本版PDF : 2016基礎コース

平成28年度 北海道大学公開講座
北海道大学公開講座
イノベーションマネージャー育成講座
基礎コース
科学技術を基盤とする
イノベーションシステム
平成28年 6月14日~7月12日
(札幌)
札幌)
講師:荒磯恒久
北海道大学
北海道大学 産学・地域協働推進機構
特任教授
1
第1講
第1章
技術基盤イノベーション
の基礎知識
第1節 : 産と学との対話
2
第1講
2007.11
3
第1講
量子力学の
風景
映画シリアスマンの
ラリー教授:
「存在は不確定」
電子雲
電子は波の
性質を持つ
しかし
よくある原子の図
粒子の性質も持つが、その場所
は確立でしかわからない
(思考実験
思考実験)どこにあるかを何回も調べて、
思考実験 どこにあるかを何回も調べて、
見つかった場所を点で表していくと・・
4
第1講
量子力学のゆりかごと発展
5
第1講
時あたかも
オットー・フォン・ビスマルク
ドイツ帝国初代宰相(在任1871-1890)
現在の大問題(=ドイツ統一)は、演説や多数
決ではなく、鉄(=大砲)と血(=兵隊)によって
こそ解決される
Nicht durch Reden oder
Majoritätsbeschlüsse werden die großen
Fragen der Zeit entschieden, sondern
durch Eisen und Blut
製鉄業は高温状態の炉の温度の
正確な測定を必要とした。
6
第1講
温度によって発せられる光のスペクトルが変わる。
左のスペクトルを数式で
表したい!
⇒ しかし、それまでの考
え方では表すことが出来
なかった
⇒ プランクは量子仮説を
用いることによって、スペ
クトルを数式で表すことに
成功し、炉の中の温度を
正確に測定する方法を見
出した。
エネルギー
100hν
エネルギー量子仮説 1900年 プランク
物質が原子から出来ている(それ以上小さく出来ないモノが
ある)ように、エネルギーも基本単位があるのではないか?
振動数ν(ニュー)の光のエネルギー(E)は以下の性質を持つ
E = hν
h = 6.626x10-34J s (プランク定数)
⇒ エネルギーは飛び飛びの値を持つ
10hν
●
hν
7
第1講
量子力学を創った人々
(1901-1976)
(1902-1984)
(1892-1987)
8
第1講
量子力学の社会貢献
1948年
1960年頃
トランジスター
レーザー
→ コンピューター
CD、
CD、 精密測定装置
など社会に多大な影響
さらに、確率論的世界観により論理学や
思想にも影響を与える。
9
第1講
真空管
現在も一部の人に人気
(真空管アンプ)
1961年:
ナショナル14
インチ
テレビの内部
10
第1講
トランジスター
画面の人は水木しげる
トランジスタテレビ
(ポータブル)
1959年 世界に先駆け
てソニーが開発
発表する井深大社長
11
第1講
集積回路(IC)
トランジスタ
コンピューターの発展
12
第1講
画像解析の進展により脳科学、天文学が大発展
画像解析の進展により脳科学、天文学が大発展
統合失調症の脳
アルコール依存症の脳
馬頭星雲
13
第1講
学術研究と産業技術研究の関係
リニアーモデルと併行モデル (丸山瑛一氏より)
【リニアーモデル】
基礎研究
応用研究
製品開発
大学
独法研究所
企業研究所
企業
【併行モデル】
製 品 開 発
基 礎 研 究
14
第1講
産と学との対話(1)
【製品開発】
IC、LSI
結晶整流器
情報機器
真空管
トランジスタ
電子機器
前期エレク
トロニクス
計算機
固体
電子論
原子物理学
情報
工学
エレクトロ
ニクス
量子力学
【基礎研究】
第1講
産と学との対話(2)
情報革命
【製品開発】
携帯電話
情報機器
MRI
パソコン
計算機
最先端医療
ソフト
ウエア
TV
ゲーム
ナノテク
ノロジー
CT
STM
情報
工学
画像処理
計算科学
原子
操作
脳科学
エレクトロ
ニクス
環境予測
台風の進路
分子の動き
・・・
画像天文学
【基礎研究】
Science, Technology, Technique
第1講
Science
科学
Technology
技術学(工学等)
Technique
技術
自然の普遍性
産業手段の体系化
産業の手段
(政治,経済と関連)
機械
(粉ひき水車等)
古典力学
熱力学
蒸気機関
輸送,織機,
無機化学
冶金学等
製鋼,金属加工
有機化学
合成化学
薬品,材料,爆薬
電磁気学
モーター,無線通信,エレクトロニクス
機械工業,通信機器
量子力学
相対論
半導体,レーザー,核エネルギー
PC, 情報機器,原発,
先端医療
分子遺伝学
遺伝学
分子生物学
遺伝子解析,遺伝子合成
遺伝子診断(治療),
創薬,犯罪捜査
第1講
第1章
産学官連携の基礎知識
第2節 : イノベーション
18
第1講
はじめに
ことばの話
Illumination
il (=into) + lumen(光)
光を注ぎ込むこと
Innovation
In (=into) + novus(新しさ)
新しさを注ぎ込むこと
イノベーションの訳語
経済学では : 新結合
「経済発展の理論」塩野谷祐一、中山伊知郎、東畑精一訳(1977)
経済白書(1958) : 技術革新
(→ Technological Innovation)
総合科学技術会議(2006) : 訳語ではないが 「新たな発明・発見が経済社会に大きな付加
価値をもたらし、その変革につながること」という意味で「イノ
「イノベー
価値をもたらし、その変革につながること」
「イノベーション」
ベーション」が用いられている。
ション」
科学技術イノベーション総合戦略閣議決定(2013) : 「科学技術イノベーション」
本講座ではイノベーションという言葉は原義を基として使用する予定。
19
第1講
I. イノベーション
☆ワットが蒸気機関を作ったのは
: 発明(1776)
)
発明(
☆リチャード・トレビシックが蒸気
機関車を作ったのは
: まだ発明 (1802)
)
☆線路を敷いて駅を作り、列車で 人や物資を輸送して
: はじめてイノベーション (1825-1830)
)
☆中国語では「創新」
20
第1講
シュンペーター 「経済発展の理論」
1912-1926年
1883-1950
創造的破壊について (シュンペーター、「資本主義・社会主義・民主主義」、1950)
★資本主義の基本的な原動力:「イノベーション=新結合」によって創造する
①新消費財、②新生産方法または新輸送方法、③新市場、④新産業組織。
★本質的問題:資本主義はいかにして現在の構造を創造し、それを破壊するか。
イノベーションについて
★新結合
新結合:
新結合 科学的に新しい発見に基づく必要はなく,商業の新しい方法も含んでいる。
★企業家の機能とリーダーシップ
企業家の機能とリーダーシップ : 創造的破壊が起こる
★信用創造の重視
信用創造の重視 :企業家・銀行家のクラスター
イノベーションと創造的破壊の典型例
イノベーションと創造的破壊の典型例
★産業革命 ← ①蒸気機関、②工場システム、③鉄道
◆馬車を何台つなげても汽車にならない
→ 蒸気エンジンと多数の貨車・客車を
蒸気エンジンと多数の貨車・客車をつなぐ・
エンジンと多数の貨車・客車をつなぐ・・・時間と空間の
つなぐ・・・時間と空間の破壊
・・時間と空間の破壊
→ 変化したもの ①工場の立地、②原料調達、③在庫処理の変化から設備投資、
④従業員の通勤形態と住宅の配置
◆産業、流通、都市、生活様式、文化様式にいたる総体的な変化 → 創造的破壊
21
第1講
1830年,リバプール・マンチェスター間 56㎞に蒸気
機関車牽引専用の鉄道が開通し営業を始める。
制限速度 27㎞/h
マンチェスターは織物工業の中心地、リバプールは
港湾都市でここから世界に出荷。
鉄道から得られた利益は鉄道会社より、はるかに産
業界に大きかった点がイノベーションの本質を示してい
る。
22
第1講
現代における
イノベーションの例
Sergey Brin
1973-
Larry Page
1973-
Steve Jobs
1955-2011
★コンピューターを何台つなげてもイノベーションにはならない
◆強力な検索エンジンとネットをつなぐ (Google) ←新結合
新結合
・・・
・・・ 情報通信における時間と空間
情報通信における時間と空間の創造的破壊
通信における時間と空間の創造的破壊
★この世になかった商品がこの世になかったニーズを作る
◆「どこでも」と「画面タッチ」を組み合わせ、新たなニーズを作った (apple) ←新結合
新結合
・・・ コミュニケーションと文字文化の創造的破壊
イノベーション (Joseph Schumpeter, 1883-1950)
★新結合:
★新結合 科学的に新しい発見に基づく必要はなく,商業の新しい方法も含んでいる。
科学的に新しい発見に基づく必要はなく,商業の新しい方法も含んでいる。
★企業家の機能とリーダーシップ : 創業者のカリスマ・リーダーシップ
創業者のカリスマ・リーダーシップ
★信用創造の重視 :シリコンバレーのエンジェルとベンチャーキャピタル
23
第1講
自動車・家電・情報産業盛衰記
成功の源泉 : 生産規模の大きさ → イノベーション能力
1900年
1990年
アメリカ
2000年
ノキア
情報
2010年
シリコンバレーにおける情報産業の
創造的破壊(ユビキタスの概念)
創造的破壊(ユビキタスの概念)
検索エンジン
検索エンジン、
エンジン、i-Phon、タブレット
サムソンの
アンドロイド
製品シェアがイノベー
ションに依存する
日本
ノキアの破綻
日本のガラ携
自動車・家電
デトロイトの破綻
製品シェアが労働価格・技術力に依存する
韓国・インド
24
第1講
II. イノベーションのプロセスとシステム
イノベーションのプロセスとシステム
イノベーションの分類
既存の市場
新しい(未知の)市場
「イノベーションの最終解」 (クリステンセン)より
25
第1講
持続的イノベーションと破壊的イノベーションの特徴
イノベーションの分類 (クリステンセンの理論から)
既存市場型
新市場型
持続的
イノベーション
破壊的
イノベーション
従来の性能の向上
問題点がわかっている
効率・安価・量産
消費者ははっきりしている
市場予測可能
伝統的ビジネス方法で十分
(より良い製品を既存市場に)
(このカテゴリーは存在しない)
ローエンド型
ニーズを過度に満たされた
顧客がターゲット
→ 仕様の単純化、低価格
上記を受け入れる顧客層が
いることが前提
(ディスカウント小売りなど)
従来とは別の性能を創出
問題点がよくわかっていない
ドラマチック・業界変化
消費者がわからない
市場予測不可能
伝統的ビジネス方法では失敗
(電話、パソコン、コピー機)
26
第1講
イノベーションの成長
持続的イノベーション
破壊的イノベーション
Low-end 破壊型イノベーション
How low-end disruption occurs over time.
27
第1講
クラインのリニア―モデルと連鎖モデル
イノベーションのリニアモデル
イノベーションの連鎖モデル
3
3
4
D
K
3
研究
4
K
知識
4
研究
1 2
C
C
販売およびマーケティング
生産
総括設計
市場の発見
開発
1
再設計および生産
2
詳細設計および試験
2
1
マーケティング
フィードバック
S.J.クライン
クライン 「イノベーション・スタイル」 1990
(1992,鴫原文七訳,アグネ承風社)
F, f : 情報の流れ(F:新製品モデルの重要情報), I : 生産部門から研
究部門への情報の流れ, K : 蓄積された知識の接続,R : 研究プロ
ジェクト(Kと結びつく),S : 長期研究に対する企業からの援助,C : 企
業からの問題提起と研究で生まれた創造的アイディアの結びつき,
Ⓒ-Ⓒ-Ⓞ-Ⓘ : Central Chain of Innovation (イノベーション・プロセスに
おける中央連鎖)
28
第1講
オープン・イノベーション
オープン・イノベーション
提唱者、ヘンリー・チェスブロウ (ハーバード・ビジネス・スクール、
ハーバード・ビジネス・スクール、2003)
ハーバード・ビジネス・スクール、
自社のテクノロジーを発展させるために、社内のアイデアとともに社外のアイ
社外のアイ
デアを活用し、市場の進出にも、社内とともに社外を経由したルート
社外を経由したルートを活用す
デア
社外を経由したルート
べきである。
オープンイノベーションの構成要素
入口側:社外アイデアの導入・・技術シーズを自社内だけでなく、大学等外部
研究機関・サプライヤーから競合他社まで広い範囲で求める。
出口側:社外を経由した上市ルート・・事業ドメインやターゲット市場との適合
性の低さ、補完技術の不足などの理由で製品化に至らない開発成果
を、他社に売却・ライセンスアウトすることで収益化する。
29
第1講
クローズド・イノベーションとオープン・イノベーション
クローズド・イノベーションは20世紀までは機能したが、以下の
クローズド・イノベーションは 世紀までは機能したが、以下の2つの
世紀までは機能したが、以下の つの
要因によって価値が薄れてきた。
1) 優秀な人材を抱えたベンチャー企業の増加。
理工系の人材が大学など教育機関で得た知識を基に、ベンチャー
キャピタルの支援を受けて起業することが以前よりは容易になっ
キャピタルの支援を受けて起業することが以前よりは容易になっ
てきた。企業の研究開発部門は世界中のベンチャー企業を調査し
て、自社にとって有効な新技術を探し出して、組み合わせることが
効率的になった。
2) 開発期間を短縮する必要性が高まった。
基礎研究から自前で商品を生み出していては顧客のニーズや技
術動向の変化に間に合わなくなってきた。
→ オープンイノベーションが必要
オープンイノベーションの問題点
オープンイノベーションでは自分の権利をどう守るかが難しい
→ 高度なシステム化、知財戦略
30
第1講
セミクローズド・オープン・イノベーション
セミクローズド・オープン・イノベーション
完全にオープンにせず、信頼関係の中で情報を交換する
ネットワークを基に形成された信頼
ネットワークを基に形成された信頼関係が基盤になる
を基に形成された信頼関係が基盤になる
地域ネットワーク発イノベーションの可能性を
地域ネットワーク発イノベーションの可能性を示す
可能性を示す
国主導のクラスターネットワークもこの範疇
国主導のクラスターネットワークもこの範疇
→ イノベーションエコシステム
31
第1講
イノベーション・エコシステム
イノベーション・エコシステム
2004年12月15日、全米競争力評議会 (Council on Competitiveness)
National Innovation Initiative Summit and Report
「パルミサーノ・レポート」
政策環境
e.g. 教育、知的財産保護、規制
供給
技能
知識
リスクキャピタル
マネージメント
技術
研究
需要
品質
安全
顧客特化
利便性
効率
デザイン
国のインフラ
e.g. 輸送、エネルギー、情報、ネットワーク
32
第2講
第1章
技術基盤イノベーション
の基礎知識
第3節 : アントレプレナーシップ
33
破壊型イノベーションに必要な要素とプロセス(IDEA cycle)
第2講
官の支援、 金融、 知財戦略
起業・新規事業
Development
Research
Entrepreneur’s
Action
事業化
start
アイディア
社会との連携
Idea
Associate
シーズ
企業、農林水産業
開発研究
科学技術
研究、教育
起業家精神
Entrepreneurship
新産業/形態
新産業 形態
社会のニーズ
生活、ネットワーク
イノベーション
34
第2講
新技術型スタートアップ形成
知財形成
知財戦略
技術経営
事業化戦略
製品イメージ
試作
・・・・
コア技術
企業会計
商社 大企業との提携
資金計画
ビジネス
コンセプト
ビジネス
プラン
ベンチャー
設立
(新規事業)
商品の
生産
販売
企画
販
売
販社、メーカーとの
アライアンス
社会のニーズ
市場、優位性
揺ぎない優位性
模倣対策
参入障壁
(ブルーオーシャン)
35
第2講
アントレプレナーシップ
久能祐子(さちこ)さんの講演から
アールテック・ウエノの共同創業者である久能祐子博士は、上野隆司博士によって発見さ
れた新しいタイプの機能性脂肪酸群を医薬品として開発するために、1980年代半ばに上野
隆司博士のプロジェクトに参加しました。両博士の開発協力により、緑内障及び高眼圧症
治療薬であるレスキュラ®点眼液は1994年世界に先駆けて日本で発売されました。
久能祐子博士は、1996年、アメリカ合衆国においてSucampo Pharmaceuticals, Inc.を上野
隆司博士と共に設立し、CEOとして新規事業の立上げと経営を手がけました。
久能祐子博士は、新技術開発事業団・早石生物情報伝達プロジェクト特別研究員時代を含
め、20年以上にわたって、最先端の研究現場で多くの実績を残してきました。医薬品開発
のプロジェクトマネージメントや、厚生労働省やFDA等規制当局に対する治験薬及び新薬
承認申請の専門家でもあります。
久能祐子博士は、生化学産業工学の分野において、京都大学より博士号を授与されてい
ます。 同分野に関する研究をミュンヘン工科大学(ドイツ)において続けた後、ワシントンDC
のジョージタウン大学において国際企業経営の課程を修了しました。
36
第2講
アントレプレナーシップのキーワード (1)
久能祐子
久能祐子氏講演より
祐子氏講演より
(2015年10月19日、北海道大学)
➢ビジョン、ゴール、ミッションの意味
を正しく理解することは大切です。
➢この山の頂上がゴール。山は自分が
山の頂上がゴール。山は自分が
作ろうとする会社や組織、自分自身で
す。どのようなゴール、つまりどの山に
す。
登るかも考えなければなりません。
ビジョンとは山の頂上から見る景色で
➢ビジョンとは山の頂上から見る景色で
す。登山者が山の頂上から見える「新
しい景色」、「美しい景色」なの
しい景色」、「美しい景色」なのです。
なのです。し
です。
かし、我々は山のふもとから昇って行
かなければなりません。そこからはビ
ジョンは見えないのです。
➢最も重要なことは、山の頂上から見える景色を「イメージ」することです。
最も重要なことは、山の頂上から見える景色を「イメージ」することです。
➢ミッション
ミッションとは何か?
ミッションとは何か? ミッションとはどうやって山に登るか、そのために 何が必要かと
いうことなのです。山は大きい。登るためには他の道もあります。他の人が違う道を登る
こともできます。ミッションは一人ひとりが持つ特有な(スペシフィックな)ものです。ゴー
ミッションは一人ひとりが持つ特有な(スペシフィックな)ものです。ゴー
ルへ登るために、何があなたにできるか、なぜあなたはそれを行うか、それを明らかに
するものがミッションです。
第2講
アントレプレナーシップのキーワード (2)
久能祐子
久能祐子氏講演より
祐子氏講演より
(2015年10月19日、北海道大学)
➢アントレプレナーシップのキーワー
アントレプレナーシップのキーワー
ドは沢山ありますが、その中で
「セルフ・エフィカシー(自己肯定)」
は大変重要です。
➢何か新しいことを行おうとするとき、
何か新しいことを行おうとするとき、
最も大切なことは「自分を信じる力」、
「自分を信頼する力」です。
➢この力によってゴールまで進むこと
ができるのです。このフィーリング
は、将来企業家になるためにとて
も重要です。
➢もちろん「リスクを取る勇気」、「大胆なイノベーション像」、「チームの共同効果」、「ハー
ドワーク」も大切です。
何か「ひらめき」を感じたとき、そ
➢しかし、最も重要なことは「セルフ・エフィカシー」です。何か「ひらめき」を感じたとき、
何か「ひらめき」を感じたとき、
そ
れがスタート前でも、「自分はできる」というフィーリングを持つのです。
れがスタート前でも、「自分はできる」というフィーリングを持つのです。
➢このフィーリングは
このフィーリングはパワフル
このフィーリングはパワフルに
パワフルにあなたを
あなたをゴールまで
ゴールまで押し上げるの
まで押し上げるのです
押し上げるのです。
です。
起業へのモチベーション
起業へのモチベーション
(2015年1月30日、WINセミナ―、ワシントンD.C.)
第2講
今村:サイエンティストからアントレプレナーへ移行したモチベーションは?
久能:上野博士はメディカルドクターです。開発した医薬品で患者を助けたい。
アカデミックエリアでは新薬プロスタンを実用化するという最終ゴールまで、相当
の時間がかかるかも知れない。図に示したマウンテンの頂上へ最も早く到達す
るためのベストウエイは何か。アントレプレナーはそのための一つの方法。ゴー
ルではありませんが。また、起業すると物事を決定するときは一人か二人の合
意でよく、素早い決定ができます。このような事から起業したのです。
39
アカデミックと
パテント
第2講
質問:アカデミックの世界からビジネスへ移って最大のチャ
レンジは何でしたか?
久能:チャレンジ・・私の人生を変えたのはパテントの考え方で
す。アカデミックでは「完全な論文」が求められます。論文の査
読者はデータの「完全性」を要求します。しかし、パテントの考
え方で必要なことは「ナンバー・ワン」、「ファースト・ワン(自分
が創造した)」です。アカデミックのような完全性は必要ありま
せん。「オンリーワン」であることが大切です。これが私に新し
い考え方をもたらしました。
上野博士(主人)は天才です。私はそれほどでもない。私はビ
ジネスとそのデベロップメントをとてもエンジョイしています。ク
リニカルデベロップメント、プロダクトデベロップメント、マーケ
ティング、コラボレーションワーク、ライセンシング・・。私たちは
とても良いチームを作っていると思います。
40
第2講
起業、組織形成に“これだけ”は必要
起業時の要件
コアとなる技術、アイディアは?
独自の技術開発? 用途開発?
強みとなる部分の保護は?
組み合わせ技術?
対象の市場は?
市場創造型(マーケットがあるの)?
既存市場-市場の成長性と競合相手は(勝ち目あるの)?
企業をマネジメントするチームはあるのか?
企業成功の最大の要件は、マネジメント!!
今マネジメントチームがなければ、いつ出来上がるのか
マネジメントチームが出来なければ、起業を断念すべし
41
第2講
会社運営の資源と経営者の仕事
目的を遂行するために、必要な資源を、必要な分だけ獲得配分する。また、
資源を有効的活用し、そして成果・結果を出す。
会社
予算
Staff
(従業員)
(資金)
場所
シーズ
(事務所・
工場)
(技術)
会社の目標
パート
ナー
支援者
(ノウハウ)
ネット
ワーク
将来を見据え、次の手を考え、行動する!
まず、自分が動いて切り開いていく。
出典:大野裕深(㈱カルナ代表取締役)「リーダーのための企業知識」
2013年イノベーションマネージャー育成講座 講義資料
42
第2講
ビジネスモデルの構築と修正
①ビジネスモデル構築、
仮説を立てる
仮説を立てる
• 製造-販売-回収
• ターゲット顧客の選定
• 製品の与える価値
②ビジネスプラン
の作成
• 顧客は存在するのか
• 顧客の満足を得るものか
• とにかく外に出よう
⑤ビジネスプランの修
正、再構築
• 間違いに気づいたら即
修正
• 傷が小さいうちに修正
④ビジネスプランの進
捗管理
• 製造-販売-回収
• ターゲット顧客の選定
• 製品の与える価値
③ビジネスモデル・仮
説の検証
出典:大野裕深(㈱カルナ代表取締役)「リーダーのための企業知識」
2013年イノベーションマネージャー育成講座 講義資料
43
第2講
ビジネスプラン 1
ビジネスプランの内容
•企業理念
•会社の概要(資本構成)
•事業スキーム(マーケット、ビジネスモデル、事業の優位性、組織体制
などなど)
•事業遂行のスケジュール化
•資金計画(収支計画、資本政策などなど)
申請・融資へ向けてのPOINT:ビジネスモデルを簡潔に理解させる
• どうやって、利益を上げていくのか!!
• 何を作って、どう売って、いつ資金が回収されるの?
• わかりやすく! シンプルに!
• 普通に考えて利益が上がると思える??
44
第2講
ビジネスプラン 2
事業戦略:3つの観点
事業戦略:3つの観点
• 《新規性》
新規性》 従来(他社)のものと比べた当該商品・サービスの新しさ,
差別優位性 ⇒ 開発戦略
• 《市場性》
市場性》 当該事業が対象とする市場の規模並びにその市場の成長性
⇒ ターゲットの明確化
• 《事業の具現性》
事業の具現性》 事業展開上、研究開発⇒仕入⇒生産⇒販売の各機能の
実現性や機能(一貫性)を持つ
⇒ 販売戦略(アウトソース、アライアンス)を含めた事業の一貫性
45
第2講
ビジネスプラン 3
開発戦略
➢コアコンピタンス
基盤技術(誰がどのように開発したのか)
プロダクトを生み出す強み
➢製品ごとに具体的に(スケジュール化)
➢自社の強みを強調する
➢開発プロセス、プロトコールを明確にする
➢プロダクトアウトの時期を明確にする
➢アライアンス先の強みも取り入れる
➢開発の中で、知財権がどのくらい出るのか
➢知財権がどの程度の強みになるのか
➢開発ノウハウが他社との差別化になっていくのか
46
第2講
ビジネスプラン 4
利益計画
➢利益別に売上、原価を(各分野の売上根拠を明確
にする・・・客観的に)
➢知財権ライセンスの場合は、相手、ライセンス料の
根拠を明確にする。
キャッシュフロー
➢開発計画に基づく設備、人件費、消耗品等をまとめ、
必要資金を年度ごとに把握する
➢回収時期と支出時期を明確にする
➢調達方法・時期と回収時期を明確にする
47
第2講
ビジネスプラン 5
リスクと解決策
• 現在と将来におけるリスクの把握
– 技術的なリスク
– マーケットリスク
– 経営としてのリスク(人材、資金、設備等)
• リスクに対する解決策
– 現在対応している解決策
– 将来の対応に関してはいつまでに解決するか
48
第3講
第2章
産学官連携の機能
技術移転と
第1節 : 技術
移転と
コーディネーション
コーディネー
ション
49
第3講
【産学官相互作用による新産業の創出】
産学官相互作用による新産業の創出】
既存企業との提携
新産業分野
金融
イノベーションの創出
学
産
新たな領域の形成
社会のニーズ
先進技術
融合の方向性
融合科学創出の環境
基礎科学の蓄積
産学連携研究
官 : 研究資金の戦略的運用、産学連携研究の環境整備
50
第3講
i) 産と学における研究の特徴
51
第3講
大学の研究
大学の研究と
研究と産業技術研究
産業技術研究
大学の基礎的研究と産業技術化研究の係わり方
《人間の生活》
人間の生活》
社会ニーズ
楽したい、便利がいい、楽しみたい、
楽したい、便利がいい、楽しみたい、
安心したい、芸術に浸りたい、など
(製品開発)
製品化・事業化
↓↑
産業ニーズ
《産業技術化研究》
産業技術化研究》
① 目的
目的は外部から明確に与えられる
は外部から明確に与えられる
② 目的達成により研究が終了
《大学の基礎的研究》
大学の基礎的研究》
① 知的探究心により研究テーマが決まる
② ひとつ問題が解決すると
また新しいテーマが生まれる
③ 研究は自己発展的に継続し深まる
52
第3講
大学研究者の専門性に対する意識
知識の領域
自分の専
門分野と
考えている
分野の一般的知識の領域
専門性の深化
専門領域
最先端の研究
A氏
B氏
53
第3講
産学連携における基本的なコンフリクト
大学
産
守秘義務による学生
の自由度の制限
教育
《イノベーション》
イノベーション》
≪共同研究≫
共同研究≫
・目的は知の深化
・新しい科学の創造
・最先端技術志向
研究
・目的は事業化
研究
・ローテクあり
目的 ・ ミッション
の相違
・知的財産は
企業内で保護
成果の公表
・論文として公知
開発
利益相反
責務相反
成果を
社会へ
試作
生産
公設試験
研究機関
との連携
・特許のライセンシング?
《従来の大学の範囲を超える》
従来の大学の範囲を超える》
・教員の兼業
新規技術評価の困難さ
市場開発
経済的効果
・大学融合型事業
金融
・大学発ベンチャー
販売
54
第3講
“コンフリクト”
コンフリクト”
産と学のオリジナリティ
産 : 特許出願日
新規性・有用性 → 利用は独占的・利益の追求
コンフリクト
学 : 論文受理日
新規性
→ 結果は広知し人類の資産化
知財本部・TLOによる出願援助
55
第3講
ii) 技術移転・マッチングの方法
56
第3講
大学の知的財産(
大学の知的財産(特許)
特許)移転のリニアモデル
事業化へのステップとそれを担う機関
基礎研究
大学
研究所
開発研究
製品化
大学共同研究センター
大学共同研究センター
独法研究所等
地域科学技術財団による
地域科学技術財団による
共同研究施設等
事業化
インキュベーション施設
インキュベーション施設
(中小企業基盤整備機構等)
中小企業基盤整備機構等)
公設試
知的創造サイクル
真の「知的財産立国」を実現するために
は、創造、保護、活用、そしてそれらの活
動を支える卓越した人材の育成など、国
民全体の参画が必要であり、それぞれの
取組を最大限に行うことはもちろんのこと、
それらを一体的、有機的な連携の下に行
うことにより、知的創造サイクルを早く大き
く回すことが可能となる。
(「知的財産推進計画
(「知的財産推進計画2005
知的財産推進計画2005」、
2005」、2005
」、2005年
2005年6月10日
10日、知
的財産戦略本部(内閣府))
的財産戦略本部(内閣府))
57
a) 大学知財のライセンシング
第3講
大学産学連携部署による知財形成と移転スキーム
大学産学連携部署による知財形成と移転スキーム
~代表的な例~
共同研究
プロジェクト
研究形成
企業探索
特許取得支援
産学連携本部
発明
研究者
企業への技術移転
ベンチャー起業支援
58
第3講
知的財産移転に関する大学と企業の言い分
大学 : 新技術を特許に
(特許移転機関)を通して
新技術を特許にし、
を特許にし、TLO(特許移転機関)を通して
し、
実施権を
実施権をライセンスする。製品化は企業の仕事。
ライセンスする。製品化は企業の仕事。
企業 : 大学の研究結果
大学の研究結果(
結果(特許)は製品に直結しない
特許)は製品に直結しない。
製品に直結しない。
そのままでは使えない。
そのままでは使えない。
技術移転=
技術移転=知財移転
移転=知財移転 ではない
企業と大学の「共同研究」
企業と大学の「共同研究」が必要
「共同研究」が必要
59
b) 大学リエゾンによる共同研究
第3講
産学連携部署のリエゾン活動
産学連携部署のリエゾン活動
企業への技術移転
特許取得
支援
共同研究
企業と研究者の
マッチング
研究者探索
産学連携本部
技術相談
企 業
60
c) マッチングフェアからの共同研究
第3講
61
第3講
共同研究に関する大学と企業の言い分
「共同研究」は行ったが
大学 : 製品化に関する
製品化に関する研究は論文にならない。
に関する研究は論文にならない。
企業 : 大学の先生は自分の興味があることしかやってく
れない。納期を守らない。
ない。納期を守らない。
共同研究から、なかなか
共同研究から、なかなか製品が
から、なかなか製品が生まれない。
製品が生まれない。
さらにコーディネーション
さらにコーディネーションのシステムが必要
ネーションのシステムが必要
62
第3講
iii) コーディネーション
63
第3講
イノベーションマネージメントのスパイラルモデル
イノベーションのフロー
(経済的効果創出
経済的効果創出)
経済的効果創出
Entrepreneurと
と研究者との連携が必須
開発研究
試作
マーケティング 生産
開発研究
試作
マーケティング
開発研究
試作
マーケティング
流通
既存知識のみでは
解決できない時に
研究が必要となる
Start
ビジネス戦略
商品アイディア
事業と研究のコーディ
事業と研究のコーディ
ネーションが必要
ネーションが必要
既存知識
社会ニーズ(と科学技術)を基盤
としてたIdea創出
創出
としてた
新領域の形成
基礎研究
応用研究
科学技術のののの蓄積
概念設計
研究のミッション
(大学・研究機関
大学・研究機関)
大学・研究機関
販売
社会のニーズ
商品化を目指す開発
商品化を目指す開発
)の
研究(Development)
研究
確立が必須。知財戦
確立が必須。知財戦
略も重要。
社会との提携(Association)が必須
が必須
社会との提携
論文等による公知
64
第3講
コーディネーターとは
・研究者が企業を探す
・企業が研究者を
・企業が研究者を探す
研究者を探す
マッチング
(目利き)
(目利き)
産学官連携を促進
させる人材
・フェア、ネットワークで
・コーディネーターの仲介
仲介型コーディネーター
共同研究
事業化
・「何をどこまで」の明確化
・契約締結
・知的財産戦略
・事業化戦略
・マーケティング
・ビジネスプランの作成
・事業化戦略
・スタートアップ資金
・製作、流通、販売
・社会との連携
社会との連携
主体は研究者と企業家
プロデューサー型
コーディネーター
⇒ イノベーション
マネージャー
インキュベーション
マネージャー
名称、および活動領域は
確定したものでは
確定したものではない
したものではない。
ない。
65
第3講
【仲介型コーディネーション 】
自然原料を使った
塗り壁材
(1998年5月7日 北海道新聞)
1996年5月、北大に先端科学技術共同研究
センターが設置され、コーディネート型産学連
携の第1号となった。
66
第3講
北のやすらぎ中国進出
2008年
年
さらに新たな商品開発を
産産連携で企画
(学がサポート)
北京オフィス
故宮博物院
67
第3講
【プロデューサー型コーディネーション】
プロデューサー型コーディネーション】
ISOクラス-1を達成する連結型
の開発 (2006年
年)
クラス 1を達成する連結型クリーンユニット
1を達成する連結型クリーンユニット”
クリーンユニット CUSP”の
㈱ C’s TEC
○
○
○
北海道大学電子科学研究所教授
㈱シーズテック代表取締役
ノーステック財団次長(当時)
石橋
大橋
畠
晃
美久
隆
知的財産(特許)形成
コーディネーター
経営体制確立
会社設立
製造・販売
売却
インキュベーション
マネージャー
新たなベン
チャー設立
68
第3講
㈱ C’s TEC の創立 (2006年
年12月
月)
コーディネーション
発明者が装置を製作
するにあたり、受け
皿企業選定等の支援
を必要とした。この
時ノーステック財団
の畠隆次長(当時)
畠隆次長(当時)
と出会い、本技術の
将来性や市場性が広
く地域産学官に理解
されることとなった。
支援・資金助成
2003・
2003・NEDOフィジビリティスタディ
NEDOフィジビリティスタディ
2004・
2004・JST実用化検討
JST実用化検討事業
実用化検討事業
2006・
2006・RBP推進協
RBP推進協議会
推進協議会
「事業化重点プロジェクト」
2006・札幌市「さっぽろ
2006・札幌市「さっぽろベンチャー
・札幌市「さっぽろベンチャー
支援事業
支援事業」
事業」
[支援メンバー:
支援メンバー: ㈱ヒューマン・キャピタル・マネジメント]
ヒューマン・キャピタル・マネジメント]
特許出願
クリーンユニット、システム
クリーンユニット、システム等
、システム等
出願中 PCTPCT-JP2004/008842
出願中 PCTPCT-JP2005/017003
出願中 特願2006
特願20062006-080998
69
第3講
ネットワークによるコーディネーション
HoPE
(北海道産学官連携研究会)
2001年
年6月、北海道中小企業
月、北海道中小企業
家同友会の異業種交流会を
母体に北大、公設試、支援機
関が連携し、中小企業主体の
産学官連携システムを創設、
HoPE (Hokkaido Platform
Entrance)と命名した。現在、会
と命名した。現在、会
員企業約250社、アドバイザー
社、アドバイザー
員企業約
30機関、
機関、15研究会を擁し、月
機関、 研究会を擁し、月
例会・研究会等は延べ240回
回
例会・研究会等は延べ
に及ぶ。関連事業売上28億円、
に及ぶ。関連事業売上 億円、
特許出願112件、取得
件、取得60件
特許出願
件、取得 件
(2010年
年6月現在)。中小企業
月現在)。中小企業
発ベンチャー創出も支援。
2010年
年HoPEが産学連携功労
が産学連携功労
者として経産大臣表彰。
者として経産大臣表彰。
©ARAISO 2012 CIBP , H.U.
70
第3講
事業化を目指す仕組み
71
第3講
セミクローズド・オープンイノベーション
省エネルギー型路面凍結防止複合舗装システム(1)
72
第3講
省エネルギー型路面凍結防止複合舗装システム(2)
73
第3講
凍結路面対策研究会の取り組み
凍結路面対策研究会の取り組み
2007年
HoPE例会における「米澤工業」による発表より)
(2007
年HoPE
例会における「米澤工業」による発表より)
年度
事業内容
事業名
採択者
事業者
2001 凍結路面研究会発足
2001 即効的地域新生コンソ
ーシアム研究開発事業
Member
U,S,Y,I,H
寒冷地向け交通路面凍
結ブロックの研究開発
(不採択)
北海道
経済産業局
ノーステック財団
(管理法人)
北大:森吉教授
U,S,Y,I,H
2002 HoPE会員再募集
HoPE会員再募集
2003 地域新生コンソー
シアム研究開発事業
2004
低エネルギー型複合舗装
システムによる凍結路面
対策技術の開発 (採択)
北海道
経済産業局
ノーステック財団
(管理法人)
北大:名和教授
道工試
U,S,M,Y
2005 中小企業・ベンチャー
挑戦支援事業
省エネルギー型複合舗装
システムによる凍結路面
対策技術の開発 (採択)
北海道
経済産業局
米澤工業
北大:名和教授
道工試
U,S,M,Mi
2007 中小建設等経営資源
活用型事業費補助金
要綱第9
要綱第9条
省エネルギー 型複合舗装
システムによる凍結路面
対策技術の開発 (採択)
札幌市
上山試錐工業
北大:名和教授
道工試
M,Mi,Y
74
第3講
マッチング,コーディネーションの
マッチング,コーディネーションのため
,コーディネーションのために
ために
(インキュベーション施設のマネージャー談)
◆ 技術情報・企業情報、双方
技術情報・企業情報、双方の
情報・企業情報、双方の収集を日常的に進める。
収集を日常的に進める。
◆ 定期的なネットワーク開催が
定期的なネットワーク開催が有効
有効
・企業と官と学の産学連携パーソンが中心となるネットワーク。
・トピックスによる情報交換+交流会によるヒューマンネットワーク
(トピックスにより集まる企業が異なることを先に
トピックスにより集まる企業が異なることを先に読む
トピックスにより集まる企業が異なることを先に読む)
読む
・マネージャーは短時間で必要な情報を集積することができる
◆ 他のデーター・ベースやネットワークの活用
・北大研究者総覧,各大学にあり
・札幌ならHiNT、
、HoPE、
、 Innovation Dialogue など
・札幌なら
・全国的には産学連携学会など
・他組織のコーディネーターとの交流
・経産局や県庁(道庁
・経産局や県庁 道庁)、
道庁 、支援センター等との日常的な接触
支援センター等との日常的な接触
75
第4講
第2章
産学官連携の機能
商品開発研究と知財
知財戦略
第2節 : 商品開発研究と
知財
戦略
~学術研究との相違~
76
第4講
研究からイノベーションへの道
イノベーション・マネージメント
政府系資金
VC, エンジェル
金融機関による投融資
研究開発
試作
市場開発
研究開発
試作
市場開発
生産
販売企画
販売
主体:企業家
商品アイディア
概念設計
研究開発
試作
社会のニーズ
科学技術のののの蓄積
イノベーション
市場開発
コーディネーション
主体:
大学・研究機関
の研究者
応用研究 開発研究
基礎研究
研究
論文として公知する
77
第4講
出典:出川通,「産学連携でのWIN-WINを得るには」,産学官連携ジャーナル 2008年8月号
78
第4講
稚内珪藻頁岩利用
牛舎除菌剤の開発
79
第4講
事業の目的
本事業では稚内珪藻頁岩の高度な接触脱水効果を利用して、
乳牛に負荷を与えず除菌する牛床散布剤を作成する。
本道の酪農業において乳房炎による乳の損失は3%に上り、酪農
家一戸当たり年間120万円の損失となり、他に乳量の減少、治
療・薬剤費負担等、大きな問題となっている。起因菌は牛舎で広く
用いられている「敷き藁」中で増殖する。乳牛に無害でこれを防ぐ
除菌剤は未だ開発されず、乳頭の個別消毒が行われているが、酪
農家に対する負担が大きく、牛床除菌剤の開発が待たれている。
80
第4講
◆稚内珪藻頁岩の除菌作用(1)
実験 (平成22年2月23日、北海道立畜産試験場基礎研究部感染予防課)
方法:
①乳牛2頭の直腸便各10gを混合
②180mlリン酸バッファーに加え10%乳剤を調整
③乳剤0.5mlを2つの容器に分け取る
④それぞれ下記の資材を十分量加えて資料を吸着させる
a)粉体の稚内珪藻頁岩、b)粒体の稚内珪藻頁岩
⑤余った資材(乳剤を吸着していないもの)を捨てる
⑥乳剤を吸着した資材それぞれにリン酸バッファーを加え、30mlにする
(0.5ml乳剤にリン酸バッファーを加え、30mlとしたものを対照とする)
⑦1000回転/分で1秒遠心し、上澄みを移し替えて3000回転/分で10分間遠心する
⑧上記の沈殿部にリン酸バッファー0.95ml加え、再懸濁液を調整
⑨再懸濁液を10倍希釈し、各希釈液の100μlを5%トリプトソイ寒天培地に塗布
⑩好気条件で37℃、一晩培養してコロニー数を計測
(各2本ずつ処理して平均値を用いる)
81
第4講
◆稚内珪藻頁岩の除菌作用(2)
試験資材
再懸濁液中の菌数 (CFU/ml)
粉体
1.35X104
粒体
1.63X105
対照
2.85X105
菌数/104
結果:
粉体
粒体
対照
粉体資材では菌数が1/20に減少した。粒体資材では顕著な差はない。
考察:
0.5mlの液体を吸収させるのに必要な資材の重量は、粉体で1.24g、粒体で1.13g
であり大きな差はない。粉体では菌との接触面積が大きくなり、菌が頁岩表面に吸
着して菌の増殖能が抑制されているものと推察される。これは資材が殺菌性を持
つもののではなく、「吸着=除菌性」を持つためと理解するのが妥当。
82
第4講
◆特徴・優位性
・稚内珪藻頁岩の優れた吸着性を利用した除菌剤の開発(新規性)
・畜産試験場による実験室レベルの実験で除菌性を検証(新規性)
・消石灰等による類似品が乳牛に対し負荷を与えることに対し、新製品は無害で
安全である(優位性)
◆他の牛床衛生資材との比較
除(殺)菌性能
安全性
牛床乾燥力
△
◎
○
△
(1,100)
○
◎
○
×
(8,000)
石灰類
◎
×
×
◎
(700)
ゼオライト
×
◎
△
△
(1,200)
稚内珪藻頁岩
◎
◎
◎
○
(900)
クリーンサポート
価格 (円/20kg)
(ケイ酸カルシウム)
ミストラル
(不明、フランス製)
83
第4講
通常の珪藻頁岩と稚内珪藻頁岩
能登の珪藻頁岩
珪藻の遺骸が残っている
建材や七輪の材料として利用される
稚内珪藻頁岩
珪藻の遺骸は残らず,微細な構造に変化
湿度調節機能があり,調湿建材として利用
されている
84
第4講
豊富町の稚内珪藻頁岩
85
第4講
稚内珪藻頁岩はナノサイズの小孔(隙間
稚内珪藻頁岩はナノサイズの小孔 隙間)を持つ
隙間 を持つ
1ナノメートル
ナノメートル(nm)は
は10億分の
億分の1メートル、毛髪の直径の
ナノメートル
億分の メートル、毛髪の直径の10万分の
メートル、毛髪の直径の 万分の1に当
万分の に当
たります。稚内珪藻頁岩の小孔は2~
で、活性炭の小孔の数千分
たります。稚内珪藻頁岩の小孔は ~50 nmで、活性炭の小孔の数千分
の1の大きさ。この小孔に水分子や細菌の鞭毛や繊毛を吸着する。
の大きさ。この小孔に水分子や細菌の鞭毛や繊毛を吸着する。
pHは
は5.8、
、人間の皮膚や乳牛の乳頭皮膚と同じ弱酸性を示す。
稚内珪藻頁岩の電子顕微鏡写真。中央
下部の白いバーは2マイクロ
下部の白いバーは マイクロ(μ)メートル
マイクロ メートル
(=2000nm)を示す。トゲのように見える桿
を示す。トゲのように見える桿
状の構造体は大腸菌より小さい。この構
造によって作られる小孔は細菌の鞭毛や
繊毛を捕えることができる。
一般の珪藻頁岩の電子顕微写真(倍
率は稚内珪藻頁岩の写真の約10分の
率は稚内珪藻頁岩の写真の約 分の
1)。珪藻遺骸の状態が残り、小孔のサ
)。珪藻遺骸の状態が残り、小孔のサ
イズは大腸菌の大きさ程度であり、鞭毛
や繊毛を吸着できない。
86
第4講
大腸菌の電子顕微鏡写真
形は桿状で長さは2~
メーター。鞭毛をもつ。
形は桿状で長さは ~5μメーター。鞭毛をもつ。
87
第4講
88
第4講
89
第4講
大腸菌72時間培養に対する十分量の
大腸菌 時間培養に対する十分量の
稚内珪藻頁岩の増殖抑制効果
大腸菌を12時間培養した時点で
大腸菌を 時間培養した時点で50㎎
時間培養した時点で ㎎の稚内珪藻頁岩粉末を中央部に載せ、さらに
60時間培養を継続したもの。左図は表(上)からの撮影。右は裏(下)からの撮影で
時間培養を継続したもの。左図は表(上)からの撮影。右は裏(下)からの撮影で
ある。稚内珪藻頁岩に接触している場所でのコロニー発生は認められない。
第4講
技術を特許で守り「オンリーワン技術」にする
改善前
効果は
歴然
改善後
共同事業等の申し入れが複数個所から来る
・・こちらは弱小,相手は強い・・根こそぎ取られるのでは?
特許で守ろう
特許で守ろう
第4講
特許出願から登録(取得)までの流れ
・新規性
・進歩性
・有用性
発明の完成
特許を受ける権利発生
○○
:出願側が行う
○○
:特許庁が行う
出願
方式審査
3年以内
出願公開
出願日から
1年6か月経過後
審査請求なし
審査請求
みなし却下
実体審査
特許査定
特許登録
特許公報発行
拒絶理由通知
意見書・補正書
特許権発生
拒絶査定
第4講
特許ができそうになったら
特許ができそうになったら
(イノベーションマネージャーの注意点)
特許になるかならないか,弁理士に相談する。
なりそうならその特許をどのようにビジネスに活用するか戦略を立てる。
◆ 競合相手を潰すため
◆ 自分を守るため
◆ 誰にも真似されないために特許を作らない
◆ 特許を売って儲ける
大学と企業で思惑がかなり違うことが多い。予め概略を決める。
◆ 大学職員の発明は原則機関帰属
◆ 出願費用等はだれがどのような割合で払うか
◆ ライセンス料,実施料が発生する
IMが注意する点
が注意する点
◆ 特許の成立,活用の概略を押え,必要に応じて専門家に相談する
◆ 研究者はすでに発表していることもある (特許にならない
特許にならない)
特許にならない
◆ 特許を優先するあまり,研究に支障を出してはいけない
◆ ビジネスに活用してこその特許である
93
第4講
稚内珪藻頁岩を利用した牛舎衛生剤の実証実験
《乳頭付着菌に対する牛床への資材散布の効果》
乳頭付着菌に対する牛床への資材散布の効果》
実験:
◆3戸の酪農場を選定し、資材を牛床に散布する牛群(処理群)と散布し
ない牛群(無処理群)それぞれ10頭について、一定の方法で乳頭表面
から菌を採取し、一般細菌、大腸菌、ウベリス、フェーカリスの菌数を計
測した。
◆資材散布は、30頭の乳牛に対し3日間で70kgの資材を分割して適宜
散布することにより行った。
◆乳頭菌の採取は、処理群と無処理群からそれぞれ10頭を選定し、乳
頭表面を予め緩衝液で浸潤させた綿棒を用いて拭き取ることによって
行い、採取後速やかに冷蔵保存した。
◆保存されたサンプルは24時間以内に、菌の測定を依頼した北海道立
総合研究機構・畜産試験場へ冷蔵状態で搬送され、所定の方法により
菌数を測定した。
第4講
環境性乳房炎起因菌 (ウベリス、フェーカリス)
CFU/10ml
1,000(無処理)
1000
1,600(無処理)
900
800
700
600
630
(処理)
500
400
(無処理)
400
(処理)
400
300
251
(処理)
200
16(無処理)
100
25(無処理)
32(無処理)
検出限界
0
10以下
(処理)
32(処理)
16(処理)
検出率(%)
(無処理)
(処理)
90
80
20
0
30
30
40
20
90
90
農場A
農場B
農場C
90
70
第4講
拒絶理由通知書
この出願は、次の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見が
ありましたら、この通知書の発送の日から60日以内に意見書を提出してくだ
ありましたら、この通知書の発送の日から60日以内に意見書を提出してくだ
さい。
理 由
<理由1>
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国におい
て、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に
利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許
を受けることができない。
<理由2>
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国におい
て、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に
利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野にお
利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野にお
ける通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特
許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
(引用文献等については引用文献等一覧参照)
請求項
1~3
理由
1、2
引用文献 1
備考:
引用文献1(特に、【
引用文献1(特に、【0009】
0009】、【0011】
0011】、【0014】
0014】)には、未焼・・・・・・・・・
第4講
作戦変更!
作戦変更!
最適値、有効範囲などを数値で表すと特許性が
最適値、有効範囲などを数値で表すと特許性が増す
を数値で表すと特許性が増す
←弁理士からの情報
◆資材の「粒径」を変えて、効果の範囲を限定する
◆資材の「
◆資材の「含水率」を変えて、散布しやすい含水率を限定する
1.資材の粒径を変えて再実験
2.資材の含水率を変えて散布の「しやすさ」を実験
第4講
農場における乳牛の乳頭付着菌数比(一般細菌)
(散布なしの時の菌数を100%とし、散布による菌数の減少を%で表したもの)
菌数(%)
(散布なしを
100%とする)
100%
67%
71%
48%
3.7%
12%
資材散布なし
<1.38
1
2
3
4
資材散布あり
(散布3日後)
資材粉末粒径(mm)
試験牛:100頭
頭 → 5頭ずつ
頭ずつ10郡に分ける(資材散布なし、資材散布あり(<
㎜~4㎜
㎜))
試験牛:
頭ずつ 郡に分ける(資材散布なし、資材散布あり(<1.38㎜
郡に分ける(資材散布なし、資材散布あり(<
搾乳牛のストールに資材を散布し(1頭当たり
)、散布3日後に乳頭
搾乳牛のストールに資材を散布し( 頭当たり1.5kg)、散布
頭当たり
)、散布 日後に乳頭4本の表面を麺棒で拭い取り、細菌数を測定。
日後に乳頭 本の表面を麺棒で拭い取り、細菌数を測定。
第4講
家畜用床敷材(菌キャッチャー)含水率試験
菌キャッチャー(稚内珪藻頁岩)破砕粒子
材料
含水放出手法 ガスバーナー搭載キルン機材を用いた燃焼式
材料粒子
1. 1.38mmアンダー
試験方法
1、 原料(自然乾燥時における含水率23%~25%)を燃焼機キルンに投入
2、 燃焼機設定温度を100度に設定し、3分間を目あすとして滞留させ3~5%
程度の水分を取り除き含水率にもとずく必要回数を実施した。
3、 牛床マット(無機質ゴムマット)上に散布し散布状況をスコア化
4、 項目のスコア化
試験結果(原料含水率25%を使用)
含水率/試験項目 燃焼回数
飛散テスト
スクイズテスト
粉塵度合
0%
20
5<
1
5
10%
10
5<
1
5
15%
6
5<
1
5
17%
3
4
2
4
18%
2.5
3
3
4
19%
2
3
3
4
21%
1.5
2
4
3
22%
1
1
4
2
24%
自然乾燥
1
5
1
スコア基準
項目/数値
1
飛散 スコア
留まる
スクイズ スコア サラサラ状態
粉塵 スコア
出ない
2
少し広がる
ごく僅か
3
4
5
広がる
大きく広がる 広がり過ぎる
握る形が崩れる 部分的に固まる 全体固まる
舞う
広範囲に舞う 空気に舞う
第4講
特許は文言
「特許」とは「文言」であって、実体ではない。単語の意味する範囲や、単
「特許」とは「文言」であって、実体ではない。単語の意味する範囲や、単
語間の関係(どの単語を修飾するか等)を厳密にする必要がある。その結
果「文言」は普通の日本語とは異なる。(慣れると分かるようになる。)
果「文言」は普通の日本語とは異なる。(慣れると分かるようになる。)
「家畜用床敷材」の「請求項」
【書類名】
特許請求の範囲
【請求項1】
稚内珪藻頁岩を粉砕して得られる含水率が22重量%未満の粒体および/
または粉体を有効成分として含んでなる、粒状および/または粉状の家畜用
床敷材。
【請求項2】
稚内珪藻頁岩を粉砕して得られる含水率が22重量%未満の粒体および/
または粉体を有効成分として含有する微生物の増殖を抑制する材を含んで
なる、粒状および/または粉状の家畜用床敷材。
【請求項3】
微生物の増殖を抑制する材が、微生物を保持しつつ増殖を抑制する材であ
る、請求項2に記載の家畜用床敷材。
【請求項4】
前記粒体および/または粉体が、粒径4mm未満の粒体および/または粉
体である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の家畜用床敷材。
第4講
2011年
年9月
月 出願
早期審査請求
2012年
年3月
月 一部拒絶査定
2012年
年9月
月 優先権主張出願
早期審査請求
2013年
年3月
月 一部拒絶査定
拒絶部分に承服
2013年
年4月
月 査定
登録
○○○○
○○ ○○
○○ ○○
第4講
研
オープンイノベーションへの地域企業の参入スキーム
究
発
製 品 化
創成研究機構(
創成研究機構(プロジェクト研究
プロジェクト研究)
研究)
北海道産学官協働センター
北海道産学官協働センター
(コラボほっかいどう)
コラボほっかいどう)
シオノギ創薬イノベーションセンター
創薬イノベーションセンター
(民間財団である ノーステック
財団が管理する連携研究機関)
事 業 化
北大ビジネス・スプリング
北大ビジネス・スプリング
(中小企業基盤整備機構による
インキュベーション施設)
JST イノベーションプラザ北海道
イノベーションプラザ北海道
生物分子機能研究開発プラットフォーム
生物分子機能研究開発プラットフォーム推進
プラットフォーム推進センター
推進センター
新規事業
創成研究機構
次世代ポストゲノム
次世代ポストゲノム
研究センター
研究センター
触媒化学研究センター
触媒化学研究センター
電子科学研究所
開
北海道立総合研究機構
研究成果
イノベーション
ハイテク展開型産学官連携
先端的科学・技術
(大学・研究機関)
+ 国内外の大企業
融合
地域産学官連携
オープン
イノベーションの場
①大学発ベンチャー
②地域企業の第二創業
大企業との技術提携
基本特許と技術コアの確保
(大学と地域企業)
個々の用途に関する
大企業との共同特許
地域企業と大学等との
複合体形成
国内外の企業と連携
したビジネス展開
102
第5講
第3章
アメリカ、ヨーロッパの
イノベーション創生システム
第1節: アメリカのシステム
103
第5講
産学官連携
産学官連携システムの比較
連携システムの比較
104
第5講
シリコンバレー
Stanford
University
http://www.svicenter.com/about-us/silicon-valley/ よリ
第5講
スタンフォード大学
1891年創立
シリコンバレーの中心
2006年ニューズウイーク
世界ランキング2位
スタンフォード ファミリー
(1884)
106
スタンフォード大学における産学連携ー事業化のシステム
スタンフォード大学における産学連携ー事業化のシステム
第5講
事業化
エンジェル、ベンチャーキャピタル
ビジネススクール
インキュベーションプログラム
リエゾンオフィス:
企業からの委託研究や寄
付の受け付け。
産業界からのニーズに対
応し「
応し「技術指導」「
技術指導」「ライセ
ンス供与」「
ンス供与」「研究者によ
るコンサルティング」な
どを行う。
産業技術研究
OSR: Office of Sponsored Research
受託研究契約をサポート
TLO: Technology Licensing Office
技術移転、マーケティング
大学の研究
研究マネージメントシステム
1.大学・学部の研究分野の方向性の指示、評価
2.学部、研究室、研究者に対する経済的自立の要請
3.教授、研究者、スタッフの採用、昇進に関する人事評価システムと
金銭的インセンティブ
4.教授、研究者の産学連携を支援する大学のサポートシステム
Technology-based Economic Development の風土
107
第5講
William Hewlett and David Packard
1939年
年1月
月1日
日 ヒューレット-パッカード社を創設
ヒューレット パッカード社を創設
108
第5講
シリコンバレー
apple
intel
Google
facebook
第5講
日米欧の
日米欧のVC投資
第5講
グレーター・ワシントン
第5講
政治の街からナレッジの街へ(
政治の街からナレッジの街へ(Greater Washington)
財政・貿易の「双子の赤字」
冷戦終了
国防総省(ペンタゴン)
軍事費削減
軍事産業で解雇
+
戦力維持・高度化
+
情報通信技術の高度化
民間へ移行
ハイテクベンチャー企業誕生
国立研究所(NIH)
国立研究所(
バイオテク
・コンピューター技術
・インターネット技術
・通信
・電子商取引
・航空宇宙
・医学・生命科学
(今村勝征,産学連携学会北海道支部会後援資料,2013年3月26日)
メリーランド大学 Mtec
第5講
オープン・ラボ
Open Laboratory
113
第5講
メリーランド大学の産学連携施設 Mtech
M-テック
テック アントレプレナーシップ/イノベーション
アントレプレナーシップ イノベーション
M
エコシステム
教育
創造
連携
メリーランド
イノベーション
エコノミーの
エコノミーの
活性化
研究
コンセプト
アイディア
114
第5講
(1)
教 育
クリエート(創造
クリエート 創造)
創造
連 携
CEO プログラム
3,4年生対象
テクノロジー・ビジネス
テクノロジー・ビジネスの
・ビジネスの
インキュベーター
起業家精神とイノベーション
1,2年生対象
ベンチャー促進プログラム
メリーランド
国際インキュベーター
起業家プログラム
地域コミュニティへの
インターンシップ
メリーランド
産業パートナーシップ
スタートアップ ラボ
バイオテクノロジー研究実習
第5講
(2)
教 育
クリエート(創造
クリエート 創造)
創造
地域の起業家による
地域の起業家による
オープンアワー
連 携
知的財産センター
学部学生への起業家教育
7万
万5千ドルビジネスプラン
千ドルビジネスプラン
コンペティション
大学院学生への起業家コース
スタートアップ・
ブートキャンプ
メリーランド大学
産業支援
産業支援プログラム
支援プログラム
National Science Foundation
第5講
(Washington)
117
第5講
2013年からの新たな施策
として、:
6か月で使う、5万$(500
万円)を立ち上げ時のベン
チャーに補助する。6か月の
間にパートナーを探す。
118
Maryland, Innovation Center
州内に5つのセンターがある
第5講
NIH発のベンチャー企業が多く入居
Director, Business Innovation Network
John Korpela
レンタルオフィス、ラボが
あり、地元中小企業も利
用。
知財ライセンスが順調。
第5講
連邦研究所コンソーシアム
科学技術
科学技術ロケーター
技術ロケーター
FLC : The Federal Laboratory Consortium for
Technology Transfer
What is T2? Knowledge developed in one
place is applied in another place for some
other purpose.
FLC has an Office of Technology Transfer, OTT.
・研究室の探索
・研究室情報の提供
・リクエストの紹介
・フォローアップ
・研究所への
・研究所への紹介
第5講
テクノロジー・ロケーターの機能
・ビジネスのスタート
・製品/プロセス改善
製品 プロセス改善
・課題解決
・技術移転
リクエスター
リクエスト
マッチング
の支援
紹介
t
>
研究所の
研究所の代表
探索
相互連携
イノベーションの遺伝子
イノベーションの遺伝子
第5講
スタンフォード大学
1891年創立
シリコンバレーの中心
2014年世界ランキング2位
1869年
1869年5月10日
10日 : アメリカ横断路線開通
スタンフォード ファミリー
リーランド、リーランド・J、ジェーン
イリノイ大学 : 1867年創立
ここ10年、目覚ましい社会進出
← スタンフォード大学からの
学部長等により改革
2014年世界ランキング28位
122
第5講
「シリアルイノベーター」という考え方
(ブルース・A・ボジャック、レイモンド・L・プライス、イリノイ大学)
イリノイ大学はアメリカ中西部の有力大学で、
ここ10年間に急速な産学連携実績を上げている。
重要な課題を解決するアイディアを思いつき、その実現に欠かせない新技術を開発し、
企業内の煩雑な手続きを突破し、画期的な製品やサービスとして市場に送り出す。こ
の過程を何度も繰り返せる人材。
123
第5講
124
第5講
モンタナ州立大学
モンタナ州立大学
モンタナ州:人口100万人
モンタナ州立大学:1893年創立、学生数13,500人
卒業生はモンタナに残らない
⇒ 頭脳流出
モンタナ大学はレーザー光学の業績が優れている。
⇒ レーザー関連ベンチャー企業が大学を中心に。
集積し始めた。
125
第5講
地域で独立した「大学発ベンチャー」群
126
第5講
大学研究者、大学発ベンチャー、学生のネットワーク
毎年開かれる光学ミーティング。ここでの情報交換がベンチャー起業の重要な
スタートポイントを作っている。
127
第5講
アメリカにおける産学官連携システム
USA
Research
Education
Commercialization
Development
Funding (Angel, VC)
大学・研究機関
Venture Businesses
大学・研究所・
企業・
企業・ベンチャー
Open Labs
Connections
Connection
企業
Entrepreneurship, TLO, Support System for Start-Up
大学の活動が事業化領域まで広がり、潤沢なスタートアップ支援を背景に
大学の活動が事業化領域まで広がり、潤沢なスタートアップ支援を背景に
ベンチャー企業が数多く輩出し産業化に発展する。
年度の日本のベ
ベンチャー企業が数多く輩出し産業化に発展する。2012
企業が数多く輩出し産業化に発展する。
ンチャー投資額は
年暦年で267
億ドル(約2
ンチャー投資額は1,026 億円、米国は2012
億円、米国は
年暦年で
億ドル(約 兆7
千800 億円)である。産学官
億円)である。産学官連携の施設はインキュベーション施設的な性
産学官連携の施設はインキュベーション施設的な性
格が大きく、大学内、あるいは大学や
)などの研究
格が大きく、大学内、あるいは大学や米
大学や米国立衛生研究所(
国立衛生研究所(NIH)などの研究
衛生研究所(
所に近接して設置され、スタートアップをコーチ
所に近接して設置され、スタートアップをコーチする
コーチする大学
する大学教授や専門家が配
大学教授や専門家が配
置される。
128
スタートアップ主導型の始発
スタートアップ支援
エンジェル、 VC、
地域企業、大学、
政府
第5講
開発研究基盤の整備
③
②
スタート
④ アップ
アントレプレナー教育
⑤ 事業化
①
事業化を見据えた研究
生産、金融、販路、
物流を横断する
コネクションの整備
129
第6講
第3章
アメリカ、ヨーロッパの
イノベーション創生システム
ヨーロッパのシステム
第2節: ヨーロッパ
のシステム
130
第6講
イノベーションをマネージするとは?
◆イノベーションは制御不可能
◆イノベーションは確率的
Oulu
フィンランドの成功例から
偶然が起きる確率を
上げる環境を作る
イノベーションマネージメント
1.面積、
面積、 2.人口、
人口、 3.人口密度、
人口密度、
4.GDP(
GDP(購買力平価、
購買力平価、2002年
2002年)、5.一人当たりGDP(
一人当たりGDP(2001
GDP(2001年
2001年)
フィンランド
1. 33.
33.7万km2
2. 518万人
518万人
3. 15人
15人/km2
4. 1,315億ドル
315億ドル
5. 26,
26,500ドル
500ドル
日本
1. 37.
37.8万km2
2. 12,
12,697万人
697万人
3. 336人
336人/ km2
4. 39,
39,934億ドル
934億ドル
5. 26,
26,700ドル
700ドル
北海道
1. 8.3万km2
2. 568万人
568万人
3. 68人
68人/ km2
4. 1,874億ドル
874億ドル
5. 25,
25,841ドル
841ドル
131
第6講
アイディアの創造は
偶然から
オウルテクノポリスの
ヒット商品
(1990年代前半)
年代前半)
腕時計型心拍計
132
クロスカントリースキーと日の出がニーズとシーズを合体させた
第6講
福祉協会の会長とオウル大学電子工学科教授 (写真はイメージ)
133
(1995)
フィンランドにおけるイノベーションシステムのキー・アクター
資金(
資金(民間系)
第6講
資金(
資金(官系)
商品化
地域システム
リエゾン機能
企業支援
研究所
地域T-Eセンター
地域 センター
産業技術化研究
大学
専門職センター
基礎研究
VTT
国による産業化
システム
文部省
通産省
134
第6講
アイルランド
135
第6講
第6講
Food Chemistry
and Technology
Food Biosciences
16 – permanent researchers
15 – contract
3 – industry
4 – technicians
41 students
16 – permanent researchers
16 – contract
4 – technicians
24 students
27 Projects
28 Projects
Food Programme
Food Safety
7 – permanent researchers
9 – contract
2 – technicians
16 - students
16 Projects
Moorepark
22 Permanent Researchers
11 technicians
11 MTL
Food Industry
Development
9 – permanent researchers
1 – contract
11 – technicians
5 students
10 Projects
第6講
Teagasc 政府系の食品研究機構
MTL
3,000㎡以上の超近代的なパイロット施設
Industry)
BioScience
Technology
Moorepark Food
Mooreparkは、コーク市街から約50km
Teagasc(チャーガスク)、FHIもMoorpark内
に拠点を構え、大学の教員も出向。
研究成果の実証試験をon timeに検証できる体制
が構築されている。
138
第6講
開発研究の4つのディメンジョン (Teagasc)
4 Dimensions of RDI in the Food Sector
成果
公知
Results
Open
低い
守秘
Low
to
Moderate
Closed
Commercial
マーケットの展開
Deployment
リスクと
必要な
資金
市場投入
Market Introduction
ビジネス
価値創造と
競争力
製品開発
Risk
&
Capital need
Value creation
&
Competitiveness
Product Development
Applied Research
応用研究
Basic Research
人類共通
基礎研究
高い
Society
High
Time Horizon
>5 years
1-5 years
時間
<1 year
139
研究 VS. 開発
第6講
Research Versus Development
The R:D Split
「研究:開発」の分割
成果までの時間
Time to product
基礎研究
>5 years
応用研究
1-5 years
Basic Research
Applied Research
製品開発
<1 year
Product Development
食品会社A
R&D 95:5
大学
R&D 5:95
食品会社B
R&D 40:60
R&D 75:25
チャーガスク
(開発研究機関)
食品会社C
R&D 0:100
140
の活動:日本では?
第6講 FHIの活動:日本では?
Food for Health Ireland
健康への様々な要求
乳の高品質化
バイオアッセイ
食品化
介入試験
要請
マーケティング
販売
スケールアップ
高機能化
農水省
文科省
農研機構
大学
厚労省
病院・保健所
文科省
大学
農水省
文科省
農研機構
大学
厚労省
病院・保健所
経産省
食品メーカー
141
第6講
オランダ
地域の特色を活かし、
集中的に発展させる。
地域の成果を結集して
国家の活性化を図る。
142
第6講
フードバレー
オランダ・ワーヘニンゲン
Food Valleyとは?
とは?
◆1997年にワーヘニンゲンに産学官が一体となって世界
年にワーヘニンゲンに産学官が一体となって世界
規模の食品研究開発拠点を目指して形成
◆多数の食品研究者の育成、食品ベンチャー企業の輩出、
民間食品企業と研究機関の活発な交流を実現、
民間食品企業と研究機関の活発な交流を実現、世界的
なアグリフード研究拠点として成功(2010年時点で
年時点で
なアグリフード研究拠点として成功(
1442食品関連企業が所在)
食品関連企業が所在)
◆オランダの伝統的な酪農産業をベースに食品バイオテ
クノロジーを推進、ライフサイエンス、食品、健康、
栄養、農業分野で幅広く研究やビジネスを展開
◆ワーヘニンゲンURは、オランダフードバレーの中心
的(象徴的)な研究機関
Food Valley Officeとは?
とは?
◆企業主導による研究の実用化、事業化支援を目的とし
て2004年に組織化(ほとんどが企業からの出向)
年に組織化(ほとんどが企業からの出向)
◆企 業からの会費と公的資金の援助による運営
◆主な活動は、
・企業と研究機関との共同研究支援
・中小企業に対する最新技術の提供
・外部から独自のノウハウを持つ食品企業の誘致
・新規起業の支援(ビジネスプラン・資金面)
・インフラ整備の際の政府に対するロビー活動
関連する売上:8兆円
関連する売上: 兆円/年
兆円 年
第6講
Dr. Bernold Kemperink
Dr. Anne Mensink
Prof. Charon Zonderwan
Wageningen UR
ワーヘニンゲン市内
第6講
ワーヘニンゲンの戦略
研究拠点の形成
1876:農業学校設立
:農業学校設立
1916:高等教育機関となる
:高等教育機関となる→ワーヘニンゲン大学
:高等教育機関となる ワーヘニンゲン大学(公立
ワーヘニンゲン大学 公立)の前身
公立 の前身
1997:ワーヘニンゲン食品科学センター(科学とビジネスの出会い)
:ワーヘニンゲン食品科学センター(科学とビジネスの出会い)
1997:ワーヘニンゲン農業大学とオランダ農業省農業研究所
:ワーヘニンゲン農業大学とオランダ農業省農業研究所(DLO)が合併
が合併
:ワーヘニンゲン農業大学とオランダ農業省農業研究所
1998:ワーヘニンゲン
:ワーヘニンゲンUR
設立
:ワーヘニンゲン (University & Research Center)設立
ワーヘニンゲン大学 : U, DLO : R
2002:国際ニュートリゲノミクス
:国際ニュートリゲノミクス学会
:国際ニュートリゲノミクス学会設立
学会設立
2004:
:NuGO (The European Nutrigenomics Organization) 設立
EUからの支援を受け,活動をヨーロッパ全域に広げる
からの支援を受け,活動をヨーロッパ全域に広げる
メタボリックシンドロームの克服をターゲット
産業研究機関・RD企業の集積
産業研究機関・ 企業の集積
TNO(オランダ応用科学研究機構)
(オランダ応用科学研究機構)
NIZO(食品研究所;
(食品研究所;1948年オランダ酪農連合により設立)
年オランダ酪農連合により設立)
(食品研究所;
DSM(ライフサイエンス企業)
(ライフサイエンス企業)
世界の企業とネットワーク化
1500社を超える。ネットワークの周辺では自発的にネットワークが拡大。
社を超える。ネットワークの周辺では自発的にネットワークが拡大。
ネットワークに入っているだけで信用が増す。
145
第6講
大学と開発研究機関との緊密な連携
大学
農業技術&
食品科学
動物科学
環境科学
ワーヘニンゲン
インターナショナル
植物科学
社会科学
海洋生態研究所
ビジネススクール
食品&
バイオ研究
畜産研究センター
獣医学研究所
自然環境研究所
植物研究
国際植物研究
イノベーション推
進のための農業
経済研究センター
食品安全研究所
開発研究機関
146
第6講
Total Management by Food Valley Office
競争的研究
食品研究所
企業
オランダ応用科学研究機構
Contract Research
Organization
前競争的研究
応用研究センター
大学
応用研究
基礎研究
147
第6講
企業群によるネットワーク形成
(320億円)
ネットワーク主導型の始発
第6講
地域企業の参加、
政府の支援
開発研究基盤の整備
開発研究/商品化の誘起
開発研究 商品化の誘起
④
起業家の関心を惹起
② アイディアの探索
⑤
③
研究情報の権利化
①
事業化
ネットワークによる
社会ニーズの明確化
生活ニーズ、国家
戦略、技術基盤、
販路、物流を掌握
したネットワークの
形成
149
オランダにおけるインキュベーションの例
第6講
University of Twente, Enschede
VentureLab Twenty,
Prof. Dr. Aard J. Groen
Professor of Innovative Entrepreneurship
School of Management and Governance
オランダ・Twente の ベンチャーラボ・インターナショナルにおける起業家
ベンチャーラボ・インターナショナルにおける起業家教育の
おける起業家教育のコンセプト
教育のコンセプト
起業・会社の成長を成功させるために何が必要か? 4Sモデル
モデル
第6講
必用
Scope : アイディアと戦略
Scale : 資金調達
Social:
: 社会との
社会との
ネットワーク
Skills : 組織のパターン
失敗
成功へ導く支援の方法
・アイディア
・チャンスの評価
・チャンスの評価
・プロセスの戦略
・プロセスの戦略
・ビジネス
プラン
・戦略のブレ
・技術偏重
・志不足
・戦略のコーチ
・自己資金
・開発期間
・投融資
・投融資
- VC -ローン
・デスバレー
・販売までが遠い
・ハイコスト,
・ハイコスト,
ハイリスク
・資金不足
・ソフトローン
・協調融資
・VC
→ アクセス
・学術ネットワーク
・小さな市場
・ネットワーク無し
・仲買業者を紹介
・単一専門チーム
単一専門チーム
・マネジメント
スキル無し
スキル無し
・知識の供与
・オフィススペース
・組織作りの
・組織作りの
サポート
コンタクト:
コンタクト
・クライアント
・サプライヤー
・専門家
・仲間
・支援機関
・文化,価値,規範
・施設
・個人計画とシス
・個人計画とシス
テム
・知識
151
第6講
ヨーロッパ(北部)における産学官連携システム
Europe (North)
Research
Commercialization
Development
TLO, Support System and Funding for Start-Up
大学・研究機関
Development のための
政府系研究機関
Open Labs
Networks
企業
Governmental Support System
北部ヨーロッパでは大学は基礎研究を行う組織であるとの認識が
強く、開発研究は政府や民間研究機関が担っている。
このような開発研究機関は地域、大学、企業、官との強固なネット
ワークを持っていて、事業化に向けた取り組みの初発はネットワーク
の機能から生まれるケースが多い。地域に産業の蓄積が弱いフィン
の機能から生まれるケースが多い。地域に産業の蓄積が弱いフィン
ランド、アイルランドやオランダでは特にこの型が機能している。
ランド、アイルランドやオランダでは特にこの型が機能している。
152
第6講
イタリア
トリノ
トリノ工科大学
:人口170万人、自動車産業を中心とするイタリア第
万人、自動車産業を中心とするイタリア第2の
:人口
万人、自動車産業を中心とするイタリア第 の
工業集 積地
トリノ工科大学 :学生3
:学生 万2,000 人を擁し、28
人を擁し、 の学部コース、32
の学部コース、 の修士
コース、24
コース、 の博士コースを持ち、情報工学、機械工学、
生物工学まで 幅広い工学分野を網羅。(公立
幅広い工学分野を網羅。 公立/トリノ
公立 トリノ)
トリノ
産学官連携
と部門
:「研究支援・技術移転本部」が総合的マネジメントを
「研究支援・技術移転本部」が総合的マネジメントを
行っている。
本部は「開発研究資金部門」「外部資金研究プロジェク
ト部門」 「技術移転・産業リエゾン部門」からなり、研究
者の探索、共同研究、 資金調達、外部産業振興機関
資金調達、外部産業振興機関
との調整、技術移転契約、知財、 イノベーション創出ま
イノベーション創出ま
で広く産学連携業務をカバーしている。
2 程度のインキュ
大学敷地内に3
大学敷地内に 階建ての、2,000m
階建ての、
ベーション施設を置く。
I3P(
(Incubator Imprese〔
〔事業〕
)
事業〕Innovation Politecnico)
第6講
トリノ工科大学の産学官連携風景
I3Pのレンタルルーム
責任者に女性が多い
I3P 3階カンファレンスホール
階カンファレンスホール
大学キャンパス
Organization
第6講
Research Support
and Technology
Transfer Area
研究支援技術移転本部
Administration, Budgeting
and Secretary Unit
Institutional Agreements
and Participating
Institutions Office
技術移転・企業リエゾン部門
Research Fund Raising
Division
Research Projects Funded
Support Management
Division
Technology Transfer and
Industrial Liaison Division
研究資金調達部門
外部資金研究プロジェクト
マネージメント部門
Excellent Science and
Researchers Mobility
Office
Collaborative Projects
Office
Regional, National,
European Project
Management Office
Commercial
Agreements and
Technology Transfer
Office
Financing Institutions
and Internal Structure
Relations Office
Innovation Front End
Office
Research Support and Technology Transfer Area
Politecnico di Torino
155
第6講
ヨーロッパ(トリノ型)における産学官連携システム
Research
Development
Commercialization
トリノ工科大学の産学官連携では米国におけるエンジェルやベン
トリノ工科大学の産学官連携では米国におけるエンジェルやベン
チャーキャピタルが担っている役割を大企業と政府が担い、北部
チャーキャピタルが担っている役割を大企業と政府が担い、北部
ヨーロッパと異なり開発研究を大学とその周辺施設が行っている。
その前提として、大学における起業家教育、ベンチャービジネスの
養成があり、大学の研究意識も企業とオーバーラップしている。
156
第7講
第4章
日本のイノベーション・システム
日本
のイノベーション・システム
第1節: スタートアップ型と
ネットワーク型
157
基本的法整備
リエゾン母体構築
ベンチャー
起業推進
知財移転
推進
出資,
イノベーションネットワーク 事業化推進 (出資,
構築(重点地域設定
構築 重点地域設定)
重点地域設定
投資,起業家育成
投資,起業家育成)
,起業家育成
1995年
年 科学技術基本法
1996年
年 第一期科学技術基本計画
我が国の産学官連携に
我が国の産学官連携に
関する主な法整備と政策
関する主な法整備と政策
1998年
年 技術移転促進法(TLO法)
2000年
年 第二期科学技術基本計画
2000年
年 産業技術力強化法
2001年
年 平沼プラン・大学発 ベンチャー
3年間
年間1000社
社
年間
2000年
年 経産省:産業クラスター
2001年
年 文科省:知的クラスター
都市エリア産学官連携推進事業
2002年
年知的財産基本法
2004年
年 国立大学法人化
2003年大学知的財産整備
年大学知的財産整備
事業(5年間)
事業( 年間)→知財本部
年間) 知財本部
2004年
年 教育基本法改正
2006年
年 第三期科学技術基本計画
2007年
年イノベーション25(内閣府)
イノベーション (内閣府)
2008年文科省と経産省の融合による
年文科省と経産省の融合による
地域イノベーション政策
地域イノベーション政策
2010年文科省イノベーション
年文科省イノベーション
基盤整備事業
基盤整備事業
2009年
年 ㈱産業
㈱産業革新
革新
機構 (経産省
経産省)
経産省
2011年
年 第四期科学技術基本計画
2011年
年文科省地域
文科省地域イノベーション
地域イノベーション
戦略支援プログラム
戦略支援プログラム
2011年
年 文科省URA
文科省
2015年
年 研究支援システム
2013年文科省革新的イノベーション
年文科省革新的イノベーション
創出プログラム COI STREAM
2016年
年 第五期科学技術基本計画
2016年
年文科省地域イノベーション
文科省地域イノベーション・
地域イノベーション・
エコシステム形成プログラム
2012年
年 文科省:
官民イノベーション
官民イノベーション
プログラム(出資事業
プログラム 出資事業)
出資事業
2014年
年 文科省:
EDGEプログラム
プログラム
(起業家育成事業
起業家育成事業)
起業家育成事業
第7講
スタートアップの推進
159
第7講
ベンチャー企業・新規事業を生み出すシステム (北海道)
事業化・ベンチャー起業
【小樽商科大学ビジネス創造センター(
小樽商科大学ビジネス創造センター(CBC)】
CBC)】
【北大産学連携本部等】
北大産学連携本部等】
資金提供機能
・金融 (地銀)
・ベンチャーキャピタル
・政府系資金
創業支援機能
・創業、経営支援
・法規に関する支援
・MOT教育
(インキュベーション機能)
【大学共同研究センター】
大学共同研究センター】
【北大創成プロジェクト研究部門 】
【コラボほっかいどう】
コラボほっかいどう】
【ビジネススプリング】
ビジネススプリング】
【公設研究機関】【
公設研究機関】【産総研
】【産総研】
産総研】
【日本政策投資銀行】
日本政策投資銀行】
【北大アンビシャスファンド】
北大アンビシャスファンド】 【北海道VC
北海道VC】
VC】等
産業技術化研究
リエゾン機能
・市場を見据えたシーズ発掘
・産学官プロジェクト研究の
コーディネート
・戦略的テーマ設定
【大学共同研究センター】【
大学共同研究センター】【北大産学連携本部
】【北大産学連携本部】
北大産学連携本部】
【コラボほっかいどう】【
コラボほっかいどう】【HiNT
】【HiNT】
HiNT】等
研究資金提供機能
・文科省、経産省
・NEDO、
NEDO、JST
・地方自治体
技術移転機能
・技術シーズの知財化
・企業への技術移転
・マーケティング
【北海道TLO
北海道TLO株式会社~
TLO株式会社~2009
株式会社~2009】
2009】
【北大産学連携本部】
北大産学連携本部】
大学における学術研究の蓄積
160
第7講
Venture Business from Universities and Institutions
Number of Start-Ups
Univ.
Inst.
Before 1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
(Source::JST Industry
Industry--Academia
Academia--Government
(Source
2010--2011
2011))
Cooperation Data Book, 2010
©ARAISO 2016 IPBRC , H.U.
161
第7講
ネットワーク型の発展
政府による地域イノベーションプログラムの
政府による地域イノベーションプログラムの進展
イノベーションプログラムの進展
第7講
2007年: 第3期科学技術基本計画
◆人材育成 ◆国際化 ◆地域科学技術の振興
2012年: 第4期科学技術基本計画
上記3重点領域に加え ◆防災
2001年度: 経済産業省「産業クラスター計画」
2002年度: 文部科学省「知的クラスター創成事業」
「都市エリア産学官連携推進事業」
2008年度: 経済産業省「地域イノベーション創出共同体形成事業」
他に、農林水産省・国土交通省、環境省で地域イノベーションを支
援するプログラムを遂行
2009年度: 経済産業省・文部科学省「産学官連携拠点形成」
経済産業省「先端イノベーション拠点整備事業」(16拠点)
文部科学省「地域産学官共同研究拠点整備事業」(47拠点)
㈱産業革新機構(経産省のバックアップ)
2010年度: イノベーションシステム整備事業(文科省)
1012年度: 地域イノベーション戦略支援プログラム(文科省)
大学に対する出資事業 (文科省)(1200億円→4大学)
大学発新産業創出拠点プロジェクト (文科省)(事業プロモーター)
2013年度: 革新的イノベーション創出プログラム COI-STREAM (文科省)
2015年度: アベノミクス地方創生に関連する創業・中小企業支援プログラム
163
第2期知的クラスター創成事業
第7講
出典:文部科学省、知的クラス
ター創成事業(平成20年度版)
164
第7講
165
第7講
文科省事業における
地域プロジェクトテーマ設定の要因
1.優位性のある科学技術
例:長野・上田スマートデバイスクラスター(知的クラスター)
信州大学のナノカーボン技術
2.優位性のある産業集積
例:福岡システムLSI設計開発クラスター(知的クラスター)
半導体大手企業の設計開発部門、LSI設計ベンチャーの
産業集積
3.優位性のある地域資源
例:函館マリンイノベーション(都市エリア)
イカとガゴメこんぶ
イカとガゴメこんぶ
166
第7講
地域イノベーションの発展過程
【科学技術型】
科学技術型】
大学主導型
大学等の優位
な科学技術
企業
との連携
産学官連携
研究
産業主導型
R&D産業の
R&D産業の
集積
研究資金の増加
研究機関・研究者の増加
論文・特許の増加
研究資金の増加
ライセンス収入の増加
新研究領域形成
企業間アライ
アンス形成
事業化
大学等
との連携
共同研究企業
の増加
売り上げ・雇用
の増加
自治体等のグランドデザイン
【地域資源型】
地域資源型】
地方自治体
公設試
地域企業
大学・公設試等による
当該テーマの研究
優位性を持つ
地域資源
地方自治体、公設試、
地域科学技術財団等に
よる産学官連携の基盤
整備とネットワーク構築
研究機関・研究者の増加
167
函館都市エリア「マリン・イノベーションによる地域産業網の形成」
(http://www.techakodate.or.jp/found/urban/index.htm より引用)
第7講
第7講
函館都市エリア事業における
研究・コーディネーション機関
第7講
地域産学官連携の
全道展開
函館市が変わる
170
第7講
函館都市エリア 「エリア内参画企業」
(有)アイジャード
(有)山久朝妻商店
(株)池見石油店
イシオ食品(株)
(株)エスイーシー
(有)SKフード企画
渡島冷蔵(株)
(株)梶原昆布店
(有)ガッツ
(株)かまだ商店
上磯郡漁業協同組合
及能(株)
工藤 徹
(株)古清商店
(株)五島軒
(株)C&C
(株)菅製作所
(有)菅原海洋開発工業
(有)スクリーンプロシモダ
青函観光開発(株)
タナカ冷機工業(株)
(株)力寿し
カネセン千葉水産(株)
出口製麺(株)
(株)寺島商会
(株)天狗堂宝船
(株)道水
道南食品(株)
(株)東和電機製作所
(株)時兼畜販
(株)中合 棒ニ森屋店
(株)中山薬品商会
食彩なとわの里(あん太郎
本舗)
日糧製パン(株)函館事業
所
日本化学飼料(株)
(株)ノース技研
(有)リ丁能戸水産
(有)バイオクリエイト
函館酸素(株)
函館そばや友の会(東京庵
支店)
(株)はこだて柳屋
函館えさん昆布の会・(有)
さいとう
(2008年12月)
(株)ハンダ
(株)富士海洋土木
(株)不二屋本店
(株)山久古田商店
北海道製菓(株)
(株)丸ト松永商店
マルキチ食品(株)
三印三浦水産(株)
菓子司水野屋
道場水産
山一食品(株)
(株)ヤマダイフーズプロセ
シング
ヤマトタカハシ(株)北海道
昆布館
(株)湯の川観光ホテル
(株)陽樹
合名会社吉田食品
(株)リージャスト
脇商事(株)
(株)渡辺商店
第7講
函館都市エリア 「エリア外参画企業」
(2008年12月)
道内参画企業
道外参画企業
(株)アルファ水工コンサルタンツ(札幌)
(株)石狩水産(札幌)
エア・ウォーター(株)北海道支社(札幌)
カネジン食品(株)(札幌)
北日本港湾コンサルタント(株)(札幌)
共和コンクリート工業(株)(札幌)
昭和冷凍プラント(株)(釧路)
(株)電制(札幌)
(株)トライ・ビー・サッポロ(札幌)
(株)ニッコー(釧路)
日本データサービス(株)(札幌)
(株)北陽(札幌)
(株)北海大和(札幌)
エムアールシーポリサッカライド(株)(東京)
菊池食品工業(株)(東京)
四国化工(株)(香川)
(株)ジョッキ(東京)
(有)水産経営技術研究所(東京)
(有)タカハシ食品(東京)
(有)玉藻屋(千葉)
(株)鉄組潜水工業所(静岡)
日水製薬(株)(東京)
日本ヘルス(株)(神奈川)
(有)樋口海産(熊本)
芙蓉海洋開発(株)(東京)
(株)マルハチ村松(静岡)
(株)和気食品(東京)
(株)昆布ロード研究所(大阪)
第7講
科学技術基盤事業創生の構造要素
科学技術基盤事業創生の構造要素 (USA, Europe)
① アントレプレナーに対するインキュベーション機関・施設
アントレプレナーに対するインキュベーション機関・施設 (USA)
② アントレプレナーシップ教育部署・機関
アントレプレナーシップ教育部署・機関 (USA)
③ スタートアップに対する資金・経営、および外部とのコネクション
スタートアップに対する資金・経営、および外部とのコネクション
形成支援機関
形成支援機関 (USA, Europe)
④ 知的財産に関する戦略・
知的財産に関する戦略・管理
財産に関する戦略・管理部署
管理部署 (USA, Europe)
⑤ 大学・基礎研究機関が参加して事業化に向けた開発研究を行う
大学・基礎研究機関が参加して事業化に向けた開発研究を行う
独立機関
ここで基礎研究と開発研究の本質的
独立機関(部署
機関 部署)
部署 (ここで基礎研究と開発研究の
ここで基礎研究と開発研究の本質的差異に留意
本質的差異に留意)
差異に留意
(Europe)
⑥ ①~⑤までの要素を複合した形態として:
a)クラスター型テクノポリス
クラスター型テクノポリス (USA、
、Europe)
b)研究機関・企業・各種支援組織からなるネットワーク体
研究機関・企業・各種支援組織からなるネットワーク体 (Europe)
c) 広域的・国際的な広がりを持つ企業のネットワーク (Europe)
第7講
我が国と欧米の科学技術基盤産業創生体制
我が国と欧米の科学技術基盤産業創生体制の相違
の科学技術基盤産業創生体制の相違
◆北部ヨーロッパ
北部ヨーロッパでは、企業活動と大学等の基礎研究の間に「産業科学技術
ヨーロッパでは、企業活動と大学等の基礎研究の間に「産業科学技術研
では、企業活動と大学等の基礎研究の間に「産業科学技術研
究」を明確に目的とし、世界的な研究者を配置した研究機関があるが、
究」を明確に目的とし、世界的な研究者を配置した研究機関があるが、我が
明確に目的とし、世界的な研究者を配置した研究機関があるが、我が
国では不十分である。
国では不十分である。
◆アメリカでは大学の活動が産業界に近い部分まで広がっていて、産業化をサ
ポートする
ポートする機関および資金支援が
する機関および資金支援が機能している。我が国では類似の機関は
機関および資金支援が機能している。我が国では類似の機関はあ
機能している。我が国では類似の機関はあ
るものの、その機能は不十分である
ものの、その機能は不十分である
◆イタリアでは政府・大企業の資金支援のもとアメリカ型の産学官連携が機能
している.
している 日本ではこの段階での資金支援が不十分である。
我が国に必要な力と、その力を発揮させる方策
◆我が国では、大学・研究機関と企業研究部署が優れた研究を行なって
おり、その力は欧米に遜色ない。
◆すでにある施設や機能をコーディネートする力
◆社会ニーズと科学技術の蓄積から商品アイディアorコンセプトを創出する力
◆社会ニーズと科学技術の蓄積から商品アイディア コンセプトを創出する力
◆創出された商品アイデアを、科学技術を基盤として実体に持っていく力
◆アイディアの創出から、ビジネス化までを一貫しマネージメントする力
→ コーディネーター、
コーディネーター、イノベーションマネージャー
イノベーションマネージャーの育成
マネージャーの育成
→ 資格化等による社会的地位、プロジェクトにおける地位の向上
→ 優れた人材を活用する施策
優れた人材を活用する施策
◆銀行系・官系の資金支援と起業家教育の充実
174
日米欧
日米欧の科学技術基盤事業創生に
科学技術基盤事業創生に関わる機関・組織
関わる機関・組織
第7講
USA
Research
Education
Commercialization
Development
Funding (Angel, VC)
Venture Businesses
大学・研究所・
企業・ベンチャー
大学・研究機関
Open Labs
Connections
Connection
企業
Japan
Europe (north)
Entrepreneurship, TLO, Support System for Start-Up
TLO, Support System and Funding for Start-Up
Development 研究機関
研究機関
Open Labs
Networks
大学・研究機関
企業研究所
Open Labs
共同研究
企業
知財移転機関、TLO
知財移転機関、
大学等
Development 研究が弱い
政府系研究機関(独立
政府系研究機関 独立)
独立
企業研究所
公設試(地方独立
公設試 地方独立)
地方独立
企業
175
第7講
第4章
日本のイノベーション・システム
日本
のイノベーション・システム
第2節: システムの発展方向
176
第7講
近未来に可能な
近未来に可能な日本型システム
Japan (近未来)
Japan (現在)
Research
Development
Open Labs
Commercialization
知財移転機関、TLO
知財移転機関、
共同研究
大学等
産学連携による製品(商品
産学連携による製品 商品)
商品
開発研究組織
開発研究組織が
組織が脆弱
政府系研究機関(独立
政府系研究機関 独立)
独立
企業研究所
公設試(地方独立
公設試 地方独立)
地方独立
Open Labs
Governmental Fund,
Bank
企業
知財移転機関、TLO
知財移転機関、
共同研究
Management, Coordination
機関の確立が重要
機関の確立が重要
政府系研究機関(独立
政府系研究機関 独立)
独立
企業研究所
公設試(地方独立
公設試 地方独立)
地方独立
大学等
Governmental Fund,
Bank
企業
第7講
コーディネーターとは
・研究者が企業を探す
・企業が研究者を
・企業が研究者を探す
研究者を探す
マッチング
(目利き)
(目利き)
産学官連携を促進
させる人材
・フェア、ネットワークで
・コーディネーターの仲介
仲介型コーディネーター
共同研究
事業化
・「何をどこまで」の明確化
・契約締結
・知的財産戦略
・事業化戦略
・マーケティング
・ビジネスプランの作成
・事業化戦略
・スタートアップ資金
・製作、流通、販売
・社会との連携
社会との連携
主体は研究者と企業家
プロデューサー型
コーディネーター
⇒ イノベーション
マネージャー
インキュベーション
マネージャー
名称、および活動領域は
確定したものでは
確定したものではない
したものではない。
ない。
178
ネットワーク主導型の始発
第7講
地域企業の参加、
政府の支援
開発研究基盤の整備
開発研究/商品化の誘起
開発研究 商品化の誘起
④
起業家の関心を惹起
② アイディアの探索
⑤
③
研究情報の権利化
①
事業化
ネットワークによる
社会ニーズの明確化
生活ニーズ、国家
戦略、技術基盤、
販路、物流を掌握
したネットワークの
形成
179
我が国の科学
我が国の科学技術基盤型イノベーションに必要なシステム(1)
科学技術基盤型イノベーションに必要なシステム(1)
第7講
ビジネス戦略と科学技術拠点
ビジネス戦略と科学技術拠点
a) ネットワーク主導型を基本として戦略的ビジネス領域を設定(中・長期的)
b) 短期的商品分野
短期的商品分野を提示
分野を提示 → 起業家(企業家
起業家 企業家)の関心を惹起し、必要なコーディ
企業家 の関心を惹起し、必要なコーディ
ネーションを行う
c) 商品開発研究
商品開発研究の
研究の資金と場所
資金と場所の確保
と場所の確保
d) 商流・
商流・流通・
流通・販売に
販売に関する企業ネットワークの確立
e) スタートアップが発生する場合はそのコーチングとソーシャルコネクション形成
コーディネーター/イノベーションマネージャーの
コーディネーター イノベーションマネージャーの
育成と活躍の場
a)
b)
c)
d)
コーディネーター/イノベーションマネージャー育成機関の確立
コーディネーター イノベーションマネージャー育成機関の確立
コーディネーターの活動の場を政策的にも確立
コーディネーターの起業家への道を支援
イノベーションマネージャーの組織内評価を明確化し、キャリアー化する
180
我が国の科学
我が国の科学技術基盤型イノベーションに必要なシステム(2)
科学技術基盤型イノベーションに必要なシステム(2)
第7講
大学におけるアントレプレナーシップ教育
a) 大学理系の学部・大学院におけるアントレプレナーシップ教育
i) 起業家精神とイノベーション
ii) ビジネスアイディア形成の演習
ビジネスアイディア形成の演習
iii) 組織の基礎とCEOの役割
iv) テクノロジービジネスのインキュベーター設置 、等
b) R&D企業へのインターンシップ、オープンアワー
c) 産業界との連携プログラム
業界との連携プログラム
R&D型新規事業育成(開業後の発展)への資金支援
a) 既存の政府系中小企業支援メニューと異なり、R&D型新規事業の育成に
関しエンジェル、VCの役割を果たす政府系支援体制を構築
(経産省、農水省等)
b) 政策金融公庫等の機能をR&D型新規事業の育成に対し充実させる
181
第7講
第4章
日本のイノベーション・システム
日本
のイノベーション・システム
第3節: ケーススタディ ;
北海道のシステム
182
第7講
リサーチ&ビジネスパーク推進協議会
北大R&Bパーク推進協議会
によるグランドデザイン
地域連携協定の締結
北 海 道
北大R&Bパーク推進協議会メンバー
北海道(会長)、北海道大学(副会長)、北海道経済連合
会(副会長)、経済産業局、開発局、札幌市、日本政策投
資銀行、JST
資銀行、JST、
JST、産総研、北海道科学技術総合振興セン
ター(ノーステック財団) 、北海道TLO
、北海道TLO
R&Bパーク形成ツール(2004年着手分)
■技術経営(MOT)講座の開設
■インキュベーションモデル事業
■産学官共同研究基盤調査
■コアコーディネーターの設置
■R&Bサテライトの開設
(都心のサテライト)
■金融機関協働による産学官連携システム
の構築
北海道大学
札 幌 市
北海道経済
連合会
経済産業局
網の目の包括連携 人・組織の一体化
2004.7.30
183
第7講
北大リサーチ&ビジネスパーク
リサーチパークの
形成
新産業・新市場
大企業
中堅企業
海外企業
商社
金融
営業
拠点
地域企業
リサーチパーク
研究部門
R&D
会社
インキュベーション 施設
LLC
オープン ラボラトリー
支 援
試作支援
技術支援
自治体
道総研
政府地方局
公設試
支援センター等
ベンチャー
企業
≪共同研究≫
研究支援職(URA)
研究支援職(URA)
(公益財団法人)
北海道科学技術
総合振興センター
(ノーステック財団)
知財
MOT
オープン
ファシリティー
《連携支援》
《教育》
《研究》
国の政策
大学
《新産業の方向提示、資金補助》
184
北海道における戦略的産学官連携
札幌駅
法・文・教育・経済学部
農学部
第7講
北大病院
薬学部
理学部
医学部
遺伝子病制御研究所
歯学部
工学部
大学院
学部
低温科学研究所
獣医学部
北キャンパス エリア
(北海道大学)
電子科学研究所
北海道立総合研究機構
地質研究所
人獣共通感染症
リサーチセンター
創成研究機構
触媒化学研究センター
北海道立総合研究機構
環境科学センター
北海道立総合研究機構 本部
北海道立総合研究機構 工業試験場
先端生命科学研究院附属
次世代ポストゲノム研究センター
北海道立衛生研究所
産学推進本部
創成研究機構
プロジェクト研究棟
産
シオノギ 創薬
イノベーションセンター
生物機能分子研究開発
プラットフォーム推進センター
連携型起業家育成施設
北大ビジネススプリング
北海道産学官協働センター
(コラボほっかいどう)
創成研究機構
創成研究機構
官
北海道産学官協働センター
北海道産学官協働センター
(コラボほっかいどう)
コラボほっかいどう)
生物機能分子研究開発
プラットフォーム推進センター
(ノーステック財団)
シオノギ創薬
シオノギ創薬イノベーションセンター
創薬イノベーションセンター
北海道立総合研究機構
工業試験場
北大ビジネススプリング
北大ビジネススプリング
(中小企業基盤整備機構による
インキュベーション 施設)
185
新規事業
創成研究機構
次世代ポストゲノム
次世代ポストゲノム
研究センター
研究センター
触媒化学研究センター
触媒化学研究センター
電子科学研究所
学
第7講
コラボほっかいどう
公益財団法人北海道科学技術総合振興センター
(ノーステック財団)による運営
● 研究開発支援事業
(オープンラボ、資金援助)
● 産業クラスター形成事業
● 産学官連携事業
186
第7講
北海道立総合研究機構
工業試験場
地方独立行政法人が運営する「試験研究機関」
● 地域企業への技術支援
● 地域企業との共同研究
● 地域ニーズに応える先端研究
● 地域企業と大学の架け橋
187
第7講
北大 ビジネス・スプリング
中小企業基盤整備機構による
ビジネス・インキュベーション施設
● R&D企業とベンチャー企業を中心とした施設提供
R&D企業とベンチャー企業を中心とした施設提供
● 企業育成のためのマネージメント支援
● 事業化・ベンチャー起業を目指す
研究へのラボ提供
188
第7講
地域連携型イノベーション
地域連携型イノベーション (北海道型)
アイディア
ビジネス戦略 概念設計
開発研究
試作
マーケティング
生産
販売企画
販売
社会のニーズ
科学技術のののの蓄積
◆地域イノベーションフロー
大学等の産学連携本部 (TLO機能を含む)
・企業からのワンストップ窓口
ベンチャー企業
・知財法務・知財戦略
◆イノベーションマネージャー
◆コーディネーター 大学・研究機関
ネットワーク
地域企業
自治体、政府地方局
の産業・科学技術
の産業・科学技術部
・科学技術部
署(経産局、中小企
業庁、中小企業基盤
整備機構等)
公設試
地域科学技術財団等
地域科学技術財団等
地域企業(再アライアンス)
支援センター
JST・
JST・NEDO・
NEDO・独法
アーリーステージ支
援、開発研究支援
地域イノベーションのコア
金融(政策金融公庫、
信用金庫、VC、
信用金庫、 、クラウ
ドファンディング含む)
地域外企業 (大
企業)、外国企業、
企業)、外国企業、
海外VC
海外VC
全国・国際展開
189
第8講
第 5章
次世代イノベーション
190
第8講
次世代イノベーションを考える上で
資本主義は生き延びることができるか
資本主義は生き延びることができるか
シュンペーター 「経済発展の理論」 1912-1926年
年
★否:イノベーションがルーチン化して発展の原動力としての勢いを失う
★何か別のものへ変化する:社会主義と呼ぶかは趣味と用語の問題
「現代」の本質的問題
➢人口の飽和・減少とグローバル化による経済の停滞
・経済・文化に「偏り」がなければ何も生まれない状態に
(エントロピー極大化に
(エントロピー極大化による
極大化による「
よる「熱死」)
熱死」)
➢物質から疎外された精神の貧困
・人間には最大利益追求が唯一の目的か
➢有機体「地球」が危ない
・陸水の枯渇
・人間社会の基盤エネルギーの脆弱性
・生物多様性崩壊の危機
→人間の行動がもたらす
人間の行動がもたらす過去にない
人間の行動がもたらす過去にない 生物大絶滅の進行
(人間だけが
人間だけが生き残ることは不可能)
生き残ることは不可能)
⇒ 新たなイノベーション像とは?
191
第8講
大量生産型イノベーションの限界
大量生産型イノベーションの限界
日本の人口推移・予測
192
第8講
エネルギー消費の推移・予測
太陽
: 177,000 TW
化石・原子力:
10 TW (~12 TW)
バイオマス :
150 TW
水大循環
: 41,000 TW
(石油換算100万バレル/日)
世界のエネルギー消費量
250
200
太陽光
1人の消費 : 10,000kWh/Y (GDP1-3万$)
世界の経済活動 ≈ 10TW
150
天然
ガス
100
石油
ワットの
蒸気機関
50
石炭
火の使用
木質
0
B.C.
10 6
動力源
B.C.
1000
家畜
A.D.
1000
家畜・水力・風力
原子力
A.D.
1700
A.D.
2000
石炭・石油
A.D.
2100
太陽?
石炭:200年 石油:40年
193
第8講
次世代の経済状況の変化と人々の求めるもの
持続可能な社会
丹保憲仁氏(道総研理事長、元北大総長)が 2010年6月24日、
産学連携学会第8回大会で、「地域とグローバルの融合」と題する
記念講演を行った。
講演では「グローブ(球体)とその中にある人間」の存在基盤をエ
ネルギーから解き明かし、「地球生態系と経済システム」の基本的
関係を説明し、「科学と技術」を論じ、人間の精神活動にも深い洞
察を加えて進行し、聞く者に感銘を与えた。
この中で「前近代
「前近代 、近代、 後近代(持続可能)社会地域の一人当
りGDPと
GDPと成長率」という興味深い研究データーを示された。これをも
成長率」
とに、次世代の経済状況の変化と人々の求めるものについて考え
て行きたい。
194
近代、
後近代(持続可能)社会
)社会地域の一
地域の一人当り
前近代 、近代
、 後近代(持続可能
)社会
地域の一
人当りGDPと成長率
(丹保憲仁氏 2010年6月24日 産学連携学会第8回大会記念講演)
第8講
8%
地域の年GDP成長率
$10/日
日
開発途上国:高成長域(近代化進行領域)
開発途上国:高成長域 近代化進行領域)
Developing Region: Modernization Effective
BRICs
6%
4%
Matured (Pseudo post –modernization)
成熟領域:後近代化発進
2%
前近代的領域 Pre-Modern Region
成長困難な領域 Non-growing Region
$100/日
日
Modernization ineffective
0
$1/日
日
G7
サステナブル領域 Sustainable Region
新文明領域 Post-modern Region
一人あたり年GDP
丹保2008
195
第8講
精神世界と物質世界
【古代・中世】
古代・中世】
古代ギリシャ
:ίδέα(
であり、
ίδέα(イデア)
イデア)が
であり、目で見える
目で見えるものはイデアの似像
見えるものはイデアの似像
中世キリスト
中世キリスト教神学
キリスト教神学 :人間は神の子として、神と繋がることにより人格的尊厳性を持つ
古代インド哲学
:全てのものに神が宿る
⇒ 形而上学的知性による精神世界の構築
【近世から現代】
近世から現代】
デカルトによる物質世界と精神世界の対峙:
ニュートン力学による物質世界の確立:
物質世界の発展:決定論の
物質世界の発展:決定論の世界
決定論の世界 ⇒ 現代の物質文明を作る
《精神的には》
精神的には》
科学的知性による客観性、実証性、合理性を重んじる時代
⇒ 単純な設計主義、構築主義にとらわれがち
⇒ 阻害された精神
阻害された精神世界
精神世界
⇒ ヒューマニズムの台頭はキリスト教神学の人格的尊厳の希求という見方もある
【現代から未来】
現代から未来】
量子力学の思想性:確率論が世界の基盤
大脳生理の理解:右脳と左脳
物質世界では証明できないものの存在(愛、信頼、友情など)
⇒ 人間は精神的安寧のために形而上学的知性も求めている
196
第8講
次世代イノベーションを駆動する力
人間が必要とするもの
マズローの欲求 5段階説
自己超越欲求
目的の遂行のみを求める
自己実現欲求
自分の能力を引出し創造的活動が
したい
内的欲求
尊厳欲求
社会的欲求
安全欲求
生理的欲求
他者から認められたい
集団に属したい,仲間が欲しい
安心・安全な暮らしへの欲求
生きるための基本的欲求
197
前近代、近代、後近代社会地域の一人当たりGDPと経済成長率
(丹保憲仁氏 2010年6月24日 産学連携学会第8回大会記念講演資料を基に作成)
◆開発途上国:一人当たりGDPは
は$10/日、
日、GDP成長率は
成長率は6%
◆開発途上国:一人当たり
日、
成長率は
◆成 熟 国:一人当たりGDPは
は$100/日、
日、GDP成長率は
成長率は2%
国:一人当たり
日、
成長率は
自己実現欲求
社会的欲求
安全欲求
5
開発途上国
(近代化進行領域
近代化進行領域)
近代化進行領域
$10/日
日
3,4
1,2
質の向上
尊厳欲求
外的欲求
成熟領域
$100/日
日
5
社会の満足度
内的欲求
サステナブル
領域
3,4
1,2
6
6
4
生理的欲求
4
2
2
0
0
1
前近代的領域
$1/日
日
10
100
1000
一人あたりGDP
($/日)
日)
一人あたり
量的成長
198
第8講
次世代イノベーションのコンセプト
◆人間の高次欲求(内面的向上)を充足させ、
人間の高次欲求(内面的向上)を充足させ、
新たな価値・概念を人類に付与
新たな価値・概念を人類に付与する
価値・概念を人類に付与するもの
するものが
ものが
次世代イノベーションとなる
次のような例が考えられる
➢新たな
➢新たな食と健康文化の創造
食と健康文化の創造
➢人間と共生する環境の
人間と共生する環境の創造
と共生する環境の創造
➢人間と共生する生産技術
199
第8講
一次産業
一次産業の
産業のイノベーションを考える
地球上の生物の歴史
「捕食と共生」
200
第8講
「食」と「ゆとり」がホモサピエンスを生み出した
320万年前の猿人、
35万年前のホモ・ハイデルベルゲ
4800年前のホモ・サピエンス。
ルーシー。地上の植
物と樹上の果物を食
べていた。学名はア
ウストラロピテクス・
アファレンシス。
ンシス。肉食により食事時間が短
縮し、ゆとりから脳活動が活性化。
脳容積が増し文明を作り上
げた。
肉食
270万年前に出現したパラントロ
万年前に出現したパラントロ
プス。頑丈な顎と歯を
プス。頑丈な顎と歯を持ち、植物
顎と歯を持ち、植物
の根を食べ、乾燥した環境で170
の根を食べ、乾燥した環境で
万年生き延びた。完全粗食作戦
で、ほぼ一日中食事をしていた。
食の様式は生態系の構造
から最適な方法を選択する
必要がある。人類進化の歴
史は、現代から未来へ向け
て、食のイノベーションによ
る精神生活の向上が必要で
あることを示唆しているので
はないか。
粗食
絶滅
201
第8講農水分野におけるイノベーションと現代イノベーションシステム
Ⅰ.生産におけるイノベーション
1.広域イノベーション:生産者のアライアンスが必要 (複数生産者による技術の共有)
2.農林水産業は複合技術:一つの技術革新が全てを変えることは難しい
・品種 ・栽培(養殖
・栽培 養殖)技術
養殖 技術 ・選別技術 ・収穫技術 ・工学的技術
3.多様な地域特性(気候、土壌、水質、害虫、病気・・)
:技術革新も地域に規定される。
Ⅱ.収穫(獲
物の商品化・流通・販売におけるイノベーション
収穫 獲)物の商品化・流通・販売におけるイノベーション
1.選別技術、 2.鮮度保持・鮮度測定技術、 3.貯蔵技術、 4.流通・販売戦略
Ⅲ.複合産業としてのイノベーション
1.加工食品、 2.機能性食品・機能性素材
3.健康食品・化粧品、 4.医療との融合
◆農林水産業におけるイノベーションはものづくり産業とは
◆農林水産業におけるイノベーションはものづくり産業とは異なる
産業とは異なる
・複数生産者の新技術共有
・広域的新技術の適用:公設試・農(漁
協等のリーダーシップ
・広域的新技術の適用:公設試・農 漁)協等のリーダーシップ
202
第8講
競争力のあるヘルス・フードイノベーションの要素
地域の優位性
生産者の
ノウハウ
農業・水産生産技術の改良
新しい農・水産
生産技術
大学・研究所の
活用
高い品質を持ち機能性
に優れた食品
《ヘルスイノベーション
の科学技術領域》
の科学技術領域》
安心・
安全
ヘルスツーリズム
幅広い資源活用
地域優位性の
探索
《ヘルス・フードビジネス
システム》
システム》
優位性を最大に活かす製品の
デザイン
◆一次加工(カット、製粉、鮮度保持)
◆二次加工(スイーツ、新しいレシピー)
◆新たな機能性を持った食品
◆健康食品、化粧品
◆医薬品へ・・・・
腸管のサイエンス
機能性食品
新しい栄養学
人介入試験
健康
産業
ベンチャー設立、
最先端
健康食品・化粧品・創薬企業
測定技術
との連携
医と食の連携
IT技術
情報の
統合
関連する企業
食品加工
製粉、醸造
お菓子屋さん
レストラン
ネーミング、ロゴ、
梱包→デザイン
梱包 デザイン
アンテナショップ、マーケティング、
新たな顧客・市場開拓、国際市場
流通、販売:
新手法の開発が必要
(特に北海道では)
農商工連携の活用
観光との連携
203
第8講
ソーシャル・イノベーション
ソーシャルビジネス
ムハマド・ユヌス氏は社会問題の解決を「事業」と捉え、ソー
シャル・ビジネスを提唱。
1976年からバングラデシュで貧困救済プロジェクトを開始。
1983年に貧しい女性を主対象とし、無担保で少額の金を貸し
出す独立銀行「グラミン銀行」が成立。2006年ノーベル平和賞。
「現在の資本主義が、人間について利益の最大化のみを目指
す一次元的な存在であると見なしていることに対して、人間は多
元的な存在であり、ビジネスは利益の最大化のみを目的とする
わけではない」と考える。
ソーシャルビジネスは社会を変革する新しい方法であり、社会
問題解決法に対するイノベーションである。
現在進行中の「高齢化社会」、20年以内に起こる「ポスト高齢
化社会(生産人口の激減)」に向けた社会構築のため、物質的
豊かさからのパラダイムシフトを実現するイノベーションが求め
られている。
204
第8講
ソーシャル・アントレプレナーシップ
ソーシャル・アントレプレナーシップとは?
社会問題を解決するため、伝統的なビジネスのスキルを用い、革新的なアプローチを考え
出し、個人的よりむしろ社会的な価値を創造する精神。
ソーシャルアントレプレナーの活動例
例:我が国のように、オープンイノベーションが起こりにくい社会環境を変える活動
・新規事業志向の企業
・開業希望者
・大学
・研究機関
中小企業支援組織
インキュベーション施設
リエゾン形成のため
のNPO、社団法人等
《事業》
①情報の組み合わせ
から最適な結合を形
成⇒ビジネスまでの
ハンズオン
②コーディネーター研
修。市民講座:アント
レプレナーセミナー
連携
自治体や政府地方局等
の新規事業推進部署
自治体や政府の新規事
業支援事業
地銀、信用金庫、政策
金融公庫、VC等
205
《最後にもう一度》
最後にもう一度》 アントレプレナーシップのキーワード
久能祐子
久能祐子氏講演より
祐子氏講演より
(2015年10月19日、北海道大学)
206