第4号 - 福山市教育委員会

福山市立東村小学校
【大成館中学校区】
No.4
幼少期の子どもにとっては「お母さん」が一番なのです。
楽しいことはもちろん,微笑みながら聞いてあげてください。悲しい話題であっ
心豊かに自立・貢献・感謝する児童の育成
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ても,話の腰を折ることなくじっくり耳を傾け,一緒に悲しむ。そんな気持ちのゆ
-主体的に学び,地域を愛する子どもの育成-
校長 大村 良人
とりをもって子どもを育てることこそ,母親ができる意味深いことなのです。それ
をもう一度強調しておきます。
《友だちと共に育つ思いやり》
日本の発達障害研究の草分け的存在で,川崎医療福祉大学特任教授,横浜市総
合リハビリテーションセンター参与,アメリカ・ノースカロライナ大学医学部精
神科臨床教授,子育て協会顧問をされている佐々木正美先生のお話です。
今からでも十分間に合います。一緒に考えてみましょう。
近年の文部科学省での調査で,学校でのいじめが,年間で約 75,000 件もあると
いう事実が報じられました。実際にはもっと多い,と話す現場の教育者もいます。
友だちと一緒に,喜びも悲しみも分かち合うことができない,共感性をなくした
子どもたちが,想像を超えるほど多くなってしまったことを物語るデータです。
今回は,「親同士のコミュニケーション」です。
友だちがいたから,こんなに楽しいことができた,友だちがいたから,こんなに
悲しいことも慰められた,という感情を,日々の学習や生活の中で体験することが,
現代社会では,人づきあいがわずらわしいと感じる人も多く,一人でいることを選
共感性を育てるのです。そんな体験ができる環境を,保育園や幼稚園,学校,地域,
ぶ人も増えています。しかし,日々の暮らしの中で,親が夫婦同士で,または親戚
そして家庭というそれぞれの場で,子どもたちには必ず用意してやりたいものです。
や地域の人たちと,にこやかに親しくコミュニケーションをとる姿を,日々子ども
「いじめる」,特に弱い相手をいじめるという感情や特性は,人間として最も卑し
に見せながら生活することは,今の日本の社会では非常に重要で価値のある生き方
い,不幸な一面です。このような感情体験を,幼少期には特に味わわせることのな
だと思います。
いように,子育てをしたいものです。
困っている友だちがいたら,助けてやりたいという感情が自然に湧き上がってく
《子どもの話に耳を傾ける》
る,そんな子どもになるように,親がコミュニケーションを大切にする姿を豊富に
子どもは,親が他の大人と話している姿を見て,コミュニケーションの方法を学び
見せながら,育てていきたいものです。
ます。友だちや先生とコミュニケーションを取る力を身につけるためには,親とい
《まずは喜び,悲しみの感情を知る》
うお手本が必要なのです。
そして親は,話している姿を子どもに見せることも大切ですが,さらに大切なの
は,子どもの話をよく聞いてやることです。
喜びと悲しみを分かち合うという感情は,人間として最も高尚な一面です。
家族や友達,まわりの人と一緒になって,喜んだり,悲しんだりすることは,人間
子どもを育てるとき,
「親の言うことをよく聞く」ような子どもになってほしい,
またそう躾けなければ,という思いは,多くの母親が共通して抱いている感情です。
しかし,それ以上に意義深いのは,「親が子どもの話を聞く」ことなのです。
その場合,子どもの話す楽しい話題を,より豊かな気持ちでたくさん聞くのが大
切だということは,論をまちません。
しかし本当は,子どもが悲しい思いを抱いて話そうとすることを,母親がゆっく
りと時間を掛けて耳を傾けることのほうが,よほど重要なのです。
誰にも語れないような,悲しい,辛い思いを,安心して話すことができる相手は,
的であり,重要なことです。
人間はまた誰もが,妬みや嫉妬,そして攻撃などの感情を抱くものですが,この
ような,複雑で,マイナスとも呼べるような感情は,大人になるまでの間に,状況
に応じてゆっくり学んでいけばいいのです。まず子どもには,喜びや悲しみといっ
た健全な感情から,しっかりと育んでやりたいものです。
そのためには,親が,夫婦間や隣近所の人たちと,親しさや感情のこもった会話や
交流の場面を,できるだけ豊富に見せながら子どもを育てることが重要なのです。
-学校ホームページではカラーで見ることができます-