
女性は1684万円となる。従って、男性は、支払っ
身の自己負担の率を増やすか、医療費を削減する必
年金の定額部分を受け取り始めたことにより、シニ
た額の1.63倍。女性は支払った額の2.33倍を受け取
要がある。2015年に消費税率を10%にしたら、そ
アの消費が活発化し、日本経済全体にプラスの効果
る計算になる。国民年金は、基礎年金の半分を税金
れ以降は医療費を削減すべきである。そのために
をもたらしている側面がある。1997年当時、シニ
で穴埋め(国庫負担)しているので、支払った金額に
は、予防医学の考え方が重要だ。米国には
「1ドル
民主党政権時代には、多額の補正予算を組んで公
アの消費は、個人消費の約4分の1だったが、現
対して受け取る金額が大きくなる。問題は厚生年金
の予防費で3ドルの治療費を節約できる」という言
共事業投資を実施したが、建設業は就業者数が増え
在、230兆円に及ぶ個人消費の約半分を占めるよう
である。国庫負担のサポートが薄く、拠出した部分
葉がある。予防医学や健康管理に対し、シニア層は
ていない。従来型の公共事業投資によって追加的に
になっている。賃金が上がれば消費税率の引き上げ
を現在受け取っている人々に回している比率が高い
大変関心を持っている。現在、健康管理を自分で実
景気を刺激する力は非常に弱まってきている。建設
は、かなり緩和されると言ってきたが、実は正確で
ので、国民年金に比べて掛けたお金に対して戻って
施したいと考える人々が多く存在している。スポー
業界においては、公共事業は増えても民間事業が減
はなく、株価上昇などを通じて、シニアの消費が活
くる率が少ないのが現状である。多くの政治家、官
ツクラブの業界は、シニア層を獲得して成長産業と
少している。その結果、多数の業者で仕事を奪い合
発化すれば、消費税率が引き上げられても影響を受
僚、企業経営者が、年金制度を守ろうとして、今ま
なっているし、サプリメントはこの10年の消費項
う形となり、雇用や賃金を増やすことは難しくなっ
けにくくなる。
で汗を流してきた。この制度を崩壊させるのは本当
目の中で一番増加している。この産業分野を成長さ
に惜しい気がする。消費税を上げてでもこの制度を
せていくことが、まさに成長戦略において重要では
守らなくてはならない。しかし、問題は消費税だけ
ないだろうか。健康管理のアドバイスや医療にイン
では賄い切れない点にある。企業にとってもかなり
ターネットを活用したり、スポーツクラブに健康管
深刻な問題となっている。
理の専門家を置くなど、医療以外の分野を成長させ
ている。政府は、公共事業投資を増やしているが、
実際は雇用に結び付いていない。また、現場で若い
●年金制度の問題点
労働者が育成されていないので、優れた技術を持っ
厚生労働省が作成した厚生年金の収支の予想と実
た技能労働者が不足している。建設業に限らず、昨
績を見ると、収支実績は下がり続けているのに対
今、人材育成に企業の資源が投じられなくなった。
し、予測ではⅤ字回復することになっている。賃金
正社員であっても会社の中で教育されない状況が、
水準の回復に関してかなり楽観的な見方をしている
様々な産業分野で起こっている。
からであろう。厚生労働省が作成した厚生年金の積
健康保険料の負担は、年金よりもさらに大きく
社会保障制度は表裏一体の関係にあり、医療や年金
立金残高の予想と実績を見ても、かなりの乖離が見
なっている。中小企業が属している協会けんぽの健
の制度を見えないところで支え、我々の老後の暮ら
られる。金利の上昇による収入増を見込んでいるた
康保険料率
(平均)と大企業が属している組合健保
しを守っている。様々なテクノロジーが開花すれ
●社会保険料負担の増加
18
●シニア消費への期待
●年金制度に対する強い誤解
●見えない人件費の負担
て、医療費を極小化することが重要である。消費税
問題で重要なのは、年金制度を守ること。消費税と
どうして社会保険料負担が増えているのか。以前
め、予測が非常に甘くなっている。収支の帳尻が合
の健康保険料率(平均)の推移を見てみると、2008
ば、結果的に医療費を削減することに繋がると考え
は、ボーナスの部分には年金保険料が掛からなかっ
わないのに、年金を支払い続けているので、残高が
年から急激に悪化している。高齢者の医療制度を守
る。
たが、2003年から総報酬制となり、ボーナスにも
取り崩されている。収支を改善するには、支払って
るために現役世代の健康保険料の積立金の中から支
〔経済広報〕2013年12月号
k
(文責:国内広報部主任研究員
塩澤
聡)
2013年12月号〔経済広報〕
19
英米主要
紙誌の
論調分析
分析したものである。
この期間、消費税引き上げが決
が、TPP(環太平洋経済連携協
ターネット販売の完全な規制撤廃
と評価しながら、
「政労使協議が失
ない。日本は中国からの脅威が高
定し、安倍政権の次の経済政策が
定)を含む、より自由な貿易を支
に尻込みしてしまった。そして政
敗した場合、政府は自らの目標達
まっているという認識に駆られて
「小泉元首相は、原発を推進す
注目されている中で出てきたコメ
持するようになってきているとい
府は、消費者の安全を理由にし
成へ、さらに積極的な策を講じな
行動に出た面もある。中国経済は
ることは『あてもなく』
『無責任』で
の減反政策の見直しの議論をWS
うことにはっきりと気付いてい
て、一部医薬品のネット販売に規
くてはならない。既に検討してい
2011年に規模で日本を追い抜き、
あると言う。日本は小泉元首相の
Jは早速、日本の農業政策改革へ
る。TPPは大幅な農業分野の開
制を残した骨抜きの規制改革案を
るように、賃上げと引き換えに企
年を追うごとにその差が拡大して
主張を歓迎し、福島の大惨事が起
の一歩として歓迎した。大衆薬の
放を要求するだろうし、日本の農
提案した。この問題は、特定の利
業に減税など財務面のインセン
いる。中国も、一人っ子政策の結
きてから2年半の間、一度も行わ
インターネット販売の規制緩和や
家が輸入農産物に太刀打ちできる
益団体を抑え込む、政府の力量を
ティブを与える策も有効だろう。
果として、間もなく国内で高齢化
れていない原子力についての健全
賃上げに関する安倍政権の積極姿
ようにするためには改革が必要と
測るシンボリックな試金石となる
法定最低賃金と公務員の賃金引き
問題を抱えることになる。だが、
な議論を始めるべきである。国会
勢についてもWPやFTが取り上
なる。農業改革はアベノミクスが
重要なものであったのだ」
と指摘、
上げも議論すべきだ」と主張して
日本の戦略実務者は、中国の年間
は独自の調査を行い、福島の原発
げている。
展開していく中で注目すべきテー
「安倍首相の改革は国内の強い反
いる。
軍事費は今や日本の軍事費の3~
事故は人災だったと結論付けたけ
マである。TPPは安倍首相の最
対に直面しているが」
、安倍首相
4倍に達していると指摘する」。
れども、この調査は国会での真剣
政府が、コメの価格維持のため
も重要な改革となり得るが、それ
は
「やり過ぎることを恐れずに」
改
FT(10/15)でコラムニストの
「こうした大変な難題にもかか
の生産調整(減反政策)を5年後に
はより一層の競争を認める国内の
革を実行すべきだと論じている。
ギデオン・ラックマンは、経済広
わらず、日本のムードはもう何年
廃止する方針を決めたが、その正
改革に手を付けた時に初めて実現
FT
(11/12)
社説は、
「安倍政権
報センターの招聘による1週間の
もなかったほど楽観的だ。安倍首
景気低迷から脱する必要があると
式決定の前にWSJA(11/ 1)社
するだろう」。
は、公約のデフレ脱却に向けて順
日本訪問で、日本が欧米に先駆け
相の発言は国家主義的に聞こえる
強調している。確かに日本は、態
調に進んでいるように見えるが、
て、高齢化や社会保障、それによ
こともあるが、その精力的なリー
度を変えることによって、低迷か
説は次のように論評している。
な議論に発展しなかった」。
「安倍首相はデフレ心理を改め、
説は、
「日本政府は先週、動脈硬化
WP(11/ 9)社説もこの問題に
症の農業市場、とりわけコメの生
ついて、
「安倍首相は極めて非効率
最近の物価上昇はエネルギー価格
る政府債務など様々な問題を抱え
ダーシップは、日本が経済停滞か
ら脱することができるだろう。だ
産のルールを一部見直すことを明
で知られるコメ農家を統合し、高
の急上昇に伴うもので、国内で生
て苦闘している実情を取材した後
ら抜け出せるという希望を生み出
から小泉元首相は、自民党が
『原
らかにした。これは安倍首相が進
齢化する農業従事者たちから政府
じたインフレではない。残業代や
のコラムで、次のように同情的に
した。経済は4%近いペースで成
発ゼロ』の方針を発表すれば、『日
める産業やサービス分野の改革の
の補助金を切り離すという、やや
賞与を除く給与所得は9月に16
述べている。
長しており、東京が2020年の五
本は世界に例のない循環型社会の
問題ではないが、首相が政治的に
野心的な計画を打ち出した。この
カ月連続で減少し、日銀政策決定
「アベノミクスという過激な経
輪開催地に選ばれたことで気分が
創造へ結束する』し、国民感情も
タブーのひとつを進んで取り上げ
計画によると、日本は2018年ま
会合の一部の委員からも賃金低迷
済実験が鳴り物入りで実行された
盛り上がっている」。
一気に高まると説得力のある考え
ようとすることを示すものであ
でに減反政策による生産制限をや
を懸念する声が上がっている」と
のは、この債務の問題に対応する
る」
と述べている。
めるというもので、世界で最も保
指摘している。
ためでもあった。安倍首相がイン
小泉元首相が「原発ゼロ」を呼び
そして、
「安倍首相は賃上げへの
フレ率を年2%に引き上げようと
掛けたことを、NYT(10/15)社
日本の農家が減反政策などに
護されている農業市場のひとつで
よって、いかに手厚く保護されて
ある日本の農業をTPPの下で、
支持を取り付けるために政労使協
しているのは、その後の経済成長
いるかを詳しく説明した上で、同
より広範な国際競争に開放しよう
議を立ち上げ、自らの役割を果た
が、増大する社会保障費を賄った
社説は
「政府が考えている改革は日
とする重大な一歩になるものだ」
している。これは労使間だけで賃
り対GDP(国内総生産)の債務比
本の農業問題の大きさに比べれば
と評価している。
上げを協議してきた日本では異例
率を引き下げたりするのに必要な
ささやかなものであるが、それで
その一方で、
「首相は薬剤師など
のこと。政府の積極的な改革姿勢
歳入の増加をもたらしてくれると
も重要な第一歩となるだろう」
と評
業界の圧力団体の反対を受けて、
は既に一部で成果を上げつつあ
のもくろみがあるからだ」
。
価して、次のように論じている。
最高裁の判決があるにもかかわら
る。かつてほど手厚くはないもの
「安倍首相の急進主義は国内の
ず、一般用医薬品
(大衆薬)
のイン
の、賞与は前年より増えている」
経済問題だけに駆られたものでは
「安倍首相は、都市部の有権者
20
今回は10月6日~ 11月14日までの紙誌面を
〔経済広報〕2013年12月号
を主張しているのだ」
。
(編集顧問
k
石塚嘉一)
経済広報センター国際広報部は、ワシントン・ポスト
(略記WP)
、ニューヨー
ク・タイムズ
(NYT)
、ウォール・ストリート・ジャーナル
(WSJ)
、ウォール・スト
リート・ジャーナル・アジア(WSJA)、ロサンゼルス・タイムズ(LAT)、USAトゥ
デイ(UST)、ビジネスウィーク(BW)、タイム、ニューズウィーク(NW)、フォー
リン・アフェアーズ
(FA)
、フォーブズ
(FB)
、フォーチュン、エコノミスト
(ECO)
、
フィナンシャル・タイムズ
(FT)
、 タイムズ、ガーディアン
(GUR)
、テレグラフ
(TEL)、インディペンデント(IND)、ブルームバーグ(BLB)などの紙誌の論調分析
を行っている。
2013年12月号〔経済広報〕
21
企業広報ニュース
企業広報ニュース
機関誌紹介
出前授業
キッズコーナー
Book
『鉱山』
生の音楽をたくさんの心に届けたい
京セラ
『企業のコミュニケーション能力』
非鉄金属鉱業界の
京セラの「KYOCERA-LAND」
(http://www.kyocera.
機 関 誌『 鉱 山 』は、 わ
co.jp/kyocera-land/index.html)は、京セラの企業活
が国の非鉄金属鉱業
動をはじめ、ファインセラミックスや太陽光発電に
界の取り組みや業界
ついて分かりやすく紹介しているサイトだ。
を取り巻く国内外の
太陽電池の不思議を学ぼう!では、
「ソーラー・パ
動きなどを業界関係
ワー・エキスポ」として5つのパビリオンを用意。
者にお伝えしている。
最初のパビリオンでは、地球温暖化や砂漠化といっ
業 界 は、 鉱 物 資 源
た人類が直面する環境課題と、その解決策としての
を 海 外 か ら 獲 得 し、
国 内 で 製 錬 し、 銅、
鉛、亜鉛などの金属を産業界に供給している。
本誌は、海外鉱山の開発や稼働状況、国内鉱山や
「生の音楽をたくさんの心に届けていきたい」
と熱
心に話すのは、三菱地所の環境・CSR推進部の担
当者。
同書は、進化型CSR(企業の社会的責任)として
術支援」
「社会福祉」
の観点から、東京都内の特別支
仕組みなども理解できる。このほか、太陽電池を題
援学校にプロの音楽家を派遣し、
「出張コンサート」
材にした絵本のコーナーもあり、二酸化炭素を排出
戦略について、その変遷や具体例を紹介している。
鉱業関連の政策や予算、関連法規や税制改正の概
を実施している。外出の機会が制限され、生の音楽
要、非鉄金属の需給見通しなどの情報を提供してい
に触れる機会が限られている障がいのある児童・生
る。
徒に音楽を楽しんでもらおうというものだ。この活
動は2004年12月に開始され、これまでに延べ56回、
約1万人の児童・生徒が参加した。
しない、資源が枯渇しない、などの太陽電池の特徴
をイラストを使って説明している。
ファインセラミックスの不思議が分かる!では、
携帯電話や自動車部品、キッチン用品など、様々な
コンサートのプログラムは、学校側と演奏者・三
組んでいる。毎年8月に発行する特集号では、業界
菱地所の担当者が話し合って決める。クラシックだ
内外の過去1年間の取り組みや動きを取りまとめて
けでなく、時には「ジブリ」映画のなじみのある曲
いる。
や、学校で習った曲、校歌を演奏することもある。
場面で使われているファインセラミックスを詳しく
解説。また、リンクページの「知って納得!!ファイ
CSRの取り組みは、端的にいえば
「企業が行う
社会貢献活動」を指すが、近年ではCSR活動をビ
ジネス戦略の一環として位置づける企業も多く、単
なる慈善事業を超えて、良い企業市民を目指すため
の「利益追求と社会貢献の両立」を図った一連の社会
貢献活動ということができる、と著者は述べてい
る。
ンセラミックス」では、ボールペンのペン先にある
CSVと戦略的CSRの違いについて著者は、
「社
毎号の巻末では、国内外の鉱山・製錬業界の直近
知っている曲では、演奏に合わせて、教諭と子ども
ボールや、人工骨・関節など、意外な場所にファイ
会と本業との関連性をより強固にすることで、地域
の主な出来事や金、銀、銅、鉛、亜鉛、ニッケル、
たちが一緒に大合唱をするシーンも。演奏者が、演
ンセラミックスが使われていることを発見できる。
社会と企業の“双方が高水準の成果”を挙げる」こと
奏の合間に曲目や楽器を説明することもあり、楽し
暮らしの中で活躍する京セラ製品では、家庭やオ
アンチモンを中心とする非鉄金属の需給動向、金属
価格の最新データも掲載し、業界の統計資料となっ
ている。
むだけでなく、学ぶ機会にもなっている。
参加した生徒からは、
「素晴らしい演奏で、心が繋
がりました」「楽器の紹介もあってよかったです」、
本誌は、1948年10月創刊の『日本鉱業協会誌』を
担当教諭からは、
「生演奏を聴く機会が少ない中で、
フィスなど、身近な場面で見かける京セラ製品を紹
介。また、日本だけでなく、米国や欧州、アジア、
アフリカなど、世界中に広がる京セラの太陽光発電
の事例も写真で分かる。
引き継ぎ、1958年1月から機関誌『鉱山』として発
生徒に良質の音楽に触れさせることができ、とても
行し、現在に至っている。毎号約500部を発行し、
うれしく思います」
「一曲ごとに笑顔や発声などの反
マンガで知る!京セラでは、創業者である稲盛和
業界のほか、官庁、地方自治体、大学、金融・調査
応があり、楽しんでいたと思います」などの感想が
夫氏の人生を通して、1959年の会社設立から、太
寄せられている。
陽光発電の事業化、そして現在に至るまでの京セラ
機関、図書館などに購読をいただいている。購読を
ご希望の方は、金属鉱山会のホームページの「機関
誌 鉱山申込み先」までご連絡ください。
k
三菱地所は、
「様々な障がいのある子どもたちに、
音楽を楽しんでもらえるよう、今後も引き続き、演
奏者と一体となって創意工夫をこらしながら、
『出張
コンサート』
を実施していく」
と話している。
(一般財団法人金属鉱山会 情報・編集部長 高橋修三)
22
いった基礎知識や、太陽の光エネルギーを電気エネ
近藤久美子 著、ナカニシヤ出版
2013年7月発行、2310円(税込)
のCSV(共通価値の創造、Creating Shared Value)
発や稼働状況、安全や環境の改善活動などのほか、
地球温暖化対策、循環型社会など)について特集も
く。別のパビリオンでは、太陽の温度や明るさと
ルギーに変換して活用する「太陽光発電システム」の
同社の社会貢献活動の重点分野である「文化・芸
製錬所の状況、資源リサイクル状況、地熱発電の開
また、業界の現況や課題(電力問題、地熱発電、
太陽光発電の可能性を、映像を見ながら学んでい
〔経済広報〕2013年12月号
(国内広報部専門研究員
k
金子雄太)
に着目している。
また、日本企業がCSVを確立するためには、最
初に「取り除く」と「付け加える」ステップを踏むこと
が成功のカギだ、と述べている。日本企業は社会貢
献活動に「広く浅く」取り組む傾向が見られるが、自
社の強みと地域社会のニーズが重なる領域につい
て、より認識を深め、ライバルと戦うことなく優位
性の獲得を目指す発想転換が必要である、と主張す
る。
の歩みを知ることができる。地球環境を守るクリー
ネスレの環境・雇用への取り組みや、明治の
「ア
ンエネルギーとしての太陽光発電の可能性と、そこ
グロフォレストリー・チョコレート」をはじめ、多
に込められた京セラの思いが伝わってくる。
(国内広報部専門研究員
k
森田真樹子)
数の具体的な企業の事例が紹介されている。
(国内広報部専門研究員
k
鈴木恵理)
2013年12月号〔経済広報〕
23
社内取材が決め手
9月1~ 20日
NEWS
第3回
9
/
10
経 団 連、 中 国 人 民 対 外
Keizai Koho Center News
ココノッツの君島邦雄
17 ~ 20日の日程で、日
ビ広報の重視を」の中で、映像
印相互理解を目的に「イン
を意識した情報発信と、各テレ
企業がメディア、特にテレビ
一環として
「日中農業交流協力
ドジャーナリスト招聘プログラ
ビ局や番組ごとの特徴をつかん
に露出するに当たって、「人」の
フォーラム」を北京で開催した。
ム」を実施し、その一環として20
で効果的に売り込むことが重要
要素は重要です。経営トップが
参加者は約100名。
日に経団連会館でシンポジウム
だと書きましたが、問題はその
経営について語るだけではな
「日本企業にとってインド事業の
え、
「企業広報講座(名古屋会場)」
東京会場)
」を開催し、日
した。モデレーターは日本放送協
を開催した。
本経済新聞社編集局日経産業新聞
会の広瀬公巳解説委員。参加者は
君島氏が「企業広報の基本」、鈴
編集長の篠原洋一氏が
「日本経済
約80名。
木氏が「中日新聞経済部の編集方
新聞社の企業報道」をテーマに講
針と取材体制」をテーマに講演し
演した。参加者は約110名。
「企業広報講座
(第3回
機会・脅威・競合は何か」を開催
た。参加者は約40名。
9
/
5
働施策の理解を深めるこ
ます。
約締結35周年を記念する活動の
9
/
12
アジア各国における労
ことが迅速にできるようになり
先月号の本連載
「もっとテレ
9
/
17
代表取締役と中日新聞社
の鈴木孝昌経済部長を講師に迎
9
/
12
9
/
18
「 第99回 事 業 企 画 委 員
会」(委員長:髙尾剛正 住
日本経済新聞に
「教育界
友化学代表取締役副社長執行役
員 )を 開 催 し、 ①2013年 度 上 海
る「意見広告」を掲載した。
売り込むべきネタをどうやって
用意するかです。
そのようなネタは、広報担当
者がいくら待っていても、自然
に入ってくるものではありませ
と企業の懸け橋に」と題す
とを目的に、講演会
「アジアの労
交通大学
「日本経団連企業法務高
級 講 座 」の 実 施、 ② 訪 日 ド イ ツ
お か だ
岡田
あきら
晃
大阪経済大学 大学院客員教授
経済評論家
ん。社内のどこに、そのような
ネタがあるのかを発掘しなければなりません。社
内取材です。
普段から社内取材をしていれば、
「これはテレビ
く、例えば新製品開発を担当し
た若手社員が開発の苦労を語る
などは非常に効果的です。視聴
者や消費者に商品の特徴をより
印象付けるとともに、その企業
に親近感を持ってもらうきっか
けにもなり得ます。
社内取材が重要なのは、テレビ向け広報に限ら
ず、新聞など、ほかのメディア向けも同じです。
向きで面白い」とか
「これはあの番組がよさそう
この連載の第1回「広報は『窓口』にあらず」で、積
だ」など、様々なネタが見つかるはずです。すぐ
極的に情報発信していく「攻めの広報」が必要だと
にネタにならなくても、
「しばらく温めれば数カ月
強調しましたが、そのためにも手持ちの情報を数
後にモノになりそうだ」など、手持ちのネタを幾
多く持っていなければなりません。社内取材に
ンガポール、ベトナム~」を開催
9
/
13
ト『 国 際 戦 略 総 合 特 区 見
ンポジウムの開催について検討
した。参加者は約110名。
学会』」を神戸市の
「関西イノベー
し、了承された。また、①社会保
ション国際戦略総合特区」で開催
障制度改革パンフレットの発行、
つも持つことによって、効果的にネタを売り込む
よって得た様々な情報を取捨選択しながら、広報
し、社会広聴会員27名が参加し
②2013年度教員の民間企業研修
ことができます。
戦略に沿って情報発信していくことが重要です。
た。
の実施など8件について報告し
働施策~インド、マレーシア、シ
9
/
9
名城大学の昇秀樹教授
を講師に迎え、
「『この国の
形』を変える道州制
「地域活性化プロジェク
ジャーナリストへの協力およびシ
道州制の5
た。
る講演会を開催した。参加者は約
9
/
14
40名。
ナ ー」が 大 阪 市 で 開 催 さ れ、 約
W1H、Why and How ?」
と題す
1月号
はメディアの側にとっても重要なのです。
というコーナーがあります。このコーナーは、新
日本経済新聞とテレビ東京での私の長年の経験
技術やアイデアを使ったユニークな商品・サービ
から正直に言いますと、
「この広報担当者はデキる
スの
「たまご」を紹介するというコンセプトです。
な」「この会社の広報は頼りになる」と思うケース
従って、すでに広報がニュースリリースを書いて
と、逆に感じる場合の両方共よくありました。
編集・発行
株式会社宣伝会議
購読申込
月刊「広報会議」読者サービスセンター
TEL:0120-55-5059
インターネットからもお申し込みいただけます。
〔経済広報〕2013年12月号
ライト
(WBS)
』に
「トレンドたまご
(トレたま)
」
広報担当者が社内取材を積み重ねることは、実
「 第53回 環 境 教 育
(CO₂
定価:1200円
(税込)
http://sendenkaigi.com/
k
例えば、テレビ東京の
『ワールドビジネスサテ
等 )に 関 わ る 教 育 セ ミ
PR・IR・危機管理
24
170名の教員が参加した。
友好協会、中国日本友好
協会と共催で、日中平和友好条
9
/
4
マスコミとの付き合い方
(国内広報部
岡本清美)
[巻頭特集]広報・メディア界
キーパーソンに学ぶ
羽生善治
(棋士)
/横山秀夫
(作家)
/小野日子
(内閣府国
際広報室長)
/鈴木徳昭
(東京招致委 戦略広報部長)
/
西村陽一
(朝日新聞社取締役デジタル本部長)
ほか
[特集]
ステークホルダーを巻き込め
大学広報を成功に導く
[青山広報会議]
北陸新幹線開業で変わる
北陸3県の観光PR
大々的に発表したものではなく、これから売り出
多くの場合、その差は社内を把握しているかど
したいものをいかに社内で発掘して、番組に売り
うかによるものだったと思います。それは普段か
込むかが大事なのです。
らその企業や広報担当者と接していると、おのず
社内取材を通じて、社内人脈を広げることにも
と分かってくるものです。
役立ちます。社内のどこにどんな人材がいて、何
つまり、「取材」が大事なのは、記者も広報担当
をしているのかについても幅広く把握できるよう
者も同じです。
「足で稼ぐ」ことを心掛けて、ぜひ
になれば、メディアからリクエストがあった時
社内取材に努めてください。
k
に、的確な担当者を記者に紹介し取材してもらう
2013年12月号〔経済広報〕
25
総
危 機 管 理 Q & A ⑤
緊急時のプレスリリース作成の心得
Q危機に際してのプレスリリースは、平常時と異なりますか。どんな点に注意する必要がありますか。
③ピンポイント図……縦断図と横断図または写真
真に伝えたいのは、記者ではなく、遠くの多くの
お客さまであり、社会の人たちです。伝道師
(記者)
の心を動かすように伝えようとする情熱と、伝えた
い熱意が表現に表れるものです。
文面の冒頭でまず、起こしたことに対してお詫び
します。そのあと、時系列的に経緯が明確に分かる
*
山 見 博 康
ように、質問項目 の中から、どの項目をプレスリ
山見インテグレーター
(株) 代表取締役
広報・危機対応コンサルタント
めが必要です。特に、その選択と語尾の表現に会社
や
ま
み
ひ ろ や す
リースに記述し、どれをQ&Aで対応するかの見極
の姿勢が露呈します。
文章は
「6W5H」
で書きます。つまり
「5W1H」
プレスリリースは、平常時においても緊急時にお
にWhom
(誰に、または誰を)
を加えて、対象を明確
いても、社会に対するメディアを通じての公式報告
にし、How much
(金額)
、How many
(数量)
、How
文書であることに変わりありません。ただし、平常
long(期限)
、そしてHow in the future(今後の方針・
時は顧客・社会へのラブレターであり、緊急時は公
見通し・戦略)
を記述することです。
巷間
「プレスリリースには少なく書き、Q&A
(口
式詫び状・現状報告・今後の対策書でもあります。
その作成には、5つのキーワード「簡」「豊」「短」
ぱく
頭)
で対応せよ」
と教える人がいますが、それは決定
新春特集
2013年を迎えて
パブリック・リレーションズの新しい世界
活力と希望にあふれる国、日本へ
岩沙弘道(経済広報センター/三井不動産)
世界の変化から見る日本のエネルギー問題について
坂根正弘(経済広報センター/コマツ)
1
1
社内コミュニケーション―グローバル化する広報の現場から(1) 7
北村秀実(関西学院大学)
時代と共に変わる企業・商品の「顔」
第29回企業広報賞
第29回「企業広報賞」受賞企業・受賞者決まる
第29回「企業広報賞」表彰式を開催
8
10
自らニュースを発信する、全く新しい「コトづくり」広報
志賀俊之(日産自動車)
自分磨きを怠らず、明るく知的に情報を発信
泉谷直木(アサヒグループホールディングス)
11
第29回
「企業広報賞」
受賞者インタビュー
12
企業広報研究
企業広報功労・奨励賞を受賞して
帝人グループの広報戦略とその実践
-コーポレートブランド価値の向上を目指して-
宇佐美吉人(帝人)
1
「社員食堂」を起点としたブランディング-タニタの広報戦略- 2
猪野正浩(タニタ)
ソーシャルメディアと新事業探索
2
金 正則(シンク・ファーム)
コミュニケーションから考える日本企業
2
~グローバルコミュニケーターの視点~
ギルバート・チャベス(BCコンサルティング/グロービス経営大学院)
し、記者の質問を少なくするように記述します。
広く、“語尾がばらつく”ことになります。そこで、
そこで、プレスリリース作成の3カ条とは、
的確な記述は記者の判断の逸脱とばらつきを防ぎ、
ビリー・コール(花王)
ダニエル・スローン(日産自動車)
清水勇材(IABCジャパンチャプター)
企業の意図に近い表現をもたらします。もし逸脱す
ブランドづくりと日本の経営者
3
ソーシャル時代のブランドコミュニティ戦略
小西圭介(電通)
経済広報センター調査に見る1980年以降の広報活動の変遷
リーダーならではの言葉の使い方とは
川村秀樹(コミュニケーション・コンサルタント)
拡大する広報部門の役割と活動領域
4
2. 間違ってはならない数字や表現を明記する
らです。適切に網羅されたプレスリリースは記者の
3. 報道してもらいたい数字や表現を記述する
曲解・誤解とそれによる誤報と企業からの訴訟機会
を減じるのです。
る手間を取らせず、一文も一行も“短く”し、余白
また、無用な問い合わせや質問の手間を取らせ
も行間も適度に一目で明快に読めるように“薄く”収
ず、広報も現場確認や受け答えの手間と労力・時間
め、あとは資料添付にします。最も大切な心構え
も無用となります。従って、確認を怠らず、記者
は、“情熱”を持って書くことです。
「このリリースが
に誤報をさせない、間違いを起こさせない広報担当
記事となり、読者・視聴者=顧客・社会の人たちに
は、記者にも信頼されます。
最後に、かのショーペンハウエルいわく。
「多量の
報せる」という使命感・説明責任を抱き、“読んで分
かるより見て分かる”ように心掛けます。
思想を少量の言葉に収めよ。真理はそのままで最も
ビジュアル面では、現場図、写真、イラスト、グ
美しく、簡潔に表現されていればいるほど、その与
ラフ、表などを駆使します。特に3つの現場図を忘
える感銘はいよいよ深い。言葉の芸術でも不要な美
れないようにしてください。
辞麗句、表現過剰を警戒せよ」。
(『読書について』)
①全体が分かる概略図……工場レイアウト図 and/
or 現場の航空写真
②クローズアップ図……至近距離での拡大図または
写真、イラスト
〔経済広報〕2013年12月号
k
*現状、経緯、被害の程度、原因、補償、当面の対策、再発
防止策、責任、今後の見通し など
~丸の内ブランドフォーラムの片平秀貴代表に聞く~
片平秀貴(丸の内ブランドフォーラム)
~『主要企業の広報組織と人材』
を発行~
(株)
資生堂、武田薬品工業
(株)
レピュテーションは“管理”から“ステークホルダーと 11
共に育成する”時代に
ユープ・コーネリセン(アムステルダム自由大学)
ブランドは自然と溢れ出るもの
岩田松雄
12
2020年東京オリンピック・パラリンピック招致成功12
の要因と変化した日本のイメージ
ジャック・レスリー(ウェーバー・シャンドウィック)
持続的成長と経営革新に向けた統合報告
12
伊藤邦雄(一橋大学大学院)
CC時代のブランド戦略
住友生命保険
「宅急便」を超えるブランド構築に向けて
ヤマトホールディングス
4
5
5
~東日本大震災における企業のクライシス対応~
駒橋恵子(東京経済大学)
6
ブランド力を高める経営とは~田中洋・中央大学教授に聞く~ 7
田中 洋(中央大学ビジネススクール)
7
BtoSブランディング活動に注力
8
ブランド価値向上に向けてコーポレートコミュニケーションを展開
8
コニカミノルタ
緊急時の情報行動は平時の組織文化の反映である 6
ANAホールディングス
(株)
、オムロン
(株)
社内コミュニケーション―グローバル化する広報の現場から(2) 8
北村秀実(関西学院大学)
日本企業は経営戦略としてのブランディングを 9
田中英富(インターブランドジャパン)
「社会志向」時代のブランド・コミュニケーション 10
花上雅男(国際CCO交流研究所/元 日経リサーチ)
「統合報告」への取り組み
10
顧客との接点重視で企業ブランドの確立を目指す 6
ブランドを基軸とした経営へ
5
藤原哲也(キリン)
変革期における広報の役割
6
ベン・ボイド(エデルマン)
NPO / NGOとの連携・協働で社員と社会を元気に 6
清水正道(淑徳大学)
広がる「統合報告」の動き
7
(リーダーシップコンサルティング/元 スターバックスコーヒージャパン)
企業広報功労・奨励賞を受賞して
れるので、口頭だと各記者にその判断を委ねる幅が
る場合には裏を取る
(経営幹部の言質)
必要があるか
7
~グローバル統合ブランドにおける広報の役割~
塩谷 斉(ウェーバー・シャンドウィック・ワールドワイド)
的に誤った考えです。記事は、“記者の判断”で書か
つまり、内容“豊か”な記述により、記者に質問す
26
(月号)
“簡潔・簡明”に意思を表し、できるだけ質問を予測
表可能な事実を網羅する
次
2013年
(1〜 12月号 )
「薄「
」情」を念頭に置くこと。文体は「ですます調」で
1. 判明している事実、不動の事実、確認済みで公
目
帝人
グループ一丸のブランド戦略で社会から選ばれる企業へ 9
大和ハウス工業
“One Hitachi”でグローバルメジャープレーヤーに 11
日立製作所
マスコミ事情
読売新聞大阪本社の編集方針と取材体制
石田尚久(読売新聞大阪本社)
10
メディアに聞く
正確、公平、公正な報道
2
正力源一郎(日本テレビ放送網)
「ジャーナミズム」を目指す
3
鈴木美勝(時事通信社)
アベノミクスで完売続く
4
安原ゆかり(『日経マネー』)
変わる、毎日新聞経済部
5
松木 健(毎日新聞社)
記者は企業と信頼感を保ちつつも適度な緊張感を 6
吉次弘志(日本経済新聞社)
2013年12月号〔経済広報〕
27
2013年
(1 〜 12月号)
総目次
企業の「モノづくり」と「ヒトづくり」を支援
縄岡正英(日刊工業新聞社)
通信社の編集委員の仕事とは
渡部道雄(共同通信社)
2013年
(1 〜 12月号)
総目次
8
11
視点・観点
アルジェリアの悲劇を繰り返さないために
小川和久(静岡県立大学)
アベノミクスとメディア報道
岡田 晃(大阪経済大学/経済評論家)
中国、インドとの付き合い方
3
-「情報源に関するアンケート」調査結果-
グローバル人材育成に必要な、
日本文化・歴史の教育と情報の充実
12
-「グローバル人材の育成に関するアンケート」調査結果-
経済広報センター活動報告
西条農業革新都市・サンライズファーム西条
4
北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区 1
なぜ
『坂の上の雲』を翻訳・出版したか
4
日本のエネルギー安全保障の現状と課題
アジア新秩序はどこに
1
1
中国、インドとの付き合い方
5
日印が迎える新たな時代とは?
2
シリコンバレーから何を学ぶか
奥平和行(日本経済新聞)
深刻化する「サイバーいじめ」
7
中国国内メディアの実情と企業広報
李 潤沢(人民網日本)
成熟国が直面する課題と解決への道筋
2
~日本文献出版の齋藤純生社長に聞く~
~谷野作太郎元駐中国・インド大使に聞く~インド編
谷野作太郎(日中友好会館)
7
~米国におけるソーシャルメディア最新事情~
名村晃一(テレビ朝日)
8
~第9回働く女性と暮らしの調査~
日本ヒーブ協議会
「戦後」が輝いていた時代に学ぶ
9
~ 1955年体制崩壊から20年にあたって~
宇治敏彦(中日新聞社/日本新聞協会)
日本人はもっと発信する努力を
ケント・ギルバート(タレント/カリフォルニア州弁護士)
9
危機管理
内部告発の肯定傾向強まる
4
ルーツはプロパガンダか
6
満鉄の弘報活動
7
満州国の弘報・宣伝
8
プロパガンダからパブリック・リレーションズ
9
-プロパガンダとパブリック・リレーションズのコトバ史-
-プロパガンダとパブリック・リレーションズのコトバ史-
-プロパガンダとパブリック・リレーションズのコトバ史-
-プロパガンダとパブリック・リレーションズのコトバ史-
11
-プロパガンダとパブリック・リレーションズのコトバ史-
剣持 隆(名古屋文理大学)
社会広聴アンケート
道州制導入の効果に期待 政府・行政の取り組み不足には懸念1
-
「道州制に関するアンケート」調査結果-
-
「CSRに関するアンケート」調査結果-
3
3人に2人が、自身の災害への備えは「不十分」と認識 4
-
「災害への備えと対応に関するアンケート」調査結果-
企業に対する信頼度は39%
~事業活動や技術・研究開発は高評価~
-第16回「生活者の“企業観”に関するアンケート」調査結果-
〔経済広報〕2013年12月号
~アセアンと揺れる東アジア~
~経済・インフラ・安全保障〜
2
つくば国際戦略総合特区
3
国際取引に潜むリスク
R・パルタサラティー(ラクシミ・クマラン&スリダラン)
4
ミャンマーの有識者に聞く
5
ユーロ圏は危機を脱したのか?
5
終わりなきユーロ危機と英国の欧州からの離別
アンブローズ・エヴァンズ=プリチャード
6
~経済・政治の改革~
~欧州経済の動向と日・EU経済関係
再生可能エネルギーの課題
柏の葉スマートシティ
6
8
日本の対外情報発信~今何をなすべきか~
髙島肇久(日本国際放送)
新興国の知的財産権と法的保護
8
8
関西イノベーション国際戦略総合特区
11
危機発生時の海外向けコミュニケーション
11
~第3回「未来都市モデルプロジェクト見学会」~
広報コトバ物語
生活者の半数超がCSRという言葉を認知
~地域活性化プロジェクト「国際戦略総合特区見学会」~
(『デイリー・テレグラフ』)
~共同ピーアールが「内部告発に関する意識調査」結果を発表~
戦前と戦後
1
~「第2回 未来都市モデルプロジェクト見学会」~
~第2回 地域活性化プロジェクト「国際戦略総合特区見学会」~
働く女性の意識と行動の実態
5
メコン経済圏およびラオス・カンボジア概況
~第3回 地域活性化プロジェクト「国際戦略総合特区見学会」~
9
~企業の真価が問われるとき、攻めるが勝ち?守るが勝ち?
土屋大輔(ブランズウィック)
米国経済の行方
ジェイコブ・L・ヴィクドォ(デューク大学)
社会保険料負担の増加と消費税問題
~持続可能な社会保障システムを目指して~
熊野英生(第一生命経済研究所)
11
12
海外広報事情
欧州におけるソーシャルメディア事情と企業の優れた活用事例(下) 1
海外メディア事情
朴槿恵大統領のソーシャルメディア戦略
五味洋治(東京新聞)
海外の眼
9
3
~谷野作太郎元駐中国・インド大使に聞く~中国編
谷野作太郎(日中友好会館)
28
マスコミを通じて見聞きする経営者の
発言・態度が企業イメージに大きく影響
3
朴槿恵新政権、期待と懸念
池 東旭(ジャーナリスト)
3
駐日特派員の眼
あなたの会社を世界に伝えたい
2
ケビン・クロリッキ(トムソン・ロイター・ジャパン)
日本人の行動が見える報道をしたい
5
ジャック・ルイルリー(AFP通信社)
アベノミクスの成功に参議院選挙後の大胆な改革を期待 7
タムジン・ブース(『エコノミスト』)
ビジネスパーソン全員に読んでほしいメディア 11
小野由美子(ウォール・ストリート・ジャーナル)
ソーシャルメディアを駆使し社会に影響を与える学生たち
ガクセイ基地(後編)
One Voice Campaign 前編
One Voice Campaign 後編
庄司 望(Orinoco Peatix)
1
2
3
今さら聞けないネットPRの基礎知識
ウソはバレます 透明性が前提のネット社会
ネット社会は「仮想」世界ではありません
2
3
アクティブサポートも怖くない
4
コンテンツは王様です
探しても見つからないものは「ありません」
ネットならではのローカライズとは
平田大治(シックス・アパート)
5
6
7
~ソーシャルメディアのアカウントを運営する上で心掛けたいこと~
4
5
6
7
8
9
危機管理Q&A
広報の本質と危機対応
企業危機対応とは
危機が起きたら「7つの直」
記者会見に臨む前に
緊急時のプレスリリース作成の心得
山見博康(山見インテグレーター/広報・危機対応コンサルタント)
8
9
10
11
12
マスコミとの付き合い方
広報は「窓口」にあらず
もっとテレビ広報の重視を
社内取材が決め手
岡田 晃(大阪経済大学/経済評論家)
2
『広報がダメだから社長が謝罪会見をする!』
城島明彦 著
3
『中の人などいない @NHK広報のツイートはなぜユルい?』4
NHK_PR1号 著
『誤解されない話し方、炎上しない答え方』
5
山口明雄 著
『プロフェッショナルは「ストーリー」で伝える』 6
アネット・シモンズ 著、池村千秋 訳
『企業不祥事・危機対応 広報完全マニュアル』 7
山見博康 著
『マーケティングコミュニケーション 8
企業と消費者・流通を結び、ブランド価値を高める
戦略』
井徳正吾 編・著、松井陽通 著
『戦略PRの本質 実践のための5つの視点』
9
井口 理 著
『最強のリスク管理』
10
中島 茂 著
『マスコミが取材したくなる!「プレスリリース」の法則』 11
足立早恵子 著
『企業のコミュニケーション能力』
12
近藤久美子 著
企業・団体のCSR活動
視覚障がいのある(弱視)女性へ向けたメイクセミナー 1
カネボウ化粧品
国際的な社会課題の解決に貢献するユニ・チャームの海外事業 2
ユニ・チャーム
企業広報よくある質問
BtoC、BtoB企業の広報に違い
社内情報の集め方
企業広報 vs. マーケティング広報
IRとPRはクルマの両輪
広報部門の自己PR
記者懇談会とプレス勉強会の違い
君島邦雄(ココノッツ)
『広報入門 プロが教える基本と実務』
雨宮和弘他8名 共著、広報会議編集部 監修
10
11
12
コカ・コーラ 復興支援基金
3
日本損害保険協会の「ぼうさい探検隊」
4
ソーラーランタン10万台プロジェクト
5
王子の森・自然学校
6
ライオンの「雨活アイデアコンテスト」
7
途上国への太陽光発電システム寄贈
8
ヤンマーミュージアム
9
日本コカ・コーラ
日本損害保険協会
パナソニック
王子ホールディングス
ライオン
京セラ
ヤンマー
ジュニアフォトグラファーズ
10
JAL工場見学~SKY MUSEUM~
11
印刷博物館 印刷工房「印刷の家」
12
キヤノン
日本航空
凸版印刷
企業広報ニュース
「Book」
『ブランディング
岩下充志 編著
7つの原則』
1
2013年12月号〔経済広報〕
29
2013
12
企業・団体の
CSR活動
印刷博物館 印刷工房「印刷の家」
凸版印刷
(株)
http://www.kkc.or.jp/
■HP
http://www.printing-museum.org/
平成
昭和
■お問い合わせ先
印刷博物館
TEL:03-5840-2300
FAX:03-5840-1567
年 月 日発行
(毎月 回 日発行)
第
年 月 日第 種郵便物認可
55 25
10 12
23 1
ガラス壁で囲まれている印刷工房「印刷の家」
3
1
1
凸版印刷が運営する印刷博物館(東京・文京区
のトッパン小石川ビル内)では、印刷の役割や意
巻第
35
義を伝え、人と印刷との関わりを発見できる博物
には、印刷の誕生から現代までの歴史を紹介する
無料で受講できる「つくる」コースの様子
ら成るが、20分間の「知る」コース(火曜・水曜日
駆使したシアター
(土曜・日曜・土日に続く祝日
の13:30 ~、15:30 ~ 開始直前受付)では、工
に公開)などがある。また、その館内にある印刷
房内にある活字や印刷機を見学しながら印刷の歴
工房
「印刷の家」では、来館者が実際に活版印刷を
史を学ぶことができる。また、来館記念カードを
体験できる参加型展示を行っており、プログラム
作る簡単な印刷体験もできる。
別に各種ワークショップが開催されている。
30分間の「つくる」コース(木曜~日曜、祝日の
活版印刷は活字を組み合わせて作った版で印刷
15:00 ~ 開始10分前受付)では活字を拾って版
するが、膨大な数の活字と多くの人手が必要にな
を組み、印刷するところまで体験することができ
るため、今日ではデジタル製版が主流になってい
る。12月はグリーティングカードがテーマになっ
る。この
「印刷の家」では、現在では珍しくなった
ているが、期間限定の特別イベントでは「バレン
活版印刷を体験することができる。
タインカード」などが制作でき、季節感あふれる
休館日
(月曜日、祝日の場合はその翌日、年
末・年始)以外は、無料公開講座が毎日開催され
体験が可能だ。
年間5回、主に土日に開催される
「大人のため
の活版ワークショップ」は半日かけて活版印刷を
体験しながら作品の制作ができる。12月には「和
文活字で年賀状」を制作するイベントの開催を予
定している。
また、市や教育機関、企業と連携した学習活動
や出張ワークショップも行っており、参加者や協
賛団体から好評を得ている。
k
※詳細はホームページを参照または印刷博物館へお問い合
わせください。
期間限定イベントで制作できるバレンタインカード
発行:一般財団法人 経済広報センター
(国内広報部専門研究員
鈴木恵理)
Printed in Japan
412
発行人/中山 洋 編集人/佐桑 徹
頒価三一五円
東京都千代田区大手町一 三
- 二
- 経団連会館
( 送料別、賛助会員の)
電話〇三 六
- 七四一 〇
- 〇 二 一 〒一〇〇 〇
- 〇〇四 (本体価格三〇〇円) 購読料は会費に含む
ている。講座は
「知る」
コースと
「つくる」
コースか
号
展示や印刷をテーマにした様々な企画展示、VR
(バーチャルリアリティー)と呼ばれる最新技術を
12
号通巻
館を目指し、様々な活動を行っている。同博物館
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