自然再生士特別認定講習会 活動報告 自然再生士とは、自然再生に必要な知識・技術・経験を持ち、自然再生を推進する方で あり、一般財団法人日本緑化センターで平成22年度より登録されている民間資格です。 今回の自然再生士特別認定講習会は、所定の資格を持つ方を対象に、受講によって資格 を得ることが可能である講習会で、平成26年度から開催され、今年度で最後となりまし た。 里山里海湖研究所は、昨年度に引き続き、福井県での同講習会を共催しました。 また、県内の自然再生活動者のレベルアップや県民の自然再生意識の向上のため、この 講習会を県内在住の方向けに自然再生特別講座(無料・資格不要)として公開しました。 さらに、今年度は、講習会のオプションとして、講習会3日目の8月29日に自然再生 技術の視察をテーマとしたエクスカーション(現地視察)を開催しました。 1 日時・場所 (1)自然再生士特別認定講習会・自然再生特別講座 日時:平成28年8月27日(土)9:30~16:50 28日(日)9:30~16:55 場所:福井駅西口再開発ビル「ハピリン」3階 多目的ホール (2)エクスカーション 日時:平成28年8月29日(月)8:30~14:00 場所:越前市白山地区、一乗谷川、一乗谷朝倉氏遺跡 2 受講者等 (1)自然再生士特別認定講習会受講者:66名(県内13名、県外53名) 自然再生特別講座聴講者(無料聴講):37名(県内在住者) (2) エクスカーション参加者:17名(県内8名、県外9名) 3 講師(講義順) 進士 日置 養父 石井 松村 梅村 富永 中村 五十八 佳之 志乃夫 潤 俊幸 信哉 修 亮 福井県里山里海湖研究所長、福井県立大学学長 鳥取大学教授 和歌山大学教授、里山里海湖研究所研究アドバイザー 福井県里山里海湖研究所研究員 福井県自然保護センター所長 福井市自然史博物館学芸員 福井県立大学教授、里山里海湖研究所併任研究員 福井県里山里海湖研究所研究員 4 内容 (1)自然再生士特別認定講習会、自然再生特別講座 ①自然再生の理念と自然再生作業の実態と課題 (進士氏) 自然再生では他の模倣はせず、自分のフィー ルドをどのように自然再生していくのかを考え、 多様性を意識し、その場所や土地にふさわしい 自然再生を行っていくことが最も重要だと説明 しました。 ②自然再生の計画・設計について(日置氏) 自然再生の計画・設計の重要性、計画・設計を立てて いく過程で大切なポイントを実際の自然再生の事例を 紹介しながら、わかりやすく講義を行いました。 ③自然再生の施工・管理について(養父氏) 施工・管理する上では教科書や文献だけではなく、 現場を見て基礎的事項を学ぶことが大切であり、自然 再生を行った場合、必ず、その後のメンテナンスが必 要であることも伝えました。 ④植物の生態と生育地の再生技術について (石井研究員) 鬼怒川でのカワラノギクの自然再生事例を通して、植 物の生育地の再生技術、工事後の維持管理の大切さや大 変さについて紹介しました。 ⑤鳥類の生態と生息地の自然再生技術について (松村氏) 鳥類の生態と森林、鳥類の多様性について紹介し、 退避溝、休耕田ビオトープ、冬水田んぼなど鳥の餌 を増やすための方法を説明しました。 ⑥昆虫の生態と生息地の自然再生技術について (梅村氏) 昆虫の形態や昆虫の生き残るための戦略、福井県の自然 環境と昆虫について紹介し、絶滅危惧種などの昆虫を指標 にすることにより、昆虫を切り口とした自然再生が可能で あると説明しました。 ⑦海湖の自然再生(富永氏) 海域への地下水の流入が陸からの栄養分を運び、植物 プランクトンやアサリの成長に寄与しているという事 例から、河川表流水だけではなく、地下水を通しても陸 の生態系と海の生態系が繋がっていることを紹介しま した。 ⑧海湖の自然再生の考え方について -北潟湖の歴史・社会環境-(中村研究員) 北潟湖の歴史や地引網漁の仕組みを紹介し、自然再生を 行っていく場合、様々な利害関係が発生するため、地域の 多様な主体間の合意形成が必須であると説明しました。 (2)エクスカーション ①白山地区 県自然環境課の木村獣医師がコウノトリの生態 や休耕田のビオトープ、退避溝などコウノトリを呼 び戻すための白山地区での取組みを紹介しました。 参加者は、魚道、退避溝といった白山地区の自 然再生の取組みやコウノトリケージを見学しまし た。当日はケージの中だけではなく、実際に田ん ぼに降り立ったコウノトリも見ることができまし た。 ②一乗谷川 土木学会賞を受賞した一乗谷川を見学 しました。当時工事を担当していた脇本 氏は自然環境と遺跡景観との調和に配 慮した河川整備について、整備の特徴や 工夫した点を現場を回りながら説明 しました。 ③一乗谷朝倉氏遺跡 唐門、館跡などの特別名勝を見学しました。 朝倉氏遺跡保存協会の岸田会長は、図を使いな がら参加者にわかりやすく、当時の様子や背景 を説明しました。
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