NEWSLETTER Issue 14: May 2009

NEWSLETTER
Issue 14: May 2009
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Crestec Europe ニュースレター春季号へようこそ。
今回はポルトガル語の新正書法(スペリング)協定について、そして前回に引き続きクレステック浜松事業
所のご紹介。
最後に Crestec Europe のコーディネーター、アシスタントセクションリーダーのファビエンヌ・キアルホフを
紹介いたします。
1990 年のポルトガル語新正書法(スペリング)協定
これは、ポルトガル語の正式な正書法を統一、確立することを目的とした国際的な協定です。ポルトガル
語の国際的な地位の向上、ポルトガルと、その他世界中のポルトガル語を使用している国々で、2 つの正
書法が存在する現状に終止符を打つことを目的としています。この協定には 1990 年 12 月 19 日に、アン
ゴラ、ブラジル、カーボ・ベルデ、ギニアビサウ、モザンビーク、ポルトガル、サントメ・エ・プリンシペ、そして、
2004 年には東チモールも加わっています。
文法学者によると、統一されたスペル
が影響するのは欧州ポルトガル語の
1.6%、ブラジルで使われている単語で
は 0.5%と推定されています。この 2 つ
の地域におけるスペルの違いの 98%
は、ポルトガルが協定を導入すれば解
消すると見られています。
世界のポルトガル語話者の 80%近く
が住むブラジルは、新しい正書法協定
を導入する世界最初の国で、既に
2009 年 1 月 1 日から実施されていま
す。2012 年 12 月 31 日までは適応期
間となり新旧両方のスペルが使用でき
ます。
サルヴァドール・ダ・バイーア市、ブラジル
一方ポルトガルでは 2008 年に(新正書
法への)変更を批准しましたが、新しい
スペルに関する法律の執行時期は、
決定されていません。
その他、カーボ・ベルデとサントメ・エ・プリンシペも、正
書法協定を批准、導入時期は決定されていません。東
チモール、ギニアビサウ、モザンビークとアンゴラは協
定を承認する動きはありますが、実際には承認してい
ないという状態です。
ポルトガルでは根強い反対があります。多くの人がブ
ラジル式のスペルを使わなければならないこと、また、
この協定が「ブラジルに対する」地政学上、また経済効
果を期待して結ばれた協定だと見られているためです。
モザンビーク・ビーチ
「共通の正書法による語彙集」(A Common Orthographic Vocabulary)はブラジル文学アカデミー (ブラジ
ルの言語アカデミー)と、リスボン科学アカデミー(ポルトガルの言語アカデミー)が綿密に作成し、新正書
法協定の導入前に発表される予定でしたが、まだ発表されていません。このため、語彙集の完成発表を
待たずこの協定の効力を有効とすべきか議論が続いています。
ブラジル文学アカデミーは新正書法協定に基づいた 37 万の見出し語を持つ新版の「ポルトガル語正書
法による語彙集」(the Vocabulário Ortográfico da Língua Portuguesa)を、2009 年 3 月初旬に出版すると
発表しています。これより規模の小さな辞典は既に出版され、ブラジルの学校などで使用されています。
新聞でも新正書法協定に基づいたスペルが採用されたものが出始めているようです。
この正書法上の変化が実施されると、
多くの国で、スペルを変えなければなり
ませんが、世界中のポルトガル語マー
ケット(ブラジルで 1 億 9 千万、ポルトガ
ルは1千万、その他 6 カ国合計で 3200
万)における出版業務が簡略化できるこ
とになります。しかし、語彙の違いは残さ
れたままなので、ポルトガル語の問題が
全てこれで解決するわけではありませ
ん。
ポルトガル語の正書法の導入でポルト
ガル語を使用する国々で起こる変化の
いくつかを以下挙げてみました。
リスボン市、ポルトガル
- 3 文字 K, W, Y が新たに加わり、アルファベットの合計が 23 文字から 26 文字になります。
- 発音されない c と p がなくなります。(例 acção → ação)
- ブラジル式スペリングで gue、 gui、que、qui を含む語で、母音の「u」が発音されることを示す「u」の上の
分音記号(トレマ)(ü)がなくなります。(例 tranqüilo → tranquilo に)
- 最後から 2 番目の音節に揚音アクセント揚音(アセント・アグード)がある単語の二重母音 éi と ói のアク
セント記号がなくなります。(例: jóia → joia)
- 曲折アクセント(アセント・シルクンフレクソ)êem あるいは ôo(s) で終わる単語からアクセント記号がなく
なります。(例: dêem → deem, vôo → voo)
- pára/para, péla(s)/pela(s), pêlo(s)/pelo(s), pólo(s)/polo(s), pêra(s)/pera(s) などの単語で使われていた
区別アクセントがなくなります(例- Ele pára o carro → Ele para o carro, Ele joga pólo → Ele joga polo)。
この協定によってハイフンの使い方(動詞の hão-de や há-de からハイフンがなくなる)や大文
字の使い方に対する共通のガイドラインが確立されましたが、ハイフンの使い方については、ま
だ一般的な語彙においてどのように適用するか検討中です。異形スペル(例: facto, & fato, anónimo,
& anônimo) に関しては、作家や原本を書いた人の方言にならい、両方のスペルが正当だと認めら
れます。いずれにしても、これらの変化に順応するのは容易でないことが想像できます。
新正書法協定のスペル
ポルトガル(および欧州の標準ポルトガル語を使用する国々)で使用されているスペル、
ブラジルでこれまで使用されてきたスペル(現在も新しいスペルとともにいまだに使用中)、
ブラジルで既に導入され、1990年に新正書法協定に調印したその他の国々でも今後導入されるで
あろう、新しい正書法の違いを比較して下表にまとめました。
ポルトガルで使用中のスペル
ブラジルの旧式スペル
新正書法協定のスペル
(黄色は今後変更予定)
(黄色は今後変更予定)
(黄色は今後変更予定)
De facto, o português é De fato, o português é De facto/fato, o português é
actualmente a terceira língua atualmente a terceira língua atualmente a terceira língua
europeia mais falada do mundo. européia mais falada do mundo. europeia mais falada do mundo.
Não é preciso ser génio para
saber que o aspecto económico
pesa
muito
na
projecção
internacional de qualquer língua.
Não é preciso ser génio/gênio para
Não é preciso ser gênio para
saber
que
o
aspecto
saber que o aspecto econômico
económico/econômico pesa muito
pesa
muito
na
projeção
na projeção internacional de
internacional de qualquer língua.
qualquer língua.
Não há nada melhor do que sair
sem direcção, rumando para
Norte ou para Sul, para passar
um fim-de-semana tranquilo em
pleno Agosto.
Não há nada melhor do que sair
sem direção, rumando para
norte ou para sul, para passar
um fim de semana tranqüilo em
pleno agosto.
Não há nada melhor do que sair
sem direção, rumando para norte
ou para sul, para passar um fim de
semana tranquilo em pleno agosto.
Dizem que é uma sensação Dizem que é uma sensação Dizem que é uma sensação
incrível saltar de pára-quedas incrível saltar de pára-quedas incrível saltar de paraquedas pela
pela primeira vez em pleno voo. pela primeira vez em pleno vôo. primeira vez em pleno voo.
更に詳細な情報は、the Portuguese Language Orthographic Agreement of 1990 (ポルトガル語):
http://www.priberam.pt/docs/AcOrtog90.pdf をご参照ください。
取扱い説明書、サービス文書、ウェブサイト等、技術文章や販促類のドキュメントについても、今後対応が
必要になってきます。この様な流れから、現在ポルトガル語を対応いただいているお客様より、今後の対
応についてご相談頂く機会が増えてきております。お客様の現在の状態により、様々な対応が考えられま
すので、個別に最適な対応が必要になります。現在ポルトガル語対応して頂いているお客様、また、今後
ポルトガル語対応をお考えのお客様につきましては、ご遠慮なく最寄事業所までお問い合わせください。
[フルフィルメント&センター]
前回に引き続き、浜松事業所をご紹介いたします。
浜松事業所のもうひとつの大きな特色である、「フルフィルメント&センター」と「システム開発部署」につい
てご紹介させていただきます。
「フルフィルメント&センター」は、小ロットの印刷対
応のオンデマンド出力センターと、マニュアルの配
送センターが、一つになった部門です。
浜松事業所所属の部門ですが、浜松事業所から
車で 20 分くらい離れた場所にオフィスがあります。
マニュアルの受注から、印刷、発送までを行う業
務をフルフィルメントと呼びますが、浜松事業所の
「フルフィルメント」は、特に小ロット・多種類のマニ
ュアルを、迅速に印刷することに特化しています。
通常マニュアルは、1000 部、2000 部など、ある程
度のロット単位で印刷されます。
こうした印刷の方法では、不動在庫や保管スペースの確保、またそれに関わる費用など、在庫管理のリ
スク・費用が、お客様の大きな負担となります。
浜松事業所の「フルフィルメント&センター」は、お
客様が抱えるこうした課題の解決にご協力できる
よう、立ち上げられました。
「フルフィルメント&センター」では、メーカー様に
代わって、マニュアルのデータを管理しています。
受注からマニュアルデータの照会、印刷、納品ま
で、各工程がすべてデータベースシステムで管理
されています。
エンドユーザーは、販売店の Web サイトで、マニ
ュアルを注文します。
マニュアルの注文情報は、専用のシステムにより
、クレステックの「フルフィルメント&センター」に転送されます。
そして、必要な数のマニュアルを、その都度オンデマンドで印刷・製本し、納品しています。
日によって注文の波はありますが、100 種類くらい
のマニュアルを、それぞれ 1 部や 2 部ずつ納品す
ることもあります。
おおむねユーザーが Web 上で注文してから、3 日
以内で手元に届く体制を整えています。
商品を購入したユーザーが、マニュアルを購入し
たいという要望もかなりあるようで、こうした製品
購入後のアフター対応を、迅速にきめ細かくでき
ることも、顧客満足度の向上につながっていると
考えています。
お客様にとっては、在庫管理の負担やリスクを低
く抑えることができますし、発注から納品までのリ
ードタイムも短縮されます。
オンデマンド印刷を行っているエリア
の隣には、マニュアルの配送センタ
ーがあります。大量に印刷されたマ
ニュアルがここで管理され、お客様
のオーダーに合わせて、お客様の製
品工場などに毎日届けられます。
クレステックグループでは、アメリカ・
ヨーロッパ・アジア等、世界各地にお
いても同様のフルフィルメント業務に
対応し、実績を持っています。
ワールドワイドに販売展開されてい
るお客様、サービスをご提供されて
いるお客様においても、ほとんどの
エリアを対象に、ユーザー様向け・サ
ービス向けのドキュメント提供を行うことができます。 数量管理、在庫管理と手間が掛かるドキュメント類
の提供をフルフィルメントサービスを利用することにより、お客様自身の業務簡素化から、CS 向上まで期
待することが可能なフルフィルメントサービスについては、実績をベースとしたあらゆるカスタマイズ対応で
お答えすることができます。詳細につきましては、最寄事業所までお問い合わせください。
[システム開発部署との連携]
浜松事業所では、営業・制作スタッフのほかに、システム開発を行うスタッフも、同じ建物内で仕事をして
います。
近年、マニュアル制作の現場でも、XML などの標準化技術や、データベースの情報資源の活用など、情
報システムとの連携の必要性が高まっています。
過去のマニュアル資源や、クライアント様の開発部署の情報資源と連携して、より効率的なマニュアル制
作を行うシステムの提案を、常に行っています。
システム構築の専門知識だけでなく、ドキュメントに対する豊富な経験があるからこそ、きめ細かな「使え
る」システムを作ることができるのです。
システム開発部署では、ライティング・翻訳支援・コンテンツマネージメント・プロジェクトマ
ネジメントにおける自社開発ツール・システムでのサービス実績を持っています。技術文章作成
専門会社が考える、「現場の痒い所に手が届く」システムとはどのようなものか、是非お問い合
わせください。
スタッフ紹介 ファビエンヌ・キアルホフ
ファビエンヌは南オランダ出身、ライデン大学で日本
語と日本文化を専攻しました。在学中に一年間長崎
のハウステンボスで過ごし、その後東京で上級日本
語教育を 1 年間受けています。2003 年 3 月にプロ
ジェクトコーディネーターとして Crestec Europe に入
社、クレステック名古屋事業所で 3 年間過ごし、現
在は Crestec Europe に帰任しています。
2003 年に入社した時の Crestec の印象はどんなも
のでしたか。
「第一印象はとてもポジティブな会社だと思いました。
国際色豊かで若々しく、ダイナミックなチームで、オ
フィスの雰囲気も非常に素晴らしかったです。幸い
これは今も変わりありません。」
年とともにあなたのキャリアはどのように変化しましたか。
「入社時はプロジェクトコーディネートの経験がありませんでした。業務理解に 1 年程度かかりました。当
時は非常に興味深い時代で、原稿の受け渡しにファックスを使用したり、簡単なテキストファイルを作成し
てから翻訳されていました。しかし、瞬く間に、デジタル化され翻訳支援ツールを使用したりと、業務内容
が激しく変化しました。この頃から、基本となる英語文章作成業務、Crestec の日本での活動の一面も知
りたいと考えるようになりました。入社 2 年後、クレステック 名古屋事業所に行くチャンスがめぐってきまし
た。 名古屋事業所では翻訳チームの立ち上げから携わり、3 年間過ごしました。去年アムステルダムに
戻ったからはプロジェクトコーディネーション部門のアシスタントセクションリーダーという立場で働いていま
す。」
日本で仕事をしてみて、予想していたことと実際に体験したことは同じでしたか。
「できるだけ先入観を持たずに行ったつもりでしたが、特に精神面では驚くことを多く経験しました。ヨーロ
ッパ同様、日本でも、仕事には全力で取り組みます。でも、その熱心さや忠誠心は比較になりません。
ヨーロッパと日本の文化では、仕事とプライベートのバランスのとり方が、全く異なるということに驚きまし
た。
また、納品前のチェックが多いことにも驚きました。Crestec Europe でも厳しい品質保証の仕組みを採用
していますが、日本で最終データを納入する前に行われる膨大なチェックの量には驚かされました。
名古屋事業所での業務は、とても忙しく大変でしたが、一生懸命楽しく過ごすことができました。」
ファビエンヌは開放的で率直な性格、日本人はもっと控えめな性格と思われますが、コミュニケーションは
うまく行きましたか。
「そうですね、私は多くのオランダ人同様、とても率直だと思います。日本に滞在していた時に、日本では
「丁寧」というのを大切に考えられていると言うことを学びました。すこし遠慮することを心がけるようにしま
した。私自身の性格は隠しきれませんが、私なりにちょうど良いバランスでコミュニケーションできるように
なったと思います。
その他、Crestec Europe と 名古屋事業所 の大きな違いのひとつはミーティングやディスカッションに対す
るアプローチです。ヨーロッパではミーティングでは自分の意見を持ち、それを発言することが当然と考え
られています。日本の労働文化では、意見を聞かれたからといって状況を考えずに意見を述べることはあ
りません。この点は特に初期のころ、戸惑いましたが、私流のやり方は名古屋の同僚にも受け入れられる
ようになりました。」
また日本で仕事をしたいですか。
「日本は、国も人々も大好きです。日本語を使い続け、私が日本のクレステックで得た経験をここで活かし
たいと思います。将来のことは運に任せます。」
人に依存する、翻訳・ローカライズ業務においては、文化ややり方を理解した上での対応、工程を作りこ
むということが QCD のバランスが取れたアウトプット(翻訳)を得るために欠かせないものです。ファビエン
ヌのような人材を長期で他の事業所に派遣することで、日本の事業所の文化ややり方を理解し、グルー
プ内部での更なる連携、効率化を図ることができます。彼女の経験は名古屋事業所、Crestec Europe 共
に大変貴重なものです。
CRESTEC EUROPE B.V.
Teleportboulevard 110, 1043 EJ Amsterdam, The Netherlands.
Tel.: +31 20 585 4640.
Fax: +31 20 585 4646.
Note
弊社Europe オフィスの情報につきましては、英語版web site (www.ceu.crestec.com) を、そして
株式会社クレステック(日本)につきましては、日本語版web site (www.crestec.co.jp) をご覧ください。
さらに、弊社Europe オフィスについてご意見・ご希望のある方は、弊社担当者もしくは、
[email protected] へご連絡ください。
なお、今回のニュースレターは弊社メーリングリストより配信しております。配信中止をご希望の方は、
[email protected] までご連絡頂きますようお願い致します。